グラフィックボード(ビデオカード、グラボ)の増設・換装の方法やグラボの換装に伴う予備知識などを簡単に紹介します。
【執筆:2016年10月21日、更新2019年11月20日】
1.グラフィックボードの長さについて
グラフィックボードの長さは各製品で異なっており、PCケースに入る長さなのか予めチェックしておく必要があります。
高性能なグラフィックボードほどボード長は長くなりがちですが、長いグラフィックボードはPCケースによっては収まらない場合があるので注意してください。
2.グラフィックボードの厚さと背の高さ
「グラフィックボードの厚さはPCIスロットを何スロット占有するか」、「グラフィックボードの背の高さはPCIブラケットをどの程度はみ出すか」をチェックします。
2019年現在主流のグラフィックボードであるNVIDIA GeForce RTX 20XX/GTX 16XX SUPERシリーズ(RTX 2080 Ti、RTX 2080 SUPER、GTX 1660 SUPERなど)やAMD Radeon RX 5XXXシリーズ(Radeon RX 5700など)であれば、グラフィックボードの厚さは下の画像の左と中央のグラボのように基本的に2スロット占有、ハイエンドGPU搭載製品では右のグラボのような3スロットを占有する大型クーラー搭載のグラボも増えてきています。
グラフィックボードの高さについてはビデオ出力の付いているPCIEブラケットからはみ出ている長さに注目してください。左や中央のグラボのようにPCIEブラケットと同じ背の高さなら問題ありませんが、右のようにPCIブラケットよりもはみ出ている場合、PCケースによってはサイドパネルを閉じる時にサイドパネルとグラボ(補助電源)が干渉する場合があります。
グラボの背の高さによってはグラボ自体や補助電源と干渉してしまいサイドパネルが閉じることができないケースもあり、地味に見落としがちなポイントなので注意して下さい。
またグラボの厚さによってはグラフィックボードを搭載するPCIEスロットの1つ下もしくは2つ下までに設置されているPCIEが利用できなくなります。
上の画像を例にすると、3スロット占有のグラフィックボードを搭載した場合、グラフィックボードを装着するPCIEスロットの2つ下にあるPCIEx1スロットに拡張ボードを搭載できなくなります。
3.グラフィックボードの補助電源について
高性能なグラフィックボードは補助電源を必要とする場合があります。補助電源については「PCIE 8PIN (6+2PIN)」と「PCIE 6PIN」の2種類の端子があり、グラフィックボードが要求する補助電源はそれらの組み合わせになっています。
換装予定のグラフィックボードが要求する補助電源ケーブルが電源ユニットから出ているか事前にチェックしてください。補助電源が不足する場合は「補助電源変換ケーブル」を利用するか、補助電源が十分ある新しい電源ユニットに買い替えてください。管理人的には補助電源端子数が不足する場合は電源ユニットの買い替えが推奨です。
加えて各グラフィックボードのメーカーが製品公式ページで記載している推奨電源容量を電源ユニットの電源容量が上回っているかどうかも必ず確認してください。
2019年現行のグラフィックボードの場合、最低限必要な補助電源端子の数と電源容量は概略ですがGPU別にこんな感じです。ただし必要な補助電源端子の数はグラフィックボード製品ごとに異なるので、必ず製品ページの仕様から個別に確認してください。
NVIDIA | AMD | 補助電源端子数 | 電源容量 |
RTX 2080 Ti |
8PIN*2~ | 700W以上 |
|
RTX 2080 SUPER |
Radeon VII |
8PIN+6PIN~ | 600W以上 |
RTX 2070 SUPER |
RX 5700 XT |
8PIN+6PIN~ | 500W以上 |
RTX 2060 SUPER |
RX 5700 | 8PIN*1~ | 400W以上 |
GTX 1660 Ti GTX 1660 SUPER |
8PIN*1~ | 400W以上 | |
GTX 1650 SUPER GTX 1650 |
RX 560 2/4GB | 6PIN*1~ or 補助電源不要~ |
300W以上 |
電源ユニットについては下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
・自作PC電源ユニット(PSU)の徹底解説とおすすめ電源の選び方
4.グラボ交換前にドライバを削除する
古いグラフィックボード用ドライバがあると動作不良の元なので事前にドライバを削除しておきます。
ドライバの削除にはフリーの専用ユーティリティソフト「Display Driver Uninstaller(DDU)」がNVIDIAとAMDの両環境に対応していて便利です。公式サイトからもダウンロードできますが、広告の配置が紛らわしいので、2次配布を行っているGuru3Dという海外の大手レビューサイトからダウンロードするのがオススメです。
配布場所(Guru3D):https://www.guru3d.com/files-details/display-driver-uninstaller-download.html
下のほうにスクロールしていくとリンクが列挙してあります。基本的に一番下の最新のソフトをDLして使用すればOKです。
またドライバを削除する前にグラボ換装後に使用するNVIDIAもしくはAMDの公式サイトから新しいグラフィックボードのGPUに対応する最新のグラフィックドライバもダウンロードしておきましょう。
NVIDIAの場合は下のURLから公式DLページを開き、プルダウンメニューからGPUの型番を選択してください。Windowsドライバーの種類は「通常」、ダウンロードタイプは「Game Readyドライバー」を選択します。
NVIDIA:https://www.nvidia.co.jp/Download/index.aspx?lang=jp
AMDの場合は、下のドライバーに関するトップページで、ボックスから順番に選択していき使用するGPUのドライバーを選んだら、「送信」をクリックするとGPUのドライバーダウンロードページが開きます。
AMD:https://support.amd.com/ja-jp/download
続いてDDUを使ってドライバを削除するのですが、ドライバの削除とグラボの換装をしてからOSを起動するとWindows10では自動でグラフィックボードのドライバ(最新でない)のインストールが行われる場合があります。それを避けるため、無線LANの接続を解除する、有線LANケーブルを抜くなどしてPCをオフライン環境にしておいてください。
DDUと最新ドライバをダウンロードしてオフライン環境にしたら、Guru3DからダウンロードしてきたDDUを解凍してソフトを起動します。DDUを起動すると起動オプションが表示されます。確実に古いドライバを削除するためセーフモードを選択して再起動してください。
再起動後は自動でDDUが立ち上がるので、今回はグラフィックボードを交換するため、「削除してシャットダウン」を選択してください。あとはグラフィックボードのドライバが削除され次第、自動でOSはシャットダウンされます。
5.グラフィックボードを交換する
前置きが長くなりました、次は本題となるグラフィックボードの交換の実践でグラボの交換方法を紹介します。
まずは交換するグラフィックボードのPCIブラケットの幅に合わせてPCケースの拡張スロットから古いグラボとPCIスロットカバーを取り外します。
赤丸で囲った部分のネジで止められているので、最初にネジを外します。
グラフィックボードはPCIスロットにプラスチックのツメで固定されています。ツメの外し方はスライド型や押し込み型などがあるので、形状に合わせて適宜外してください。
押し込み型で狭くて指が届かない場合は定規を使って押し込むと簡単に外せます。
PCIEカバーと古いグラボを外せば、新しいグラボを挿入するスペースが空いて準備完了です。
外した時と逆の手順で新しいグラフィックボードをPCIEスロットへ挿入したら、忘れずに補助電源を挿してください。
これでグラフィックボードの増設・交換は完了です。以上、『グラフィックボード・ビデオカードの増設・換装の方法の紹介』でした。
グラフィックボードの増設が難しそうで、最新グラフィックボードを搭載したゲーミングBTO PCの新調を検討しているのであればこちらの記事がおすすめです。
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