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システム負荷50%の環境下において電力変換効率94%以上の80PLUS Titanium認証を取得かつ、電源容量1250Wの大容量となるENERMAX製ウルトラハイエンド電源ユニット「ENERMAX MaxTytan 1250W(型番:EDT1250EWT)」のレビュー用サンプルをメーカーよりご提供いただけたのでレビューしていきます。18コア36スレッドCPUであるCore i9 9980XEと18年最速ウルトラハイエンドGPUであるRTX 2080 TiのマルチGPU SLIへ同時に負荷をかけても、「ENERMAX MaxTytan 1250W」は静音性を維持したままで、システムへ安定した電力供給が可能か徹底検証してみます。
製品公式ページ:http://www.enermaxjapan.com/MaxTytan/EDT1250EWT_top.html
「ENERMAX MaxTytan 1250W」のモジュラー端子/ケーブル構成(参考)
ENERMAX MaxTytan 1250W レビュー目次
1.ENERMAX MaxTytan 1250Wの梱包・付属品
2.ENERMAX MaxTytan 1250Wの外観
3.ENERMAX MaxTytan 1250Wのケーブルや電源端子について
4.ENERMAX MaxTytan 1250Wの負荷別のファンノイズについて
5.ENERMAX MaxTytan 1250Wのレビューまとめ
ENERMAX MaxTytan 1250Wの梱包・付属品
早速パッケージを開封してENERMAX MaxTytan 1250Wの外観や付属品をチェックしていきます。「ENERMAX MaxTytan 1250W」のパッケージは白色の背景に製品イメージや特徴がプリントされたスリーブと上蓋を取り外す構造の黒色の箱という電源ユニットとしては一風変わった形式です。
MaxTytanと刻印された黒色の上蓋を取り外すと、左側にスポンジのスペーサーで安置された電源ユニットが、右側にはモジュラーケーブルや付属品が収められています。
プラグインケーブル以外の付属品としては、AC電源ケーブル、ケーブルタイ、マジックテープ式ケーブルバンド、スリーブケーブルガイド、ファンコントローラー「COOLERGENIE」となっています。
「ENERMAX MaxTytan 1250W」と下位モデルの「ENERMAX MaxTytan 1050W」には、専用ファンコントローラー「COOLERGENIE」が付属します。
「COOLERGENIE」の右側面にはケースファンを接続できるPWM対応4PINファン端子が3基搭載されています。
「COOLERGENIE」の上側面にはCPUクーラー冷却ファンを制御するためのPWM対応4PINファン端子「COOLER FAN」と同端子に接続されたファン回転数をマザーボードに返してモニタリングするためのPWM対応4PINファン端子「M/B」が実装されています。下側面には電源ユニットと接続するための専用端子があります。
「COOLERGENIE」用接続ケーブルとして、CPUクーラー冷却ファンorケースファンをファンコンに接続するための4PINファン端子延長ケーブル、マザーボードと接続するための両側メスの4PINファン端子ケーブル、電源ユニットと接続するための専用ケーブルの3種類が付属します。
「COOLERGENIE」は専用ケーブルを使用して接続された「ENERMAX MaxTytan 1250W」から給電を受ける構造になっています。SATA電源など汎用端子からの給電ではないので、独自の電力制御がなされており、後述の「Fan Delay Tech」機能など独自の機能が可能になっています。
「COOLERGENIE」に接続されたCPUクーラー冷却ファンやケースファンのファン速度は、「M/B」端子と接続されたマザーボード上ファン端子から出力されるPWM速度調整パルスによって一括で制御されます。「M/B」端子と接続されたマザーボード上ファン端子には「COOLER FAN」端子に接続されたファンの回転数が返されます。
「COOLERGENIE」には、電源ユニットの電力負荷を参照して低負荷時にファンを停止させる「Semi Fanless(セミファンレス)」機能と、電源OFF後の一定時間(40~60秒間)にシステムを冷却するためケースファンを動作させ続ける「Fan Delay Tech」機能の2つの機能が搭載されています。
「COOLERGENIE」のセミファンレス機能は、M/B端子を経由したPWM速度制御に上書きする形で動作します。電源負荷40%以上でファンを動作させる「Whisper mode」、電源負荷55%でファンを動作させる「Silence mode」、ファンを常時動作させる「Off mode」の3つの動作モードが用意されており、左下のハードウェアスイッチによって3つのモードを切り替えることができます。
「COOLERGENIE」に接続されたファンは「ENERMAX MaxTytan 1250W」の専用端子から給電を受けて動作するので、システム電源OFF後の一定時間(45秒間)にシステムを冷却するためケースファンを動作させ続ける「Fan Delay Tech」機能が利用できます。高付加をかけ続けて急遽電源OFFにした時でもPCケース内が冷えるまでファンが動き続けるので安心な機能です。
「COOLERGENIE」の使い方や機能については公式動画でも紹介されています。
ENERMAX MaxTytan 1250Wの外観
「ENERMAX MaxTytan 1250W」本体をチェックしていきます。ENERMAX MaxTytan 1250Wは高級電源ユニットなのでスポンジの緩衝材で保護され、さらに専用のナイロンバッグに入れられていました。
「ENERMAX MaxTytan 1250W」の電源ユニット本体は次のようになっています。
「ENERMAX MaxTytan 1250W」の外装は金属製ですが、布のような独特の質感です。側面には矢印マークの凹凸加工とMaxTytanの宝石シンボルとテキストロゴが刻印されています。
「ENERMAX MaxTytan 1250W」はハイエンドグラフィックボードによるマルチGPUやエンスーCPUの環境にも対応可能な電源容量1250Wの大容量電源ユニットとなっており、この1000Wオーバークラスでは標準的な奥行200mmです。
「ENERMAX MaxTytan 1250W」の冷却ファンは、最近の電源ユニットのトレンド通りに140mm角の大型冷却ファンであり、同社の高性能CPUクーラーにも使用されている、ENERMAXが特許を取得した「Twister Bearing」も採用されています。「Twister Bearing」は摩擦を最小限に抑えるためにひとつのパーツで構成され、オイルを注すことなく滑らかな動作を実現する特殊な素材を採用、マグネティックボールが軸を支持することにより振動を大幅に軽減しています。
ENERMAX MaxTytanシリーズは最大でシステム負荷70%以下において電源ユニット冷却ファン動作が停止するセミファンレス機能「Smart Semi Fanless Control」にも対応しています。今回レビューする「ENERMAX MaxTytan 1250W」はシステム負荷60%(約750W)までセミファンレス動作が可能です。同時に内部温度センサーによるセーフティ機能も実装されており、セミファンレス動作下でも内部温度が閾値以上に上昇すれば自動でファンが始動する設計なので過度な高温による故障の心配はなく安心して運用できます。
「ENERMAX MaxTytan 1250W」では800W以上の高負荷時においても120mm角ファンが600RPM~1300RPMで回転するだけなので、冷却ファン動作中の静音性も抜群です。
ENERMAX MaxTytan 1250WではATX24ピン以外の使用しない可能性のあるプラグインコネクタには防塵保護キャップが付属しています。電圧のかかる部位なので不測のショート発生などを避けるための措置としては良いと思いました。長期使用で放置したままの端子の劣化も抑えられそうです。この保護キャップは他の高級プラグイン電源にも採用して欲しいです。
ENERMAX MaxTytan 1250WはATX24PINからPCIE補助電源まで全てのケーブルが着脱可能なプラグインケーブルになっているので環境に合わせて使用するケーブルが選択できます。左下には専用ファンコントローラーを接続するための端子があります。
ACコンセントケーブルは国内のPC関連でよく使われる3PINタイプの端子になっています。コンセントからの電力供給を簡単にカットできる大き目のロッカー型ハードウェアスイッチが付いています。
7ピースデジタル表示のワットメーターが電源ユニット背面に搭載されているのも「ENERMAX MaxTytan 1250W」の特長です。表示される電力値は電源ユニットの変換損を除いたシステム消費電力のようです。
「ENERMAX MaxTytan 1250W」はシステム負荷50%の環境下において94%以上の電力変換効率を発揮することが確認済みの80PLUS Titanium認証が取得されていますが、80PLUSが規定するTitanium認証よりもさらに高い電力変換効率を実現していることも同時にアピールされています。
ENERMAX MaxTytan 1250WはPCIE補助電源やEPS電源など12V電源出力がシングルレールの最大104Aと非常にパワフルな電源ユニットです。Intel Core i9やAMD Ryzen Threadripperなどエンスー向けCPUのOC環境ではCPUへ電力供給を行うEPS端子だけでも20A以上の出力を要求することもありますが、シングルレーン104Aの出力が可能な「ENERMAX MaxTytan 1250W」なら余裕で安定した電力供給が可能な容量を備えています。
1次と2次回路ともに過酷な環境下でも安定した電圧を実現する日本メーカー製105℃液体電解コンデンサを採用しています。大きな電圧変動を受けても劣化しない電極箔に加え、低抵抗電解液の採用により超ESR・超低インピーダンスを実現します。より長寿命で安定した電圧を提供します。またDC to DCコンバーター回路により、安定した出力電圧と高効率を実現しています。
電源ユニットの重量も確認してみたところ標準的なATX電源の「Corsair AX1600i」が2621g、「Thermaltake Toughpower iRGB PLUS 1250W Titanium」が2418に対して、「ENERMAX MaxTytan 1250W」は2389gでした。
ENERMAX MaxTytan 1250Wのケーブルや電源端子について
ENERMAX MaxTytan 1250Wに実装されている電源コネクタの種類やケーブル長についてチェックしていきます。「ENERMAX MaxTytan 1250W」に付属するプラグインケーブルは全て、黒色ベースに白色ドット柄の個別スリーブ化ケーブルが採用されています。スリーブの柄は若干人を選ぶデザインです。個別スリーブ化ケーブルは見栄えが良いというメリットがある一方で、フラットきしめん型ケーブルに比較して配線がスペースを大きく占有します。
個別スリーブ化ケーブルはその名の通りケーブル1本1本が個別にスリーブ化されているのでそのまま使用すると1つのプラグインケーブルでも各ケーブルがバラバラになってしまいますが、「ENERMAX MaxTytan 1250W」には標準でスリーブケーブルガイドも付属するので、見栄えにこだわりのあるユーザーでも大丈夫です。
ENERMAX MaxTytan 1250Wのスリーブケーブルは「SLEEMAX」と命名されており、厳選された生地を使用して作られた、滑らかで柔らかい質感のスリーブケーブルになっているとのことです。内部銅線も「UL 1007 Certified 16/18 AWG Wire」が採用され高い導電性を備えます。
ENERMAX MaxTytan 1250WのATX 24PINケーブルは個別スリーブ化ケーブルで、大型フルタワーPCケースにも対応可能な長さ600mmです。
自作PC初心者が間違えやすいPCIE補助電源端子、EPS電源端子およびPSUプラグイン端子には一目でどれがどれか見分けることができるように、コネクタの側面に「PCIe」や「CPU」と表記されています。
Intel Skylake-Xに対応するX299マザーボードやAMD Ryzen Threadripperに対応するX399マザーボードなどエンスー向け高性能マザーボードではEPS 8+4PINや8PIN×2を要求するものもありますが、ENERMAX MaxTytan 1250WではEPS 8ピン端子は2基搭載されているので問題なく対応可能です。ケーブル長は2本とも600mmです。
2本のEPS電源ケーブルのEPS電源コネクタのうち一方は8PINから分離できないコネクタですが、もう一方は2つの4PINコネクタをロックピンで結合・分離できるコネクタが採用されていました。互換性と使い勝手ともに良好な構成です。
ENERMAX MaxTytan 1250WのPCIE補助電源ケーブルは、ケーブル1本あたり1コネクタが実装されたストレートで長さ600mmのケーブルになっています。
PCIE補助電源ケーブルのPCIE補助電源コネクタはいずれも、6PINと2PINが分離できるコネクタです。
同種のPCIE補助電源ケーブルが8本付属するので、「ENERMAX MaxTytan 1250W」には最大で8基の8PIN PCIE補助電源を接続できます。ENERMAX MaxTytan 1250Wは電源容量が1250Wの大容量なのでGeForce RTX 2080 TiやRadeon RX Vega 64などハイエンドGPUを2つ使用したマルチGPUにも余裕で対応可能です。
ENERMAX MaxTytan 1250WではSATA電源ケーブルとして全長950mmの4コネクタ(500 + 150 + 150 + 150 mm)のケーブルが4本付属します。
ENERMAX MaxTytan 1250Wでは4PINペリフェラル電源ケーブルとして、全長950mmの4コネクタ(500 + 150 + 150 + 150 mm)のケーブルが2本付属します。
ほぼディスコンですがフロッピー端子の変換ケーブルも付属します。
ENERMAX MaxTytan 1250Wの負荷別のファンノイズについて
ENERMAX MaxTytan 1250Wの負荷に対する冷却ファンの動作をチェックしてみました。検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成 | ||
OS | Windows10 64bit Home | |
CPU |
Core i7 7700K Core/Cache:5.0/4.8GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
Core i9 7980XE 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
M/B | ASRock Z270 SuperCarrier (レビュー)(BIOS:1, 2) |
ASRock X299 OC Formula (レビュー) |
メインメモリ | Corsair Dominator Platinum Special Edition DDR4 8GB*4=32GB 3200MHz, 14-16-16-36-CR2 (レビュー) |
G.Skill Trident Z Black F4-4200C19Q2-64GTZKK DDR4 8GB*4=32GB(4枚のみ) 3200MHz, 14-14-14-34-CR1 (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB MZ-N6E1T0B/IT (レビュー) |
Samsung 860 PRO 256GB MZ-76P256B/IT (レビュー) |
PCケース/ ベンチ板 |
STREACOM BC1 (レビュー) |
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、Intel Core-XやAMD Ryzen TRのようなハイエンドデスクトップ環境はもちろん、メインストリーム向けでもハイパフォーマンスな環境を目指すのであれば、システムストレージ用に一押しのSSDです。
・「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
上記のベンチ機でグラフィックボードをGTX 1050 Ti、GTX 1060、GTX 1070、GTX 1080、GTX 1080 Ti、RTX 2070、RTX 2080、RTX 2080 Ti、RTX 2080 Ti SLI、RX 480、RX Vega 64などに切り替えて、それぞれについて消費電力と負荷時の電源ファンのファンノイズを測定しました。測定負荷にはFireStrike Extremeグラフィックテスト1を15分以上ループさせています。
消費電力の測定にはBluetooth接続でスマホから消費電力を見られるワットチェッカーを使用して、電源ユニットの変換損を含めたシステム全体の消費電力をチェックしています。なお同ワットチェッカーでは消費電力は1秒ごとにW単位で表示されますが、平均的な数値になっており実際の瞬間最大値はさらに高い値を取っている場合があります。記事中では表示値からおおよその平均を取って表記しますが、実際には+100~200Wの瞬間的な負荷が発生することがあるので注意してください。
サウンドレベルメーターを利用してゲーム負荷時のノイズレベルを測定・比較しています。ノイズレベルの測定には「サンワダイレクト 400-TST901A」を使用しています。電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも不快に感じたり感じなかったりとファンノイズが不快に感じるかどうかは音の性質にもよるので注意してください。
またベンチ機のCPUクーラーやグラフィックボードから出るファンノイズについては吸音材の板を使用して電源ユニット本体のファンノイズ測定への影響を下げています。ノイズレベルを測定する瞬間は非負荷時と同等までCPUクーラーやグラフィックボードのファン回転数を一時的に下げており、非負荷時のグラフィックボードのファン回転数ではサウンドレベルメーターのノイズレベルは35dB~36dBしか示さないので、電源ユニット以外の影響は基本的に無視して問題ありません。
消費電力とファンノイズの測定結果は次のようになりました。
ENERMAX MaxTytan 1250Wは18年後半にリリースされたばかりの最速ウルトラハイエンドGPUのGeForce RTX 2080 TiによるマルチGPU環境の電力負荷700W程度においてファンノイズは35dB以下という優秀な静音性を発揮しています。「ENERMAX MaxTytan 1250W」のファンノイズは1000Wを境目にして40dBを超過しますが、RTX 2080 Ti SLI環境であってもPCゲーミングの裏でCore i9 7980XEなどエンスーCPUによるリアルタイムエンコード作業でも行わない限りは1000Wを長期的に超過するケースはあまりないので、基本的には無音に近い状態で運用でき、「ENERMAX MaxTytan 1250W」のファンが始動する状態ではCPUクーラーやGPUクーラーも高い回転数で稼働しているはずなので、40dB程度の電源冷却ファンがノイズレベルにおいてボトルネックになることはないと思います。
システム | 消費電力 | Hybrid |
アイドル | 60 | 33.6(ファン停止) |
GeForce GTX 1080 GeForce RTX 2070 |
260 | |
GeForce GTX 1080 Ti GeForce RTX 2080 |
325 | |
Radeon RX Vega 64 GeForce RTX 2080 Ti |
400 | 33.6(ファン停止)~ 34.1 |
GeForce GTX 1080 Ti SLI | 700 | |
GeForce RTX 2080 Ti SLI |
800 | |
900 | 36.7 | |
1000 | 39.5 | |
1100 | 41.1 | |
1200 | 42.8 |
ENERMAX MaxTytan 1250Wは低負荷においてファンが停止するセミファンレス機能に対応しており、電源容量1250Wの60%負荷にあたる約750Wまでであればファンレスで運用可能です。
ENERMAX MaxTytan 1250Wのセミファンレス閾値ギリギリとなる700W前後で長時間の負荷をかけてサーモグラフィーで内部温度を隙間からチェックしてみたところ、電源ユニット内部の最も熱い部分は110度半ばまで熱くなりました。
なおファン始動のトリガーは電源負荷だけでなく電源ユニット内の温度センサーも含まれています。電力負荷が800Wを大幅に超過するか、内部温度が一定値を超過するかのどちらかで冷却ファンが始動します。上の検証で700W前後の負荷を長時間かけた場合、サーモグラフィーによる観測からの推測ですが内部温度で最も熱い部分が120度を超過するとファンが始動しました。加えて700W程度の負荷だと数秒間ファンが回ると停止閾値まで温度が下がるのか、ファンはまたすぐに停止します。
温度セーフティによって強制的にファンが始動する場合、製品によっては一時的にフル回転になって大きな騒音が発生する場合がありますが、「ENERMAX MaxTytan 1250W」はゆっくりと始動するので始動と停止を繰り返してもファンノイズが気になることはありません。
今回の検証においてファンレス動作閾値ギリギリの負荷を数時間かけ続けた場合の最大温度は少し不安になる温度ではありますが、ENERMAX MaxTytan 1250Wは日本製105℃コンデンサなど温度的に高耐久性なパーツが採用されており、RTX 2080 Ti SLIも安定動作して、かつ温度セーフティによるファン始動も機能として盛り込まれているので、設計上は問題ないのだと思います。
ENERMAX MaxTytan 1250Wのレビューまとめ
最後に「ENERMAX MaxTytan 1250W(型番:EDT1250EWT)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 電源容量1250W、変換効率Titanium認証取得のウルトラハイエンド電源ユニット
- +12Vは104Aのシングルレーン出力
- 電源負荷60%、750W以下でセミファンレス動作可能
- RTX 2080 Ti SLI環境の負荷でもファンノイズ35dB程度と静音性は極めて優秀
- 5年間の長期保証
- 電力負荷でセミファンレス動作を上書きできる専用ファンコン「COOLERGENIE」が付属
- 電源ユニット背面にワットメーターを
- プラグインケーブルが全て個別スリーブ化ケーブルで、ドット柄は人を選ぶかも
- 18年12月現在、国内価格5万円以上と非常に高価
「ENERMAX MaxTytan 1250W」は、電源容量1250Wの大容量、最大94%以上の高い変換効率を証明するTitanium認証取得、+12V出力はシングルレーン104Aとなっており、18年現在、自作PC向けでは最強と呼んでも過言ではない電源ユニットです。Intel Core i9やAMD Ryzen ThreadripperなどエンスーCPUに、NVIDIA GeForce RTX 2080 TiやAMD Radeon RX Vega 64のマルチGPUを組み合わせるような18年最高峰の環境に対しても安定して電力供給が可能なポテンシャルを有しています。
「ENERMAX MaxTytan 1250W」のファンノイズについては検証結果の通り極めて優秀です。RTX 2080 Ti SLIによる平均700~800W程度の電源負荷に対しても、ほぼファンレス状態で動作でき、電力供給自体もしっかりと安定していました。負荷1000Wを境目にしてファンノイズは次第に大きくなってきますが、それでもノイズレベル40dB程度と静かに動作しているので、グラフィックボードやCPUクーラーよりも電源が煩くなる心配は皆無だと思います。
機能や性能面では自作PC用電源ユニットとしては抜群に優れている「ENERMAX MaxTytan 1250W」ですが、税込み5万円以上という価格だけは唯一ネックだと思います。とはいえ現状では最高峰の電源ユニットの1つなのも間違いないので、コスパを気にするような製品でもないと言えばその通りです。
「ENERMAX MaxTytan 1250W」は、GeForce RTX 2080 TiやRadeon RX Vega 64のマルチGPUに、Intel Core i9やAMD Ryzen ThreadripperなどエンスーCPUを組み合わせるようなウルトラハイエンドな自作PCを組むならぜひ検討したい電源ユニットです。
以上、ENERMAX MaxTytan 1250Wのレビューでした。
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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