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公式レビュアーサンプルを使用した第2世代Ryzen Threadripperの32コア64スレッドモデル「Ryzen Threadripper 2990WX」と16コア32スレッドモデル「Ryzen Threadripper 2950X」のレビューが8月13日22時より解禁されました。余談ですが非評価キットで市販品フラゲな大手メディアが羨まけしからん。嫉妬ががが。
AMD公式が”The right tool for the right job(仕事には最適なツールがある)”のキーワードとともにRyzen 7、Ryzen Threadripper Xシリーズ、Ryzen Threadripper WXシリーズを比較スライドを公開しており、Ryzen 7はPCゲーミングや一般的な写真・動画編集向け、Ryzen Threadripper Xシリーズはゲームの録画配信や4K動画編集・3Dレンダリング向け、Ryzen Threadripper WXシリーズはプロフェッショナルな3Dレンダリングや科学研究向けとジャンル分けされています。
公式ページ:https://www.amd.com/ja/products/ryzen-threadripper
第2世代Ryzen Threadripperの概要について簡単に説明しておくと、
32コア64スレッドで第2世代Ryzen Threadripper最上位モデルの「Ryzen Threadripper 2990WX(型番:YD299XAZAFWOF)」は販売価格は1799ドルで8月13日発売となります。下位モデルには24コア48スレッドTDP250Wで1299ドルの「Ryzen Threadripper 2970WX」、16コア32スレッドTDP180Wで899ドルの「Ryzen Threadripper 2950X」、12コア24スレッドTDP180Wで649ドルの「Ryzen Threadripper 2920X」の3モデルもラインナップされますが、発売時期については2950Xが8月31日、2970WXと2920Xは10月以降に発売となります。
第2世代Ryzen Threadripperには「クリエイターと先端技術開発者向け」となるWXシリーズ(32コア/24コア)と、「PCマニアとゲーマー向け」となるXシリーズ(16コア/12コア)の2つのシリーズが展開されています。
WXシリーズはWorkstationの意味も込めて”W”の添え字が追加されておりTDP250Wで、32コア64スレッドの「Ryzen Threadripper 2990WX」と24コア48スレッドの「Ryzen Threadripper 2970WX」の2モデルがラインナップされ、販売価格はそれぞれ1799ドルと1299ドルとなります。
第1世代から引き続き最大16コアとなるXシリーズはTDP180Wで、16コア32スレッドの「Ryzen Threadripper 2950X」と12コア24スレッドの「Ryzen Threadripper 2920X」がラインナップされ、販売価格はそれぞれ899ドルと649ドルとなります。
第2世代Ryzen Threadripperスペック一覧 | |||||
CPU | コア/ スレッド |
ベース (PB) |
ブースト |
TDP | 価格 |
Threadripper 2990WX |
32C/64T | 3.0 GHz (3.4 GHz) |
4.2GHz |
250W | $1799 |
Threadripper 2970WX |
24C/48T | 3.0 GHz |
4.2GHz | 250W | $1299 |
Threadripper 2950X |
16C/32T | 3.5 GHz | 4.4GHz | 180W | $899 |
Threadripper 2920X |
12C/24T | 3.5 GHz | 4.3GHz | 180W | $649 |
Threadripper 1950X |
16C/32T | 3.4 GHz | 4.0 GHz | 180W | $750 |
Threadripper 1920X |
12C/24T | 3.5 GHz | 4.0 GHz | 180W | $620 |
Threadripper 1900X |
8C/16T | 3.8 GHz | 4.0 GHz | 180W | $380 |
発売前レビューアーサンプルによるレビュー記事についてはグローバルで大量に展開されていますが、国内の4記事と海外の1記事に目を通せば大体の概要はつかめると思います。
レビュー記事
4Gamer(2950X):https://www.4gamer.net/games/300/G030061/20180813069/
PC Watch(2990WX/2950X):https://pc.watch.impress.co.jp/docs/topic/review/1137864.html
ASCII(2990WX):http://ascii.jp/elem/000/001/725/1725071/
マイナビ:https://news.mynavi.jp/article/20180813-ryzen_threadripper2/
Guru3D(2990WX):https://www.guru3d.com/articles-pages/amd-ryzen-threadripper-2990wx-review,1.html
レビューを読むうえでいくつか注意点ですが、
一部のレビューでは第2世代Ryzenおよび第2世代Ryzen Threadripperから新たに追加された「Precision Boost Overdrive」(詳しくはこちらの記事で)が有効にされています。
またCPU冷却環境に依存した自動OC機能「XFR2」もあるので、CPU消費電力の比較については2990WXのTDP250Wや2950XのTDP180WといったTDP仕様値の相関関係から大きく離れた値をとっている記事もあります。2990WXの場合はTDP250Wの範囲内であれば全コア3.0GHz前後での動作になるはずですが、エンコードなどの重い検証でもXFRが効いて3.4GHzで動作しているようなので、消費電力の評価については注意してください。
ざっくりと総括していくと、
第2世代Ryzen Threadripperは先だって発売されたRyzen 7 2700Xなど第2世代Ryzenで使用されているのと同じCPUダイのうち低電圧で動作する上位5%が選別され、2950Xなら2ダイ、2990WXなら4ダイを組み合わせることで1つのCPUとして成り立っています。このあたりは第1世代TRと同様です。
複数のCPUダイを組み合わせており、あるCPUダイに直接繋がったメモリ(near memory)と別のダイを経由して繋がったメモリ(far memory)が混在するという構造もそのままなので、2950XについてはMemory Access Modeとしてメモリ帯域が大きくクリエイティブ作業向きにDistribute Mode(UMA)とメモリ遅延が小さく(高速で)ゲーミング向きのLocal Mode(NUMA)の2種類があり切り替えることができるのも第1世代と同様です。
ただし2990WXはEPYCと違って、4つのうち2つのダイにはメモリが接続されていないのでDistribute Mode(UMA)のみとなります。
第2世代Ryzen Threadripperは最大32コアモデルがラインナップに追加されたことに加えて、第2世代Ryzenと第1世代Ryzenとの関係でもそうでしたが、第2世代では第1世代よりも低電圧で動作が可能になったので製品スペックからもわかるように動作クロックが高くなり、さらにスペックからは直接見えない部分としてはキャッシュやメモリアクセスが高速化したことで特にゲーミングにおけるCPUボトルネックが解消され、Intel製CPUと遜色ないパフォーマンスが発揮できるようになっています。
コアクロックが伸び、キャッシュやメモリアクセスも改善され、第1世代よりも順当にパフォーマンスが伸びていることもあって公式サンプルによるレビューでは2950Xの評価がかなり高くなっています。
32コア64スレッド「Ryzen Threadripper 2990WX」のベンチマーク結果について各種サイトのレビューをチェックしてみると、詳細は各自で確認していただくとして一例を抜粋しますが、PCゲーミングで劣るだけでなく、ビデオエンコードなどクリエイティブ作業においてもコア数に比例したパフォーマンスが発揮できず、16コア32スレッドモデル「Ryzen Threadripper 2950X」を下回る結果が散見されました。コア数に比例してパフォーマンスが発揮できるケースもありましたが、現状では32コアという圧倒的リソースに対してWindows OSやアプリケーションの最適化が不十分なため2990WXはハイエンドデスクトップ向けCPUとして汎用性の面で難しいところがあります。
第2世代Ryzen Threadripperの中でも特に注目を集めているのは各シリーズの上位モデルである32コア64スレッドモデル「Ryzen Threadripper 2990WX」と16コア32スレッドモデル「Ryzen Threadripper 2950X」だと思いますが、
録画配信やアニメーション・3DCGなどクリエイティブ作業もこなせるハイエンドゲーミングデスクトップ向けのCPUとして総合的に見ると「Ryzen Threadripper 2950X」のほうが最適なようです。
ただし大は小を兼ねるというか「Ryzen Threadripper 2990WX」は「Legacy Compatibility Mode」によって16コア32スレッドや8コア16スレッドのCPUとしても使用できるので、モード切替に再起動が要求されるものの、ハイエンドゲーミングデスクトップ向けCPUとして「Ryzen Threadripper 2950X」に完全に劣るというわけではありません。ただし2990WXを16コア動作にしても2950Xより低クロック動作になるので完全に互換にはなれないようなのでその点は注意が必要かも。
ちなみに「Ryzen Threadripper 2950X」にも「Legacy Compatibility Mode」と「Memory Access Mode」の組み合わせでRyzen 7 2700Xよりも高速な8コア16スレッドCPUとしてで動作させる「Game Mode」というモード切替が用意されています。
32コア64スレッドのRyzen Threadripper 2990WXは一般ユーザーが購入可能なCPUとしては非常にピーキーな製品で興味深いことは間違いないのですが、現状のレビューを見る限りでは、16コア以下の製品と違って、2950Xや1950Xと比較した場合に多コアな上位互換CPUというわけではなく、プロフェッショナルな3Dレンダリングや科学研究など非常に限られた用途に向けられた製品となっており、”The right tool for the right job(仕事には最適なツールがある)”の言葉の通り、クリエイティブ作業がこなせるHEDT向けCPUとしては8月末に発売予定のRyzen Threadripper 2950Xのほうが最適なのだと思います。
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G.Skill Trident Z RGB F4-3200C14Q-32GTZRX Threadripper対応
G.Skill
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Ryzen Threadripperは従来のCPUに比べて非常に大きいヒートスプレッダが採用されているので、大型ベースコアを採用するThreadripper専用CPUクーラーもおすすめです。
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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多コアのほうが高性能といっても限度があり、マルチスレッドが重要といってもシングルで遅ければ処理速度は上がらない。
Atomな4コアが2コアのi3にかなわないというのが、用途に対するバランスの問題だったと言うことが改めてわかった気がします。