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グラフィックボードの交換というよりもマザーボードの説明になってしまいますが、グラフィックボード交換・増設の関連項目としてマザーボードのPCI-Expressスロットについても一応ざっくりご説明しておきます。

1.PCI-Expressについて

グラフィックボード等の拡張ボードをマザーボードに接続する端子(スロット)のことを「PCI Express」といい、略してPCI-EとかPCIとか呼びます。
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(後者の呼び方で勘違いされやすいのですが、”PCI”という端子が”PCI-Express”とは別に存在します。”PCI”と”PCI-Express”には互換性はありません。ただPCI端子自体は16年現在、ほぼ廃止規格になりつつあるのであまり気にする必要はありません。)

2.PCI-Expressの帯域やレーン数について

「PCI Express」にはバージョン(帯域幅の拡張)があって、1.0、2.0と続いて2016年10月現在は3.0が現行のPIC-Eのバージョンになっています。第6世代Skylake(i7 6700Kなど)に対応する現行最新の100シリーズマザーボード(Z170やH150等のチップセット採用)や第7世代Kabylake(i7 7700Kなど)に対応する現行最新の200シリーズマザーボード(Z270やH270等のチップセット採用)であればPCI-E 3.0に対応しているので、PCI Expressのバージョンについてはそれほど気にする必要はありません。
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PCI-E3.0についてx1、x4、x8、x16と併記されていることが多いですが、これはPCI-Eのレーン数になっています。x〇の数字がそのまま帯域幅の倍数なのでPCI-Ex1に対して、PCI-Ex8は8倍、PCI-Ex16なら16倍の帯域幅があります。これは自動車道の法定速度と車線数で例えて、法定速度はPCI-E3.0の帯域1つ分の最大通信速度、車線数はx4などの帯域幅と考えればとわかり易いと思います。法定速度で走っている車で車道全てが埋め尽くされるほど車の数(通信量)が多い場合は車線数(帯域幅)の広さは重要になりますが、そもそも車の数(通信量)が少なければ車線数(帯域幅)が多くてもスカスカで意味はありません。


3.PCI-Expressのスロットについて

PCI-Eの帯域幅やレーン数についてはスロット自体の長さやスロット内の金属端子の実装数などでハード的に差別化されています。
PCI-Eスロットについて例えば下の画像ではスロット自体は全てx16のモノですが、内側の金属端子を確認するとそれぞれ実装されている幅が異なっています。
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またそもそもx1幅やx4幅しかないPCI-E端子も存在します。
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他にもx4とかx8サイズのスロットや、x1で右端が閉じていないスロットなどもあります。

GTX 10XXシリーズやRX 4XXシリーズのような主要なグラフィックボードはハード的には端子幅がx16なのでグラフィックボードはx16スロットにしか基本的に搭載できません。ただしソフト(帯域幅)的には実はx8接続やx4接続でもグラフィックボードは動作可能ですし、その他のx4、x8幅のカードをx16スロットで使用することも可能です。(下位互換についてはグラボ以外の一部の拡張ボードでは非対応の場合あり)
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そしてこのx16やx8のPCI-Eの帯域についてですが、CPUと直通で繋げられるレーン数はCPU毎に決まっています。
Intel CPUのメインストリームで第4世代Haswell(i7 4770Kなど)や第6世代Skylake(i7 6700Kなど)は最大16レーンがCPU直結のPCI-Eレーンとして使用可能です。近年PCI-E接続を行う高速NVMe SSDが普及してきているので、第6世代Skylakeでは20レーン、次世代となるKabylakeでは24レーン利用可能になっていますが、このうち一部はチップセット経由になっています。
またエンスー向けCPUのHaswell-E(5960Xなど)やBroadWell-E(6950Xなど)は最大40レーン使用可能になっています。(Eシリーズの最下位のみ28レーンなので注意)
グラフィックボードは最大x16の帯域を使用可能なので、NVIDIAのSLIやAMDのCrossFireXなどマルチGPUを使用する場合、各グラボを最大帯域で動作させるとグラフィックボード2枚の場合は32レーン使用することになります。マルチGPU環境を構築する際に40レーン使用可能なHaswell-EやBroadwell-Eが推奨されるのはこれが理由です。


4.PCI-Expressの帯域幅で性能に差は出るのか?

実際のところ17年現在のグラフィックボードの性能であればPCI-Eの帯域幅はボトルネックになることはほぼないので、PCI-Eの帯域幅によってグラフィックボードの性能にはそこまで大きな差がでることはありません。下のグラフはGTX 1080 Tiとi7 7700Kの環境でPCI-Eのx16、x8、x4の比較になります。ベンチマークにはFire Strike Extremeを利用しました。おそらく実ゲームでもx16とx4比でせいぜい5%以下の差になると思います。
PCI-E帯域

PCI-E3x16PCI-E3x8PCI-E3x4


5.マザーボード上のPCI-Eのレイアウトや帯域配分について

マザーボード上のPCI-Eスロットの配置やレーン・帯域の配分は各マザーボードで異なります。これについては全てを説明するのは無理なので各自でマザーボードのマニュアルを見ていただくほかありません。
最初に前提として、マザーボードのファームファクタ別で言うと、ATXやExtend-ATX(E-ATX)では最大7基のPCI-Eスロットがあり、マイクロATXでは4基、Mini-ITXでは1基となっています。

一例として、「ASRock Z170 Extreme4」というATXマザーボードではPCI-Eスロットの配置や各レーン数は次のようになっています。(マニュアルからそのまま抜粋しています) どこに何を挿せばいいのかもマニュアルで説明してあるのでマニュアルを読むのが一番速いです。
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ちなみに同マザーボードのようにATXマザボで最上段がグラフィックボード用のx16スロットではなく、x1であったり、空きスロットになっているのは、大型ハイエンドクーラーとグラフィックボードの干渉を避けるためだったりします。

ほかにもマイクロATXの「ASUS MAXIMUS VIII GENE」だとこんな感じです。
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またマルチGPUを使用する場合のマザボ選びの注意事項として以下の2点にも注意してください。
  • NVIDIA SLIは非対応のマザボも少なくないので必ず製品仕様からチェックする
  • グラボの占有スロットに対して次のグラフィックボードのスロットまで1~2スロット開くような配置がグラフィックボードの冷却上は推奨です。(上の例で言うと2スロット占有グラボの場合、「ASRock Z170 Extreme4」の場合はグラフィックボード間で1スロット開くのでOKですが、「ASUS MAXIMUS VIII GENE」の場合、グラボ同士の間隔がないので冷却が難しくなります)

あとは細かい所でPCI-Eレーンの排他利用とかもありますが、流石に説明しきれないので各自でマザーボードのマニュアルを見てください。



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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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