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NVIDIAの次世代モバイル向けGPU上位モデルGeForce RTX 3060 Laptop GPUや8コア16スレッドCPUのCore i7 10875Hを搭載し、高速144Hzリフレッシュレートに対応した液晶ディスプレイも採用する高性能ゲーミングモバイルPC「GALLERIA XL7C-R36」をレビューします。
・RTX 3060モバイル版搭載「GALLERIA XL7C-R36」の販売ページへ
GALLERIA XL7C-R36 レビュー目次
1.GALLERIA XL7C-R36の概要とスペック
2.GALLERIA XL7C-R36の外観・付属品
3.GALLERIA XL7C-R36のキーボードとI/Oポート
4.GALLERIA XL7C-R36のディスプレイ
5.GALLERIA XL7C-R36のCPU/GPU/ストレージのスペック
6.統合管理ソフトGaming Centerについて
・GALLERIA XL7C-R36によるCPU/GPU性能制御について
・GALLERIA XL7C-R36のファン制御について
7.GALLERIA XL7C-R36の温度・消費電力・ファンノイズ
8.GALLERIA XL7C-R36のCPU性能とGPU性能
・GALLERIA XL7C-R36のCPU性能とGPU性能のまとめ
9.GALLERIA XL7C-R36のレビューまとめ
【機材協力:ドスパラ】
GALLERIA XL7C-R36の概要とスペック
最初に今回レビューする「GALLERIA XL7C-R36」の概要と製品スペックについて簡単に紹介しておきます。GALLERIA XL7C-R36 詳細スペック | |
OS | Windows 10 Home 64bit |
CPU | Intel Core i7-10875H 8コア16スレッド (2.3GHz / 5.1GHz / TDP45W) |
CPU内蔵グラフィックス | Intel UHD Graphics for 10th Gen Intel Processors |
グラフィックス | NVIDIA GeForce RTX 3060 Laptop GPU |
ディスプレイ | 15.6インチ 1920x1080 144Hz アンチグレア、液晶モニタ(IPS相当) |
メモリ | DDR4-2933 SO-DIMM 8GB×2=16GB(2スロット、最大64GB) |
システムストレージ | 512GB NVMe M.2 SSD |
セカンドストレージ | - (空きスロット、NVMe M.2 SSDを増設可能) |
サウンド | 2 x 2Wスピーカー |
有線ネットワーク | 1Gnb LAN |
無線ネットワーク | Intel AX200 (802.11ax, WiFi 6対応) Bluetooth V5.2 |
USB | 2× USB3.1 Gen2 Type-A 1× USB2.0 Type-A 1× USB3.1 Gen2 Type-C (DP Alt対応) |
ビデオ出力 | HDMI2.1 USB Type-C (DP1.4) |
マイクヘッドホン | ヘッドホン/マイク用3.5mmジャック |
キーボード | テンキーレス日本語キーボード RGB 1670万色、Nキーロールオーバー |
ウェブカメラ | HD Webカメラ |
内蔵バッテリー | 充電式リチウム電池 (約 5.8 時間) |
電源 | 180W ACアダプタ |
オフィスソフト | オフィスソフトなし |
光学ドライブ | なし |
寸法、重量 | 幅359×奥行243×厚さ24.3(mm)、2.0kg |
GALLERIA XL7C-R36の外観・付属品
早速、「GALLERIA XL7C-R36」を開封していきます。モバイルPC本体はスポンジ製スペーサーでしっかりと衝撃から保護されています。小分けパッケージにはACアダプタ&ケーブルが収められています。
「GALLERIA XL7C-R36」の付属品はマニュアル冊子、ACアダプタ&ACケーブルとなっています
「GALLERIA XL7C-R36」の付属ACアダプタはFSP製で、電源出力は180W(19.0V×9.23A)です。ACケーブルを接続する端子はミッキー型と呼ばれることの多い3PIN端子です。
本体重量は製品スペックでは2000gと表記されていましたが、実際に計ってみたところ2009gでした。またACアダプタ&ケーブルは600g程度でした。両方合わせて2600gほどなので持ち運べなくはありませんが、外出時に気軽に、というのは難しい重さだと思います。自宅や職場で持ち運ぶ分には特に問題なさそうな重さです。
続いて「GALLERIA XL7C-R36」の外観を簡単にチェックしていきます。
「GALLERIA XL7C-R36」の天板はアルミニウム製でシルバー寄りなガンメタルカラーになっています。GALLERIA XL7C-R36はゲーミングモバイルPCながら中央のGALLERIAロゴを除けば装飾もなく、シンプルかつスタイリッシュな装いです。
写真ではなかなか伝えるのが難しいのですが、「GALLERIA XL7C-R36」の天板は艶やか、ラメのような粒上のキラキラがあって、質感高い塗装が施されており、シンプルながら高級感を醸し出しています。
「GALLERIA XL7C-R36」はデスクトップゲーミングPCの新型SK/SKMケースと統一感を持たせているのか、シルバー寄りなガンメタルカラーとなっており、黒色外装のゲーミングモバイルPCよりもスタイリッシュな印象です。
GALLERIA XL7C-R36は15.6インチモニタ搭載モバイルPCとなっており、仕様寸法は幅359mm×奥行243mm×高さ24.3mmです。A4サイズの用紙と比較すると下のようになります。
GALLERIA XL7C-R36のスペック上の厚みは24.3mmとなっていますが、これはゴム足を含めない数値のようで、地面から高さを測った時の最厚部は28mmほどになります。ちなみに先端の最薄部は10.1mm程でした。外に向けて底板が湾曲して薄くなるので最厚部に比べて体感ではかなり薄く感じます。
GALLERIA XL7C-R36の底板はプラスチック製です。ヒンジ寄りで底面1/3をカバーするエアスリットが吸気口として設けられています。
ドスパラに確認したところ、『底板を外してSSDやメモリの換装を行うことは可能(自己責任)ですが、メーカー修理などの保証を受ける際にはSSDやメモリを標準付属品に戻す必要がある』とのことです。内部構造は下のようになっており、底板さえ外してしまえれば、SSDやメモリの交換・増設は容易です。封印シールもなく、底板の固定は一般的なプラスネジなので内部へのアクセスは容易です。
「GALLERIA XL7C-R36」の吸気口は底面、排気口は背面左右と側面左右後方の計4か所となっており、非常に広いエアフロー面を備えています。
「GALLERIA XL7C-R36」のCPU&GPUの冷却機構としては、熱源から5本のヒートパイプによって左右の放熱フィンへ効率的な熱拡散を行い、2基の60mm径冷却ファンによって排熱します。
GALLERIA XL7C-R36のキーボードとI/Oポート
続いて「GALLERIA XL7C-R36」のキーボードやI/Oポートなどハードウェアを詳しく見ていきます。まずは本体右側のI/Oポートです。手前(左)から順に、SDXCカードスロット、USB3.1 Gen1 Type-Aポート×2を備えています。
続いて本体左側のI/Oポートです。手前(右)から順に、ヘッドフォン出力3.5mmジャック、マイク入力3.5mmジャック、USB2.0 Type-Aポート×1を備えています。
最近では無線マウスはBluetoothが主流ですが、USB3.XはLogicoolのUnifyingレシーバーなど2.4GHz帯を使用する一部のワイヤレスUSB機器と干渉するので、そういった機器のワイヤレスアダプタに最適な、USB3.Xポートから離れたUSB2.0ポートがあるのは嬉しい仕様です。
最後に本体背面のI/Oポートです。左から順に、USB3.1 Gen2 Type-Cポート(DisplayPort1.4)、HDMI2.1、1Gb LAN、DC端子を備えています。
「GALLERIA XL7C-R36」の本体背面に実装されたUSB Type-CポートはThunderbolt3/4には非対応ですが、DisplayPort Alternate ModeでRTX 30シリーズGPUに接続されたDisplayPort1.4対応ビデオ出力として使用できます。またHDMIは次世代規格のバージョン2.1に対応しているので8K/60FPSや4K120FPSの表示も可能です。
FPSなどオンライン対戦PCゲームを主戦場とするガチゲーマーにとって遅延(レイテンシ)や通信安定性から有線LANは必須なので、薄型筐体でも妥協せずに有線LANポートを搭載しているのは魅力です。
また「GALLERIA XL7C-R36」は最新WiFi 6に対応した無線LAN(Intel AX200)も搭載しています。接続規格としてはWi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac/ax、2.4/5GHzデュアルバンド、最大通信速度2400Mbps、Bluetooth 5.0に対応しています。
「GALLERIA XL7C-R36」のディスプレイ上端の中央には92万画素のHD Webカメラが実装され、ステレオマイクも内蔵されています。
「GALLERIA XL7C-R36」のキーボード周辺の全体像は次のようになっています。パームレストなどキーボード面は天板同様に質感の高いシルバー寄りガンメタルカラーのアルミニウム製です。
キーボード右上には、電源スイッチとパフォーマンスブーストスイッチがあります。
「GALLERIA XL7C-R36」についてはエンターキーの形を見ると分かりやすいですが、日本語配列キーボードが採用されています。かな英字入力の切り替えを行う「半角/全角/漢字」キーも実装されており、日本語入力もスムーズに行うことができます。
「GALLERIA XL7C-R36」に搭載されたキーボードのキーサイズは14.8mm、キーピッチは約19.5mmでした。キーの厚みは2mm程度と薄いですがちゃんと押下した感触もあります。
「GALLERIA XL7C-R36」のキーボードのロールオーバー(複数キーの同時押し)について公式には特に明記されていませんが、実際に試してみたところ、押下する領域に応じて若干変わるものの、8~10キー程度であれば同時押下が認識されました。実用上は問題にならない数のロールオーバーに対応していると思います。
「GALLERIA XL7C-R36」のキーボードにはキー全体の発光カラーを自由に16万色から自由に選択可能なRGB LEDイルミネーションが内蔵されています。
「GALLERIA XL7C-R36」のキーボード制御にはGaming Centerというアプリケーションを使用します。
任意のカラーで固定して発光するモード以外のライティング設定として、七色に変化するモード、任意の6色で順番に色が変化していくモードも選択できます。
キーボードバックライトにはキーボード操作がない時に一定時間で消灯する設定も用意されています。
「GALLERIA XL7C-R36」のキーボードの手前にはトラックパッドが設置されています。横117mm×縦74mmの幅広なトラックパッドなので16:9アスペクト比のワイド画面に対する操作性も良好です。トラックパッドは様々なジェスチャー操作にも対応しています。
左下にある「Fn」キーと最上段の「F5」キーを同時に押すとトラックパッドのON/OFFをワンタッチで切り替え可能です。PCゲームでキーボードを使うユーザーも多いと思うのでショートカットキーでサクッとトラックパッドの誤反応を防げる機能は便利だと思います。
ちなみにFnキーを押下するとその他のLEDイルミネーションが消灯して、ファンクション機能のあるキーだけが赤色に点灯するという親切設計です。
ちなみに「GALLERIA XL7C-R36」の電源スイッチはDeleteやBack Spaceなど頻繁に使用するキーと隣接してキーボード上に配置されていますが、単純な1回押下では無反応となっており、2秒長押しにシャットダウンが割り当てられています。
GALLERIA XL7C-R36のディスプレイ
「GALLERIA XL7C-R36」に搭載されたディスプレイについて詳しくチェックしていきます。「GALLERIA XL7C-R36」のディスプレイには、サイズが15.6インチでネイティブリフレッシュレート144Hz、1920x1080のフルHD解像度の液晶パネルが採用されています。
「GALLERIA XL7C-R36」のラップトップディスプレイは144Hzに対応していますが、逆に60Hzや120Hzといったリフレッシュレートは登録されていません。ハイリフレッシュレートと互換性が悪いケースもあるので、60Hzには対応していて欲しかったところ。
「GALLERIA XL7C-R36」のディスプレイパネルは映り込みが抑制されてPCゲーミングに最適なノングレアタイプになっています。
ちなみに「GALLERIA XL7C-R36」のディスプレイは135度まで展開が可能です。
「GALLERIA XL7C-R36」のディスプレイのベゼル幅は左右が約7.2mm、上が約9.8mmです。ベゼルと表示領域の間には1mm弱の非表示領域もあります。
「GALLERIA XL7C-R36」のディスプレイパネルは144Hzの高速リフレッシュレートながら、IPS液パネル相当の優れた視野角と発色を実現しています。
モバイルPC用ディスプレイなので搭載可能なバックライトに制約があり、視野角を広くしていくと輝度の低下は大きいですが、色の破綻は感じません。
「GALLERIA XL7C-R36」において、一般に見やすい明るさと言われる120cd/m^2は輝度40%前後、室内照明に依りますが個人的に見やすいと感じる明るさの180~200cd/m^2は輝度60%前後です。
比較対象としてグラフに併記しているSurface Pro 7+は最大輝度が高めなので伝わり難いかもしれませんが、「GALLERIA XL7C-R36」の最大輝度は320cd/m^2なので、ラップトップ標準搭載としてはそこそこ明るいディスプレイです。
全体白表示にして写真撮影で簡単にチェックしてみたところ輝度の均一性も良好でした。24インチオーバーサイズの高速リフレッシュレートなゲーミングモニタでよくある四隅&四辺の暗さもほぼありません。
「GALLERIA XL7C-R36」では統合管理アプリケーションGaming Centerからディスプレイ発色を調整する機能を使用できます。
Video ModeやPhoto Modeなど用途に応じた既定のプリセット(Effect)を選択できるほか、色温度、彩度、ガンマ、RGB強度などを任意に設定することも可能です。
「GALLERIA XL7C-R36」搭載ディスプレイの特徴の1つである”144Hzリフレッシュレート”について、その意味自体は特に説明せずとも読者はご存知だと思いますが、一般的な60Hzリフレッシュレートの液晶モニタが1秒間に60回の画面更新を行うのに対して、144Hzリフレッシュレートであれば1秒間に144回の画面更新、240Hzリフレッシュレートでは標準的な60Hzの4倍となる1秒間に240回の画面更新を行います。
「GALLERIA XL7C-R36」に搭載されたディスプレイのリフレッシュレートは144Hzのみが登録されており、120Hzや60Hzに下げて使用することはできません。
ハイリフレッシュレートなディスプレイを選択するメリットについては連載企画「ゲーミングモニタの選び方」シリーズの第5弾で詳しく紹介しているのでこちらの記事を参照してください。
・ゲーミングモニタの選び方[5] 144Hz/240Hzリフレッシュレートのメリット
次に「GALLERIA XL7C-R36」の応答速度や残像についてチェックしていきます。
応答速度の確認には「UFO Test: Ghosting」を使用します。同テストではUFOが移動する背景カラーを選択できますが、今回の検証ではブラック/グレー/ホワイトの3色を選択しています。
背景カラーがブラックの場合は各液晶パネルにおいて応答速度は高速な数値を示すので、概ね理想的な応答を確認することになります。背景カラーがホワイトの場合の応答速度は、ドキュメントやウェブページでテキストをスクロールした時の文字の滲み度合いの参考になります。背景カラーがグレーの場合、中間色に移るまでの応答速度を比較することになるので、一般的なゲームプレイにおける物理的な残像の少なさの指標として参考になります。
まずは簡単にシャッタースピードを十分に速くして「UFO Test: Ghosting」の様子を写真撮影してみました。
「GALLERIA XL7C-R36」を最大リフレッシュレートの144Hzで動作させた場合、ベストタイミングでは1フレームだけがほぼ綺麗に写りました。
ゲーミングモバイルPCの高速リフレッシュレートモニタではオーバードライブ補正が適用されていないこともありますが、「GALLERIA XL7C-R36」ではオーバードライブ補正が適用されています。高速シャッター撮影やスーパースローモーション動画ではオーバーシュートによる逆像も確認できますが、実際の視聴においては一番クッキリと見えるよう、上手く最適化されています。
さらに「GALLERIA XL7C-R36」のリフレッシュレートを変えてみたり、他の液晶モニタを比較対象にしたりしながら、「UFO Test: Ghosting」の様子を「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影し、比較してみます。
300Hz対応ディスプレイを搭載したゲーミングモバイルPCを144Hz動作にして「GALLERIA XL7C-R36」と比較してみると、オーバードライブ補正がない前者に比べて、「GALLERIA XL7C-R36」のほうが残像感が少ないのが分かると思います。
「UFO Test: Ghosting」において下の写真のようにUFOが微かに表示された瞬間を始点に、その地点のUFOが完全に消えた時点を終点にして、その間隔のフレーム数を応答速度として算出し比較してみました。なおオーバードライブ機能によって発生するオーバーシュート/アンダーシュートによる逆像が発生してから消えるまでの時間は別に計算しています。
測定には240Hz未満のモニタではSONY DSC-RX100M5の960FPSスーパースローモーションを使用していますが、240Hzを超えるモニタでは5760FPSのスーパースローモーションを使用しており、その場合は末尾に”*”マークを添えています。
評価の目安として、”1000msをリフレッシュレートで割って2倍した数値”よりも測定値が小さければ、画面更新に応答速度が追いついています。60Hzの場合は33.3ms、120Hzの場合は16.6ms、144Hzの場合は13.9ms、240Hzの場合は8.3ms、360Hzの場合は5.6msを下回っていればOKです。
まずは背景カラーがブラックの時の「GALLERIA XL7C-R36」やその他の比較対象モニタの応答速度の計測結果となります。背景カラーがブラックの場合は各液晶パネルにおいて応答速度は高速な数値を示すので、概ね理想的な応答を確認することになります。
続いて背景カラーがホワイトの時の「GALLERIA XL7C-R36」やその他の比較対象モニタの応答速度の計測結果となります。背景カラーがホワイトの場合の応答速度は、ドキュメントやウェブページでテキストをスクロールした時の文字の滲み度合いの参考になります。
最後に背景カラーがグレーの時の「GALLERIA XL7C-R36」やその他の比較対象モニタの応答速度の計測結果となります。背景カラーがグレーの場合、中間色に移るまでの応答速度を比較することになるので、一般的なゲームプレイにおける物理的な残像の少なさの指標として参考になります。
最後に「GALLERIA XL7C-R36」の表示遅延(内部遅延)について測定を行いました。
ディスプレイ表示には、『マウス・キーボードで操作を行い、GPUから出力された映像データが実際に画面へ表示されるまで』の一連の流れに遅延が存在します。このシステム表示遅延が大きいと、例えば、FPSゲームでゲームパッドのトリガーやマウスのクリックによる操作からワンテンポ遅れて、マズルフラッシュが表示される、といった現象が発生します。人間は当然目で見てから操作を行うので、格闘ゲームやFPSゲームなど1,2フレームを争うような競技性の高いゲームにおいて、システム表示遅延は可能な限り小さいことが望まれます。
システム表示遅延やディスプレイ表示遅延の測定には、フォトセンサーを使用した特殊な測定機器「PC Gaming Latency Tester」を使用しています。当サイトのレビュー用に特注した機器なので、詳細についてはこちらの記事を参照してください。
「GALLERIA XL7C-R36」やその他の比較モニタのシステム表示遅延の測定結果は次のようになりました。
グラフの通りリフレッシュレートを上げると応答速度だけでなく表示遅延も改善し、視認した情報に対してよりダイレクトな操作が可能になるので、ゲーマーにとってハイリフレッシュレートなモニタを選択するメリットは無視できません。
GALLERIA XL7C-R36のCPU/GPU/ストレージのスペックについて
GALLERIA XL7C-R36の各種性能をチェックする前に、同PCに搭載されているCPUとGPUのスペックについて簡単に紹介します。GALLERIA XL7C-R36のCPUスペック
GALLERIA XL7C-R36にはCPUとしてデスクトップPC並みの性能を誇るIntel Core i7 10875Hが搭載されています。Core i7 10875HのIntel公式仕様はコアスレッド数:8コア16スレッド、ベースクロック:2.3GHz、全コア最大ブーストクロック:4.3GHz、単コア最大ブーストクロック:5.1GHz、L3キャッシュ容量:16 MB SmartCache、TDP:45W(コンフィグラブル TDP-down:35 W)です。Intel第10世代のデスクトップ向け8コア16スレッドCore i7 CPUとそん色ないスペックになっており、最上位のCore i7で2コア4スレッドだった4, 5年前のモバイル向けCPUからは考えられない進化です。
システムメモリには自作PC界隈でも性能の高さで定評のあるSamsung製DDR4メモリが採用されています。Core i7 10875Hの定格メモリ周波数は2933MHzですが、採用メモリが2666MHz対応品のため、「GALLERIA XL7C-R36」のメモリ速度は、メモリ周波数2666MHz、メモリタイミング19-19-19-43-CR2です。
CPUスペックの話に戻りますが、「GALLERIA XL7C-R36」に搭載されるCore i7 10875Hは8コア16スレッドのCPUであり、1コア~8コアまで同時に負荷がかかった時の最大動作倍率はコア数1~6に対して順番に[51, 50, 49, 48, 47, 46, 45, 43]です。
デスクトップ向け8コア16スレッドCPUのCore i7 10700の動作倍率設定が[48, 48, 47, 47, 46, 46, 46, 46]であることと比較すれば、Core i7 10875Hのモバイル向けCPUらしからぬスペックの高さがわかると思います。
Core i7 10875HはCPUにフル負荷がかかった場合、長期間電力制限や短期でも排熱性能的にコアクロックが全コア4.3GHzに貼りついて動作するのは難しいですが、全コアが稼働するものの負荷的には低いワークロードであれば、多コア多スレッドなCore i7 10875Hでも全コアが4GHz超の高いコアクロックで動作することが可能です。(NVIDIA GeForce RTX 30シリーズをdGPUとして搭載している場合、CPU&GPUのトータル消費電力で調停するDynamic Boost 2.0が機能するので実際のコアクロック挙動は複雑になりますが。)
TDPに合わせて全コア最大ブーストクロックが低く設定されていた数年前のモバイル向けCPUと違って、
Core i7 10875Hは全コア最大ブーストクロックが高く設定されているので、TDPの低いモバイル向けCPUであってもPCゲームで高いパフォーマンスが発揮できます。
「GALLERIA XL7C-R36」に搭載されるCore i7 10875Hはバッテリー駆動時において、Intel公式仕様のうち、標準TDPの45Wではなく、省電力動作モードコンフィグラブル TDP-down:35Wに設定されており、Turbo Boost Power Max(長期間電力制限/Power Limit 1)」は35Wとなっています。全コア負荷時の実動コアクロックは平均で2.6~2.7GHz程度になります。
第10世代モバイルCPUの仕様において「Turbo Boost Short Power Max(短期間電力制限/Power Limit 2)」はPL1×1.25、短期間電力制限時間(Tau)は56秒ですが、「GALLERIA XL7C-R36」ではPL2もPL1と同じく35Wになっているようです。
「GALLERIA XL7C-R36」は標準動作モードにおいてバッテリー駆動時はPL1/PL2による電力制限は一律で35Wと考えればOKです。
当レビュー記事では簡単のため割愛しますが、CPUの電力制限やTDP関連について気になる人はこちらの記事を参考にしてください。
・2019年最新CPUの消費電力・発熱・TDP・温度について - 爆熱評価のウソほんと
一方でACアダプタ駆動時について、基本的な制御は上述の通りですが、Core i7 10875Kの製品スペックからすると、負荷の軽いシーンでは一部コアが最大5.1GHzで動作するはずなのですが、電源プラン等の変更してみても、最大で4.9~5.0GHzまでしか確認できませんでした。
(最大動作倍率については電力制御設定やモニタリングソフトの兼ね合いもあるので、上手く確認できないこともあります)
全コア負荷時について、バッテリー駆動ではPL1とPL2が共に35Wの設定でしたが、ACアダプタ駆動になるといずれも60Wに引き上がります。
「GALLERIA XL7C-R36」は標準動作モードにおいてACアダプタ駆動時はPL1/PL2による電力制限は一律で35Wと考えればOKです。この時、全コア負荷時の実動コアクロックは平均で2.6~2.7GHz程度になります。
「GALLERIA XL7C-R36」のACアダプタ駆動時のPL1/PL2については統合管理アプリGaming Centerを介して、かなり自由に調整が可能です。詳しくはGaming Centerの章で説明します。
GALLERIA XL7C-R36のGPUスペック
「GALLERIA XL7C-R36」はゲーマー向け高性能モバイルPCということで、NVIDIAの次世代GPUであるAmpere世代GeForce RTX 30シリーズにおいてモバイル版のミドルクラスに位置する「GeForce RTX 3060 Laptop GPU」がディスクリートGPU(dGPU)として搭載されています。NVIDIA製GPUを搭載するゲーミングPCではIntel製CPUの統合グラフィックス(iGPU)とシームレス切り替えを行う「NVIDIA Optimus テクノロジー」が採用された製品が多いですが、「GALLERIA XL7C-R36」もNVIDIA Optimus テクノロジーに対応していて、アクティブなアプリケーションに応じてシームレスにGPUが切り替わります。
アプリケーションに対して優先して使用されるGPUはNVIDIAコントロールパネルの「3D設定の管理 - プログラム設定」から、個別のアプリケーションに対して設定できます。
一部のゲーミングモバイルPCではdGPU単独モードへの切り替えに対応していますが、「GALLERIA XL7C-R36」はNVIDIA Optimusの無効化には非対応です。
NVIDIA製モバイル向けGPUについてはGTX10シリーズおよびRTX20/GTX16シリーズの2世代に渡って、デスクトップ向けGPUとシェーダー数(CUDAコア数)やVRAM容量などハードウェア仕様は完全に同じものがモバイル向けGPUとして採用されていました。そのためモバイル版でも型番を替えずにGTX 1070やRTX 2080と表記されていました。
最新のGeForce RX 30シリーズではデスクトップ版とモバイル版の物理スペックが大幅に異なるため名前は異なるものの、”RTX 30X0 Laptop GPU”という紛らわしい型番が割り当てられているので注意が必要です。省略されることも多く紛らわしいので、GTX9XXシリーズ以前のように末尾にMを付けて”RTX 3060M”にするなど、より分かりやすくモバイル版であることを明示して欲しかったところ。
「GALLERIA XL7C-R36」に搭載されている「GeForce RTX 3060 Laptop GPU」はCUDAコア数が3840とデスクトップ版よりも多く、一方でVRAM容量は半分の6GB、メモリ速度も12000MHzになっており、デスクトップ版のRTX 3060とは物理スペックが異なります。
「GALLERIA XL7C-R36」に搭載されているRTX 3060 Laptop GPUとデスクトップ版RTX 3060はCUDAコア数やVRAM容量などハードウェアスペックが異なるだけでなく、実際の動作に関わるベース/ブーストクロックとTDP(パワーリミット)の設定値もまた異なります。
モバイル版とデスクトップ版で差はあるもののモバイル向けRTX30の上位モデルと比べれば、下の表の通り、RTX 3060モバイル版のハードウェアスペックはRTX 3060デスクトップ版に近い数値です。
RTX 3060デスクトップ版のリファレンス仕様値がTGP170Wに対して、「GALLERIA XL7C-R36」に搭載されているRTX 3060モバイル版のパワーリミットは130Wに設定されていました。
GeForce RTX 3060 Laptop GPU スペック比較 | |||
RTX 3060 Laptop GPU GALLERIA XL7C-R36 |
RTX 3060 デスクトップ版 |
RTX 3060 Ti デスクトップ版 |
|
CUDAコア | 3840 | 3584 | 4864 |
ベースクロック | 900 MHz | 1320 MHz | 1410 MHz |
ブーストクロック | 1425 MHz | 1777 MHz | 1665 MHz |
VRAM | 6GB GDDR6 |
12GB GDDR6 | 8GB GDDR6 |
メモリクロック | 12000 MHz | 14000 MHz | 14000 MHz |
パワーリミット | 130W(最大) |
170W | 200W |
実際のGPU動作(性能)に大きく影響するパワーリミット(最大グラフィックパワー)にもRTX 30シリーズGPUでは注意が必要です。
なお、デスクトップ版では要求される性能が大きければシンプルにパワーリミットの上限に張り付く形でGPUの最大性能が常に発揮されますが、モバイル版は少し事情が違います。
ちなみに「GALLERIA XL7C-R36」が非対応のAdvanced Optimusはラップトップディスプレイで可変リフレッシュレート同期機能G-Syncに対応するかどうかというのが主な機能です。
RTX 30モバイル版においてもNVIDIAコントロールパネルから確認できる最大グラフィックパワーはGPUコアが使用できる最大電力であることには変わりないのですが、RTX 30モバイル版はGPUとCPU(あとVRAMも)の消費電力のトータルで発熱を調停する「Dynamic Boost 2.0」という機能に対応しています。CPU負荷が大きい時はGPUの発熱を抑制する動きが生じるため、実際には最大グラフィックパワーよりも低い電力で動作します。
静音性の観点からすると悪くない機能ではあるのですが、CPU負荷に依存してGPUパフォーマンスが変動してしまうため、RTX 30モバイル版は性能評価がかなり難しいGPUと言えます。なおDynamic Boost 2.0はユーザーが任意に無効化することはできません。
「GALLERIA XL7C-R36」に搭載されたモバイル版RTX 3060はバッテリー動作中、GPU電力の上限が30Wになり、標準では3Dアプリケーションのフレームレートが30FPSに制限されます。
GPU電力の上限は変更できませんが、上限フレームレートについてはGeForce ExperienceのBattery Boostの設定値を変更することで30FPS~60FPSで調整でき、同機能を無効化すれば、100FPSオーバーでも動作させることが可能です。
GALLERIA XL7C-R36のストレージスペック
「GALLERIA XL7C-R36」には標準搭載のストレージとして、PHISON PS5012-E12Sメモリコントローラーを採用したノーブランドのNVMe M.2 SSDが1台内蔵されています。ストレージ性能の測定で定番ベンチマークのCrystalDiskMark8.0を実行した結果が次のようになっています。
連続読み出しが3300MB/s、連続書き込みが2400MB/sに達しており、最新のNVMe(PCIE3.0x4) M.2 SSDとしては標準的な速度です。ストレージの実用性能を測定するPCMark10 Storage Testでもスコアは1500を超えており、やはりNVMe M.2 SSDらしい性能を発揮しています。
「GALLERIA XL7C-R36」は標準でシステムストレージとして512GB容量のNVMe M.2 SSDを搭載していますが、BTOカスタマイズによるストレージ増設には今のところ対応していません。
しかしながら「GALLERIA XL7C-R36」では『メーカー修理などの保証を受ける際にはSSDやメモリを標準付属品に戻す必要がある』ものの、『底板を外してSSDやメモリの換装を行うことは可能(自己責任)』とのことです。
底板には封印シール等はなく、一般的なプラスネジで固定されているだけなので簡単に開くことができます。もちろん底板を外して内部を破損させてしまった場合は、保証対象外もしくは有償保証になりますが、単純に底板を外しただけで即時に保証対象外になることはなく、注意して作業すれば各自で内装SSDやメモリの換装も可能です。
「GALLERIA XL7C-R36」には2基のNVMe SSD対応M.2スロットがあり、ハードウェア的には最大2基のNVMe M.2 SSDを装着することができます。1基はシステムストレージで使用済みですが、市販のM.2 2280サイズのNVMe M.2 SSDを購入すれば簡単に増設が可能です。
システムメモリについても一般的なSODIMM規格のDDR4メモリスロットが2基実装されています。メモリモジュールの換装によるアップグレードも容易です。
下の記事では、MLC/TLC/QLCのマルチビットセルやNVMe/SATA3.0など2021年最新のSSD事情について徹底解説しています。ストレージについて詳しく知りたい方は参考にしてください。
・おすすめSSDまとめ。QLC/TLC/MLCやNVMe/SATA3.0など最新SSD事情を解説
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統合管理ソフトGaming Centerについて
「GALLERIA XL7C-R36」には、CPU/GPUパフォーマンス、ディスプレイカラー設定、キーボードLEDイルミネーションなどモバイルPCの各種機能を統合管理できる専用アプリケーション「Gaming Center」がプリインストールされています。Gaming Centerはスタートアップアプリケーションとして登録されており、PC起動後はシステムアイコンに常駐します。
システムアイコンのクリックメニューから「表示」を選択するとメインメニューがウィンドウで表示されます。電源設定からは標準モード、静音モード、ターボモードの切り替えが可能です。
Gaming Centerのウィンドウを開くと次のようなメインメニューが表示されます。設定項目は「基本設定」「パフォーマンス」「バッテリー」「ディスプレイ設定」「ライト設定」「システムモニター」の6種類に大別されます。
Gaming Centerの基本設定では、ON/OFF形式で各種基本機能の切り替えを行うことができます。
Gaming Centerのパフォーマンスでは、電源プロファイルの作成、ファン制御設定、電力制限の調整などPC性能に影響する各種設定を行うことができます。詳しくはCPU/GPU性能制御に関する章で説明します。
Gaming Centerのバッテリーでは、充電状況やフル充電までかかる時間の確認、バッテリー充電設定を行うことができます。
Gaming Centerのディスプレイ設定では、色温度、彩度、ガンマ、RGB強度など細かいディスプレイ表示の設定を行うことができます。
Gaming Centerのライト設定では、キーボードバックライトの発光カラーや自動消灯の設定が可能です。
Gaming Centerのシステムモニターでは、システム情報や、リアルタイムのCPU/GPU温度、ファン速度などを確認できます。
GALLERIA XL7C-R36によるCPU/GPU性能制御について
Gaming Centerを介した「GALLERIA XL7C-R36」のCPU/GPU性能制御に関してもう少し踏み込んで解説していきます。「GALLERIA XL7C-R36」のCPUやGPUの性能制御(電力制御)は、Gaming Centerの「パフォーマンス - SPC Settings」(おそらくSmart Power Controlの略)にまとめられています。
SPC Settingsの設定内容をゲームや動画再生など用途に合わせてプロファイルとして保存しておくことも可能です。
なおSPC Settingsによる性能設定はACアダプタ駆動時のみ有効となり、バッテリー駆動時は自動的に無効化されます。
SPC SettingsにおけるCPUに関する電力制御の項目はいくつかありますが、ユーザーが触る必要があるのは主にPL1とPL2のみです。PL1では長期的なCPU消費電力の上限値、PL2では短期的(Tauで指定される1分弱程度)なCPU消費電力の上限値を設定できます。
標準設定ではいずれも60Wとなっており、1W単位で最大120Wまで任意にスライダーで設定が可能です。なお電力制限を引き上げれば性能の向上は期待できるものの、それだけCPUの発熱も大きくなるのでファンノイズも煩くなります。
PL1/PL2が60Wの標準設定では全コア負荷時のCPUコアクロックは3.3~3.4GHz程度ですが、SPC Settingsで電力制限を最大値120Wにすると、CPUコアクロックは4.0~4.1GHzまで引き上がり性能も20%程度向上します。
なおWindows10 OSから設定可能な電源プランについてはPL1/PL2等の電力制限には影響せず、ACアダプタ接続時の違いは最大パフォーマンスを選択した場合にSpeed Shiftが無効になってコアクロックが上限値張り付きになる程度です。
次に、GPUの電力制御についてチェックしていきます。
RTX 30 laptop GPU搭載モバイルPCでは一般に、GPU電力制限は一定値で固定されており、高性能動作プロファイルに切り替えた時にDynamic Boost機能によって10~15Wの引き上げに対応するだけですが、「GALLERIA XL7C-R36」はSPC SettingsのConfigurable TGP Targetから電力制限値を任意に設定できます。
標準設定ではトータルTGPが95W(90W+5W)に設定されていますが、Configurable TGP Targetは80~115W、Dynamic Boostは5~15Wの範囲内で設定できるので、トータルTGPを85W~130Wの範囲内で任意に調整できます。
3DMark TimeSpy Stress Test中の各種モニタリング値のグラフを見ながら、GPUの電力制御とコアクロックやフレームレートへの影響を説明していきます。
まず標準設定では、GPU消費電力は95W、CPUを含めたトータル電力が120W前後になるように制御されます。この時の平均コアクロックは1548MHz程度、平均フレームレートは50.5FPSです。
一方、GPUのトータルTGPを130Wに引き上げると、GPU消費電力は125W程度まで引き上がり(GPU&CPUのトータル電力制限があるので5W程度低くなる模様)、GPU+CPUのトータル電力も150Wへと引き上がります。この時の平均コアクロックは1772MHz程度、平均フレームレートは56.1FPSです。フレームレートを見ての通り「GALLERIA XL7C-R36」においてトータルTGPを130Wに引き上げるとグラフィック性能が10%も強化されます。
ちなみにトータルTGPを130Wにした場合、CPU&GPUファンを70%程度にすれば十分な冷却性能を得ることができます。
GALLERIA XL7C-R36のファン制御について
Gaming CenterからのCPU/GPUプロファイルについて触れたので、ここで合わせてGaming Centerから設定が可能なファン制御についても紹介しておきます。「GALLERIA XL7C-R36」には2基の冷却ファンが搭載されていますが、1基はCPUファン、もう1基はGPUファンとして制御され、それぞれの制御ソースはCPU温度とGPU温度で異なります。
標準では上記のようにファンカーブ設定はグレーアウトしており標準設定ファンカーブで制御されますが、「Enable Fan Control Respective」にチェックを入れると任意のファンカーブを設定できるようになります。
CPUとGPUはいずれも下のような縦軸がファン速度デューティ比、横軸がソース温度の10頂点ファンカーブで設定を行います。
CPU冷却ファンのほうは右端頂点から順に、95度、90度、85度…と温度が設定されています。一方でGPU冷却ファンの方は右端頂点が95度ではなく、80度で同じく5度刻みになっているようです。
手動ファン制御で十分に低いファン速度を設定した場合に、ソース温度が右端頂点、CPUなら95度、GPUなら80度を超過してもファン速度がフルスピードになることはないようです。右端頂点のファン速度で固定され、CPUなら100度、GPUなら87度の臨界温度を超過しないように電力制御が働く形になります。
RTX 30シリーズを搭載する「GALLERIA XL7C-R36」では、手動設定可能なUserモードであれば、CPU温度やGPU温度に依存しないファン制御ができるようになったのが大きなポイントだと思います。
放熱性能の上限はファン速度で決まりますが、負荷がかかってCPU温度やGPU温度が上限値に達した後はその放熱性能に収まるようにCPUやGPUの消費電力に対して自動的に制限がかかるので、静音性を優先した疑似的な電力制御が可能です。
簡単に言うとファン速度3000RPMを上限とした時に放熱性能が最大60Wなら、「GALLERIA XL7C-R36」に搭載されたRTX 3060をTGP60WのGPUとして運用できます。
あと「GALLERIA XL7C-R36」のGPU冷却ファンはソース温度が一定以下の時にファンが完全に停止するセミファンレス動作に対応していますが、これはファンカーブ設定とは関係なく動作するので、どのようなファン速度設定でも閾値温度を下回らない限りファンは停止せず、最小のファン速度は30%前後となります。CPU冷却ファンは常時動作のようですが、やはり最小のファン速度は30%前後となります。
「GALLERIA XL7C-R36」のファン制御にはソース温度の変化に対して応答遅延を与えることができます。標準設定では300msに対して0.5%、1秒間には最大でも1.5%程度しかファン速度が上昇しません。
一定時間(秒単位の)に上昇もしくは下降することが可能なファン速度に制限を設けることが可能なので、瞬間的な負荷でソース温度が上昇したとしてもファン速度が500RPMを超えて大きく変動することがありません。
時間的に見て速度変化が滑らかなので(乱高下しない)、音の性質として煩く感じにくいよう配慮されています。
GALLERIA XL7C-R36の温度・消費電力・ファンノイズ
GALLERIA XL7C-R36のCPU・GPUスペックや具体的な動作設定等について紹介したので、性能をチェックする前に、GALLERIA XL7C-R36の消費電力・温度・ファンノイズを見ていきます。CPU負荷時のCPU温度とCPUコアクロックについて
まずはGALLERIA XL7C-R36に搭載されたCPUの「Core i7 10875H」にフル負荷をかけた時のCPU温度やコアクロックを確認します。ファン速度はCPU温度を制御ソースとして変動しますが、「GALLERIA XL7C-R36」の標準ファン制御プロファイルではファン速度が3800RPM以上になることはありません。HWiNFO等のモニタリングソフトでファン速度のログを取得できないので、この検証では簡単化してファン速度はFixed Modeで固定しました。
「Core i7 10875H」をGALLERIA XL7C-R36のACアダプタ駆動における標準設定(PL1:60W、PL2:60W)で動作させて、動画エンコードによって30分ほどフル負荷をかけ続けると、CPU温度とCPUコアクロックは次のようになります。
PL1/PL2ともに60Wの設定なので、当然、CPU Package Powerは60Wに張り付きます。CPUコアクロックは実動平均で3.2GHz程度です。
この時にファン速度はCPUファンが59%、GPUファンが49%程度でした。電力制限が強制的にかかる臨界温度95度まではまだ多少の余裕があるので、標準設定でファンノイズが気になるようであればファン速度が50%以下になるように手動設定してみるのがオススメです。
一方、電力制限を引き上げ可能な最大値である120Wに、またファン速度を100%に固定すると次のようになりました。
CPUファンとGPUファン、2基の冷却ファンをフル回転にしても、1分足らずで臨界温度の95度に達し、自動的に電力制限がかかりました。環境温度にもよりますが、「GALLERIA XL7C-R36」の冷却機構でファンをフル回転させれば「Core i7 10875H」をCPU消費電力100W、全コア4GHz程度で運用できるようです。
静音性さえ度外視すれば「GALLERIA XL7C-R36」は8コア16スレッドCPUをデスクトップ向け並みの全コア4GHzで運用でき、なかなか魅力的な性能だと思います。
ゲーム負荷時のGPU温度とCPU温度について
続いてGALLERIA XL7C-R36に搭載されたGPUの「GeForce RTX 3060」とCPUの「Core i7 10875H」にPCゲームプレイ時に相当する負荷として、3DMark TimeSpy グラフィックテスト1を30分程度ループ再生させたときのGPU温度とCPU温度をチェックしていきます。「GALLERIA XL7C-R36」の標準動作で3DMark TimeSpy グラフィックテスト1を30分程度ループ再生させてGPU&CPUにトータルでフル負荷をかけ続けると、GPU温度が70度以下とかなり低く収まるのですが、代わりにファン速度が85%に達して、ファンノイズはかなり煩くなります。
ファン速度については上の章で説明した通り、任意に最大速度を設定できるので、CPUとGPUが臨界温度に達しないという条件でファン速度を緩めてみたところ、50%程度でも余裕がありました。
「GALLERIA XL7C-R36」はスピーカーでのゲームプレイも問題ない程度のファンノイズで十分にCPUとGPUを冷やすことが可能です。ちなみにトータルTGPを130Wに引き上げた場合はファン速度70%程度で十分な冷却性能を得られます。
GALLERIA XL7C-R36のキーボード表面温度について
「GALLERIA XL7C-R36」においてCPUやGPUに対して長時間負荷をかけ続けた時のキーボード等の表面温度とチェックしていきます。表面温度の測定にはサーモグラフィカメラ搭載スマートフォン「CAT S62 PRO」を使用しています。
まずはアイドル状態のまま長時間放置した時の「GALLERIA XL7C-R36」の表面温度です。キーボード全体の温度分布は概ね均一で、平均温度は30~33度程度なので、特に問題ありません。
続いて動画のエンコードによってCPUに30分以上フル負荷をかけ続けた時の「GALLERIA XL7C-R36」の表面温度です。キーボード全体が40度前後なので、長く指を置いていると少し熱く感じます。
タイピング中に指先でキートップに触れる程度であれば特に熱いと感じるほどではありません。手のひらを押し付けるような状態でもなければキーボードの熱さについては問題にならない気がします。
最後にPCゲーミング中を想定してFinal Fantasy XVベンチマークを30分以上ループさせてGPUとCPUにフル負荷をかけ続けた時の「GALLERIA XL7C-R36」の表面温度です。キーボードの中央部分は50度に迫ります。
キーボード&マウス操作で使用するWASDなど主要な左側キーは40度前後に収まっているので、キートップに触れる程度であれば特に熱いと感じるほどではありません。手のひらを押し付けるような状態でもなければキーボードの熱さについては問題にならない気がします。
またGPUのトータルTGPを最大値の130Wに引き上げると(ファン速度は80%で固定)、キーボード中央部の温度は50度を超過しましたが、やはりWASDなどPCゲーミングで重要なキーは40度前後に収まりました。PCゲーミングにおけるキーボードの左手操作を考慮して上手く冷却できていると思います。
GALLERIA XL7C-R36の消費電力とバッテリー持ちについて
「GALLERIA XL7C-R36」の消費電力についてチェックしていきます。消費電力の測定にはBluetooth接続でスマホから消費電力をリアルタイムモニタリング可能なワットチェッカー「ラトックシステム REX-BTWATTCH1」を使用して、電源ユニット(ACアダプタ)の変換損を含めた「GALLERIA XL7C-R36」のシステム全体の消費電力をチェックしています。
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「GALLERIA XL7C-R36」はバックグラウンドタスクによって変動もありますが、アイドル状態におけるシステム消費電力は概ね20W前後で推移します。
ちなみにNVIDIA Optimus テクノロジーに非対応のゲーミングモバイルPCの場合、アイドル時の消費電力は30W程度になります。
CinebenchR23や動画のエンコードなどCPUに対してフル負荷のかかるシーンでは、「GALLERIA XL7C-R36」に搭載されたCore i7 10875Hは標準動作(PL1/PL2:60W)なら100W程度の消費電力に収まります。
電力制限PL1/PL2を120Wに引き上げると、冷却の追いつく負荷開始直後では160~170Wとなり、ファン速度100%でも長期的には臨界温度で電力制限が働くので150W前後の消費電力が発生します。
GPUだけに負荷をかけやすい3DMark TimeSpyストレステストでは「GALLERIA XL7C-R36」のシステム消費電力(ACアダプタの変換損も含む)は150~160W前後となりました。またGPUのトータルTGPを130Wに引き上げるとシステム消費電力は180~200Wに達しました。
「GALLERIA XL7C-R36」の付属ACアダプタは電力出力180W対応(変換損除く)なので、標準動作なら余裕ですが、GPUのトータルTGPを130Wに引き上げた場合はかなりカツカツな印象です。とはいえ1時間程度負荷をかけ続けても動作は安定していたので、一応、電力供給には問題ないと思います。
「GALLERIA XL7C-R36」をバッテリー駆動において、電源プラン:より良いバッテリー、モニタ輝度を40%(約120cd/m^2)に設定し、PCMark 10 バッテリーテスト Modern Officeを使用してバッテリー持続時間を測定しました。フル充電(99~100%)の状態からWindows 10で省電力モードに切り替わる標準設定の10%まで電力が下がる時間を検証しています。
同テストにおける「GALLERIA XL7C-R36」のバッテリー持続時間は5時間ほどとなっており、NVIDIA Optimus テクノロジーによってiGPUを活用して省電力性能を高めているとはいえ、やはりdGPUを搭載する高性能モバイルPCなので、iGPUのみのモバイルPCと比較するとバッテリー持ちは短めです。
GALLERIA XL7C-R36のファンノイズについて
この章の最後に「GALLERIA XL7C-R36」のファンノイズをチェックしていきます。ゲーミングモバイルPCは画面サイズや製品によって細かい違いはありますが、基本的には『薄いブレードのブロアー式でファン径は50~60mm』なので、ファン回転数で分類してざっくりと以下のように大別できます。ノイズレベルは前方45度、距離30~50cmで測定した例です。
管理人的に、ゲーミングモバイルPCはゲーム負荷時にファン回転数3000~4000RPM以下に収まるかどうかが快適にプレイできる1つの水準となっています。
主観的な感想を補足しておくと、「GALLERIA XL7C-R36」については、ファン速度を回転数で確認できずリアルタイムのデューティ比しか分からないので、管理人の主観ベースでレポートします。
体感では40%以下ならファンノイズはファンの動作が分かる程度、50%以下ならスピーカーでも問題なくゲームプレイできる程度でした。60%くらいまでならイヤホン・ヘッドホンでシャットアウトできる感じです。80%を超えるとイヤホン・ヘッドホンをしていても耳障りになると思います。
標準設定でゲーム負荷をかけるとファン速度が85%に達するのでかなり煩く感じますが、冷却性能的には実は余裕があり、CPUとGPUが臨界温度に達しないという条件でファン速度を緩めてみたところ、50%程度でも安定して動作します。ちなみにトータルTGPを130Wに引き上げた場合はファン速度70%程度で十分な冷却性能を得られます。
標準設定で煩く感じる場合は手動設定でファン速度を適宜下げてやればいいので、静音性的にも「GALLERIA XL7C-R36」は悪くないPCだと思います。「GALLERIA XL7C-R36」のファン速度は任意に最大速度を設定できるので静音性主導で電力制限を課すような運用も可能です。
GALLERIA XL7C-R36のCPU性能とGPU性能
最後に「GALLERIA XL7C-R36」のCPU性能とGPU性能をチェックしていきます。GALLERIA XL7C-R36の基本性能
まずはPCMark 10 Extendedを使用して「GALLERIA XL7C-R36」の基本的な性能をチェックします。PCMark 10は動画再生能力DirectX11のグラフィック性能、Webブラウジング、ビデオチャットなど一般ユースにおけるPCの総合的な性能を測定するためのベンチマークソフトです。
「GALLERIA XL7C-R36」はCommand Centerから選択できるCPU/GPUプロファイルによって性能が変わりますが、基本性能の検証では簡単にACアダプタ駆動時の標準設定についてチェックしていきます。
アカデミック・オフィスワークに使用するPCとしては十分に高性能な「Microsoft Surface Pro 7+(Core i7-1165G7)」と比較すると、CPUに8コア16スレッドのCore i7 10875HそしてdGPUにGeForce RTX 3060 モバイル版を搭載する「GALLERIA XL7C-R36」は余裕で上回るパフォーマンスを発揮しています。
「PCMark 10 Extended」にはPCの基本性能を測る「Essentials」、ビジネスアプリケーション性能を測る「Productivity」、クリエイティブ性能を測る Digital Content Creation」、ゲーム性能を測る「Gaming」の大きく分けて4つのテストグループがあるので、このうち「Essentials」と「Productivity」の2つについて個別にベンチマークスコアを比較してみました。
PCの基本性能を測る「Essentials」は、アプリケーションの起動に要する時間を測る「App Start-up」、 ウェブブラウジングの性能を測る「Web Browsing」、1対1または多対多のビデオ会議をシミュレートする「Video Conferencing」の3つのワークロードで構成されています。
モバイル版Core i7を搭載するSurface Pro 7+やSurface旧モデルとの比較でわかりますが、一般的なPC利用において大半のデスクトップ向けCPUと同じく、「GALLERIA XL7C-R36」は十分な性能を備えています。
ビジネスアプリケーション性能を測る「Productivity」は、ワープロソフト(マイクロソフトWordなど)の処理性能をシミュレートする「Writing」、表計算ソフト(マイクロソフトExcelなど)の処理性能をシミュレートする「Spreadsheets」の2つのワークロードで構成されています。モバイル版Core i7を搭載するSurface Pro 7+やSurface旧モデルとの比較でわかりますが、一般的なオフィスワークにおいて大半のデスクトップ向けCPUと同じく、「GALLERIA XL7C-R36」は十分な性能を備えています。
GALLERIA XL7C-R36のCPU性能(クリエイティブタスク)
続いて「GALLERIA XL7C-R36」に搭載されたCore i7 10875HのCPU性能に大きく依存する、クリエイティブタスクにおけるパフォーマンスをチェックしていきます。「GALLERIA XL7C-R36」に搭載されたCore i7 10875Hは、8コア16スレッドのCPUであり、同PCの標準動作設定では[PL1:60W, PL2:60W, Tau:56s]の電力制限で動作するので、全コア負荷時の実動コアクロックは3.3~3.4GHz程度となります。
CPUのマルチスレッド性能を測定するベンチマークで定番のCinebench R23のスコアは8600程度でした。
また専用アプリから設定可能な最速動作としてPL1/PL2を120W、ファン速度を最大とすると、全コア負荷時の実動コアクロックは4.0~4.1GHz程度となります。CPUのマルチスレッド性能を測定するベンチマークで定番のCinebench R23のスコアは11100程度でした。
CPU性能の詳細な検証に用いるクリエイティブタスクについてはCPU使用率がフルロードになる3Dレンダリング、動画エンコード、RAW現像の3種類となっています。
具体的な測定内容は、3Dレンダリングはオープンソース3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフト、動画のエンコードは無料で利用できる動画編集ソフトとして国内外で多数のユーザーがいる「Aviutl」のx264エンコーダによる4K動画のエンコード、RAW現像はDxO PhotoLab(PRIMEあり、5472×3648解像度のRAW画像ファイル 100枚)です。
3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフトで測定する3Dレンダリング性能についてはレンダリング時間だけを見ても性能差が直感的にわかりにくいので、比較対象の中で最も遅いものを基準にして、「GALLERIA XL7C-R36」に搭載されたCore i7 10875Hを含めた各種CPUのレンダリング速度を性能比としてグラフ化しました。
x264エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の3840×2160解像度へエンコードした時のエンコード速度について「GALLERIA XL7C-R36」に搭載されたCore i7 10875Hを含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
(動画エンコードのベンチマークは2分程度で終了するため、1分弱続く短期間電力制限の設定値が高いCPUは相対的に性能が上がります。10~20分の長期間の負荷であれば3DレンダリングやRAW現像のテストの結果に近づくはずです)
DxO PhotoLabによるRAW現像速度について「GALLERIA XL7C-R36」に搭載されたCore i7 10875Hを含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
GALLERIA XL7C-R36のGPU性能(PCゲーミング)
続いて「GALLERIA XL7C-R36」に搭載されたディスクリートGPUであるGeForce RTX 3060 モバイル版のPCゲーミング性能についてチェックしていきます。国内最大手かつ大人気のMMO RPG「ファイナルファンタジーXIV」の2019年最新大型アップデート「FFXIV: 漆黒のヴィランズ」の公式ベンチマークソフトで「GALLERIA XL7C-R36」のPCゲーミング性能を測定してみました。
「GALLERIA XL7C-R36」はフルHD解像度のグラフィック設定:最高品質においてベンチマークスコアは8800オーバーとなっており、快適度評価も「非常に快適」をマークしています。FFXIV: 漆黒のヴィランズの公式ベンチマークソフトでは総合スコアを1.5×100で割った値がちょうど平均FPSくらいなので100FPSを超えています。
RTX 3060 モバイル版を搭載した「GALLERIA XL7C-R36」ならFFXIV: 漆黒のヴィランズをフル解像度のハイフレームレートで滑らかにプレイできます。
「GALLERIA XL7C-R36」と各種デスクトップ向けGPUについて3DMark TimeSpyのベンチマークスコアを比較してみました。
グラフィックスコアを参照しているので基本的にCPU性能に依存せずGPU性能にのみ比例します。
なお「GALLERIA XL7C-R36」については標準動作設定に加えてに加えて、トータルTGPを130Wに引き上げたケースについても測定しています。
詳しくは微妙に長くなるので下の記事でまとめましたが、「GALLERIA XL7C-R36」に搭載されたRTX 3060 モバイル版を含めRTX30モバイルGPUはDynamic Boost 2.0の影響で大きくGPU性能を損なうことはめったになく、実際のPCゲーム性能は概ね3DMark TimeSpyのベンチマークスコアの傾向と一致します。
GALLERIA XL7C-R36のCPUとGPU性能のまとめ
CPUに8コア16スレッドのCore i7 10875H、GPUにRTX30モバイル最速GPUのGeForce RTX 3060 モバイル版を搭載する「GALLERIA XL7C-R36」の性能についてチェックしてきましたが、簡単に箇条書きでまとめると次のようになります。- GALLERIA XL7C-R36の標準動作をデスクトップ向けCPUで比較すると、
6コア12スレッドCPUのCore i5 10400よりも若干高速な性能
- GALLERIA XL7C-R36を最速CPU動作プロファイル(PL1/PL2:120W)に切り替えると
8コア16スレッドCPUのCore i7 10700のTDP65W動作と同程度の性能になる
- GALLERIA XL7C-R36のRTX 3060モバイル版は最大グラフィックパワー130W
標準設定における実動のGPU Powerは平均95W程度
- GALLERIA XL7C-R36の標準動作(P-avg:95W)はデスクトップ向けGPUで比較すると、
RTX 2060とほぼ同じ性能、RTX 3060よりも性能が低い
- GALLERIA XL7C-R36の最速動作(P-avg:130W)はデスクトップ向けGPUで比較すると、
RTX 3060と同等の性能で、低TGPなRTX 3070モバイル版よりも高速
- RTX 30モバイル版はDynamic Boost 2.0の影響でCPU負荷が高いシーンでは
GPU性能が10%程度下がる可能性もある
GALLERIA XL7C-R36のレビューまとめ
最後にRTX 3060 Laptop GPUや300Hz対応高速ディスプレイを搭載した高性能ゲーミングモバイルPC「GALLERIA XL7C-R36」の実機サンプルを検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 8コア16スレッドCore i7 10875Hを搭載し、標準でPL1:60W、最大で120Wにも対応
デスクトップ向けではCore i5 10400と同等、120WならCore i7 10700 TDP65W動作と同等 - RTX 3060 Laptop GPUを搭載し、実動GPU Powerは95W
デスクトップ版ではRTX 2060と同等の性能 - トータルTGPを130Wに引き上げるとRTX 3060でスクトップ版に迫る性能に
- 144Hzリフレッシュレートの液晶ディスプレイを搭載、OD補正も最適
- 専用アプリ方最大ファン速度を任意に設定できる
- 筐体は厚さ25mm程度で薄い。重量も2.0kgで持ち運びも可能
- システムストレージはNVMe M.2 SSDで高速
- 封印シールもなく、SSDやメモリを増設・換装しても、元に戻せば正規保証の対象
- ビデオ出力として4K/120FPSに対応するHDMI2.1を搭載
- カスタマイズしても翌日出荷で納期が非常に早い(2021年5月17日時点)
- ラップトップディスプレイは60Hzや120Hzに非対応
- 手動ファンカーブの温度軸に数値表記がないのが分かり難い
「GALLERIA XL7C-R36」はRTX30シリーズモバイル版のGeForce RTX 3060 Laptop GPU(平均GPU Power 95W)を搭載しており、デスクトップ版GPUと比較するとGeForce RTX 2060と同等のグラフィック性能を発揮します。
標準のままでもデスクトップ版RTX 3060にあと10%程度に迫る性能ですが、専用アプリケーションからトータルTGPを標準設定の95Wから130Wへ引き上げると、グラフィック性能はデスクトップ版RTX 3060相当に強化されます。
標準で95W、手動設定によって最大で130WのトータルTGPに対応するRTX 3060 Laptop GPUを搭載した「GALLERIA XL7C-R36」は、TGPの低い上位GPUと同等か上回る性能も発揮することが可能なので、非常にコストパフォーマンスに優れた製品だと思います。
CPUのCore i7 10875Hは物理的には確かに8コア16スレッドCPUですが、Core i7 10700KやRyzen 7 3700Xなどデスクトップ向け8コア16スレッドCPUと比較するとマルチスレッド性能には大きな差があります。11世代になると多少改善の兆しもあるのですが、第9/10世代のIntel製CPUが8コア16スレッド相応の性能を発揮するにはPL1:95W以上が必要なので。
デスクトップ向けCPUを基準に考えた場合、Core i7 10875Hは6コア12スレッドのCore i5 10400と同程度という感じです。
ただ静音性を度外視すれば、PL1/PL2:120Wとファン速度100%に設定することで、8コア16スレッドCPUを全コア4.0GHz前後で運用でき、デスクトップ向けで言うとCore i7 10700のTDP65W動作相当まで性能を引き上げることができます。
「GALLERIA XL7C-R36」はGPU&CPUのスペックも強烈ですが、ラップトップディスプレイとして搭載されている144Hzの高速リフレッシュレートな液晶ディスプレイも大きな特徴の1つです。
ゲーミングモバイルPCに搭載されている高速リフレッシュレートなモニタはオーバードライブ補正が適用されておらず、同リフレッシュレートの市販ゲーミングモニタに比べて応答速度が遅いこともあるのですが、「GALLERIA XL7C-R36」はオーバードライブも応答速度がベストになるよう最適化されており隙がありません。
RTX 3060モバイル版やCore i7 10875Hといった高性能システムをしっかりと運用できる冷却性能は備えているものの、標準設定の場合ファン速度が85%と高くなるため、やはりゲーミングモバイルらしいファンノイズが生じます。
ただ標準設定ならファン速度を50~60%程度に引き下げても十分に冷えるので、これならスピーカーでもゲームがプレイできる程度の騒音です。トータルTGPを130Wに引き上げた場合も70%~80%で十分冷やせて、ヘッドホンならシャットアウトできる程度です。
ドスパラのBTO PCは今回レビューしたゲーミングモバイルも含めて、「翌日で出荷可能、カスタマイズしても納期そのまま」等、数日で出荷完了というモデルも多く、BTO PCメーカー各社の中でも納期に関する面では頭一つ飛び抜けて速いのが特徴です。早く最新PCでゲームをプレイしたいユーザーにとっては嬉しいショップだと思います。
以上、「GALLERIA XL7C-R36」のレビューでした。
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GeForce RTX 3060 Laptop GPUとCore i7 10875Hを搭載した高性能ゲーミングモバイルPC「GALLERIA XL7C-R36」をレビュー。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) May 17, 2021
高速144Hzに対応したIPS液晶ディスプレイの性能も徹底検証。https://t.co/euFtgs9xe0 pic.twitter.com/BEYO7t2S2L
・RTX 3060モバイル版搭載「GALLERIA XL7C-R36」の販売ページへ
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