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今後の各種レビュー用機材として北米でNVIDIA製GPU搭載グラボのトップシェアを誇るEVGAの「EVGA GeForce GTX 1060 6GB SC GAMING ACX 2.0」(06G-P4-6163-KR)を米尼から個人輸入したのでレビューします。259ドルの廉価モデルでありながら銅製ベースやダブルボールベアリングの高品質ファンを採用し、デフォルトでブーストクロックもOCされているという非常にコスパの高いモデルです。
【9月6日追記】
EVGA GTX 1060 6GB SCがGTX 1060搭載グラフィックボードとしてはショート基板ながら価格・性能の両面で鉄板と言っていいモデルだったので、コア数が1割ほど削られてVRAMは半分の3GBに減っていますが6GB版よりも50ドルも安くコスパに優れるGTX 1060の3GB版「EVGA GTX 1060 3GB SC」を追加でポチりました。
商品公式ページ
6GB版:http://www.evga.com/Products/Product.aspx?pn=06G-P4-6163-KR
3GB版:http://www.evga.com/Products/Product.aspx?pn=03G-P4-6162-KR
EVGA GTX 1060 SC レビュー目次
1.EVGA GTX 1060 SCの外観
2.EVGA GTX 1060 SCの分解
3.EVGA GTX 1060 SCのセットアップ
4.EVGA GTX 1060 SCのベンチマーク
5.EVGA GTX 1060 SCの温度・消費電力
6.EVGA GTX 1060 SCのレビューまとめ
EVGA GTX 1060 SCの外観
早速、EVGA GTX 1060 SC GAMING ACX 2.0を開封していきます。EVGA GTX 1060 SCのパッケージサイズはEVGA GTX 1070 SCよりもさらに小さいです。
パッケージ横の開け口では260ドルのリーズナブルなグラフィックボードでありながら高品質なダブルボールベアリングファン搭載であることがアピールされています。
パッケージを開封すると専用のプラ製スペーサーもなく、プチプチで包まれてグラフィックボード本体が入っていました。パッケージ内部は左画像のように紙製の間仕切りでプチプチに入ったグラボのピッタリサイズになっており、中でグラボが自由に動いて壊れることはなさそう。
付属品はステッカー、ポスターなどファングッズと4PINペリフェラル-6PIN補助電源変換ケーブルです。同封されていた簡易マニュアルには日本語ページが存在していました。
続いてグラボ本単を見ていきます。グラボ外装には保護シールが貼られています。リーズナブルなミドル帯グラボでも出力ポートやPCIコネクタの保護キャップが付いています。
保護シールを外した全体像がこちら。プラスチック製ですが艶消しブラックの外装に安っぽさはありません。シングルファンのショート基板なのでMini-ITXのコンパクトPCにも余裕で対応します。
グラボの背の高さもPCIスロットとほぼ同じです。補助電源はGTX 1060搭載グラボの最小量である6PIN*1になっています。サイドパネルにはGPUと製品の型番が書かれています。
EVGA GTX 1070 SCと比較してもやはりシングルファンでショート基板のEVGA GTX 1060 SCは短いです。冷却ファンの径は92mmでした。
本製品はEVGA製のGTX 1060の中でも廉価モデルなのでバックプレートは搭載されず、基板の裏側は剥き出しの状態でした。プラスチック製の安いやつでもいいのでバックプレートは欲しかったです。ベンチ用で頻繁に取り外し&取り付けを繰り返すとたまに基板裏で指を軽く切ってしまう。
ちなみに3GB版と6GB版の外観はほぼ同じでパッと見では見分けがつきません。
ただ冷却ファンをよく見ると軸部分の”E”ロゴが6GB版は磨き上げに薄っすら刻印されており、3GB版は同ロゴが盛り上がっています。管理人はベンチ用途なので外見で見分けられて良かった。【追記】クーラーの外観の違いについては3GB版と6GB版の違いではなくロットの問題だったようです。
EVGA GTX 1060 SCを分解
EVGA GTX 1060 SC GAMING ACX 2.0を分解してGPUクーラーやグラボ基板をチェックしていきます。GPUクーラーはGPUコア周辺のネジ4つで固定されています。
グラボ基板(6GB版)の全体像はこんな感じになっています。
GTX 1060 6GB版はGP106コアのフルスペックとなるGP1060-400-A1が搭載されています。VRM電源フェーズ数は3+1フェーズになっています。基板自体はGTX 1060リファ基板の流用のようです。
GPUクーラーのヒートシンク側の全貌がこちら。ショート基板の廉価モデルはアルミ製の簡単なヒートシンクのものが大半ですがGTX 1060 SCは銅製ベース&ヒートパイプ採用の高品質クーラーです。
クーラーの横はプラスチック製のカバーで覆われているので、冷却ファンから吸気(吹き付け)されたエアはグラボの前後から排気されるような構造になっています。
アルミ製のフィンもグラボの外装内に目いっぱい詰め込まれています。
EVGA GTX 1060 SCのクーラーはショート基板のものとしては最上級の高品質クーラーでした。
EVGA GTX 1060 SCのセットアップ
外観やハードのチェックはこのあたりにして早速、EVGA GTX 1060 SC GAMING ACX 2.0を検証用の機材に組み込みました。テストベンチ機の構成は次のようになっています。CPUはASRockのHyper BCLK Engineを使ったHyperOCでKなしCPUをOCするという若干変則的なものを使っています。
テストベンチ機の構成 | |
CPU | i5 6400 4.0GHzにBCLK OC |
M/B | ASRock Z170M OC Formula |
メインメモリ | DDR4 8GB*2=16GB |
システム・ベンチ ストレージ |
SSD 540 M.2 240GB |
OS | Windows10 64bit Home |
電源ユニット | Corsair RM650i |
EVAG GTX 1060 SCには最近のグラボオリファンモデルに流行りのLEDイルミネーションは採用されていません。セミファンレスについては9月5日以降に購入される方のロットについては対応済みだと思います。
6GB版の一部初期ロットはセミファンレス非対応ですが記事冒頭で書いたようにBIOSアップデートで対応可能です。
EVGA GTX 1060 SCのGPU-Z情報は左が6GB版、右が3GB版になっています。6GB版はフルスペックGP106でコア数1280、3GB版は1割カットのコア数1152です。冷却性能はダブルファンやトリプルファンに比べて劣るシングルファンですが、EVGA GTX 1060 SCはデフォルトでブーストクロックがリファレンス定格の1708MHzから1835MHzに100MHz以上もオーバークロックされています。
EVGA GTX 1060 SCのベンチマーク
EVGA GTX 1060 SC GAMING ACX 2.0の性能を測るべく各種ベンチマークを実行しました。
EVGA GTX 1060 SCのコアクロックはブーストクロック1835MHzとリファレンスであるFoundersEditionよりも100MHz以上オーバークロックされています。FF14ベンチで実働最大ブーストクロックを確認したところ1900MHz越えで安定動作しました。3GB版が6GB版に比べてコアクロックが低い理由は、ファン回転数の設定が初期ロットと後期ロットで異なり、後期ロットではより静音重視になってコア温度が高くなっているためです。この件については詳細は後ほど。
今回は性能比較のためRX 480のリファレンスやXFX製のオリファンモデル「XFX RX 480 8GB TRIPLE X(レビュー記事公開中)」を使いました。
価格帯や性能的にGTX 1070やGTX 1080と比較してもなあという気もしますし、GPU別の性能比較はググればいくらでも出てくるので割愛。
まずはFF14ベンチのフルHD最高設定の比較は次のようになっています。
FireStrike、FireStrikeExtreme、FireStrikeUltraのグラフィックスコア比較になります。
FireStrike | Extreme | Ultra | |
GTX 1060 3GB EVGA SC | 12905 | 5986 | 2837 |
GTX 1060 6GB EVGA SC | 13703 | 6434 | 3080 |
3DMarkの最新DirectX12ベンチマーク「TimeSpy」の性能比較となります。
TimeSpy | Asyncなし | 性能伸び率 | |
GTX 1060 3GB EVGA SC | 3935 | 3792 | 104% |
GTX 1060 6GB EVGA SC | 4245 | 4076 | 104% |
続いて実ゲームを用いたベンチマークになります。
まずはRise of the Tomb Raiderのほぼ最高設定(FXAA、HBAO、DX12)のベンチマーク比較です。Rise of the Tomb Raiderでテクスチャ設定を最高にするとVRAM使用量が6GBまで増えるのでGTX 1060 3GB版では平均FPSが大きく落ち込んでいます。
EVGA GTX 1060 3GB SCとRX 480 8GB リファレンスでRise of the Tomb RaiderのHigh設定プリセット(DX12, FXAA)のベンチマークを実行するとVRAM使用量によるFPS落ちは発生しませんでした。
The Divisionのベンチマーク比較は次のようになっています。このゲームのベンチマークではこちらのグラフィック設定を用いて、フルHDとWQHDでベンチマークを行いました。
GTA5のベンチマーク比較は次のようになっています。このゲームのベンチマークではこちらのグラフィック設定を用いて、フルHDとWQHDでベンチマークを行いました。ただし上のグラフィック設定ではVRAMが3GB以上を要求されるためGTX 1060 3GB版では実行できないので追加のグラフィック設定をすべてOFFにしてVRAM使用量を3GB以下に収めて別途ベンチを行いました。
The Witcher3のベンチマーク比較は次のようになっています。このゲームのベンチマークではこちらのグラフィック設定(赤で囲った部分のみ設定を下げています)を用いて、フルHDとWQHDでベンチマークを行いました。測定にはノヴィグラドの広場から橋までを往復しています。
Deus Ex: Mankind Dividedのグラフィック設定Highプリセット(AAなし、DX11)のベンチマーク比較です。
GTX 1060 6GB版は3万円前半で購入できるリーズナブルなミドル帯グラボでありながら、フルHDの高~最高画質設定で60FPSでヌルヌルと最新のPCゲームが楽しめる非常にコスパの高いGPUです。
GTX 1060 3GB版についてはVRAM容量からRise of the Tomb RaiderやGTA5のようにフルHD解像度のグラフィック設定でも制約を受ける可能性はありますが、VRAM容量の範囲内であれば6GB版やRX 480オリファンモデルのやや下程度で安定した性能を発揮しました。
EVGA GTX 1060 SCの温度・消費電力
EVGA GTX 1060 SC GAMING ACX 2.0の6GB版と3GB版について負荷時のGPU温度とファン回転数を検証しました。性能比較と同じくRX 480リファレンスと比較しながら検証を行っています。温度とファン回転数の検証負荷としてはFF14ベンチを使用しており、その結果が次のグラフになっています。GPU温度に対するファン回転数の挙動が6GB版(初期)と3GB版で異なるので前章のコアクロックに差が出ています。
EVGA GTX 1060 6GB SC(初期ロット)はGTX10XXシリーズのオリファン&オリジナル基板採用モデルとしては珍しくセミファンレス機能を非採用となっておりファン回転数は温度に応じて最低1200RPMから最高温度63度の時の1500RPM程度で推移しました。GTX 1060 SCはショート基板の小型クーラーながら圧倒的な冷え具合です。また6GB版の後期ロットと同じく3GB版はセミファンレスに対応するほかファン回転数もより静音重視になっています。セミファンレスの動作としては65度を超えるとファンが動作を始め、その後55度以下になるとファンが停止するヒステリシス的な挙動になっています。EVGA GTX 1060 3GB SCはファン回転数も最大1100RPM以下でコア温度は最大76度となっており非常に静音重視なファン制御になっています。
クーラー性能自体はGTX 1060の発熱に対して十分なので1500RPM程度でコア温度60度台、1000RPM程度でコア温度70度台どちらがいいかは好みの問題だと思います。管理人は前者のほうが個人的には好き。
EVGA GTX 1060 6GB SCならファン回転数は1200RPMでも余裕なんじゃないか?と思ってファン回転数をMSI AfterBurnerから1200RPMに固定してFF14ベンチを回し、定格と1200RPMで比較しました。
PCケースに入れればファンノイズがほぼ聞こえなくなる1200RPMまでファン回転数を絞ってもコア温度は+2度と非常に良好な結果になりました。序盤の温度差はありますが中盤で温度が一致しているので測定時間的に序盤の温度差は終盤には影響はほぼないと思います。
FF14ベンチ終盤のEVGA GTX 1060 6GB SCのファンノイズとコイル鳴きについて確認のため動画を録画しました。測定にはグラボから30㎝ほど離した位置にカメラを置いて撮影を行っています。
EVGA GTX 1060 SCのコイル鳴きについては軽微なので問題ないと思います。
なおコイル鳴きは最近のグラボだとTitanXでも980tiでもGTX1080でも基本的に鳴くので60FPS程度の高負荷時にPCケースに入れていても気に障る程度の大きさかどうかで主観的になりますが「軽微」or「問題あり」として当ブログ記事では判断します。同じ型番のグラボでも個体差がある項目なので参考に留めていただけるとありがたいです。
続いてEVGA GTX 1060 SCの消費電力と瞬間的な最大電源負荷を測定しました。測定にはCorsair RM650i電源ユニットのCorsair Linkによる電力ログ機能を用いてコンセントからの出力ではなく変換ロスを差し引いた純粋な検証システム全体への入力電力をチェックしています。また測定方法は「FireStrike Extremeのグラフィックテストを3回行い、その際の平均値を消費電力に、最大値を瞬間的な最大電源負荷」としました。測定結果は次のようになっています。
EVGA GTX 1060 6GB SCの消費電力は172WでGTX 1070 Founders Editionよりも24Wほど消費電力が小さくなっています。また瞬間的な最大電源負荷は196WとなりFounders Editionよりも31Wほど小さいです。GTX 1060リファレンス(FE)のTDPが120W、GTX 1070リファレンス(FE)のTDPが150WとなっているのでリファレンスよりもOCされているEVGA GTX 1060 SCの消費電力としては妥当な数字になっていると思います。また6GB版と3GB版を比較すると誤差かもしれませんが3GB版のほうが6GB版よりも消費電力・瞬間最大負荷ともに若干ですが小さいようです。(参考画像:ログ1、ログ2)
EVGA GTX 1060 SC レビューまとめ
最後にEVGA GeForce GTX 1060 SC GAMING ACX 2.0の6GB版と3GB版を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- コアクロックがリファレンスよりも100MHz以上オーバークロックされている
- 外装いっぱいのアルミフィン、ヒートパイプ、銅製ベース、DBBファンなど採用の高品質クーラー
- Mini-ITX対応のショート基板でコンパクトながらクーラーは冷却性、静音性ともに高い
- 260ドルとGTX 1060 6GBの中でも廉価モデルながら高品質でコスパが高い(3GBは210ドル)
- 補助電源は6PIN*1で120Wながら前世代GTX 980並みの性能とワッパが高い
- セミファンレス対応(6GB版後期&3GB版、6GB版初期もBIOSアプデで対応可能)
- コイル鳴きも軽微で問題なし
- LEDイルミネーションなし
- バックプレート搭載なし
- 3GB版はフルHDであっても一部の高画質PCゲームでVRAM容量がボトルネックになったり、グラフィック設定に制限を受ける場合がある。(RotTRやGTA5など)
EVGA GTX 1060 SCは北米でNVIDIAグラボのトップシェアであるEVGAらしい非常に高品質&高性能なGPUクーラーがとにかく光る製品です。Mini-ITXにも対応するコンパクトな機体にアルミフィンを目いっぱいに詰め込んで、ヒートパイプと銅製ベースで効率的な熱交換を可能にしているため、シングルファンとショート基板の小型ヒートシンクながら十分な冷却性能を発揮しています。
(注意:10ドル安い非SCのEVGAの無印ショート基板のクーラーは簡易タイプでSCと異なります。)
GTX 1060というGPU自体もNVIDIAの前世代ハイミドルGPU GTX 980並みの性能でありながら消費電力は120Wと非常に高いワットパフォーマンスを誇り、この省電力性能も小型クーラーによる十分な冷却を後押ししています。加えて5~6万円だったGTX 980の性能がGTX 1060に代替わりして3万円台前半で手に入るようになったという圧倒的なコスパも素晴らしいです。GTX 1060ならほぼ最高設定に近い高画質設定でフルHDの最新PCゲームが堪能できます。
EVGA GTX 1060 SCは国内では取り扱いのない製品のため米尼から個人輸入する必要があります。6GB版であれば製品自体の価格は260ドルなのですが送料等込で300ドル程でドル円レート次第ですが3万円台前半になります。国内ですでに3万円前半でGTX 1060搭載グラフィックボードを購入できるので単純な価格面で米尼個人輸入するお得さはありませんが、EVGA GTX 1060 SCの高品質・高性能なGPUクーラーを考えると国内と同額であっても米尼から個人輸入するだけの価値はあると思います。またグラフィック設定に多少妥協してもOKなら商品価格210ドルで諸々込み2.5万円で個人輸入可能な3GB版はさらにコスパの高い製品になっています。
EVGA GeForce GTX 1060 SC GAMING ACX 2.0はGTX 1060の鉄板モデルと言っても過言ではない完成度なので、Mini-ITXでコンパクトなPCを組むことを考えているユーザーはもとより、単純にGTX 1060グラボの購入を検討しているユーザー万人におすすめです。
以上、EVGA GeForce GTX 1060 SC GAMING ACX 2.0の6GB版と3GB版のレビューでした。
(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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