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NZXT CAMによる電力モニタリングや電源ユニット冷却ファンのファンコントロールに対応し、Seasonicと共同開発された変換効率Gold認証を取得するハイパフォーマンスなスタンダード電源ユニット「NZXT E850(型番:NP-1PM-E850A)」のレビュー用サンプルをメーカーよりお借りできたのでレビューしていきます。
公式紹介ページ:http://nzxt.jp/products/detail/e-series.html
E850公式ページ:https://www.nzxt.com/products/e850
「NZXT E850」のモジュラー端子/ケーブル構成
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NZXT
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NZXT E850 レビュー目次
1.NZXT E850の梱包・付属品
2.NZXT E850の外観
3.NZXT E850のケーブルや電源端子について
4.NZXT CAM:セットアップ方法と基本的な使い方
5.NZXT CAM:電力モニタリングとファン制御について
6.NZXT E850の負荷別のファンノイズについて
7.NZXT E850のレビューまとめ
NZXT E850の梱包・付属品
早速パッケージを開封してNZXT E850の外観や付属品をチェックしていきます。「NZXT E850」はそこそこ高級な電源ユニットのパッケージとしては比較的小型で、とくに厚みが薄いのが印象的でした。NZXTのメーカーカラーとも言えるホワイト&パープルを基調に製品イラストなどもカラープリントされており、NZXTファンの所有欲を満たすデザインだと思います。
パッケージの構造はN型箱で開くと、右側にはスポンジスペーサーに保護された電源ユニット本体が収められており、各種ケーブル類はパープルカラーのナイロンバッグに入った状態で左側に収められていました。
プラグインケーブル以外の付属品としては固定ネジとACケーブルと内部USBケーブルです。
「NZXT E850」をNZXT CAMでモニタリング&制御するためにマザーボードと接続する内部USB2.0ケーブルが付属します。マザーボード側端子は内部USB2.0ヘッダー、電源ユニット側端子はMini-USBです。
NZXT E850の外観
「NZXT E850」本体をチェックしていきます。NZXT E850は2.5万円程度のミドルハイクラスな電源ユニットですが、緩衝材には高級モデル同様にスポンジスペーサーが使用されています。高級電源はベロア布袋で保護されているものも多いですがNZXT E850は不織布のスリーブ袋で保護されていました。
NZXT E850の電源ユニット本体は次のようになっています。NZXT E850のスチール製外装は、同社製PCケースのNZXT New Hシリーズ同様に質感の高い塗装になっており高級感のある装いです。
側面にはアクセントとなる凹み加工に加えて、薄っすらとNZXT E850の製品ロゴがプリントされています。
NZXT E850は電源容量850Wでメインストリーム向け電源としては比較的大容量ですが50%負荷時の変換効率90%以上を保証するGold認証の低発熱を活かして奥行はコンパクトな150mmとなっています。NZXT E850と下位650WモデルNZXT E650はいずれも奥行150mmとコンパクトなので、同社のNZXT New Hシリーズで最もコンパクトなMini-ITX対応のH200iにも対応できます。
電源ユニット冷却ファンの最近のトレンドは140mmサイズファン搭載ですが、NZXT E850には120mmサイズファンが採用されています。長寿命・高静音性な流体動圧軸受(Fluid Dynamic Bearing)が採用された定格(最大)1800RPMの120mmサイズ冷却ファンとなっています。
NZXT E850はATX24PINからPCIE補助電源まで全てのケーブルが着脱可能なフルプラグイン式になっているので環境に合わせて使用するケーブルが選択できます。
「NZXT E850」はTexas Instruments製DSP(digital signal processor)を搭載しており、PCとUSBケーブルで接続することでシステム上から専用アプリケーションNZXT CAMを介して、3.3V/5V/12V電源の出力や内部温度などをリアルタイムにモニタリングでき、12V電源の過電流保護を個別に設定することも可能です。電源ユニット冷却ファンはNZXT CAMによるファン動作制御カーブのカスタマイズが可能で、標準でも電源負荷100W以下ではファンが停止するセミファンレス機能に対応しています。
ACコンセントケーブルは国内のPC関連でよく使われる3PINタイプの端子になっています。コンセントからの電力供給を簡単にカットできるロッカー型ハードウェアスイッチが付いています。排気用の背面エアスリットもほぼ全体に及び大きく取られているので通気性も十分です。
NZXT E850はPCI-E補助電源やEPS電源など12V電源出力がシングルレーン最大70Aとパワフルな電源ユニットです。Skylake-X Core i9やAMD Ryzen ThreadripperのOC環境ではCPUへ電力供給を行うEPS端子だけでも20A以上の出力を要求することもありますが、シングルレーン70Aの出力が可能なNZXT E850なら安定した電力供給が可能な容量を備えています。
「NZXT E850/E650」は、Seasonic FOCUS Plus Goldという電源ユニットをベースにしてSeasonicと共同開発された製品となっており、1次2次ともに高品質・高信頼性な日本製105℃コンデンサが採用されています。
電源ユニットの重量も確認してみたところ同容量ATX電源ユニットの「Thermaltake Toughpower Grand RGB 850W Platinum」が1936g、「Seasonic PRIME Ultra 850 Titanium SSR-850TR」が2037gに対して、「NZXT E850」は1626gで比較的軽量でした。
NZXT E850のケーブルや電源端子について
「NZXT E850」に実装されている電源コネクタの種類やケーブル長についてチェックしていきます。NZXT E850のプラグインケーブルは製品パッケージ内の電源ユニット本体左側に収められていた専用ナイロンバッグの中に入っています。
NZXT E850で使用するプラグインケーブルは、一般には比較的安価な製品に採用されることの多いスリーブまとめ型ケーブルと高級電源に採用されることの多い省スペースで取り回しに優れたフラットきしめん型ケーブルの2種類で構成されています。
NZXT E850ではATX24PINケーブル、EPS電源ケーブル、PCIE補助電源ケーブルの3種類がスリーブまとめ型ケーブルになっていました。
スリーブまとめ型ケーブルは一般には安価な電源ユニットに採用されることの多いケーブルの種類になりますが、「NZXT E850」に付属するケーブルのマザーボードに接続する側のコネクタの根本を確認してみると、熱収縮チューブが明らかに膨らんでおり、どうやら電力波形の安定化やノイズ低減のためコンデンサ等の素子がケーブル側にも埋め込まれているようです。そのため「NZXT E850」では高級電源で採用の多いフラットきしめん型ではなくスリーブまとめ型のケーブルが採用されているようです。
NZXT E850のATX24PINケーブルのATX24PINケーブルは大型フルタワーPCケースにも対応可能な610mmのスリーブまとめ型ケーブルです。
PCI-E補助電源とEPS電源のケーブルは見分けるのが面倒ですが、「NZXT E850」のプラグインケーブルではコネクタの側面に「PCI-E」と「CPU」と表記されて、自作PC初心者にもわかりやすくなっています。
「NZXT E850」のEPS端子プラグインケーブルはケーブル長650mmのスリーブまとめ型ケーブルです。
Intel Skylake-X Core i9に対応するX299マザーボードやAMD Ryzen Threadripperに対応するX399マザーボードなどエンスー向け高性能マザーボードではEPS電源として8+4PINや8PIN×2を要求するものもありますが、NZXT E850ではEPS 8ピン端子は2基搭載されているので問題なく対応可能です。
EPS端子はいずれも8PINを4+4PINに分離可能なコネクタが採用されています。欲を言えば使い勝手を考えると2本のうち1つは分離に対応していないコネクタを採用するか、4PIN同士がロックピンで結合できるコネクタ(参考写真)を採用して欲しいところ。
NZXT E850に付属するPCI-E補助電源ケーブルは8PIN(675mm)からもう1つの8PIN(75mm)が分岐するケーブルです。8PINコネクタはいずれも6+2PINに分離可能なタイプです。
「NZXT E850」のPCIE補助電源ケーブルは同種のケーブルが3本付属しています。NZXT E850は電源容量が850WなのでGeForce GTX 1080 TiやRadeon RX Vega 64などハイエンドGPUを2つ使用したマルチGPUとなると電源容量が比較的ギリギリになりますが、コネクタ数的にはマルチGPUにも対応が可能です。
SATA電源ケーブルは全長800mm(500 + 100 + 100 + 100mm)で4コネクタのケーブルです。
同種のSATA電源ケーブルが2本付属するのでSATA端子は8基使用可能となっており多数のHDDストレージを搭載するようなサーバー機用の電源としても使用できます。
4PINペリフェラル電源ケーブルは全長700mm(500 + 100 + 100mm)で4PINペリフェラル端子が3つあり、同種のケーブルが2本付属します。
NZXT CAM:セットアップ方法と基本的な使い方
「NZXT E850」はNZXTの各種コントロールを行うソフトウェア「CAM」から操作を行えます。「CAM」は公式サポートページからダウンロードできます。
NZXT CAMダウンロード:https://camwebapp.com/download
CAMのリニューアルの関連で11月16日現在はまだダウンロードページが日本語ローカライズされていませんが、上のリンク先から下記の手順で簡単にソフトウェアのダウンロードが可能です。
「CAM」はゲストアカウントとしてアカウント登録なしでも使用できますが、NZXTのアカウントを作成する(メールアドレスとパスワードの登録のみ)か、Googleなどのアカウントで共有ログインすることで、ゲーム・アプリ別プロファイルの作成やモニタリングログの保存なども使用可能になります。なお「NZXT GRID+ V3」と「New Hシリーズ スマートデバイス」の目玉機能の1つである収音マイク等を使用した機械学習にはアカウントによるログインが必須となっています。
「CAM」のインストールはよくあるインストーラーを使って行いますが、こちらは日本語化されておりポチポチクリックしていくだけなので特に難しいことはないと思います。途中で使用するデバイスを聞かれます。「NZXT GRID+ V3」を使用する場合は「GRID+」の項目にチェックを入れてください。「New Hシリーズ スマートデバイス」については「基本」の項目のみで大丈夫です。
インストールが完了したら「CAM」を起動します。初回起動時は通常アカウントへのログインウィンドウが表示されますが、アカウントがない場合は小さく書かれているゲストアカウントでの使用を選択すればOKです。
これで「CAM」が起動します。
リニューアル前の旧バージョン(右)では縦長なUIが採用されていましたが、新バージョンでは正方形なUIになっています。基本的なデザインはパステルカラーのフラットデザインが踏襲されていますが、アクセントカラーが緑系から青計に変わっています。またリニューアル版でもすでに日本語UIに対応しています。
「CAM」のUIカラーについては基本カラーとしてデフォルトの「ホワイト」だけでなく「ブラック」を選択できます。2つの基本カラーはウィンドウ右上の太陽や月のマークを選択することで切り替え可能です。
設定ウィンドウからはデフォルトで水色のアクセントカラーを自由に変更できます。また17年11月以降の最新版ではデフォルトで自動的に日本語UIが適用されていると思いますが英語UIが表示される場合、日本語への変更にはまずウィンドウ右上のアイコンから歯車マークを選択して設定ウィンドウを開き、「一般(GENERAL)」を選択、「言語(LANGUAGE)」を日本語に変更して設定を保存すれば日本語UIに変更完了です。
「CAM」はMSI AfterBurner&RivaTunerなどで有名なゲーム中のオーバーレイモニタリング機能にも対応しており、同じく設定ウィンドウの「FPS」タブで設定ができます。
またCPU温度など各種モニタリング値に異常が発生した場合に通知機能もあります。
「NZXT CAM」の基本操作としてはウィンドウ左に設置されたアイコンからそれぞれのウィンドウへアクセスします。表示されるアイコンの種類はNZXT CAMに対応した接続機器の数によって変化します。
上から順にCPU温度や使用率など現在の各種モニタリング値を確認可能な「モニタリング」、PCのシステム構成が確認できる「システム」、ゲーム中のフレームレートや各種温度・使用率のログを確認できる「ゲームログ」、GPUのオーバークロックやファン制御が可能な「GPU」、「NZXT GRID+ V3」や「スマートデバイス」に接続されたファンの制御を行う「ファン制御」、「Hue+」や「スマートデバイス」のライティング制御が可能な「ライティング制御」、機械学習のセットアップや変更を行える「機械学習」、NZXT CAM対応製品のファームウェアやドライバーアップデートが可能な「デバイス」などが表示されます。
NZXT CAM:電力モニタリングとファン制御について
「NZXT E850」はTexas Instruments製DSP(digital signal processor)を搭載しており、PCとUSBケーブルで接続することでシステム上から専用アプリケーションNZXT CAMを介して電源ユニットの各種モニタリング&制御に対応しています。「NZXT E850」のUSBケーブルを接続した状態でNZXT CAMを起動すると、ファン制御と電力モニタリングのアイコンがウィンドウ右側に追加されます。
ファン制御では「NZXT E850」内部の温度センサーをコントロールソースとして、電源ユニット冷却ファンの動作を設定することができます。ファン動作モードは標準設定のSilent Modeに加えて、冷却重視プリセットのPerformance Mode、電源温度が一定以下なら固定ファン回転数となるFixed Mode、マニュアルでファン制御カーブを設定できるCustom Mode(複数のプロファイルを作成可能)の4種類から選択できます。
標準設定で静音性重視のSilent Modeと冷却重視のPerformance Modeはいずれも既定のファン制御カーブで動作するプリセットとなっています。Silent Modeでは電源温度が40度以下で冷却ファンが停止するセミファンレス動作が可能です。公式には『電源負荷100W以下でファンが停止する』との表記でしたが、電源負荷が100W以下であれば一定の環境下なら閾値となる40度以下で動作できるのだと思います。
Fixed Modeはファン回転のデューティ比を一定値に固定する動作モードになっています。温度によらず一定値での動作になるようなサンプルイメージが表示されますが、実際の動作では電源温度が55度前後になるとSilent Modeに近いファン制御カーブで動作します。
Custom Modeでは電源温度をファンコントロールソースに、Silent Modeと同じファン制御カーブを基準にして手動設定することができます。ファンカーブを定める設定点は各温度において初期値のファン速度より低い値は設定できないので注意してください。
電力モニタリングのアイコンを選択すると表示されるページでは3.3V/5V/12Vの電圧値や電源ユニット内部温度などをリアルタイムにモニタリングできます。電源ユニットのプラグイン端子がCPU(EPS)やGPU(PCIE補助電源)で分けられていたことからわかるように、リアルタイムモニタリングでもCPUとGPUとその他の3項目別に消費電力をチェックできます。なお消費電力の合計値は電源ユニットの変換損を含みません。
画面左上の「詳細」のテキストを選択すると、詳細な電力モニタリング情報と過電流保護設定に関するページが表示されます。電力モニタリングについては電流値も表示されてさらに詳細な情報が確認できるようになります。
「マルチレールOCP(Over Current Protection/過電流保護)を有効にする」の右にあるスライドボタンを選択すると、下にあるCPU/GPU別のOCP設定スライダーが有効になり、それぞれの出力に制限をかけることで、過電流によるCPUやGPUの破損を防止できます。
「NZXT E850」についてはNZXT CAMを使用することによって電源ユニット冷却ファンの制御や電力に関するリアルタイムモニタリングが可能でその機能については特に問題もなかったのですが、『ログ間隔を1秒や5秒など設定して、手動で開始・停止できるログ機能』がないのが少し残念でした。CSVやTXTに書き出せるログ機能も実装して欲しいところです。
NZXT E850の負荷別のファンノイズについて
NZXT E850の負荷に対する冷却ファンの動作をチェックしてみました。検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成 | |
OS | Windows10 Home 64bit |
CPU |
Intel Core i7 7700K Core/Cache:5.0/4.8GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
M/B | ASRock Z270 SuperCarrier (レビュー) |
メインメモリ | Corsair Dominator Platinum Special Edition DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) 3200MHz, 14-16-16-36-CR2 |
システムストレージ |
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB MZ-N6E1T0B/IT (レビュー) |
PCケース/ ベンチ板 |
STREACOM BC1 (レビュー) |
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製3bit-MLC型64層V-NANDのメモリチップを採用するメインストリーム向け最新SATA接続M.2 SSD「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」を使用しています。「Samsung SSD 860 EVO M.2」は2.5インチSATA SSDと同等のパフォーマンスをケーブルレスで発揮できる手軽さが魅力です。Samsung SSD 860 EVOシリーズの容量1TB以上のモデルは大容量データの連続書き込みにおける書き込み速度の低下というTLC型SSDの欠点も解消されているので、大容量ファイルをまとめて入れても余裕のあるメインストレージとしてお勧めのSSDです。
・「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」をレビュー
上記のベンチ機でグラフィックボードをGTX 1050 Ti、GTX 1060、GTX 1070、GTX 1080、GTX 1080 Ti、RX Vega 64、GTX 1080 Ti SLIなどに変えてそれぞれについて消費電力と負荷時の電源ファンのファンノイズを測定しました。測定負荷にはFireStrike Extremeグラフィックテスト1を15分以上ループさせています。
消費電力の測定にはBluetooth接続でスマホから消費電力を見られるワットチェッカーを使用して、電源ユニットの変換損を含めたシステム全体の消費電力をチェックしています。なお同ワットチェッカーでは消費電力は1秒ごとにW単位で表示されますが、平均的な数値になっており実際の瞬間最大値はさらに高い値を取っている場合があります。記事中では表示値からおおよその平均を取って表記しますが、実際には+100Wから+200Wの瞬間的な負荷が発生することがあるので注意してください。
サウンドレベルメーターを利用してゲーム負荷時のノイズレベルを測定・比較しています。ノイズレベルの測定には「サンワダイレクト 400-TST901A」を使用しています。電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも不快に感じたり感じなかったりとファンノイズが不快に感じるかどうかは音の性質にもよるので注意してください。
またベンチ機のCPUクーラーやグラフィックボードから出るファンノイズについては吸音材の板を使用して電源ユニット本体のファンノイズ測定への影響を下げています。非負荷時にグラフィックボードのファン回転数を負荷時の最大値に固定してもサウンドレベルメーターが35~36dBしか示さないのでこれらの影響は基本的に無視して問題ありません。
消費電力とファンノイズの測定結果は次のようになりました。
「NZXT E850」のファンノイズについては標準動作モードのSilent Modeの場合、電源負荷が400W未満であればノイズレベルが35dB以下という非常に優秀な結果の通り静音運用には全く問題ありません。なのでシングルグラフィックボードの環境であれば基本的に心配はありませんが、500Wを超えてくるとファンノイズが45dB以上へと急激に上昇するので、「NZXT E850」は電源負荷が450W以下の環境で使用するのがおすすめです。
ちなみに「NZXT E850」の冷却ファンを固定(Fixed)モードやカスタムモードで使用する場合、ファン回転数に対するファンノイズは次のようになったので、静音動作を狙うのであれば最大負荷時に900~1000RPM以下に収まるように設定できると良いかと思います。
ただし固定(Fixed)モードとカスタムモードはいずれも電源ユニットのファンコントロールソースになっている温度が55度を超えると既定の動作になるので、500W以上の電源負荷に対して上のグラフよりも低いファン回転数を設定して静音動作を狙うといった使い方は事実上できないので注意してください。
ちなみに「NZXT E850」は50%負荷時に90%以上の変換効率を発揮できるGold認証電源なので、660W負荷時の変換損は60W超になりますが、NZXT CAMでモニタリングできる電力とコンセントからの消費電力を比較すると確かにその程度の電力差が生じていました。
600W程度の電源負荷を長時間かけ続けた場合、既定動作の1300RPM~1400RPMで冷却ファンが動作しますが、内部温度をサーモグラフィーで確認してみると最大温度で70度に達する箇所もあるようなので、「NZXT E850」で静音動作を狙うのであれば連続した最大負荷(瞬間ピークではなく)が450W以下に収まる環境に組み込むのがおすすめです。
NZXT E850のレビューまとめ
最後に「NZXT E850(型番:NP-1PM-E850A)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 電源容量850W、変換効率90%以上のGold認証取得のハイエンド電源ユニット
- +12Vは70Aのシングルレーン出力
- ATX24PIN/EPS/PCIE補助電源プラグインケーブルは安定した電力供給が可能な素子入り
- 奥行150mmなので同社のH200iやH400iなどコンパクトPCケースにも最適
- 標準のSilent Modeでは100W以下(電源温度40度以下)でファンレス動作に対応
- 冷却ファンはCore i7 7700K&GTX 1080 Tiでも優秀な静音性
- 10年間の長期新品交換保証
- 電源負荷が500W以上になる環境ではファンノイズが大きくなる
- 手動で開始・停止できて1秒間隔の手動ログ機能は最低限実装して欲しい
「NZXT E850」は、50%負荷時の変換効率が90%以上のGold認証取得、メインストリーム向けハイスペック環境に最適な電源容量850W、安定した電力供給が可能な素子入りプラグインケーブル、10年間新品交換保証など自作PC向けハイパフォーマンス電源ユニットとして基本的に隙の無い構成です。
同社製のNew HシリーズPCケースに組み込むのにも最適な電源ユニットではありますが、H700iクラスのPCケースを使用するユーザーとなると、より変換効率の高いPlatinum認証やTitanium認証の高級電源ユニットを使用するケースが多いように感じます。Seasonicと共同開発とのことなのでPrime PlatinumシリーズをベースにしたNZXT CAM対応製品も追加リリースもぜひ検討してもらいたいです。
「NZXT E850」のファンノイズについては電力負荷400W未満の環境であればノイズレベルも35dB未満と非常に優秀なので、GTX 1080 TiやRadeon RX Vega 64などハイエンドグラフィックボードとCore i7 8700KやRyzen 7 2700Xなどメインストリーム向け最上位CPUの組み合わせでも、優れた静音性を維持したままで運用が可能です。ただし電源負荷が500Wを超えてくるとファンノイズが大幅に上昇してくるので、電源負荷が400W以下に収まる環境で使用するのがおすすめです。
NZXT CAMを使用した電源ユニット冷却ファンの制御や電力に関するリアルタイムモニタリングについては操作性も良好で基本的な部分は押さえているのですが、『ログ間隔を1秒や5秒など設定して、手動で開始・停止できるログ機能』がないのが少し残念でした。CSVやTXTに書き出せるログ機能も今後のソフトウェアアップデートで実装して欲しいところです。
850WのGOLD認証電源としてはやや高価な部類であるところは若干ネックに感じるかもしれませんが、NZXT H200iやH500iなど同社のNew HシリーズPCケース、最も美しいと当サイトでも絶賛しているKraken X2簡易水冷CPUクーラーなど同社製品を組み合わせてNZXT尽くしなカッコいい自作PCを組みたいというユーザーにはお勧めできる電源ユニットです。
以上、NZXT E850のレビューでした。
NZXT E850 電源ユニット Gold認証/850W NP-1PM-E850A-JP
NZXT E650 電源ユニット Gold認証/650W NP-1PM-E650A-JP
<TSUKUMO:850W/650W><PCショップアーク:850W/650W>
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NZXT E650 電源ユニット Gold認証/650W NP-1PM-E650A-JP
NZXT
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<ドスパラ:850W/650W><パソコン工房:850W/650W>
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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