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PC向け二大VR HMDのOculusからリリースされた、外部センサー不要で6DoFに対応するインサイドアウト式ポジショントラッキングを採用し、片目1440×1660ドットの高解像度ディスプレイを搭載したPC不要なスタンドアローン型VR HMD「Oculus Quest (オキュラス クエスト)」をレビューしていきます。レビュー後半では同時発売されたPC向けVR HMDのOculus Rift Sと画質(ディスプレイパネルの性能)を比較し、精細感の向上やスクリーンドア(SDE)の減少も詳しくチェックします。
製品公式ページ:https://www.oculus.com/quest/
ドライバ・ソフトウェア:https://www.oculus.com/setup/#quest-setup
Oculus公式通販の注文は海外(香港)から出荷されるので、即納在庫があれば国内倉庫から出荷されるAmazonで購入するのがオススメです。在庫状況に合わせて購入場所も検討してください。
Oculus Quest レビュー目次
1.Oculus Questについて
2.Oculus Questの梱包・付属品
3.Oculus QuestのVR HMD本体
4.Oculus Questのフェイスクッションとヘッドストラップ
5.Oculus Questのオーディオ機能
6.Oculus Questの専用コントローラー
7.Oculus Questのトラッキングとセットアップ
8.Oculus QuestをOculus Rift Sと画質比較
9.Oculus Questのレビューまとめ
Oculus Questについて
「Oculus Quest」の実機をチェックする前に、「Oculus Quest」の基本情報について簡単に紹介しておきます。「Oculus Quest」のディスプレイには解像度が片目1440×1660ドット、リフレッシュレートが72HzのOLED(有機EL)パネルが採用されています。Oculus Rift無印版の片目1080×1200ドットはもちろん、Oculus GoやOculus Rift Sの片目1280×1440ドットよりもさらに高精細なディスプレイパネルなので、レンズの構造にもよりますが、精細感の向上とスクリーンドアの抑制が期待できます。
スタンドアローン型VR HMDの前モデルとなるOculus Goは回転方向にのみ対応する3DoFのトラッキングでしたが、「Oculus Quest」は回転方向と位置方向の両方に対応する6DoFのポジショントラッキングであり、かつ、外部センサーが不要となったインサイドアウト方式が採用されています。
なお「Oculus Quest」のセットアップにはiOSかAndroid用のOculusアプリを使用するので、初期設定にはスマートフォンが必要になります。
SoC(CPU&GPU)にはSnapdragon 835を採用し、内蔵ストレージは64GBと128GBの2モデルがラインナップされています。VR HMDの本体重量はヘッドストラップ込みで571gです。Oculus Rift無印版と同じヘッドストラップで重量は100gほど増えているので装着感は気になるところ。
リチウムイオン電池のバッテリーを内蔵し、バッテリー持続時間は公称2~3時間(ゲームプレイで約2時間、メディア視聴で3時間)、USB Type-Cから給電で約2時間でフル充電が可能とのこと。
「Oculus Quest」の公式アクセサリとして、キャリングケースと専用イヤホンがAmazon等で販売されています。また交換用部品として、フェイスクッション(インターフェースプレート一体)、USB Type-C用ACアダプタ(5Vx3A=15W)、専用コントローラー(左右個別)がそれぞれOculus公式通販で販売されています。フェイスクッションが地味に高いです。
「Oculus Quest」の基本スペックの簡易比較は次のようになっています。
Oculus Questの基本スペック比較 | ||||
Oculus Rift S | Oculus Quest |
Oculus Rift CV1 |
VIVE PRO | |
解像度(片目) | 1280×1440 | 1440×1660 | 1080×1200 | 1440×1600 |
PPI | - |
- |
448 |
615 |
リフレッシュレート | 80Hz | 72Hz |
90Hz | |
パネルタイプ | 液晶 (フルRGB) |
OLED (ペンタイル) |
||
視野角 | 110度 | -度 |
110度 | |
トラッキング | 外部センサーが不要 | 外部センサーが必要 | ||
コントローラー | 専用コントローラー2個1セットが標準で付属 | |||
オーディオ | スピーカー | スピーカー | 付属ヘッドホン | 付属ヘッドホン |
イヤホン | 3.5mmジャック | 専用品別売り | 専用品別売り | 非対応 |
ビデオ接続 |
DisplayPort |
スタンドアローン バッテリー持続 2~3時間 充電2時間 |
HDMI |
DisplayPort |
当サイト 推奨GPU |
RTX 2070 RX Vega 56/64 |
GTX 1660 / Ti RX 580/480 |
RTX 2070 RX Vega 56/64 |
Oculus Questの梱包・付属品
さて「Oculus Quest」を開封していきます。「Oculus Quest」には内蔵ストレージ容量別で64GBモデルと128GBモデルがありますが、管理人は今回128GBモデルを購入しました。
「Oculus Quest」のパッケージは横長で、サイズは「Oculus Rift S」の半分程度です。
「Oculus Quest」のパッケージは製品がカラープリントされた外装スリーブの中に、Oculusアイコンロゴだけが中央に描かれた黒色の化粧箱が入っていて、上蓋を外すとVR HMD本体を含めた内容品が現れます。
「Oculus Quest」のパッケージの内容品は非常にシンプルです。内容品に合わせて型どられたスペーサーにVR HMD本体、コントローラー2個セット、付属品の収められた黒色パッケージの4種類だけ入っています。内容品の量はOculus Rift Sとほぼ同じですが、「Oculus Quest」はパッケージの中にぎっしりと敷き詰められていました。
上の写真左側に見える黒色の小分けパッケージの中には各種付属品が収められています。
付属品は、安全確認&保証マニュアル、セットアップガイド、USB Type-Cケーブル、USB Type-C用ACアダプタ、コントローラー用単3電池2個、メガネスペーサーです。
付属ACアダプタの出力は5V×3A=15Wでした。また付属のUSBケーブルは2メートルほどあるので大きく動かなければ充電しながらでも使用できそうです。
Oculus QuestのVR HMD本体
「Oculus Quest」のVR HMDの本体についてチェックしていきます。VR HMD本体の側面にファブリックのような素材が採用されていて独特な質感があった「Oculus Rift CV1」から打って変わって、「Oculus Rift S」のVR HMD本体は黒色プラスチック一色となりデザイン面で無個性になった感がありましたが、「Oculus Quest」はCV1と同じくファブリックな外装が採用されて、いっそうスマートな外観になっています。
「Oculus Quest」の正面四隅の4か所にはインサイドアウトトラッキングのセンサーとなるカメラが設置されています。広角魚眼レンズによって4基のカメラだけで360度全体をカバーできます。
「Oculus Quest」の右前方にはパワースイッチとパワー・充電LEDインジケーター、左前方には充電用USB Type-C端子が実装されています。
「Oculus Quest」の底面には右側に音量調整ボタン、左側にIPD調整スライダーが設置されています。
VR HMDの重量について本体のみ(ヘッドストラップは含む、ケーブル除く)を測定すると、Oculus Questが約581g、Oculus Rift Sが約560g、Oculus Rift CV1(イヤホンver)が約455gでした。ヘッドストラップの構造はOculus Rift CV1とほぼ共通なので、単純に前方の重量が増えたことによる装着感への影響が気になります。
Oculus Questのフェイスクッションとヘッドストラップ
「Oculus Quest」のフェイスクッションとヘッドストラップについてチェックしていきます。「Oculus Quest」のフェイスクッションとレンズ部分を正面から見ると下の写真のようになっています。フェイスクッション内部の形状やサイズ感はOculus Rift CV1やOculus Rift Sとほぼ同じです。
Oculus Rift SはOculus Rift CV1の後継モデルという位置づけながら左右の瞳の距離にあたるIPD(Interpupillary distance)の調整をハードウェア的に行う機能がなく賛否が分かれていますが、「Oculus Quest」はVR HMD本体の底面左に設置された調整スライダーによってハードウェア的にIPDを調節できます。
「Oculus Quest」はインターフェースプレート(Facial Interface)に直接フェイスクッションが貼り付けられているので、クッションだけを取り外して交換することはできません。
Oculus Rift Sではスポンジの表面に薄布を張っただけのクッションだったので、フェイスクッションの交換にはOculus公式通販で交換用パーツを購入する必要があり、価格は1つ3700円と地味に割高なところは不満でしたが、「Oculus Quest」のものはフカフカで低反発なスポンジをファブリックで覆った結構しっかりとしたフェイスクッションになっており、交換品3700円でもしかたないのかな、と感じさせる出来でした。
「Oculus Quest」のヘッドストラップは付属ヘッドホンがスピーカー内蔵に変わったことを除けば、ほぼOculus Rift CV1と同じ構造のマジックテープ3本止めです。
ヘッドストラップの後方は後頭部の出っ張りを包み込むようなリング形状になっています。
また横側のヘッドバンドについてはマジックテープによる調整のみでなく、ヘッドバンドの固定部分の中にゴム紐が入っていて伸縮するようになっており、適度な締め付け具合になっています。
VR HMDの装着感としてはHTC VIVE ProやOculus Rift Sに採用されているプラスチックフレームのダイヤル式が定評があり、個人的にもこのタイプのほうが装着感は快適なので、「Oculus Quest」でもせめて交換用アクセサリでダイヤル式ヘッドストラップを用意して欲しかったです。
「Oculus Quest」のヘッドストラップの装着感についてですが、フェイスクッションに改良点はあるのですが基本構造がOculus Rift CV1のものと同じなので、Oculus Rift CV1やHTC VIVE無印版などマジックテープ式ヘッドバンド3本構造のものと装着感はほぼ同等(基本はVR HMDが軽い順に快適)という評価になると思います。フェイスクッションの改良と重量の増加で相殺してOculus Rift CV1と同程度というのか管理人の感想です。
まず最初に良いところを上げておくと、フェイスクッションの材質や形状が装着感の向上に一役買っていました。フカフカで低反発なクッションが、吸盤が顔に張り付くようなイメージで、目の周囲の輪郭面に合わせてクッション面で接してくるので顔全体に密着して、従来機種にあったフェイスクッションと接するごく一部だけに圧力が集中する感じ(彫りの深い顔立ちに最適化されているので平たい日本人はおそらく感じやすい)が大分緩和されています。面でしっかりと張り付く感じなので顔を動かしたときのズレやすさも軽減されています。顔の曲線を想定したプラスチック製の土台に全体の厚みが同じスポンジを貼り付けただけという既存の構造と比較して、地味なところではあるものの有意義な開発だと思いました。
このように従来型の簡素なヘッドストラップのままで個人差から生まれる装着感の違いをある程度改善できたことは十分に評価できるのですが、結局のところHTC VIVE ProやOculus Rift Sに採用されているプラスチックフレームのダイヤル式以上の装着感にはなりませんでした。ダイヤル式のほうが安定感があり、安定感と締め付けの強さ(窮屈さ)というトレードオフになる要素のバランスも良いので、標準搭載はともかくとして、交換用オプションパーツとして用意して欲しかったというのが正直な感想です。
Oculus Questのオーディオ機能
「Oculus Quest」のオーディオ機能についてチェックしていきます。「Oculus Quest」には標準オーディオとしてVR HMD本体にステレオスピーカーが設置されています。音の出方のイメージとしてはレンズと内枠の間から音が出て耳に入ってくる感じでした。
音量はVR HMD底面の+/-の横長なボタンによってワンタッチでハードウェア的に調節が可能です。
「Oculus Quest」にはヘッドストラップ内蔵ステレオスピーカーに加えて、VR HMD本体のヘッドストラップの付け根の下に3.5mmジャックも設置されているので、音漏れしたくないコンテンツ(VRカノジョとか)では公式通販で販売されている「Oculus Quest インイヤーヘッドホン」が使用できます。
・「Oculus Quest インイヤーヘッドホン」をレビュー。音漏れの心配無用に!
Oculus Questの専用コントローラー
「Oculus Quest」の専用コントローラーについてチェックしていきます。Oculus Rift CV1において専用コントローラーOculus Touchは開発が間に合わず追加アクセサリとして発売され、さらに後にバンドル基本セットになったという経緯がありますが、「Oculus Quest」にはちゃんと標準で専用コントローラーが付属しています。
「Oculus Quest」の専用コントローラーの”Oculus Touch”と公式ページで書かれていますがそのままだと混同してしまうので、この記事ではOculus Touch(2019)と表記することにします。ちなみに「Oculus Quest」と「Oculus Rift S」はいずれも同じOculus Touch(2019)が専用コントローラーです。
Oculus Touch(2019)は手で握る棒の先端に、棒と直交する向きのリング(センサー部分)が付いたデザインで、どことなく小さくなったVIVEコントローラー感があります。投げ飛ばし防止のストラップも標準で装着されていました。
Oculus Touch(2019)とOculus Touchを比較すると、Oculus Touchはこぶしを覆うようにセンサーリングがありますが、Oculus Touch(2019)はこぶしの先端上向きにセンサーリングがあります。おそらくVR HMD本体のカメラによってコントローラーのポジショントラッキングを行うので、追跡性を良くするためにこのレイアウト変わったのだと思います。
コントローラーの重量を比較するとOculus Touch(2019)は104g、Oculus Touchは136gで、30%近く軽量化されていました。
Oculus Touchを実際に握ってみるとサイズが小さめで、リングがこぶしを覆うという形状もあって手の大きい人にはちょっと窮屈かもしれなかったので、そこもOculus Touch(2019)でリングの位置を変えた理由かもしれません。
Oculus Touchではボタンやスティックなどが配置されているトップ部分は光沢のある磨き上げ加工がされていましたが、指紋が気になったので、Oculus Touch(2019)で艶消しになったのは細かい改良点です。
Oculus Touch(2019)には左右の別があり、基本的なボタンとしてXBOX ONEコントローラーに準拠したABXYボタンが左右にそれぞれ分けて配置されています。ABXYと左右スティックには指が触れているか検知するセンサーが内蔵されています。さらに右手用コントローラーにはOculusボタン、左手用コントローラーにはメニューボタンが設置されています。
Oculus Touch(2019)にも人差し指と中指で操作するトリガーが左右のコントローラーにそれぞれ設置されています。人差し指トリガーには指が触れているか検知するセンサーが内蔵されています。
個人的にはトリガーも艶消しにして欲しかったとも思いました。あとOculus Touchは全体が滑らかなプラスチックでしたが、写真を拡大してもらうとわかりますが、Oculus Touch(2019)では指で握る部分の表面に凹凸加工が施されています。Oculus Touch(2019)はグリップ力がアップしており、緩く握っても滑りにくくなっています。
Oculus Touch(2019)はOculus Touch同様に単3電池で駆動します。
電池ケースの蓋の固定も引き続きマグネット式なので、不意に外れることはなく、電池交換の際は簡単に開けるというちょうどいい塩梅です。開けにくいと感じたひとは、下写真で赤線を引いた隙間に爪を差し込んで矢印の方向に動かすと簡単に蓋を外せます。
ちなみに電池蓋を開けるとストラップの着脱が可能です。ただしストラップはラバー製の根本のコブをコントローラーにはめ込む独自構造なので、スマホのストラップのように紐のものを付けることはできません。
Oculus Questのトラッキングとセットアップ
「Oculus Quest」のトラッキングやセットアップについて簡単に紹介していきます。「Oculus Quest」には事実上、一般向けに発売された初の6DoFに対応したインサイドアウト型ポジショントラッキング採用のスタンドアローン型VR HMDとなっています。
これまでVR HMDの主流は外部センサーによってVR HMDやコントローラーのポジショントラッキングを行うアウトサイドイン形式で、Oculus Rift CV1も同形式が採用されていましたが、後発となるWindows Mixed Realityでいち早く外部センサー不要のインサイドアウト形式が取り入れられ、CV1の後継となるOculus Rift Sも追随する形で採用されました。
一方でOculusがリリースしたスタンドアローン型VR HMD第1弾であるOculus Goもそのインサイドアウト型だったのですが、こちらは頭の向きだけに対応した3DoFの限定的なトラッキングでした。6DoFに対応したスタンドアローン型VR HMDとしてはHTCからリリースされているVIVE Focusがあるのですが、こちらは商用製品や開発機としての意味合いが強く、一般ユーザー向けにはアプリなどが充実していないという問題がありました。
「Oculus Quest」の正面四隅の4か所にはインサイドアウトトラッキングのセンサーとなるカメラが設置されています。広角魚眼レンズによって4基のカメラだけで360度全体をカバーできます。
専用コントローラーOculus Touch(2019)のトラッキングについては上述のカメラで位置認識を行うものと思っていたのですが、極端な例として「Oculus Quest」のヘッドストラップのダイヤル付近、明らかにカメラからは見えそうにない場所でコントローラーを動かしてもトラッキングされました。コントローラーには加速度センサー等が内蔵されていて、それらもトラッキングの補助になっているのではないかと思います。
極端な例として上述のように後頭部付近でもトラッキングできたので、Oculus Touch(2019)のトラッキング範囲はほぼ死角はないと考えてよさそうなのですが、唯一、トラッキング精度に難を感じたのはOculusホームの部屋に置かれた弓矢を触った時でした。弓から矢を引く時、矢を引く方の手は頬の近くに向けて引くと思いますが、コントローラーがVR HMDの側面に接するくらい近づくとコントローラーの動きが止まりました。
アウトサイドイン形式でトラッキングされるHTC VIVEコントローラーやOculus Touchでは弓を引く動作でコントローラーが顔(VR HMD)に近づいても問題なくトラッキングされていたので、「Oculus Quest」におけるコントローラーのトラッキングの死角はVR HMD付近に僅かながら存在するようです。
「Oculus Quest」の初期セットアップ手順について紹介していきます。
「Oculus Quest」のセットアップにはiOSかAndroid用のOculusアプリを使用するので、初期設定にはスマートフォンが必要になります。
管理人のスマートフォンはAndroidなので同環境を例にしてセットアップ手順を紹介します。スマートフォンからセットアップするために最初にGoogle Playストアで「Oculus」を検索してOculusアプリをインストールします。容量は28MB程度なのでモバイル回線でも問題ありません。
Oculusアプリのインストールが完了して起動すると、使用するVR HMDの選択画面が表示されるので「Oculus Quest」を選ぶと初期セットアップが始まります。
スマートフォンのOculusアプリに表示されるガイドの通り進めてヘッドセットの電源をONにすると、「Oculus Quest」とスマートフォンのペアリング作業になるのですが、スマートフォンに『ヘッドセットの右下角に記載された5桁のコードを見つけて、ここに入力してください。』というなんともあいまいなガイドが表示されます。
「Oculus Quest」とスマートフォンをペアリングする5桁コードはVRディスプレイに表示されます。
”記載”とあるので本体のどこかにプリントされているのかと思いきや、VR HMDのディスプレイ表示右下に表示された5桁のコードのことでした。管理人はここで意味が分からず10分ほど右往左往しました。
コードを入力して「Oculus Quest」とスマートフォンのペアリングが完了したら、「Oculus Quest」をWiFiに接続して、コントローラーとヘッドセットをペアリングして(コントローラーに電池を入れるだけ)、最後に1分ほどの安全利用案内ムービーを見たらセットアップ完了です。
セットアップが完了すると「Oculus Quest」におけるOculus Touch(2019)の使い方ガイダンスアプリが起動します。Oculus Rift Sと同じ素材のアプリですが、内容が長くなっていました。
「Oculus Quest」の専用コントローラーOculus Touch(2019)はOculus Rift Sのものと全く同じなので、手を開く、人差し指を伸ばすといった操作も可能です。Oculus Rift CV1やOculus Rift Sを触ったことのある人は、スタンドアローン型になったOculus Riftと考えてOKな操作感になっています。
「Oculus Quest」はメインメニューの「シェア - キャスト」を選択すると、ペアリングしたスマートフォンにVR HMD内の映像をミラーリングすることができます。ただし解像度や画質は高くないので期待は禁物な機能でもあります。
「写真を撮る」を選択するとカウントダウン後にシャッターが切られてVR HMD表示のスクショが撮れるのですが、標準では撮影したスクショをペアリングしたスマホと同期する機能がないのが少々不便でした。
Oculus QuestをOculus Rift Sと画質比較
「Oculus Quest」に関する基本的なチェックは済んだので、同日に発売されたPC向けVR HMDであるOculus Rift Sと画質(ディスプレイパネルの性能)を比較していきます。サムネイルよりもオリジナル写真のほうがわかりやすいですが、写真の画像サイズが大きい(1~3MBのものもある)ので、画像をクリックして確認する時は注意してください。まずはオブジェクト表示の色の鮮やかさや精細感についてです。左右をカットしていますが、下の画像が概ねVR HMDの視界内いっぱいに広がります。
自発光画素の有機ELパネルを搭載している「Oculus Quest」のほうが、液晶パネルのOculus Rift Sよりも鮮やかであり、かつ細かい色調まで再現されているのが一目でわかると思います。「Oculus Quest」は机の細かい模様や反射の様子も細かく再現されており、有機ELパネルの鮮やかさと1440×1660の高解像度を遺憾なく発揮しています。色の鮮やかさや黒の暗さについてはこれまでのVR HMDの画質比較ではあまり気にしていなかったのですが(喫緊の問題は文字認識だったため)、「Oculus Quest」とOculus Rift Sの比較で有機ELの偉大さを再認識しました。
液晶パネルはバックライトという構造上、どうしても黒の表現が苦手で全体的に白っぽく(明るく)なってしまうという欠点があります。また発色にも有機ELと比較されると難があり、4つのキューブのうち、特に水色のキューブはOculus Rift Sではほぼ白色になってしまっています。
なおスクリーンドア(SDE)については解像度の高さもあっていずれも従来機より感じにくくなっていますが、一般的な網目感は解像度依存、細い線や文字はペンタイル構造の「Oculus Quest」に不利といった具合です。
次に若干遠い位置、といっても最初のガイダンスアプリの指示テキストを所定の位置で見た時ですが、テキスト表示の比較です。サンプルとしては下画像が片目のディスプレイいっぱいに表示されています。
「Oculus Quest」のディスプレイについては、パネルタイプが有機ELであることと解像度が片目1440×1660であることの2つ以外は詳細が不明でしたが、既存の有機ELパネル採用VR HMDと同様にサブピクセル構造はフルRGBではなくペンタイル構造でした。
垂直解像度自体は「Oculus Quest」のほうがOculus Rift Sよりも高いのですが、サブピクセル構造の影響で文字の境界線が斜め格子状にボヤけてしまうので、Oculus Rift Sのほうが文字はクッキリと表示されます。文字認識のしやすさについて比較すればOculus Rift Sのほうが上ですが、とはいえOculus Questは境界線が滲む程度で、Oculus Rift CV1など第1世代VR HMDで遭遇することのあった基本操作において文字が認識しにくいといったケースはほぼないので、多少文字認識で劣っていても大きなデメリットではないとおもいます。
Oculus Rift Sを介した相対的な比較になるのですが(左側は「Oculus Quest」のレビュー、右側はOculus Rift Sのレビューの素材)、サブピクセルがペンタイル構造の有機ELで垂直解像度が1600ピクセル程度である「Oculus Quest」と「HTC VIVE Pro」の文字認識性について比較してみると、「Oculus Quest」よりも「HTC VIVE Pro」のほうが綺麗に(クッキリとして)見えます。
垂直解像度それ自体は僅かながら「Oculus Quest」の方が勝りますが、実際管理人の体感でも「HTC VIVE Pro」のほうが綺麗に見えました。内部レンダリング解像度やレンズなどその他の項目が画質に影響して、そうなっているのではないかと思います。
Oculus Questのレビューまとめ
最後に「Oculus Quest」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 一般向けとしては世界初の6DoF対応スタンドアローン型VR HMD
- PC不要なのでケーブルレスで遊べる
- 片目1440×1660の液晶ディスプレイ採用で高精細
- 有機ELパネル採用なので発色が良好
- 外部センサー不要なインサイドアウト式ポジショントラッキング
- スタンドアローン型VR HMDながら専用コントローラー込み5万円(64GB版)と非常に安価
- ヘッドストラップはCV1と同じながら、新設計のフェイスクッションで装着感は改善されている
- 初期セットアップでスマートフォンが必須
- ヘッドストラップの装着感はHTC VIVE ProやOculus Rift Sなどダイヤル型に劣る
- 専用イヤホンが6200円と割高(正直付属品でもいいと思う)
Oculus Rift CV1とHTC VIVEが発売されVR元年と呼ばれた2017年からはや2年が経ちましたが、6DoFポジショントラッキングに対応するPC不要なスタンドアローン型VR HMD「Oculus Quest (オキュラス クエスト)」の登場は感慨深いと同時に、実際にプレイしてみて衝撃的でもありました。
PC向けVRが推奨される性能基準はPS4 ProやXbox One Xと同等かそれ以上のGTX 1060やRX 480などミドルクラスGPUなので、スマホ向けSoCがナンボノモンジャイ!と高をくくっていた自分もどこかにいたのですが、手のひらクルっとPC向けVRと同じレベルで普通にというかしっかり遊べました。
専用コントローラーやトラッキング技術は既存の技術を流用 or Rift Sと共有できるとはいえ、Rift Sよりも高解像度なOLEDディスプレイパネル、ファブリック素材のスマートな外装、ハードウェア的なIPD調整対応、新設計のフェイスクッションなど「Oculus Quest」は非常に豪華な仕上がりになっています。容量+64GBで100ドル回収している128GB版はともかくとして、399ドルのOculus Quest 64GB版は製品普及やスタンドアローン型プラットフォームの開拓のために採算を度外視したのでは?、同時発売のRift Sのほうで赤字分を補填するような価格設定なのではないかと疑うレベルです。
開拓されたばかりなので「Oculus Quest」に対応したアプリがまだ少なく、プラットフォームとしては貧弱ですが、ハードウェア自体の完成度は非常に高く、各所で高評価を得ており売れ行きも好調なようなので、そう遠くないうちにアプリが充実するのは間違いないと思います。
5万円ポッキリでフルに遊べるスタンドアローン型VR HMD「Oculus Quest」は、VR HMDに興味はあるけど10万円を超える高性能なVR対応PCも一緒に購入してまでVR入門するのはちょっとハードルが高いと感じている人をVR沼に誘う名機、オススメです!?
以上、「Oculus Quest」のレビューでした。
Oculus公式通販の注文は海外(香港)から出荷されるので、即納在庫があれば国内倉庫から出荷されるAmazonで購入するのがオススメです。在庫状況に合わせて購入場所も検討してください。
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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