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今後の各種レビュー用機材として北米でNVIDIA製GPU搭載グラボのトップシェアを誇るEVGAの「EVGA GeForce GTX 1070 SC GAMING ACX 3.0」(08G-P4-6173-KR)を米尼から個人輸入したのでレビューしようと思います。ACX 3.0クーラー、とりわけ銅製ベースの大型ヒートシンクがかなり優秀なので米尼からの個人輸入にはACX 3.0クーラーを採用するEVGAのオリファンモデルが一押しだと肌で感じました。
EVGA GTX 1070 SC ACX3.0はFoundersEditionと同じリファレンス基板にデフォルトでブーストクロック1784MHzにOCされた独自BIOSを組み込み、高品質で高い冷却性を備えたACX3.0クーラーを搭載したモデルになっています。
レビュー用機材ということでできるだけサイズが小さくて(背の低い基板で)取り回しが良く、補助電源も8PIN*1のものが良かったのでGIGABTYTE GTX1070 G1 Gamingも以前購入してレビューを行ったのですが、地デジ電波との干渉という超ニッチなおま環不具合に見舞われてしまったのでこの度EVGA GTX 1070 SC ACX3.0に買い替えました。ちなみに地デジ電波干渉は結局G1 Gaming以外では発症しませんでした。
英離脱の影響でドル円レートは100円/ドルほどでクレカの変換手数料数円込でも102.9円/ドルだったので439ドル+送料・デポジット返金込で5万円ほどで購入できました。国内ではGTX1070の安いモデルなら5.4万円ほどですでに販売されているのでGTX1080の個人輸入ほど美味しい思いはできませんが高品質かつグローバル3年保証なEVGAのオリファンモデルが国内よりも数千円~1万円ほど安く購入できるのは総合的に見てかなりお得感があります。
商品公式ページ:http://www.evga.com/products/Product.aspx?pn=08G-P4-6173-KR
EVGA GTX 1070 SC ACX 3.0の外観
早速、EVGA GTX 1070 SC ACX3.0を開封していきます。EVGA GTX 1070 SC ACX3.0はリファレンス基板採用のモデルとなっているので、ボード長は当然リファレンスと同じ267mmでグラボの背の高さもPCIブラケットとほぼ同じ背の低いです。
上の画像のように今回のEVGAオリファンモデルはプラスチック製のスペーサーに固定するだけと、他社が静電防止ビニール、スポンジスペーサー、紙製の中箱を採用しているのに比べるとかなりの簡易梱包になっています。梱包費の削減については賛否あると思いますが、メリットの一つとしてパッケージが小さいのは良いと思いました。
なお同社のFTWなど上位シリーズは紙パケ&スポンジ製スペーサー採用です。
@EVGA_JacobF Best card I've ever held onto. Bravo guys @TEAMEVGA pic.twitter.com/A4RlW2VM9q
— Johnathan Ramos (@JmR_USAF) 2016年6月30日
付属品は簡易インストールマニュアルと6PIN*2を8PIN*1に変換するケーブルが1個となっています。バッジやポスターなどEVGAファングッズも同梱されていました。(使わない……。)
クーラーやバックプレートには購入直後は保護ビニールが大量に貼り付けられていました。グラボサイドのロゴプレートや網目模様のLED発光部分の保護ビニールはピンセットを使わないと剥がしにくかったです。
クーラー外装についてはプラスチック製の大枠の一部に金属パーツがネジ止めされているので、グラボ全体が重くなり過ぎない一方で剛性が高くなっています。
ケースファンの径は90mmになっています。
グラボは2スロット占有でサイドにはLED発光するグラボネームのプレートが装備されています。
リファレンス基板採用なので当然補助電源は8PIN*1になっています。ビデオ出力もFoundersEdition同様にDP*3、HDMI、DVIを搭載しています。DVI端子のキャップだけ色がグレーなのは気になりました。
バックプレートはヘアライン処理のされたアルミ製でEVGAのメーカーロゴなど一部がくり抜かれており、その部分にはメッシュが貼り付けられているという一風変わったデザインになっています。
アルミのヘアラインが高級感があってカッコいいです。
EVGA GTX 1070 SC ACX 3.0 セットアップ
外観やハードのチェックはこのあたりにして早速、検証用の機材に組み込みました。テストベンチ機の構成は次のようになっています。CPUはASRockのHyper BCLK Engineを使ったHyperOCでKなしCPUをOCするという若干変則的なものを使っています。テストベンチ機の構成 | |
CPU | i5 6400 4.0GHzにBCLK OC |
M/B | ASRock Z170M OC Formula |
メインメモリ | DDR4 8GB*2=16GB |
システム・ベンチ ストレージ |
SSD 540 M.2 240GB |
OS | Windows10 64bit Home |
電源ユニット | Corsair RM650i |
セットアップが完了したのでひとまず起動して、GPU-Zを確認しました。EVGA GTX 1070 SC ACX3.0はデフォルトでオーバークロックされているモデルなので、ブーストクロックはGTX1070の定格である1683MHzから1784MHzへと+102MHzのオーバークロックがされています。
EVGA GTX 1070 SC ACX 3.0 LEDイルミネーション
EVGA GTX 1070 SC ACX 3.0はデフォルトでは白色LEDイルミネーションが静的に点灯していました。発光部位はクーラーフロントのメッシュ模様なパーツの部分とサイドのロゴプレートです。専用アプリである「EVGA Precision XOC」をダウンロードしました。ただ公式サイトでアカウント登録する必要があったり、実際にインストールしてアプリを起動しようとするとグラボのオンライン登録を求められて面倒になって止めました。FTWなどのLEDイルミネーションのRGB調整ができるモデルでは必須のアプリになるためちょっと使い難いのが気になります。
EVGA GTX 1070 SC ACX 3.0のベンチマーク
EVGA GTX 1070 SC ACX 3.0の性能を測るべく各種ベンチマークを実行しました。測定の際にはデフォルトのモードであるゲーミングモード用いています。また性能比較のためGIGABYTE GTX 1070 G1 GamingとGTX 1080 Founders Editionもあわせて測定を行っています。ちょっと手抜きでベンチマーク数は少ないです。EVGA GTX 1070 SC ACX 3.0のコアクロックはブーストクロック1785MHzとリファレンスであるFounders Editionよりも+101MHzもオーバークロックされています。Founders Editionのリファレンス基板でコアクロックをOCしただけでパワーリミットは調整されていないようなのでオリジナル基板を採用しブーストクロック1784MHzのGTX1070 G1 Gamingよりも実働最大ブーストクロックは若干低く、またコアクロックも変動が大きくなっています。
ほぼ同じブーストクロックのGTX1070 G1 Gamingよりもブーストクロックが低く、最大値で張り付かず安定しない件については下のほうで別途検証を行っています。
まずはFireStrike、FireStrikeExtreme、FireStrikeUltraのベンチマーク比較になります。
FF14ベンチのフルHD最高設定の比較は次のようになっています。当ベンチマーク測定環境ではEVGA GTX 1070 SC ACX 3.0でスコアは16752となりました。FF14ベンチはグラボの性能を測るというよりもFF14が快適に遊べるかを測るベンチマークの意味合いが強いのでスコア10000を超えた当たりからはCPUクロックへの依存性がかなり高くなってきます。
以上、簡単にですがEVGA GTX 1070 SC ACX 3.0のグラフィック性能の検証でした。
EVGA GTX 1070 SC ACX 3.0の温度・消費電力
EVGA GTX 1070 SC ACX 3.0の負荷時のGPU温度とファン回転数を検証しました。性能比較と同じくGIGABYTE GTX 1070 G1 Gamingと比較しながら検証を行っています。温度とファン回転数の検証時の負荷としてはFF14ベンチを使用しており、その結果が次のグラフになっています。EVGA GTX 1070 SC ACX 3.0はセミファンレス採用となっておりGPU温度が60度を超えるまではファンが停止しています。60度を超えるとファンが動作を始め、同じく60度を切るとファンが動作停止するようです。
EVGA GTX 1070 SC ACX 3.0ではGPU温度が70度前後で終始推移しておりG1 Gamingが60度前半で推移しています。SCのGPU温度が70度であるのと見るとACX 3.0クーラーの性能は一見低く思えるのですが、実はSC ACX 3.0のファン回転数に注目すると800RPM程度という非常に緩い速度で安定動作していました。70度程度であればサーマルリミットには余裕で引っかかりませんし、静音性との兼ね合いではかなり優秀なクーラーです。
また、ほぼ同じブーストクロックのGTX1070 G1 Gamingよりもブーストクロックが低く、最大値で張り付かず安定しなかったのが気になっていたので、「デフォルト」「PowerLimit 112%」「PowerLimit 112% & ファン回転数 60%」の3つについて同じくFF14ベンチ中のコア温度、ファン回転数、コアクロック(G1 Gamingも)を比較してみました。
まずはコア温度とファン回転数の推移グラフになります。SC ACX 3.0ではAfterBunerからファン回転数を60%固定にすると実際の回転数は1800RPMとなり、G1 Gamingデフォルトのファン回転数と同じ回転数になっています。しかしながらコア温度を見るとG1 GamingでGPU温度が60度前半で推移しているのに対して、SC ACX 3.0ではなんと50度前後で推移しておりファン回転数が等しいことからヒートシンクは抜群の冷却性能を誇ることが確認できました。
銅製ベース採用の大型ヒートシンクが超優秀で面目躍如ですね。
またコアクロックの推移グラフは次のようになっています。パワーリミットの調整でコアクロックが安定していることが確認でき、さらにファン回転数を上げてコア温度を下げることによってコアクロックが40~50MHz高い数字で安定するようになり60度前半で動作しているG1 Gamingよりも高い動作クロックで回っています。
サーマルリミットは80度以上でこれを超えなければコアクロックに影響はないと思っていましたが60~70度台でも若干影響があるようですね。1500RPM程度であればケース内からグラボのファンノイズはほぼ聞こえないと思うので手動設定でファン回転数を調整するのもいいかもしれません。
FF14ベンチ終盤のEVGA GTX 1070 SC ACX 3.0のファンノイズとコイル鳴きについて確認のため動画を録画しました。測定にはグラボから30㎝ほど離した位置にカメラを置いて撮影を行っています。
EVGA GTX 1070 SC ACX 3.0のコイル鳴きについてはかなり軽微な類なので問題ないと思います。
なおコイル鳴きは最近のグラボだとTitanXでも980tiでもGTX1080でも基本的に鳴くので60FPS程度の高負荷時にPCケースに入れていても気に障る程度の大きさかどうかで主観的になりますが「軽微」or「問題あり」として当ブログ記事では判断します。同じ型番のグラボでも個体差がある項目なので参考に留めていただけるとありがたいです。
続いてEVGA GTX 1070 SC ACX 3.0の消費電力と瞬間的な最大電源負荷を測定しました。測定にはCorsair RM650i電源ユニットのCorsairLinkによる電力ログ機能を用いてコンセントからの出力ではなく変換ロスを差し引いた純粋な検証システム全体への入力電力をチェックしています。また測定方法は「FireStrikeExtremeのグラフィックテストを3回行い、その際の平均値を消費電力に、最大値を瞬間的な最大電源負荷」としました。測定結果は次のようになっています。
EVGA GTX 1070 SC ACX 3.0の消費電力は198WでGTX1070 G1 Gamingよりも20W、GTX 1080 Founders Editionよりも33Wも消費電力が小さくなっています。また瞬間的な最大電源負荷は215WでG1 Gamingよりもやはり小さいです。リファレンス基板はやはりワットパフォーマンスの面ではかなり優秀なようですね。
(参考画像:ログ1、ログ2)
EVGA GTX 1070 SC ACX 3.0を分解&グリス交換
EVGA GTX 1070 SC ACX 3.0のクーラーを分解してみました。EVGA製グラボはクーラー分解しても保証を受けられるので水冷化ユーザーも多いので、ACX 3.0クーラー搭載グラボの分解の参考になると思います。
クーラーを外す前に、下画像で青色の枠で囲った部分なのですがクーラーから出っ張っている爪がPCIブラケットに引っかかる構造になっているので、先にPCブラケットを外します。PCIブラケットを外さなくても分解できますが、クーラーを外すときに横に滑らせることになりGPUコアと擦れるのが怖いので先にPCIブラケットを外す手順がおすすめです。
PCIブラケットは上の画像の赤丸部分のネジで止められています。ただDVI端子付近はナットネジになっているのでペンチを使って緩めることもできますが、ナットドライバーセットの購入がおすすめです。
ブラケットを外すと次の画像のようになります。
GPUクーラーは次の画像の赤丸で囲った4つのネジで固定されています。それ以外のネジはバックプレートとミドルプレートの固定ネジなのでクーラーを外してからで問題ありません。
クーラーと基板を分離しました。
デフォルトのグリスは次のように塗られていました。海外レビューの画像ではグリスがグチャっとしていたのですが、おそらくPCIブラケットを外さずにGPUクーラーを横にズラして外したためそうなったんだと思います。
クーラーは銅製ベースに6本の極太ヒートパイプそして大型ヒートシンクを採用しているので単体でもかなりズッシリとした重みがあります。ACX 3.0クーラーの冷却性の要ですね。
バックプレートだけでなく、GPUクーラーと基板の間にもミドルプレートが搭載されており基板の保護に一役買っています。バックプレート1枚ではなく2枚板で挟む構造なので剛性が非常に強いです。
今回はグリス塗り替え目的だったのでプレートには手を付けず、ササッとグリスを塗り替えました。ちなみに使ったグリスは管理人が愛用しているサーマルグリズリーのKyronautです。
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親和産業(2015-09-02)若干多めに塗っておきました。
デフォルトのグリスとKyronautでFF14ベンチを回して温度比較を行いました。ファン設定はデフォのままですがKyronautのほうが10RPMほど高いもののそれで温度差が出るとは思えませんし、贔屓目でKyronautのほうが1度低いかも?という結果になりました。
EVGA GTX 1070 SC ACX 3.0 レビューまとめ
最後にEVGA GTX 1070 SC ACX 3.0を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- リファレンス基板を採用しておりオリファン搭載モデルとしては比較的小型
- デフォルトで+102MHzもOCされ、ブーストクロックは1785MHz
- セミファンレス採用でGPUコア温度60度以下はファンレス動作する。
- デフォルトではファン回転数は800RPM程度でファンノイズは圧倒的に小さい
- フル負荷でも70度前後で安定動作する
- ACX 3.0クーラーは現行の2スロットオリファンクーラーの中でも抜群の冷え具合かも
- 補助電源は8PINなので電源を確保しやすい
- 消費電力・最大電源負荷ともに小さく、ワッパもかなり優れている
- コイル鳴きも軽微で問題なし
- 専用アプリ「EVGA Precision XOC」がユーザーフレンドリーさに欠ける
ファン回転数を揃えた比較から考えるに銅製ベースを採用した大型ヒートシンクの冷却性能はかなり高く、ACX 3.0クーラーの優秀さを確認できました。EVGA GTX 1070 SC ACX 3.0がおすすめなのはもちろんなのですが、EVGA製のオリファンモデルでは製品名にACXを関する無印やSCだけでなく、オリジナル基板採用のFTWやClassfiedでも同クーラーは採用されているので、グローバル3年保証なども加味すれば米尼個人輸入ならEVGA製のオリファンモデルを選択すれば間違いないと思いました。
以上、EVGA GTX 1070 SC ACX 3.0のレビューでした。
(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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