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AMD Ryzen Threadripper&TRX40マザーボード環境において、NVMe RAIDストレージの構築からWindows10 OSをインストールするまでの方法を紹介します。なおNVMe RAIDをデーターストレージで使用する場合も、同じ手順でシングルボリュームのアレイを作成してOSをインストールし直す必要があるので注意してください。

最初に
今回、NVMe RAID設定からインストールまでの紹介にはX399マザーボードに「ASUS ROG ZENITH EXTREME」を使用します。BIOSメニュー内のレイアウトに違いはあると思いますが、ASRock、GIGABYTE、MSIなどのマザーボードでも同種の設定項目が各BIOS内にあるはずなのでほぼ同じ手順で設定が可能です。NVMe RAIDストレージにOSをインストールするには(正確に言うとRAIDモードでOSをインストールするには)、AMD公式サイトで配布されているRAIDドライバーが必要になります。
各自で使用しているマザーボードチップセットの公式サポートページからRAIDドライバをダウンロードしてUSBメモリにコピーしておいてください。ドライバ単体とWindowsアプリ付きがありますが、ドライバ単体の「Standalone NVMe RAID Driver for Windows 10 Installation of Windows 10 64 Bit」でOKです。
サポートページ:https://www.amd.com/ja/support

NVMe RAIDドライバーはWindowsエクスプローラーと同様にOSインストール画面でも参照で場所を探せるので、自分で保存してある位置がわかればルートに配置しなくてもOKです。

ちなみにWindows10の製品パッケージに付属するUSBメモリではUEFIで認識できないトラブルが発生することがあるようなのでそういうときはこちらの記事に従ってMS公式ツールを使用して適当なUSBメモリでOSインストールメディアを作成すると上手くいきます。
BIOSでRAIDストレージを構築する
まず最初にNVMe SSDを使用したRAIDアレイ(ストレージ)の構築方法からご紹介します。ここではNVMe SSDと限定していますがSATA SSDやHDDも同様の手順でRAIDアレイが構築可能です。Ryzen Threadripper環境でRAIDストレージをブータブルデバイスとして使用する場合は、BIOS内に設置されたRAIDアレイ構築ツールである「RAIDXpert2」を使用します。「RAIDXpert2」をBIOSメニューに表示しNVMe RAIDを構築するためには以下の3つの設定を行ってください。
注意点として当然ですがCMOSクリアを行うと下記の設定は初期化されてしまいます。OC設定の変更などでCMOSクリアする場合は忘れずに下記の設定を再度行ってください。設定し忘れるとブートデバイスが見つからずOSが起動しません。
1.SATA Modeを「RAID」に変更する

2.CSMを無効化する(一部マザーボードでは標準で無効)

無効化の際に注意が表示されますがOKを選択してください。

3.NVMe RAIDを有効化する(一部では自動で有効になる隠し設定)

あと「ASRock Ultra Quad M2 Card」、「ASUS HYPER M.2 X16 CARD」、「GIGABYTE AORUS Gen4 AIC Adapter Card」、「MSI M.2 XPANDER-AERO Gen4」などPCIE帯域の分割が必要な複数M.2スロット増設ボードを使用している場合は、その拡張ボードを設置しているPCIEスロットの帯域がx4*nの分割モードになっているか確認してください。

以上の設定を行ったら設定を保存して再起動し、再度BIOSメニューへ入ります。
上の設定が正常に行えていれば、ASUS製マザーボードであればトップメニュータブAdvancedの一番下の項目として「RAIDXpart2 Configuration Utility」が表示されます。

「RAIDXpart2 Configuration Utility」を選択すると3つほどメニューが表示されますが、そのうち真ん中の「Array Management」を選択します。

RAIDアレイ構築に使用するストレージをシステムやデータストレージとしてWindows上で使用していた場合は単独のアレイとして認識されるため最初にアレイの削除を行う必要がありますので、「Array Management」を選択して表示される「Delete Array」を選択します。

「Delete Array」からRAIDアレイ構築に使用するストレージのアレイを削除してください。
誤ってRAID構築に使用しないアレイを削除してしまう(初期化してしまう)のを避けるため、RAIDアレイ構築に使用するストレージ以外はマザーボードから物理的に外しておくのを推奨します。


RAIDアレイ構築に使用するストレージのアレイ削除が完了したら「Array Management」をに戻って、次は「Create Array」を選択します。

「Create Array」メニューではRAIDタイプの選択やRAIDアレイ構築に使用するストレージの選択が可能なので、使用する設定に合わせて各自で選択してください。


以上でNVMe RAIDストレージの構築は完了です。
NVMe RAIDストレージにOSをインストール
続いて上で作製したNVMe RAIDストレージにOSをインストールする方法を紹介します。ブートオーバーライドでもなんでも構わないのでUEFIでOSインストールメディアを起動してください。Windows10のパッケージに付属するUSBメモリがUEFIで起動できない場合はこちらの記事に従ってMS公式ツールを使用して適当なUSBメモリでOSインストールメディアを作成すると上手くいくはずです。
普通に見慣れたセットアップメニューが表示されます。

ポチポチクリックしていくとインストールストレージの選択画面が表示されます。この状態ではRAIDアレイが表示されず、素の状態のドライブが表示されます。

ここで左下のドライバー読み込みを選択します。

ポップアップが表示されるので参照を選択します。

エクスプローラーが表示されるので冒頭で紹介したNVMe RAIDドライバーのフォルダを選択します。RAIDドライバーのフォルダにはSATAストレージ用とNVMeストレージ用の2種類のドライバがありますが、SATAストレージにOSをインストールする場合でもNVMeの方を選んで問題ないようです。

NVMe RAIDドライバフォルダの中にはさらに3つのフォルダがあります。2019年12月時点では、「1.rcbottom」「2.rcraid」の順番でドライバーの読み込みを繰り返すことで上手くいきました。

以上の手順でOSセットアップからNVMe RAIDストレージがインストール可能なドライブとして表示されます。

あとは通常通りインストール作業を進めればOKです。

Windows OSインストール後に、新たに増設したストレージでRAIDアレイを構築する時に便利なWindowsアプリ版「RAIDXpart2」の使い方についてはこちらの記事を参照してください。
・Samsung 960 PRO 512GB 8枚でRyzen TRのNVMe RAIDを試す

以上、Ryzen Threadripper環境でNVMe RAIDにOSをインストールする方法でした。

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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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RAIDドライバは大抵2個以上のドライバで出来ているので複数回ドライバ読み込みが必要です。
これは業務向けのRAIDカードとかでも同様だったりします。
AMDのは3個で出来ていて、残り1個はWindows上からRAID情報を読み込み・変更する為のドライバっぽいですね。
1回目はRAID自体のドライバ(AMD-RAID Bottom Device)、
2回目はRAIDの先にあるRAIDアレイをどう制御するかのドライバ(AMD-RAID Controller [storport])といった感じです。