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10コア20スレッド「Core i9 10900K」など第10世代Comet Lake-S CPUに対応するZ490チップセット搭載マザーボードとしてASRockからリリースされた、Mini ITXサイズながら90A対応Dr.MOSで構成される9フェーズVRM電源とアクティブ冷却VRM電源クーラーを採用、さらにリアI/OにThunderbolt3ポートを標準搭載する「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」をレビューしていきます。

製品公式ページ:https://www.asrock.com/mb/Intel/Z490%20Phantom%20Gaming-ITXTB3/index.asp
マニュアル:https://download.asrock.com/Manual/Z490%20Phantom%20Gaming-ITXTB3_jp.pdf
ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3 レビュー目次
1.ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3の外観・付属品
2.ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3の基板上コンポーネント詳細
4.ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3の検証機材
5.ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3のBIOSについて
6.イルミネーション操作機能「ASRock Polychlome RGB Sync」について
7.ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3のOC設定について
8.ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3の動作検証・OC耐性
9.ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3のレビューまとめ
【注意事項】
同検証は2020年5月下旬に行っておりASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3のBIOSはver1.30を使用しています。最新BIOSでは修正されている不具合や追加されている機能もあると思うので、最新BIOSのリリースについては公式ページを各自でチェックしてください。
サポート:https://www.asrock.com/mb/Intel/Z490%20Phantom%20Gaming-ITXTB3/index.asp#BIOS
【2020年6月7日:初稿】
レビュー記事初稿を公開、BIOS:1.30で検証
【機材協力:ASRock Japan】
ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3の外観・付属品
まず最初にASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3の外観と付属品をチェックしていきます。パッケージを開くと上段にはマザーボード本体が静電防止ビニールに入った状態で収められていました。マザーボードを取り出すと2重底になっており下段には各種付属品が入っています。

マニュアル類は、多言語の簡易マニュアル、ドライバCDが付属します。ドライバ類についてはそろそろUSBメモリに移行して欲しいところ。

組み立て関連の付属品はSATAケーブル2本、WiFi&Bluetoothアンテナ、M.2 SSD固定ネジです。

マザーボード全体像は次のようになっています。
ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3はMini-ITXフォームファクタのマザーボードです。ブラックのPCB基板には湿度による電気短絡を防ぎ安定動作を助ける「高密度ガラス繊維PCB」が採用されています。

「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」のチップセット部分には銀色のアルミニウム製ヒートシンクがチップセットクーラーとして実装されており、ライザーカード上のM.2 SSDヒートシンクとネジ止めで一体化しています。またリアI/Oカバーを兼ねたVRM電源クーラーヒートシンクとヒートパイプで連結されています。

「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」はSODIMM DDR4メモリスロットを流用した独自のライザーカードでM.2スロットや内部USB2.0ヘッダーやSATA端子を増設しているところが大きな特徴の1つです。


ライザーカード上のM.2 SSDヒートシンクPCHヒートシンクとネジ止めされており、このネジを外してから、SODIMM DDR4スロット同様にロックを解除すると、ライザーカードを取り外すことができます。

Mini-ITXマザーボードは基板上スペースが限られているのでリアI/Oカバーを搭載しない製品が大半を占めますが、「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」にはPhantom Gamingデザインのカバーが搭載されています。「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」のリアI/Oカバーは単なる装飾ではなく、全体がアルミニウムでできており、超巨大なVRM電源クーラーヒートシンクも兼ねています。

「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」のVRM電源クーラーには上側に1基、左側のリアI/Oカバー内に1基で計2基の冷却ファンが搭載されています。5万時間の長寿命な高耐久性ファンによるアクティブ冷却で、CPUソケット周辺に風の当たらない簡易水冷CPUクーラー環境においてVRM電源回路の温度を十分に下げて、ベストな性能を発揮します。

「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」のリアI/Oカバー内のVRM電源クーラーヒートシンクはフィンアレイ型になっているので、省スペースな中で放熱面積を最大化でき、アクティブ冷却ファンによって十分な通気性も確保できるので、より効率的にVRM電源回路を冷やすことができます。

「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」のVRM電源冷却ファンはBIOS上からVRM電源温度をソースにしたファン制御カーブの設定が可能です。2基のファンの制御は共有されておりBIOSメニュー上では「VR ファン1」として登録されています。BIOS標準設定(BIOS:1.30)ではVRM電源ファンがかなり煩くなるようなので、各自手動で調整するのがオススメです。

「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」のVRM電源フェーズ数はMini-ITXサイズとしては頑張って9フェーズが実装されています。最大で10コア20スレッドとなるIntel第10世代Core i9シリーズを少なくとも定格運用可能なポテンシャルは備えていそうです。

「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」はVRM電源フェーズ数こそ少ないですが、VRM電源回路にハイサイド/ローサイドMOS-FETとドライバICをワンパッケージし、低発熱で定評のある「Dr. MOS」の90A対応版が使用されています。
その他にも、従来比で飽和電流を最大3倍まで効果的に増加させるためマザーボードのVcore電圧を強化する「新世代プレミアム90Aパワーチョークコイル」、12,000時間の寿命でより優れた安定性と信頼性を提供する「ニチコン製 12K ブラックコンデンサ」などで堅牢なVRM電源回路が構築されています。

最大で10コア20スレッドとなるCore i9シリーズにも対応すべく、Z490チップセット搭載の上位マザーボードではEPS電源端子として8PIN+4PINや8PIN*2を実装しているものも少なくありませんが、「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」はMini-ITXフォームファクタということもあり、EPS電源端子は8PINが1つです。

「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」には一体型リアI/Oバックパネルも採用されています。PCケースにパネルを装着する作業は固くて装着し難かったり、忘れてしまうこともあるのでマザーボードに統合されているのは嬉しい機能です。
一体型リアI/Oバックパネルを採用したのは主要4社ではASRockが最後でしたが、同機能をただ搭載するだけに留まらず、上下左右にオフセット可能としてPCケースとの互換性が確保する構造に改良され、「Flexible Integrated I/O Shield」と名付けられています。

以下USB規格に関する説明がありますが『USB3.2 Gen2 = USB3.1 Gen2』、『USB3.2 Gen1 = USB3.1 Gen1 = USB3.0』と考えて基本的に問題ありません。
リアI/Oには最新のUSB3.2 Gen2規格に対応したType-A端子が3基設置されています。そのほかのUSB端子については2基のUSB3.0端子(PS2端子の下)が搭載されています。ゲーマーには嬉しいPS/2端子も搭載されています。

ビデオ出力はHDMI2.0、DisplayPort1.4、Thunderbolt3(USB Type-C DisplayPort Alternate Mode)の3系統が搭載されており、いずれも4K解像度60FPSの出力に対応しています。
ネットワーク関連では有線LANとして、一般的なギガビットイーサの2.5倍の帯域幅を実現するRealtek製2.5Gbイーサ「Dragon 2.5 Gigabit LAN(RTL8125BG)」を搭載しています。

さらに次世代規格WiFi6に対応した無線LAN(Intel AX201)も搭載しています。接続規格としてはWi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac/ax、2.4/5GHzデュアルバンド、最大通信速度2400Mbps、Bluetooth 5.1に対応しています。リアI/Oには無線モジュールのアンテナ端子が設置されているので付属のアンテナを接続できます。

「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」はリアI/OにThunderbolt3端子を標準搭載しているところも大きな特徴です。Thunderbolt3コントローラーは2020年最新世代のTITAN RIDGEが採用されています。
Thunderbolt3端子はUSB3.1 Gen2の4倍となる40Gbpsの超高速帯域による周辺機器との接続に加えて、Intel製CPUのiGPUによるビデオ出力と繋がっているのでUSB Type-CのDP Altビデオ出力も利用できます。

ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3の基板上コンポーネント詳細
続いて「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」のマザーボード基板上の各種コンポーネントをチェックしていきます。まずはシステムメモリ用のDDR4メモリスロットですが、CPUソケット右側に2基のスロットが設置されています。固定時のツメはマザーボード上側(上写真の右側)の片側ラッチとなっています。グラフィックカードのあるPCIEスロット側はラッチがないので干渉の心配もありません。

グラフィックボードなどを設置するPCIEスロットはx16サイズスロット(PCIE3.0x16)が1基のみ実装されています。最近のトレンドとしてグラフィックボード用のx16サイズスロットには1kgを超える重量級グラボの重さに耐えるよう補強用メタルアーマーも採用されています。

SATAストレージ用の端子はマザーボード上に2基とライザーカード上に2基で、計4基(SATA_0~3)搭載されています。SATAストレージはいずれもIntel Z490チップセットコントローラーによる接続です。RAID0/1/5/10のハードウェアRAID構築にも対応しています。

「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」のM.2スロットはマザーボード表面のライザーカード上(M.2_1)と、マザーボード背面(M.2_2)の2か所に設置されています。いずれもNVMe(PCIE3.0x4)とSATA接続の両方のM.2 SSDに対応しています。ただし表面のM.2_1でSATA接続のM.2 SSDを使用した場合、SATA_1ポートが排他利用となります。


ATX24PIN電源端子とSATA端子の間には内部USB3.0ヘッダーが配置されています。

Mini-ITXマザーボードの多くに言える見落としの多いポイントですが、下の写真のようにCRYORIG C1などの大型トップフロークーラーと組み合わせる場合はメモリだけでなくUSB3.0ケーブルが干渉する場合もあるので注意が必要です。内部USB3.0ケーブルとCPUクーラーの干渉を避ける上で内部USB3.0ヘッダーはグラフィックボードと干渉しない範囲内で可能な限りPCIEスロット側に寄せて欲しいところ。

内部USB2.0ヘッダーはライザーカード上に1基が実装されています。最近ではCorsairLinkやNZXT CAM対応製品など内部USB2.0を使用する機器も増えているので、内部USB2.0が1基で不足する場合はUSB2.0ヘッダー増設ハブの「NZXT INTERNAL USB HUB」や「Thermaltake H200 PLUS」がおすすめです。

「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」はMini-ITXマザボながらオンボードサウンドにRealtek ALC1220オーディオコーデックによる高音質ソリューションが採用されオーディオ面でも充実しています。アナログ出力にはニチコン製オーディオ向けキャパシタやSN比120dBのDACなど高品質素子を採用、7.1チャンネル HDオーディオに対応しており、デジタル出力でもオーディオ用の外部アンプなどとの接続にも最適な光デジタル端子が設置されています。

冷却ファンを接続するためのコネクタについてはPWM対応4PINファンコネクタがマザーボード上メモリスロット周辺に3基設置されています。Mini-ITXマザーボードはファン端子が2基しかないものも多いので冷却を重視するユーザーには嬉しい数です。加えて3つのうち1つは最大出力18W(1.5A)の水冷ポンプにも対応した端子になっています。

ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3にはMini-ITXマザーボードながら、CMOSクリアボタンがリアI/Oに実装されているところも注目ポイントです。

ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3の検証機材
ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3を使用して検証機材と組み合わせてベンチ機を構築しました。ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3以外の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9 10900K (レビュー) |
CPUクーラー | Corsair H100i PRO RGB(レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM x2 (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK (2枚のみ使用) DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) |
CPUベンチ用 ビデオカード |
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー) |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
システムメモリの検証機材には、XMP OCプロファイルによるメモリ周波数4000MHzかつメモリタイミングCL15の超低レイテンシなオーバークロックに対応する8GB×4=32GBのメモリキット「G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK」を使用しています。かなりピーキーなOC設定なので一般にはオススメし難い製品ですが。
・「G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK」をレビュー

高級感のあるヒートシンクや8分割ARGB LEDを搭載してデザイン面でも優れる「G.Skill Trident Z Neo」シリーズは当サイトでも特にオススメしているDDR4メモリです。第3世代Ryzen向けにリリースされた製品ですが、3200MHz/CL14や3600MHz/CL16といった定番スペックがラインナップされていて、Intel第10世代Comet Lake-S CPU&Z490マザーボード環境でも高いパフォーマンスを発揮できるので、選んで間違いのないオススメなOCメモリです。
・「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN」をレビュー

360サイズや240サイズなど120mmファンを複数搭載できるマルチファンラジエーターの簡易水冷CPUクーラーを使用するのであれば、「Noctua NF-A12x25 PWM」への換装もおすすめです。「Noctua NF-A12x25 PWM」は、超硬質かつ軽量な新素材「Sterrox LCP」の採用によってフレーム-ブレード間0.5mmの限界を実現させた次世代汎用120mm口径ファンとなっており、1基あたり3500円ほどと高価ですが、標準ファンよりも静音性と冷却性能を向上させることができます。
・「Noctua NF-A12x25 PWM」を360サイズ簡易水冷に組み込む

ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、メインストリーム向けでもハイパフォーマンスな環境を目指すのであれば、システムストレージ用に一押しのSSDです。
・「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー

CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。

サーマルグリスの代用品として、数年スパンの長期使用においても性能低下が基本的になく再利用も可能、グリスが零れてマザーボードが汚れたり壊れる心配もないので、炭素繊維サーマルシート「Thermal Grizzly Carbonaut」もオススメです。
・「Thermal Grizzly Carbonaut」はCore i9 9900Kを冷やせるか!?

以上で検証機材のセットアップが完了となります。

ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3のBIOSについて
ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3を使用した検証機の構築も完了したので動作検証とOC耐性のチェックの前にBIOSの紹介をします。(OSから日付調整する前にスクショを取っている場合、日付がおかしいですが無視してください。また内容的に差異のないものは過去の同社製マザーボードのBIOSスクリーンショットを流用しています。)
BIOSに最初にアクセスすると「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」ではイージーモードというグラフィカルな画面が表示されます。パッと見の見栄えは良いのですが詳細モードのほうが結局のところ使いやすいので「F6」キーを押してサクッと詳細モード移るのがおすすめです。

次回起動以降に詳細モードを最初から表示する場合は、「アドバンスド - UEFI設定スタイル」の項目で起動時のモードは指定できます。

ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3のBIOSの詳細モードは、従来通りの文字ベースBIOSメニューになっています。画面上に表示されている「メイン」「OCツール」「詳細」などメニュータブから左右カーソルキーで各設定ページが表示できます。画面右下の「English」と表記されたボタンから言語設定が可能です。

ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3のBIOSは日本語に対応しています。ASRockのマザーボードというと「Save Changes and Exit」が「変更がそして退出することを保存します」のように翻訳が怪しい部分がありましたが、ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3など最新マザーボードでは翻訳が正確になっています。

ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3のBIOSにおいて設定の保存とBIOSからの退出はトップメニュータブ最右端の「出口」から行えます。特定のブートデバイスを指定してBIOSから退出するBoot Override機能もあります。

BIOSのアップデート方法は、まず下から最新のBIOSファイルを公式DLページからダウンロード、解凍してUSBメモリのルートに解凍フォルダを置きます。
サポート:https://www.asrock.com/mb/Intel/Z490%20Phantom%20Gaming-ITXTB3/index.asp#BIOS
USBメモリを挿入したままBIOSを起動し、トップメニュータブ「ツール」の「Instant FLASH」を選択します。「Instant FLASH」を選択すると自動でUSBメモリ内から総当たりでアップデートファイルを探索してくれます。自動探索は便利なのですが、反面、探索方法は総当たりなのでファイルが多いと時間がかかるため、アップデート時はファイルの少ないUSBメモリを使用するのがおすすめです。

USBメモリからアップデートファイルが見つかると更新するかどうか尋ねられるので、更新を選択すればあとは自動でBIOSがアップデートされます。

ブートとOSインストール周りについて紹介します。とはいってもASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3のブート回りは下画像のように非常に簡潔にまとめられており初心者でも迷うことはないと思います。

OSのインストールも「起動順序 #1」に「UEFI 〇〇」というOSインストールメディアを設定して保存&退出でOKです。出口(Exit)のメニューから「UEFI 〇〇」をブートオーバーライドで指定して起動しても同様にOSのインストールデバイスから起動可能です。


ちなみにWindows10の製品パッケージに付属するUSBメモリではUEFIで認識できないトラブルが発生することがあるようなのでそういうときはこちらの記事に従ってMS公式ツールを使用して適当なUSBメモリでOSインストールメディアを作成すると上手くいきます。
BIOSのアップデートやWindows OSのインストール方法を紹介したところで、ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3のBIOS機能で管理人が気になったものをいくつかチェックしていきます。
「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」のファンコントロール機能について紹介します。
ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3のファンコントロール機能ではマザーボード上に設置されている各ファン端子について個別に設定が可能です。

「標準/サイレント/パフォーマンス/最大速度」の4種類のプリセット設定に加えて、個別に温度・ファン速度の比例カーブを指定できる「カスタマイズ」の5つのモードを使用できます。

「カスタマイズ」モードでは比例カーブを決める温度とファン速度を4つ指定できます。CPUファンはCPUソースで固定ですが、ケースファン端子はソースとなるセンサーにCPU温度とマザーボード温度の2つから選択できます。外部温度センサーには非対応です。


「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」はVRM電源クーラーに2基の冷却ファンが搭載されていますが、制御は共有されており、BIOSメニュー上では「VRファン1」として登録されています。VRM電源冷却ファンはVRM電源温度をソースとしてファン制御されます。

カスタマイズモードでは他のファン端子と同様に比例カーブを決める温度とファン速度を4つ指定できます。下限温度となる温度1に対するファン速度を0に設定すると、VRM電源温度が温度1以下の時にVRM電源冷却ファンは停止します。
また各種プリセットではVRM電源温度が80度を上回るとファン制御が外れて、VRM電源冷却ファンはフル回転になりますが、カスタマイズ設定ではVRM電源冷却ファンがフル回転になる臨界温度を最大100度まで引き上げて設定できます。

各種モニタリングとファン端子コントロールの間に「Fan Tuning」と「Fan-Tasticチューニング」という項目があります。「Fan Tuning」はワンクリックで自動で接続された冷却ファンの動作を最適化してくれる機能です。「Fan-Tasticチューニング」はグラフィカルUIによるファンコントールの設定機能になっています。

機能的には上で紹介したコンソールのファンコンと同じで、グラフィカルUIでわかりやすく設定できるよという機能になっています。直感的にわかりますし直打ちが苦手な人にはありがたい機能だと思います。マウス操作重視のUIですがキーボードからもカーソルキーでフルコントロール可能です。

イルミネーション操作機能「ASRock Polychlome RGB Sync」について
「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」はマザーボード備え付けのLEDイルミネーションやRGB対応汎用4PIN/アドレッサブルRGB対応汎用3PINイルミネーション機器を操作可能なライティング制御機能「ASRock Polychlome RGB Sync」に対応しています。

「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」ではマザーボード備え付けのLEDイルミネーションに加えてライティング制御機能「ASRock Polychlome RGB Sync」による操作に対応したRGB対応汎用4PIN LEDヘッダーが1基設置されています。当サイトでもレビュー記事を掲載しているLEDテープ「SilverStone SST-LS02」やLEDファングリル「Phanteks Halos Lux RGB Fan Frames」などが接続可能です。

またアドレッサブルLED機器を接続可能なARGB対応VD-G型3PIN LEDヘッダーも2基実装されています。「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」で使用可能なアドレッサブルLEDテープとしては国内で発売済みの「BitFenix Alchemy 3.0 Addressable RGB LED Strip」や「ASUS ROG ADDRESSABLE LED STRIP-60CM」や「AINEX アドレサブルLEDストリップライト」が動作することが確認できています。

「ASRock Polychlome RGB Sync」は製品サポートページで配布されている専用アプリを使用することで他社のLEDイルミネーション操作同様に発光カラーや発光パターンを設定できます。
「Static」「Breathing」「Strobe」「Cycling」「Random」「Music」「Wave」などのRGB発光パターン、「Spring」「Meteor」「Stack」「Cram」「Scan」「Neon」「Water」「Rainbow」などのアドレッサブルRGB発光パターンが選択できます。「Static」「Breathing」「Strobe」など特定の発光カラーを指定する発光パターンでは、リング型RGBカラーパレットやRGBスライダーを使用して発光カラーを自由に設定できます。

「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」ではBIOS上からもグラフィカルUIで簡易的にLEDイルミネーションのライティング制御が可能です。



ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3のOC設定について
ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3を使用した場合のオーバークロックの方法を紹介します。なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3などASRock製Z490マザーボードのオーバークロック設定はOCツールというトップメニューの項目にまとめられ、下位グループとして「CPU設定」「DRAM設定」「電圧設定」の3種類が用意されています。

CPUコアクロック(コア倍率)の変更について説明します。
コアクロックはコア数に対して各コアに最大動作クロック(BCLKに対する倍率)を指定できます。「コア0:コア1:コア2:コア3」を倍率として、例えば「45:43:43:42」のようにバラバラに指定した場合、4つのコアのうち1つに負荷が掛かる場合は4コアのうち1つが45倍動作、2つと3つの場合は43、4つの場合は42となります。
ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3ではCPUクロック動作倍率の設定モードとして、マザーボードのお任せとなる「自動(Auto)」、全コアの倍率を同じに設定する「すべてのコア(Sync All Cores)」、負荷のかかっているコア数によって最大動作倍率を設定する「コア毎(Per Core)」、CPUコア1つ1つに個別に最大動作倍率を指定する「Specific Per Core」の4つのモードが存在します。

ユーザーがCPUのOCを行う場合は通常、全コアの最大倍率を一致させると思いますが、同マザーボードの場合は「すべてのコア(Sync All Cores)」を選択して、「All Core: 50」と設定することでデフォルトのBCLK(ベースクロック)が100MHzなのでその50倍の5.0GHzで動作します。

「コア毎(Per Core)」モードでは負荷がかかっているコア数に対して最大動作倍率を設定可能です。

「Specific Per Core」モードでは各コアに対して個別に指定して最大動作倍率を設定できます。

Intel第10世代CPUは、従来ではオフセットやアダプティブのような大雑把な調整しか不可能だったV/Fカーブ(動作周波数と動作電圧の関係)を細かく調整できるようになっています。ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3では電圧設定の項目の中に「V/F Point Offset」の名前で同設定が配置されています。

現時点では既定の8点の周波数に対して設定されたCPU個体毎のストック電圧に対して、+/-のオフセット電圧を設定できます。Core i9 10900Kの場合は800MHz、2500MHz、3500MHz、4300MHz、4800MHz、5100MHz、5200MHz、5300MHzに対してmV単位でコア電圧オフセット値を指定できます。

キャッシュ動作倍率は「CPUキャッシュレシオ(CPU Cache Ratio)」から変更可能です。CPUコアクロック同様にベースクロックに対する動作倍率でキャッシュの動作周波数を設定できます。

ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3は外部ベースクロックジェネレータ「Hyper BCLK Engine III」が搭載されており、ベースクロック(BCLK)を90MHz~1000MHzの範囲内で変更可能です。

続いてコア電圧の調整を行います。
Intel第10世代CPUではCPUコアとキャッシュへの電圧は共通なので、CPUコアクロックやキャッシュクロックのOCに関連する電圧設定としては、ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3では「CPUコア/キャッシュ電圧(CPU Core/Cache Voltage)」の項目を変更します。
ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3ではCPUコア電圧の設定モードとして、自動設定の「自動(Auto)」、CPUに設定された比例値にオフセットかける「オフセット」モード、マニュアルの設定値に固定する「固定」モード、の3種類が使用できます。

ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3でCPUコア/キャッシュクロックのOCを行う場合、CPUコア電圧の設定については設定が簡単で安定しやすいので固定値を指定する固定モードがおすすめです。10コア20スレッドCore i9 10900KをOCする場合、CPUコア電圧の目安としては最大で1.300~1.350V程度が上限になると思います。

CPUコア電圧モードについて簡単に説明すると、オフセットモードやアダプティブモードはCPU負荷に比例して電圧が設定されており、低負荷時は電圧が下がるので省電力に優れるのですが、OCをする場合はマザーボードによって挙動に差があり安定する設定を見極めるのが難しいので、個人的にはオフセットやアダプティブは定格向け、OCには固定値適用の固定モードを推奨しています。
仮にOCでオフセットやアダプティブを使う場合も最初はコアクロックに対して安定する電圧を見極める必要があるので、まずは固定モードを使用します。
ちなみにマザーボードにより対応しているモードは異なりますが、CPUのオーバークロックに付随するコア電圧のモードの概略図は次のようになっています。

またコアクロックを高く設定する時に追加で変更するといい項目として「ロードラインキャリブレーション」があります。ロードラインキャリブレーションはCPU負荷時の電圧降下を補正してOCを安定させる機能です。「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」では補正の強度として自動およびレベル1~レベル5の6段階が用意されており、レベル1が補正最大で、レベルの添え字が小さいほど電圧降下の補正は強くなりOCは安定しやすくなりますが発熱も大きくなります。レベル2かレベル3あたりから最初に使っておいて、ストレステストのCPU温度をチェックしながら補正を調整していくのがおすすめです。

またCPU設定の下の方には「短時間電力制限」「長時間電力制限」という2つの電力制限機能があり、電力制限がかかる閾値(単位はW)と電力制限がかかるまでの時間を設定できます。電力制限がかかるとその指定電力内に収まるようにコアクロックに制限がかかります。
デフォルトの状態では「Auto」になっていますが、ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3では手動OCを行う場合、パワーリミットが掛からないように勝手に設定してくれるので放置でも問題ありません。基本的に一定消費電力以内に収めるための省電力機能(+若干のシステム保護機能)と考えてください。

メモリのオーバークロックについても簡単に紹介しておきます。
メモリの性能について簡単に言うと「動作クロックが高く」「タイミングが小さい」ほど性能は高くなります。そのためメモリOCを手動で行う手順を簡単にすると「電圧を上げて動作可能なクロックを探し」、「そのクロックにおいて正常に動作する最小のタイミングを探る」という2つの手順を繰り返すことになります。
一方でXMPによるメモリOCは上の手順によるOCをメーカー側がすでに行い動作確認をしているので、メーカーが動作確認を行ったOCプロファイルを適用するだけで簡単にメモリをオーバークロックできます。
メモリOCではPOSTすらクリアできずBIOSに到達できないことも少なくありませんが、ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3では正常にPOSTできないメモリOC設定でエラーが出た場合は数回再起動した後、自動で2133MHzや2400MHzなど定格となるSPDプロファイルの緩い設定で再起動してくれるのでメモリOCを安心して行えます。
ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3ではから「XMP設定の読み込み」からXMPモードを選択することでOCメモリに収録されたXMPプロファイルによるメモリのオーバークロックが可能です。

「XMP設定の読み込み」の設定値が自動(Auto)になっている場合は、使用するメモリにSPD情報として収録されている動作クロック2133~2666MHzなどのメモリ周波数およびタイミングによる定格動作となります。
手動でメモリ周波数を設定する場合は「DRAM周波数(DRAM Frequency)」の項目でプルダウンメニューから最大8400MHzまでの動作クロック(倍率)設定が可能です。
メモリ周波数もBCLKに対する倍率で動作周波数が決まっているので、BCLKを標準値の100MHzから120MHzに上げると、44倍設定時の動作周波数は4000MHzから5280MHzに上がります。

メモリタイミングの個別打ち込み設定も可能です。メモリタイミングを手動で設定する場合は基本的には「CAS Latency (tCL)」、「RAS to CAS / RAS Precharge (tRCD / tRP)」、「RAS Active Time (tRAS)」の主要な3タイミングと、加えて「Refresh Cycle Time (tRFC)」と「Command Rate:1 or 2」の5つ以外はAutoのままでいいと思います。

DDR4メモリについては3000MHz以上にOCする場合は1.300~1.350V、3800MHz以上にOCする場合は1.370~1.400Vに上げる必要があります。メモリをOCする場合は最初から1.350V以上にDRAM電圧を盛っておくのがおすすめです。

1,2世代前の過去のIntel CPUではメモリ周波数を3200MHz以上にOCする場合は「VCCSA(CPU SA Voltage)」を盛るとメモリOCが安定したのですが、Intel第10世代CPU環境における「VCCSA」の影響は今のところよくわかりません。Auto設定で安定しない場合は昇圧を試してみても良いかもしれません。
また今のところZ390環境では現象を確認できていませんでしたが、メモリのオーバークロックでPCI-E拡張カードの検出不可やオンボードUSB端子同士の干渉などが発生する場合は「電圧設定」にある「VCCIO(CPU VCCIO Voltage)」や「チップセット電圧(PCH Core Voltage)」を盛ると安定するかもしれません。

ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3の動作検証・OC耐性
BIOS周りの管理人的に気になるところの紹介はこのあたりにしてASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3を使用した検証機で具体的に動作検証とOC耐性をチェックしていきます。まずはFast Bootとフルスクリーンロゴを無効にしてOSの起動時間を測定したところ、ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3の起動時間は14秒ほどした。ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3は起動が非常に高速です。
「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」にCore i9 10900Kを組み込んだ場合のBIOS標準設定における動作についてですが、Intel Extreme Tuning Utilityから確認したところ、2コアまでは53倍、全10コアで49倍の動作倍率になっており、CPUコア動作倍率は仕様値通りです。電力制限についてもPL1=TDP=125で公式仕様の通りに適用されており、BIOS標準設定ではTDP125WのCPUとしてCore i9 10900Kを運用できます。

続いてASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3を使用した場合のCPUとメモリのオーバークロック耐性をチェックしてみました。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
Core i9 10900KのOC設定は「PL1:無効化(4096)」、「PL2:無効化(4096)」、メモリのOC設定はG.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVKのOCプロファイルを適用し、「メモリ周波数:4000MHz」「メモリ電圧:1.500V」「メモリタイミング:15-16-16-36-CR2」としています。


上の設定を適用したところ問題なくOSを起動させることができました。


ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3の環境(BIOS:1.30)においてメモリのオーバークロックを行ったところ、G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVKのOCプロファイルによる、メモリ周波数を4000MHz、メモリタイミング:15-16-16-36-CR2の超低レイテンシで安定動作を確認できました。「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」はセカンド・サードタイミングのオートフィルの精度が非常に優秀です。

G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVKのOCプロファイルはすでに検証済みの他社製Z490マザーボードでは起動までは安定するものの、ストレステストをクリアできなかったのですが、「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」ではそのOC設定がすんなりと動作しました。
また同メモリキットを使用してBIOSから『メモリ周波数4000MHz、メモリタイミング16-16-16-36-CR2、メモリ電圧1.450V』のようにメモリ周波数と主要タイミングのみのカジュアル設定で4000MHz/CL16のOCを適用したところ、こちらも無事に安定動作を確認できました。

10コア20スレッド「Intel i9 10900K」の電力制限無効化 全コア4.9GHz、メモリ周波数4000MHz、メモリタイミング15-16-16-36-CR2でCinebench R20も問題なくクリアできました。

続いてこの設定を使用してストレステストを実行しました。
検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間7分、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)をソースとしてAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。Core i9 10900Kは10コア20スレッドのCPUなので、同じ動画のエンコードを2つ並列して実行し、30分程度負荷をかけ続けます。ストレステスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。

ストレステスト中のCPU温度とCPU使用率のログは次のようになりました。
まずは「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」のBIOS標準設定である『PL1:125W、PL2:250W、Tau:56s』とした場合についてですが、ソフトウェアモニタリング上のVRM電源温度は最大56度に収まり、TDP125W動作のCore i9 10900Kが安定動作しています。CPUクーラーのファン回転数は1200RPMで固定しています。

続いて電力制限を無効化した場合についてですが、こちらでもソフトウェアモニタリング上のVRM電源温度は最大68度に収まり、全コア最大動作倍率の4.9GHzに張り付くCore i9 10900Kが安定動作しています。CPUクーラーのファン回転数は1200RPMで固定しています。

スマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE Pro」(レビュー)を使用してASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3のVRM電源温度をチェックしてみました。
まずはCore i9 10900KをIntel公式仕様の通りTDP125Wで運用した場合についてですが、VRM電源温度はソフトウェアモニタリングで56度前後、サーモグラフィーのホットスポットでも60度未満に収めることができました。電力制限が適切に設定されているので余裕です。


続いてCore i9 10900Kの電力制限を無効化して全コア4.9GHzにクロックアップした時の負荷テスト中のVRM電源温度をチェックしていきます。ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3環境でCore i9 10900Kを電力制限無効化で全コア4.9GHzにクロックアップ、かつメモリも4000MHzにOCするとシステム全体(ほぼCPU)の消費電力が270Wに達します。

そんなCPU消費電力200W超級のVRM電源負荷に対して、「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」は90A対応Dr. MOSで構成される堅牢な9フェーズVRM電源回路と、2基のアクティブ冷却ファンを搭載するVRM電源クーラーのみで、VRM電源温度はソフトウェアモニタリングで68度前後、サーモグラフィーのホットスポットでも80度未満に収めることができました。
「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」であれば、Mini-ITX対応PCケースで一般的に使用可能な最大サイズとなる240サイズ簡易水冷で運用可能なCore i9 10900Kの電力制限無効化による全コア4.9GHzへのコアクロックにも標準装備のみで十分に対応が可能です。


「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」はVRM電源クーラーに標準で2基の冷却ファンを搭載しているので、これの冷却性能やファンノイズについて解説していきます。

上に掲載した負荷テスト中の温度グラフに併記していますが、アイドル時などVRM電源温度が十分に低い時、標準設定ではVRM電源冷却ファンは2000RPM程度で動作します。回転数は高いですがファンが小径なので、アイドル時のノイズレベルは35dBを下回っており、PCケースに入れてしまえばまず聞こえません。

一方でストレステスト中はVRM電源温度の上昇に合わせてVRM電源冷却ファンの速度も上昇していき、Core i9 10900KをTDP125Wで運用した場合については、VRM電源冷却ファンのファン速度が4000RPM弱に達します。回転数は高いですがファンが小径なので、アイドル時と同様にノイズレベルは35dBを下回っており、PCケースに入れてしまえばまず聞こえません。

一方でCore i9 10900Kの電力制限を無効化した場合、BIOS標準設定ではVRM電源冷却ファンのファン速度は5000RPM前後に達します。ノイズレベルは40dB未満に収まるのですが、ファン回転数が非常に高いこともあって周波数的にかなり耳障りなファンノイズが発生ます。200W超クラスの負荷に対してVRM電源温度が80度未満に収まるとはいえ、標準設定におけるVRM電源冷却ファンの煩さはデメリットの方が大きく感じました。

そこでBIOSからVRM電源ファンのファン速度を手動設定で固定しました。VRM電源冷却ファンが4000RPM前後に設定しています。今回の検証では簡単にVRM電源温度が80度以下でこの回転数になるよう固定しましたが、一般にはVRM電源温度60~70度でVRM電源冷却ファンが4000RPM未満になるように、それ以下でお好みのファンカーブを設定すると冷却性能と静音性が両立出来て良いと思います。

VRM電源冷却ファンを4000RPM前後にファン速度を固定するとノイズレベルは35dB以下になるので、PCケースに入れてしまえばまず聞こえません。

VRM電源冷却ファンのファン速度を4000RPM前後に手動設定で下げると、肝心のVRM電源温度がどうなるのか、Core i9 10900Kの電力制限無効化において同様の負荷テストで検証してみました。結果は下のサーモグラフィーの通り、ファン速度を落としてもVRM電源のホットスポットは標準設定とほぼ変わらず80度以下に収まっています。冷却性能を基本的に損なうことなく、静音性を確保できました。


「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」では標準設定のままVRM電源に大きな負荷がかかるとVRM電源冷却ファンが煩く感じるかもしれませんが、ファン速度を落としても十分な冷却性能は得られるはずなので、是非、BIOSから手動設定で調整してみてください。

ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3のレビューまとめ
最後に「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- Mini-ITXサイズのZ490マザーボード
- 90A対応Dr. MOSで構成される9フェーズの堅牢なVRM電源回路
- フィンアレイ型ヒートシンクと2基の冷却ファンで構成されるVRM電源クーラー
- メモリ周波数4000MHz/CL15で安定動作
- 4000MHz/CL16がカジュアル設定で安定動作、タイミングのオートフィル精度が優秀
- 10900Kの電力制限無効化による全コア4.9GHzでもVRM電源温度は80度以下に収まる
- 重量級グラボにも耐えるメタルアーマー採用PCIEスロット「STEEL SLOT Gen4」
- NVMe対応M.2スロットを2基搭載
- WiFi6、最大通信速度2400Mbps、Bluetooth5.1に対応した無線LAN搭載
- Thunderbolt3対応USB Type-C端子をリアI/Oに標準搭載
- Realtek製2.5Gbイーサ「Dragon 2.5 Gigabit LAN(RTL8125BG)」をリアI/Oに標準搭載
- CMOSクリアスイッチをリアI/Oに搭載
- 製品価格が3万円ほどと高価
- 標準設定ではVRM電源冷却ファンが煩い場合はBIOSから手動設定を推奨
(ファン速度を落としても冷却性能は十分確保できる)
「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」はMini-ITXサイズながら、90A対応Dr. MOSで構成される9フェーズVRM電源、4K/60FPSに対応したHDMI2.0&DisplayPort1.4のデュアルビデオ出力、一般的なギガビットイーサの2.5倍の帯域幅を実現するRealtek製2.5Gbイーサ、次世代規格WiFi6に対応したIntel AX201無線LAN、USB3.1 Gen2の4倍の帯域を実現するThunderbolt3端子などを搭載し、ハイエンドATXマザーボードに引けを取らないほど高性能な各種コンポーネントをコンパクト基板へてんこ盛りに詰め込んだゲーミングマザーボードに仕上がっています。
「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」のBIOSではクラシカルなUIが採用されており、OSインストールのブート設定からオーバークロックまで多方面に使いやすいUIだと思います。管理人個人的にも好みです。余談で、過去の製品では長らく日本語ローカライズが一部怪しかったのですが、「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」では正しく修正されたところが地味に注目ポイントでした。
「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」のBIOS標準設定でCore i9 10900Kを動作させるとTDP125W制限がちゃんと効いて、Intel公式仕様値通りの動作となっています。TDP125W動作であれば最上位モデルCore i9 10900Kでも120サイズ冷却ファンの空冷/簡易水冷CPUクーラーで問題なく運用できるので、「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」はIntel第10世代Core-SでPCを組む時に初心者にもお勧めできるマザーボードだと思います。
ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3を使用した検証機では10コア20スレッドのIntel Core i9 10900Kを電力制限無効化で全コア4.9GHzへのクロックアップ、さらにメモリ周波数も4000MHzにオーバークロックして負荷テストをクリアすることができました。
マザーボードのOC耐性を評価する上で重要なファクターになるVRM電源について、「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」はMini-ITXサイズながら非常に優秀な冷え具合を発揮しました。「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」であれば240サイズなどのマルチファン簡易水冷と組み合わせてもVRM電源温度を気にすることなくCore i9 10900Kをフル活用できます。
10コア20スレッドのCore i9 10900Kを電力制限無効化によって全コア4.9GHzにクロックアップすると、EPS電源経由のCPU消費電力が200Wを超えますが、「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」ではその強烈なVRM電源負荷に対しても、90A対応Dr. MOSなどで構成される9フェーズの堅牢なVRM電源回路が適切に熱を分散します。
Mini-ITXサイズの限られた実装スペースの中、VRM電源クーラーに2基の冷却ファンを搭載し、ヒートシンクのうち1つに放熱面積を大きく出来るフィンアレイ型ヒートシンクを採用することによって、標準装備のみでVRM電源温度を80度以下に収めることに成功しています。VRM電源冷却ファンが標準設定のままだと煩く感じる可能性はありものの、手動設定で適切に調整してやれば十分な冷却性能を維持しつつ、静音性も確保できます。
メモリOCについては、メモリ周波数と主要タイミングのみを指定するカジュアルOC設定で、デュアルチャンネル4枚刺しのメモリ周波数4000MHzにおいてメモリタイミング16-16-16-36-CR2まで詰めることができ、さらに「G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK」に収録されたメモリ周波数4000MHz/メモリタイミングCL15の超低レイテンシなXMPプロファイルも安定動作しました。
他社のZ490マザーボードでもなかなか安定動作しないOCプロファイルだったので、「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」はBIOSにお任せになることの多いセカンド・サードタイミングのオートフィルの精度も優秀なのだと思います。
以上、「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」のレビューでした。

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「ASRock Z490 Phantom Gaming ITX/TB3」 レビュー
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) June 7, 2020
良い
✅90A対応Dr. MOSによる9フェーズVRM電源
✅メモリ周波数4000MHz/CL15で安定動作
✅10900Kの電力制限無効化でもVRM電源温度は80度以下
✅Thunderbolt3端子を標準搭載
悪いor注意
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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記事内容大変参考になります。
ありがとうございます。
小さくてもハイスペックなPCが欲しく
情報を集めています。
質問よろしければになるのですが、こちらのマザーボードで。
小さいケースに入れる際の高さの心配をしています。
ライザーカードが突き出ているようですが
こちらは外した状態でも動作は可能でしょうか?