NVIDIA GeForce RTX 2080


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9月20日に満を持して販売が解禁されたNVIDIA Turing世代の次世代GPU”GeForce RTX 20XX”シリーズの上から2番目となる「GeForce RTX 2080」ですが、18年9月現在、総合的に判断して”今はまだ”買うべきではないという評価になる理由を簡単にまとめました。型落ち特価で新品が8万円から、中古なら6万円から購入できるようになっているGTX 1080 Tiを買った方が幸せになれるという……。

なお記事公開は18年9月23日なのであしからず。

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RTX 2080のグラフィック性能は?

まずはRTX 2080のグラフィック性能についてザックリとご紹介します。
当サイトでもRTX 2080搭載グラフィックボードを検証機材として購入したので、前世代最上位のGTX 1080 Tiや前世代同クラスのGTX 1080や競合製品Radeon RX Vega 64と最新の実ゲームを使用してベンチマーク比較を行いました。ベンチマークを行ったゲームタイトルはAssassin's Creed Origins、Destiny2、Final Fantasy XV、MONSTER HUNTER: WORLDなど国内でもプレイヤーの多い15種類の最新高画質PCゲームです。
Assassin's Creed OriginsDestiny 2Far Cry 5
Final Fantasy XVMiddle-Earth Shadow of WarMONSTER HUNTER WORLD

ベンチマークで測定した平均FPSから各グラフィックボードの性能比率を算出したところ、RTX 2080は前世代同クラスのGTX 1080を最大30%以上上回り、前世代最上位のGTX 1080 Tiに対しても同等かやや上回るグラフィック性能となりました。下は平均性能比率ですが、RTX 2080にもゲームタイトルによって得手不得手があるようで、GTX 1080 Tiを若干下回るケースもあれば、GTX 1080を50%近く、GTX 1080 Tiに対しても15%程度上回るケースもあり、純粋にグラフィック性能だけを見れば”買うべきではない”と評価するほど悪いGPUではありません。
RTX 2080_pefsum

RTX 2080の消費電力については評価の分かれるところですが、前世代同クラスのGTX 1080やさらに前のGTX 980がTDP180Wだったのでそれらと比較すると大幅に増えているものの、同等からやや上回る性能となっているGTX 1080 Tiよりも低消費電力なので、次世代GPUを名乗れる省電力性能は一応備えているというのが管理人の個人的な評価です。
RTX 2080_power

RTX 2080グラフィックボードの詳細については別途、レビュー記事を参照してください。
RTX 2080グラフィックボードのレビュー記事一覧へ


以上のように純粋にRTX 2080のグラフィック性能だけを評価するのであれば、個人的には決して悪くない製品だと思うのですが、ここからが『RTX 2080を”今はまだ”買うべきではない』と言わざるを得ない理由になってきます。


RTX 2080は目玉機能のレイトレーシングがまだ使えない

NVIDIAはこれまで長らくゲーマー向けGPUをGeForce GTXという名前でブランディングしてきたのに、あえて今回から”GeForce RTX”と名前を変えてきました。しかしながらその名前の由来ともなり、専用コアまで積んでいるのに次世代高画質技術「レイトレーシング(RayTracing)」に対応するタイトルがまだ存在しないため使えません。
RTX 2080 Tiがサポートする高画質機能レイトレーシングでは、照明(エリアライト)や太陽光(グローバルイルミネーション)の影響を厳密に再現し、光の反射や透過も現実に即して忠実に描写されます。「Raytracing(レイトレーシング)」を採用したわかりやすい例としては鏡に映る反射など、視覚(視点から見た)の外にある物体もリアルに描画することができます。
Raytracing_c1_onRaytracing_c1_off
Raytracing_c2_onRaytracing_c2_off
Raytracing_c3_onRaytracing_c3_off
RTX 20XXシリーズのロンチイベントではレイトレーシング(NVIDIA RTX)をサポートするゲームとして、すでに発売済みのFinal Fantasy XV PC版やPUBG、今後発売予定のShadow of the Tomb Raiderやバトルフィールド5を含めて21タイトルが発表されており、今後も対応タイトルは増えていく予定だとも言及されていました。
21 Games RTX Support

しかしながらRTX 2080がすでに発売済みで、若干延期したもののRTX 2080 Tiが27日に発売を控える今になってもまだレイトレーシングに対応したタイトルが存在しないというのが実状です。
NVIDIAが公式イベントなどの発表でTurring世代のレイトレ性能がPascal世代の6倍!とアピールする分には好きにすればいいと思うのですが、先行レビュアーに対して一般ユーザーには現状で全く恩恵の得られない専用評価ソフトを配布してベンチマークを取らせるというのは、管理人的には不誠実なマーケティング行為だと思います。



RTX 2080は目玉機能のDLSSがまだ使えない

Turring世代RTX 20XXシリーズには上で紹介したレイトレーシング用の専用コアに加えて、ディープラーニング(深層学習)によるアンチエイリアスや超解像が可能な「DLSS(Deep Learning Super Sampling)」を行うために専用のテンサーコアも搭載していますが、こちらもレイトレーシング同様に未だ専用タイトルが存在しないため使用できません。
NVIDIA-GeForce-20-Series_Official_Turing_NGX_DNN_DLSS_Versus-TAA

DLSSがどんな機能であるかを一言にまとめると、『TAAという負荷の重いアンチエイリアスと同等の高画質化処理を低負荷で行える機能』です。
ものすごく大雑把な例えをすると、7×7という計算に対して
 TAA : 7の加算を7回繰り返す
 DLSS : 暗記した九九から49という答えを即答する
という具合です。要は事前に問い(ゲーム)に対して学習をさせておき、そこから得られた経験(関数)で近似的かつ高速に答えを導き出す手法です。
ただし「九九」という関数は十進数の7×7には適用できますがこれが、2進数で[111]×[111]と与えられると「十進数における九九」という関数は適用できなくなり、2進数の49である[11001]を得るためには「2進数における九九」という関数が別途必要になります。

DLSSにおいても同様のことが言えて、ゲーム毎に異なる学習が必要になります。一例としてはアンチエイリアスなしの映像と同じ構図でTAAをかけた映像を何セットも用意して、DLSSを使用するゲームについて事前に学習させ、DLSSによる変換の関数(プロファイル)を作成します。
またDLSSを使用するにはゲーム自体にも何らかの対応が必要になるようです。同じゲームでも、森のシーンや都市のシーンでそれぞれ処理に用いる関数は異なると考えられるので、各シーンで使用する関数を決めるためにゲーム側からリアルタイムの情報提供が必要になるのではないかと。


DLSSはTAAと同クラスの品質の高画質化処理をより低負荷で適用できるので、TAAを使用するGTX 1080やGTX 1080 Tiに対して、DLSSを使用したRTX 2080やRTX 2080 Tiは純粋なグラフィック性能差に加えて最大で2倍のパフォーマンスが発揮できるともアピールされています。
NVIDIA-GeForce-20-Series_DLSS_Performance

しかしながらレイトレーシング同様にDLSSも対応タイトルは未だに存在せず、先行レビュアーに対して一般ユーザーには現状で全く恩恵の得られない専用評価ソフトを配布してベンチマークを取らせるという不誠実なマーケティング行為だけがDLSSにおいても展開されています。


RTX 2080は目玉機能のUSB Type-C VirtualLinkがまだ使えない

これはVR HMDメーカーとの歩調の兼ね合いもあるのでNVIDIAやRTX 20シリーズの問題というわけではありませんが、USB Type-Cケーブル1本でVR HMDに接続できるVirtualLinkにRTX 2080は対応しているものの、肝心のVirtualLink対応VR HMDは未だその影すらつかめない状態です。
VirtualLink


RTX 2080はTurring世代の目玉機能が使えないのにGTX1080Tiより価格が高い!

各所で散々言われていることですが、RTX 2080を”今はまだ”買うべきではないと評する最大の理由が、その販売価格であることは間違いないと思います。
RTX20XXシリーズの目玉でもある独自機能が使えず、RTX 2080のグラフィック性能は前世代最上位のGTX 1080 Tiと同等かやや上回る程度であるにもかかわらず、販売価格はGTX 1080 Tiを大きく上回るという現状は画竜点睛を欠くどころではありません。北米市場で見てもGTX 1080 Tiが実売700ドル前後に対してRTX 2080は800ドル前後なのでやや割高感はありますが、国内市場についてはさらに輪をかけてひどいことになっています。

RTX 2080の9月現在の国内相場は12~13万円程です
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一方で型落ちになったGTX 1080 Tiは8~9万円で購入できます。RTX 2080の登場やマイニングの衰退で市場に溢れ出している中古については6万円から購入できるものさえあり、RTX 2080を購入する予算で中古ならGTX 1080 TiでSLIを組めてしまいます。



『RTX 2080を”今はまだ”買うべきではない理由』をまとめると、GTX 1080 Tiとほぼ同じ性能で、目玉機能のレイトレーシングやDLSSが使えないなら、型落ちで安くなってるGTX 1080 Tiを買った方が幸せになれるよね、ということでした。
レイトレーシングやDLSSに対応したタイトルがある程度普及するのは前提として、管理人的にはRTX 2080は高くても10万円は切らないとユーザー目線では売れないだろうなと。





・RTX 2080 販売ページ:   
  <Amazon><PCショップアーク><パソコン工房
  <TSUKUMO><ドスパラ><PCワンズ><ソフマップ




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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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