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従来のNAND型SSDよりもレイテンシ(遅延)が10分の1以下と高速な3D Xpoint型SSDを採用するストレージ用製品「Optane SSD」の一般コンシューマー向け上位モデルとしてリリースされた「Intel Optane SSD 905P」シリーズから、M.2 22110フォームファクタで容量380GBの「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB(型番:SSDPEL1D380GAX1)」をレビューしていきます。
製品公式ページ:https://www.intel.com/content/www/us/en/products/memory-storage/solid-state-drives/gaming-enthusiast-ssds/optane-905p-series.html
データシート:https://www.intel.com/content/dam/www/public/us/en/documents/product-briefs/optane-ssd-905p-product-brief.pdf
Intel Optane SSD 905P用ドライバ:https://downloadcenter.intel.com/product/129835/Intel-Optane-SSD-905P-Series
Intel Optane SSD 905P M.2 380GB レビュー目次
1.Intel Optane SSD 905P M.2について
2.Intel Optane SSD 905P M.2 380GBの外観
3.Intel Optane SSD 905P M.2 380GBの検証機材と基本仕様
4.Intel Optane SSD 905P M.2 380GBのベンチマーク比較
5.Intel Optane SSD 905P M.2 380GBの連続書き込みについて
6.Intel Optane SSD 905P M.2 380GBの温度とサーマルスロットリングについて
7.Intel Optane SSD 905P M.2 380GBの実用性能比較
8.Intel Optane SSD 905P M.2 380GBのレビューまとめ
Intel Optane SSD 905P M.2について
「Intel Optane SSD 905P M.2」シリーズはメモリチップに3D Xpointが採用された、M2 22110フォームファクタでNVMe(PCIE3.0x4)接続のM.2 SSDです。容量は380GBの1モデルのみがラインナップされています。メモリチップは表面に3枚、裏面に4枚の両面実装です。「Intel Optane SSD 905P」シリーズは、従来のNAND型SSDよりもレイテンシ(遅延)が10分の1以下と高速な3D Xpoint型SSDを採用するストレージ用製品としてIntelが展開する「Optane SSD」ブランドの上位モデルに当たり、国内でも発売済みの「Intel Optane SSD 900P」シリーズより大容量化と高速化を果たした製品です。
「Intel Optane SSD 905P」シリーズのアクセススピードは900Pシリーズより若干高速で、シーケンシャル読出2600MB/s、シーケンシャル書込2200MB/s、ランダム読出575,000 IOPS、ランダム書込550,000 IOPSの高速アクセススピードと、読み出しと書き込みにおけるレイテンシが10μsという低遅延な動作を実現しています。
「Intel Optane SSD 905P」シリーズのMTBF(平均故障時間)は175万時間、書き込み耐性は業界最高水準の10 DWPDとなっておりPBW(PB Written)換算で、380GBモデルは6.94PBWとなっており、メーカーによる製品保証期間は5年間です。
Intel
Optane SSD 905P / 900P シリーズ ラインナップ一覧 |
||||
シリーズ | Optane SSD 905P | Optane SSD 900P | ||
フォームファクタ | M.2 M22110 |
PCI-E3.0 x4 (HHHL AIC) |
2.5インチ U.2 | PCI-E3.0 x4 (HHHL AIC) |
容量 | 380GB | 1.5TB 960GB |
1.5TB 960GB 480GB |
480GB |
型番 | SSDPEL1D380GAX1 | SSDPED1D015TAX1 SSDPED1D960GAX1 |
SSDPE21D015TAX1 SSDPE21D960GAX1 SSDPE21D480GAX1 |
SSDPED1D480GASX |
インターフェース | PCIe 3.0x4 NVMe | |||
メモリー | 3D XPoint | |||
連続読込み | 2600MB/s | 2500MB/s | ||
連続書込み | 2200MB/s | 2000MB/s | ||
ランダム読込み IOPS(100% Span) |
575,000 IOPS | 550,000 IOPS | ||
ランダム書込み IOPS(100% Span) |
550,000 IOPS | 500,000 IOPS | ||
レーテンシ (リード/ライト) |
10µs / 10µs | |||
消費電力 (アイドル/アクティブ) |
2.5W / 9.3W | 6.2W / 18.6W 6W / 16.4W |
6.2W / 18.6W 6W / 16.4W 3W / 12.8W |
5W / 14W |
動作温度範囲 | 0°C~85°C | |||
MTBF | 160万時間 | |||
耐久性評価 | 6.94PBW | 27.4PBW 17.5PBW |
27.4PBW 17.5PBW 8.76PBW |
8.76PBW |
保証期間 | メーカー5年 |
Intel Optane SSD 905P M.2 380GBの外観
まず最初にIntel Optane SSD 905P M.2 380GBの外観や付属品について簡単にチェックしておきます。「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」の製品パッケージはOptane SSD 905PのPCIE AIC版や2.5インチU.2版同様に黒色の高級感のある化粧箱です。管理人が入手したものについては無料ノベルティとしてEKWB製の専用ヒートシンクも付属しました。
化粧箱の蓋を開くとSSD本体はスポンジ製スペーサーに収められていました。
M.2 SSD本体をチェックしていくと、現在主流なNVMe M.2 SSDのフォームファクタは長さ80mmのM2280ですが、「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」は長さ110mmのM22110フォームファクタになっています。PCB基板の色は青色です。
「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」の表面にはM.2端子を左端として左から順にメモリコントローラー、中央から右側には3枚のメモリチップが実装されています。メモリコントローラーには放熱補助のため薄いメッキ処理銅製プレートが貼られていました。
「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」には背面に4枚のメモリチップを搭載する両面実装になっています。
「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」はIntel公式からも追加のヒートシンク装着が推奨されており、冒頭でも紹介したように今回入手したものについては無料ノベルティとしてEKWB製の専用ヒートシンクも付属しました。
EKWB製ヒートシンクは、長さ110mmの表面用アルミニウム製ヒートシンクと、裏面のメモリチップをカバーするアルミニウム製プレートの2枚で構成されています。
表面用ヒートシンクのメモリコントローラー部分はM.2 SSDの凹凸に合わせて削られていました。
「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」にヒートシンクを装着するとこんな感じになります。
Intel Optane SSD 905P M.2 380GBの検証機材と基本仕様
Intel Optane SSD 905P M.2 380GBの各種検証を行う環境としては、ASRock Z270 SuperCarrierなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i7 7700K 殻割り&クマメタル化(レビュー) Core:5.0GHz, Cache:4.8GHz |
CPUクーラー | Intel TS15A |
メインメモリ | Corsair Dominator Platinum Special Edition DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) 3200MHz, 14-16-16-36-CR2 |
マザーボード |
ASRock Z270 SuperCarrier (レビュー) |
ビデオカード | 【基礎性能検証用】 MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC (レビュー) 【PCゲームロード時間検証用】 EVGA GTX 1080 Ti SC2 iCX (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB MZ-N6E1T0B/IT (レビュー) |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製3bit-MLC型64層V-NANDのメモリチップを採用するメインストリーム向け最新SATA接続M.2 SSD「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」を使用しています。「Samsung SSD 860 EVO M.2」は2.5インチSATA SSDと同等のパフォーマンスをケーブルレスで発揮できる手軽さが魅力です。Samsung SSD 860 EVOシリーズの容量1TB以上のモデルは大容量データの連続書き込みにおける書き込み速度の低下というTLC型SSDの欠点も解消されているので、大容量ファイルをまとめて入れても余裕のあるメインストレージとしてお勧めのSSDです。
・「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」をレビュー
「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」のボリュームをWindows10上で作成したところ空きスペースは353GBでした。
Intel Optane SSD 905P M.2 380GBのベンチマーク比較
「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」の性能を測るためストレージに関する基本的なベンチマークソフトを使用して測定を行います。比較対象として同じくOptane SSDシリーズの「Intel Optane SSD 900P 480GB(レビュー)」、NVMe M.2 SSDの「Samsung SSD 970 PRO 1TB(レビュー)」と「Samsung SSD 970 EVO 1TB(レビュー)」と「WD Black 3D NVMe SSD 1TB(レビュー)」と「Intel SSD 760p 512GB(レビュー)」と「Intel SSD 660p 1TB(レビュー)」、およびSATA SSDの「SanDisk SSD Ultra 3D 2TB(レビュー)」でも同様の測定を行いました。まずはCrystalDiskMark6.0.0(QD32, 8GiB)のベンチマーク結果です。「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」やその他の比較対象ストレージでは次のようになっています。
「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」のシーケンシャル性能については仕様値を若干上回って読み出し速度2800MB/sから書き込み速度2500MB/s前後に達しています。下位モデルのOptane SSD 900Pを全体的に若干上回るパフォーマンスです。ランダム性能についてはOptane SSDがNAND SSDの比較対象を大きく離して、4KiB/Q1T1ではリード190MB/s、ライト180MB/sという抜群の性能を発揮しています
ATTO Disk Benchmark(512B-64MB, 256MB, QD4)のベンチマーク結果です。「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」やその他の比較対象ストレージでは次のようになっています。
ATTO Disk Benchmarkはブロックサイズ別のシーケンシャル性能を主にチェックするベンチマークなので4KB~1MBを抜粋してリード/ライト性能をグラフにして比較しました。
「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」はランダム性能の高さが魅力の1つな製品ですが、4K~32KまでのスコアをみるとOptane SSDとNAND SSDの間に大きな差は確認できませんでした。ATTO Disk Benchmarkとは相性があまり良くないのかもしれません。
AS SSD Benchmark(5GB)のベンチマーク結果です。「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」やその他の比較対象ストレージでは次のようになっています。
Adobe Photoshop、Office、PCゲームなど実際のアプリケーションによって各ストレージの動作速度を測定するベンチマーク PCMark8 ストレージテストのベンチマーク結果は次のようになっています。「Corsair Force MP510 960GB」やその他の比較対象ストレージについて総合スコアを一覧で比較しました。
Intel Optane SSD 905P M.2 380GBの連続書き込みについて
「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」に連続書き込みを行った場合の動作についてチェックします。TLC NANDやQLC NANDと呼ばれる3bit以上のマルチセルを構築しているNANDを採用するSSDでは書き込み速度の底上げのため、NANDメモリの一部を高速なSLCキャッシュ化する機能を採用しているので、キャッシュ容量を超える大容量の書き込みが発生した場合、書き込み速度が階段的にガクッと下がる仕様になっています。例えば600MB/sが理論的な上限速度となるSATA SSDの場合は、動画ファイルなど数十GB以上の単一ファイルの連続書き込みが発生すると、CrystalDiskMarkなどベンチマークソフトで表示される500MB/s程度の連続書き込み速度を維持できず100~200MB/sまで書き込み速度が低下します。
2.5インチSATA SSDの「Samsung 860 PRO 2TB(レビュー)」やNVMe M.2 SSDの「Samsung 970 PRO 1TB(レビュー)」はMLC型なのでHD Tune Proを使用して100GB以上の大容量な連続書き込みを行っても書き込み速度が下がることはなく、いずれも理想的な書き込み速度を維持しています。
一方でSATA SSDの「PNY CS1311 960GB」はSLCキャッシュによる書き込み速度の底上げを行っている典型的なTLC型SSDとなっており、書き込み開始直後は500MB/sの書き込み速度をマークしているものの、全容量960GBに対して1.5%程度の13~15GBを書き込んだ後は300~350MB/sまで書き込み速度が低下します。
なお「Samsung SSD 860 EVO(レビュー)」「WD Blue 3D NAND SATA SSD(レビュー)」「SanDisk SSD Ultra 3D(レビュー)」など、64層3D NANDを採用している18年最新のTLC型SATA SSDで、かつ容量が1TB以上の大容量モデルでは書き込み速度の低下は解消されています。(SATA3.0規格の速度上限が先にくるので)
TLC型の書き込み速度の低下はNVMe SSDでも発生することがあり「Samsung 970 EVO 1TB(レビュー)」は3bit-MLC NAND(TLC NAND)の一部を高速なSLC NANDとして用いて書き込み時にそこを優先的に使用する高速化技術「Intelligent TurboWrite」が使用されているので、SLCキャッシュ容量を超える書き込みが発生すると書き込み速度が低下します。
3D Xpointをメモリチップに採用する「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」はどのような挙動を見せるのか確認してみたところ、MLC型NANDをメモリチップに採用するSSDと同様に書き込み速度が低下することなく安定した連続書き込みが可能でした。
Intel Optane SSD 905P M.2 380GBの温度とサーマルスロットリングについて
NVMe M.2 SSDでは重要になる項目として「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」の温度とサーマルスロットリングについてチェックしていきます。アクセススピードが数GB/sに及ぶ高速NVMe接続に対応したM.2 SSDでは、そのコンパクトさゆえに放熱性能には表面積的な限界があり、連続したアクセスが発生するとメモリチップやメモリコントローラーが高温になって速度制限がかかるサーマルスロットリングが発生する可能性があることが知られているので、「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」について、連続した高速アクセス発生時の温度やサーマルスロットリング発生の有無をモニタリングソフトとサーモグラフィーを使用して検証します。
通常、M.2 SSDの温度検証ではヒートシンクがないPCIE-M.2アダプタ拡張ボードにSSDを装着して検証を行いますが、Intel Optane SSD 905P M.2 380GBのSSD温度の測定やサーマルスロットリング発生の有無の確認については、標準でEKWB製のヒートシンクが付属しており、Intel公式にも追加のサーマルソリューションの使用が推奨されているので、付属ヒートシンクを装着して測定を行いました。
測定時の検証負荷としては上で行ったベンチマーク測定同様にCrystalDiskMark6.0.0(QD32, 8GiB)を使用して間を置かず複数回ベンチマークをループさせ、その間のSSD温度や読み出し・書き込み速度のモニタリング値をHWinfoを使用してログを取得します。
Intel Optane SSD 905P M.2 380GBの検証結果を確認する前に、NVMe M.2 SSDとしてはおそらく18年現在でもいまだにNVMe M.2 SSDとしては最高クラスの性能を誇り、認知度が高く普及している「Samsung 960 PRO 1TB」を比較参考のサンプルとして上記の負荷テストを実行した結果を確認しておきます。
Samsung 960 PRO 1TBで負荷テストを実行した場合のSSD温度とアクセススピードの推移は下のようになっています。Samsung 960 PRO 1TBにはメモリチップとメモリコントローラーの2か所に温度センサーが実装されています。ベンチ2周目でメモコン温度は最大温度の98度、メモリ温度も最大温度に近い60度超をマークします。この状態で複数回ベンチマークを実行しても速度低下は発生せずサーマルスロットリングは発生しません。
サーモグラフィーによって負荷テスト終盤におけるSamsung 960 PRO 1TBのM.2 SSD上の温度を確認してみると、ソフトウェアモニタリング同様に右端に配置されたメモリコントローラーは91度、左半分に配置されたメモリチップは60~70度となっています。
さて本題のIntel Optane SSD 905P M.2 380GBの温度やサーマルスロットリングの有無についてチェックしていきます。
まずソフトウェアモニタリングによるIntel Optane SSD 905P M.2 380GBのSSD温度とアクセススピードの推移は下のようになっています。Intel Optane SSD 905P M.2 380GBに関して、書き込みアクセス時の温度上昇が大きいので、ソフトウェアモニタリングが可能な温度はメモリチップの温度を指しているようです。ソフトウェアモニタリング上の温度ではメモリチップは最大で71度を示していますが、ベンチマークを複数回繰り返してもサーマルスロットリングによる速度低下は全く確認できません。
負荷テスト終盤におけるIntel Optane SSD 905P M.2 380GBのサーモグラフィーは下のようになっています。「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」の温度測定に当たって今回はEKWB製ヒートシンクを装着しているので全体の温度が均一化しており70度前後で分布しています。最大温度でも70度程度なので、EKWB製ヒートシンク程度のものを冷却補助として装着すれば運用上は問題なさそうです。
逆に言うとヒートシンクを装着しても70度に達しているので、Intelの推奨通り追加のサーマルソリューションを使用した方がいいと思います。
Intel Optane SSD 905P M.2 380GBの実用性能比較
続いて「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」で大容量・多数データのコピーやPCゲームのロード時間など実際の使用について性能比較をしてみました。比較対象としてNVMe M.2 SSDの「Samsung SSD 970 PRO 1TB(レビュー)」と「Samsung SSD 970 EVO 1TB(レビュー)」と「WD Black 3D NVMe SSD 1TB(レビュー)」と「Intel SSD 760p 512GB(レビュー)」と「Intel SSD 660p 1TB(レビュー)」、およびSATA SSDの「SanDisk SSD Ultra 3D 2TB(レビュー)」と「PNY CS1311 960GB」でも同様の測定を行いました。まずはファイルのコピーに関する実性能比較となります。検証に使用するデータとしては次のような80GBで多数のファイルが入ったゲームのフォルダ(The Witcher 3とRise of the tomb Raiderなどのゲームフォルダ)と50GBの動画ファイルの2種類を使用しています。
データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。測定においては書き込み先/読み出し元の対象となるストレージが必要になるため、各ストレージのコピー相手にはM.2-PCIE変換アダプタ「Aquacomputer kryoM.2」に設置したSamsung SSD 970 PRO 1TBを使用しています。
・「Samsung SSD 970 PRO 1TB」をレビュー
なお下で掲載している検証結果の比較グラフにおいて*の添え字が付いているものは、コピー相手にSamsung 960 PRO 512GBを使用しています。SATA3.0 SSDが検証ストレージの場合は、コピー相手がSamsung 960 PRO 512GBとSamsung SSD 970 PRO 1TBのどちらであっても動画ファイルおよびゲームフォルダのコピー速度に大きな差はありません。
コピーテストにおいて検証ストレージがコピー相手の「Samsung SSD 970 PRO 1TB」と同じくNVMe SSDの場合は、ASRock Z270 SuperCarrierの1段目PCI-Eスロットにグラフィックボード、3段目PCI-Eスロットにコピー相手「Samsung SSD 970 PRO 1TB」、5段目PCI-Eスロットに検証ストレージを装着しています。
Z270プラットフォームではCPU-チップセット間のDMI 3.0の帯域がボトルネックになって複数のNVMe SSDへ同時にアクセスが発生するとトータルのアクセススピードが4GB/s程度に制限される場合がありますが、ASRock Z270 SuperCarrierではPLXスイッチチップを介するものの、各NVMeストレージはCPU直結PCI-Eレーンに接続されているので、この問題は発生しません。
「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」など各種検証ストレージとSamsung SSD 970 PRO 1TBとの間で50GBの動画ファイルおよび80GBのゲームフォルダをコピーした時間の比較結果は次のようになりました。
まずは50GBの動画ファイルのコピーについてですが、動画ファイルは単一の大容量ファイルなので実際のコピーではベンチマークのシーケンシャルリード・ライト性能が重要になってきます。
Intel Optane SSD 905P M.2 380GBは動画ファイルのコピー読み出しにおいては、18年最新のTLC型NVMe M.2 SSDである「Samsung SSD 970 EVO」「WD Black 3D NVMe SSD 1TB」「Intel SSD 760p 512GB」と同等の読み出し速度になっています。MLC型NVMe SSDの「Samsung SSD 970 PRO」には一歩及びません。
動画ファイルのコピー書き込みについてチェックしてみると、「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」のコピー書き込み時間は26秒ほどとなりました。「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」は大容量書き込みでも速度低下が発生しないので、高速な書き込み速度を安定して維持できています。
続いてゲームフォルダのコピーについてですが、ゲームフォルダは大小様々なファイルを含むので、実際のコピーではベンチマークの連続性能だけでなく、ランダム性能も重要になってきます。
Intel Optane SSD 905P M.2 380GBはゲームフォルダのコピー読み出しにおいて、若干ランダム性能が効いてくるワークロードではありますが、動画ファイルのコピー読み出しとほぼ同等の結果になりました。単一動画ファイルよりはランダム性が高いものの、ゲームフォルダにはそこそこ大きいファイルも少なくないせいか、ベンチ上のランダム性能に比例せず、Intel Optane SSD 905P M.2 380GBはSamsung SSD 970 PROにコピー速度では及びません。
Intel Optane SSD 905P M.2 380GBのゲームフォルダのコピー書き込み速度については、TLC型NVMe SSDよりは速いものの、やはりMLC型NVMe SSDのSamsung SSD 970 PROには及びません。
続いて実際にPCゲームのロード時間も比較してみました。
The Witcher 3ではグラフィック設定をフルHD解像度・最高設定としてノヴィグラドの広場からトゥサンのコルヴォ・ビアンコブドウ園までのファストトラベル時のロード時間を比較しています。
Rise of the Tomb RaiderではフルHD解像度においてグラフィック設定をDirectX12で個別に最高設定として製鋼所の空き地までのファストトラベル時のロード時間を比較しています。
Final Fantasy XV PC版では4K以上の超高解像度向けに無料配布されている「FFXV WINDOWS EDITION 4K Resolution Pack」を使用して4K解像度・最高グラフィック設定で、『スタートメニューのロード画面からハンマーヘッドまで(FF15_1)』についてロード時間を比較しています。
以上の条件で「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」など各ストレージについてゲームのロード時間比較を行った結果は次のようになりました。
ロード時間を測定して比較してみたところThe Witcher 3とRise of the Tomb Raiderではコンマ秒で差がある可能性はあるものの「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」含めて各SSDでは大きな差は確認できませんでした。
一方、Final Fantasy XV PC版において、「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」はSATA3.0 SSDだけでなく、NAND型NVMe(PCIE3.0x4) SSDとの間にも若干ではありますが、ロード時間に差が確認できました。今後PCゲームが高解像度・高画質化してテクスチャなどのゲームデータが大きくなっていけば、ランダム性能の高いOptane SSDがNAND SSDがよりもゲームのロード時間で明確に優位に立つかもしれません
なお動画マスタリングソフトDaVinci Resolveを使用した検証において、Intel Optane SSDがNAND型SSDよりも高いパフォーマンスが出せると、Intel公式イベント、およびとある国内レビュー記事で報告されています。
しかしながら、前者については3Dレンダリングの内容が不明であるものの比較対象がTLC型NVMe M.2 SSDのIntel SSD 760pであり、後者は4K動画をソースにしたDXP書き出しですが、こちらも比較対象がTLC型SATA SSDなので、いずれの結果もOptane SSDのランダム性の高さによって差が出たのではなく、、TLC型の書き込み速度低下(出力結果が数十GBに達するため)によってIntel Optane SSDに有利な結果になっているのではないかと思います。
特に後者の検証、4K動画をソースにしたDXP書き出しについては、CPUにCore i9 7980XEの全コア4.4GHz OC
を使用したストレージボトルネックが可能な限りで安い環境で、Intel Optane SSD 900P 480GBとSamsung SSD 970 PRO 1TBで比較してみましたが、有意な差は確認できませんでした。
Intel Optane SSD 905P M.2 380GBのレビューまとめ
最後に3D Xpoint型SSDをメモリチップを採用するNVMe M.2 SSD「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB(SSDPEL1D380GAX1)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 従来型NAND比で10分の1程度のレイテンシを実現する3D Xpoint型SSD
- 4Kランダム性能はストレージ用ベンチ比較でNAND型SSDの4倍となる190MB/s前後を達成
- MTBF160万時間、書き込み耐性7PBWという圧倒的な耐久性
- メーカー正規保証期間が5年間
- 容量380GBで6万円台後半とGB単価が非常に高い
- 実用性能評価の多くではMLC NAND型NVMe SSDと大きな差は確認できなかった
「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」を検証してみたところ、従来型NAND比で10分の1のレイテンシという触れ込み通り、各種ベンチマークでは従来型NAND製品を牽引するSamsung SSD 970 PROと比較して4倍程度の4Kランダム性能を発揮しました。
ただしこれらのベンチマーク性能とは残念ながら比例せず、実ソフトウェアの動作に関するベンチマークであるPCMark8のストレージテスト、実際のファイルコピー時間、およびゲームのロード時間の比較においてはSamsung SSD 970 PROと比較して「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」に大きなアドバンテージを確認することはできませんでした。ベンチマーク上ではランダム性能にはっきりと差が出ているので実用テストでもある程度差が出ると思っていたので意外な結果です。
Intel公式によると3Dアニメーション&映像エフェクト制作ツール「Houdini」で海の大渦巻をレンダリングする例においてはSamsung SSD 960 PROでは17.4時間かかるレンダリングが、Intel Optane SSD 900Pでは6.3時間で終わるともプロモーションされているので、こういったプロフェッショナルユースでは差が出るのかもしれません。
となると従来型NANDに対する3D Xpoint型SSDの残るアドバンテージは、ユーザーによる検証が難しいものの公称スペックとして公開されているMTBF160万時間、7PB Writtenという圧倒的な耐久性になると思います。NAND SSDでは高耐久なMLC型のSamsung SSD 970 PRO 512GBですら耐久性が600TB Writtenなので文字通り”桁違い”の耐久性が「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」の魅力であることは間違いありません。
「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」については各種ベンチマークや実用テストにおいて従来のNAND型SSDの最速製品といっても過言ではないSamsung SSD 970 PROと比較しても後塵を拝することはないので導入においてデメリットはないものの、NAND型SATA SSDはもとより競合するNAND型NVMe SSDと比較してもGB単価が高く、コストに見合った性能向上をはっきりと体感できるのかというと難しいところです。OCメモリ同様に予算に余裕があるなら最後のダメ押し的に選択する系の製品かなと思います。
以上、「Intel Optane SSD 905P M.2 380GB」のレビューでした。
Intel Optane SSD 905P PCI-E HHHL拡張ボード型 960GB
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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場合によってはNVMeドライバとかCPUの省電力設定とかの方がボトルネックになってるかも。