AMD Radeon RX 5700 Series



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AMDの次世代GPU”Navi”を採用する「Radeon RX 5700」シリーズの「RX 5700 XT」と「RX 5700」について、そのスペックや公式ベンチマークから推し量れるGPU性能そして希望小売価格から、同社の前世代やNVIDIAの競合GPUと比較して「Radeon RX 5700」シリーズが買いなのか解説していきます。


【7月6日追記】
発売直前に「Radeon RX 5700 XT」が399ドルから、「Radeon RX 5700」が349ドルからと、希望小売価格が改訂されました。「Radeon RX 5700 XT」の競合モデルRTX 2070 Superが499ドルから、「Radeon RX 5700」の競合モデルRTX 2060 Superが399ドルから、なので価格面でRadeon RX 5700シリーズにアドバンテージが生まれました。
Radeon RX 5700 XT_New-Price



目次


1.Radeon RX 5700シリーズのラインナップとスペック
2.Radeon RX 5700シリーズのリファレンスモデル
3.Radeon RX 5700シリーズのグラフィック性能

  ・Radeon RX 5700 XTのグラフィック性能
  ・Radeon RX 5700のグラフィック性能
  ・レイトレーシング対応は次世代に持ち越し

4.Radeon RX 5700シリーズの消費電力に注意
5.Radeon RX 5700シリーズは強気な価格設定



Radeon RX 5700シリーズのラインナップとスペック

AMDから次世代GPU”Navi”「Radeon RX 5700」シリーズについて、上位モデル「AMD Radeon RX 5700 XT」と下位モデル「AMD Radeon RX 5700」、および50周年記念でファクトリーOCが施された限定モデル「AMD Radeon RX 5700 XT 50th Anniversary Edition」が正式発表されました。

上位モデル「Radeon RX 5700 XT」のスペックは、40 Compute Unitsでシェーダー数がRX 590から1割増えて2560、コアクロックもベース1605MHz、ゲーミング1705MHz、最大1950MHzへと上昇しており、VRAMには速度14Gbpsで容量8GBのGDDR6メモリが採用され、消費電力の指標となるTBP(Typical Board Power)は225Wです。PCIE補助電源としてリファレンスモデルでは8PIN+6PINが要求されます。
screenshot.1560205536
下位モデル「Radeon RX 5700」のスペックは、36 Compute Unitsでシェーダー数はRX 590と同じく2306ですが、コアクロックはベース1465MHz、ゲーミング1625MHz、最大1725MHzへと上昇しており、VRAMには上位モデルRX 5700 XTと同じく速度14Gbpsで容量8GBのGDDR6メモリが採用され、消費電力の指標となるTBP(Typical Board Power)は180Wです。PCIE補助電源としてリファレンスモデルでは8PIN+6PINが要求されます。
screenshot.1560205709
あと「Radeon RX 5700 XT」の標準モデルと性能差も大したことはなく、価格は50ドル増なので完全にAMDファングッズですが、ファクトリーOC強めな50周年記念モデル「AMD Radeon RX 5700 XT 50th Anniversary Edition」も発売されます。たぶん数量限定。
screenshot.1560208469

なおRadeon RX 5700シリーズのスペックに出てくる「Game Clock」についてですが、PCゲーミング中の負荷に対して実際に動作する平均的なGPUコアクロックの指標値とのことです。
AMD Radeon RX 5700 Series_Game Clock


AMD Radeon RX 5700シリーズ スペック一覧

RX 5700 XT
(50TH AE)
RX 5700 RX 590
GPUコア Navi Navi Polaris 30
製造プロセス 7nm FinFET 7nm FinFET 12nm FinFET
シェーダー数 2560 2304
2304
ベースクロック 1605 MHz
(1680 MHz)
1465 MHz 1469 MHz
ゲームクロック 1755 MHz
(1830 MHz)
1625 MHz -
ブーストクロック 1905 MHz
(1980 MHz)
1725 MHz 1545 MHz
単精度性能 9.75 TFLOPs
(
10.14 TFLOPs)
7.95 TFLOPs 7.10 TFLOPs
VRAM 8 GB GDDR6 8 GB GDDR6 8GB GDDR5
バス幅 256-bit 256-bit 256-bit
メモリクロック 14.0 GHz 14.0 GHz 8.0 GHz
メモリ帯域 448 GB/s 448 GB/s 256 GB/s
補助電源 8PIN+6PIN 8PIN+6PIN 8PIN*1~
TBP 225 W 180 W 225W
発売日 2019年7月7日 2019年7月7日 2017年6月
希望小売価格 449ドル~
(499ドル)
379ドル~
279ドル~


Radeon RX 5700シリーズのリファレンスモデル

Radeon RX 5700シリーズの販売が解禁される7月7日にまず市場に並ぶリファレンスモデルについて紹介します。AIBパートナーが販売するリファレンスモデルは各社が箱詰めしただけなので、グラフィックボード本体の仕様は共通で、メーカー毎の違いは梱包や付属品だけです。Sapphire、ASUS、MSI、ASRock、GIGABYTEなど主要なAIBパートナーからリリースされるオリファンモデルについてはリファレンスモデル発売後、しばらく経ってから登場するのが通例です。

Radeon RX 5700 XT

Radeon RX 5700 XTのリファレンスモデルは、Radeon RX 480やRadeon RX Vegaシリーズ同様にブロアーファンの外排気型GPUクーラーになっています。カラーリングはRadeon RX 480やRadeon RX Vegaシリーズに似ていますが、上端中央に凹みのある流線デザインが特徴的です。(個人的にはなんでこのデザインになったのか、モチーフとか気になります)
Radeon RX 5700 XT (1)
バックプレートも標準で搭載しています。ビデオ出力は3基のDisplayPort1.4と1基のHDMI2.0の4系統です。
Radeon RX 5700 XT (4)
Radeon RX 5700 XTは消費電力の指標となるTBPが225Wなので、余裕をもってPCIE補助電源には8PIN+6PINが実装されています。
Radeon RX 5700 XT (2)
Radeon RX 5700 XTのGPUクーラーの仕様について細かく見ていくと、外装とバックプレートはいずれもアルミニウム製です。GPUクーラーヒートシンクの底面にはベイパーチャンバーが採用されており、GPUコアとヒートシンク間のTIMはシリコングリスではなく、Radeon VIIでも採用されて話題になった、高熱伝導効率のグラファイトシートが採用されているようです。7フェーズのVRM電源が実装されています。
AMD Radeon RX 5700 Series_Design


Radeon RX 5700

Radeon RX 5700 XTのリファレンスモデルは、Radeon RX Vega 64 Limited Editionの外観と、Radeon VIIのサンドブラストな質感の外装が組み合わさったデザインが採用されています。一見してこちらのほうが”XT”ぽく感じます。
Radeon RX 5700 (1)
Radeon RX 5700は消費電力の指標となるTBPが180Wなので、PCIE補助電源は8PIN*1でも良さそうですが、余裕を見ているのか、Radeon RX 5700 XTと共通基板を使いまわしているからなのか、PCIE補助電源には8PIN+6PINが実装されています。Radeon RX 5700 (4)


Radeon RX 5700 XT 50th Anniversary Edition

50周年記念モデル「Radeon RX 5700 XT 50th Anniversary Edition」はRX 5700 XTリファレンスモデルをベースに、アクセントカラーがレッドからゴールドへと変わって装いが豪華になっています。GPUクーラーの性能やビデオ出力等については通常版と同じです。Radeon RX 5700 XT 50th Anniversary Edition


Radeon RX 5700シリーズのグラフィック性能

Radeon RX 5700シリーズには新しいゲーミングアーキテクチャ「RDNA」が採用されており、シェーダー数やコアクロックから概算できる性能と比較して前世代よりも大きく性能が伸びています。具体的にはAMDのプレスによるとRadeon RX 5700シリーズではRadeon RX Vegaシリーズと比較してコアクロック当たりのパフォーマンスが1.25倍増加しているようです。
AMD Radeon RX 5700 Series_RDNA_Perf-Per-Clock

Radeon RX 5700 XTのグラフィック性能

「AMD Radeon RX 5700 XT」の性能についてはAMDの公式ベンチマークによると、 希望小売価格が449ドルからで競合モデルであるNVIDIA GeForce RTX 2070と比較して、多くのメジャータイトルで同等、Battlefield VやMetro Exodusなど相性の良いゲームでは15~20%以上も上回る性能を発揮しています。
Radeon RX 5700 XT_bench_vs-RTX 2070
また同社の前世代ミドルハイクラスGPUであるRadeon RX Vega 56と比較するとRadeon RX 5700 XTは多くのメジャータイトルで30%程度の高速化を実現しています。(RX Vega 56は一応399ドルで売り出されたので比較対象はRX 5700が適切な気がしますが)
Radeon RX 5700 XT_bench_vs-RX Vega 56
ちなみにRadeon RX Vega 64と比較するとRadeon RX 5700 XTは平均して14%程度高速とのこと。
AMD Radeon RX 5700 Series_perf^per-Watt-a


Radeon RX 5700のグラフィック性能

「AMD Radeon RX 5700」の性能についてはAMDの公式ベンチマークによると、 希望小売価格が若干安い349ドルからであるものの競合モデルと目されているNVIDIA GeForce RTX 2060と比較して、多くのメジャータイトルで平均して10%程度、Battlefield VやForza Horizon 4など相性の良いゲームでは20%以上も上回る性能を発揮しています。
Radeon RX 5700_bench_vs-RTX 2060


レイトレーシング対応は次世代に持ち越し

次世代GPU”Navi”を採用する「AMD Radeon RX 5700」シリーズが、レイトレーシング、具体的にはDirectX Raytracingをサポートするのかは注目ポイントの1つでしたが、今回は見送られました。
NVIDIAが先行してRTX 20XXシリーズに搭載しているRT Coreのようなハードウェアレベルでのレイトレーシング対応についてはNaviの次の世代(仮にNavi2)で実装されるようです。AMD製GPU採用が公表されている次世代のプレイステーションやXboxはレイトレーシング対応が公表されているので、Navi2を採用したGPUと、自作PC向けグラフィックボードは2020年末には発売されるのではないかと予想されています。
Radeon_RayTracing


Radeon RX 5700シリーズの消費電力に注意?

Radeon RX 5700シリーズについては消費電力の指標としてTBP(Typical Board Power)という数値が公表されており、上位モデルのRX 5700 XTのTBPは225W、下位モデルのRX 5700は180Wとなっています。
TBP(Typical Board Power)と実際の消費電力については注意が必要で、例えばRadeon VIIはTBP300Wに対して実際の消費電力は20%程度低い250Wですが、Radeon RX Vega 56/64はTBPとほぼ一致する数値を示しています。GPUによってはTBPを上回るケースもあります。
Radeon VII_power
RX 5700 XTの消費電力についてですが、AMDの資料の1つにRadeon RX 5700 XTとRadeon RX Vega 64を比較した時にワットパフォーマンスが約1.5倍に向上したというものがあります。これによるとRadeon RX Vega 64と比較してRadeon RX 5700 XTは消費電力が23%低下しているとのことなので、Radeon RX 5700 XTの実際の消費電力は220W前後になるものと思われます。Radeon VIIでは実際の消費電力がTBPよりも低く、高評価を得たのですが、Radeon RX 5700 XTとRadeon RX 5700についてはそういったサプライズはなく、TBPの仕様値通り消費電力は225Wと180Wに近い値になりそうです。
AMD Radeon RX 5700 Series_perf^per-Watt_s

RX 5700 XTの競合とされるRTX 2070はTDP175W、RX 5700の競合とされるRTX 2060はTDP160Wなので、省電力性能については依然としてRTX 20XXシリーズの方が上となり、Radeon RX 5700シリーズはNVIDIAの競合モデルで1ランク上の製品と同等の消費電力になる可能性が高そうです。
RTX 2070-2060_PL


Radeon RX 5700シリーズは強気な価格設定

Radeon RX 5700シリーズの性能について簡単にまとめると、『Radeon RX 5700 XTはGeFoce RTX 2070よりも若干高速で、消費電力はGeFoce RTX 2080相当』、『Radeon RX 5700はGeFoce RTX 2060よりも10~20%高速で、消費電力はRTX 2070相当』となっています。
一方で北米希望小売価格についてはRadeon RX 5700 XTは449ドル、Radeon RX 5700は379ドルとなっており、Radeon RX 5700 XTとGeFoce RTX 2070が同じ、Radeon RX 5700はGeFoce RTX 2060よりも30ドル高価です。
AMD Radeon RX 5700 Series_Price

Radeon RX 5700シリーズの価格は、AMDが設定する競合製品に対して価格相応であることは間違いないのですが、RX 480が229ドルからであったり、仮にもRX Vega 56が399ドル、RX Vega 64が499ドルからで発売された過去の例に比べるとAMDにしては強気な価格設定だと管理人は感じました。
シェーダー数やダイサイズといったハードウェアスペック的に考えると、RX 590クラスの価格帯が妥当ではないか、Radeon RX 5700シリーズはそれぞれ100ドルくらい安価にリリースされるものと予想していたので、その点は少し残念だったというのが正直なところです。

またNVIDIAからはRadeon RX 5700シリーズの発売前、6月下旬に現在のRTX 20XXシリーズを10%程度高速化し、かつ希望小売価格を引き下げたSuper版が発表・発売されるというカウンターの噂もあるので、Radeon RX 5700シリーズが出鼻を挫かれる可能性は否定できません。
NVIDIA-GeForce-SUPER


Radeon RX 5700シリーズは十分良い製品だということには異論はないのですが、すぐ飛びつくほど魅力的かと言われると、ちょっと様子見をしたくなる感じです。(管理人は検証用に即ポチ予定ですが)



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Radeon RX 5700シリーズと同時発売となる第3世代Ryzenのスペックや価格など詳細情報についてはこちらの記事で紹介しています。
次世代を担う第3世代Ryzenの魅力を徹底解説
AMD Ryzen 3rd




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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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