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「New King」の名で登場したGTX 1080をまさかの2月ちょっとで玉座から引きずり下ろした
「The Ultimate King(真の王)」こと「NVIDIA TITAN X Pascal」さんを先週あたりから気合を入れてレビューしていたのですが、リファクーラーでは発熱を御しきれず潜在性能を発揮できないという悲しい結果になりました。
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しかし今回はEKWBの公式通販から届いた水冷ブロックで水冷化することで、爆熱の野獣をサーマルスロットリングの枷から解き放って真の性能を思う存分に発揮させます。
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NVIDIA TITAN X Pascal SLI 水冷化 レビュー目次


1.TITAN X Pascal SLIの水冷化とセットアップ
2.TITAN X Pascal SLI 水冷化のベンチマーク
3.TITAN X Pascal SLI 水冷化のゲーム性能(UWQHD)
4.TITAN X Pascal SLI 水冷化のゲーム性能(4K)
5.
TITAN X Pascal SLI 水冷化のレビューまとめ


TITAN X Pascal の水冷化とセットアップ


早速、TITAN X PascalをEKWB製の水冷ブロックで水冷化していきます。
(一部写真は手抜きでGTX 1080 FEの水冷化時のものを流用しています。)
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今回も水冷ブロックはアセタル&ニッケル版です。たまにEKさんはニッケルメッキ版と非ニッケルメッキ版を間違えて梱包するのですが今回は無事に両方ともニッケルでした。
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換装のためにリファクーラーを外します。GTX 1080/1070のFounders Edition同様に小さいプラスねじやナットネジがあるので専用の工具が必要です。ドライバーセットの「Ifixit 54 Bit Driver Kit」がおすすめ。
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こいつを使ってまずはTitanX Pascalのバックプレートを外します。TitanX Pascalの分解で要注意なのはバックプレートに埋まっためっちゃ小さいネジと、基板とクーラーを固定しているナットネジです。
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この二つは「PH0」規格のプラスドライバーと「4.0」径のナットドライバーで外せました。バックプレートネジはめっちゃ小さいので失くさないように要注意です。
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バックプレートはプラスチックなので基板背面の保護だけで冷却面での効果はありません。
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続いてナットネジを外しにかかる前にPCIブラケットとクーラーを固定しているネジ2本を予め外しておいた方がいいです。忘れることがあるので。
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ナットネジはEKWBの水枕マニュアルではペンチを使えと書いてありますが、管理人的には非常に危険な気がするので非推奨です。滑って基板裏の素子や基板自体を傷つけたら10万がお釈迦になるのでせいぜい1000円くらいですしナットドライバーの使用を強く推奨します。
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間違ってもペンチは使わないように……。(無事に動いたそうですが)

ナットネジを全て外せばグラボの分解作業はほぼ終わりです。クーラーを変にぶつけてGPUコアをコア欠けしないようように注意してLEDとファンのケーブルを外します。
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以上でグラボの三枚おろし完了です。
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GPUコアとVRM部のアップ写真も載せておきます。GP102は550mm^2のビッグダイで見ててワクワクしますね。ダイが大きいので水冷ブロックとの接触面積が広いため熱交換にはGP104コアよりも有利な気がします。電源フェーズ数は旧TitanXと同様の7フェーズでした。
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ここまでくればサーマルパッドを貼ってグリス塗ってネジ止めで完了です。ここ1,2ヶ月でTitanX Maxwell、GTX 1080 FE、GTX 1080 STRIXと水冷化&分解を繰り返してきたので、手慣れた仕事でした。
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水冷化完了!
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クーラー部分は1スロ化できているのに……、DVI端子が憎い!!
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真剣にNVIDIAはそろそろDVI廃止して欲しい。

NVIDIA純正のHB SLIブリッジはGTX 1080 FEやTITANX Pascal用の水枕のFCターミナルと干渉するため互換性はありませんが、EVGA製のHB SLIブリッジは標準のFCターミナルやSLI用FCターミナルのどちらでも問題なく使用できました。EVGAのHB SLIブリッジは米尼から日本国内直送で個人輸入可能です。
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<できる!個人輸入 ② アメリカ Amazon(通称:米尼)の使い方>

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水冷ならスロットを詰めても冷却上全く問題ないので、0スロット版を使ってメイン機に組み込みました。
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テスト用の検証機材はメイン機さんです。メイン機で使えるベンチ&OC設定用のクリーンな状態のOS(システムストレージ2)を用意してベンチマーク測定を行っています。
メイン機の構成
CPU i7 6950X
コア4.2GHz、キャッシュ3.6GHz
M/B ASUS X99-E WS
メインメモリ DDR4 8GB*4=32GB
システムストレージ1
SSD 750 U.2 400GB
システムストレージ2
SSD Samsung 850 PRO 250GB
ゲームストレージ
SSD 750 PCI-E 1.2TB
OS Windows10 64bit Pro
電源ユニット Seasonic SS-1200XP3

Broadwell-Eの10コアCPU i7 6950Xについてはこちらでレビューしています。
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また「TITAN X Pascal SLI 水冷化」の比較対象として「TITAN X Pascal」「TITAN X Pascal SLI」「ASUS GTX 1080 ROG STRIX OC」「ASUS GTX 1080 ROG STRIX OC SLI」などを使っています。
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事前に軽くチェックはしていたのですが、管理人が購入したTITAN X Pascal 2枚のうち1枚はコアクロックを220MHz盛っても回ったのですが、もう1枚はいまいちOC耐性が高くないのか220盛るとドライバ停止しました。そのため耐性の低いほうに合わせてTITAN X Pascal SLI 水冷化のコアクロックを+200MHzにOCし、メモリクロックも+400MHz盛ったOC設定も比較に加えました。
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最新ドライバの372.54ですがメモリ使用量の表示がバグってます。TitanXの場合だとフルスクリーンでゲーム起動してゲーム終了後にデスクトップ戻るとメモリ使用量の数字が上のスクショのようにおかしくなります。TitanX用の旧ドライバ369.05では正常なのでドライバの不具合みたい。実害については不明。

海外だと250~270MHzくらいコアクロックを盛っているスクショもありますし、250MHz盛れると最大2.1GHzで回るようです。サンプル少ないのでてきとうですが、+250MHzで安定動作する個体はアタリ石だと思います。
ただ水冷化でサーマルリミットの枷から解き放たれたら、リファ基盤縛りのタイタンさん恒例パワーリミットが今度は効いてきます。まあこの辺りはおいおい。


TITAN X Pascal SLI 水冷化のベンチマーク


本題のTITAN X Pascal SLI 水冷化&OCの性能についてはここからになります。水冷化したシングル性能については測定が面倒なのでパスしました。
この章では国内外で定評のある「FireStrike」シリーズと最新のDirectX12対応ベンチマーク「Time Spy」、そして国内で人気の根強い「FF14ベンチ」を使用します。FF14ベンチについては管理人は4K液晶を持っていないのですが、WQHD液晶のXB271HUのカスタム解像度で3840*2160・60Hzを作成できたのでそれを利用して、4K・最高品質でFF14ベンチを回しました。
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カスタム解像度の場合は4Kの1枚絵をWQHDにスケーリングするだけのはずなのでパフォーマンスへの影響はほぼない気がします。後の実ゲームを利用した4Kベンチマークでもカスタム解像度の4Kでベンチマーク測定を行いました。

みんな大好きFF14ベンチ(4K解像度・最高品質)ではTitanX Pascal シングルの水冷化&OCでスコア10000を超えてきました。
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(ただFF14ベンチの場合は10コア20スレッドの6950Xの4.2GHzよりも4コア8スレッド6700Kで4.7GHzとか高クロックで回すほうが高スコア出しやすかった気がします。20000前後の場合だけだったかな?)

各種ベンチマークスコアの一覧は次の表のようになっています。なおFireStrikeシリーズとTimeSpyは総合スコアではなくグラフィックスコアを表に記載しています。各リンクからリザルトのスクショを確認できます。
GTX 1080
Strix
TITAN X
Pascal
GTX 1080
Strix SLI
TITAN X
Pascal SLI
TITAN X
Pascal SLI
水冷
TITAN X
Pascal SLI
水冷+OC
FireStrike 22186 27322 41469 50275 52449 56488
FireStrike Ex 10742 13329 20740 24897 26603 29283
FireStrike Ultra 5268 6551 10352 12851 13429 14848
Time Spy
7353 8633 11826 14904 16531 18171
Asyncなし 6897 7835 12019 15161 16759 18448
性能伸び率 6.6% 10.2% -1.6% -1.7% -1.4% -1.5%
FF14ベンチ 7146 8336 13350 15662 17556 18996
最小FPS
35.5
60.1 75.3 75.9
かなり予想外だったのがGTX 1080やTITAN X PascalでSLIをするとTimeSpyでAsync有効時のグラフィックスコアは下がるようです。AMDのCrossFireでは上がるのでちょっと面白い。

各ベンチマークのグラボ別比較は次のグラフのようになっています。空冷→水冷、水冷→水冷&OCで性能がガンガン上がっていきます。最終的にTITAN X Pascalの水冷&OCでGTX 1080 OCよりも4~5割増しの性能です。パネェ。
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txp_water_fsu

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FF14ベンチの4K・最高品質についてはTITAN X Pascal SLIでついに最小FPSが60を超えるようです。
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前回空冷のままでベンチマーク測定した時はかなり大変でした……、その理由がこちら。FF14ベンチをTitanXのシングルとSLIで動かした時のコア温度とコアクロックのグラフになっています。ご覧のとおり40度まで冷やした状態でもタイタンさんは1分も負荷をかけるとサーマルスロットリングが発生しています。
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しかしながら今回のTITAN X Pascal 水冷化によりGPUコア温度は劇的に改善しました。と同様にFF14ベンチを負荷にしましたがTITAN X Pascal 水冷化なら余裕の50度以下安定!! オリファン空冷よりも圧倒的に冷える簡易水冷グラボでもフル負荷で50~60度が限界ですがフルカバーブロックを使用する本格水冷なら50度以下でガッツリ冷やせます。
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コアクロックも高い数字で安定します。コアクロックを+200MHzに盛ると1950~2050MHzで推移しました。250盛れると2000~2100MHzで動作すると思いますがこれについてはアタリ石じゃないと無理っぽいです。
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あとリファ基盤の宿命というべきかパワーリミットがかかっていて、コアクロックを盛っている時はパワーリミット120%にしていますが、それでも最大コアクロックには残念ながら張り付きません。TITAN X Pascalの基板はMaxwell版の例に倣うなら300Wまでしか電力を使えないようなので、仮に今後BIOS改造で電圧ロックを解除できてもパワーリミットがハード的に制限されていたら伸びしろには期待できないかも。
かといってオリジナル基板で電力問題が解消される1080tiが出たとしてもコア数カットだとコアクロック盛った分が相殺されるかもなので難しい。

空冷のTITAN X SLI(左)とGTX 1080 SLI(右)の消費電力はこうなっています。測定はBluetooth接続でスマホから消費電力を見れるワットチェッカーを使って、負荷にはFireStrikeUltraのストレステストをかけています。
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GTX 1080 STRIXの場合は冷却が間に合うので600W消費電力のまま安定して性能を発揮できますが……、TITAN X(空冷)はサーマルリミットで1分もすると消費電力が550Wまで下がりました(左)。しかし水冷&OCしたタイタンさんは800W以上のまま安定して電力を爆食いしています(右)。ヒャッハー!
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念のためOC設定を適用した状態でFireStrikeUltraのストレステストも実行しました。こちらも無事にクリアできたので、コアクロック+200MHz、メモリクロック+400MHz、パワーリミット120%のOC設定は安定動作っぽい。前半と後半で若干コアクロックが下がっているのについては、50度以下でサーマルリミットがかかるとは考えにくいので、温度差10度程度ですがGPU温度が上がったせいで10W程度?消費電力が上がってパワーリミットが微妙に効いてるような気がします。
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安定動作ヤッホー、と思っていたのですが、実ゲームでベンチしていたら、ASUSマザボのAnti Surgeで強制電源OFFが発生しました。パーツは全部無事だったのですが、唐突に電源落ちるから焦る。
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電源ユニットが壊れかけなのでしょうか。メイン機のSS-1200XP3は購入から1年半ほどなので早くね? 電源は壊れると他のパーツも巻き込むって話があるしどうしたものかと。保証期間中なので新品交換自体は問題ないはずなのですが、確か交換終わるまで2,3週間はかかった気がしますし、その間の代用品はどうするのとか困った。


ともあれ本気を出したタイタンさんのパワーの片鱗を見せつけたところで次からは実ゲームベンチです。

TITAN X Pascal SLI 水冷化のゲーム性能(UWQHD)

続いて実ゲームを使用したベンチマークになります。
今回はウルトラワイド解像度であるUWQHD(3440*1440)について「Assassin's Creed Syndicate」「The Division」「Grand Theft Auto V」「Mirrors Edge Catalyst」「Rise of the Tomb Raider」「The Witcher3」の6タイトルについて測定を行いました。


まずは「Assassin's Creed Syndicate」のベンチマーク結果になります。グラフィック設定はこちらの最高設定を使用しています。
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「The Division」のベンチマーク比較は次のようになっています。このゲームのベンチマークではこちらのグラフィック設定を用いています。
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「GTA5」ではこちらのグラフィック設定を使いフルHDとWQHDでベンチマークを行いました。
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「Mirrors Edge Catalyst」はGTX1080向けに用意された最高画質設定であるハイパー設定を選んでいます。ただ解像度スケールは弄ると重すぎなのでデフォルトのままです。
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「Rise of the Tomb Raider」は最高設定(MSAA*4、DX12)のベンチマークです。
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「The Witcher3」のベンチマーク比較は次のようになっています。グラフィック設定は最高設定として測定にはノヴィグラドの広場から橋までを往復しています。Witcherはスタートメニューが軽いので熱的に優しくベンチ結果が比較的良好です。
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TITAN X Pascal SLI 水冷化のゲーム性能(4K)


最後に4K解像度における実ゲーム性能比較になります。
UWQHDでも使った「Assassin's Creed Syndicate」「The Division」「Grand Theft Auto V」「Mirrors Edge Catalyst」「Rise of the Tomb Raider」「The Witcher3」の6タイトルに加えてDirectX12ネイティブ対応ゲームである「Gears of War:UE」「Forza Motorsport 6」についても測定を行いました。ただしこの2タイトルについてはSLI非対応になります。

まずは「Assassin's Creed Syndicate」のベンチマーク結果になります。グラフィック設定はこちらの最高設定を使用しています。
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「The Division」のベンチマーク比較は次のようになっています。このゲームのベンチマークではこちらのグラフィック設定を用いています。
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「GTA5」ではこちらのグラフィック設定を使いフルHDとWQHDでベンチマークを行いました。
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「Mirrors Edge Catalyst」はGTX1080向けに用意された最高画質設定であるハイパー設定を選んでいます。ただ解像度スケールは弄ると重すぎなのでデフォルトのままです。
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「Rise of the Tomb Raider」は最高設定(MSAA*4、DX12)のベンチマークです。アンチエイリアスをFXAAに変えると比較的軽くなります。
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「The Witcher3」のベンチマーク比較は次のようになっています。グラフィック設定は最高設定として測定にはノヴィグラドの広場から橋までを往復しています。Witcherはスタートメニューが軽いので熱的に優しくベンチ結果が比較的良好です。
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TITAN X Pascal SLI 水冷化のレビューまとめ


リファクーラーのままでTITAN X PascalのSLI性能を測定してみた時は”潜在的な性能”は文句の付けどころがなかったものの、リファクーラーの冷却性能がTITAN X Pascalにとってはあまりにも貧弱過ぎて負荷をかけて1分後にかかるサーマルリミットという名の足枷の影響が甚大でした。爆熱の野獣(首輪付き)とはやるせない。
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結果、「TITAN X Pascalはワッパの化け物。でもなんか求めてたのと違う。水冷化に期待」という悲しい3行のレビュー感想になってしまったのですが、今回のTITAN X Pascal 水冷化&OCによってGTX 1080 OCとの比較で30~50%もの性能向上という圧巻のパフォーマンスを発揮してくれました。
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最新の重量級PCゲームでも4K解像度・最高画質設定でも60FPSオーバーを軽々マークしていますし、早ければ16年末に来るDP1.3対応で4K,120Hzなどの現行の倍の帯域となる高解像度&高リフレッシュレートのゲーミングモニターにも対応可能になっています。DELLの4K、120Hz、OLEDが欲しくなってしまうではないか!(なお北米で4999ドルらしい。30万超えると流石に無理です。 orz)
TITAN X Pascalは水冷化しないならおすすめしないと前回は書きましたが、水冷化して金に糸目をつけず絶対性能を追い求めるなら間違いなく買いなGPUだと思います。

EKWB水冷ブロックによって水冷化されて限界まで性能を発揮できるようになったTITAN X Pascalは「The Ultimate King(真の王)」の名に恥じぬ最強の化け物GPUでした。
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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