Ryzen対応の最強簡易水冷「Corsair H110i」をレビュー


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3月に電撃デビューしたAMD Ryzen 7に発売当初から対応しており、280サイズラジエーター採用で最高クラスの冷却性能を誇るRyzen対応の最強簡易水冷CPUクーラー「Corsair H110i(型番:CW-9060026-WW)」をCorsair社からRyzen CPUやAM4マザーボードの検証機材としてご提供いただけたのでレビューしていきます。

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コア16スレッドのAMD Ryzen 7で最上位となるRyzen 7 1800Xは、単純にコア電圧を盛っていけば3.9GHzあたりまでならストレステストも軽くクリアできるのですが、4.0GHzにOCして常用するには冷却の壁があるようなので、Ryzen 7 1800Xを4.0GHzにOCして常用したいユーザーには280サイズラジエーター搭載で簡易水冷CPUクーラーとしては最高峰の冷却性能が発揮できる「Corsair H110i」がおすすめです。


製品公式ページ:http://www.corsair.com/ja-jp/hydro-series-h110i-gt-280mm-extreme-performance-liquid-cpu-cooler
国内代理店:http://www.ask-corp.jp/products/corsair/cpu-cooler/h110i.html
マニュアル:http://www.corsair.com/~/media/corsair/download-files/manuals/cooling/h110i_gt_quick_start_guide.pdf





レビュー目次


1.Corsair H110iの梱包・付属品
2.Corsair H110iの水冷トップとチューブ
3.Corsair H110iのラジエーターと冷却ファン
4.Corsair H110iをセットアップ

5.専用アプリ「Corsair Link」について
6.専用アプリ「Corsair Link」:ファン・ポンプのコントロール
7.専用アプリ「Corsair Link」:LEDイルミネーションについて
8.Corsair H110iの冷却性能
9.Corsair H110iでRyzen 7 1800Xの4.0GHz常用を狙う
10.Corsair H110iのレビューまとめ

補足.
空冷クーラーと水冷クーラーの違いについて



Corsair H110iの梱包・付属品

まずはCorsair H110iの外観や付属品をチェックしていきます。
簡易水冷CPUクーラーは機械駆動する部分としてポンプがあるので空冷クーラーに比べて製品寿命が気になるところですが、製品パッケージに「Corsair Guarantee 5 years」とロゴが描かれているように、「Corsair H110i」には5年間のメーカー製品保証があり、日本国内でも正規代理人のアスク経由で同期間のフルサポートを受けることができます。
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製品パッケージはスリーブ箱から中箱を取り出すタイプではなく、蓋を開くタイプになっていました。簡易水冷クーラーのパッケージは大きいのでスリーブ箱の場合中身の取り出しが面倒だったりするためこの構造は好印象です。
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パッケージを開いて一番上にはマニュアルや保証ガイドの冊子が入っていました。
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付属のマニュアルは日本語に非対応ですが、図説もついているので迷うことはないと思います。
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スポンジ緩衝材の蓋を外すと下にはビニール袋に包まれたCPUクーラー本体が収められています。
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製品や各種付属品を安置するためのスペーサーにはパルプモールドが使用されていました。
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付属品を詳しく見ていくと、ファン固定やマウント用の各種ネジ類が左上の小分け袋に入っています。Intel環境用のX字リテンションブラケットとLGA115X用のバックプレート、AMD環境用のー字ブラケットがあります。またCorsair Linkによる接続のための内部USBケーブルです。
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ラジエーターに使用するための固定ネジとしては、ラジエーターにファンを固定するための32mmほどのものが8本とラジエーターをPCケースに固定するための短いネジが8本の計16本付属します。ネジの規格はUNC #6-32とい国内では一般に入手しにくい規格のネジです。
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ただし水冷ラジエーター用のネジとしては主流な規格のため水冷パーツを取り扱っているオリオスペックでは互換性のあるネジを購入可能です。プッシュプルのファンサンド構成にしたい人などは水冷ラジエーター向けのネジで探すとちょうどいいネジを見つけやすいです。

LGA115X用のバックプレートはネジ穴部分がスライドするようになっており、旧CPUソケットのLGA1366などを搭載するマザーボードにも対応しています。
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専用アプリ「Corsair Link」で操作するためにPCと接続する内部USBケーブについては、PC接続用内部USBケーブルの水冷トップ側はmini-USB端子になっています。
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簡易水冷CPUクーラー本体は水冷トップとラジエーター共にビニール袋に包まれています。
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おそらく個体差のある部分ですが、今回のサンプル品では、ラジエーターの放熱フィンの一部に凹みがありました。冷却性能に問題が出るほどではありませんが、几帳面な人にとっては気になる部分なので、他社製品の梱包ですが、こんな感じに厚紙などでラジエーターは個別に保護しておいて欲しいところ。
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Corsair H110iの水冷トップと水冷チューブ

続いて簡易水冷CPUクーラー「Corsair H110i」の水冷トップ本体をチェックしていきます。
Corsair H110iの水冷トップはコンパクトサイズで、上面にはCorsairのメーカーネームとロゴの入ったガンメタルのプレートで装飾されておりシンプルですがスタイリッシュな面持ちです。
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水冷トップからは直出し構造で水冷ポンプおよび冷却ファンの電源取得のためのSATA電源ケーブル、2基の冷却ファンを接続可能なPWM対応4PIN ファンケーブル、ポンプ回転数を出力するための3PINファン端子が伸びています。
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水冷トップの左側面にはCorsair Link接続用のUSB端子が設置されています。Corsair Commander Miniと接続できるMiniポートがないのが不満でした。すでにCorsair Commander Miniや電源ユニットでCorsair Linkを使用しているユーザーは内部USBヘッダーが複数必要になってしまいます。
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水冷トップの右側面からはIN/OUT両方の水冷チューブが伸びています。
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チューブの根元はロータリー式になっているので両側ともにチューブ同士が干渉しない範囲で180度自由に動かすことができます。
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ただしチューブ間の距離が狭いのであまり斜めに傾けることができません。もう少し根元の距離が広ければよかったのにとも思います。
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水冷チューブの長さは400mmです。十分な長さがあるのでミドルタワー程度のPCケースであればトップやリアだけでなく、フロントのファンマウントスペースにもラジエーターを設置できます。
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水冷チューブの径は14mmで比較的太めなのでチューブ折れや潰れの心配はあまりありませんが、少し曲げにくくなっています。また水冷チューブは滑りを良くして取り回しを改善するためナイロンスリーブ化されています。
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Corsair H110iのCPUと接触するベース部分は銅製になっており保護フィルムではなくプラスチックのカバーで保護されていました。デフォルトで熱伝導グリスが均等に塗られているのでこだわりがなければ初回使用時は個別にグリス購入の必要はありません。
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銅製ベースは鏡面磨き上げではありませんでした。
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水冷トップの縁にはマグネットが設置されており、リテンションブラケットは簡単に着脱可能です。
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IntelとAMDのそれぞれのプラットフォームでリテンションブラケットが用意されています。
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Corsair H110iのラジエーターと冷却ファン

続いてラジエーター部分をチェックしていきます。
Corsair H110iのラジエーターはラジエーターコアを保護するグリルに水冷トップと同様のCorsairブランドネームとロゴの刻印されたプレート装飾がありデザイン面でもこだわりが見られます。
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ラジエーターの厚さは少々薄めな25mm厚です。ラジエーターは厚さよりも面積のほうが冷却性能への寄与は大きいので280サイズであれば25mm厚で十分ですし、スリムな方が取り回しに優れて良いと思います。
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ラジエーターの長さについては320mmほどとなっています。140mm*2ファン搭載モデルですが長さは280mmよりも40mm程長いので使用を検討しているPCケースとの干渉には注意してください。
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放熱フィンのピッチについては水冷ユーザー視点で言うと少し密度が高いと感じました。密度が高い分、放熱フィンの放熱性能は高まりますが、静圧の低いケースファンや低回転数動作の場合、十分なパフォーマンスを発揮できない可能性もあるので注意が必要です。
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管理人が本格水冷向けのラジエーターとして推奨している「Alphacool NexXxoS Full Copper ラジエーター」シリーズ(左)のフィンピッチと比較するとCorsair H110iのラジエーターフィンピッチの密度の高さがわかりやすいと思います。
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Corsair H110iには定格2100RPMのPWM速度調整に対応した冷却ファン「SP140L」が2基付属しています。定格値は2100RPMと大きめですが、Corsair Link上からは500~2100RPMで自由に速度調整が可能なので、静音性とパフォーマンスの割り振りは自由に行えます。
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ファンフレームはすり鉢状に面取り拡張されており吸気・排気に優れ、フレームは強度を保てる極限まで薄くしてファンブレードを大きくすることで140mmファンとして最大限の風量や静圧が取得できるように設計されています。自称軸ソムリエの管理人が軸音テイスティング(耳を近づけてファンを指で弾くだけ)をしてみましたが、低速回転時の軸音はやや聞こえました。低速で静音運用したいユーザーは軸音の小さいファンを別途購入したほうがいいかもしれません。
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付属品でも紹介しましたが、冷却ファンのラジエーターへの固定やラジエーターのPCケースへの固定に使用するネジの規格はUNC No.6-32でした。日本国内のユーザーとしてはホームセンターで簡単に入手可能なM3かM4ネジを採用してほしいところです
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ただしUNC No.6-32は水冷ラジエーター用のネジとしては主流な規格のため水冷パーツを取り扱っているオリオスペックでは互換性のあるネジを購入可能です。プッシュプルのファンサンド構成にしたい人などは水冷ラジエーター向けのネジで探すとちょうどいいネジを見つけやすいです。

ラジエーター固定ネジ穴下については、ネジによる貫通を防止するガードなどはありません。四隅は放熱フィンやチューブがありませんが、中央4か所の下にはそのままアルミフィンがあり、付属のネジを使用して固定する場合はネジがネジ穴下の放熱フィンを貫通します。ネジ穴下にチューブはないので水漏れなどの心配はありませんが個体差で問題が生じる可能性もあるのでネジ穴下でチューブとの接触がないかは注意が必要です。
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冷却ファンをラジエーターに固定すると下のようになります。
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冷却ファンの間には5mm程の間隔があるので、各自で購入した冷却ファンを使用しても干渉を気にせずに使用できます。
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冷却ファンを設置しても厚さは50mm程度と非常にスリムです。
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Corsair H110iの検証機材・セットアップ

Corsair H110iを検証機材のベンチ機にセットアップします。ベンチ機のシステム構成は次のようになっています。
テストベンチ機の構成

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OS Windows10 64bit Home

CPU

Intel Core i7 7700K
Core/Cache:5.0/4.8GHz, 1.300V
殻割り&クマメタル化(レビュー
AMD Ryzen 7 1800X
Core:4.0GHz, 1.38V (レビュー
M/B ASRock Z270 SuperCarrier
レビュー)(BIOS:1, 2
GIGABYTE Aorus
GA-AX370-Gaming 5
レビュー)(BIOS:1, 2
メインメモリ Corsair Dominator Platinum
Special Edition
DDR4 8GB*4=32GB (レビュー
Kingston HyperX Fury DDR4
HX424C15FB2K2/16
DDR4 8GB*2=16GB
グラフィックボード
ASUS GeForce GT730
ファンレス GT730-SL-2GD3-BRK
システムストレージ
Crucial MX300 SATA M.2 SSD 1TBCT1050MX300SSD4 CFD SATA SSD 120GB
電源ユニット
Corsair RM650i
レビュー
PCケース/
ベンチ板
STREACOM BC1 (レビュー

CPUクーラーの設置方法について、当サイトの評価基準となるチェックポイントは主に次の3つです。
  • LGA115Xの場合、CPU固定バックプレートが単独でマザーボードに固定できるか
  • マウントパーツ設置状態でCPUを交換できるか
  • 空冷の場合、ネジ止めの場合はマザーボード側から固定できるか
    簡易水冷or水冷ブロックの場合、ハンドスクリューなどツールレス固定ができるか

上の3項目を全て満たす例として本格水冷用のCPU水冷ブロックですが「EK-Supremacy EVO」のマウンタ構造は「バックプレートをM/Bに固定可能」「完全ツールレス」「マウンタ設置状態でCPUの交換が可能」なので本格水冷・簡易水冷クーラーの水冷ブロック固定方式としてはベストだと思っています。水冷クーラーメーカーにはどんどん真似してもらいたい理想的な構造です。

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前置きはこのあたりにしてベンチ機1のIntelプラットフォームへCorsair H110iをセットアップします。
まずはマザーボードを裏返してバックプレートのネジ穴をマザーボードのCPUソケット四隅の穴に挿入します。最新のKabyLake CPUに対応するLGA1151ソケットでバックプレートを装着する場合はネジ穴スライド部分の位置は一番内側でした。
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バックプレートが脱落しないように注意してマザーボードを表に向け、スタンドオフと呼ばれる水冷トップを固定するためのスペーサーを使ってマザーボードをバックプレートと挟みます。Intelプラットフォーム用のスタンドオフは2種類用意されていますが、LGA1151では左にある両側のネジが長い方のスタンドオフを使用します。
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下のようにスタンドオフとバックプレートでマザーボードを挟みます。
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4か所全てでスタンドオフを固定したらマウントパーツの設置が完了です。
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マウントパーツは単独でもマザーボードに固定されているので、CPUクーラーの設置が完了していない状態でもバックプレートなどが脱落することはなく、PCケースに設置した状態でもCPUクーラーの固定が容易になっています。
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水冷トップをマザーボードに固定する準備はこれで完了したので熱伝導グリスをCPUのヒートスプレッダに塗布します。熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。熱伝導効率も高く、柔らかいグリスで塗布しやすいのでおすすめです。
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グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
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熱伝導グリスを塗ったらバックプレートから延びるネジに水冷ヘッドの足のネジ穴が合うようにしてCPUクーラーを装着します。CPUの上に乗せたらグリスが広がるように力の入れすぎに注意して水冷ヘッドをグリグリと捻りながら押し込んでください。
Corsair H110iの水冷トップの固定ネジはツールレスな大型ハンドスクリューなので固定は容易です。プラスドライバーでも締められますが、そこまで強く締める必要はないので対角順に水冷ヘッドがグラグラ動かない程度に手でネジを締めてください。
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水冷トップ右から水冷チューブの出ている簡易水冷CPUクーラーでは最左端にあるメモリスロットの距離次第で水冷トップ右のチューブエルボーとメモリが干渉してCPUクーラーを設置できない場合がありますが、Corsair H110iでは検証機材のASRock Z270 SuperCarrierでも十分なクリアランスが確保されているのでその他のマザーボードでも概ね干渉は起こらないと思います。
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簡易水冷CPUクーラーはラジエーター設置の手間やスペース確保の問題はありますが、マザーボード上のメモリなどのコンポーネントとの干渉は大型のハイエンド空冷CPUクーラーより発生し難く、水冷トップの設置自体も基本的にツールレスで容易なのが長所だと思います。
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冷却ファンをCorsair Link上からコントロールする場合は水冷トップから出ているファン端子と冷却ファンを接続します。
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またポンプ回転数の検出用の3PINファン端子をマザーボードのファン用ヘッダーへ接続します。
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上の写真を見るとわかりますが、ポンプ回転数検出用ファン端子とSATA電源ケーブルの分岐が短いのでケーブルの取り回しがあまり良くありません。管理人は自分で割いて分岐を長くしました。自分で割く人は細い方のケーブルをちぎらないように注意してください。
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以上でCorsair H110iのベンチ機へのセットアップ完了です。
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専用アプリ「Corsair Link」:セットアップ方法と基本的な使い方

Corsair製の簡易水冷CPUクーラー「Corsair H110i」シリーズは同社のハードウェアモニタリング用専用アプリ「Corsair Link」で各種コントロールが可能になっています。
「Corsair Link」は公式サポートページからダウンロードできます。

「Corsair Link」ダウンロードページ:http://www.corsair.com/ja-jp/downloads

プルダウンメニューから「Corsair Link」を選択すると最新版の「Corsair Link」が表示されるのでここからダウンロードしてください。
CORSAIR LINK (1)

CORSAIR LINK (2)

公式ページから「Corsair Link」のインストーラーをダウンロードして、インストールするところはポチポチクリックしていくだけで簡単なので割愛するとして、インストールが完了したらデスクトップのショートカットアイコンから「Corsair Link」を起動します。初回起動時は再起動(reboot)を求められるかもしれませんがその際は一度再起動してから再度「Corsair Link」を起動してください。
Corsair Linkを起動すると次のようなタイルスタイルのトップメニューが表示されます。Corsair Link対応製品のみならずCPU、マザーボード、グラフィックボードの温度やファン回転数もモニタリング表示されます。
Corsair Link_gen_1
トップメニュータブの「Options」を選択すると一般設定ウィンドウが表示され、言語設定やスタートアップ設定が可能です。言語には残念ながら今のことろ日本語はありません。
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トップメニュータブの「Profile」を選択すると「performance」「Balanced」「Quiet」の初期プリセットに加えて、ユーザー各自設定のプロファイルを作成できます。「Manage profiles」から新規プロファイルを作成可能です。選択中のプロファイルについてはメインウィンドウで設定の変更を行うと自動でプロファイルに変更が保存されます。
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各種構成パーツのタイル上に表示されている温度やファン回転数などモニタリング値をクリックすると設定ウィンドウが表示されます。
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設定ウィンドウの「Configure」タブではモニタリング値の表示名を変更可能です。
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「Notifications」タブでは設定中のモニタリング値が「Mini value」を下回るか「Max value」を上回った時のアラートや自動シャットダウンなどの設定が可能です。
Corsair Link_gen_4
トップメニュータブのConfigureを選択するとPCケースの写真が表示されて、現在Corsair Link上でモニタリングされている値のタイル一覧がウィンドウ左に並んでいるので、ドラッグ&ドロップでPCケースの写真状に配置してPCケース内の温度状況などをグラフィカルに確認可能です。
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トップメニュータブのGraphingを選択するとウィンドウ右側に追加で各種モニタリング値のリアルタイムグラフを表示するフロートウィンドウが表示されます。トップメニューのタイル状に表示されているモニタリング値は全てグラフ表示とログの取得が可能です。
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リアルタイムグラフウィンドウ右上の「Configure」ボタンを選択すると、追加の設定ウィンドウが表示されます。設定ウィンドウ上ではチェックボックス形式でモニタリングを行うモニタリング値を個別に指定できます。モニタリングにチェックを入れた項目のログを取る場合にログファイルの出力場所とログ間隔を設定できます。モニタリング値のログを取る場合はリアルタイムグラフウィンドウ右下の「logging」のチェックボックスにチェックを入れます。
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ちなみにCorsair Linkに対応したCorsair製の電源ユニットを接続している場合は、こちらもCorsair Link上から消費電力やファン動作をカスタマイズできます。
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専用アプリ「Corsair Link」:ファン・ポンプのコントロール

Corsair H110iでは専用アプリ「Corsair Link」ではCPU温度や水温をソースにした冷却ファンの操作やポンプ動作モードのコントロールが可能です。H110iの場合はモニタリング値として水温、ファン#1/2 回転数、ポンプ回転数が表示されます。
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Corsair H110iについては付属の冷却ファンが「SP140L」なのでCorsair LinkのPWM速度調整によって、500から2100RPMで速度調整可能です。
具体的にはH110iタイル状のファン回転数を選択すると「Mode」のプルダウンメニューから「Default」「Quiet」「Balanced」「Performance」の4つのプリセットに加えて、ユーザー任意設定の「Custom」、ファン回転デューティ比固定の「Fixed %」、ファン回転数指定の「Fixed RPM」、定格フル回転の「Max」を選択できます。
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「Default」「Quiet」「Balanced」「Performance」「Custom」のファンカーブ型のファンコントロールモードでは、H110iの水温センサーに加えて、Corsair Link上でモニタリング可能な各種温度をファンコンソースとしてプルダウンメニューから選択できます。
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ユーザーが任意のファンコントロールカーブを設定可能な「Custom」モードでは接続しているファンの下限・上限ファン回転数の範囲内で500~4000RPMで、5点のファンカーブ頂点を自由に設定できます。
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ファン回転デューティ比やファン回転数を固定できる「Fixed」モードでは、デューティ比や回転数の数値を直打ちで入力して設定可能です。
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また水冷ポンプについては製品スペックでは回転数の公称値が公表されていませんが、Corsair LinkのH110iタイル上のPumpモニタリング値を選択することでポンプについても同様に設定が可能です。ただし設定については静音重視の「Quiet」モードと冷却性能重視の「Performance」モードの2種類のみとなっており、Quietモードでは2300RPM前後、Performanceモードでは2700RPM前後で動作します。
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ベンチ板を傍に置いて耳で聞くポンプノイズはQuietモードとPerformanceモードで差がありますがPCケースに入れてしまうと大差ないのでPerformanceモードで常用しても問題ないと思います。



専用アプリ「Corsair Link」:LEDイルミネーションや操作方法について

Corsair H110iでは水冷トップのCorsairロゴの部分がLEDイルミネーションになっておりCorsair Link上から発光カラーや発光パターンを変更可能です。
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ファン回転数やポンプ回転数同様にH110iタイル状のLEDアイコンをクリックするとLEDイルミネーションの設定ウィンドウが表示されます。
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発光パターンには、固定発光カラーの「Static Color」、2/4色の発光カラーでグラデーション変化を繰り返す「Cycle through 2/4 colors」、ソース温度センサーの温度依存で発光カラーの変化する「Temperature based」の4種類から選択可能です。
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「Static Color」では設定ウィンドウ上の「Colors」を選択すると発光カラーを選択するためのウィンドウが表示されます。左側のカラーパレットや右側のRGBスライダーから自由に発光カラーを設定できます。
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「Cycle through 2/4 colors」では「Static Color」同様に発光カラー設定ウィンドウから2/4色の発光カラーを設定することで選択した発光カラーをループするグラデーション変化が可能です。
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上の設定を行った時の発光パターンの様子は次のようになっています。


またソース温度センサーの温度依存で発光カラーの変化する「Temperature based」ではファンコントロール同様にCorsair Link上でモニタリング可能な各温度をソースとして選択し、任意の3つの温度について発光カラーを設定し、グラデーション表示することが可能です。
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Corsair H110iの冷却性能

本題となるCorsair H110iの冷却性能についてチェックしていきます。
検証システムをベンチ板に置いた状態で測定を行っているためCPUクーラーが水冷・空冷によらず基本的にCPUクーラーの理想的な性能をチェックすることになります。
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比較対象として空冷クーラーの「Intel TS15A」、「Cryorig C1」、「CoolerMaster MasterLiquid Pro 120」についても同一環境で検証を行いました。
Cryorig C12a35a18dCM MasterLiquid Pro 120

検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はi7 7700Kの場合20~30分ほどです。エンコード中のファン回転数はCPUクーラー別で個別に設定した一定値に固定しています。

エンコードに用いたCPUはi7 7700K(殻割りクマメタル化済み)を使用しており、CPUダイとヒートスプレッダ間のグリスを液体金属グリスに塗り替えているので通常よりも低い温度で動作しています。
「Thermal Grizzly Conductonaut」を殻割りi7 7700Kでレビュー
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また手動でオーバークロック設定を行っています。コアクロックは4コア同時5.0GHz、キャッシュクロックは4.8GHz、コア電圧はBIOS上では1.300V固定ですがHWInfo読みで1.296~1.344Vで変動しています。


エンコード中CPU温度のCPUクーラー別比較は次のようになりました。
「Corsair H110i」は大型280サイズラジエーターを搭載した簡易水冷クーラーというだけあって5.0GHzに手動OCしたi7 7700Kでも最大59度、平均55.5度という抜群の冷却性能を発揮しています。
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ベンチ機1の検証環境で同様のCPUクーラー冷却性能テストを行った比較結果のまとめが次のようになっています。下に行くほど冷却性能が高く、平均温度と最大温度の和で順位付けを行っています。なおファン回転数によって順位は変わりうるのでその点は注意してください。
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またCorsair H110iでは専用アプリ「Corsair Link」によるポンプ回転数の操作にも対応しているので、ファン速度やポンプ速度の冷却性能への影響についても同様の方法で検証しました。
ポンプ速度をPerformanceからQuietに落としてファン回転数も800RPMに下げた静音設定を採用すると若干冷却性能は下がるものの、先ほどのPerformance&900RPM設定と大差のない性能を発揮できています。
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終盤こそ差が出てくるものの序盤の差はほとんどありません、Broadwell-Eのようなエンスー向けCPUの場合結果が変わってくるかもしれませんが、i7 7700K(5.0/4.8GHz)の環境においてはポンプ速度による冷却性能の差は無視してもよさそうです。


サウンドレベルメーター(騒音計)を使用してファンノイズをCPUクーラー別で比較しました。騒音計の収音部分とノイズ発生部分との距離が15cm程度になる位置で測定を行っています。簡易水冷の場合はラジエーターとポンプ両方からの距離が15cm程度になるように設置しています。
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電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも不快に感じたり感じなかったりと音の性質にもよるので注意してください。

サウンドレベルメーターによる騒音値の比較結果は次のようになりました。
Corsair H110iは他の簡易水冷CPUクーラーと同様にファン回転数900RPMに設定していますが、ファンノイズは40dB程度と比較的大きいファンノイズになりました。ラジエーターフィンの密度が高いのでファンノイズが大きく出ているようです。とはいえ40dB程度であればPCケースに入れてしまえば十分静音運用可能なレベルだと思います。
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Corsair H110iでRyzen 7 1800Xの4.0GHz常用を狙う

普段、CPUクーラーのレビューではPCケースに入れ1時間程度の実働負荷テストを行っているのですが、「Corsair H110i」はAMD Ryzen CPUのプラットフォームであるAM4マザーボードにネイティブ対応した数少ない簡易水冷CPUクーラーなので、AMD Ryzen CPUの最上位モデルとなる8コア16スレッドのRyzen 7 1800Xを4.0GHzにOCしてストレステストを実践してみました。
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設置方法について簡単に説明すると、AMDプラットフォーム用の一字型リテンションブラケットへ固定用フックをハンドスクリューで固定します。
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リテンションブラケットをH110iの水冷トップに装着したら、グリスを塗ってから水冷トップをCPUの上に載せ、AM4マザーボードのCPUソケット上下に最初から設置されている引っ掛け型のマウントパーツにフックをかけるだけという非常に簡単な構造です。
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水冷トップを乗せてフックを上下ともに引っ掛けたらあとはハンドスクリューを締めればCPUクーラーの固定は完了となります。バックプレートなどのマウントパーツ装着の必要がないのでIntelプラットフォームよりもAMDプラットフォームで使用するほうがH110iは使いやすいです。
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Ryzenプラットフォームの検証環境には、GIGABYTE Aorus GA-AX370-Gaming 5をマザーボードに使用して、CPUはRyzen 7 1800XでOC設定は簡単に「CPUクロック倍率:40」「CPUコア電圧:1.381V固定」「CPU VRINロードラインキャリブレーション: High」としています。
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Ryzen CPUはもともとOC設定項目が少ないこともあり、上のようなお手軽OC設定でも設定値さえ適切であれば簡単にオーバークロックして起動することができます。
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Cinebenchも問題なくクリアできました。
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続いてこのOC設定を使用してストレステストを実行しました。
ストレステストは先ほどの温度比較テスト用の負荷と同じですが、Ryzen 7 1800Xを使用した場合のエンコード時間は1周で15分ほどなので4周させて1時間程度のストレステストとして実行しています。CPUクーラーのファン回転数は1200RPMで固定しています。

ストレステスト中のCPU温度とCPU使用率のログは次のようになりました。簡易水冷CPUクーラー「Corsair H110i」を使用することでRyzen 7 1800Xを全コア同時4.0GHzにOCしてストレステストをクリアできました。CPU温度も50度半ばで安定しています。
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Ryzen 7のOCについては、3.9GHzまでは電圧でごり押しできますが、それ以上を狙うとVcoreとCPU温度の板挟みで設定が難しくなってくるので、4.0GHz常用を目標にするならAM4マウントに対応している280サイズラジエーター採用簡易水冷CPUクーラー「Corsair H110i」がおすすめです。



Corsair H110iのレビューまとめ

最後にAMD RyzenプラッフォームAM4対応の最強簡易水冷CPUクーラー「Corsair H110i」の実機サンプルを検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • AMD Ryzen CPUのAM4マウントに対応した数少ない簡易水冷CPUクーラー
  • 5GHzに手動OCしたi7 7700Kを運用可能な冷却性能
  • 4GHzに手動OCしたRyzen 7 1800Xを運用可能な冷却性能
  • バックプレートを単独でマザーボードに固定可能
  • 水冷ブロックの固定はハンドスクリューナットでツールレス固定可能
  • 専用アプリ「Corsair Link」から水温のモニタリングやポンプスピードのコントロールが可能
  • 水温ソースのファン・ポンプコントロールに対応
悪いところor注意点
  • ラジエーターの梱包では厚紙などの保護をして欲しい
  • ファン・ラジエーターの固定ネジが国内で入手の容易なM3やM4ではなくUNC No.6-32
  • Corsair Link対応なのにCorsair Commander Miniと接続できない
  • 放熱フィンの密度が高いのでファン低速の静音性より中速以上の高冷却性能重視

冷却性能の検証結果からもわかるように「Corsair H110i」はメインストリームのCPUであれば最上位のi7 7700Kの5.0GHz OCでも静音性を保ったままで十分に冷却できる性能があります。
当サイトではメインストリーム向けCPUであれば120や140のシングル冷却ファンサイズラジエーター採用モデルを推奨していますが、オーバークロックで発熱が一気に大きくなり熱管理の難しくなるRyzen 7 1800Xのようなエンスー向けCPUと組み合わせるのであれば280サイズの大型ラジエーターを搭載した「Corsair H110i」がおすすめです。特にAMD Ryzen 7で刷新された新しいプラットフォームであるAM4に対応した簡易水冷CPUクーラーは数少ないので、Ryen 7 1800Xの4.0GHz以上の常用を狙うのであれば「Corsair H110i」が一押しのCPUクーラーです。

またCorsair H110iは水温センサーを内蔵しており、水温ソースのファン・ポンプコントロールが可能なところも競合する簡易水冷製品と比較した時の「Corsair H110i」のアピールポイントです。専用アプリ「Corsair Link」はCPUクーラーだけでなく、LEDイルミネーションに対応したDDR4メモリや電源ユニットなど同社の展開する各種製品にも対応する機器が多数ありそういったものと組み合わせて一括管理できるところも魅力的です。ただCorsair Commander Miniと接続するためのMiniヘッダーが実装されていないところは玉に瑕でした。

Intelプラットフォームにおいてはマウントパーツが個別にマザーボードに固定可能、マウントパーツを設置したままでもCPUクーラーを交換可能なところは管理人的にポイントが高いです。前者は特にマザーボードをPCケースに組み込み後のCPUクーラー設置で、バックプレートを裏から支える必要がないので全ての簡易水冷CPUクーラーで採用して欲しい構造です。AMDプラットフォームではマザーボード備えつけのマウントパーツに対応してフックを引っかけるだけの構造なのでよりお手軽なマウント構造になっていて非常に便利です。

Corsair製の280サイズラジエーター採用モデルには後継機である「H115i」がすでにリリースされているのであえて旧モデルの「H110i」を選択する意味があるのか?というと、Intelプラットフォームにおいてはその通りなのかもしれません。
しかしながら旧型とはいえ「Corsair H110i」は現行のCPUクーラーと比較しても余裕で最上位クラスのパフォーマンスを発揮できますし、AM4マザーボードに対応した数少ないハイエンド簡易水冷CPUクーラーなので、AMD Ryzen CPU環境でオーバークロックをガンガン行いたいというユーザーには文句なしにお勧めなCPUクーラーです。


以上、「Corsair H110i」のレビューでした。
Corsair H110i_review






・AM4マザーボード:   
  <Amazon><TSUKUMO><PCショップアーク
  <PCワンズ><ドスパラ><パソコン工房





補足:空冷クーラーと水冷クーラーの違いについて

動作検証に移る前に「空冷クーラー」と「水冷クーラー」の2種類ついて同じところと違うところ、また原理的に考えた冷却性能の比較を簡単に補足しておきます。
まず大前提として当たり前ですが空冷クーラーも水冷クーラーも”最終的にCPUの発熱は空気に放出されます”。自作PCにおける空冷と水冷の違いは、どこの空気を使ってCPUクーラーの放熱フィンから空気への熱交換(放熱)を行うかです。
例えば次の画像のようなサイドフロー型の空冷CPUクーラーの場合、ケースフロントなどから吸気された空気はケース内を通り、CPUクーラーの放熱フィンでCPUから熱を放熱されます。CPUから放熱された暖かい空気はリアファンやトップファンから排気されますが、一部はケース内に残留する可能性があります。そのため「フロントから吸気されてケース内を経由してきた冷たい空気」と「一度CPUクーラーを通った暖かい空気」が混ざるため次第に冷却効率が下がることが予想されます。
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一方で水冷(簡易水冷)CPUクーラーの場合は次のように、PCケース外から直接吸気を行う、もしくはPCケース外へ直接排気を行うことができます。水冷クーラーの場合、空気への放熱を行うラジエーターはPCケースという壁でイン・アウトが遮断されているため、PCケース内の空冷クーラーで起こるような一度放熱された空気が循環して冷却効率を下げるという現象が起きません。これが自作PCで水冷クーラーを使用するメリットです。
もちろん空冷でもケースファンを適切に設置すれば、一度熱せられた空気の循環が避けられる理想的な状態に近づきます。しかしその分ファンノイズが増えます。なので原理的にはPCケース壁で単純に熱交換部分のインアウトを遮断できる水冷クーラーのほうがよく冷えて静音になります。
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ただし上の議論は最終的な放熱部分である「冷却に使用する空気」のみに着目して空冷と水冷を比較しています。つまり出口だけの議論なので、CPUヒートスプレッダからCPUクーラーベース部分への熱移動の効率、すなわち入口部分の性能が低ければあまり意味がありません。CPUクーラーの総合的な性能はベース部分の熱交換効率、放熱フィンやラジエーターの熱交換効率などいくつかのパラメータの組み合わせなので必ずしも水冷が空冷よりも冷えるわけではないことに注意してください。

また下の2つの画像では簡易水冷クーラーを吸気にした場合と排気にした場合で、ラジエーターに流入する空気を示す矢印の色を変えています。
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まず前提として「部屋の体積はPCケースの体積よりも十分大きいのでPCで消費される程度の電力(1000W以下程度)では室温は変化せず一定」です。上の画像でPCケースへの吸気がケースフロントである場合、PCケース内には熱源が多数存在するためラジエーターに達するまでに空気は温められます。とすると空気の温度は「室温空気≦PCケース内空気」です。どんなに理想的なエアフローが存在したとしてもPCケース内を経由してラジエーターに達する空気は室温空気よりも低い温度にはなりえません。ラジエーターでの熱交換効率を左右するのは「空気とクーラントの温度差」と「ラジエーターを通過する空気の量」の2つなので「室温空気≦PCケース内空気」である以上、水冷クーラーにおいて「冷える排気」は存在しますが、「吸気よりも冷える排気」というものは存在しません。
吸気にすると熱風がPCケース内に入って壊れるとかのたまう人がたまにいますが、排気なしのケース密封で吸気にするようなそもそも馬鹿げた構成でもなければ起こりえないことなので無視してOKです。もし壊れるなら内排気空冷オリファングラボが真っ先に壊れます。
水冷クーラーを使用する場合、排気構成にしたほうがPCケース内からの見栄えがいいため、メーカーも排気構成のイメージサンプルを使用することが多い(おそらく)ですが、純粋な冷却パフォーマンスを考えれば排気よりも吸気のほうが性能が高いことは原理的に自明です。
見栄えを重視して排気にするのは全く問題ありませんし、そういう意図のもとで作られたカッコいい見せる自作PCは管理人も好むところです。しかしながらエアフローが云々とか吸気による故障を理由に「吸気よりも排気のほうが冷えるし安全」と主張するのは非常に恥ずかしいことなのでやめましょう。

最後に本題の空冷クーラーと水冷クーラーの違いについてまとめると、「水冷クーラーと空冷クーラーの理想的な性能を比べた場合どちらのほうが性能が高いかは製品次第ですが、水冷クーラーは熱交換部分をケース外に近い場所に配置できるので、吸気の簡易水冷クーラーは空冷クーラーに比べて理想的な性能を発揮しやすいという特徴があります。」



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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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