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オーストリアのCPUクーラーメーカーNoctuaが超硬質かつ軽量な新素材「Sterrox LCP」の採用によって実現させ、満を持してリリースした次世代汎用120mm口径ファン「Noctua NF-A12x25 PWM」をレビューしていきます。「Noctua NF-A12x25 PWM」は超硬質かつ軽量な新素材「Sterrox LCP」によって、ファンブレード回転時の振動が軽減され遠心力による変形が発生しないので、フレーム-ブレード間0.5mmの限界を追求した高冷却性能かつ高静音性なハイパフォーマンスファンです。
製品公式ページ:https://noctua.at/en/nf-a12x25-pwm.html
Noctua NF-A12x25 PWM 120mmファン 定格2000RPM PWM対応
Noctua NF-A12x25 ULN 120mmファン 定格1200RPM PWM対応
Noctua NF-A12x25 FLX 120mmファン 定格2000RPM
Noctua
<TSUKUMO:PWM/ULN/FLX><PCショップアーク>
Noctua NF-A12x25 PWMの外観・付属品
まずは「Noctua NF-A12x25 PWM」の外観や付属品をチェックしていきます。「Noctua NF-A12x25 PWM」の付属品は、低ファンノイズ変換アダプタ(L.N.A.)、PWM対応4PINファン端子2分岐Y字ケーブル、PWM対応4PINファン端子300mm延長ケーブル、 防振ファンブッシュ「NA-AV2 anti-vibration mounts」、水冷ラジエーター用防振ガスケット「Anti-vibration gasket for water cooling radiators」、ファン固定用テーパーネジ4個となっています。
「Noctua NF-A12x25 PWM」は定格2000RPMのPWM速度調整対応4PIN冷却ファンです。PWM速度調整によって450~2000RPMの範囲内で速度調整が可能です。また付属の低ファンノイズ変換アダプタ(L.N.A.)を接続すると降圧調整によって定格回転数が1700RPMに下がります。
「Noctua NF-A12x25 PWM」はベージュのファンフレームとブラウンのファンブレードというNoctuaらしいカラーリングです。『これぞNoctua!』という肯定的な意見もあれば、『ダサい、きたない』といった否定的な意見もある賛否両論なデザインですが、少なくともパッと見でNoctuaの存在を頭に刻み込むというブランド認知には一役買っていることは間違いありません。
冷却ファンのサイズは汎用120mmファンと同じです。乱流の発生により静音化を向上させるファンブレードに刻み込まれた溝構造「Flow Acceleration Channels」も採用されています。
またファンフレーム内側を階段状のすり鉢形にする「Stepped Inlet Design」構造によって大風量の実現や、エア流れを最適化し静圧の改善やノイズの低減に寄与するそうです。ファンフレームの四隅には防振ラバーパッドが装着されており冷却ファンの振動による共振の発生を抑制します。
「NF-A12x25 PWM」と「NF-F12 PWM」を比較すると「NF-A12x25 PWM」ではモーターハブが若干大型化されています。また中心部の材質をスチール製に、金色のアクスルマウントは真鍮製になっており補強が施されています。軸受けは従来機種でも採用されているNoctua第2世代「SSO2ベアリング」が使用され、さらに真鍮製CNCベアリングシェルによって軸ブレをなくし、高い耐久性が実現されています。
NF-F12 PWMでは直進整流効果が期待できる11枚羽の軸フレーム構造「Focused Flow frame」が採用されていましたが、「Noctua NF-A12x25 PWM」ではファンブレード回転方向と直交する向きに4本の軸フレームが伸びているシンプルな構造が採用されています。
「Noctua NF-A12x25 PWM」の最大の特徴は何といっても、0.5mmという限界に挑んだフレーム-ブレード間の隙間の小ささです。この間隔が狭いほど漏れる空気は少なくなりエアの直進性も増すので、回転数に対する風量の効率が増し、静音性も向上するという、シンプルイズベストなアプローチになっています。
超硬質かつ軽量な新素材「Sterrox LCP」をファンブレードの素材として採用することによって、ファンブレード回転時の振動が軽減され、中心軸からぶれず、遠心力による変形が発生しないので、フレーム-ブレード間0.5mmの限界を実現しています。
Noctua NF-A12x25 PWMの冷却性能と静音性
続いて本題となる「Noctua NF-A12x25 PWM」の冷却性能と静音性を詳細に検証していきます。検証に当たっては比較対象が必要になるため、Noctuaの120mmサイズファン搭載CPUクーラーに幅広く採用されている冷却ファン「Noctua NF-F12 PWM」を使用し、ベースとなるCPUクーラーにはNuctuaのサイドフロー型CPUクーラーのスタンダードモデル「Noctua NH-U12S」を選択しました。
検証機材はRyzen 7 2700X環境で、詳細構成は下のテーブルの通りとなっています。
テストベンチ機の構成 | |
CPU | AMD Ryzen 7 2700X (レビュー) |
CPUクーラー | Noctua NH-U12S Noctua NF-F12 PWM Noctua NF-A12x25 PWM |
メインメモリ | G.Skill FLARE X F4-3200C14D-16GFX DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) |
マザーボード | ASUS ROG CROSSHAIR VII HERO (Wi-Fi) |
CPUベンチ用 ビデオカード |
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
システムストレージ |
WD Blue 3D NAND SATA SSD 500GB (レビュー) |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
まずはサウンドレベルメーター(騒音計)を使用して「Noctua NF-A12x25 PWM」のファンノイズをチェックしてみました。騒音計の収音部分とノイズ発生部分との距離が15cm程度になる位置で測定を行っています。簡易水冷の場合はラジエーターとポンプ両方からの距離が15cm程度になるように設置しています。
電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも不快に感じたり感じなかったりと音の性質にもよるので注意してください。
「Noctua NH-U12S」のヒートシンクに「Noctua NF-A12x25 PWM」と「Noctua NF-F12 PWM」をそれぞれ装着してみた場合のファンノイズの騒音値はファン回転数別で次のようになっています。
「Noctua NF-A12x25 PWM」は同環境で「Noctua NF-F12 PWM」と比較すると300RPM程度高い回転数で同じノイズレベルを実現しており静音性の高さが確認できます。
「Noctua NF-A12x25 PWM」と「Noctua NF-F12 PWM」をそれぞれ「Noctua NH-U12S」のヒートシンクに装着した場合におけるファン回転数に対するファンノイズの特性が確認できたので、続いてAMD Ryzen 7 2700Xの動作設定を全コア4.0GHz、CPUコア電圧1.300V、メモリ周波数3200MHzに固定して、「Noctua NF-A12x25 PWM」と「Noctua NF-F12 PWM」の冷却性能を比較してみました。
検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はRyzen 7 2700Xの場合15分ほどなので同じ動画で2つ平行して1周させています。エンコード中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
ファンノイズの騒音値を34dBおよび38dBになるように統一して、「Noctua NF-A12x25 PWM」は1400RPMと1700RPM、「Noctua NF-F12 PWM」は1100RPMと1400RPMにファン回転数を固定し、負荷テストを実施したところ、CPU温度の推移は次のようになりました。
「Noctua NF-A12x25 PWM」は同じノイズレベルに対して「Noctua NF-F12 PWM」よりも300RPM程度高い回転数で動作させることができるので、34dBと38dBのいずれの統一環境においても「Noctua NF-A12x25 PWM」のほうが明確に高い冷却性能を発揮していることがグラフから読み取れます。
Noctua NF-A12x25 PWMのレビューまとめ
最後にフレーム-ブレード間0.5mmを実現した次世代120mmサイズ汎用ファン「Noctua NF-A12x25 PWM」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 450~2000RPMのPWM速度制御に対応した120mmサイズファン
- フレーム-ブレード間の隙間が0.5mmの超高精度
- NF-F12 PWMと同じノイズレベルで300RPM程度高いファン回転数を実現
- ファンフレームのラバーパッドや固定用ブッシュなど防振対策も豊富
- ラジエーター設置の際、グリルとファンフレームの隙間をなくすガスケットが付属
- MTTF(平均故障時間)15万時間以上の高耐久性
- メーカー保証期間は6年間
- 良くも悪くもNoctuaらしいベージュ&ブラウンのカラーリング
- ファン1基あたり4000円ほどと高価
超硬質かつ軽量な新素材「Sterrox LCP」の採用によってフレーム-ブレード間0.5mmの限界を実現させた次世代汎用120mm口径ファン「Noctua NF-A12x25 PWM」は、空冷CPUクーラーメーカーの雄Noctuaが数年間の歳月をかけて開発し満を持してリリースしただけあって、前世代の時点ですでに評価の高かったNF-F12 PWMを明確に上回って、非常に優れた冷却性能と静音性を発揮していることが今回の検証で確認できました。
Computex2018の展示・発表会等で、140mmサイズの”「Noctua NF-A14x25 PWM」”や150mmサイズラウンドフレームの”Noctua NF-A15x25 PWM”などサイズバリエーションモデルの新製品にも期待したいところ。
価格が高いところとNoctuaらしいベージュ&ブラウンのカラーリングの2点を除けば、空冷・水冷・エアフローの全てに使える120mmサイズの汎用ファンとして文句の付け所がない万能な製品です。120mmサイズファン搭載空冷CPUクーラーにおすすめなのはもちろんのこと、240サイズや360サイズの簡易水冷ラジエーターのユーザーにとっても搭載するファンを総取っ換えしたくなる製品です。
冷却性能と静音性に妥協したくないユーザーにとって「Noctua NF-A12x25 PWM」は120mmサイズ汎用ファンとして非常におすすめな製品です。
以上、「Noctua NF-A12x25 PWM」のレビューでした。
Noctua NF-A12x25 PWM 120mmファン 定格2000RPM PWM対応
Noctua NF-A12x25 ULN 120mmファン 定格1200RPM PWM対応
Noctua NF-A12x25 FLX 120mmファン 定格2000RPM
Noctua
<TSUKUMO:PWM/ULN/FLX><PCショップアーク>
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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もしお時間がありましたら、NF-F12 PWMの最低回転数300RPMとNF-A12x25 PWMの最低回転数450RPMではどちらが静音性が高いか教えてください。