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QNAP製スイッチングハブから、4基の10Gb LANと8基の1Gb LANを搭載したWebマネージドスイッチ「QNAP QSW-M408-4C」をレビューします。QNAP製10Gb LAN対応NASと組み合わせて10Gb LAN接続でPCと高速かつ安定な通信が可能なのか検証します。
製品公式ページ:https://www.qnap.com/ja-jp/product/qsw-m408-4c
QNAP QSW-M408-4C レビュー目次
1.QNAP QSW-M408-4Cの外観・付属品
2. 管理機能QNAPスイッチシステム(QSS)
3.PCとNASを10Gb LAN接続してみる
4.QNAP QSW-M408-4Cのレビューまとめ
【機材協力:QNAP】
QNAP QSW-M408-4Cの外観・付属品
最初に「QNAP QSW-M408-4C」の外観や付属品についてチェックしていきます。パッケージを開くと白色スポンジスペーサーで保護されたスイッチングハブ本体が左側にあり、右側には段ボールを間仕切りにして各種付属品が収められていました。
「QNAP QSW-M408-4C」にはスイッチングハブ本体以外に、ゴム足、ラックマウント用金具、ACケーブル、クイックマニュアルが付属します。
続いて「QNAP QSW-M408-4C」のスイッチングハブ本体についてチェックしていきます。
「QNAP QSW-M408-4C」は高さが低く横長な直方体というスイッチングハブらしい形状ですが、外装カバーは透明感のある白色プラスチック製でオシャレなオフィス環境にもマッチしそうな外観です。
「QNAP QSW-M408-4C」は冷却ファンによるアクティブ冷却が採用されたスイッチングハブとなっており(ファン速度は内部温度に応じて自動的に制御される)、左右側面や正面から見て天面の右奥にはエアスリットが設けられています。
「QNAP QSW-M408-4C」は冷却ファンを内蔵したスイッチングハブですが、後述の10Gb LAN対応NASの検証中も含めて、ファンノイズは50cmも離れると聞こえなくなるくらい小さかったので、静かなオフィスはもちろん、個人の私室においても邪魔になることはないと思います。
「QNAP QSW-M408-4C」の底面はスチール板となっており、外周にエアスリットがあり、四隅にゴム足があるくらいです。
「QNAP QSW-M408-4C」のMACアドレス、標準アカウント、標準パスワードは底面の白色シールに記載されています。
「QNAP QSW-M408-4C」の寸法は、横幅425mm×奥行290mm×高さ127mmです。
8ポートの1Gb LANに加えて4ポートの10Gb LANも搭載する高性能スイッチングハブなので、一般ユーザーも使用するような1Gb LAN×5ポートのElecom EHC-G05MN2-HJBと比較すると、「QNAP QSW-M408-4C」が非常に巨大であることが伝わると思います。
「QNAP QSW-M408-4C」の重量は1183gなのでサイズに反して重さはそれほど差がありません。
「QNAP QSW-M408-4C」の正面を見ると左から順に、8基の1Gb LAN対応ポート、4基の10Gb LANポート(SFP+とRJ-45がそれぞれ)が実装されています。レンチのアイコンが描かれた管理用LANポートはユーザーは使用しません。
10Gb LANポートにはSFP+という特殊なポートも併設されていますが、「QNAP QSW-M408-4C」は一般に”有線LAN”と言って思い浮かべるRJ-45によって全ポートの接続が可能です。
「QNAP QSW-M408-4C」では4基全ての10Gb LAN対してSFP+とRJ-45が併設されたコンボポートが採用されており、各ポートでSFP+かRJ-45のどちらで接続するか選択できます。(片方を使用するともう片方は無効化)
ちなみにQNAPのQSW-M408シリーズからは、今回レビューする「QNAP QSW-M408-4C」を最上位モデルとして、SFP+の10Gb LANが4基搭載されているなどの基本仕様はほぼ共通ですが、RJ-45のコンボポートの搭載数が2基の「QNAP QSW-M408-2C」と、コンボポート非搭載でSFP+のみの「QNAP QSW-M408S」もラインナップされています。
今回レビューする「QNAP QSW-M408-4C」を含めQSW-M408シリーズの合計非ブロックスループットは48Gbps、スイッチ容量は96Gbpsとなっており、9KBまでのジャンボフレームにも対応しています。
「QNAP QSW-M408-4C」は正面から見て天面の左奥にACアダプタのDC端子を接続するDCポートが実装されています。
「QNAP QSW-M408-4C」のACアダプタはコンセントケーブル自体はミッキー型と呼ばれることの多い3PINで、AC-DC変換本体も標準的なサイズですが、スイッチングハブ本体と接続するDC端子に円柱状の外装が装着されているところが少々特殊です。
DC端子は見ての通りスイッチングハブに対して垂直に装着するのですが、90度自由に回転できるので、スイッチングハブの奥行127mm程度のスペースしかない場所でも電源ケーブルのスペースを気にせずに設置できます。
管理機能QNAPスイッチシステム(QSS)
今回レビューする「QNAP QSW-M408-4C」は、QNAPスイッチシステム(QSS)と呼ばれるWeb GUIで制御可能なL2 Webマネージドスイッチです。LANポート数を増やしたい時に一般によく使用されるのはユーザーによる設定が不要な(設定ができない)アンマネージドなスイッチングハブだと思いますが、「QNAP QSW-M408-4C」はWebマネージドスイッチなのでWeb GUIの管理ページから様々な設定を行うことができます。
ちなみにWebマネージドスイッチにはL2スイッチとL3スイッチの2種類があります。
簡単に言うと、VLAN(Virtual LAN)間を跨いで通信可能なものがL3スイッチ、VLANは構築できるけど異なるVLAN間で通信できないものがL2スイッチです。
L2スイッチにはVLAN機能に対応したものと非対応のものがありますが、VLANに対応している場合、例えば8ポートのL2スイッチを、4ポートのスイッチングハブ2台のように動作させること可能です。この時に一方の4ポートはVLAN1、もう一方の4ポートがVLAN2となります。
L2スイッチではVLAN1の中の4ポート間では通信が可能ですが、VLAN1とVLAN2を跨いだ通信はできません。この異なるVLAN間での通信にも対応したスイッチがL3スイッチと呼ばれます。
「QNAP QSW-M408-4C」の管理ページには、一般的なルーターやNASと同様にWebブラウザのURLバーにIPアドレスを入力する、もしくは、Qfinder ProというQNAP製ネットワーク機器用アプリケーションから選択することによってアクセスできます。
「QNAP QSW-M408-4C」のIPアドレスの入力もしくはQfinder Proで管理ページを開くと、まずはログイン画面が表示されます。
初期設定のユーザーIDは『admin』、パスワードはMACアドレスから記号を除いた英数字です。MACアドレスがA1:B2:C3:D3:E5であれば、パスワードは『A1B2C3D3E5』となります。MACアドレスは上記のQfinder Proや、「QNAP QSW-M408-4C」の本体底面に貼られたシールから確認できます。
初回ログイン後には、初期設定のパスワードから変更が要求されるので、各自で任意のパスワードを設定します。
「QNAP QSW-M408-4C」の管理ページにログインすると、QNAPスイッチシステム(QSS)と呼ばれるWeb GUIが表示されます。
QNAPスイッチシステムは日本語UIに対応しています。今回検証した限りでは自動的に環境言語を検出するのか、最初から日本語でしたが、別言語になっている場合は、右上の三点アイコンから言語を選択するとUI言語の切り替えが可能です。
左側メニューバーの「ポート管理」を選択すると、現在の各ポート使用状況の一覧表示、各ポートの有効化・無効化、各ポートのリンク速度設定が表示されます。
「QNAP QSW-M408-4C」は4基の10Gb LANを含む12基のLANポートをいくつかのグループに分けるVLAN機能に対応しています。なおL2マネージドスイッチなので、VLANを跨ぐような通信には非対応です。
「QNAP QSW-M408-4C」は複数のLANポートを1つのLANポートのように扱うリンクアグリゲーション(LAG)に対応しています。12基のLANポートの組み合わせで最大で6系統のLAGを構築できます。
「QNAP QSW-M408-4C」を介すれば、10Gb×2のリンクアグリゲーションで仮想20Gb LANによるPC-NASの相互接続を行いつつ、1Gb LANの別機器からNASにアクセスするようなネットワークも構築できます。
その他にも左側メニューからは、ラピッドスパニングツリープロトコル(RSTP)、リンクレイヤディスカバリープロトコル(LLDP)、インターネットグループマネジメントプロトコル(IGMP)、アクセスコントロールリスト(ACL)、QoSなどのネットワーク管理機能に対応しています。
PCとNASを10Gb LAN接続してみる
「QNAP QSW-M408-4C」を10Gb LAN対応NAS「QNAP TVS-472XT」を組み合わせた時にPC直結と同様に10Gb帯域のパフォーマンスを発揮できるのか検証していきます。「QNAP TVS-472XT」の仕様や使い方、10Gb LAN接続時(PCと直結)の理想的な性能などについては個別のレビュー記事で解説しているのでこちらを参照してください。
・10Gb Lan&高性能CPUの爆速NAS「QNAP TVS-472XT」をレビュー
特にひねりもなく、「QNAP QSW-M408-4C」に搭載された2基の10Gb LANポートに10Gb対応LANケーブル(CAT7のサンワサプライ KB-FLU7シリーズ)を使用してPCとNASを接続したところ、PCからはQfinder Proを使用してTVS-472XTを問題なく認識できました。あとの使い方は上の記事で紹介しているPC-NASのダイレクト接続時と同じです。
ちなみに今回レビューする「QNAP QSW-M408-4C」を含めQSW-M408シリーズはいずれも9KBまでのジャンボパケットに対応しています。今回の検証ではPC側とNAS側でジャンボパケットの設定値を9KB(設定値9000)にしています。
ジャンボパケット(Jumbo Packet, Jumbo Frame, MCU等と表記)は、5~10Gb LAN対応NASで重要になる機能ですが、簡単に説明すると、ルーター側CPU(SoC)の性能が低い時にボトルネックを解消する効果があります。Intelのデスクトップ向けCPUを搭載しているようなNASならジャンボパケット無効でも問題ありませんが、モバイル向けSoC等ではSoCの性能がボトルネックになるため、マルチギガビットLANの性能をフルに発揮しようとするとジャンボパケット対応が必要になります。
スイッチングハブなどネットワーク機器に関して明るい人には当然かもしれませんが最初に少し補足しておきます。
ホームネットワーク内の各種機器のIPアドレスはルーターを中心にしてDHCPで自動的に割り当てられるのが一般的です。
では「QNAP QSW-M408-4C」とルーターの間が1Gb LAN接続の場合に、「QNAP QSW-M408-4C」とそれ以下の機器とのリンク帯域はどうなるのか。また「QNAP QSW-M408-4C」に接続されたPCとNASの通信速度はどうなるのか。
まずリンク帯域についてですが、「QNAP QSW-M408-4C」に接続された機器のリンク帯域は、DHCPホスト(ルーター)のリンク帯域には影響されず、単純に「QNAP QSW-M408-4C」と接続機器の最大速度でリンクされます。
次にDHCPホスト(ルーター)のリンク帯域が1Gbの時のPC-NAS間の通信速度についてですが、こちらもPC-NAS間(スイッチングハブを介する)で通信が完結する限りは上流には影響されず、10Gb LAN接続として高速通信が可能でした。
「QNAP QSW-M408-4C」を使用するにあたって、DHCPホスト(ルーター)はマルチギガビットLANに対応している必要はありません。
ここからは「QNAP QSW-M408-4C」を中継して10Gb LAN対応NASに接続した時にどれくらいのアクセススピードが出せるのか検証していきます。
まずはPCとTVS-472XTを10Gb LANでダイレクト接続した場合、および「QNAP QSW-M408-4C」を介して10Gb LANで接続した場合の2ケースについて、CrystalDiskMark8でベンチマーク測定を行いました。TVS-472XTに搭載したSamsung SSD 970 PRO 1TB上に作成したネットワークドライブに対してベンチマークを行っています。
PCとNASを10Gb LANでダイレクト接続した場合、通信帯域は10Gbなので連続読み出しと連続書き込みはいずれも理想的な1200MB/s程度の高速アクセスを実現しています。またランダム読み出しも30MB/s以上と内蔵SSD並みに高速です。
一方でPCとNASの間に「QNAP QSW-M408-4C」を挿入しても、目立った速度低下はなく(ランダム性能は微減の傾向があるものの)、10Gb LAN直結時と同等のアクセススピードを発揮できます。
「QNAP QSW-M408-4C」は9KBまでのジャンボパケットにも対応しているので、PCとNAS側でジャンボパケットを有効にした時にスイッチングハブが原因で速度低下が発生することもありません。
CrystalDiskMarkを使用した基本的なストレージ性能のチェックも完了したので、続いてNASの性能評価で最重要項目となるファイルコピーにおける読み出し・書き込みについて性能比較をしてみました。
検証に使用するデータとしては次のような50GB(10GB×5)の動画フォルダ、80GBで多数のファイルが入ったゲームのフォルダ(The Witcher 3とRise of the tomb Raiderなどのゲームフォルダ)、1KB~1MBの画像ファイル10,000枚が入った3GBの画像フォルダ、5MB~8MBの画像ファイル1,000枚が入った7GBの画像フォルダの4種類を使用しています。
データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。測定においては書き込み先/読み出し元の対象となるストレージが必要になるため、各ストレージのコピー相手にはM.2-PCIE変換アダプタ「Aquacomputer kryoM.2」に設置したSamsung SSD 970 PRO 1TBを使用しています。
実際のファイルコピーでアクセススピードを検証してみたところ、NASからの読み出しについては「QNAP QSW-M408-4C」を中継しても性能は微減、もしくは測定誤差に収まりました。
一方でNASへの書き込みについては、PCとNASでジャンボパケットを有効時にルーターやスイッチングハブがジャンボパケットに対応していないと性能が低下してしまう可能性があります。
前述の通り「QNAP QSW-M408-4C」はジャンボパケットに対応しているので、書き込みでも、スイッチングハブを中継しても性能は微減、もしくは測定誤差に収まりました。
QNAP QSW-M408-4Cのレビューまとめ
最後にスイッチングハブ「QNAP QSW-M408-4C」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 8基の1Gb LANに加えて、4基の10Gb LANポートを搭載
- QSW-M408-4Cは4基全ての10Gb LANポートでSFP+とRJ-45を選択可能
- Web GUIによる管理に対応したL2マネージドスイッチ
- 10Gb LANによるリンクアグリゲーションにも対応
- ハブ経由でも10Gb LAN対応NASの性能はPC直結と同等
- 冷却ファン内蔵でも動作音は静か
- スイッチング容量は96Gbps
- 9KBまでのジャンボパケットに対応
- 一般的なアンマネージドスイッチと比較するとフットプリントが大きい
- 販売価格は5万円程度と高価(2021年11月現在)
「QNAP QSW-M408-4C」は4ポートで10Gb LANに対応した機器を相互に通信させることが可能であり、L2マネージ機能にも対応しているのでVLANの構築や、リンクアグリゲーションで帯域増幅した機器と単純接続の機器間の通信を仲介するなど応用性の高いスイッチングハブです。
「QNAP QSW-M408-4C」を介してPCとNASを10Gb LANで接続した場合、直結時と同様に連続1200MB/s程度の理想的な性能を発揮できます。
「QNAP QSW-M408-4C」はJumbo Packetに対応しているので、ARMベースなどNAS側CPUの性能が低い場合もCPUボトルネックが緩和され、マルチギガビットLANのポテンシャルを引き出すことが可能です。
複数の10Gb LAN搭載スイッチングハブというとビジネス・エンタープライズ向けの製品が多く、10万円近い非常に高価な製品になりがちです。8基の1Gb LANもあり、L2マネージ機能に対応していることを考えれば5万円で購入できる「QNAP QSW-M408-4C」はコストパフォーマンス面でも非常に優れた製品です。
10Gb対応光回線を用意するのはまだハードルが高い一方、ローカルネットワークの10Gb回線は難しくなくなってきているので、4基の10Gb LANポートを使用できる「QNAP QSW-M408-4C」はビジネスユーザーだけでなく個人ユーザーにも好評を博する製品だと思います。
以上、「QNAP QSW-M408-4C」のレビューでした。
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4基の10Gb LANと8基の1Gb LANを搭載したWebマネージドスイッチ「QNAP QSW-M408-4C」をレビュー。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) December 5, 2021
QNAP製10Gb LAN対応NASと組み合わせてPCと高速かつ安定な通信が可能なのか検証します。https://t.co/ixRBZcGTgC pic.twitter.com/WZSZOdUn88
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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