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Intel第10世代Comet Lake-Sと組み合わせて使用できる主要4社のIntel Z490チップセット搭載LGA1200マザーボードのうち、2万円前半で購入できる売れ筋の4モデル、「ASRock Z490 Steel Legend」「ASUS TUF GAMING Z490-PLUS」「GIGABYTE Z490 AORUS ELITE」「MSI MAG Z490 TOMAHAWK」を比較し、当サイト的にオススメのZ490マザーボードはどれなのか徹底解説します。
今回、管理人は各モデルをPCパーツショップのTSUKUMOで購入しましたが、2020年5月末の時点で「ASRock Z490 Steel Legend」「ASUS TUF GAMING Z490-PLUS」「MSI MAG Z490 TOMAHAWK」の3モデルが22,000円、「GIGABYTE Z490 AORUS ELITE」が24,000円でした。2,3か月すればもう少し値下がりして2万円を切る価格で購入できるようになるかもしれません。
Intel Z490マザーボード 比較機種 | ||||
ASRock Z490 Steel Legend | 公式ページ | マニュアル | レビュー | Amazon 販売ページ |
ASUS TUF GAMING Z490-PLUS | 公式ページ | マニュアル | レビュー | Amazon 販売ページ |
GIGABYTE Z490 AORUS ELITE | 公式ページ | マニュアル | レビュー | Amazon 販売ページ |
MSI MAG Z490 TOMAHAWK | 公式ページ | マニュアル | レビュー | Amazon 販売ページ |
目次
1-1.Z490チップセットと下位チップセットH470/B460の違い
1-2.Intel第10世代CPUではメモリOCが可能なZ490を選ぶべき
【ハードウェアスペックを比較】
2-1.Intel Z490マザーボードのCPUソケットを比較
2-2.Intel Z490マザーボードのメモリスロットを比較
2-3.Intel Z490マザーボードのPCIE拡張スロットを比較
2-4.Intel Z490マザーボードのSATA端子を比較
2-5.Intel Z490マザーボードのM.2スロットを比較
2-6.Intel Z490マザーボードの排他利用について
2-7.Intel Z490マザーボードのリアI/Oを比較
2-8.Intel Z490マザーボードのUSB/PS2/TB3端子を比較
2-9.Intel Z490マザーボードの有線LAN/無線LANを比較
・Windows標準ドライバの対応に注意
2-10.Intel Z490マザーボードのファン端子を比較
2-11.Intel Z490マザーボードのCMOSクリア/デバッグ機能を比較
2-12.Intel Z490マザーボードのオンボードサウンドをスペック比較
2-13.Intel Z490マザーボードのVRM電源をスペック比較
2-14.Intel Z490マザーボードのLEDイルミネーション機能を比較
2-15.Intel Z490マザーボードのその他の各社特長
【実際に性能を検証してみる】
3-1.Intel Z490マザーボードの検証機材
3-2.Intel Z490マザーボードの起動時間を比較
3-3.Intel Z490マザーボードのメモリOC耐性を比較
3-4.Intel Z490マザーボードのVRM電源の温度を比較
4.Intel Z490マザーボードの比較まとめ
リンク.Intel第10世代Comet Lake-Sのレビュー記事一覧へ
【執筆:2020年6月12日、最終更新:2020年11月29日】
Z490チップセットと下位チップセットH470/B460の違い
Intel第10世代Comet Lake-Sに対応するIntel 400シリーズチップセットの種類とその違いについて説明しておきます。なおチップセットとマザーボードに関する予備知識はこちらの記事で解説しているので気になる人は参照してください。Intel第10世代Comet Lake-Sに対応するチップセットは主に、Intel Z490、Intel H470、Intel B460、Intel H410の4種類となっており(あとサーバー・ワークステーション向けでXeonに対応するIntel W480)、機能や拡張性について違いを抜粋すると次のテーブルのようになっています。
USBポート数やSATAポート数は各チップセットの内蔵コントローラーで制御可能な最大数なので、マザーボード製品によって実際に実装されている数は異なります。またチップセット直結のPCIEレーンにサードパーティー製のSATAコントローラーやUSB3.1 Gen2コントローラーを接続することで下のテーブルよりも多いSATAポートやUSBポートを実装する製品もあるので、実際の仕様は製品に依るというのが実状です。
Intel 400シリーズチップセット比較 | ||||
チップセット | Z490 | H470 | B460 | H410 |
CPU-PCH間バス | DMI3.0 (≒PCIE3.0x4) | |||
CPUコア倍率OC | O K付きCPUのみ |
X |
||
メモリOC 特に重要! |
O K付きCPU以外も メモリOCは可能 |
X メモリ周波数は、 Core i9/i7で最大2933MHzまで Core i5/i3で最大2666MHzまで |
||
マルチGPU(NVIDIA SLI) | O | X |
||
PCIEレーン数(ver) | 24 (3) |
20 (3) | 16 (3) | 6 (3) |
RAID 構成 | NVMe 0,1,5 / SATA 0,1,5,10 | – | ||
PCH内蔵WiFi | AX201 WiFi6 |
AX201 WiFi6 |
AX200 WiFi6 |
– |
最大USB2.0ポート数 | 14 | 12 | 10 | |
最大USB3.2ポート数 | 10 | 8 | 4 |
|
USB3.2 Gen.2 | 6 | 4 | 0 | 0 |
USB3.2 Gen.1 | 10 | 8 | 8 | 4 |
SATA3.0ポート数 | 6 | 4 |
Intel第10世代CPUではメモリOCが可能なZ490を選ぶべき
Intel製CPUとAMD製CPUで悩んだ上で、Intel第10世代Core-Sの自作PCを組むのであれば、安価な下位チップセットではなくZ490チップセットを搭載したマザーボードを選択することを推奨します。多少面倒になりますが、Intel製CPUとAMD製CPUで悩んでいる人はCPU&マザーボードのプラットフォーム単位でコストパフォーマンスを検討するのがオススメです。
Z490マザーボードと下位チップセットとの違いとして、「OCの可否」と「増設IOの数」の2種類がよく挙げられますが、前者については若干注意が必要です。Core i9 10900KやCore i7 10700KなどK付きの倍率アンロックCPUと組み合わせた場合にCPUコア動作倍率を変更(オーバークロック)できるというだけでなく、Z490環境ではCore i5 10400やCore i7 10700などK付き以外のCPUも含めて定格を超えるメモリ周波数へのオーバークロックが可能になります。
Intel製CPUを選択する理由の1つとして、AMD製CPUよりもゲーム性能に優れるというのがありますが、Intel第10世代Core-S環境においてゲーム性能を遺憾なく発揮するには3200MHz~3600MHzにメモリ周波数をOCする必要があり、Z490マザーボードとの組み合わせが必須です。
下位チップセットのH470やB460マザーボードではメモリ周波数が定格値を上限として制限されるので、Z490マザーボードを選択しなければなりません。(メモリのOC自体は3200MHz~3600MHzならOCプロファイルで簡単に動くので難しくありません)
----【Core i5 10400のレビュー記事より抜粋】----
今回の検証では統一検証機材のZ490マザーボードを使用しているためメモリ周波数を3600MHz/CL16に揃えているのですが(第3世代Ryzen環境も同様)、「Intel Core i5 10400」の定格メモリ周波数は2666MHzとなっているため、H470やB460など1万円前後で購入できるであろう下位チップセットのマザーボードでは設定可能な最大メモリ周波数が2666MHzになります。
アプリケーションに依るところも大きいのですが(動画エンコードは比較的影響を受けやすい)、Intel製CPUではメモリ周波数はクリエイティブタスク性能にはさほど大きくは影響しません。一方で、ハイフレームレートなPCゲーミングではメモリ周波数がパフォーマンスに影響するタイトルが多いです。
そこで追加検証としてCore i5 10400でメモリ周波数と2666MHz/CL16に下げたケースについてもハイフレームレートなPCゲーミングの性能を測定してみました。メモリ周波数を下げたことによる性能への影響はゲームタイトルにもよるのですが、3600MHz/CL16に統一するとCore i5 10400が上回っていたタイトルでも、メモリ周波数が2666MHzに下がると、メモリ周波数3600MHzのRyzen 5 3600に負けてしまうケースがあります。
AMD第3世代RyzenがB450や近日発売予定のB550など下位チップセットでもCPUコアクロックが倍率アンロックであるだけでなく、メモリ周波数もOC可能なのに対して、Intel第10世代Core-SはZ490以外の下位チップセットではメモリ周波数をOCできません。
下位チップセットでメモリ周波数が2666MHzに制限されるIntel第10世代のCore i5は(2933MHzのCore i7やCore i9でもメモリ周波数が足を引く可能性が)、定格の3200MHzやスイートスポットとされる3600MHzのメモリ周波数で動作する第3世代Ryzenの競合モデルにゲーム性能で負ける、もしくは性能で迫られ、ゲーマー向けに優れた性能というメリットがなくなる恐れがあります。
「Intel Core i5 10400」は同コアスレッド数の価格でRyzen 5 3600に追いついたものの、魅力のゲーム性能を十分に発揮するには最安値で2万円以上のZ490マザーボードを使用する必要があり、1万円台で購入できるB450マザーボードでメモリOCに対応するRyzen 5 3600に結局コストパフォーマンスで水を開けられてしまいます。
逆にプラットフォーム単位で同価格になるH470やB460など下位チップセットのマザーボードを選択すると、メモリ周波数が2666MHzに制限されてゲーム性能を発揮できないというジレンマに陥ります。CPUの動作倍率は固定でもいいので、下位チップセットでもメモリ周波数だけはOCを開放してもらいたい、というかIntel製CPUの下位モデルが競争力を維持するにはその必要があると思います。
OCメモリの選び方や具体的なオーバークロックの設定方法については、こちらの記事を参考にしてください。
・【できる!メモリOC】 OCメモリの選び方から設定まで完全解説
Intel Z490マザーボードのCPUソケットを比較
ASRock Z490 Steel Legend、ASUS TUF GAMING Z490-PLUS、GIGABYTE Z490 AORUS ELITE、MSI MAG Z490 TOMAHAWKの4機種のCPUソケットを比較していきます。今回比較するマザーボードはIntel第10世代Comet Lake-Sに対応するIntel Z490チップセット搭載なので、当然ながら基本的な形状やピンアサインはIntel LGA1200ソケットで共通していますが、実はCPUを下から支えるフレームに若干の違いがあります。
ASRock Z490 Steel LegendとGIGABYTE Z490 AORUS ELITEの2機種はCPUを下から支えるフレームの枠が4辺全て均等に反り立っています。
一方でASUS TUF GAMING Z490-PLUSとMSI MAG Z490 TOMAHAWKの2機種については、フレーム4辺の中央がそれぞれ凹んでいます。
CPU本体をソケットに着脱する時にCPUを摘まむ指と、CPUソケットのフレームが当たり難い構造になっており、特にCPUを摘まんで持ち上げる、取り外しの時に便利な構造です。
Intel Z490マザーボードのメモリスロットを比較
ASRock Z490 Steel Legend、ASUS TUF GAMING Z490-PLUS、GIGABYTE Z490 AORUS ELITE、MSI MAG Z490 TOMAHAWKの4機種のメモリスロットを比較していきます。今回比較する4機種はいずれも4基のDDR4メモリスロットを搭載しています。
ASRock Z490 Steel LegendとASUS TUF GAMING Z490-PLUSのDDR4メモリスロットは片側ラッチです。
GIGABYTE Z490 AORUS ELITEとMSI MAG Z490 TOMAHAWKのDDR4メモリスロットは両側ラッチです。
またGIGABYTE Z490 AORUS ELITEにはDDR4メモリスロットには外部ノイズEMIから保護して安定したメモリOC環境を実現し、またメモリモジュールの挿抜によるPCB基板の歪みや破損を防止する金属シールド「Ultra Durable Memory Armor」が実装されています。
Intel Z490マザーボードのPCIEスロットを比較
ASRock Z490 Steel Legend、ASUS TUF GAMING Z490-PLUS、GIGABYTE Z490 AORUS ELITE、MSI MAG Z490 TOMAHAWKの4機種のPCIE拡張スロットを比較していきます。4機種のPCIE拡張スロットについて概要を比較すると下のテーブルのようになっています。PCIEスロットの内部接続帯域と物理サイズが異なる場合は()内に物理サイズを併記しています。画像を選択すると拡大写真を確認できます。排他利用の詳細についてはリンクでジャンプする章で説明しています。
チェックポイント1:比較機種の違いはx1スロットの数と位置だけ
Intel Z490マザーボードの上位モデルでは、プライマリGPU用とは別に実装されたx16サイズスロットとCPU直結PCIE3.0x16レーンの帯域を共有していて[x16, N/A] or [x8, x8]で使用できるものもあります。しかしながら今回比較機種として選択した4機種については、2段目にプライマリGPU用のCPU直結PCIE3.0x16スロット、5段目にPCH経由のPCIE3.0x4スロットのレイアウトで共通し、排他利用もありません。
そのため今回の比較4機種のPCIEスロットに関する違いは、PCIE3.0x1スロットの数と位置だけです。
まずx1サイズスロットの数についてはASRock Z490 Steel LegendとASUS TUF GAMING Z490-PLUSが3基、GIGABYTE Z490 AORUS ELITEとMSI MAG Z490 TOMAHAWKが2基を搭載しています。
x1サイズスロットの位置については注意点が2つあります。
1段目にx1サイズスロットを搭載しているASUS TUF GAMING Z490-PLUSとGIGABYTE Z490 AORUS ELITEは、この位置のPCIEスロットを使用する場合、空冷CPUクーラーとの干渉に注意が必要です。
4段目にx1サイズスロットを搭載しているASRock Z490 Steel LegendとASUS TUF GAMING Z490-PLUSとMSI MAG Z490 TOMAHAWKについては、2段目のプライマリGPU用PCIEスロットに2.5~3スロットを占有する大型グラフィックボードを使用すると同スロットが利用できなくなります。
チェックポイント2:メタルアーマーの有無
2020年現在、GeForce RTX 2080 TiやRadeon VIIなどハイエンドGPUはもちろんのこと、GeForce RTX 2070 SUPERやRadeon 5700 XTなどミドルハイクラスGPUでも、冷却性能と静音性を向上されるため、全長300mm前後、3スロット占有といった大型GPUクーラーを搭載するモデルが増えつつあり、グラフィックボード重量が1kgを超過するモデルも少なくありません。グラフィックボードの荷重はほぼ全てマザーボードPCIEスロットにかかるので、最近ではPCIEスロットを補強するためメタルアーマーの搭載が主流になっています。
今回比較する4機種の中では、ASRock Z490 Steel Legend、ASUS TUF GAMING Z490-PLUS、GIGABYTE Z490 AORUS ELITE、MSI MAG Z490 TOMAHAWKの全モデルがプライマリGPU用のPCIEスロットに各社独自設計のメタルアーマーを搭載していました。
またGIGABYTE Z490 AORUS ELITEについては5段目のPCIEスロットにメタルアーマーは非搭載ですが、PCIEスロット左右端の固定を補強するGIGABYTE特許取得済「Double Locking Bracket」が採用されており、MSI MAG Z490 TOMAHAWKも同等の補強が施されています。
Intel Z490マザーボードのSATA端子を比較
ASRock Z490 Steel Legend、ASUS TUF GAMING Z490-PLUS、GIGABYTE Z490 AORUS ELITE、MSI MAG Z490 TOMAHAWKの4機種のSATA端子を比較していきます。4機種のSATA端子について概要を比較すると下のテーブルのようになっています。画像を選択すると拡大写真を確認できます。排他利用の詳細についてはリンクでジャンプする章で説明しています。
Intel Z490マザーボード SATA端子比較 | ||||
ASRock Z490 Steel Legend |
ASUS TUF GAMING Z490-PLUS |
GIGABYTE Z490 AORUS ELITE |
MSI MAG Z490 TOMAHAWK |
|
合計 |
6 |
6 | 6 | 6 |
CPU |
- | - | - |
- |
Intel Z490 |
6 | 6 | 6 | 6 |
ASMedia |
- | - | - |
- |
Intel Z490マザーボードのM.2スロットを比較
ASRock Z490 Steel Legend、ASUS TUF GAMING Z490-PLUS、GIGABYTE Z490 AORUS ELITE、MSI MAG Z490 TOMAHAWKの4機種のNVMe(PCI3.0x4)接続やSATA接続に対応したM.2スロット端子を比較していきます。4機種のM.2スロットについて概要を比較すると下のテーブルのようになっています。画像を選択すると拡大写真を確認できます。排他利用の詳細についてはリンクでジャンプする章で説明しています。
上のテーブルではM.2スロットの名称は各マザーボード上で上から順に(CPUソケットに近い順に)、1~3のナンバリングを割り当てており、製品仕様と異なります。SATAポートはナンバリングが0始まりの場合、例えば製品仕様で0~5でも1~6で表記します。
チェックポイント1:M.2 SSDヒートシンクの有無
2020年現在、NVMe(PCIE3.0x4)接続に対応するM.2 SSDはSATA SSDを5倍以上も上回る3GB/s超えの連続アクセススピードを実現しており、高速化の反面、発熱が大きいことが知られています。一方で市販のM.2 SSDは放熱を補助するヒートシンクを搭載しない製品が主流です。そのためマザーボードメーカー各社は一部製品において独自のM.2 SSDヒートシンクをマザーボードに標準で備え付けています。今回比較する4機種いずれもPCIE3.0x4接続のNVMe SSDに対応したM.2スロットを2基搭載していますが、ASRock Z490 Steel LegendとGIGABYTE Z490 AORUS ELITEとMSI MAG Z490 TOMAHAWKの3機種は2つのM.2スロットの両方にM.2 SSDヒートシンクを標準で搭載していました。
一方で、ASUS TUF GAMING Z490-PLUSについては2基のM.2スロットのうち、チップセット下にあるM.2スロットの1基にだけM.2 SSDヒートシンクが装着されていました。
またGIGABYTE Z490 AORUS ELITEとMSI MAG Z490 TOMAHAWKには、さらにNVMe規格の高速通信を行うM.2端子を外部ノイズEMIから保護して安定した接続を実現するためメタルアーマーも装着されています。
Intel Z490マザーボードの排他利用・帯域共有について
ASRock Z490 Steel Legend、ASUS TUF GAMING Z490-PLUS、GIGABYTE Z490 AORUS ELITE、MSI MAG Z490 TOMAHAWKの4機種について、PCIEスロットやM.2スロットやSATA端子の排他利用・帯域共有をまとめておきます。マザーボード上に実装されているPCIEスロット、M.2スロット、SATA端子など拡張ポートの一部は、他の拡張ポートとCPUやPCHと繋がる接続帯域を共有していることがあり、排他利用(一方を使用すると、もう一方は自動的に無効化され使用できなくなる)や帯域制限がかかります。
上の比較表では利用可能な数が比較しやすいようにM.2スロットやSATAポートの名称を簡単化しましたが、この章では製品仕様の通りに記載します。
ASRock Z490 Steel Legendの排他利用・帯域共有
ASRock Z490 Steel LegendにおいてPCIEスロット、M.2スロット、SATA端子など拡張ポートの排他利用・帯域共有を簡単にまとめると次のようになっています・- PCIEスロットの排他利用はなし
- M2_2スロットでSATA接続M.2 SSDを使用している場合、SATA3_1は排他利用
- M2_3スロットでSATA接続M.2 SSDを使用している場合、SATA3_5は排他利用
ASUS TUF GAMING Z490-PLUSの排他利用・帯域共有
ASUS TUF GAMING Z490-PLUSにおいてPCIEスロット、M.2スロット、SATA端子など拡張ポートの排他利用・帯域共有を簡単にまとめると次のようになっています・- PCIEスロットの排他利用はなし
- M.2_1スロットでSATA接続M.2 SSDを使用している場合、SATA6G_2は排他利用
- M.2_2スロットを使用している場合、SATA6G_5およびSATA6G_6は排他利用
GIGABYTE Z490 AORUS ELITEの排他利用・帯域共有
GIGABYTE Z490 AORUS ELITEにおいてPCIEスロット、M.2スロット、SATA端子など拡張ポートの排他利用・帯域共有を簡単にまとめると次のようになっています・- PCIEスロットの排他利用はなし
- M2M_SBスロットを使用している場合、SATA3_4およびSATA3_5は排他利用
- M2A_SBスロットでSATA接続M.2 SSDを使用している場合、SATA3_1は排他利用
MSI MAG Z490 TOMAHAWKの排他利用・帯域共有
MSI MAG Z490 TOMAHAWKにおいてPCIEスロット、M.2スロット、SATA端子など拡張ポートの排他利用・帯域共有を簡単にまとめると次のようになっています・- PCIEスロットの排他利用はなし
- M2_1スロットでSATA接続M.2 SSDを使用している場合、SATA2は排他利用
- M2_2スロットを使用している場合、SATA5およびSATA6は排他利用
Intel Z490マザーボードのリアI/Oを比較
ASRock Z490 Steel Legend、ASUS TUF GAMING Z490-PLUS、GIGABYTE Z490 AORUS ELITE、MSI MAG Z490 TOMAHAWKの4機種のリアI/Oを比較していきます。実装された端子等については後述の各章で個別に解説するので、ここでは各製品の概要が分かるように実機の写真を掲載しておきます。
ASRock Z490 Steel LegendのリアI/O
ASRock Z490 Steel Legendはマザーボード一体型リアI/Oバックパネル「プリマウントI/Oシールド」も採用されています。PCケースにパネルを装着する作業は固くて装着し難かったり、忘れてしまうこともあるのでマザーボードに統合されているのは嬉しい機能です。
一体型リアI/Oバックパネルを採用したのは主要4社ではASRockが最後でしたが、同機能をただ搭載するだけに留まらず、上下左右にオフセット可能としてPCケースとの互換性が確保する構造に改良され、「Flexible Integrated I/O Shield」と名付けられています。
ASUS TUF GAMING Z490-PLUSのリアI/O
GIGABYTE Z490 AORUS ELITEのリアI/O
GIGABYTE Z490 AORUS ELITEはマザーボード一体型リアI/Oバックパネル「プリマウントI/Oシールド」も採用されています。PCケースにパネルを装着する作業は固くて装着し難かったり、忘れてしまうこともあるのでマザーボードに統合されているのは嬉しい機能です。
MSI MAG Z490 TOMAHAWKのリアI/O
MSI MAG Z490 TOMAHAWKはマザーボード一体型リアI/Oバックパネル「プリマウントI/Oシールド」も採用されています。PCケースにパネルを装着する作業は固くて装着し難かったり、忘れてしまうこともあるのでマザーボードに統合されているのは嬉しい機能です。
Intel Z490マザーボードのUSB/PS2/TB3端子を比較
ASRock Z490 Steel Legend、ASUS TUF GAMING Z490-PLUS、GIGABYTE Z490 AORUS ELITE、MSI MAG Z490 TOMAHAWKの4機種のリアI/Oやオンボードで実装されたUSB端子とPS/2端子を比較していきます。以下USB規格に関する説明がありますが『USB3.2 Gen2 = USB3.1 Gen2』、『USB3.2 Gen1 = USB3.1 Gen1 = USB3.0』と考えて基本的に問題ありません。4機種のUSB端子について概要を比較すると下のテーブルのようになっています。画像を選択すると拡大写真を確認できます。
チェックポイント1:次世代規格USB3.2 Gen2x2対応Type-Cポート
2020年現在最新のUSB規格はUSB3.2ですが、USB3.2の接続オプションにはType-Cポートでのみサポートされる接続帯域20Gbpsに達する次世代規格USB3.2 Gen2x2があります。USB3.2 Gen2x2の接続に対応した外付けストレージについてはWDから新製品「WD_BLACK P50 Game Drive」や「Seagate Firecuda Gaming SSD」が発売されており、USB3.2 Gen2x2に対応したUSB Type-Cで接続することによって連続アクセス2GB/sの超高速を実現できます。
今回比較する4機種のIntel Z490マザーボードの中ではMSI MAG Z490 TOMAHAWKが唯一、ASMedia ASM3241コントローラーによるUSB3.2 Gen2x2 Type-CポートをリアI/Oに標準で搭載していました。
チェックポイント2:Thunderbolt3対応USB Type-Cポート
次世代規格USB4.0では機能の統合が予定されている超高速帯域ポートThunderbolt3について4機種のZ490マザーボードの対応状況をチェックしてみました。Thunderbolt3端子はUSB3.1 Gen2の4倍となる40Gbpsの超高速帯域によって、USB Power Delivery3.0規格による最大100Wの電力供給、グラフィックボードのビデオ出力をUSB Type-C経由でモニタに表示するDisplayPort Alternate Mode(Wacom製4K液晶ペンタブレットにも対応)、内蔵NVMe SSDと遜色ないアクセススピードの外付けモバイルストレージ、4K/60FPS/HDRに対応する外付けビデオキャプチャなど、現行のUSB3.2接続では難しい様々な機能を使用できます。
Intel Z490マザーボード Thunderbolt3対応比較 | ||||
ASRock Z490 Steel Legend |
ASUS TUF GAMING Z490-PLUS |
GIGABYTE Z490 AORUS ELITE |
MSI MAG Z490 TOMAHAWK |
|
リアI/O |
- |
- | - | - |
増設ヘッダー |
汎用5PIN | ASUS 独自13PIN |
GIGABYTE 独自5PIN |
汎用5PIN |
ASRock Thunderbolt 3 AIC R2.0 (Alpin Ridge) |
O | X |
X | △ |
ASUS ThunderboltEX 3-TR (Titan Ridge) |
X |
O | X | X |
GIGABYTE GC-TITAN RIDGE (Titan Ridge) |
△ |
X |
O | △ |
今回比較する4機種はいずれもリアI/OにThunderbolt3対応USB Type-Cポートを搭載していませんが、「ASRock Thunderbolt 3 AIC R2.0」、「ASUS ThunderboltEX 3-TR」、「GIGABYTE GC-TITAN RIDGE」などPCIE拡張ボードによってThunderbolt3対応USB Type-Cを増設できます。
Thunderbolt3増設PCIE拡張ボードはPCIE3.0x4帯域のPCIEスロットを使用しますが、幸い、今回比較している4機種はいずれもセカンダリx16サイズスロットがPCH経由でPCIE3.0x4に対応しています。
各メーカーのThunderbolt3増設PCIE拡張ボードが正式にサポートするのは当然ながら同メーカーのマザーボードとなりますが、”Thunderbolt3専用ヘッダーが合致していれば”他社製の拡張ボードでも基本的には使用可能です。
Thunderbolt3増設PCIE拡張ボードを使用する際にはPCIEスロットとは別にマザーボード上のThunderbolt3専用ヘッダーと拡張ボードを接続する必要がありますが、この専用ヘッダーが複数存在します。最も一般的なのがロック付き5PINヘッダーで、その他にGIGABYTE独自の5PINヘッダー、そしてZ490から採用が始まったASUS独自の13PINヘッダーがあります。
Intel Z490マザーボードの有線LAN/無線LANを比較
ASRock Z490 Steel Legend、ASUS TUF GAMING Z490-PLUS、GIGABYTE Z490 AORUS ELITE、MSI MAG Z490 TOMAHAWKの有線LAN/無線LANを比較していきます。4機種の有線LAN/無線LANについて概要を比較すると下のテーブルのようになっています。
Intel Z490マザーボード 有線LAN/無線LAN比較 | ||||
ASRock Z490 Steel Legend | ASUS TUF GAMING Z490-PLUS | GIGABYTE Z490 AORUS ELITE | MSI MAG Z490 TOMAHAWK | |
有線LAN 1 |
- |
1Gb LAN (Intel I219V) |
- | 1Gb LAN (Intel I219V) |
有線LAN 2 |
2.5Gb LAN (RTL8125BG) |
- | 2.5Gb LAN (RTL8125B) |
2.5Gb LAN (RTL8125B) |
無線LAN |
- | - | - | - |
無線LAN オプション |
WiFiカード用の M.2スロット搭載 リアにアンテナ用ホールもあり |
+2000円程度の WiFiモデルあり |
x1サイズPCIEスロットで PCIE拡張ボードを使えば 増設は可能 |
チェックポイント1:無線LAN&Bluetooth搭載の有無
Intel Z490マザーボードの上位モデルの多くでは(一部の下位モデルも)、最新規格WiFi6に対応したIntel AX201(もしくはAX200)による無線LANを搭載していますが、今回比較するIntel Z490マザーボードの4機種はいずれも標準では無線LAN&Bluetoothを搭載していません。ASRock Z490 Steel Legendは2段目のPCIEスロットのすぐ下にM.2型WiFiカードを設置可能なE-Key型M.2スロットが実装されています。またリアI/Oにはアンテナ用ホールもあるので、アンテナの増設も容易です。
M.2 E-KeyのWiFiカードについてはWiFi6に対応した「Intel AX200」がAmazon等で簡単に購入できます。アンテナ付きキット販売されているので高速な無線環境が必要なら別途購入もお勧めです。
ASUS TUF GAMING Z490-PLUSは無線LANを非搭載ですが、+2000円程度の差額(2020年6月現在)でIntel AX201コントローラーによるWiFi6対応無線LANを搭載した「ASUS TUF GAMING Z490-PLUS (WI-FI)」が別モデルとして販売されています。
チェックポイント2:Windows標準ドライバの対応に注意
Intel Z490マザーボードからはIntel I225-V(Foxville)コントローラーによる2.5Gb有線LANや、Intel AX201コントローラーによるWiFi6対応無線LANが積極的に採用されていますが、これらのネットワーク機器はWindows10(1909)の標準ドライバでは動作しません。そのため付属のドライバメディアが光学ディスクの場合、USB外付けやSATA接続の光学ドライブがないとオフライン環境でこれらのネットワーク接続が利用できないので、各自のネットワーク環境によってはインターネットに接続できない状態になります。前述の通り光学ドライブを用意して付属メディアからドライバをインストールするか、もしくはUSB接続LANアダプタ等を用意して一度インターネットに接続してドライバを公式サイトからダウンロードする必要があります。
Intel製1Gb有線LANやRealtek製の1Gb/2.5Gb有線LAN、Intel AX200コントローラーによるWiFi6対応無線LANはWindows標準ドライバで動作するので、光学ドライブがない人はマザーボード選びの際には、これらの有無をチェックしてください。
一例として「ASUS PRIME Z490-A」はリアI/Oに、1909以前のバージョンのWindows10に標準で収録されるドライバで動作するネットワーク機器がありません。
Intel Z490マザーボードのファン端子を比較
ASRock Z490 Steel Legend、ASUS TUF GAMING Z490-PLUS、GIGABYTE Z490 AORUS ELITE、MSI MAG Z490 TOMAHAWKの4機種について、ファン端子を比較していきます。4機種のファン端子について概要を比較すると下のテーブルのようになっています。画像を選択すると拡大写真を確認できます。
Intel Z490マザーボードのCMOSクリア/デバッグ機能を比較
ASRock Z490 Steel Legend、ASUS TUF GAMING Z490-PLUS、GIGABYTE Z490 AORUS ELITE、MSI MAG Z490 TOMAHAWKの4機種のCMOSクリアの方法やその他のデバッグ機能を比較していきます。4機種のCMOSクリアの方法やその他のデバッグ機能について概要を比較すると下のテーブルのようになっています。
Intel Z490マザーボード CMOSクリア/デバッグ機能比較 | ||||
ASRock Z490 Steel Legend | ASUS TUF GAMING Z490-PLUS | GIGABYTE Z490 AORUS ELITE | MSI MAG Z490 TOMAHAWK | |
CMOSクリア |
オンボード2PINヘッダーを短絡 (ジャンパは付属しない) |
|||
Debug LED |
CPU/RAM/ VGA/BOOT |
|||
Q-Code LED |
- | - | - | - |
BIOS修復機能 |
- | - | 対応 | - |
チェックポイント1:CMOSクリアの方法について
BIOS設定を初期化する時に行うCMOSクリアですが、リアI/OやオンボードでCMOSクリアボタンが設置されていると簡単にCMOSクリアが行えて便利です。Intel環境はメモリOCが容易なので3200MHz~3600MHzへの手動OCは問題なく安定動作すると思いますが、メモリOCではBIOSメニューにすら到達できなくなる失敗設定になることもあるので、CMOSクリアの方法を事前に確立しておくのは非常に重要です。
今回比較する4機種はいずれもCMOSクリアのためのオンボードボタンは実装されておらず、マザーボード右下の2PINヘッダーを使用してCMOSクリアを行います。PCを組み上げた後になると短絡するためアクセスすることが難しくなる場合が多くいので、ケーブルの長い2PINスイッチをあらかじめ装着しておくのがオススメです。(2PINを短絡するだけなのでPCケースの電源スイッチでも代用できますが、挿し直すのが面倒なのでスイッチを別途購入しておくのがやはりオススメです。)
チェックポイント2:Debug LEDやQ-Code LEDの有無
自作PCを組んで、いざPCの電源を入れても正常にBIOSメニューやWindows OSが表示されない時に、どこでエラーが発生しているのか(部品の破損や装着ミスなど)の参考になる機能としてDebug LEDやQ-Code LEDが搭載されているマザーボードがあります。こういった機能があるとメモリの挿入がしっかりできていないとか、グラフィックボードの認識に問題があるとか問題の切り分けが容易になるので、トラブルシューティングおいてDebug LEDやQ-Code LEDは便利な機能です。
今回比較する4機種はCPU/RAM/VGA/BOOTで問題の切り分けが可能なDebug LEDを搭載していました。残念ながらQ-Code LEDはいずれも非搭載です。
チェックポイント3:BIOS FlashBack(BIOS修復機能)の有無
マザーボードのBIOS(UEFI)をアップデートする方法は、BIOS上に用意されているユーティリティを使用するか、各社が配布しているWindows上で実行可能なソフトウェアを使用するかの2種類が主な方法ですが、第3の方法として、ASUS、ASRock、GIGABYTE、MSIなど主要4社のマザーボードの一部には「BIOS FlashBack」と呼ばれる機能(各社で名称は若干異なりますが)が実装されています。「BIOS FlashBack」が実装されている製品は各社の上位マザーボードになることが多いので、必然的に高価になりますが、BIOSアップデートに失敗した時にユーザー各自で修復が可能であるという保守性を考えるとおすすめな機能です。
今回比較する4機種の中で、GIGABYTE Z490 AORUS ELITEは2万円台の安価なマザーボードとしては比較的に珍しく、「Q-FLASH PLUS」と呼ばれるBIOS修復機能に対応していました。
Q-FLASH PLUS機能では、所定のUSB端子にBIOSファイルの入ったUSBメモリ(サポートページからBIOSファイルをダウンロードして、”gigabyte.bin”に改名、USBメモリのルートに保存)を接続してQ-FLASH PLUSボタンを押すと、CPUやメモリなしの状態(マザーボードと電源ユニットのみ)でもBIOSの修復・アップデートが可能です。
Intel Z490マザーボードのオンボードオーディオをスペック比較
ASRock Z490 Steel Legend、ASUS TUF GAMING Z490-PLUS、GIGABYTE Z490 AORUS ELITE、MSI MAG Z490 TOMAHAWKの4機種についてオンボードオーディオのスペックを比較していきます。4機種のオンボードオーディオについて概要を比較すると下のテーブルのようになっています。画像を選択するとオンボードオーディオの出力端子について拡大写真を確認できます。
Intel Z490マザーボードのVRM電源をスペック比較
ASRock Z490 Steel Legend、ASUS TUF GAMING Z490-PLUS、GIGABYTE Z490 AORUS ELITE、MSI MAG Z490 TOMAHAWKの4機種のVRM電源について回路やクーラーのスペックを比較していきます。4機種のVRM電源回路について概要を比較すると下のテーブルのようになっています。
Intel Z490マザーボード VRM電源比較 | ||||
ASRock Z490 Steel Legend (詳細) |
ASUS TUF GAMING Z490-PLUS (詳細) |
GIGABYTE Z490 AORUS ELITE (詳細) |
MSI MAG Z490 TOMAHAWK (詳細) |
|
10900K使用時 PL1標準設定 (BIOS ver) |
125W (P1.10) |
125W (0806) |
Unlimited (F3) |
Unlimited (110) |
EPS電源 |
8PIN+4PIN | 8PIN+4PIN | 8PIN+4PIN | 8PIN+4PIN |
フェーズ数 (CPU + iGPU) |
10 (8+2) フェーズ |
14 (6*2+2) フェーズ |
12 + 1 フェーズ |
13 (6*2+1) フェーズ |
CPU フェーズ数 |
8フェーズ | 6フェーズ (仮想12フェーズ) |
12フェーズ | 6フェーズ (仮想12フェーズ) |
PWM 1フェーズ |
Direct | Teamed |
Direct | Teamed |
PWM コントローラー |
ISL69269 |
ASP1900B | ISL69296 |
NCP81229 |
ハイサイド MOS-FET |
SIC632A (Dr. MOS) |
SIC639 (Dr. MOS) |
SIC651A (Dr. MOS) |
NCP302155 (Dr. MOS) |
ローサイド MOS-FET |
||||
概算対応出力 | 50A×8 |
50A×6 (50A×12) |
50A×12 | 55A×6 (55A×12) |
CAPs耐久性 |
12000時間 |
5000時間 | 5000時間? | 5000時間? |
クーラー重量 |
239g |
226g | 261g | 404g |
冷却ファン |
- |
付属のファンホルダーで増設が可能 |
- | - |
負荷時の温度 |
VRM電源温度比較の検証結果へ |
チェックポイント1:VRM電源クーラーの構造や規模
今回比較する4種類のIntel Z490マザーボードはいずれも、CPUソケットの上側と左側のVRM電源回路にフィンカットが施されたアルミニウム塊型ヒートシンクをVRM電源クーラーとして搭載しています。VRM電源クーラーの放熱性能はフィンカットの形状(表面積)やヒートパイプの有無など構造によりますが、素材自体は基本的にアルミニウムなので、重量が大きい方が発熱に対するバッファとしての性能が高いだろうと判断できます。
以上のように今回比較する4種類のIntel Z490マザーボードのVRM電源クーラーの構造は基本的には一致していますが、特にMSI MAG Z490 TOMAHAWKの左側ヒートシンクは非常に巨大で、リアI/Oカバー全体がアルミニウム製になっていてVRM電源クーラーと一体化しています。
各社の左側ヒートシンクを比較すると、リアI/Oカバーがプラスチック製のASRockやGIGABYTEは言うに及ばず、ヒートシンクがリアI/Oに被さっていて構造の類似するASUSですら明らかにMSI MAG Z490 TOMAHAWKのヒートシンクより小ぶりです。
MSI MAG Z490 TOMAHAWKは左側ヒートシンク1つだけで、他3社のVRM電源クーラーよりも重量が大きくなっています。
「ASUS TUF GAMING Z490-PLUS」にはVRM電源を冷却するスポットクーラーを増設する「MOS fan bracket kit」が付属します。(冷却ファンは別途購入する必要があります。)
MOS fan bracket kitを使用するとマザーボード固定ネジ穴を使用してVRM電源クーラーに40mm角もしくは50mm角の冷却ファンをスポットクーラーとして増設することが可能になります。
ASRock Z490 Steel LegendのVRM電源
ASRock Z490 Steel LegendのVRM電源回路について細かくチェックしていきます。まずASRock Z490 Steel LegendのEPS電源端子は8PIN+4PINです。
ASRock Z490 Steel LegendにはCPU向けとしては8フェーズのVRM電源回路が実装されています。
ASRock Z490 Steel Legendでは、PWMコントローラーとして最大12フェーズ対応のIntersil製「ISL69269」が使用されています。MOS-FETにはハイサイド/ローサイドMOS-FETとドライバICをワンパッケージし、低発熱で定評のあるDr. MOSで、50A対応に対応するVishay Siliconix製「SIC632A」が使用されています。
CPU向けVRM電源の1フェーズには、SIC632A×1が使用され、これが8フェーズあるので概算(少なくともピークで)で50A×8の出力に対応しています。
ASRock Z490 Steel Legendでは、VRM電源のキャパシタに12,000時間の長寿命な「ニチコン製12Kブラックコンデンサ」、VRM電源のインダクタにその名の通り60Aに対応する「プレミアム60Aパワーチョーク」など同社のハイエンド製品にも採用されている高品質素子が採用されています。
キャパシタについては1万円クラスのマザーボードでは5,000時間寿命のものを採用する製品が多いので、ASRock Z490 Steel Legendが設計レベルで高い耐久性を追求していることが分かります。
ASUS TUF GAMING Z490-PLUSのVRM電源
ASUS TUF GAMING Z490-PLUSのVRM電源回路について細かくチェックしていきます。まずASUS TUF GAMING Z490-PLUSのEPS電源端子は8PIN+4PINです。
ASUS TUF GAMING Z490-PLUSにはCPU向けとしては計6フェーズ(仮想12フェーズ)のVRM電源回路が実装されています。CPU向け6フェーズには外からも見えるチョークコイルやキャパシタが倍数ありますが、PWMコントローラーからの割り当ては6フェーズなので所謂仮想12フェーズという構成です。
PWMコントローラーの1フェーズ当たりに2フェーズ分の素子を並列してぶら下げる構造をASUSは「Teamed Power Stage Architecture」と呼んでいます。近年のVRM電源負荷に対してダブラーを使用するよりも最適な構造であるとしてTeamed Power Stage ArchitectureはASUSからアピールされており、ROG MAXIMUS/RAMPAGE/ZENITHなど同社のハイエンド製品にも採用されています。
ASUS TUF GAMING Z490-PLUSでは、PWMコントローラーとして最大8フェーズ対応のRichtek製「ASP1900B」が使用されています。MOS-FETにはハイサイド/ローサイドMOS-FETとドライバICをワンパッケージし、低発熱で定評のあるDr. MOSで、50A対応に対応するVishay Siliconix製「SIC639」が使用されています。MOS-FETとチョークコイルとキャパシタが1フェーズあたり2セットずつあるので、仮想的に12フェーズと呼ぶことも。
CPU向けVRM電源の1フェーズは、SIC639×2が使用され、これが6フェーズあるので概算(少なくともピークで)で50A×12の出力に対応しています。
ASUS TUF GAMING Z490-PLUSでは、VRM電源のキャパシタに125度の高温にも耐え5,000時間寿命な「TUFコンデンサ」、VRM電源のインダクタに「TUFチョークコイル」など同社がミリタリーグレードを謳う高品質素子が採用されています。
GIGABYTE Z490 AORUS ELITEのVRM電源
GIGABYTE Z490 AORUS ELITEのVRM電源回路について細かくチェックしていきます。まずGIGABYTE Z490 AORUS ELITEのEPS電源端子は8PIN+4PINです。
GIGABYTE Z490 AORUS ELITEにはCPU向けとしては12フェーズのVRM電源回路が実装されています。
GIGABYTE Z490 AORUS ELITEでは、PWMコントローラーとして最大12フェーズ対応のIntersil「ISL69296」が使用されています。MOS-FETにはハイサイド/ローサイドMOS-FETとドライバICをワンパッケージし、低発熱で定評のあるDr. MOSで、50A対応に対応するVishay Siliconix製「SIC651A」が使用されています。
CPU向けVRM電源の1フェーズには、SIC651A×1が使用され、これが12フェーズあるので概算(少なくともピークで)で50A×12の出力に対応しています。
GIGABYTE Z490 AORUS ELITEでは、VRM電源のキャパシタに全て個体コンデンサが使用されており、おそらく5000時間寿命のものが採用されています。
MSI MAG Z490 TOMAHAWKのVRM電源
MSI MAG Z490 TOMAHAWKのVRM電源回路について細かくチェックしていきます。まずMSI MAG Z490 TOMAHAWKのEPS電源端子は8PIN+4PINです。
MSI MAG Z490 TOMAHAWKにはCPU向けとしては計6フェーズ(仮想12フェーズ)のVRM電源回路が実装されています。CPU向け6フェーズには外からも見えるチョークコイルやキャパシタが倍数ありますが、PWMコントローラーからの割り当ては6フェーズなので所謂仮想12フェーズという構成です。
この構造は上で紹介したASUSの「Teamed Power Stage Architecture」と共通していますが、MSIでは一般的なダブラーよりも均等な負荷分散が可能なISL製フェーズコントローラーの採用による「Mirrored Power Arrangement」が、MEG GODLIKE/ACEなどハイエンド製品の特長としてアピールされており、ASUSとは同構造への評価が異なるようです。
MSI MAG Z490 TOMAHAWKでは、PWMコントローラーとして最大9フェーズ対応のON Semiconductor製「NCP81229」が使用されています。MOS-FETにはハイサイド/ローサイドMOS-FETとドライバICをワンパッケージし、低発熱で定評のあるDr. MOSで、55A出力に対応するON Semiconductor製「NCP302155」が使用されています。MOS-FETとチョークコイルとキャパシタが1フェーズあたり2セットずつあるので、仮想的に12フェーズと呼ぶことも。
CPU向けVRM電源の1フェーズには、NCP302155×2が使用され、これが6フェーズあるので概算(少なくともピークで)で55A×12の出力に対応しています。
MSI MAG Z490 TOMAHAWKでは、VRM電源のキャパシタにおそらく5000時間寿命のものが採用されています。
Intel Z490マザーボードのLEDイルミネーション機能を比較
ASRock Z490 Steel Legend、ASUS TUF GAMING Z490-PLUS、GIGABYTE Z490 AORUS ELITE、MSI MAG Z490 TOMAHAWKの4機種のLEDイルミネーション機能を比較していきます。国内主要4社マザーボードではASUS AURA Sync、ASRock Polychlome RGB Sync、GIGABYTE RGB Fusion、MSI Mystic Lightといったライティング制御機能が提供されており、マザーボード備え付けLEDイルミネーションや汎用LEDヘッダーに加えて、メモリ、キーボード・マウス、モニタなど対応機器でライティングを同期制御することができます。
4機種のLEDイルミネーション機能について概要を比較すると下のテーブルのようになっています。画像を選択すると拡大写真を確認できます。
Intel Z490マザーボード LEDイルミネーション機能比較 | ||||
ASRock Z490 Steel Legend | ASUS TUF GAMING Z490-PLUS | GIGABYTE Z490 AORUS ELITE | MSI MAG Z490 TOMAHAWK | |
マザーボード 備え付け |
||||
RGB対応 汎用4PIN |
2 | 2 | 2 | 2 |
ARGB対応 汎用3PIN |
2 |
1 | 2 | 2 |
独自端子 |
- | - | - | - |
チェックポイント1:アドレッサブルRGB対応LEDヘッダーの有無
最近のマザーボードではユーザーがLEDイルミネーションを増設したいと思った時に使用できるLEDヘッダーとしてRGB対応汎用4PINヘッダーは1つ2つ搭載されていることが多いのですが、近年普及しつつあるアドレッサブルRGBに対応したLEDヘッダーは搭載されている製品は限られています。通常のRGB LEDではヘッダーに接続されたLED機器のLED球は全て同じ色で発光するのに対して、アドレッサブルRGBでは同じタイミングで各LED球に対して異なる発光カラーを指定できるので、オーロラのような豪華なライトアップが可能になります。
ARGB対応VD-G型3PIN LEDヘッダーで使用可能なアドレッサブルLEDテープとしては国内で発売済みの「BitFenix Alchemy 3.0 Addressable RGB LED Strip」や「ASUS ROG ADDRESSABLE LED STRIP-60CM」や「AINEX アドレサブルLEDストリップライト」が動作することが確認できています。
Intel Z490マザーボードのその他の各社特長
ASRock Z490 Steel Legend、ASUS TUF GAMING Z490-PLUS、GIGABYTE Z490 AORUS ELITE、MSI MAG Z490 TOMAHAWKの4機種において、+αで管理人的に紹介しておきたい特長があれば、この章で説明しておきます。Intel Z490マザーボードの検証機材
ASRock Z490 Steel Legend、ASUS TUF GAMING Z490-PLUS、GIGABYTE Z490 AORUS ELITE、MSI MAG Z490 TOMAHAWKなど4種類のIntel Z490マザーボードと組み合わせてベンチ機を構築しました。比較対象となるマザーボード以外の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9-10900K(レビュー) Intel Core i9-10900(レビュー) Intel Core i7-10700K(レビュー) Intel Core i7-10700F(レビュー) Intel Core i5-10400(レビュー) Intel Core i3-10100(レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 (レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) |
CPUベンチ用 ビデオカード |
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー) |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
システムメモリの検証機材には、XMP OCプロファイルによるメモリ周波数4000MHzかつメモリタイミングCL15の超低レイテンシなオーバークロックに対応する8GB×4=32GBのメモリキット「G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK」を使用しています。かなりピーキーなOC設定なので一般にはオススメし難い製品ですが。
・「G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK」をレビュー
高級感のあるヒートシンクや8分割ARGB LEDを搭載してデザイン面でも優れる「G.Skill Trident Z Neo」シリーズは当サイトでも特にオススメしているDDR4メモリです。第3世代Ryzen向けにリリースされた製品ですが、3200MHz/CL14や3600MHz/CL16といった定番スペックがラインナップされていて、Intel第10世代Comet Lake-S CPU&Z490マザーボード環境でも高いパフォーマンスを発揮できるので、選んで間違いのないオススメなOCメモリです。
・「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN」をレビュー
360サイズや240サイズなど120mmファンを複数搭載できるマルチファンラジエーターの簡易水冷CPUクーラーを使用するのであれば、「Noctua NF-A12x25 PWM」への換装もおすすめです。「Noctua NF-A12x25 PWM」は、超硬質かつ軽量な新素材「Sterrox LCP」の採用によってフレーム-ブレード間0.5mmの限界を実現させた次世代汎用120mm口径ファンとなっており、1基あたり3500円ほどと高価ですが、標準ファンよりも静音性と冷却性能を向上させることができます。
・「Noctua NF-A12x25 PWM」を360サイズ簡易水冷に組み込む
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、メインストリーム向けでもハイパフォーマンスな環境を目指すのであれば、システムストレージ用に一押しのSSDです。
・「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
サーマルグリスの代用品として、数年スパンの長期使用においても性能低下が基本的になく再利用も可能、グリスが零れてマザーボードが汚れたり壊れる心配もないので、炭素繊維サーマルシート「Thermal Grizzly Carbonaut」もオススメです。
・「Thermal Grizzly Carbonaut」はCore i9 9900Kを冷やせるか!?
Intel Z490マザーボードの起動時間を比較
ASRock Z490 Steel Legend、ASUS TUF GAMING Z490-PLUS、GIGABYTE Z490 AORUS ELITE、MSI MAG Z490 TOMAHAWKの4機種についてOSの起動時間を測定しました。マザーボード以外の機材は上で紹介した検証機材の通りに統一し、CPU設定はBIOS標準、メモリ構成のみ8GB×4、メモリ周波数3600MHz/メモリタイミング16-16-16-36-2Tとしています。(GIGABYTE Z490 AORUS ELITEのみメモリタイミングは18-16-16-36-2T) またBIOS上の起動設定についてはフルスクリーンロゴとファストブートを無効にしています。
今回比較した4機種のうち、MSI MAG Z490 TOMAHAWKが14秒程度で最速ではあるものの、ASRock Z490 Steel Legend、ASUS TUF GAMING Z490-PLUS、GIGABYTE Z490 AORUS ELITEの3機種も20秒以内に収まっており、似たような起動時間になりました。起動速度については誤差程度でほぼ同等と考えて良いと思います。
Intel Z490マザーボードのメモリOC耐性を比較
ASRock Z490 Steel Legend、ASUS TUF GAMING Z490-PLUS、GIGABYTE Z490 AORUS ELITE、MSI MAG Z490 TOMAHAWKの4機種について、メモリOC耐性を比較していきます。マザーボードのメモリOC耐性については単純なメモリに関連する回路の品質だけでなく、周波数とメモリタイミングの組み合わせが膨大なので、セカンド/サードタイミングがBIOSの自動設定によってどれくらい適切にフィルされるかも重要です。
そのため、この検証ではメモリ周波数、”16-16-16-36-2T”のように表現される主要なタイミング、およびメモリ電圧(基準電圧に+20~30mVの調整はあり)以外はマザーボードの自動設定に任せて、各メモリOCが安定動作するかどうかを確認します。検証するメモリOC設定は下記の通りです。
・3600MHz/CL16: メモリ周波数3600MHz、メモリタイミング16-16-16-36-2T、メモリ電圧1.350V
・4000MHz/CL16: メモリ周波数4000MHz、メモリタイミング16-16-16-36-2T、メモリ電圧1.450V
・4000MHz/CL15: メモリ周波数4000MHz、メモリタイミング15-16-16-36-2T、メモリ電圧1.500V
なお4000MHz/CL15については検証機材メモリ「G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK」に収録されたOCプロファイルを適用しています。
今回比較した4種類のIntel Z490マザーボードについてメモリOC耐性の検証結果は次のようになっています。端的に結論を述べると、いずれも優れた結果を残しており、メモリOC耐性については特に差はないと考えていいと思います。
Intel Z490マザーボード メモリOC耐性比較 | |||||
(BIOSバージョン) O:ストレステストをクリア SE:ストレステストでエラー PE:POST Errorで起動不可 |
ASRock Z490 Steel Legend (P1.10) |
ASUS TUF GAMING Z490-PLUS (0806) |
GIGABYTE Z490 AORUS ELITE (F3) |
MSI MAG Z490 TOMAHAWK (110) |
|
8GB ×2 |
3600MHz/CL16 | O | O | △ (CL18はクリア) |
O |
4000MHz/CL16 | O | O | O | O | |
4000MHz/CL15 | SE | O | O | O | |
8GB ×4 |
3600MHz/CL16 | O | O | △ (CL18はクリア) |
O |
4000MHz/CL16 | PE | PE | O | O | |
4000MHz/CL15 | PE |
PE | O | O |
今回比較した4種類のIntel Z490マザーボードについてはいずれも、検証機材メモリの「G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK」において、デュアルチャンネル4枚刺し32GB容量で、メモリ周波数3600MHz&メモリタイミング16-16-16-36-2TのメモリOCが安定動作することが確認できたので、実用上の及第点は十分にクリアしています。(GIGABYTE Z490 AORUS ELITEについては下で補足)
そこから先、メモリ周波数4000MHzへのOCについては、MSI MAG Z490 TOMAHAWKとGIGABYTE Z490 AORUS ELITEが8GB4枚組32GBで4000MHz/CL15の超低レイテンシで安定動作し、最も優秀な性能を発揮しました。
なお、上のテーブルの通りMSI MAG Z490 TOMAHAWKは全く問題なしなのですが、GIGABYTE Z490 AORUS ELITEはなぜか3600MHzでCAS Latencyを16に指定すると、POSTのメモリチェックでエラーを繰り返した末、勝手にメモリ周波数3200MHzで起動するという謎現象を起こしました。CAS Latencyを18にするとメモリ周波数3600MHzでサクッと起動します。検証に使用したBIOS:f3に問題があるように思います。
ASRock Z490 Steel LegendとASUS TUF GAMING Z490-PLUSについては8GB4枚組32GBでメモリ周波数4000MHzはポストエラーでOS起動すら無理でした、CAS Latencyを18より遅くすれば起動するかもしれませんが、CL15が安定動作するMSIやGIGABYTEと比較すると数段劣ります。
なお2枚組の場合は、ASUS TUF GAMING Z490-PLUSが4000MHz/CL15をクリア、ASRock Z490 Steel Legendが4000MHz/CL16をクリアとなりました。
メモリOC耐性比較についての補足
今回比較した4種類のIntel Z490マザーボードのメモリOC耐性に関する検証結果は上の通りですが、検証結果についての補足事項がある場合は、ここに書いておきます。Intel第10世代Comet Lake-S&Z490環境で使用するOCメモリの選び方や具体的なオーバークロックの設定方法については、こちらの記事を参考にしてください。
・【できる!メモリOC】 OCメモリの選び方から設定まで完全解説
Intel Z490マザーボードのVRM電源の温度を比較
ASRock Z490 Steel Legend、ASUS TUF GAMING Z490-PLUS、GIGABYTE Z490 AORUS ELITE、MSI MAG Z490 TOMAHAWKの4機種について、実際にCore i9 10900Kを使用してVRM電源に負荷をかけ、各マザーボードのVRM電源温度がどれくらいになるのか比較していきます。CPUへ電力供給を行うVRM電源に負荷をかけるためCPUに対してストレステストを実行しますが、その検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間7分、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)をソースとしてAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。Core i9 10900Kは10コア20スレッドのCPUなので、同じ動画のエンコードを2つ並列して実行し、30分程度負荷をかけ続けます。ストレステスト中のファン回転数は一定値に固定しています。このストレステスト終盤にスマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE Pro」(レビュー)を使用してVRM電源温度をチェックしていきます。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
検証の前に予備知識として上記のストレステストを行う際に、Core i9 10900Kを120サイズ空冷CPUクーラーで冷やすと、電力制限無効化の全コア4.9GHzではベンチ板上での測定でもCPU温度が90度に達します。一方で定格動作の通りにPL1=125Wの電力制限を適用するとCPU温度は60度前後に収まります。
電力制限無効化で200W超の発熱になる全コア4.9GHz張り付きの状態では240サイズ以上のマルチファン簡易水冷CPUクーラーが推奨されます。
また無印版のCore i9 10900についてもPL1=65Wの仕様値通りであれば空冷CPUクーラーでも問題ありません。一方で製品仕様としては全コア最大動作倍率4.6GHzが許容されており、電力制限を無効化すると180W前後の発熱が生じるので、その場合はやはり簡易水冷CPUクーラー推奨となります。
比較する4種類のマザーボードと組み合わせるCPUは、10コア20スレッドでTDP125Wの「Core i9 10900K」ですが、Core i9 10900Kの動作設定として
・PL1=125W (Core i9 10900Kの定格、Core i7 10700K以下のCPUはこれ以下の負荷になる)
・PL1=Unlimited, 10コア最大動作倍率46 (Core i9 10900の電力制限無効を想定)
・PL1=Unlimited, 10コア最大動作倍率49 (Core i9 10900Kの電力制限無効)
以上の3つのレベルでVRM電源へ負荷をかけています。
CPUクーラーにはファンの風が直接当たらない簡易水冷(AIO Water)CPUクーラーの「Corsair H150i PRO RGB」に加えて、VRM電源回路に対して比較的近い位置でファンの風が流れるサイドフロー型120サイズ空冷CPUクーラーの「Noctua NH-U12S」も使用しますが、上述の通り、電力制限を無効化する後者2つの負荷レベルにおいてはCPU自体の冷却に不十分なので、空冷CPUクーラーはPL1=125Wの時のみ使用します。
今回比較した4種類のIntel Z490マザーボードについて、CPUに長時間負荷をかけ続けた時のVRM電源温度の比較結果は次のようになりました。なお下のテーブルでは上から順にVRM電源への負荷レベルが大きく(VRM電源温度が高く)なる設定なので、下から順に検証していいます。上位の負荷において運用上問題ないと判断できたレベルで、『問題なし:”O”マーク』、としてそれ以下(テーブルではそれ以上)の検証を省略します。
基本的な結果は上のテーブルの通りで、Intelの公式仕様の通りにPL1=TDPの電力制限が適用されていれば、どのIntel Z490マザーボードであっても問題なく運用できます。
またCore i9 10900KとCore i9 10900を除けば、電力制限を無効化した時に最も負荷の大きいIntel Core i7 10700KでもCPU Package Powerは130W程度なので、基本的に電力制限の無効化(ASRockで言うところのBase Frequency Boost)についても対応が可能です。
問題になるのは電力制限を無効化した時のCore i9 10900KもしくはCore i9 10900を使用した場合で、VRM電源の冷え具合の評価は、ASUS TUF GAMING Z490-PLUSがダントツに優秀、次にMSI MAG Z490 TOMAHAWKとGIGABYTE Z490 AORUS ELITEがほぼ同等、最後がASRock Z490 Steel Legend、という順番になりました。
まずASUS TUF GAMING Z490-PLUSについて、VRM電源回路に直接風の当たらない簡易水冷CPUクーラー環境であっても、電力制限無効化で200Wを超えるCPU消費電力となるCore i9 10900Kに長時間負荷をかけてもVRM電源温度が60度台という非常に優れた結果です。標準装備のみのパッシブ空冷で余裕、2万円のマザーボードとは思えない天晴れな性能でした、スゴイ。
次点についてはあえて順位を付けるならMSI MAG Z490 TOMAHAWKです。GIGABYTE Z490 AORUS ELITEと悩んだのですが、管理人の独断でMSIとしました理由は、最大温度自体はGIGABYTEのほうが低かったのですが、温度差自体が小さく、MSIの方が回路全体へ熱を拡散できているからです。
MSIとGIGABYTEについてはASUSよりはVRM電源温度が高いものの、CPUの動作は安定していたので、Core i9 10900KやCore i9 10900の電力制限無効化も問題なく運用できると思います。どうしても心配ならスポットクーラーを増設してもいいよ、くらいな感じです。
MSI MAG Z490 TOMAHAWKについては金属製リアI/Oカバーと一体化した超大型のVRM電源クーラーヒートシンクを搭載しているのでもっと冷えてもいいように思ったのですが、見ての通り、VRM電源回路と直接接しているヒートシンクに対して、金属製リアI/Oカバー天面の温度が明らかに低くなっています。上のASUSのサーモグラフィーを見比べると違いが分かりやすいと思います。
金属製リアI/Oカバーを含めた左側ヒートシンクは”VRM電源に直接接するヒートシンクを含めたリアI/Oカバーの枠”と”リアI/Oカバー天面”との2つの部品で構成されており、この2つの部品が上手く接していないのではないかと思いました。そこで追加検証として、2つの部品の間にサーマルパッドを挟んで同様に測定してみたのですが、結果は変わりませんでした。同社の上位モデルMEG Z490 UNIFYのように天面も含めて完全に一体成型されていればもっと冷えたように思うので少々残念です。
頭を悩ませるのがAMD B450に続き、またしてもASRockでした。
ASRock Z490 Steel Legendについてはサーモグラフィーで確認できる範囲でVRM電源温度は90度を超過することはなかったのですが、VRM電源回路がパッシブ空冷になる環境において電力制限を無効化したCore i9 10900Kに負荷をかけ続けると、10分程度でVRM電源がオーバーヒートしてコアクロックが強制的に低下させられる現象、通称”ファントムスロットリング”の発生が確認できました。
全コア最大動作倍率が4.6GHzに下がるCore i9 10900相当の負荷に対しては今回の検証ではスロットリングの発生は確認されませんでしたが、それでもVRM電源のホットスポットはギリギリで80度を下回る感じとなっており、Core i9 10900Kでスロットリングが発生した状態を考えるに、運用環境によっては怪しい気がします。
以上のようにVRM電源回路に風が直接当たらない簡易水冷CPUクーラー環境ではCPU温度は十分に下がりますがVRM電源温度がかなり高くなる可能性があります。VRM電源の放熱を補助するためスポットクーラーを使用するのであれば、フレキシブルファンアーム「サイズ 弥七」や、可変アルミニウム製ファンフレームでVRM電源を狙って設置が容易な「IN WIN MARS」がオススメです。
・マザーボードVRM電源クーラーのレビュー記事一覧へ
Intel Z490マザーボードの比較まとめ
以上、マザーボードのチェック項目は多岐に渡るので非常に長くなりましたが、主要4社のIntel Z490チップセット搭載AM4マザーボードのうち、2万円前半で購入できる売れ筋の4モデル、「ASRock Z490 Steel Legend」「ASUS TUF GAMING Z490-PLUS」「GIGABYTE Z490 AORUS ELITE」「MSI MAG Z490 TOMAHAWK」を比較した結果について簡単にまとめていきます。当サイトの評価としてはVRM電源に比重を大きく置いて、今回比較した4モデルのうち最もオススメな製品は「ASUS TUF GAMING Z490-PLUS」です。電力制限を無効化したCore i9 10900Kの冷却に簡易水冷CPUクーラーを使用し、VRM電源はパッシブ空冷でもVRM電源温度60度台に収まるという非常にタフ(TUF)な性能を発揮しました。
+2000円程度の差額で無線LANを標準搭載するバリエーションモデルがラインナップされているところも選びやすいポイントの1つだと思います。
次にオススメ機種は「MSI MAG Z490 TOMAHAWK」です。VRM電源温度の差で次点となりましたが、それでも実力は高く、機能の豊富さやメモリOC耐性など総合力で見ればASUSより上とも評価できると思います。
電力制限を無効化したCore i9 10900Kも問題なく運用でき、メモリOCに関しては4000MHz/CL15の超低レイテンシが8GB4枚組32GBで安定動作するという、4機種中トップの性能を発揮しました。また比較した4機種の中ではリアI/Oに次世代規格USB3.2 Gen2x2対応Type-Cポートを搭載した唯一のモデルでもあります。
「GIGABYTE Z490 AORUS ELITE」については、VRM電源温度に加えて、メモリOCも4000MHz/CL15の超低レイテンシが8GB4枚組32GBで安定動作し、この辺りはMSIとほぼ同等という評価だったのですが、メモリ周波数3600MHzにおいてなぜかCL16で上手く動作しないという症状(BIOS:f3)が発生したこともあって、管理人の評価は3番目です。(あとBIOSの日本語ローカライズが一番微妙だったことも影響)
4機種の中で唯一、Q-FLASH PLUSと呼ばれるBIOS Flashback機能に対応しており保守性に優れているところは魅力です。
「ASRock Z490 Steel Legend」についてはCore i9 10900KやCore i9 10900の電力制限無効化を簡易水冷CPUクーラーで運用した時のVRM電源温度が高く、電力制限を無効化したCore i9 10900Kにおいてはスロットリングも発生したことから順位を落としましたが、Core i9 10900Kを含めIntel仕様値通りの電力制限や、Core i7 10700K以下の電力制限無効化を運用する分にはVRM電源が問題になることはありません。デザインや拡張性などその他の要素に魅力を感じるなら選択しても良いと思います。
以上、『主要4社のZ490マザーボードを徹底比較!第10世代Core-Sにイチオシはどれか?』でした。
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イチオシZ490マザーボードはどれか!?
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) June 12, 2020
Intel第10世代CPU対応Z490マザーボードから2万円で購入できる主要4社の売れ筋4モデル
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