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先日「CRYORIG C7 Cu」の検証をした際に、Ryzen 7 2700Xに標準で付属する空冷CPUクーラー「Wraith Prism」と、第1世代Ryzen上位モデルのOEM用にリリースされ後に単品販売もされた最上位CPUクーラー「Wraith Max」の冷却性能を比較してみたのでその結果をレビューしていきます。


Wraith Prismについて

第2世代Ryzenの最上位モデルRyzen 7 2700XにはTDP105Wの発熱に対応可能な付属CPUクーラーとして、ファンブレードとフレームのリングに豪華なLEDイルミネーションが内蔵された「Wraith Prism」が付属します。
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「Wraith Prism」は4本の銅製ヒートパイプとアルミニウム製放熱フィンによって構成されるトップフロー型のCPUクーラーとなっており、第1世代ではRyzen 7 1800Xや1700Xの組み込み機器のみ付属し、後に単品でも販売された「Wraith Max」に酷似した外見です。CPUヒートスプレッダと接する部分には予め熱伝導グリスが塗られています。
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「Wraith Prism」ではマザーボードに標準で備え付けられたプラスチック製の爪にクリップをはめるてレバーで固定するCPUクーラー固定方式が採用されています。またプラスチックフレーム側面にはLEDイルミネーションをマザーボードのライティング操作機能で制御するためのRGB LED対応汎用4PINヘッダーや、専用アプリケーションで制御するための内部USB2.0ヘッダーに接続するためのケーブルを装着する端子があります。
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「Wraith Max(左)」と「Wraith Prism(右)」を比較してみると、冷却ファンについてはファンブレードがLEDイルミネーションを綺麗に見せるため透明になったことを除けば形状はほぼ同じですが、ヒートシンク部分にはそこそこ違いがあります。
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ヒートシンクを側面から見てみると、まず高さは「Wraith Prism(右)」のほうが10mmほど高くなっています。ヒートパイプの本数はいずれも4本ですが、放熱フィンの高さが10mmほど高くなっているのがわかります。また「Wraith Prism(右)」では左右の切込み部分が中心近づき、また高くなっているのでITXサイズマザーボードと組み合わせた場合に、メモリとの干渉が発生しにくくなっているようです。
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CPUヒートスプレッダと接する底面を確認してみると、「Wraith Max(左)」では銅製ベースプレートが装着されていますが、「Wraith Prism(右)」では平滑化されたヒートパイプが接するダイレクトヒートパイプ構造が採用されています。放熱フィンはWraith Prismのほうが若干大きいですが、銅製ベースを採用しているWraith Maxのほうが冷却性能は若干高い気がします。Wraith PrismとWraith Maxの性能比較については後日公開予定のCryorig C7 Cuのレビューの時にまとめて検証してみようと思います。
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Wraith PrismとWraith Maxの冷却性能を比較

「Wraith Prism」と「Wraith Max」を比較検証する環境としては、Ryzen 7 2700XやASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acで構成されるベンチ機を使用しました。検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成
CPU AMD Ryzen 7 2700X
レビュー
CPUクーラー Wraith Prism
Wraith Max
メインメモリ G.Skill FLARE X
F4-3200C14D-16GFX
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー
CPUベンチ用
ビデオカード
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
ファンレス (レビュー
システムストレージ
WD Blue 3D NAND SATA SSD 500GB
レビュー
OS Windows10 Home 64bit
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー

CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
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グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
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まずはサウンドレベルメーター(騒音計)を使用して「Wraith Prism」と「Wraith Max」のファンノイズをチェックしてみました。
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騒音計の収音部分とノイズ発生部分との距離が15cm程度になる位置で測定を行っています。簡易水冷の場合はラジエーターとポンプ両方からの距離が15cm程度になるように設置しています。
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電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも不快に感じたり感じなかったりと音の性質にもよるので注意してください。

「Wraith Max」と「Wraith Prism」についてファン回転数別でファンノイズを比較すると次のようになりました。冷却ファンの径がほぼ同じトップフロー型CPUクーラーなのでファン回転数に対するファンノイズの比例カーブは似た傾向になりました。ヒートシンクが大きいせいか同じファン回転数において「Wraith Prism」のほうがノイズレベルが若干高く出ますがほぼ同じファンノイズと考えて良さそうです。いずれも静音動作を狙うなら2000RPM以下に抑えるといいようです。
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続いて冷却性能の検証としてAMD Ryzen 7 2700XのCPU定格&メモリ周波数3200MHzに次の負荷テストを実施してみました。
負荷テストは、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はRyzen 7 2700Xの場合15分ほどなので同じ動画で2つ平行して1周させています。エンコード中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
X470 OC Test

ノイズレベルが39dB前後で一致するように各CPUクーラーのファン回転数を固定した状態で、上と同様の負荷テストを実施してCPU温度を比較しました。Ryzen 7 2700Xの標準設定による発熱に対しては、Wraith Maxが上限値の85度に達するのに対して、Wraith Prismでは82度前後で踏みとどまりました。
Wraith Prism_temp
さらに各CPUクーラーを使用した場合のCPUコアクロックについても比較してみました。Ryzen 7 2700XはCPUクーラーによる冷却性能に依存して25MHz刻みでコアクロック(消費電力/発熱)が制御されるため、Ryzen 7 2700Xの許容温度である85度を下回っているWraith Prismのほうが高いコアクロックで動作しているのがわかります。またRyzen 7 2700Xに標準で付属するWraith Prismであれば定格の全コア動作クロックである3.7GHzは維持できるようです。
Wraith Prism_clock

以上、『2700X付属の「Wraith Prism」はWraith Maxよりも冷えるか比較してみた』でした。
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Ryzen 7 2700Xで使用するCPUクーラーを別途購入するのであれば、「Corsair Hydro Series PRO RGB」がおすすめです。マザーボード備え付けの固定器具にCPUクーラーリテンションブラケットのフックをひっかけてハンドスクリューで締めるだけなので設置が非常にお手軽です。
Corsair H150i PRO RGB_1Corsair H150i PRO RGB_2
360サイズラジエーター搭載の「Corsair H150i PRO RGB」と280サイズラジエーター搭載の「Corsair H115i PRO RGB」はいずれも冷却性能が高く、LEDイルミネーションやファン制御などの操作性・カスタマイズ性にも優れているので第2世代Ryzen CPUとの組み合わせにはおすすめなCPUクーラーです。
「Corsair H150i PRO RGB」&「Corsair H150i PRO RGB」をレビュー
Corsair H150i_H115i PRO RGB



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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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