スポンサードリンク
50%負荷時の変換効率が92%以上の高変換効率Platinum認証を取得する電源容量700Wのスモールフォームファクタ向けSFXサイズ電源ユニット「SilverStone SX700-PT(型番:SST-SX700-PT)」をレビューしていきます。SilverStoneで初のPlatinum認証取得SFX電源ユニットがGold認証を取得する下位モデルと比較して、どれくらい静音性を向上させたのか徹底検証していきます。
代理店公式ページ:http://www.dirac.co.jp/sst-sx700-pt/
製品公式ページ:https://www.silverstonetek.com/product.php?pid=870&bno=22&tb=14&area=jp
SilverStone SX700-PT レビュー目次
1.SilverStone SX700-PTの外観
2.SilverStone SX700-PTのケーブルや電源端子について
3.SilverStone SX700-PTの負荷別のファンノイズについて
4.SilverStone SX700-PTのレビューまとめ
SilverStone SX700-PTの外観・付属品
早速パッケージを開封してSilverStone SX700-PTの外観や付属品をチェックしていきます。パッケージを開くとまずは電源ユニットの仕様表(英語)と多言語マニュアルが入っていました。その下にはスポンジのスペーサーで安置された電源ユニットが左側に、紙製のスペーサーでパーティション分けされてACケーブルやモジュラーケーブル各種が右側に入っていました。
「SilverStone SX700-PT」の付属品は、ACケーブルと電源ユニット固定ネジです。
「SilverStone SX700-PT」の電源ユニット本体をチェックしていきます。
「SilverStone SX700-PT」の電源ユニット本体はビニール袋に入った状態でスポンジの緩衝材で保護されています。
「SilverStone SX700-PT」の電源ユニット本体は次のようになっています。
SFX電源は横幅125mm×高さ(厚み)63.5mm×奥行100mmで規格化されています。自作PC標準規格のATX電源よりも厚さと奥行小さいので、別売りのATX電源 to SFX電源マウント変換ブラケット「SilverStone SST-PP08B」を使用することで、マザーボード直上に電源ユニットを設置するようなコンパクトPCケースでCPUクーラーの設置スペースを拡張することができます。
下の写真はSFX-L電源ユニットを装着した「DAN-Cases A4-SFX(レビュー)」や「Lian Li PC-Q38(レビュー)」ですが、SFX電源の「SilverStone SX700-PT」であればSFX-L電源よりも30mm奥行が短いのでケーブル取り回しやストレージ設置のためにより大きなスペースが確保できます。
「SilverStone SX700-PT」は奥行が100mmで規格化されているSFXサイズ電源ですが、搭載可能な最大サイズとなる92mm角の冷却ファンが搭載されています。
最近の電源ユニットは低負荷時にファンが完全に停止するセミファンレス機能を採用している製品も多いですが、「SilverStone SX700-PT」では負荷60%の400W以下であれば1400RPM前後で固定動作となりそれ以降は負荷に応じて比例動作の仕様に変わっています。コンパクトなSFX電源はパッシブ冷却のための放熱面積を確保するのが難しいのでセミファンレス機能の廃止は個人的には英断だと思います。
「SilverStone SX700-PT」は電源ケーブルが全て着脱可能なフルプラグイン型で、プラグイン端子は次のようになっています。
SX700-PTには付属のATX24PIN電源ケーブルを接続する「Sense」と表記された4PINのプラグイン端子が実装されています。Sense端子は『誤差±3%以下の出力制御および低リップルノイズな高い安定性を実現するフィードバック制御』を行うために使用されています。
SX700-PT(右)とSX650-G(左)のプラグイン端子を比較すると、レイアウトが若干変わり、プラグイン端子数はほぼ同じですが、「SilverStone SX700-PT」はEPS電源端子が2基に増えています。
SX700-PTのプラグイン端子のピンアサインは、SX650-Gや同社旧モデルSX600-Gと共通なので、SilverStoneのオプションパーツであるショートケーブル「SST-PP05-E」やロングケーブル「SST-PP05-L」はSX700-PTでも使用可能です。なお上で紹介したSense端子はオプショナルな電力供給安定機能なので、SST-PP05-EやSST-PP05-LのようにSense端子のないケーブルも問題なく使用できます。
ACコンセントケーブルは国内のPC関連でよく使われる3PINタイプの端子になっています。SX700-PTにはSST-SX600-Gでは実装されていなかった便利なロッカー型ハードウェアスイッチが付いています。
「SilverStone SX700-PT」はシステム負荷50%の環境下において92%の電力変換効率を発揮することが確認済みの80PLUS Platinum認証を取得しています。「SilverStone SX700-PT」の電源容量は700Wとなっており、+12Vはシングルレールで58.4Aの出力に対応します。
「SilverStone SX700-PT」は1次側と2次側の両方に日本メーカー製コンデンサを採用するなど優れた回路設計によって、±3%%の高精度な電圧制御および低リップルノイズの安定した電力供給と長寿命を実現しています。
電源ユニットの重量も確認してみたところATX電源「Corsair RM650i」の1666gやSFX-L電源「SilverStone SST-SX800-LTI」の1287gと比較して、「SilverStone SX700-PT」は933gとさらに軽量です。ちなみに同じくSFXサイズでGold認証の下位モデル「SilverStone SX650-G」は933gでした。自宅内で持ち運びするような自作PCを製作する場合でも「SilverStone SX700-PT」は軽量なので重量面でもメリットがあります。
SilverStone SX700-PTのケーブルや電源端子について
SilverStone SX700-PTに実装されている電源コネクタの種類やケーブル長についてチェックしていきます。SilverStone SX700-PTで使用するプラグインケーブルはいずれも、高級電源に採用されることが多く、省スペースで取り回しに優れたフラットきしめん型ケーブル(リボンケーブル)で構成されています。
「SilverStone SX700-PT」をはじめSilverStone製のSFX電源ユニットやSFX-L電源ユニットは別売りオプションパーツのショートケーブルキット「SST-PP05-E」やロングケーブルキット「SST-PP05-L」も使用できます。SST-PP05-EやSST-PP05-Eは他社製品はもとよりSX700-PTなど同社製コンパクト電源ユニットに付属するケーブルよりも細く柔らかいため非常に取り回しがよく、小型PCのビルドに最適化されています。
ショートケーブルキットSST-PP05-Eを使うと実際にMini-ITX対応コンパクトPCケースで自作PCを組む時に電源ケーブルのケーブルマネジメントがとても楽になるので、コンパクトPCの作成でSFXやSFX-L電源を選ぶならSilverStoneの製品は特にオススメです。
一般的なATX電源ではATX24PIN電源ケーブルの長さは500~600mm程度の長さですが、「SilverStone SX700-PT」のATX24PIN電源ケーブルは小型PCケースへの組み込みが想定されており長さ300mmのショートケーブルになっています。
SX700-PTのATX24PINケーブルには電源ユニット本体をチェックした時に紹介したようにOC時の電力供給安定機能用のSense端子がマザーボード側のコネクタから伸びています。
また本体のケーブルも「SilverStone SX700-PT」に付属するATX24PIN電源ケーブルは別売りオプションのショートケーブルキット「SST-PP05-E」のATX24PIN電源ケーブルと比較すると、若干長さが異なるのとSense端子のケーブルが伸びていることを除けば見た目はほぼ一致していますが、実際に触ってみると標準で付属するケーブルの方が、若干太い&固いケーブルになっています。OC時の安定性を優先するならSense端子のある付属ケーブルを使用したいところですが、取り回しを優先する場合は細くて柔らかいオプション品のSST-PP05-Eを使用した方がいいと思います。
SilverStone SX700-PTではEPS 8PINプラグインケーブルが2本あり、全長400mmと全長550mmの2種類が付属します。
EPS端子については「SilverStone SX700-PT」に標準で付属するケーブルでは2つの4PIN同士を固定するロックがありませんでした。ショートケーブルキット「SST-PP05-E」のEPS 8PIN電源ケーブルにはロック機能があるので標準付属ケーブルでも使い勝手を考えるとロック機能を採用して欲しかったところ。
PCIE補助電源ケーブルは長さ550mm(400mm / 150mm)と長さ650mm(500mm / 150mm)の2本があり、分岐含めて8(6+2)PIN端子が計4つあります。SilverStone SX700-PTは電源容量が700Wなので補助電源コネクタ数も含めて、GeForce RTX 2080 TiやRadeon VIIのようなハイエンドグラフィックボードにも対応可能です。
PCI-E補助電源ケーブルは8PINからもう1つの8PINが分岐するケーブルです。8PINコネクタはいずれも6+2PINに分離可能なタイプです。
SATA電源ケーブルは全長600mm(300 + 200 + 100 mm)で3コネクタのケーブルです。同種のSATA電源ケーブルが2本付属するのでSATA端子は6基使用可能となっており多数のHDDストレージを搭載するようなコンパクトサーバー機用の電源としても使用できます。
付属品のSATA電源ケーブルは全長が大きいですが、短いSATA電源ケーブルが欲しい場合は別売りオプションSST-PP05-Eに400mmや450mmのケーブルが入っているのでそちらを使用してください。
4PINペリフェラル電源ケーブルは全長700mm(300 + 200 + 200 mm)で4PINペリフェラル端子が3つあります。ケーブルは1本のみ付属します。
ほぼディスコンですがフロッピー端子の変換ケーブルも付属します。
SX700-PTの負荷別のファンノイズについて
SilverStone SX700-PTの負荷に対する冷却ファンの動作をチェックしてみました。SilverStone SX700-PTの検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成 | |
OS | Windows10 Home 64bit |
CPU |
Intel Core i9 9900K(レビュー) Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
M/B | ASUS WS Z390 PRO (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKK DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 4000MHz, CL17-17-17-37-CR2 |
システムストレージ |
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB MZ-N6E1T0B/IT (レビュー) |
PCケース/ ベンチ板 |
STREACOM BC1 (レビュー) |
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製3bit-MLC型64層V-NANDのメモリチップを採用するメインストリーム向け最新SATA接続M.2 SSD「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」を使用しています。「Samsung SSD 860 EVO M.2」は2.5インチSATA SSDと同等のパフォーマンスをケーブルレスで発揮できる手軽さが魅力です。Samsung SSD 860 EVOシリーズの容量1TB以上のモデルは大容量データの連続書き込みにおける書き込み速度の低下というTLC型SSDの欠点も解消されているので、大容量ファイルをまとめて入れても余裕のあるメインストレージとしてお勧めのSSDです。
・「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」をレビュー
上記のベンチ機でグラフィックボードをGeForce GTX 1050 Ti、GeForce GTX 1650、GeForce GTX 1660 Ti、GeForce RTX 1070、GeForce RTX 2080、GeForce RTX 2080 Ti、Radeon VIIなどに変え、それぞれについて消費電力と負荷時の電源ファンのファンノイズを測定しました。測定負荷にはFireStrike Extremeグラフィックテスト1を15分以上ループさせています。
消費電力の測定にはBluetooth接続でスマホから消費電力を見られるワットチェッカーを使用して、電源ユニットの変換損を含めたシステム全体の消費電力をチェックしています。なお同ワットチェッカーでは消費電力は1秒ごとにW単位で表示されますが、平均的な数値になっており実際の瞬間最大値はさらに高い値を取っている場合があります。記事中では表示値からおおよその平均を取って表記しますが、実際には+100Wから+200Wの瞬間的な負荷が発生することがあるので注意してください。
サウンドレベルメーターを利用してゲーム負荷時のノイズレベルを測定・比較しています。ノイズレベルの測定には「サンワダイレクト 400-TST901A」を使用しています。電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質にもよるので注意してください。
またベンチ機のCPUクーラーやグラフィックボードから出るファンノイズについては吸音材の板を使用して電源ユニット本体のファンノイズ測定への影響を下げています。非負荷時にグラフィックボードのファン回転数を負荷時の最大値に固定してもサウンドレベルメーターが35~36dBしか示さないのでこれらの影響は基本的に無視して問題ありません。
消費電力とファンノイズの測定結果は次のようになりました。
「SilverStone SX700-PT」のファンノイズについては、アッパーミドルからハイエンドなシングルグラフィックボード環境で一般的に消費される350W以下の負荷において、冷却ファンのノイズレベルが37dB以下に収まるという優れた結果です。Gold認証の下位モデルSX650-GTと比較しても300~350W負荷時のノイズレベルが大幅に低下しており、ファンノイズが高くなる可能性のある400W以上でも静音化しているのが確認できます。
システム | 消費電力 | ファンノイズ |
アイドル |
60 | 37.3 |
GTX 1650 / SUPER |
120 | |
GTX 1660 Ti / SUPER |
200 | |
RTX 2060 | 230 | |
RTX 2060 SUPER RX 5700 |
260 | |
RTX 2070 SUPER RX 5700 XT |
300 | |
RTX 2080 SUPER Radeon VII |
350 | |
RTX 2080 Ti | 400 |
37.3~48.2 |
「SilverStone SX700-PT」は電源負荷350W以下では良好な結果を見せたのですが、電源負荷が400Wを超えると若干事情が変わりました。
GeForce RTX 2080 Tiのように消費電力の非常に大きいウルトラハイエンドなグラフィックボードを使用するとシングルグラフィックボード環境でも400~450Wに達する可能性があり、このクラスの負荷になると内部温度セーフティーが働くのかファンノイズが周期的に48dB以上に跳ね上がりました。
製品公式ページの電源負荷ファンカーブを確認すると420W以上でファン回転数が急峻に上昇するので、単純にファンカーブに比例したファン回転数の変化かとも思ったのですが、ワットメーターで確認できる電源負荷を上の動画の450W前後から400W前後に下げると、1,2分おきから、5~10分おきにファンノイズ変化の周期が変わったので、内部温度を制御ソースにしたセーフティー機能が働いているのだと思います。
電源負荷350W以下については簡単にタオル等で電源ユニットを包んで内部温度が上がりやすいようにして検証してみましたが、ファンノイズの急上昇は確認できませんでした。内部温度が上がり切らなかったという可能性もありますが、一応、電源負荷350W以下であれば37dB前後の高い静音性を維持できるようです。
SilverStone SX700-PTのレビューまとめ
最後に「SilverStone SX700-PT (型番:SST-SX700-PT)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 電源容量700W、変換効率92%以上のPlatinum認証取得のハイパフォーマンス電源ユニット
- +12Vは58.4Aのシングルレーン出力
- SFX電源ユニットながらEPS 8PIN電源端子を2基搭載
- プラグインケーブルが全て取り回しに優れたリボンケーブル
- コンパクトPCに最適化されたショートケーブル
- 取り回し最高なショートケーブルキットSST-PP05-Eも使用できる
- GeForce RTX 2080 SUPERなど電源負荷350W以下の環境で37dB前後の高い静音性
- 3年間の保証期間
- 400W以上の電源負荷では周期的にファンノイズが上昇する可能性あり
「SilverStone SX700-PT」は、50%負荷時の変換効率が92%以上のPlatinum認証を取得し、さらに電源容量700Wの大容量を実現した初のSFX電源ユニットとなっており、GeForce RTX 2080 SUPERやRadeon RX 5700 XTなどアッパーミドルからハイエンドなグラフィックボードとCore i9 9900KやRyzen 9 3900Xなどメインストリーム向け最上位CPUの組み合わせにも対応可能です。
「SilverStone SX700-PT」は変換効率がPlatinum認証にアップグレートされたことによって、Gold認証の変換効率な同社前モデルや競合製品よりも高い静音性を実現しています。今回実施した負荷テストではCore i9 9900Kなどメインストリーム向け最上位CPUとGeForce RTX 2080 SUPERなどのハイエンドGPUを組み合わせた電源負荷350W以下の環境で長時間の負荷をかけてもノイズレベルが37dB前後という良好な静音性を発揮しました。
Gold認証の下位モデルと比較すると静音性は全体的に向上しているのですが、内部温度を制御ソースにした温度セーフティー機能が働くのか、電源負荷が400Wを超えると周期的にファンノイズが大きくなるところは玉に瑕でした。シンプルに400W以上の電源負荷に対して、消費電力に応じてファン速度が変化し、40~42dB以下に収まるような設計にして欲しかったところです。
「SilverStone SX700-PT」のプラグインコネクタについては旧モデルと同じピンアサインになっており、同社製オプション品のショートケーブル「SST-PP05-E」やロングケーブル「SST-PP05-L」も問題なく使用可能です。標準で付属する電源ケーブルもコンパクトPCに最適化されたショートケーブルであり、取り回しに優れたフラットきしめん型なので、ケーブルの取り回しにおいて他社製品よりも優れた電源ユニットです。
以上、「SilverStone SX700-PT」のレビューでした。
関連記事
・自作PC電源ユニット(PSU)の徹底解説とおすすめ電源の選び方・Platinum認証SFX電源ユニット「Corsair SF750 Platinum」をレビュー
・TITANIUM認証取得SFX-L電源「SST-SX800-LTI」をレビュー
・Platinum認証SFX電源ユニット「Corsair SF600 Platinum」をレビュー
・「Fractal Design ION SFX 650G」をレビュー
(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
スポンサードリンク