Deepcool ASSASSIN III


スポンサードリンク




140mm径のラウンドフレーム冷却ファンを搭載し、銅製ベースプレートから6mm径の銅製ヒートパイプ7本で拡張されるデュアルタワー型ヒートシンクによってTDP280Wの類稀な冷却性能を発揮できるサイドフロー型ハイエンド空冷CPUクーラー「Deepcool GAMER STORM ASSASSIN III(型番:DP-GS-MCH7-ASN-3)」のサンプル機をメーカーよりご提供いただけたのでレビューしていきます。Core i9 7980XEの全コア4.2GHz OCをターゲットにして、「Deepcool ASSASSIN III」の冷却性能をNoctua NH-D15と比較検証します。
Deepcool ASSASSIN III review_01564a_DxO


代理店公式ページ:https://www.aiuto-jp.co.jp/products/product_2735.php
製品公式ページ:http://www.gamerstorm.com/product/CPUAIRCOOLER/2019-05/1287_11125.shtml
マニュアル:http://www.gamerstorm.com/download/pdf/Installation_ASSASSIN_III.pdf


Deepcool GAMER STORM ASSASSIN III
Deepcool GAMER STORM ASSASSIN III
Deepcool
Amazon.co.jp で詳細情報を見る
<TSUKUMO><PCショップアーク><ドスパラ>
<PCワンズ><パソコン工房><ソフマップ>



レビュー目次


1.Deepcool ASSASSIN IIIの梱包・付属品
2.Deepcool ASSASSIN IIIのヒートシンク
3.Deepcool ASSASSIN IIIの冷却ファン
4.Deepcool ASSASSIN IIIの外観
5.Deepcool ASSASSIN IIIの検証機材・セットアップ
6.Deepcool ASSASSIN IIIの各種クリアランス
7.Deepcool ASSASSIN IIIの冷却性能
8.Deepcool ASSASSIN IIIのレビューまとめ

補足.空冷クーラーと水冷クーラーの違いについて



Deepcool ASSASSIN IIIの梱包・付属品

まずは「Deepcool ASSASSIN III」の外観や付属品をチェックしていきます。
「Deepcool ASSASSIN III」のパッケージはグリーン&グレーのツートンカラーなカラー刷りで、縦長なサイズとなっています。天面を開くと内容品を取り出せて、各種付属品は茶色段ボールで小分けに梱包され、CPUクーラーヒートシンク本体は白色スポンジ製スペーサーで厳重に保護されていました。
Deepcool ASSASSIN III review_01568_DxO
「Deepcool ASSASSIN III」の付属品は茶色の小分けパッケージにまとめて収納されています。
Deepcool ASSASSIN III review_01570_DxO

CPUクーラーマウント関連を除く付属品は、同社製熱伝導グリス「G15 Thermal Paste」、PWM対応4PINファン端子2分岐Y字ケーブル、ファンを低速で動作させるための降圧変換ケーブル*2、グリスクリーナー、P-CARD(サーマルグリスを薄く塗り広げるためのカード)、エンブレムバッジシールでした。
Deepcool ASSASSIN III review_01572_DxO
CPUクーラーマウント関連の付属品は、Intelプラットフォーム用マウントバー、AMDプラットフォーム用マウントバー、バックプレート、ネジピラー*4、スタンドオフナット*4、ハンドスクリューナット*4、Intel LGA2066用スタンドオフスクリュー*4です。
Deepcool ASSASSIN III review_01575_DxO
CPUクーラーの固定に使用するマグネット付きプラスドライバーも付属します。
Deepcool ASSASSIN III review_01569_DxO
冷却ファンをヒートシンクに固定するためのファンクリップについては、120mm角互換のクリップが3セット付属します。標準で付属する冷却ファンは2つですが、最大で3基まで搭載可能です。
Deepcool ASSASSIN III review_01573_DxO

詳しくは後ほど紹介しますが、CPUクーラー本体を簡単にチェックしておきます。
Deepcool ASSASSIN IIIはいかにも空冷CPUクーラーらしい外観ですが、ヒートシンクに装着された黒曜石のような光沢のある黒色カバーによってスタイリッシュさも兼ね備えています。大型アルミニウム製ヒートシンクには光沢のあるニッケルメッキが施されています。ベースプレートの前後からヒートパイプが伸びて2つの放熱ヒートシンクを構成する所謂ツインタワー型空冷CPUクーラーでとなっており、標準構成ではヒートシンクの前方と中央の2基の冷却ファンを搭載します。
Deepcool ASSASSIN III review_01662_DxODeepcool ASSASSIN III review_01664_DxO

ヒートシンクに冷却ファン等を装着した状態で重量を比較してみたところ、Noctua製120mmサイズ空冷CPUクーラー「Noctua NH-U12A」は1144g、Noctua製フラッグシップ空冷CPUクーラー「Noctua NH-D15」は1302gに対して、「Deepcool ASSASSIN III」は1268gでした。
Deepcool ASSASSIN III review_01682_DxODeepcool ASSASSIN III review_08265_DxODeepcool ASSASSIN III review_08290_DxO



Deepcool ASSASSIN IIIのヒートシンク

続いて「Deepcool ASSASSIN III」のヒートシンクをチェックしていきます。
「Deepcool ASSASSIN III」のヒートシンクの放熱フィンは一般的なアルミニウム製ですが鏡面光沢のあるニッケルメッキが施されており、見た目に美しいだけでなく、汚れにくく錆びにくいというメリットもあります。
Deepcool ASSASSIN III review_01645_DxO
Deepcool ASSASSIN III review_01644_DxO
PCケースのサイドパネル側から見える放熱フィン上部には「黒曜石の光沢をイメージしたカバー(Obsidian-like spoiler)」が装着されており、空冷ヒートシンクの工業製品的な美しさに、スタイリッシュさを加えています。
Deepcool ASSASSIN III review_01596_DxO
「Deepcool ASSASSIN III」のヒートシンクはベースコアを中心にして前後左右で対称な形状、ヒートパイプの配置も中心対称になっているのでヒートシンク本体には前後の別はありません。
放熱フィンのフィンピッチは狭すぎず広すぎずなちょうどいい塩梅で低速から高速まで幅広い冷却ファン動作に対応可能なピッチが採用されていました。側面は放熱フィンの末端が折り曲げ加工によって平面化されており、フィンを手で持った時に指を切る心配もありません。
Deepcool ASSASSIN III review_01649_DxODeepcool ASSASSIN III review_01648_DxO
ニッケルメッキの施された銅製ベースコアからは同じくニッケルメッキ銅製のヒートパイプが前後へ7本ずつ計14本伸びています。「Deepcool ASSASSIN III」のヒートパイプは「groove-sinter technology」と呼ばれる技術によって内部表面積が拡張されており、気化による熱移動効率を高めています。
Deepcool ASSASSIN III review_01655_DxO
Deepcool ASSASSIN IIIのベースコアプレートはニッケルメッキの銅製でCPUクーラーヒートスプレッダとの接触面積を最大化するために鏡面化(平滑化)されています。
Deepcool ASSASSIN III review_01654_DxO
ベースプレートのサイズはIntel LGA2066/2011系CPUの比較的大きいヒートスプレッダでも全体と接する十分なサイズになっています。
Deepcool ASSASSIN III review_01659_DxO
「Deepcool ASSASSIN III」にはIntel/AMDの各種プラットフォームで共通して使用するリテンションブラケットが標準で装着されています。スプリング付きスクリューが装着されており、付属のドライバーを使用して簡単かつ適切にCPUクーラーを装着可能となっています。
Deepcool ASSASSIN III review_01647_DxO

同社が「Deepcool ASSASSIN III」の競合製品と位置付ける「Noctua NH-D15」と比較すると、「Noctua NH-D15」のヒートパイプは6本に対して、「Deepcool ASSASSIN III」は1本多い7本となっており、銅製ベースコアのサイズも一回り大きくなっています。
Deepcool ASSASSIN III review_01657_DxO
ヒートシンクの形状は「Deepcool ASSASSIN III」も「Noctua NH-D15」もツインタワー型の空冷CPUクーラーなので似通っていますが、高さは「Deepcool ASSASSIN III」のほうが10mm程度高くなっています。一方で横幅は僅かながら「Deepcool ASSASSIN III」のほうが狭いです。あと放熱フィンのフィンピッチは「Deepcool ASSASSIN III」のほうが僅かに広めなので、低速ファンへの親和性が高そうです。
Deepcool ASSASSIN III review_01660_DxO
Deepcool ASSASSIN III review_01661_DxO



Deepcool ASSASSIN IIIの冷却ファン

「Deepcool ASSASSIN III」には「Deepcool TF 140S(型番:DFr1402512CM)」という独特な形状のラウンドフレーム大型冷却ファンが2基付属します。ファン単体は市販されていないので保守部品の入手が難しいですが、ファン固定ネジ穴自体は120mm角ファン互換なので、市販の120mm角互換のラウンドフレームファンも使用できます。
Deepcool ASSASSIN III review_01588_DxO
「Deepcool TF 140S」は定格1400RPMのPWM速度調整に対応した4PIN冷却ファンとなっており、400~1400RPMの範囲内で速度調整が可能です。
Deepcool ASSASSIN III review_01589_DxO
「Deepcool TF 140S」の軸受けを固定する支柱はフレームから中央に向かって弧を描きますが、ファンブレードの回転方向に対して垂直になっており、ファンブレードの根元が支柱付近を通過するときに発生するノイズを抑制しています。「Deepcool TF 140S」の軸受けには高耐久な流動体軸受け(Fluid Dynamic Bearing)が採用されています。
Deepcool ASSASSIN III review_01590_DxO
「Deepcool TF 140S」のネジ穴部分には色が同化していて分かり難いですが、防振ラバーが装着されています。
Deepcool ASSASSIN III review_01594_DxO
「Deepcool TF 140S」は特許取得の2層構造ファンブレードや内側から外側に向かって羽の幅が広くなる構造によって、大風量・高静圧を実現しています。
Deepcool ASSASSIN III review_01595_DxO

冷却ファンをヒートシンクへ固定する方法は、サイドフローCPUクーラーとしては一般的な針金のファンクリップを使用する方式です。冷却ファンのネジ穴にファンクリップ両端のU字部分を引っかけます。
Deepcool ASSASSIN III review_01573_DxO
あとはヒートシンクの溝にファンクリップ中央を引っかけるだけです。ファンクリップには中央に指をかけやすい凸形状があるので着脱も容易な構造になっています。
Deepcool ASSASSIN III review_01676_DxO
「Deepcool ASSASSIN III」にはPWM対応4PINファン2分岐ケーブルも標準で付属しているので、2基のファンの電源は1つの4PINファン端子から取得できます。
Deepcool ASSASSIN III review_01692_DxO

この章の冒頭でも書いたように「Deepcool ASSASSIN III」に付属する冷却ファンは2019年9月現在、単品では市販されておらず、保守部品の入手に不安が残ります。
一般に販売されている冷却ファンを装着できるかどうか確認してみたところ、ラウンドフレーム型ファンとして入手性の高い「Noctua NF-A15 PWM」は横長のフレーム形状が干渉してファンクリップをヒートシンクのツメに固定することができませんでした。個人的には「Noctua NF-A15 PWM」を装着できるファンクリップもコッソリ封入しておいて欲しかったです。
Deepcool ASSASSIN III review_01732_DxO
「Deepcool ASSASSIN III」のファンクリップは120mm角ファンのネジ穴に互換なので、120mm角の冷却ファンであれば基本的に問題なく設置できます。ただし付属ファンと比較してファンの気流面は狭くなってしまいます。一方で冷却ファンとメモリとのクリアランスが+10mm~20mmほど余分に確保できるというメリットもあるので一長一短です。
Deepcool ASSASSIN III review_01737_DxODeepcool ASSASSIN III review_01736_DxO



Deepcool ASSASSIN IIIの外観

ヒートシンクと冷却ファンの個別チェックも済んだところで、ヒートシンクへ冷却ファンを組み込んで「Deepcool ASSASSIN III」の完成状態の外観や寸法をチェックしていきます。
Deepcool ASSASSIN IIIはいかにも空冷CPUクーラーらしい外観ですが、ヒートシンクに装着された黒曜石のような光沢のある黒色カバーによってスタイリッシュさも兼ね備えています。大型アルミニウム製ヒートシンクには光沢のあるニッケルメッキが施されています。ベースプレートの前後からヒートパイプが伸びて2つの放熱ヒートシンクを構成する所謂ツインタワー型空冷CPUクーラーでとなっており、標準構成ではヒートシンクの前方と中央の2基の冷却ファンを搭載します。
Deepcool ASSASSIN III review_01662_DxO
Deepcool ASSASSIN III review_01663_DxO
Deepcool ASSASSIN III review_01664_DxO
Deepcool ASSASSIN III review_01667_DxODeepcool ASSASSIN III review_01670_DxO
Deepcool ASSASSIN III review_01669_DxODeepcool ASSASSIN III review_01673_DxO
アルミニウム放熱フィン1枚1枚にファンクリップ用の溝があるので、ファンを固定する高さはユーザー側で自由に設定可能です。高い位置にファンを固定すれば、当然その分だけCPUクーラーの高さが高くなります。
Deepcool ASSASSIN III review_01676_DxO
冷却ファンが標準位置に配置されている場合は冷却ファンの方が最高位置が高く、「Deepcool ASSASSIN III」の全高は製品仕様では165mmと表記されていましたが、実際に測定してみると168mm程度ありました。カバーが装着されていない状態のヒートパイプの頂点が165mm程になるため、(誤って?)そちらの数値が表記されているのではないかと思います。
Deepcool ASSASSIN III review_01679_DxO
「Deepcool ASSASSIN III」のメモリクリアランスについては後ほど詳しくチェックしますが、製品公式ページでは54mmのスペースがアピールされています。
ただしこれはヒートシンク自体のクリアランスとなっており、上の写真を見てわかるように、製品仕様の全高165mm程度に収めようとすると、冷却ファンがヒートシンク下端からはみ出るので、メモリスペースは狭くなります。逆にメモリスペースを確保するとファンがオフセットされて全高が増えるので注意が必要です。
Deepcool ASSASSIN III_cl_ram



Deepcool ASSASSIN IIIの検証機材・セットアップ

「Deepcool ASSASSIN III」を検証機材のベンチ機にセットアップします。Deepcool ASSASSIN IIIの検証機材として、Intel Core i9 9900KやIntel Core i9 7980XEなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。
テストベンチ機の構成
CPU Intel Core i9 9900K(レビュー Intel Core i9 7980XE(レビュー
殻割り&クマメタル化 (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Black
F4-4400C19D-16GTZKK
レビュー
4000MHz, CL17-17-17-37-CR2
G.Skill Trident Z Black
F4-4200C19Q2-64GTZKK
レビュー
3600MHz, CL16-16-16-36-CR2
マザーボード
ASUS WS Z390 PRO
レビュー
ASRock X299 OC Formula
レビュー
ビデオカード ZOTAC RTX 2080Ti AMP Extreme Core (レビュー
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC (レビュー
システム
ストレージ
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB
レビュー
Samsung SSD 860 PRO 256GB (レビュー
データ
ストレージ
Samsung SSD 860 QVO 4TB
レビュー
OS Windows10 Home 64bit
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー

ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、Intel 第9世代Core-Xのようなエンスー環境はもちろん、Intel/AMDのメインストリーム向けCPU環境であってもシステムストレージ用に一押しのSSDです。
「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
Samsung SSD 860 PRO 256GB



CPUクーラーの設置方法について、当サイトの評価基準となるチェックポイントは次の3つです。
  • LGA115Xの場合、CPU固定バックプレートが単独でマザーボードに固定できるか
  • マウントパーツ設置状態でCPUを交換できるか
  • 空冷の場合、ネジ止めの場合はマザーボード側から固定できるか
    簡易水冷or水冷ブロックの場合、ハンドスクリューなどツールレス固定ができるか

上の3項目を全て満たす例として本格水冷用のCPU水冷ブロックですが「EK-Supremacy EVO」のマウンタ構造は「バックプレートをM/Bに固定可能」「完全ツールレス」「マウンタ設置状態でCPUの交換が可能」なので本格水冷・簡易水冷クーラーの水冷ブロック固定方式としてはベストだと思っています。水冷クーラーメーカーにはどんどん真似してもらいたい理想的な構造です。

f85aff8a


今回は検証環境の1つであるIntel Core i9 9900Kに対応するIntel LGA1151プラットフォームを例にして「Deepcool ASSASSIN III」の設置手順を簡単に紹介します。
「Deepcool ASSASSIN III」はマルチプラットフォーム対応CPUクーラーなのでマウントパーツの種類がいくつかありますが、Intel LGA1151プラットフォームでは下写真に写っている、Intelプラットフォーム用マウントバー、バックプレート、スクリューピラー、スタンドオフナット、ハンドスクリューナットを使用します。
Deepcool ASSASSIN III review_01576_DxO
まずは使用するプラットフォームに合わせて、スクリューピラーをバックプレートのネジ穴に挿入します。
Deepcool ASSASSIN III review_01580_DxO
Deepcool ASSASSIN III review_01587_DxO
バックプレートのネジ穴はスクリューピラーが簡単に脱落しないように絞ってあります。
Deepcool ASSASSIN III review_01579_DxO
マザーボードを裏返してバックプレートのスクリューピラーをCPUソケット四隅の穴に挿入します。
Deepcool ASSASSIN III review_01683_DxO
バックプレートが脱落しないように注意してマザーボードを表に向け、スタンドオフナットをスクリューピラーに装着します。
Deepcool ASSASSIN III review_01686_DxO
あとはハンドスクリューナットでマウントバーを固定したらCPUクーラーの設置準備は完了です。
Deepcool ASSASSIN III review_01688_DxO
マウントパーツは単独でもマザーボードに固定されているので、CPUクーラーの設置が完了していない状態でもバックプレートなどが脱落することはなく、PCケースに設置した状態でもCPUクーラーの設置が容易です。
Deepcool ASSASSIN III review_01704_DxO

CPUクーラーをマザーボードに固定する準備はこれで完了したので熱伝導グリスをCPUのヒートスプレッダに塗布します。熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
Deepcool ASSASSIN III review_01705_DxO

Thermal Grizzly Kryonaut TG-K-001-RS(少量、1g)
Thermal Grizzly Kryonaut TG-K-015-RS(1.5ml)
Thermal Grizzly Kryonaut TG-K-030-RS(3.0ml)
親和産業
Amazon.co.jpで詳細情報を見る

グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
Intel LGA1151_thermal greaseIntel LGA2066_thermal grease

銅製ベースプレートには透明の保護フィルムが貼られているので、CPUクーラーをマザーボードに設置する前に剥がし忘れないように注意してください。
Deepcool ASSASSIN III review_01690_DxO
熱伝導グリスを塗ったらCPUクーラーヒートシンクを乗せて付属のL字型ドライバーでネジ止めしします。
Deepcool ASSASSIN III review_01691_DxO
ファンクリップでヒートシンクに冷却ファンを装着したらDeepcool ASSASSIN IIIの設置完了です。
Deepcool ASSASSIN III review_01696_DxO
Deepcool ASSASSIN III review_01697_DxO



Deepcool ASSASSIN IIIの各種クリアランス

CPUクーラーの性能検証に入る前に、空冷CPUクーラーにはつきものである最上段PCI-Eスロットのグラフィックボードやヒートシンク搭載システムメモリとのクリアランス問題についてDeepcool ASSASSIN IIIの事情をチェックしていきます。

まずは「Deepcool ASSASSIN III」とマザーボードのプライマリグラフィックボード用PCI-Eスロットとのクリアランスについてチェックします。
クリアランス検証には「Deepcool ASSASSIN III」が対応する最新の三大プラットフォームから代表して、Intel LGA1151の「ASUS WS X390 PRO」、Intel LGA2066の「ASRock X299 OC Formula」、AMD AM4の「ASUS ROG CROSSHAIR VII HERO (Wi-Fi)」を使用しています。

Intel LGA1151環境
ではCPUクーラーとグラフィックボードを設置するPCIEスロットの間隔の基準値として、左下CPUクーラーネジ穴の内周上端からPCIEスロットの上端までを測定して、「ASUS WS X390 PRO」では約38.8mmです。
PCIE-Space_Intel LGA1151_ASUS WS X390 PRO
「ASUS WS X390 PRO」において最上段のPCIEスロットにプライマリグラフィックボードを設置しても、「Deepcool ASSASSIN III」とグラフィックボードが干渉することはありませんでした。
CPUクーラーとグラフィックボードの間には数mmしか余裕がないので、各自で使用するIntel LGA115X系マザーボードにおいて、上で測定したCPUクーラーとPCIEスロットの間隔が約39mm以上あれば「Deepcool ASSASSIN III」を設置してもCPUクーラーとグラフィックボードの干渉は発生しません。
Deepcool ASSASSIN III review_01693_DxO

AMD AM4環境ではCPUクーラーとPCIEスロットの間隔の基準値として、左下CPUクーラーネジ穴(標準搭載バックプレートのネジ穴)外周の下端からPCIEスロットの上端までを測定して、「ASUS ROG CROSSHAIR VII HERO (Wi-Fi)」では約32.7mmです。
PCIE-Space_AMD AM4_ASUS ROG CROSSHAIR VII HERO
「ASUS ROG CROSSHAIR VII HERO (Wi-Fi)」において最上段のPCIEスロットにプライマリグラフィックボードを設置しても、「Deepcool ASSASSIN III」とグラフィックボードが干渉することはありませんでした。
CPUクーラーとグラフィックボードの間には約10.3mmほどまだ余裕があるので、各自で使用するAMD AM4系マザーボードにおいて、上で測定したCPUクーラーとPCIEスロットの間隔が約22.4mm以上あれば「Deepcool ASSASSIN III」を設置してもCPUクーラーとグラフィックボードの干渉は発生しません。
Deepcool ASSASSIN III review_01706_DxODeepcool ASSASSIN III review_01707_DxO

Intel LGA2066環境ではCPUクーラーとPCIEスロットの間隔の基準値として、左下CPUクーラーネジ穴外周の下端からPCIEスロットの上端までを測定して、「ASRock X299 OC Formula」では約29.8mmです。
PCIE-Space_Intel LGA2066_ASRock X299 OC Formula
「ASRock X299 OC Formula」において最上段のPCIEスロットにプライマリグラフィックボードを設置しても、「Deepcool ASSASSIN III」とグラフィックボードが干渉することはありませんでした。
CPUクーラーとグラフィックボードの間には数mm程しか余裕がないので、各自で使用するIntel LGA2066系マザーボードにおいて、上で測定したCPUクーラーとPCIEスロットの間隔が約30mm以上あれば「Deepcool ASSASSIN III」を設置してもCPUクーラーとグラフィックボードの干渉は発生しません。
Deepcool ASSASSIN III review_01713_DxO

比較的大型な空冷CPUクーラーの多くに言えることですが、干渉しないとしてもCPUクーラーとグラフィックボードの隙間は狭いので、CPUクーラーの設置自体は問題ないのですが取り外しの際には少し困るかもしれません。取り付けよりも取り外しで困るというのは大型空冷CPUクーラーのあるあるネタなので注意してください。取り外しの際はグラフィックボード固定爪の解除のためにプラスチックの定規など細くて固いものを事前に用意しておくことをお勧めします。
Thermalright Silver Arrow TR4 review_05423


続いて空冷CPUクーラーではヒートシンク付きDDR4メモリとの干渉が起きやすいのでリファレンス機材としてKingstonから提供いただいたKingston HyperX Fury DDR4」などを使用してCPUクーラーとメモリの干渉の有無をチェックしていきます。
Thermalright Silver Arrow TR4 review_01343_DxO
その他のメモリのクリアランス検証の機材として「Samsung B-Die バルクメモリレビュー)」「Kingston HyperX Savageレビュー)」「Kingston HyperX Predator RGBレビュー)」「Corsair VENGEANCE LPXレビュー)」「G.Skill Flare Xレビュー)」「G.Skill Trident Z Red/Black/RGB/Royalレビュー)」「Corsair VENGEANCE RGB PROレビュー)」「Corsair Dominator Platinum RGBレビュー)」も使用します。
Thermalright Silver Arrow TR4 review_01341_DxO
Thermalright Silver Arrow TR4 review_01342_DxO

「Deepcool ASSASSIN III」のCPUクーラーヒートシンクおよび冷却ファンとメモリスロットの横方向のクリアランスには基本的に余裕がありません。Intel LGA115XとAMD AM4の2枚刺し、Intel LGA2066の4枚刺しなど一般的な最小構成でも冷却ファンがメモリスロットに被さります。「Deepcool ASSASSIN III」では冷却ファンがメモリに被さることを前提にして、メモリとのクリアランスを考える必要があります。
ただし冷却ファンをヒートシンク中央の1基のみで運用する場合は、シンプルに全高54mm以下のメモリは全て干渉フリーで使用できます。
Deepcool ASSASSIN III review_01694_DxO

CPUクーラーとメモリの高さ方向のクリアランスをチェックしていきます。

「Deepcool ASSASSIN III」ではヒートシンクなしのDDR4メモリを使用した時にちょうど冷却ファンの天面とヒートシンクの天面の高さが一致します。そのためヒートシンク付きメモリではヒートシンクの高さ分だけ、冷却ファンが上にオフセットされ、CPUクーラーの全高が増えてしまいます。
Deepcool ASSASSIN III review_01698_DxO
メーカー公称値の通りCPUクーラーヒートシンク自体のメモリクリアランスは54mmが確保されており、全高54mmのヒートシンク付きDDR4メモリ「Corsair Dominator Platinum RGB」は干渉することなく設置できます。しかしながらヒートシンクの高さ分だけファンの位置を上方向にオフセットする必要があるので、全高が高くなります。
Deepcool ASSASSIN III review_01695_DxODeepcool ASSASSIN III review_01701_DxO
全高+12mmのG.Skill Trident Zシリーズでもファンをオフセットするとヒートシンクの放熱フィン面と冷却ファンのエアフロー面が比較的大きくズレてしまうので、「Deepcool ASSASSIN III」を使用する場合はヒートシンクのないメモリを使用するか、ヒートシンク付きであってもロープロファイルな「Kingston HyperX Fury」や「Corsair VENGEANCE LPX」を推奨します。
Deepcool ASSASSIN III review_01700_DxO


今回検証で使用した各種DDR4メモリと「Deepcool ASSASSIN III」のクリアランスに関する互換性を簡単にまとめると次の表のようになります。
Deepcool ASSASSIN IIIのメモリ互換性
Amazon販売リンク
PCショップアークで探す
高さ
全高
HS
厚み
ファン2基
中央のみ
ヒートシンクなし 31mm -
HyperX Fury 34mm
+3mm
2.9mm
HyperX Savage 34mm
+3mm
3.1mm
Corsair VENGEANCE LPX 34mm
+3mm
3.0mm
G.Skill Flare X
39mm
+8mm
3.1mm
HyperX Predator RGB 42mm
+11mm
3.4mm △:
非推奨
G.Skill Trident Z
RGB/Royal

43mm
+12mm
3.6mm △:
非推奨
Corsair Vengeance
RGB PRO
49mm
+18mm
2.9mm △:
非推奨
Corsair Dominator
Platinum RGB
54mm
+23mm
3.4mm △:
非推奨



Deepcool ASSASSIN IIIのファンノイズと冷却性能

続いて本題となる「Deepcool ASSASSIN III」の冷却性能と静音性を詳細に検証していきます。
検証システムをベンチ板に置いた状態で測定を行っているためCPUクーラーが水冷・空冷によらず基本的にCPUクーラーの理想的な性能をチェックすることになります。
Deepcool ASSASSIN III review_01714_DxO
「Deepcool ASSASSIN III」の比較対象として、「Deepcool ASSASSIN IIIの冷却ファンをNoctua NF-A12x25 PWMに換装(Deepcool ASSASSIN III / NF-A12x25)」、「Noctua NH-D15」、「Noctua NH-D15のファンをDeepcool TF 140Sに換装(Noctua NH-D15 / TF 140S)」、などについても同様に検証を行いました。
Deepcool ASSASSIN III review_01846Deepcool ASSASSIN III review_01825

まずはサウンドレベルメーター(騒音計)を使用してファンノイズをCPUクーラー別で比較しました。騒音計の収音部分とノイズ発生部分との距離が15cm程度になる位置で測定を行っています。簡易水冷の場合はラジエーターとポンプ両方からの距離が15cm程度になるように設置しています。
Deepcool ASSASSIN III review_01719
電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質にもよるので注意してください。

「Deepcool ASSASSIN III」と比較対象の各種CPUクーラーについてファン回転数に対するファンノイズをまとめると次のようになりました。
「Deepcool ASSASSIN III」と「Noctua NH-D15」はいずれもラウンドフレームの大型ファンを2基搭載しておりCPUクーラーの構造としては類似していますが、ファン回転数当たりのノイズレベルを比較すると「Deepcool ASSASSIN III」は200RPM程度低い回転数で同じノイズレベルとなっており、この結果だけを見ると静音性では「Noctua NH-D15」に劣るように見えます。「Noctua NH-D15」のヒートシンクに「Deepcool ASSASSIN III」のファンを搭載したケースでは、「Deepcool ASSASSIN III」とノイズレベルの結果が一致しているので、ファンの特性でノイズレベルに差が出ているようです。
「Deepcool ASSASSIN III」についてはファン回転数1000RPMでノイズレベル40dB程度となるので、1100RPM以下に収めれば静音動作で運用できると思います。
Deepcool ASSASSIN III_noise


続いて「Deepcool ASSASSIN III」など各種CPUクーラーの冷却性能をチェックしていきます。
ストレステストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間7分、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はCore i9 9900K 定格の場合は20分ほどなので同じ動画のエンコードを2つ並列して実行、Core i9 7980XEの場合は12分ほどなので同じ動画のエンコードを3つ並列して実行しています。テスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
Deepcool ASSASSIN III_stress_Core i9 7980XE

Intelのエンスー向けCPUであるCore-Xの最上位モデル18コア36スレッド「Core i9 7980XE」を使用して「Deepcool ASSASSIN III」の冷却性能を検証していきます。
検証機材のCore i9 7980XEはCPUダイとヒートスプレッダ間のグリスを液体金属グリスに塗り替えているので通常よりも低い温度で動作していますが、TIMがシリコングリスからSTIMに変更された第9世代Core-XのCore i9 9980XEとの温度差は4~5度程度なので、Core i9 9980XEの運用に関する指標としては問題なく使えるデータになっています。
Intel Core i9 9980XEを4.4GHz OCで7980XEと比較レビュー
「ROCKIT COOL Copper IHS」の冷却性能をCore i9 7980XEで試す
Core i9 7980XE Delid

Intel Core i9 7980XEの動作設定は「全コア4.2GHz」「コア電圧1.050V」、メモリも「メモリ周波数3600MHz」「メモリタイミング16-16-16-36-CR2」「メモリ電圧:1.350V」にOCしています。この設定でIntel Core i9 7980XEをOCするとCinebenchのスコアは3800ほどとなります。この動作設定において上で紹介したストレステストを実行すると、システムの消費電力(マイナス50~60WでCore i9 7980XEの消費電力)は380~400W前後に達します。
Deepcool ASSASSIN III_stress_Core i9 7980E_cine
Deepcool ASSASSIN III_stress_Core i9 7980E_power

まずはファンノイズの騒音値が40dB~41dB程度になるように統一して、「Deepcool ASSASSIN III」は1000RPM、「Deepcool ASSASSIN III / NF-A12x25」は1800RPM、「Noctua NH-D15」は1200RPM、「Noctua NH-D15 / TF 140S」は1000RPMにファン回転数を固定して、Core i9 7980XEで負荷テストを実施したところ、CPU温度の推移は次のようになりました。
Deepcool ASSASSIN III_temp_40dB
続いてファンノイズの騒音値が46dB~47dB程度になるように統一して、「Deepcool ASSASSIN III」は1300RPM、「Noctua NH-D15」は1500RPM、「Noctua NH-D15 / TF 140S」は1300RPMにファン回転数を固定して、Core i9 7980XEで負荷テストを実施したところ、CPU温度の推移は次のようになりました。
Deepcool ASSASSIN III_temp_46dB

また上の2つのデータから冷却ファンにDeepcool TF 140Sを使用している「Deepcool ASSASSIN III」と「Noctua NH-D15 / TF 140S」を抜粋するとCPU温度推移のグラフは次のようになります。
同じ冷却ファンを使用することで「Deepcool ASSASSIN III」と「Noctua NH-D15」のヒートシンクの性能を比較してみましたが、ほぼ同等の性能でした。1000RPMでは僅かながら「Deepcool ASSASSIN III」の方が冷えており、測定誤差の可能性も否定できませんが、一方で放熱フィンのピッチは「Deepcool ASSASSIN III」のほうがやや大きいので低速なファン速度でもパフォーマンスが出しやすいという可能性もあると思います。
Deepcool ASSASSIN III_temp_same-fan

CPU消費電力が300Wを大幅に超過するCore i9 7980XE 4.2GHz OCにおいてCPUクーラーやファン速度別の平均温度・最大温度をまとめると次のようになっています。
「Deepcool ASSASSIN III」と「Noctua NH-D15」のファンノイズをファン回転数で比較した時、同じファン回転数において「Deepcool ASSASSIN III」のほうがノイズレベルが高く、「Noctua NH-D15」のほうが静音性が高いように見える結果が得られました。しかしながらCPU温度の比較データを加えてみると、今回の使用した機材において冷却性能はファン回転数よりもノイズレベルとの相関が強いことがわかります。
ノイズレベルで正規化した時に「Deepcool ASSASSIN III」と「Noctua NH-D15」はほぼ同等の冷却性能を発揮していることが読み取れます。
Deepcool ASSASSIN III_temp_sum



Deepcool ASSASSIN IIIのレビューまとめ

最後に「Deepcool GAMER STORM ASSASSIN III(型番:DP-GS-MCH7-ASN-3)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • ニッケルメッキの放熱フィンと黒曜石を模したブラックカバーのヒートシンクが美しい
  • 大型銅製ベースプレートと7本の6mm径ヒートパイプ
  • ヒートシンク自体は全高54mm以下のヒートシンク付きメモリに対応
  • 基本的にグラフィックボードとの干渉は発生しない
  • 18コア36スレッドCore i9 7980XEを全コア4.2GHzで運用できる冷却性能
  • 300W超の冷却に対応できるので、Core i9 9900KやRyzen 9 3900Xにも余裕で対応
  • リテンションブラケットはCPUクーラーに固定済み
  • ファンクリップが3セット付属するので後方にファンを増設可能
悪いところor注意点
  • 付属ファンの同等品は市販されていないので、保守部品の入手が難しい
  • 大型グラフィックボードと組み合わせた場合に取り付けは問題ないが取り外しがやや難しい
  • ヒートシンク付きメモリではファンをオフセット固定する必要があるので全高が増す

冷却性能の検証結果からもわかるように「Deepcool ASSASSIN III」は、Intelのエンスー向けCPUで18コア36スレッドの最上位モデル「Intel Core i9 7980XE」を全コア4.2GHzにOCした300Wオーバーの発熱も静音性を保ったままで十分に冷却できる性能があります。最大でもせいぜい200Wクラスの電力負荷になるメインストリーム向け最上位CPUのCore i9 9900KやRyzen 9 3900Xにも当然ながら余裕で対応可能です。


同社が公式ホームページにおいて”Former Performance Leader”として競合製品に上げているのはおそらくNoctua NH-D15のことだと思いますが、「Deepcool ASSASSIN III」はファンノイズで正規化して比較した時にNoctua NH-D15と同等の冷却性能を発揮することが確認できました。「Deepcool ASSASSIN III」は静音性と冷却性能ともに最強空冷CPUクーラーと名高いNoctua NH-D15とそん色ない製品に仕上がっています。
Noctuaを代表するベージュ&ブラウンのカラーリングの冷却ファンはかなりユニークで総じて人を選ぶデザインですが、「Deepcool ASSASSIN III」は黒曜石のような光沢を備えたブラックがアクセントカラーのスタイリッシュな外観なので、万人受けする見た目という点ではアドバンテージがあると思います。

「Deepcool ASSASSIN III」は140mm径ラウンドフレームファンを搭載する大型の空冷CPUクーラーですが、横幅については綿密にチューニングされているようで、管理人が検証した感触として、Intel LGA115X/LGA2066、AMD AM4など主要なプラットフォームにおいてプライマリグラフィックボードと干渉する心配はないと思います。

一方で「Deepcool ASSASSIN III」のメモリクリアランスについてはかなり注意が必要です。製品公式ページでは54mmのメモリクリアランスが謳われており、CPUクーラーのヒートシンク自体は確かに54mmのスペースが確保されていましたが、実際にはメモリスロットに冷却ファンが被さるため、ヒートシンク付きメモリを使用する場合は冷却ファンをオフセット固定する必要があり、メモリヒートシンクの高さ分だけCPUクーラーの全高が増してしまいます。「Deepcool ASSASSIN III」で標準構成の通りにCPUクーラー前方のファンを使用する場合は、ヒートシンクのないメモリか、ヒートシンク付きであってもロープロファイルな「Kingston HyperX Fury」や「Corsair VENGEANCE LPX」を推奨します。

以上、「Deepcool ASSASSIN III」のレビューでした。
Deepcool ASSASSIN III


Deepcool GAMER STORM ASSASSIN III
Deepcool GAMER STORM ASSASSIN III
Deepcool
Amazon.co.jp で詳細情報を見る
<TSUKUMO><PCショップアーク><ドスパラ>
<PCワンズ><パソコン工房><ソフマップ>



関連記事

質実剛健なハイエンド空冷「Noctua NH-D15」をレビュー
Noctua NH-D15

「Noctua NH-U12A」をレビュー
Noctua NH-U12A

LEDイルミネーション搭載「CRYORIG H7 QUAD LUMI」をレビュー
CRYORIG H7 QUAD LUMI

次世代120mmファン「Noctua NF-A12x25 PWM」をレビュー
Noctua NF-A12x25 PWM




(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



スポンサードリンク