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全高30mmのロープロファイルながらTDP100Wの放熱性能を謳う「THERMOLAB ITX30」をebay経由で個人輸入したのでレビューします。

昨年、全高27mmのフルメタルCPUクーラー「Thermaltake Engine 27」をレビューしたのですが、そこのコメント欄で「THERMOLAB ITX30」に関するコメントがあったので気になって調べてみたものの国内では終売となっていました。探してみたらebayで5000円だったのでポチってみたところ韓国から2週間ほどで届きました。
製品公式ページ:http://thermolab.co.kr/product_eng/71729?ckattempt=1
ちなみに年始の抱負でも挙げていたCPUクーラーの比較レビューのお試し版的な記事です。検証の手順や注意の確認とテンプレの作成を目的に行った面もあるのでやや粗い内容になっているかも。
レビュー目次
1.THERMOLAB ITX30の外観・付属品
2.THERMOLAB ITX30をセットアップ
3.THERMOLAB ITX30の冷却性能
4.THERMOLAB ITX30のレビューまとめ
THERMOLAB ITX30の外観・付属品
まずは「THERMOLAB ITX30」の外観や付属品をチェックしていきます。

カッパーカラーそのままのヒートシンクからは2本のヒートパイプが出ています。

冷却ファンの固定方法は専用のクリップ式になっておりファンを交換する場合は同程度の厚さのものを選択する必要があります。

冷却ファンは80mm径のものが採用されているコンパクトクーラーです。

公称スペック通りベースから冷却ファンまで全高30mmのロープロファイルです。

ヒートシンクはベースから放熱フィンまで全て銅製です。ベースから延びるヒートパイプが放熱フィン全体へ熱拡散を効率的に行います。


マニュアルはカラー刷りの用紙1枚で英語と韓国語の両面刷りになっていました。


付属品は固定用のネジ&プラワッシャーが4組です。冷却ファンはPWM対応の4PINです。


THERMOLAB ITX30のセットアップ
ここからは「THERMOLAB ITX30」の冷却性能をチェックしていきます。検証環境にはCPUクーラーの理想的な状態における最大性能と実際にPCケースへシステムを組み込んだ場合の実用性能を個別に測定しています。測定を2つに分ける理由について詳しくは補足をご参照ください。
テストベンチ機の構成 | ||
ベンチ機1 (理想性能測定) |
ベンチ機2 (実用性能測定) |
|
CPU | Intel Core i7 7700K (別の個体) | |
M/B | ASRock Z170M OC Formula | ASUS ROG MAXIMUS IX FORMULA |
メインメモリ | DDR4 8GB*2=16GB | DDR4 8GB4=32GB |
CPUベンチ用ビデオカード | ASUS GeForce GT730 ファンレス GT730-SL-2GD3-BRK |
|
システムストレージ | Crucial MX300 SATA M.2 SSD 1TBCT1050MX300SSD4 | Intel SSD 540シリーズ SATA M.2 SSD 240GB |
OS | Windows10 64bit Home | |
電源ユニット | Corsair RM650i | Corsair HX1200i |
PCケース /ベンチ板 |
STREACOM BC1 | Cooler Master MASTERCASE MAKER 5t |
まずは検証機材に「THERMOLAB ITX30」を取り付けます。
熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。熱伝導効率も高く、柔らかいグリスで塗布しやすいのでおすすめです。

グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。

バックプレートなどもなく単純にマザーボード裏からネジ止めするだけの固定になっています。ネジの長さが若干短いので最初対角の2点をネジ止めするまでクーラーがズレないように維持するのが面倒でした。

ロープロファイルで冷却性能を上げるためCPU周辺のスペースを限界まで使っているので、メモリやVRMヒートシンクとの干渉する可能性があるので注意が必要です。ASRock Z170M OC FormulaやASUS ROG MAXIMUS IX FORMULAでは下の写真の向きでギリギリ設置できました。


以上でTHERMOLAB ITX30の検証機材がセットアップ完了です。

THERMOLAB ITX30の冷却性能
本題となるTHERMOLAB ITX30の冷却性能についてチェックしていきます。まずは検証システムをベンチ板に置いた状態で測定を行い、水冷・空冷によらずCPUクーラーの理想的な性能をチェックしていきます。
「THERMOLAB ITX30」に加えて、比較対象として空冷クーラーの「Intel TS15A(レビュー記事)」と「SilverStone NT08-115XP(レビュー記事)」と「Thermaltake Engine 27(レビュー記事)」についても検証を行いました。
検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はi7 7700Kの場合20分ほどです。エンコード中のファン回転数はCPUクーラー別で個別に設定した一定値に固定しています。
エンコードに用いたCPUはi7 7700K(殻割りクマメタル化)を使用しており、手動でOC設定は行わずにASRock Z170M OC FormulaにOC設定は任せました。コアクロックは4コア同時4.5GHz、コア電圧は1.12~1.17で変動しましたがエンコード中の平均は1.12Vでした。
エンコード中のCPU温度の比較は次のようになりました。
ITX30、Engine27、NT08-115XPの全高30mm前後となるロープロCPUクーラー同士の比較ではTHERMOLAB ITX30が最も冷えるという結果になりました。ただし殻割りクマメタル化済みのi7 7700Kで最大76度となっているので最も冷えるTHERMOLAB ITX30であっても非殻割りでデフォルトの状態のi7 7700Kを定格で運用するのは少し厳しい気がします。

またサウンドレベルメーター(騒音計)を使用してファンノイズを同じく4種類のCPUクーラーについて比較しました。収音部分とノイズ発生部分との距離が15cm程度になる位置で測定を行っています。

サウンドレベルメーターによる騒音値の比較結果は次のようになりました。
46dBを超えるThermaltake Engine 27についてはさすがにかなり煩いですが、41dB前後のTHERMOLAB ITX30とNT08-115XPについてはファンノイズは聞こえるものの不快に感じる音量ではありません。PCケースに入れてしまえばほぼ聞こえない程度の音量になっています。

続いて実際にPCケースに組み込んで実用性能を検証してみました。
CPUには同じく殻割りクマメタル化済みのi7 7700K(4コア同時4.5GHz、コア電圧1.12V)を使用しています。ただし上のベンチとはCPUの個体とマザーボードが異なるため単純な比較ができないので注意してください。

上と同様に動画のエンコードで負荷をかけて、その間のCPU温度、CPU使用率、ファン回転数をグラフ化しました。

PCケースに入れているのでファンノイズの騒音値自体は下がって36.2dBでした。エアコンのアイドル動作音に隠れる程度のファンノイズになっています。

THERMOLAB ITX30は殻割り液体金属グリス化済みであればTDP 91Wのi7 7700KなどのCPUにフル負荷がかかっても実際に運用可能な冷却性能があるようです。
THERMOLAB ITX30のレビューまとめ
最後に全高30mm&TDP100Wの全銅製CPUクーラー「THERMOLAB ITX30」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 全高30mmのロープロファイルCPUクーラー
- ベース、ヒートパイプ、放熱フィンまで全て銅製
- 殻割り液体金属グリス化済みならTDP 91Wのi7 7700Kなども定格で運用可能
- ファン回転数最大でもPCケースに入れれば騒音値38dB台で静音動作
- 国内では終売となっている
- マザーボード上のVRM電源ヒートシンクやメモリスロットとの干渉に注意が必要
- CPUクーラー固定用のバックプレートが単独でマザーボードに固定できない
冷却性能の検証結果からもわかるように「THERMOLAB ITX30」は殻割り&液体金属グリス化済みのCPUであれば、TDP 91Wのi7 7700Kでも静音性を保ったままで十分に冷却できる性能があります。現状でリリースされているロープロファイルCPUクーラーとしては屈指の性能を誇ることは間違いありません。
Mini-ITXを使用したスリムPCやここ最近登場した最新フォームファクタのMini-STXでi7 7700Kやi7 6700KなどK付きのTDP 91Wのモデルを使用したいと思っているユーザーにとっては最適なCPUクーラーの1つだと思います。
ただし残念なことに同製品は2013年に国内でもサイズから発売されたもののすでに終売となっており、今から購入しようと思うとebayで個人輸入する必要があります。ebayの個人輸入自体は決して難しくはありませんが国内通販と比べるとやはりハードルは高いです。
以上、「THERMOLAB ITX30」のレビューでした。

<ebayの 「THERMOLAB ITX30」検索結果へ>
余談---
CPUクーラーの性能比較レビューのお試し回として行ったのですが、検証する中でいろいろ問題点も出てきました。やはり板と石が変わると温度に結構な差がでるので、CPUクーラーの検証の際は面倒でもマザボごと入れ替えたほうがいいみたいですね。よく考えたらクーラーの着脱も面倒でしたし手間はプラマイゼロな気がしてきました。あと比較対象CPUクーラーの写真を撮るのを忘れてました。あったほうがパッと見で何使っているのかわかりやすいので忘れないようにしないと。
(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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