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AMD Ryzen Threadripper専用かつ完全対応となる簡易水冷CPUクーラー「ENERMAX LIQTECH TR4 II」シリーズから120mm×3のトリプルファンによって冷やす360サイズ大型ラジエーター搭載の高冷却性能モデル「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360(型番:ELC-LTTRTO360-TBP)」のサンプル機をメーカーよりご提供いただけたのでレビューしていきます。
オーバークロックによって消費電力が300Wを超えるRyzen Threadripper Xシリーズ最上位の16コア32スレッド「Threadripper 2950X」に余裕で対応し、オーバークロックによって消費電力が500Wにも達するRyzen Threadripper WXシリーズ最上位の32コア64スレッド「Threadripper 2990WX」にも対応可能な「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」の冷却性能を徹底検証していきます。
なお旧モデルにおいては性能低下等のRMA事例が報告されていましたが、この件についてメーカーに確認したところ、『詳しくは回答できないものの、旧モデルから品質向上をしました』との回答が得られました。問題は対策済みとのこと、品質向上については同製品の発売延期等も影響しているようなので、「ENERMAX LIQTECH TR4 II」シリーズでは無印版に関連した問題は特にないのだと思います。
代理店公式ページ:https://www.links.co.jp/item/liqtech-tr4-ii/
製品公式ページ:http://www.enermaxjapan.com/~/Liquid/ELC-LTTRTO360-TBP.html
「ENERMAX LIQTECH TR4 II」シリーズはThreadripper対応TR4ソケット専用の簡易水冷CPUクーラーで、Ryzen ThreadripperのIHSとピッタリサイズの大型ベースプレートが採用されているのが最大の特徴です。
レビュー目次
1.ENERMAX LIQTECH TR4 II 360の外観・付属品
2.ENERMAX LIQTECH TR4 II 360の水冷トップと水冷チューブ
3.ENERMAX LIQTECH TR4 II 360のラジエーターと冷却ファン
4.ENERMAX LIQTECH TR4 II 360をセットアップ
5.ENERMAX LIQTECH TR4 II 360のLEDイルミネーション
6.ENERMAX LIQTECH TR4 II 360の冷却性能
7.ENERMAX LIQTECH TR4 II 360のレビューまとめ
補足.空冷クーラーと水冷クーラーの違いについて
ENERMAX LIQTECH TR4 II 360の梱包・付属品
まずはENERMAX LIQTECH TR4 II 360の外観や付属品をチェックしていきます。製品パッケージはグレーカラーのシンプルなデザインです。製品パッケージ正面右側にはシルバーの下地に製品名が記載されています。「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」はTDP500Wを超えるようなAMD Ryzen Threadripperのオーバークロックにも対応しています。
製品パッケージはN式サイド差込式と呼ばれるタイプの箱になっていました。蓋を開くとスポンジの蓋がありそれを出すとパルプモールド製スペーサーに簡易水冷クーラー本体や付属品が収められていました。240や360サイズラジエーターの簡易水冷CPUクーラーはパッケージも大きいので梱包によっては取り出しにくいことがありますが、ENERMAX LIQTECH TR4 IIは短辺方向に蓋を開くので開封スペースも最小限になっており、取り出しが非常に楽でした。
簡易水冷CPUクーラー本体と冷却ファン以外の付属品は、マニュアルと小分けのパッケージ入ったネジ・ケーブル類となっています。
小分けパッケージの中身をチェックしていきます。
ネジ類については、ラジエーターにファンを固定するための長ネジが12本、ラジエーターをPCケースに固定するための短ネジが12本、水冷トップをマザーボードに装着するためのスタンドオフとスプリング付きハンドスクリューナットが4個ずつです。(240サイズ/280サイズの場合、固定ネジは8本ずつとなります)
簡易水冷CPUクーラーでは水冷ベースプレートに予め熱伝導グリスが塗られているものも多いですが、「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」にはユーザーが塗る熱伝導グリスが付属します。
360サイズラジエーター搭載モデルの「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」は120mmファン冷却ファンを3基使用するのでPWM4PINファン端子用の3分岐ケーブルが付属します。240サイズ/280サイズの「ENERMAX LIQTECH TR4 II 240/280」の場合は2分岐ケーブルが付属します。
「ENERMAX LIQTECH TR4 II」は水冷ポンプの電源を3PINファン端子から取得する構造になっていますが、4PINペリフェラルから電源を取得できる変換ケーブルも付属します。ただRyzen Threadripper対応のX399マザーボードはいずれも2A以上の出力で水冷対応ファン端子があるので変換ケーブルの出番はないと思います。
LEDイルミネーション関連では、SATA電源ケーブル、LEDイルミネーションコントローラー、水冷トップLEDイルミネーション接続ケーブルが付属します。
水冷トップに接続するLEDイルミネーションケーブルは、水冷トップに実装された独自規格のミニコネクタをアドレッサブルRGB対応VD-G型汎用3PIN LEDコネクタに変換します。
Intel Z390やAMD X470など最新マザーボードではマザーボード側のアドレッサブルLEDヘッダーは基本的にアドレッサブルRGB対応VD-G型汎用3PIN LEDヘッダーで統一されていますが、GIGABYTEとMSIの初期X399マザーボードでは独自端子が採用されていたので、GIGABYTE独自規格のVDG 3PINヘッダーやMSI独自規格のGVD-(3528) 3PINヘッダーをアドレッサブルRGB対応VD-G型汎用3PIN LEDコネクタに変換するケーブルも付属します。
CPUクーラー本体を取り出すと、水冷トップからラジエーターまで全体がビニールに包まれていました。
ラジエーターの放熱フィンは出荷前のメーカーによる梱包やユーザーが取り出し時に誤って握ってしまったりして潰してしまうことが多いので厚紙スリーブで保護されている配慮はありがたいです。
ENERMAX LIQTECH TR4 II 360の水冷トップと水冷チューブ
続いて「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」の水冷トップ本体をチェックしていきます。水冷ヘッドのトップは透明アクリル板なので開封時は傷防止の保護フィルムが貼られています。ENERMAX LIQTECH TR4 IIの水冷トップの形状は単純な四角形となっており、天板は透明なアクリル板が装着されて中央にメーカーロゴが刻まれているだけという非常にシンプルなデザインです。
水冷トップのENERMAXロゴとアクリルプレート下の白色半透明リング部分にはアドレッサブルLEDイルミネーションが内蔵されおり、専用コントローラーやマザーボードのアドレッサブルLEDヘッダーからの給電で点灯します。
水冷トップは簡易水冷クーラーでは一般的なポンプ一体型水冷ブロックになっていますが、高さは40mmほどです。ポンプの構造が刷新されており、精密工学によって設計(EF1ポンプデザイン)された強力な水冷ポンプは最大450L/h(7.5L/m)の高い流量を実現し優れた冷却性能を発揮します。「Ceramic nano Pl ベアリング」を水冷ポンプに採用することで、MTBF(平均故障間隔)100,000時間という高耐久性かつ耐熱性に優れ、摩擦抵抗を抑えることで低ノイズと滑らかな回転を実現します。
水冷トップからは直出し構造で水冷ポンプおよび冷却ファンの電源取得のための汎用3PINファンケーブルが伸びているのでマザーボードのファン端子から水冷ポンプへの給電が可能です。
ポンプ回転数の定格仕様値は3000RPMとなっていますが、「ASRock Fatal1ty X399 Professional Gaming」に接続したところフルスピードでは2800RPMとなりました。ポンプはPWMによる速度調整には非対応ですが、電圧調整による60~100%の速度調整には対応しており、2300RPM前後まで回転数を落とすこともできました。
水冷ポンプ電源ケーブルのすぐ傍には水冷トップに内蔵されたアドレッサブルLEDイルミネーションへ電源供給とライティング制御を行うためのLEDヘッダーが実装されています。
ENERMAX LIQTECH TR4 IIのCPUと接触するベース部分は銅製になっており、銅製ベースプレートは鏡面磨き上げではありませんが、滑らかな表面に研磨されています。
AMD Ryzen ThreadripperのCPU本体にはAsetek OEMの簡易水冷CPUクーラー用ブラケットが付属しますが、Asetek OEMの簡易水冷CPUクーラーと銅製ベースプレートのサイズを比較すると、一目瞭然なレベルで「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」のほうが巨大です。
「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」には既存のCPUと比較して超大型なRyzen Threadripperの68mm×51mmのCPUヒートスプレッダを完全にカバーすることが可能な68mm×53mmの大型銅製ベースプレートが採用されています。
また銅製ベース内側のマイクロフィンにはENERMAX特許取得済みの「シャント・チャンネル・テクノロジー(SCT:Shunt-Channel-Technology)」設計が採用されています。SCT設計ではマイクロフィンの流入-流出経路の中間にフィンがないスリットを挿入することで通常発生する境界層を排除して、クーラントの流れの運動量を増やすことで循環効率と熱伝導性能を最大限に高め、強力な冷却性能を実現しています
「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」の水冷チューブは見ての通り水冷トップの上面から直出しの構造になっています。
水冷トップ側のチューブの根元は少し硬めですがストレート型ロータリー式になっているので、ラジエーターの設置レイアウトに合わせて柔軟に水冷チューブの取り回しが可能です。
水冷チューブには劣化に強く水漏れ、クーラントの揮発の心配がないポリアミドゴムチューブを採用、上から柔軟性に優れ摩耗防止に適したナイロンスリーブが巻かれており取り回しにも優れています。
水冷チューブの長さは約400mmです。十分な長さがあるのでミドルタワー程度のPCケースであればトップだけでなく、フロントのファンマウントスペースにもラジエーターを設置できます。
水冷チューブの径は15mm程と比較的太めなのでチューブ折れや潰れの心配はあまりありませんが、少し曲げにくくなっています。とはいえ大型ラジエーター搭載モデルなのでミドルタワー以上のPCケースに搭載することが前提になっており水冷チューブの取り回しに困ることはないと思います。
ENERMAX LIQTECH TR4 II 360のラジエーターと冷却ファン
続いてENERMAX LIQTECH TR4 II 360のラジエーター部分をチェックしていきます。ENERMAX LIQTECH TR4 IIのラジエーターはラジエーターコアを保護するグリルの側面にENERMAXブランドネームとロゴの刻印された外装が装着されており重厚感のある雰囲気になっています。
側面にフレームがあるだけでもラジエーターの外観が他とは違った印象でカッコよくなります。
ラジエーターのグリルのファン固定部分には防振ラバーパッドが貼られており、冷却ファン高回転時に発生しやすい振動やノイズを抑制し静音性を高める役割を果たします。サードパーティ製の冷却ファンに交換してもラジエーター側に防振ラバーパッドがあるのでノイズ対策面で安心です。
防振の配慮自体は嬉しいのですが、ネジ穴付近のラバーパッドの穴が狭いのでファンを固定する時にラジエーターのネジ穴にファン固定ネジを合わせにくいという欠点もありました。ラバーパッドのネジ穴はもう少し広めにとってもらえると良かったかも。
放熱フィンのピッチについては水冷ユーザー視点でも狭すぎず広すぎずちょうどいい塩梅です。このフィンピッチであれば低速ファンによる静音動作から高速ファンによる高冷却動作まで幅広く対応できると思います。
管理人が本格水冷向けのラジエーターとして推奨している「Alphacool NexXxoS Full Copper ラジエーター」シリーズのフィンピッチ(右)と比較するとENERMAX LIQTECH TR4 II 360のフィンピッチ(左)のほうがやや細かいかな、というくらいでほぼ似たようなフィンピッチになっています。
今回レビューするモデルは360サイズラジエーター搭載モデルなので片面に120mmファンを3基設置可能ですが、下位モデルには240サイズラジエーター採用で片面に120mmファンを2基設置可能な「LIQTECH TR4 II 240(型番: ELC-LTTRTO240-TBP)」や280サイズラジエーター採用で片面に140mmファンを2基設置可能な「LIQTECH TR4 II 280(型番:ELC-LTTRTO280-TBP)」もラインナップされています
ENERMAX LIQTECH TR4 IIのラジエーターの厚さは簡易水冷CPUクーラーとしては標準的な30mm厚となっています。ファンマウントスペースのクリアランスは55mmほど必要になります。なお280サイズは同じく30mm厚ですが、240サイズモデルは40mm厚で10mmほど厚みが大きいので注意してください。
ENERMAX LIQTECH TR4 II 360には「T.B.Pressure 120mm fan」という冷却ファンが3つ付属します。
「T.B.Pressure 120mm fan」は500~2300RPMで速度調整可能なPWM対応の4PIN型ケースファンです。
軸固定用の支柱はファンブレードに対して垂直になっており、ファンブレードの根元が支柱付近を通過するときに発生するノイズを抑制しています。
ファンフレームのネジ穴周辺部分には、高回転時に発生しやすい振動やノイズを抑制し、静音性を高める防振ラバーパッドを搭載しています。
吸気面と排気面ともにファンフレームはすり鉢状に面取り拡張されて大風量を獲得できるように最適化されています。
冷却ファンの軸受には製品名”T.B”の頭文字にもなっている、ENERMAXが特許を取得した「Twister Bearing」が採用されています。「Twister Bearing」は摩擦を最小限に抑えるためにひとつのパーツで構成され、オイルを注すことなく滑らかな動作を実現する特殊な素材を採用、マグネティックボールが軸を支持することにより振動を大幅に軽減しています。自称軸音ソムリエの管理人が軸音テイスティング(耳を近づけてファンを指で弾くだけ)をしてみましたが、低速回転時の軸音が聞こえない良いファンでした。低回転軸音に煩い管理人的も納得の良い冷却ファンなので低回転運用しても軸音が気になることはないと思います。
ネジ類の数についてはラジエーターサイズごとに異なっており、ファン固定用32mm長ネジとラジエーター固定用6mm短ネジは240サイズ/280サイズでは8個ずつ、360サイズでは12個ずつ付属しています。
冷却ファンのラジエーターへの固定やラジエーターのPCケースへの固定に使用するネジの規格は、採用の多いUNC No.6-32や日本国内ホームセンターで簡単に入手可能なM3かM4ネジのどちらでもなく、M3.5のようです。
ラジエーター固定ネジ穴下については、ネジによる貫通を防止するガードなどはありません。ネジ穴の下に冷却液の流れるチューブこそないものの放熱アルミフィンがあります。付属のネジを使用して付属ファンを固定する場合はクリアランスが確保されています。ネジ穴下にチューブはないので水漏れなどの心配はありませんが個体差で問題が生じる可能性もあるのでネジ穴下でチューブとの接触がないかは注意が必要です。
冷却ファンを設置するとファン&ラジエーターの厚さは55mm程度となります。
ENERMAX LIQTECH TR4 IIのラジエーター&冷却ファンの外観は、ラジエーター側面のオリジナル外装と冷却ファンのデザインに統一感があり、工業製品的な重厚感があってカッコいいです。
ENERMAX LIQTECH TR4 II 360の検証機材・セットアップ
ENERMAX LIQTECH TR4 II 360を検証機材のベンチ機にセットアップします。ベンチ機のシステム構成は次のようになっています。テストベンチ機の構成 | ||
ベンチ機1 |
ベンチ機2 |
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OS | Windows10 64bit Home | |
CPU |
AMD Ryzen Threadripper 2950X 16コア32スレッド (レビュー) AMD Ryzen Threadripper 2990WX 32コア64スレッド (レビュー) |
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M/B | ASRock Fatal1ty X399 Professional Gaming (レビュー) MSI MEG X399 CREATION (レビュー) |
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メインメモリ | G.Skill Trident Z RGB F4-3200C14Q-32GTZRX DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) |
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グラフィックボード |
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
EVGA GTX 1080 SC2 (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー) |
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電源ユニット |
Corsair HX1200i (レビュー) |
Thermaltake Toughpower iRGB PLUS 1250W Titanium (レビュー) |
PCケース/ ベンチ板 |
STREACOM BC1 (レビュー) |
Cooler Master MASTERCASE MAKER 5t (レビュー) NZXT Aer F 140 3基(レビュー) |
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、Ryzen Threadripper&X399のようなエンスー環境のシステムストレージ用に一押しのSSDです。
・「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
CPUクーラーの設置方法について、当サイトの評価基準となるチェックポイントは次の3つです。
- CPU固定バックプレートが単独でマザーボードに固定できるか
- マウントパーツ設置状態でCPUを交換できるか
- 空冷の場合、ネジ止めの場合はマザーボード側から固定できるか
簡易水冷or水冷ブロックの場合、ハンドスクリューなどツールレス固定ができるか
上の3項目を全て満たす例として本格水冷用のCPU水冷ブロックですが「EK-Supremacy EVO」のマウンタ構造は「バックプレートをM/Bに固定可能」「完全ツールレス」「マウンタ設置状態でCPUの交換が可能」なので本格水冷・簡易水冷クーラーの水冷ブロック固定方式としてはベストだと思っています。水冷クーラーメーカーにはどんどん真似してもらいたい理想的な構造です。
一応テンプレなので管理人的に高評価なCPUクーラーマウントについて説明しましたが、
「ENERMAX LIQTECH TR4 II」についてはCPUソケットがそのままでほぼマウントパーツになっており、
1.スタンドオフをマザーボードに装着
2.CPUクーラーをスプリング付きハンドスクリューナットで固定
以上の2ステップとなっており非常に簡単です。
Asetek OEMクーラー互換のリテンションブラケットやNoctuaのTR4対応空冷CPUクーラーではベースコアにリテンションネジが装着済みなので1ステップで装着可能とENERMAX LIQTECH TR4 IIよりもひと手間少ないですが、ENERMAX LIQTECH TR4 IIではスタンドオフが水冷トップの装着ガイドの役割を果たしており、ネジ穴(水冷トップ)の位置合わせが簡単というメリットがあります。
前置きはこのあたりにしてベンチ機へENERMAX LIQTECH TR4 II 360をセットアップします。
ENERMAX LIQTECH TR4 II 360をマザーボード装着する時に使用するネジ類はスタンドオフとスプリング付きハンドスクリューナットの2種類だけです。
スタントオフをCPUソケット周辺のCPUクーラー固定用ネジ穴に装着するだけでCPUクーラー装着のための下準備は完了です。
熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
普段は熱伝導グリスを上のようにてきとうに塗っているのですが、Ryzen Threadripperはヒートスプレッダが大きいため、『最初に等間隔に9カ所小さめに熱伝導グリスを落として、さらにその間の4か所に少し大きめに熱伝導グリスを塗る』というNoctua式の塗り方が良い感じだったので今回はNoctua式を採用しました。
この塗り方で後ほどCPUクーラーを着脱してみたところCPUのヒートスプレッダ全体へ熱伝導グリスが綺麗に伸びていました。
ENERMAX LIQTECH TR4 IIのCPUと接触するベース部分には、購入時点では保護フィルムで保護されています。CPUクーラー装着前に保護フィルムを剥がし忘れないように注意してください。
熱伝導グリスを塗ったらスタンドオフに水冷ヘッドの足のネジ穴が合うようにしてCPUクーラーを装着します。CPUの上に乗せたらグリスが広がるように力の入れすぎに注意して水冷ヘッドをグリグリと捻りながら押し込んで、スプリング付きハンドスクリューナットを締めたら「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」の設置完了です。
AMD Ryzen Threadripper対応X399マザーボードのメモリクリアランスについてチェックしてみましたが、CPUスロットとメモリスロットの間隔が比較的狭いATXフォームファクタの「ASRock Fatal1ty X399 Professional Gaming」でも問題なくメモリ8枚刺しが可能なスペースが確保できました。CPU-メモリスロット間スペースの大きいE-ATXサイズの「ASUS ROG ZENITH EXTREME」はもちろん、ATXサイズでスペースが若干狭くなる「ASRock X399 Taichi / PG」「GIGABYTE X399 AORUS Gaming 7」「MSI X399 GAMING PRO CARBON AC」と組み合わせても問題なくメモリ8枚刺しが可能です。
簡易水冷CPUクーラーはラジエーター設置の手間やスペース確保の問題はありますが、マザーボード上のメモリなどのコンポーネントとの干渉は大型のハイエンド空冷CPUクーラーより発生し難く、水冷トップの設置自体も基本的にツールレスで容易なのが長所だと思います。
以上でENERMAX LIQTECH TR4 II 360のベンチ機へのセットアップ完了です。
ENERMAX LIQTECH TR4 II 360のLEDイルミネーション
ENERMAX LIQTECH TR4 II 360の水冷トップに搭載されたアドレッサブルLEDイルミネーションのライティングや制御についてチェックしていきます。ENERMAX LIQTECH TR4 II 360のヒートシンクトッププレートおよび冷却ファンにはアドレッサブルLEDイルミネーションが搭載されており、付属コントローラーやマザーボードの制御機能によってライティング制御が可能です。
なお「ENERMAX LIQTECH II TR4」シリーズでは水冷ポンプ給電用のファン端子ケーブルからの給電単独でもLEDイルミネーションの点灯が可能です。LED端子からの制御を受けない場合は、内蔵コントローラーによってオーロラ状の七色(Racing Rainbow)に変化します。
「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」に搭載されたアドレッサブルLEDイルミネーションは、標準で付属するコントローラーによって制御することができます。コントローラーからはSATA電源ケーブルが伸びており、SATA電源を電源供給元として、「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」のアドレッサブルLEDイルミネーションへの電源供給とライティング制御が可能となっています。
付属コントローラーには[▲ , ▼ , M]の3つのボタンがありますが、「▲」と「▲」ボタンは設定値の変更、「M」ボタンで設定項目が変更できます。コントローラーに実装されたLEDの発光カラーは設定モードを示しており、緑色は「発光パターン」、赤色は「変化スピード」、青色は「輝度」、黄色は「自動発光パターンモード」となります。
「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」のアドレッサブルLEDイルミネーション接続ケーブルのコントローラー側コネクタはアドレッサブルRGB対応VD-G型汎用3PINヘッダーなので、付属コントローラー以外のアドレッサブルLEDコントローラーに接続できます。
「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」のアドレッサブルLEDイルミネーションは、マザーボード上のアドレッサブルLEDヘッダーに接続することによって、ASUS AURA Sync、ASRock Polychlome RGB Sync、GIGABYTE RGB Fusion、MSI Mystic Lightなどのマザーボードに搭載されたライティング制御機能による操作することも可能です。
今回は付属の専用コントローラーを使用して「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」のアドレッサブルLEDイルミネーションやライティング制御について紹介します。
「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」のアドレッサブルLEDイルミネーションは付属の専用コントローラーを使用することで発光パターンが変更できます。
「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」に付属する専用コントローラーから選択可能な発光パターンは以下の10種類です。
・「Racing Rainbow(標準設定)」:七色のカラーサークルが時計回りに回転する
・「Breathing Rainbow」:七色のカラーサークルが明滅する
・「Flash Rainbow」:七色のカラーサークルが明滅する
・「Overlaying Rainbow」:LEDロゴ&リングの各アドレスが順に点灯していくのを1周として8色繰り返す
・「Flow Rainbow」:全8色でLEDロゴとLEDリングの各アドレスが順に発光カラーを切り替えていく
・「Colors Auto Run」:全体同一カラーで七色に変化する(▲を3秒長押しで現在の色に停止/解除)
・「Ripple Auto Run」:各アドレスが順に点滅に点灯していくのを1周として8色繰り返す
・「Overlaying Red」:赤色でLEDロゴ&リングの各アドレスが順に点灯していく
・「Overlaying Green」:緑色でLEDロゴ&リングの各アドレスが順に点灯していく
・「Overlaying Blue」:青色でLEDロゴ&リングの各アドレスが順に点灯していく
設定モード切替スイッチでコントローラーのLEDが黄色になる「自動発光パターンモード」を選択すると、上に記載した10種類の発光パターンが順番に実行されます。
その他の発光パターンについてもいくつが動画を撮影しました。
「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」の水冷トップに搭載されたアドレッサブルLEDイルミネーションは、同じくアドレッサブルLEDイルミネーションを搭載したDDR4メモリ「G.Skill Trident Z RGB」と非常にマッチします。
「G.Skill Trident Z RGB」にはRyzen Threadripper向けにメモリ周波数3200MHz/メモリタイミングCL14に対応したハイパフォーマンスモデル「F4-3200C14Q-32GTZRX」もラインナップされているのでお勧めです。
・「G.Skill Trident Z RGB F4-3200C14Q-32GTZRX」をレビュー
ENERMAX LIQTECH TR4 II 360の冷却性能
本題となる「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」の冷却性能や静穏性についてチェックしていきます。検証システムをベンチ板に置いた状態で測定を行っているためCPUクーラーが水冷・空冷によらず基本的にCPUクーラーの理想的な性能をチェックすることになります。
まずはハイエンドデスクトップ向けCPUとして第2世代Ryzen Threadripperシリーズの中で一番おすすめな16コア32スレッドモデル「Ryzen Threadripper 2950X」を使用して、「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」の冷却性能を検証していきます。
「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」の冷却性能の検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使って動画のエンコードを行いました。エンコード時間はThreadripper 2950Xの場合8分ほどなので同じ動画のエンコードを3つ並列して2周実行しています。テスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
まず最初にAMD Ryzen Threadripper 2950Xの定格動作時のストレステスト中の温度をチェックしていきます。
AMD Ryzen Threadripper 2950Xは定格動作においてCPUへフルに負荷をかけると180Wの消費電力制限がかかるためCPU温度変化は綺麗に2乗根的なグラフになっています。ENERMAX LIQTECH TR4 II 360のファン回転数を1000RPMに固定していますが、最大52度という抜群に優秀な冷却性能を発揮しています。定格運用のサーマルスロットリングの閾値は68度ですが、ベンチ板測定でこの温度ならPCケースの実用環境であってもサーマルスロットリングとは無縁で運用できるはずです。
続いてAMD Ryzen Threadripper 2950Xを手動でオーバークロックした時の「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」の冷却性能について、ストレステスト中の温度をチェックしていきます。
「AMD Ryzen Threadripper 2950X」のOC設定としては、Precision Boost Overdriveを有効化して『PPT = 400W、TDC(EDC) = 300A』に設定しています。またメモリ周波数は検証機材メモリ「G.Skill Trident Z RGB F4-3200C14Q-32GTZRX」のXMPプロファイルを使用してメモリ周波数3200MHz、メモリタイミング14-14-14-34-CR1にOCしています。
ENERMAX LIQTECH TR4 II 360のファン回転数を今回は1500RPMに上げました。Precision Boost Overdriveでは定格運用と同様にCPU温度68度以下を閾値として動作クロックが最大になるようにCPUに自動OCがかかりますが、「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」で冷やしてやれば全コア同時に平均4.0GHzの高速動作が可能でした。
Ryzen Threadripper 2950XのPBOによる全コア4.0GHz OCでは消費電力も300Wを超えてくるのでラジエーターやヒートシンクの放熱容量だけでなく、CPUヒートスプレッダと接するベースの熱交換性能のCPU温度に対する比重かなり大きくなってきます。簡易水冷クーラーらしい放熱容量の高さや熱移動のスムーズさに、ENERMAX LIQTECH TR4 IIの超大型ベースプレートによる優れた熱交換性能が組み合わさって、Ryzen Threadripper 2950XのPBO 4.0GHz OCに対しても余裕のある冷却性能を実現しています。
続いて超メニーコアゆえに癖が強く用途を選ぶ傾向が強いものの32コア64スレッドで圧倒的なマルチスレッド性能を発揮する32コア64スレッドモデル「Ryzen Threadripper 2990WX」を使用して、「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」の冷却性能を検証していきます。
まずAMD Ryzen Threadripper 2990WXの定格動作時のストレステスト中の温度をチェックしていきます。
AMD Ryzen Threadripper 2990WXは定格動作においてCPUへフルに負荷をかけると250Wの消費電力制限がかかるためCPU温度変化は綺麗に2乗根的なグラフになっています。ENERMAX LIQTECH TR4 II 360のファン回転数を1200RPMに固定していますが、最大54度という抜群に優秀な冷却性能を発揮しています。定格運用のサーマルスロットリングの閾値は68度ですが、ベンチ板測定でこの温度ならPCケースの実用環境であってもサーマルスロットリングとは無縁で運用できるはずです。
続いてAMD Ryzen Threadripper 2990WXを手動でオーバークロックした時の「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」の冷却性能について、ストレステスト中の温度をチェックしていきます。
「AMD Ryzen Threadripper 2990WX」のOC設定としては、Precision Boost Overdriveを有効化して『PPT = 500W、TDC(EDC) = 430A』に設定し、CPUコア電圧は-100mVのオフセットをかけています。またメモリ周波数は検証機材メモリ「G.Skill Trident Z RGB F4-3200C14Q-32GTZRX」のXMPプロファイルを使用してメモリ周波数3200MHz、メモリタイミング14-14-14-34-CR1にOCしています。
ENERMAX LIQTECH TR4 II 360のファン回転数を今回は1700RPMに上げました。Precision Boost Overdriveでは定格運用と同様にCPU温度68度以下を閾値として動作クロックが最大になるようにCPUに自動OCがかかりますが、「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」で冷やしてやれば全コア同時に平均3.8GHzの高速動作が可能でした。
Ryzen Threadripper 2990WXのPBOによる全コア4.0GHz OCでは消費電力も450Wを超えてくるのでラジエーターやヒートシンクの放熱容量だけでなく、CPUヒートスプレッダと接するベースの熱交換性能のCPU温度に対する比重かなり大きくなってきます。簡易水冷クーラーらしい放熱容量の高さや熱移動のスムーズさに、ENERMAX LIQTECH TR4 IIの超大型ベースプレートによる優れた熱交換性能が組み合わさって、Ryzen Threadripper 2990WXのPBO 3.8GHz OCに対しても余裕のある冷却性能を実現しています。
サウンドレベルメーター(騒音計)を使用してファンノイズのノイズレベルを測定しました。騒音計の収音部分とノイズ発生部分との距離が15cm程度になる位置で測定を行っています。簡易水冷の場合はラジエーターとポンプ両方からの距離が15cm程度になるように設置しています。
電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも不快に感じたり感じなかったりと音の性質にもよるので注意してください。
ENERMAX LIQTECH TR4 II 360のファン・ポンプノイズの騒音値はファン回転数別(ポンプ回転数は定格3000RPMに固定)で次のようになっています。ファン回転数が1400RPMを超えてくるとノイズレベルが45dBを超えてファンノイズがはっきりと聞こえるようになってきました。ENERMAX LIQTECH TR4 II 360を使用する場合はファン回転数が1000RPMから1200RPM以下に収まるように設定すると静音動作で運用できると思います。付属の冷却ファン「T.B.Pressure 120mm fan」の定格(最大)回転数は2300RPMなのでファンノイズを度外視すればさらに冷却性能を上げていくこともできます。
ENERMAX LIQTECH TR4 II 360のレビューまとめ
最後にAMD Ryzen Threadripper専用かつ完全対応となる簡易水冷CPUクーラー「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360(ELC-LTTRTO360-TBP)」の実機サンプルを検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- ThreadripperのIHSにも余裕のある73x63mmの超大型ベースプレートを採用
- 360サイズの大型ラジエーター採用なので放熱容量も大きい
- 16コアRyzen Threadripper 2950XのPBOによる4.0GHz OCを運用可能な冷却性能
- 32コアRyzen Threadripper 2990WXのPBOによる3.8GHz OCを運用可能な冷却性能
- 水冷トップにアドレッサブルLEDイルミネーションを搭載
- 水冷ポンプ用ファン端子からの給電のみでLEDイルミネーションが点灯可能
- 専用コントローラーやマザーボードのARGBヘッダーでライティング制御が可能
- 水冷チューブはスリーブ付きで丈夫。
- チューブは太いが水冷トップ側の根本がストレートロータリーなので取り回しは良い
- 水冷ブロックの固定はハンドスクリューナットでツールレス固定可能
- 水冷チューブが水冷ブロック上面から直出しなのでメモリとの干渉フリー
- 水冷ポンプの電源がM/Bファン端子と4PINペリフェラルの両方から取得可能
- 付属の冷却ファン「T.B.Pressure 120mm Fan」は低速回転時も軸音が小さく高品質
- ラジエーターグリルの側面にオリジナルプレートを装備
- ラジエーターのファンマウントに防振ラバーパッドがある
- 2年間の正規代理店保証
- ファン・ラジエーターの固定ネジの規格はM3.5
- 同サイズ旧モデル比で+1万円ほど高価になった
冷却性能の検証結果からもわかるように「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」はオーバークロックで発熱が大きくなり温度管理が格段に難しくなるAMD Ryzen Threadripper 2950XやAMD Ryzen Threadripper 2990WXを3.8~4.0GHzにOCしても問題なく運用可能な冷却性能を備えています。
Ryzen Threadripper対応簡易水冷クーラーとして既存品に足りなかった大型ベースプレートを採用し、360サイズの大型ラジエーターを搭載しているので、ELC-LTTRO360-TBPは購入してそのまま使える既製品のRyzen Threadripper対応CPUクーラーとしては最強の冷却性能を実現しています。
AMD Ryzen Threadripperのリテールボックスに付属するAsetek OEM簡易水冷CPUクーラー用リテンションブラケットと違って、ENERMAX LIQTECH TR4 IIではスタンドオフ&ハンドスクリューナットによる2ステップの装着手順が採用され、ひと手間増えていますが、スタンドオフがそのまま水冷ブロックの位置合わせガイドとして働くのでネジ穴の位置に迷うことないため、実際に設置を行ってみるとENERMAX LIQTECH TR4 IIのほうが簡単に設置できました。
水冷トップのデザインも光沢のある透明アクリル天板にENERMAXのメーカーロゴイルミネーションという万人受けしやすいシンプルなものが採用され、最新後継モデルとなるLIQTECH TR4 IIでは新たにアドレッサブルLEDイルミネーションも内蔵されています。
一方でラジエーターにはメーカーロゴの刻まれたオリジナルプレートが装着されており、付属の冷却ファン「T.B.Pressure 120mm Fan」と一体感のある工業製品的な重厚な雰囲気になっています。
「ENERMAX LIQTECH TR4 II」シリーズにはラジエーターサイズ別で240サイズと280サイズと360サイズの3種類が存在します。今回レビューしたELC-LTTRO360-TBPは下位モデルのELC-LTTRO240-TBPやELC-LTTRO280-TBPよりも高い冷却性能を発揮しますが、一方で360サイズというトリプルファンの大型ラジエーターは搭載可能なPCケースを選ぶので各自のPCケースが設置可能スペースを備えているか事前に注意が必要です。
Ryzen Threadripper 2950X全コア4.0GHzや2990WXの全コア3.8GHzのオーバークロックにも余裕で対応可能な最強の冷却性能を実現しているのでPCケースへの設置さえ問題なければ「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」はThreadripper用CPUクーラーとして一押しの製品です。
以上、「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」のレビューでした。
今回は「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」をレビューしましたが、無印版については240/280/360の全サイズについてレビュー記事を公開中です。水冷トップのアドレッサブルLEDイルミネーション以外は基本的に同じ仕様なので、LIQTECH TR4 IIの240サイズや280サイズを検討しているのであれば参考にしてください。
・ENERMAX LIQTECH TR4シリーズのレビュー記事一覧へ
補足:空冷クーラーと水冷クーラーの違いについて
「空冷クーラー」と「水冷クーラー」の2種類ついて同じところと違うところ、また原理的に考えた冷却性能の比較を簡単に補足しておきます。関連記事
・「Noctua NF-A12x25 PWM」を360サイズ簡易水冷に組み込む・Noctua製Ryzen Threadripper対応空冷CPUクーラーのレビュー記事一覧へ
・「Thermalright Silver Arrow TR4」をレビュー
・X399チップセット搭載Socket TR4マザーボードのレビュー記事一覧へ
・「AMD Ryzen Threadripper 2950X」をPBOで4.0GHzにOCレビュー
・「AMD Ryzen Threadripper 2990WX」を全コア4.0GHzにOCレビュー
(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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