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第2世代Ryzenの最上位モデル「Ryzen 7 2700X」などAMD Ryzen CPUにおいて、わかりやすいGUIを使用してWindows上でオーバークロック設定が可能なAMD純正専用OCツール「AMD Ryzen Master ユーティリティ」の使い方を紹介します。
なお同ツールによるRyzen CPUのオーバークロックが公式にサポートされるのはX470、X370、B350のチップセットが搭載されたAM4マザーボードとRyzen CPUやRyzen APUを組み合わせた場合のみとなっているので注意してください。
なお「AMD Ryzen Master ユーティリティ」上でのみ設定できるOC設定(BIOS上では設定項目を見つけにくいor存在しない)や、マザーボードBIOS上で設定した方が手っ取り早いOC設定があるので項目に応じて使い分けるのがおすすめです。
まずは「AMD Ryzen Masterユーティリティ」を公式サイトからDLします。インストーラーを公式ページからダウンロードしたらインストーラーを起動してポチポチとクリックしていくだけなので、「AMD Ryzen Master」の導入自体は非常に簡単です。英語ですがマニュアルかクイックリファレンスも一緒に公開されています。
公式DLページ:http://www.amd.com/ja/technologies/ryzen-master
クイックリファレンス:https://download.amd.com/~/ryzen-master-quick-reference-guide.pdf
マニュアル:https://download.amd.com/documents/AMD-Ryzen-Processor-and-AMD-Ryzen-Master-Overclocking-Users-Guide.pdf
「AMD Ryzen Masterユーティリティ」を起動すると最初はコアクロック、各種電圧、温度などのモニタリング専用のタブが表示されます。下部に表示されたオレンジ色の帯にも「Current Profile is Read-Only(この画面はモニタリングのみ)」と表示されます。
左下に表示された5つのタブのうち、「Current」は上のモニタリング専用画面になっており、残りの「Creater Mode」「Game Mode」「Profile 1」「Profile 1」の4つがOC設定画面(プロファイル)になっています。4つのOCプロファイルは既定値が異なる場合がありますが、設定可能な項目はいずれも同じなので、最大で4つのOCプロファイルを個別に保存できます。
基本的にはスライダーやチェックボックスを操作してOCプロファイルを変更し、右上の「適用(Apply)」ボタンをクリックして、「AMD Ryzen Masterユーティリティ」によるOC設定を適用します。OCプロファイルを保存する場合はプロファイルタブの右に配置された「Save Profile」を選択します。
OC設定が適用されるとウィンドウの下に緑色の帯で設定が適用されたことが通知されます。
「AMD Ryzen Masterユーティリティ」によるOC設定ではコアクロックの変更のようにリアルタイムで反映されるものや、SOC電圧の変更のように再起動が要求される設定などがあります。
「AMD Ryzen Master」によるOC設定の概要については上で解説した通りですが、ここからは各設定項目について少し細かくチェックしていきます。
「AMD Ryzen Master」で設定可能な項目として、「CPUコアクロック」「CPUコア電圧」「CPUコアクロック制御モード(Control Mode)」「その他の制御設定(Additional Control)」「メモリ電圧」「メモリ周波数&タイミング」の6つの大項目が用意されており、画面左側の緑色の丸形チェックボックスで設定を行うかどうかを指定できます。変更しない項目については無効化しておくと誤爆を防げます。
CPUコアクロックのOCを行う場合は「CPUコアクロック」「CPUコア電圧」「CPUコアクロック制御モード」の3つの変更を有効化します。
最初にデフォルトではAuto設定になっている「CPUコアクロック制御モード(Control Mode)」をManualに変更します。「CPUコアクロック制御モード(Control Mode)」をManualに変更するとコアクロックのスライダーや電圧設定のカーソルを選択可能になります。
「CPUコアクロック」の有効/無効化チェックボックスの下に表示されている「All Cores」を有効にすると、コアクロック設定のスライダーが同期します。全コア同クロックにOCするときは便利なので覚えておいてください。
あとはコア電圧の上下カーソルをクリックして、OCもしくはDCしたCPU動作クロックに合わせて適切なCPUコア電圧を設定します。目安としてはRyzen 7 2700Xなど第2世代Ryzenでは280サイズや360サイズの大型簡易水冷CPUクーラーでも1.400Vが冷却可能な上限となります。1.400Vを上限にして各自の環境で冷やしきれる電圧を指定し、その範囲内で安定動作するCPUコアクロックを設定するのがおすすめです。
「AMD Ryzen Master」によるOC設定については、第1世代Ryzen、第2世代Ryzen、Ryzen APU、第1世代Ryzen Threadripperなど各種Ryzen CPUが対応していますが、製品によって設定可能な項目や利用可能な機能が若干異なります。大きな違いとしては他のCPUが全コア同クロック設定しか対応していないのに対して、第2世代RyzenはCPUコアに対して個別に動作クロックを設定することができます。
第2世代Ryzenを使用している場合は「All Cores」のチェックを外すことで、各CPUコアのスライダーを個別に操作して変更できます。
ただしこの個別設定については全てのコアにスライダーで指定した動作周波数が適用されるわけではないので注意してください。厳密な動作について説明すると、個別設定した中で最大の動作周波数をリファレンス周波数として、それ以外のコアの動作周波数はリファレンス周波数に対する80%、66%、57%、50%、40%の速度の周波数のうち、スライダーで設定したものに最も近い数値で動作します。コア1を4400MHz、コア2を4200MHzと設定しても、コア2は4400MHzの80%で3500MHz程度での動作となります。そのためコア別に選別して最大クロックで動作させるといったような使い方は残念ながらできません。
Ryzen 7 2700Xでは標準で上限近い動作になっているためPrecision Boost Overdriveの効果が微妙ですが、ポテンシャルに対して動作クロックが控えめな第2世代Ryzen ThreadripperにおいてはPrecision Boost Overdriveはかなり有用な機能になっています。
「AMD Ryzen Threadripper 2990WX」でPrecision Boost Overdriveを使用する場合の、設定値の目安や実際の動作についてはこちらの記事で解説しているので参考にしてください。
・AMD Ryzen Threadripper 2990WXにPrecision Boost Overdriveを適用してみる
メモリのOC設定に関しては、第1世代RyzenやRyzen APUではDRAM電圧が設定できたのですが、第2世代Ryzenでは4月26日現在メモリ電圧の変更カーソルが無効化されており設定できませんでした。こちらについてはマザーボードのサポートも必要になるとマニュアルに記載があります。メモリのOCについてはBIOSから行うほうが無難なようです。
またRyzen 5 2400GやRyzen 3 2200GなどVegaグラフィックスを統合GPUとして搭載するRyzen APUでは、「AMD Ryzen Master」からGPU動作クロックの設定も行えます。GPU動作クロックをOCする場合は、GPU電圧だけでなくSOC電圧も適度に昇圧してください。
以上、Ryzen CPU用純正OCツール「AMD Ryzen Masterユーティリティ」の使い方でした。
・X470チップセット搭載AM4マザーボード:
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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