
スポンサードリンク
苦節というほど長くありませんがブログ開設から10ヶ月ほど、当ブログでもついに企業様から念願の10万円越えハイエンドグラボのレビュー用サンプルを提供(貸出)いただけました!
この度はレビュー用サンプルとして提供いただいたのは、ZOTAC様(以下、敬称略)から同社の超OCチューニングがなされた「ZOTAC GTX 1080 AMP EXTREME」(ZTGTX1080-8GD5XAMPEX01)となっています。

商品公式ページ:https://www.zotac.com/jp/product/graphics_card/zotac-geforce-gtx-1080-amp-extreme

今後のレビュー依頼やサンプル提供にも繋がるように気合いを入れてレビューしていこうと思います。
GTX 1080 AMP Extremeの外観
早速、ZOTAC GTX 1080 AMP Extremeを開封していきます。グラボ本体は薄い静電防止ビニール袋ではなくプチプチ型のビニールで衝撃から保護され、さらにスポンジのスペーサー内に鎮座しています。

付属品は簡易インストールマニュアルとドライバCD、それとAMP Extremeは補助電源が多いので6PIN*2を8PIN*1に変換するケーブルが2個同梱されていました。


グラボ本体をチェックしていきます。ZOTAC GTX 1080 AMP Extremeは大型3連ファン搭載となるTriple Fan IceStormクーラーを採用し、グラボ長はリファ基板の280mmを大きく超える325mmです。

クーラーファンの径は90mmで、羽の内側にはファンノイズを抑える切れ込みがあります。クーラー外装は金属製の大枠にカーボンをイメージしたプラスチック素材の装飾がされています。クーラー外装は金属なので剛性も高くプラスチックと違って強く持っても大丈夫な安心感があります。


ZOTACは廉価ブランドで付属品も簡素なイメージが未だ根強いようですが、AMP Extremeについては出力端子やSLI端子の保護キャップが付属しています。画像のようにPCIブラケットよりも2~3cmほど背が高い基板になっています。

基板裏には専用バックプレートも搭載し、AMPシリーズの中でも特にOCチューニングがされたAMP Extremeである証の「PUSH THE LIMIT」のロゴが入っています。デザインはZOTACのイメージカラーであるグレーとイエローでまとめられていますね。



他社製のバックプレートは基板裏面を保護するだけのものが多いですが、AMP Extremeのバックプレートは基板側面まで折り返されておりグラボの剛性が増すのでかなりの重量にも関わらず持ちやすいです。

補助電源は8PIN*2になっています。最近の電源ユニットであれば付属の変換ケーブルもあるので電源コネクタの数は問題ないと思いますが、AMP ExtremeでSLI構成を狙う場合は予めコネクタが足りるか要確認です。あとこのグラボはPCIブラケットよりも背が高いので補助電源ケーブルとPCケースの干渉には注意が必要かも。

ビデオ出力についてはGTX1080のリファレンス同様にDisplayPort1.4*3、HDMI2.0、DVIとなっています。また画像のようにPCIブラケットは2スロットですがクーラーが上にはみ出しているので3スロットを占有します。

ZOTAC GTX 1080 AMP Extremeがどれくらい大きいのかGIGABYTE GTX1070 G1 Gamingと比べてみました。GIGABYTE G1もハイエンドGPUを十分冷やせる大型クーラー搭載グラボなので決して小さくはないのですが、AMP Extremeと並べるとまるでミドル帯のグラボのように見えてきますね。




GTX 1080 AMP Extremeの分解
続いてクーラー外してグラボの三枚おろしを行いました。GTX1080 FoundersEditionの分解ではネジ穴のやけに小さいプラスねじやナットドライバーが必要なナットネジなど特殊な精密ドライバーが必要でしたが、AMP Extremeでは一般的なプラスねじしか使われていないので分解は簡単でした。クーラーはGPU周辺のバネ付きネジ4つとバックプレート中央下のネジ1つの計5個のネジだけで固定されていました。クーラーが大きいのでその点はちょっと心配かも。



バックプレートを固定しているネジは基板上クーラー側にあるのでクーラーを外してからでないとバックプレートを外すことはできません。

AMP ExtremeのクーラーではGPUコアとの接触はダイレクトヒートパイプではなく銅製ベース採用になっており、VRMやVRAMもサーマルパッド経由で一括で冷やせるように一体化しています。

VRM電源部分は下画像のように11+2で計13フェーズの特盛となっています。
(手前の3フェーズ、中央の8フェーズ、奥のサーマルパッドが張られた2フェーズの計13フェーズだと思ったのですが、こちらのソースでは8+2フェーズと表記されています。)

3スロット占有クーラーだけあって横から見るとヒートシンクが分厚いです。高級なツインタワータイプのCPUクーラーのタワー部分を水平に並べた感じになっています。

金属製のバックプレートは冷却性の向上にも一役買っていると思ったのですが、グラボの基板本体とはネジ受け部分のみで接触しておりGPUコアの裏やVRMの裏にはサーマルパッドなどはありませんでした。

ネジ受けスペーサーの長さは2.5mmほどなので3mmくらいのサーマルパッドで基板の発熱部分裏側とバックプレートを接触させると低負荷時セミファンレス採用ということもあるので放熱の助けにいいかもしれません。

GTX1080 AMP Extreme セットアップ
外観やハードのチェックはこのあたりにして早速、検証用の機材に組み込みました。テストベンチ機の構成は次のようになっています。CPUはASRockのHyper BCLK Engineを使ったHyperOCでKなしCPUをOCするという若干変則的なものを使っています。テストベンチ機の構成 | |
CPU | i5 6400 4.0GHzにBCLK OC |
M/B | ASRock Z170M OC Formula |
メインメモリ | DDR4 8GB*2=16GB |
システム・ベンチ ストレージ |
SSD 540 M.2 240GB |
OS | Windows10 64bit Home |
電源ユニット | Corsair RM650i |

ガッツリと3スロットを占有しています。


補助電源が正常に接続されているとグリーンのLEDが点灯し、コネクタが刺さり切っていなかったり、コネクタを刺し忘れていると赤色のLEDが点灯します。LEDはシステムを起動していなくてもマザボがPSUに繋がっていれば点灯するのでグラボの組み込み・換装時に補助電源の繋ぎ忘れはなくなりそうでいいと思いました。


GTX1080 AMP Extreme LEDイルミネーション
GTX980tiのAMP ExtremeにはありませんでしたがGTX1080からはZOTACもOCやLEDイルミネーション操作用専用ツールである「FireStorm」を新たに公開しています。DL先(7月10日最新):https://www.zotac.com/download/mediadrivers/cards/FireStorm_V2.0.0.006E.zip
GTX1080 AMP Extremeはこのアプリを使って発光カラーと発光パターンと輝度を変更できます。アプリからLEDイルミネーションを完全に消灯させることも可能です。

LEDの発光場所はクーラー中央の「ZOTAC」「PUSH THE LIMIT」のロゴ部分と左右ファンのシールド部分の二ヵ所で個別にLEDカラーを調整可能です。


またバックパネルの「PUSH THE LIMIT」のロゴは左右ファンのシールド部分と同じ色で発光します。


発光パターン、カラー、輝度の変化やバリエーションについては次の動画をご覧ください。
GTX 1080 AMP Extremeのベンチマーク
ZOTAC GTX 1080 AMP Extremeの性能を測るべく各種ベンチマークを実行しました。GTX 1080 AMP Extremeのコアクロックはブーストクロック1911MHz、メモリクロックが10800MHzとリファレンスであるFoundersEditionよりも大幅にオーバークロックされています。コアクロックについては実働最大ブーストクロックは各種ベンチマークやゲームで2.0GHz越えで安定動作しました。またメモリクロックは他社のOCモデルでは手つかずであったり、OCされていてもせいぜい100~400MHz程度のOCに留まるのですが、GTX 1080 AMP Extremeでは+800MHzとなっています。

ちなみにマニュアルOCについてですが管理人がこの度提供いただいた個体ではコアクロックとメモリクロックをそれぞれ+50MHz盛っただけでドライバ停止が発生したので早々に諦めました。デフォルトのOC設定での安定動作は当然保証されており検証でもまったく問題ありませんでしたが、マニュアルOCの伸びしろについてはやはりお御籤になってしまうようです。

今回は性能比較のためGTX 1080 Founders Editionもあわせて測定を行いました。初めてのレビュー用サンプルを用いたグラボのレビューということで比較データが少ないですが検証環境や手順の統一を進めているので今後はサンプル数も徐々に増えていくと思います。
まずはFireStrike、FireStrikeExtreme、FireStrikeUltraのベンチマーク比較になります。GTX 1080 AMPExではリファレンスのFEよりも各種解像度で1割弱程度性能が伸びています。




FF14ベンチのフルHD最高設定の比較は次のようになっています。当ベンチマーク測定環境ではGTX 1080 AMPExでスコアは18800ほどとなりました。FF14ベンチはグラボの性能を測るというよりもFF14が快適に遊べるかを測るベンチマークの意味合いが強いのでスコア10000を超えた当たりからはCPUクロックへの依存性がかなり高くなってきます。


続いて実ゲームを用いたベンチマークになります。
まずはRise of the Tomb RaiderのWQHD解像度、最高設定(FXAA、HBAO、DX11)のベンチマーク比較です。GTX 1080 AMPExの平均FPSは94FPSとなりFoundersEditionよりも8FPSほど高い値をマークします。

The Divisionのベンチマーク比較は次のようになっています。このゲームのベンチマークではこちらのグラフィック設定を用いて、フルHDとWQHDでベンチマークを行いました。GTX 1080 AMPExはフルHDでは平均80FPS、WQHDでは平均58FPSとなりました。

GTA5のベンチマーク比較は次のようになっています。グラフィック設定は最高設定としてフルHDとWQHDでベンチマークを行いました。GTX 1080 AMPExはフルHDでは平均79.4FPS、WQHDでは平均65FPSとなりました。

The Witcher3のベンチマーク比較は次のようになっています。グラフィック設定は最高設定としてフルHDとWQHDでベンチマークを行いました。測定にはノヴィグラドの広場から橋までを往復しています。GTX 1080 AMPExはフルHDでは平均74.6PS、WQHDでは平均68.6FPSとなりました。

The Witcher3のベンチマークでGTX 1080 AMPExのWQHDとFoundersEditionのフルHDのスコアが逆転している件については、フルHDでCPUボトルネックの影響が大きくFPSが伸び悩んでいるのが原因のようでした。グラボレビュー自体とは関係ありませんが今後も検証環境がi5のままでいいかちょっと悩ましいです。

最後にDirectX12ネイティブ対応のベンチマークとしてGears of War:UEで測定を行いました。グラフィック設定は最高設定としてフルHDとWQHDでベンチマークを行っています。GTX 1080 AMPExはフルHDでは平均146FPS、WQHDでは平均109FPSとなりました



以上、各種ベンチマークや実ゲームを用いたGTX 1080 AMP Extremeのグラフィック性能の検証でした。
GTX 1080 AMP Extremeの温度・消費電力
ZOTAC GTX 1080 AMP Extremeの負荷時のGPU温度とファン回転数を検証しました。性能比較と同じくFounders Editionと比較しながら検証を行っています。温度とファン回転数の検証時の負荷としてはFF14ベンチを使用しており、その結果が次のグラフになっています。
GTX 1080 AMP Exはセミファンレス採用となっており温度が70度を超えるまではファンが停止しています。
(上画像でオレンジの円で囲った部分についてセミファンレス機能で本来ファンが停止しているはずなのですが一部のファンが不安定に動作していました。<参考動画> この症状についてZOTACへ問い合わせたところソフトウェアに不具合があり改善対策のBIOSを作成中とのことです。)
GPU温度が70度を超えるとファンが動作を始めますがヒステリシスがあり70度を切っても一定時間はファンが動作し続けます。デフォルトではフル負荷時に60~75度程度になるよう熱設計がされているようです。
FoundersEditionでは終盤でGPU温度が80度を超え、ファン回転数も2000RPMを超えていますが、GTX 1080 AMP Exではサーマルリミットのかかる80度台に到達しないようにファン制御されており、同時に1000RPM程度という非常にゆるゆるとしたファン回転数で動作するので静音性にも優れています。
1500RPM以下であればファンノイズも非常に小さいのでAfterBurnerなどのツールから一定回転数で固定すれば65度程度で安定動作させることも可能になっています。
またこちらは別件でレビューしたGTX1080 ROG STRIXのGPU温度とファン回転数の推移になっています。

ファン回転数を比較するとROG STIRIXはオリファンモデルとしては一般的な2スロット占有の3連ファンなので最大1800RPMまで上がりますが、3スロット占有の超重量級クーラーを搭載するAMP Exではせいぜい1400RPMに留まっており超大型クーラーの冷却性の高さが伺えます。
FF14ベンチ終盤のGTX 1080 AMP ExとFoundersEditionのファンノイズとコイル鳴きについて確認のため動画を録画しました。測定にはグラボから30㎝ほど離した位置にカメラを置いて撮影を行っています。(AMPExのほうは若干近いかも) この動画でもAMP Exのファンノイズが圧倒的に小さいことが確認できると思います。
コイル鳴きについてはいずれもかなり軽微な類なので問題ないと思います。
なおコイル鳴きは最近のグラボだとTitanXでも980tiでもGTX1080でも基本的に鳴くので60FPS程度の高負荷時にPCケースに入れていても気に障る程度の大きさかどうかで主観的になりますが「軽微」or「問題あり」として当ブログ記事では判断します。同じ型番のグラボでも個体差がある項目なので参考に留めていただけるとありがたいです。
続いてZOTAC GTX 1080 AMP Extremeの消費電力と瞬間的な最大電源負荷を測定しました。測定にはCorsair RM650i電源ユニットのCorsairLinkによる電力ログ機能を用いてコンセントからの出力ではなく変換ロスを差し引いた純粋な検証システム全体への入力電力をチェックしています。また測定方法は「FireStrike Extremeのグラフィックテストを3回行い、その際の平均値を消費電力に、最大値を瞬間的な最大電源負荷」としました。測定結果は次のようになっています。

GTX 1080 AMP Extremeの消費電力は253WでFoundersEditionよりも22Wほど消費電力が大きくなっています。また瞬間的な最大電源負荷は292WとなりFoundersEditionよりも30Wほど大きいです。8PIN*2と電源フェーズ数特盛ですが異常と思われるような消費電力の増加も確認できませんでした。
(参考画像:ログ1、ログ2)
またアイドル時の消費電力が次のようになっていました。消費電力については負荷時同様に一定期間の平均値です。アイドル時については最大ではなく最低瞬間負荷を併記しています。

(コメント欄から希望いただいて後から追加したのですが、レビュー掲載&サンプル返却後だったのでログからベンチマーク間の冷却期間の消費電力を取ってきてグラフ作成しました。アイドル状態目的で測定したデータではないので若干、不正確かもしれません)
ところでGTX 1080ではPowerLimitを調整することでワッパが大幅に改善されることが報告されておりZOTAC GTX 1080 AMP ExtremeでもFireStrikeのグラフィックテスト2を負荷としてそれを試してみました。PowerLimit調整時の消費電力、コアクロック、フレームレート、コア温度の比較画像が次のようになっています。




確かにPowerLimitを調整することで消費電力とコア温度が大幅に下がり、一方でコアクロックは安定しなくなるもののフレームレートの低下は軽微であることが確認できました。GTX1080ユーザーはワッパよりも最大性能を重視する人が多いとは思いますが、ワッパを重視したいユーザーにはありがたい機能(性能)ですね。
ZOTAC GTX1080 AMP Extreme レビューまとめ
最後にZOTAC GTX 1080 AMP Extremeを検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- コアクロックだけでなくメモリも大幅OCされているのでGTX1080 AIBモデルとしては屈指の性能
- 大型ヒートシンク&大口径3連ファンで冷却性が抜群
- 大型ヒートシンクとセミファンレス対応で70度までは無音動作可能
- ファン動作時もファン回転数は1500RPM以下でファンノイズは小さい
- 補助電源は8PIN*2で電源フェーズ特盛だがFE比で消費電力は20W増と良好
- コイル鳴きも軽微で問題なし
- グラボ長、グラボ幅ともに非常に大きいのでケースと干渉しないか事前チェックは必須
- 補助電源は8PIN*2なのでコネクタ数の事前チェックは必須
- 重量が重く3スロット占有なのでPCIスロットの垂れ下がりに注意
- セミファンレス機能に若干不具合があり改善対策BIOSがZOTACで作成中(7月12日)
非常にデカいのでケースとの干渉に注意が必要という点を除けば、グラフィック性能、冷却性、静音性いずれも高いレベルでまとまった製品に仕上がっています。
9XX世代に比べるとOCによるリファレンスからの伸びしろは小さいGTX1080ですが、オリジナルクーラーの冷却性はリファレンスクーラーよりも圧倒的に高く、特に3スロット占有のAMP Extremeのクーラーの冷却性能は抜群なのでそれだけでもGTX 1080オリファンモデル購入候補の選択肢にいれて間違いはないと思います。
以上、ZOTAC GTX 1080 AMP Extremeのレビューでした。

(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
スポンサードリンク