GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7


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Intelの2017年最新メインストリーム向けCPU CoffeeLake-Sに対応するZ370マザーボードとしてGIGABYTEのゲーミングブランドAORUSの名を冠する最上位モデル「GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7」のレビュー用サンプルをメーカーよりお借りできたのでレビューしていきます。GIGABYTE AORUSシリーズらしい頑強なメタルアーマーやマザーボード全体を覆う勢いのLEDイルミネーションに加え、新たに採用されたVRM電源冷却ファンなどの新機能を搭載した「GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7」の実力を徹底検証していきます。
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製品公式ページ:http://www.gigabyte.jp/Motherboard/Z370-AORUS-Gaming-7-rev-10#kf
マニュアル:http://download.gigabyte.asia/FileList/Manual/mb_manual_z370-aorus-gaming-7_j.pdf
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7_p1


GIGABYTE AORUS Z370マザーボード簡易比較
AORUS Gaming 7 AORUS Gaming 5
AORUS Ultra Gaming
価格 38,000円程
(国内未発売)
22,000円
VRM電源
フェーズ数
10フェーズ, サーバークラスデザイン 7フェーズ
VRM電源
冷却ファン
あり なし
リアI/O GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 5
GIGABYTE Z370 AORUS Ultra Gaming
有線LAN Intel & Killer Intel
無線LAN・BT
なし
WiFi802.11ac&BT4.2 なし
オーディオ ESS SABRE
reference DAC(詳細
Realtek ALC 1220
120dB SNR HD Audio
PCI-Eスロット
補強メタルカバー
x16サイズの全スロット 2、5スロットのみ
ファンコン
センサー
ファン端子 8基
温度センサー9基(2基は外部温度センサ)
ファン端子 6基
温度センサー6基
M.2スロット数 3スロット 2スロット
M.2ヒートシンク 1つ なし
SATA端子 6基








【注意事項】
検証中のトラブルなども記事内で記載していますが、Intel CoffeeLake-S CPU自体が発売されたばかりなので、OSの問題なのか、マザボBIOSの問題なのか原因の切り分けが現状でできないものも少なくありません。今後ドライバやBIOSなどソフトウェアの更新でパフォーマンスや安定性が向上することは期待できると思うので、その辺りも念頭に置いて読んでもらえるとありがたいです。
同検証は17年11月上旬に行っておりGIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7のBIOSはF4a(ベータBIOS)を使用しています。最新BIOSでは修正されている不具合や追加されている機能もあると思うので、最新BIOSのリリースについては公式ページを各自でチェックしてください。

サポート:http://www.gigabyte.jp/Motherboard/Z370-AORUS-Gaming-7-rev-10#support-dl

【17年11月12日:初稿】
レビュー記事初稿を公開、BIOS:F4aで検証



GIGABYTE製のマザーボードについて

GIGABYTE製マザーボードについてはGIGABYTEの公式サポートページにおいてアカウント登録が必要ですが、意外なことに日本語による問い合わせに対応しています。問い合わせページのインターフェースの言語は英語なので英語で行けるところは英語で入力するほうがいいと思いますが、長文を書く必要がある問い合わせの本文では日本語で書いてもしっかり対応してもらえました。
サポートページ:http://esupport.gigabyte.com/Login/Index?ReturnUrl=%2f
GIGABYTE サポート
国内のマザーボードベンダー大手を見ると、ASUSとMSIが代理店に丸投げで直通の有人サポートなしに対して、GIGABYTEは日本語対応可能な有人サポートありというのはかなり好印象です。メーカー直通の日本語対応有人サポートが欲しい人はGIGABYTE製マザーボードの購入を検討する価値はあると思います。


GIGABYTEマザーボードでは多数の独自機能アプリが用意されており、統合ランチャーである「APP Center」をスタート地点に利用できます。なお独自アプリの一部は「APP Center」をインストールしてからでないとインストール・使用できないので注意してください。
GIGABYTE APP Center
オンラインであればAPP Centerから最新ドライバやソフトウェアをインストール可能です。「GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7」専用アプリは10近くありますが必要なものだけをスマホのアプリ感覚で簡単にインストールできるのでAPP Centerは非常に便利なクライアントソフトです。
GIGABYTE APP Center_1GIGABYTE APP Center_2

「RGB Fusion」やファンコン統合インフォソフト「System Information Viewer」などユーザーにとって魅力的なアプリが多岐にわたって展開されていますが、各アプリの機能や使い方の概要は下の公式紹介ページにて日本語でわかりやすく解説されているので、GIGABYTE独自アプリを使いたい人は参考にしてください。
GIGABYE独自アプリ解説:http://www.gigabyte.jp/MicroSite/369/images/app-center.html
GIGABYE独自アプリ解説





GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7 レビュー目次


1.GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7の外観・付属品
2.GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7の基板上コンポーネント詳細

3.GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7へのパーツ組み込み(ギャラリー)
4.GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7の検証機材のセットアップ
5.GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7のBIOSについて
6.多機能かつ使いやすいファンコン機能「スマートFan 5」について
7.イルミネーション操作機能「GIGABYTE RGB Fusion」について
8.
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7のOC設定について
9.GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7の動作検証・OC耐性
10.GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7のレビューまとめ



GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7の外観・付属品

まず最初にGIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7の外観と付属品をチェックしていきます。
パッケージを開くと上段にはマザーボード本体が静電防止ビニールに入った状態で収められていました。マザーボードを取り出すと2重底になっており下段には各種付属品が入っています。
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付属品一覧は次のようになっています。
マニュアルやドライバCDなど必要なものが一通り揃っています。ドライバ類についてはそろそろUSBメモリに移行して欲しいところ。ファングッズとしてはステッカー、バッジ、ケーブルタイが付属します。
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GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7には全編日本語の詳細なマニュアルが付属しているので、英語が苦手なユーザーでも安心して使用できます。日本語マニュアルについてはPDFファイルでサポートページで公開されています。
マニュアル:http://download.gigabyte.asia/FileList/Manual/mb_manual_z370-aorus-gaming-7_j.pdf

組み立てに関連する付属品としては、SATAケーブル4本、リアI/Oパネル、M.2 SSD固定ネジ、RGB+W LEDテープ接続ケーブル、SLI HBブリッジ、サーモセンサー2本、G-Connectorとなっています。GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7は外部温度センサーに対応しているのでそれに接続できるサーモセンサーも付属しているところが特徴的です。
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GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7のリアI/Oシールドの表面は光沢のあるガンメタリックになっています。裏面のマザーボードと接する部分はスポンジが入っていました。
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SLIブリッジについてはGTX 10XXシリーズの広帯域SLI接続に対応したSLI HBブリッジが、17年1月発売の200シリーズマザーボードの一部からは付属するようになっており、GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7にも1スロットスペース型SLI HBブリッジが付属しています。
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Intel X299やAMD X370/X399のマザーボード製品ではSLIコネクタが金属シールドタイプになっていたのですが、「GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7」では他社と同じプラスチックコネクタに変わっていました。他社標準になっただけなので必ずしもマイナスポイントではないのですが、GIGABYTEマザーボードの付属SLI HBブリッジは金属シールド付きで高品質というイメージがったのでそれを知っている人にとっては残念なポイントかもしれません。

GIGABYTEからはAORUSブランドのRGBイルミネーションに対応したSLI HBブリッジ「AORUS SLI HB Bridge RGB」もリリースされています。GIGABYTEのライティング操作機能「GIGABYTE RGB Fusion」で発光カラー・パターンの同期操作が可能なのでおすすめです。
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GTX 1080 Ti SLI review_06966GTX 1080 Ti SLI review_06967


GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7には汎用LEDヘッダーとして、マザーボードメーカー各社が採用しているRGB 4PINではなく、白色LEDを搭載するRGBWに対応した5PIN LEDヘッダーが2基実装されており、それに対応した延長ケーブルが2本付属します。
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PINアサイン自体はRGB 4PINにWの1PINが追加されただけなので、LED機器側の端子はWの1PINが分離可能な構造になっており、RGB 4PINのLED機器も問題なく使用可能です。
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GIGABYTEの一部のマザーボードではフロントパネルコネクタのマザーボードへの装着を簡単にする独自パーツ「G-Connector」が付属します。
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今回は検証用スイッチ&LEDで試してみましたが次のように「G-Connector」へ各種コネクタを装着します。
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あとはこのまま「G-Connector」をマザーボードのフロントパネルヘッダーに挿せばOKという非常に便利な独自機能です。
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マザーボード全体像は次のようになっています。
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7はATXフォームファクタのマザーボードです。AORUSシリーズのマザーボードのナンバリング上位モデルのZ270やX370ではポリゴンデザインが採用されていましたが、Z370 AORUS Gamingシリーズではロボット装甲ライクなデザインに変わっています。PCI-Eスロットの背景部分にはAORUSの”鷹(ファルコン)”をモチーフにしたロゴがさりげなくプリントされています。
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マザーボード右下のチップセット用ヒートシンクについては同製品のブランドネーム「AORUS」を示す「Speed(素早さ)」「Power(力強さ)」「Accuracy(精密さ)」を表現したという”鷹(ファルコン)”をモチーフにしたロゴが描かれています。背景にはX370やX299で採用されていたポリゴン調のデザインから一新して、ロボットの装甲的なイラストが描かれています。
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リアI/Oカバーにはブランドネームが刻印されています。VRM電源部分にはチップセットヒートシンク同様にロボット装甲ライクなイラストが描かれたアルミヒートシンクが装着されています。VRM電源ヒートシンクはヒートパイプで接続されてリアI/Oカバーの下にも伸びていました。
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GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7には10フェーズのVRM電源が搭載されています。IR デジタル・コントローラーおよびPowIRstage ICによってVRM電源間の負荷が均一に分散するよう調停しており、一部のVRM電源へ集中した過負荷がかかりオーバーヒートが発生することを防ぐことで安定した電力供給を可能にしています。また超低ESR特性で長寿命のDurable Black固体コンデンサなど、サーバークラスの高信頼性コンポーネントでVRM電源はデザインされているとのことです。
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「GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7」は6コア12スレッドのCore i7 8700KなどCoffeeLake-S CPUに対応したマザーボードですが、CPUへ電力供給を行うEPS端子としては8PIN端子が1つ設置されています。
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リアI/Oカバー内にはVRM電源クーラー用の排熱ファンとしては35mm径の3PIN冷却ファンが設置されていました。定格6000RPMのファンなので負荷時のファンノイズが気になるところ。VRM電源冷却ファンのファンノイズについてはレビュー後半でチェックします。
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リアI/Oに設置されたUSB端子のうち赤色のType-Aの1基とType-Cの1基のUSB端子は最新のUSB3.1規格に対応しています。そのほかのUSB端子についてはUSB3.0端子が5基設置されています。個人的に残念なポイントとしてはUSB3.0/3.1は無線マウスと電波干渉を起こすことがあるので、加えて少し離れた場所にUSB2.0も設置して欲しかったです。ゲーマーには嬉しいPS/2端子も搭載されています。
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ビデオ出力にはHDMIとDisplayPortが設置されていますが、HDMI端子については4K・60FPSに非対応で4K・30FPSが上限となるver1.4対応でした。CoffeeLake-S用のZ370ザーボードではリアI/OのHDMI端子で4K・60FPSに対応したHDMI2.0を搭載するものは非常に少ないので外部GPU(グラフィックボード)を使用しないユーザーは注意が必要です。
有線LANには低CPU負荷、高スループットで定評のあるIntel純正のLANコントローラーに加えて、Windows上の専用アプリからアクセス優先度の最適化が可能でオンライン対戦PCゲームのパフォーマンス向上が期待できる「Killer E2500」LANコントローラー採用の有線LANも設置されています。
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重量計を使用して重さを測定してみたところ、GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7は1054g、同じくATXサイズでZ270マザーボードとしては重い部類のASRock Z270 SuperCarrierは1092gでした。GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7はメインストリーム向け高性能ATXマザーボードの標準的な重量です。ちなみにエンスー向けX299マザーボードのGIGABYTE X299 AORUS Gaming 7は1300gでした。
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GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7の基板上コンポーネント詳細

続いて「GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7」のマザーボード基板上の各種コンポーネントをチェックしていきます。
システムメモリ用のDDR4メモリスロットはCPUソケット右側に4基のスロットが設置されています。
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固定時のツメは両側ラッチとなっています。片側ラッチよりも固定が少し面倒ですが、しっかりとDDR4メモリを固定できるので信頼性は高い構造です。プライマリグラフィックボードの設置PCI-Eスロットは2段目に配置されているのでPCI-Eスロット側のラッチと拡張ボードが干渉する心配もありません。
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DDR4メモリスロットには外部ノイズEMIから保護して安定したメモリOC環境を実現し、またメモリモジュールの挿抜によるPCB基板の歪みや破損を防止する金属シールド「Ultra Durable Memory Armor」が実装されています。またメモリスロット間にはLEDイルミネーションも実装されています。
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メモリスロットのすぐ右にはAccent LEDというアクリルバーが設置されています。アクリルバーには模様が入っていますが、このアクリルバーは着脱が可能なので好きなイラストやロゴの入ったアクリルバーに交換することができます。マザーボード備え付けのその他のLEDイルミネーション同様にGIGABYTE RGB Fusionから発光カラーや発光パターンの設定が可能です。
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グラフィックボードなどを設置するPCI-Eスロットは全7段で上から[x1、x16、N/A、x1、x16、x1、x16]サイズのスロットが設置されています。上段のプライマリグラフィックボードを2段目のスロットに配置することで、大型ハイエンド空冷CPUクーラーとグラフィックボードの干渉を回避しています。最下段のx16サイズスロットはx4帯域となっておりNVMe SSDなどに使用できます。
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グラフィックボード向けのx16スロットとしてプライマリは2段目、セカンダリは5段目に配置されており、現在主流な2スロット占有グラフィックボードを使用しても下位グラフィックボードが上位グラフィックボードのエアフローを妨げないよう配慮されています。付属の1スロットスペース型SLI HBブリッジを使用すれば、NVIDIAの最新GPUであるGTX 1080 Ti、GTX 1080、GTX1070 Ti、GTX 1070を使用したマルチGPU SLI環境を構築可能です。
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GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7には最近のトレンドとしてx16スロット全てにPCI-Eスロット補強用メタルアーマー「Ultra Durable PCIe Armor」とPCI-Eスロット左右端の固定を補強するGIGABYTE特許取得済「Double Locking Bracket」による2重の保護が施されています。1Kgを超える重量級グラボの重さに耐えるためのこれらの対策により垂直方向に3.2倍、水平方向に1.7倍と両方向の負荷に対する強度は大幅に向上しています。
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SATAストレージ用の端子はマザーボード右下に6基搭載されています。SATA3_0~5はいずれもIntel Z370チップセットのコントローラーによる接続で、RAID0/1/5/10のハードウェアRAID構築にも対応しています。
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高速NVMe接続規格に対応したM.2スロットはCPUソケット下、PCI-Eスロット間、チップセット下の計3基が設置されています。M2M_32GはNVMeとSATAの両方に対応していますが、SATA・NVMeに関わらずM..2 SSDを使用する場合はSATA3_4とSATA3_5は排他利用で使用できません。M2A_32GもNVMeとSATAの両方に対応していますが、SATA接続の場合はSATA3_0端子と排他利用です。M2P_32GはNVMeのみに対応しており、使用する場合は7段目のPCI-Eスロットの接続帯域がPCI-E3.0x2に制限されます。M2M_32GM2A_32GM2P_32Gはいずれもチップセット経由の接続です。
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3基のM2スロットにはNVMe規格の高速通信を行うM.2端子を外部ノイズEMIから保護して安定した接続を実現するためメタルアーマーが装着されています。
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CPUソケット下のM.2スロット「M2M_32G」には「GIGABYTE M.2 Thermal Guard」というカバー型の放熱ヒートシンクが装着されており、M.2 SSDのサーマルスロットリングを防いで性能を最大限引き出します。
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GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7に関して、PCI-Eスロットや各種ストレージ端子の排他利用についてまとめると次のようになっています。
  • GPU用の2段目と5段目のPCI-Eスロットは[x16, N/A]or[x8, x8]帯域
  • 最下段x16スロットはM2P_32Gと一部帯域共有で[x4, N/A] or [x2, x4]
  • M2M_32G使用時はSATA・NVMeに関わらずSATA3_4とSATA3_5は使用不可
  • M2A_32GでSATA接続のM.2 SSDを使用する場合、SATA3_0は使用不可

CPUとチップセット間はIntel Z370シリーズチップセットではX99から更新されたDMI 3.0で接続されており、この帯域が非公式ながらNVMe M.2 SSDの接続規格であるPCI-E3.0x4とほぼ同じ帯域です。
Z370_Brock Diagram
Z370チップセット搭載マザーボードのM.2スロットのうちチップセットを経由して接続されているストレージへ個別にアクセスがある場合は最新の3.0GB/s越えの高速SSDでもフルスペック動作が可能になっていますが、この帯域がボトルネックになるため複数のM.2スロットで一度にアクセスが発生すると合計で4GB/s程度がボトルネックになります。現状ではランダム性能への影響は軽微で主にシーケンシャル性能に制限がかかります。
M.2スロットのPCI-Eレーンがどこに繋がっているかで簡単に次のようなメリットとデメリットがあります。

CPU直結の場合 チップセット接続の場合
長所  複数のM.2 SSD(PCH側*1含む)の
 同時アクセスでもフルスペック動作
 IRSTによるハードウェアRAIDで
 性能を上げることができる
短所  IRSTによるハードウェアRAID
 が構築できない
 (Intel製SSDではVROCで
  ソフトウェアRAIDが構築可能)
 複数のM.2 SSDから同時にアクセス
 がある場合、ストライプRAIDの場合
 4GB/s程度がボトルネックになる
複数のM.2 SSDを同時にフルアクセスさせたい場合は、PCI-E→M.2アダプタを使用するなどしてCPU直結のM.2スロットを用意し、マザーボード備え付けのM.2スロットと組み合わせるなど工夫が必要です。


USB3.0内部ヘッダーと次世代規格のUSB3.1 Gen2に対応する内部ヘッダーがメモリスロットの隣には設置されています。
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USB2.0の内部ヘッダーも2基マザーボード下に設置されています。CorsairLinkやNZXT CAM対応製品などUSB2.0内部ヘッダーを使用する機器も増えていますが、GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7であればそれらの機器も問題なく使用可能です。
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「GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7」はゲーミングマザーボードということでGIGABYTE独自の高音質オンボードサウンド機能「AMP-UP AUDIO」が採用されています。SN比121dBで、32bit, 384kHz PCM, DSD 11.2MHzなどハイレゾ音源に対応する圧倒的なオーディオ再生能力を誇る「ESS SABRE reference DAC」を搭載しています。自動でヘッドホンのインピーダンスを検出して最適な出力を可能にする「Smart Headphone Amp」機能などもあり、サウンドボードや外部DAC要らずな高音質オンボードサウンドが実現されています。
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リアI/Oに設置されているUSB3.0ポートのうち左の黄色USB端子は「USB DAC-UP 2」というUSB機器接続時に電圧の低下やノイズの無い電力を供給することが可能な専用電源回路付き可変電圧USBポートです。例えばUSB給電のUSB DACを接続した場合に高音質化が期待できたり、ケーブルの長いVR HMDを接続する時の信号損失を解消します。
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7_p_6

マニュアルからの画像を使用しますが、冷却ファンや簡易水冷クーラーのポンプの接続用の端子はマザーボード上の各場所に計8か所設置されていました。これだけあれば360サイズなどの大型ラジエーターを複数基積んだハイエンド水冷構成を組んでもマザーボードのファン端子だけで余裕で運用可能です。加えて「PUMP」の添え字の付いたファン端子は最大24W(12V、2A)、3Amp/HPWR水冷ポンプ用端子は最大36W(12V、3A)の出力にも対応しているので本格水冷向けのD5やDDCポンプの電源としても変換ケーブルを噛ませることで使用できます。
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7_Fan
24PIN ATX端子のすぐ上とチップセットの左下には本格水冷PCユーザーには嬉しい外部温度センサーの接続端子が設置されています。GIGABYTEのファンコントロール機能は外部センサーをソースにした水温依存のファンコントロールが可能なので水冷ユーザーにお勧めです。
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7 review_01734GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7 review_01740
上記の外部温度センサー2基に加えてマザーボード上備え付けの温度センサー7基で計9基の温度センサーから自由にソース温度を選択してファンコントロールが可能です。
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7_p7
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マザーボード基板右下にはPOSTエラーのチェックができるDebug LEDが、またマザーボード右上にはOCerのみならず一般自作erにとっても組み立て中の動作確認に便利なオンボードとスタートスイッチとリセットスイッチが実装されています。CMOSクリアのハードウェアスイッチも設置されているのでOC設定をミスっても簡単に初期化が可能です。
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GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7にはGIGABYTE特許取得済みの「デュアルBIOS」機能が採用されており、OC設定によってメインBIOS(M_BIOS)のデータが破損しても、自動でバックアップBIOS(B_BIOS)に切り替わってメインBIOSの復旧や重要データのバックアップが可能になります。
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7_p_10GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7 review_01733
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7にはベースクロックを変更する「Turbo B-Clock」というチューニングICが実装されています。BCLKを使用するOCはかなり難易度が高いのでOCer向けの機能ですが、100MHz固定の場合でもBCLKの安定性が増すので一般的なOCでも恩恵の大きいモジュールです。
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7 review_01746Turbo B-Clock
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7のUSB3.1端子はThunderbolt3には非対応ですが、マザーボード右端のSATA端子とフロントI/Oヘッダーの間にTHB-C端子があるので、同社のThunderbolt3拡張ボード「GIGABYTE GC-ALPINE RIDGE」(レビュー)を使用することでThunderbolt3端子を増設可能です。
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7 review_01730GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7 review_01719


マザーボード右下にはフロントパネルI/Oヘッダーがあります。同社独自パーツの「G-Connector」が付属するのであまり重要ではありませんが、基板上に色分けされたプリントのおかげで林立している各ヘッダーピンを視認しやすく、ピンアサインは基板上にヒントもプリントされているのでユーザービリティーに優れる設計です。
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GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7へのパーツ組み込み

GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7にDDR4メモリとCPUクーラーを設置してみました。内容的には写真のギャラリーだけになっています。
DDR4メモリには「G.Skill Trident Z Black F4-4200C19Q2-64GTZKK」(レビュー)、CPUクーラーには「Fractal Design Celsius S36」(レビュー)を使用しています。
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GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7の検証機材

GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7を使用して検証機材と組み合わせてベンチ機を構築しました。GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7以外の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成
CPU Intel Core i7 8700K
6コア12スレッド (レビュー
CPUクーラー Fractal Design Celsius S36
レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Black
F4-4200C19Q2-64GTZKK(2枚のみ使用)
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー
CPUベンチ用
ビデオカード
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
ファンレス (レビュー
システムストレージ
Samsung 850 PRO 256GB (レビュー
OS Windows10 64bit Home
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー

検証機材のCPUにはZ370マザーボードで使用可能なIntel CoffeeLake-S CPUの最上位モデルとなる6コア12スレッドの「Intel Core i7 8700K」を使用しています。検証機材のCore i7 8700KはCPUダイとヒートスプレッダ間のグリスを液体金属グリスに塗り替えているので通常よりも低い温度で動作しています。
6コア12スレッド「Core i7 8700K」を殻割り5.2GHzにOCレビュー
Core i7 8700K Delid metal1GHz temp

CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
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グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
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以上で検証機材のセットアップが完了となります。
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GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7のBIOSについて

GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7を使用した検証機の構築も完了したので動作検証とOC耐性のチェックの前にBIOSの紹介をします。
(OSから日付調整する前にスクショを取っている場合、日付が変になっている場合がありますが無視してください。また内容的に差異がなければ過去のスクリーンショットを流用しています。)

GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7のBIOSに最初にアクセスするとクラシックモードという従来通りの文字ベースBIOSメニューが表示されました。トップに表示されるシステムタブのシステム言語から日本語を選択可能です。
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7_BIOS_1
GIGABYTE製マザーボードのBIOSの翻訳は一部誤訳もあるものの比較的まともなので日本語UIとしては使いやすいのですが、フォントサイズの調整が微妙で見切れたりするところが玉に瑕です。トップメニューのタブは左右カーソルキーで簡単に移動できます。「alt」キーを押すかマウスオーバーで右下にメニューとポップアップヒントが表示されています。
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一応、流行に合わせてグラフィカルUIのイージーモードも用意されており、右下メニューや「F2」キーでイージーモードを表示できます。パッと見の見栄えは良いのですが詳細設定ができないのでクラシックモードの利用がおすすめです。
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GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7のBIOSにおいて設定の保存とBIOSからの退出はトップメニュータブ最右端の「保存して終了(save and exit)」から行えます。特定のブートデバイスを指定してBIOSから退出するBoot Override機能もあります。
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今回の個体については初期のBIOSバージョンは「F3」だったので、7月7日現在公開されている最新ベータ版の「F4a」にアップデートしました。(ベータ版は不具合が発生する可能性があるので一般的にはアップデート非推奨です)
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7_BIOS_5

BIOSのアップデート方法は、まず下から最新のBIOSファイルをダウンロード、解凍してUSBメモリのルートに解凍フォルダを置きます。
サポート:http://www.gigabyte.jp/Motherboard/Z370-AORUS-Gaming-7-rev-10#support-dl

USBメモリを挿入したままBIOSを起動し、「左alt」キーかマウスオーバーでクラシックモード右下に表示される「Q-FLASH」を選択するか、「F8」キーのショートカットキーでQ-FLASHを起動します。
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7_BIOS_2
Update BIOSを選択し、接続したUSBメモリからアップデートファイルを選択します。
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7_BIOS_6
以降のアップデート手中については動画で撮影したので参考にしてください。


ブートとOSインストール周りについて紹介します。
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7のブート回りは下画像のようにトップメニュータブの「BIOSの機能(BIOS)」の中で非常に簡潔にまとめられており初心者でも迷うことはないと思います。OSのインストールも「起動オプション #1」に「UEFI 〇〇」というOSインストールメディアを設定して保存&退出でOKです。
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7_BIOS_7
GIGABYTEのBIOSではブートデバイスの指定が可能なので起動オプションで設定せずに、「保存して終了(save and exit)」のタブメニューから「UEFI 〇〇」というOSインストールメディアを選択してもOKです。
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ちなみにWindows10の製品パッケージに付属するUSBメモリではUEFIで認識できないトラブルが発生することがあるようなのでそういうときはこちらの記事に従ってMS公式ツールを使用して適当なUSBメモリでOSインストールメディアを作成すると上手くいきます。


BIOSのアップデートやWindows OSのインストール方法を紹介したところで、GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7のBIOS機能で管理人が気になったものをいくつかチェックしていきます。

GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7に搭載される独自機能である「USB DAC-UP 2」という専用電源回路付き可変電圧USBポートについてBIOSから設定可能で電圧補償値を0.1~0.3Vに設定できます。
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7_BIOS_10
また後程別章でも詳しく説明しますが、GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7ではBIOSからマザーボード備え付けのRGB LEDイルミネーションを操作可能になっており、リアI/OパネルのLEDの点灯/消灯、スリープ・シャットダウン時のLEDの点灯/消灯、LED発光カラー&パターンの設定などが行えます。
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多機能かつ使いやすいファンコン機能「スマートFan 5」について

GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7などGIGABYTE製マザーボードに採用されるファンコントロール機能「スマートFan 5」が外部温度センサー対応など多機能かつ、ユーザービリティーにも優れたUIでかなり使いやすいので詳しくチェックしていきます。
ちなみに「スマートFan 5」はWindows OS上の専用アプリからも設定が可能ですが、BIOSからも専用アプリと同様にフルコントロール可能なので、一度設定したら頻繁に弄るものでもありませんし、余計なものを入れるよりもBIOS上からの操作に慣れておく方がおすすめです。

GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7のファンコントロール機能「スマートFan 5」には、「alt」キーでクラシックモード右下に表示される「スマートFan 5」を選択するか、「M.I.T.」タブの「スマートFan 5」を選択することでアクセスできます。
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「GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7」のファンコントロール機能は下のスクリーンショットのようにグラフィカルUIによる設定のみで一部他社製品のようなコンソールで値を打ち込むようなメニューは存在しません。グラフィカルUIでマウスを使って簡単にできる機能なのですが、マウスレスでも全て設定可能となっており、ASUSやASRockのBIOSのような直打ちUIが好きな管理人でも使いやすいと感じる良いファンコンでした。
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同ファンコントロール機能でユーザーが主に触る部分は下のスクリーンショットで囲った、「設定を行うファン端子」「速度設定プリセットの選択」「手動設定時のファンカーブ」「ファンカーブの温度ソース」「設定の適用」の5つになると思います。
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左上「Monitor」と表示されたすぐ横にあるプルダウンメニューからはファンコン設定を行うファン端子を選択可能で、選択したファン端子について、その下に位置する各設定項目を変更できます。選択したファン端子について「〇〇ファン速度制御」の項目から、「通常」「静音」「フルスピード((定格)」の3つのプリセットに加えて、ユーザーが各自でファンカーブをカスタマイズできる「手動」の4種類を選択できます。
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また選択しているファン端子の操作を行う温度ソースは「Fan Control Use Temperature input」から選択可能になっており、マザーボード備え付けの7つの温度センサーに加えて、増設可能な2つの温度センサーで計9個の温度センサーを温度ソースに指定できます。ただしCPUファンについてはCPU温度ソース固定となります。水温センサーを外部温度センサー端子に接続すれば水温ソースにしたラジエーターファンのファンコンにも対応可能なので水冷PC用のマザーボードとしても最適なファンコン機能です。
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〇〇ファン速度制御」の項目で「手動:を選択した場合はファンカーブのグラフにおいて、ファンストップ温度と、フルスピード温度に加えて、グラフ内で任意の4点についてファンカーブを設定できます。「Monitor」と「〇〇ファン速度制御」の項目間で上下カーソルキーを使うことで各ファンカーブ頂点を指定することができます。注目ポイントとしては「Shift」キーとカーソルキーの同時押しによってマウスレスでファンカーブの頂点を格子上で移動可能となっており、直打ち派の管理人も唸る非常に設定しやすいグラフィカルUIでした。
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また「0」と書かれたファンカーブの頂点はファンストップ温度となっており、指定した温度ソースがファンストップ温度以下の場合、設定を行ったファン端子に接続されたファンを停止させる、所謂セミファンレス機能が使用できます。試しに止めてみました。
Smart Fan5 fanless
Monitor」からは特定のファン端子を選択するので選択したファン端子1つだけについて設定を適用することも可能なのですが、設定の適用を行う「Apply to」のボタンをクリックするとマザーボードに設置されたファン端子が全て列挙され、ファン端子名の左にあるチェックボックスのチェックを入れるもしくは外すことで、現在設定を行っているファン端子と同じ設定を他のファン端子にも一斉に適用することが可能です。ファン設定の同期適用機能があるというのはユーザービリティーに優れ非常に好印象です。
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その他にも急激な温度変化へファンコンが過敏に反応しないようファン速度変化に1~3秒の猶予を設ける「Temperature Interval」、ファン操作モードを「DC/PWM/自動検出」から設定する「〇〇ファン Control Mode」などのファンコン設定項目があります。ソース温度が一定以下の時にファンを停止させる「〇〇ファン Stop」機能も用意されており、ファン操作モードがPWMの場合でも手動設定時のセミファンレス機能を問題なく使用できました。(ASUSマザボではDCモードのみだった気がします。)
またマザーボードにブザーユニットが接続されている場合は、特定温度ソースが一定温度を超えた場合にエラーを知らせる「Temperature Warning」や接続されているファンに不具合が発生した(回転数の検出ができない)場合に警告を行う「〇〇ファン異常警告」といった設定も可能です。
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欲を言えば数値直打ちのコンソール型UIもあると嬉しいとか個人的な要望はあるものの、マザーボードのファンコントロール機能としては同じく外部温度センサーソースに対応したASUSの「Q-Fan control」以上に多機能です。

「Smartファン5」はWindows OS上のインフォメーションソフト「System Information Viewer」に統合されており同アプリ上から、BIOSと同じくファンコントロールが可能です。(System Information Viewerの利用にはAPP Centerのインストールも必要になります。)
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上で紹介したBIOS上のファンコントロール同様に、個別のファンについてファンカーブの設定、セミファンレス機能のON/OFF、ヒステリシス間隔の変更など詳細なファンコントロール設定が可能です。
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上のメニューで左にあるケースアイコンをクリックするとPCケース内におけるファンの設置位置やファンコンのソース温度を設定するメニューが表示されます。
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その他にも温度やファン回転数などのハードウェアモニタリングやモニタリング値によるアラーム機能、モニタリング値のログ機能なども用意されていました。
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GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7などGIGABYTE製マザーボードに採用されるファンコントロール機能「Smartファン5」はおそらく一般ユーザーにとっては最も使いやすく機能の優れたファンコントロールだと思います。



イルミネーション操作機能「GIGABYTE RGB Fusion」について

GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7にはマザーボード備え付けLEDイルミネーションや4PIN RGB LEDテープやアドレス指定LEDテープに対応したイルミネーション操作機能「GIGABYTE RGB Fusion」が用意されています。
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GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7は4基のDDR4メモリスロットの間に設置された3本列のLEDイルミネーションやPCI-Eスロット内蔵LEDイルミネーションなどマザーボード備え付けLEDイルミネーションが他社製品と比較しても非常に豊富な所が特徴的です。
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マザーボード上にはLEDイルミネーション同期調整機能「GIGABYTE RGB Fusion」による操作に対応した汎用ヘッダーとして5PIN LEDヘッダー(RGB 4PIN汎用ヘッダーとしても使用可能)がマザーボードの右上と左下に設置されています。付属の延長ケーブルを使用することで当サイトでもレビュー記事を公開している「SilverStone SST-LS02」や「SilverStone FG121 / FG141」など汎用LED機器が接続可能です。出力は最大24W(12V, 2A)まで対応しており、最長2mのLEDテープを延長接続可能です。また4/5PINの汎用ヘッダーに加えてCablemodなどからリリースされているアドレス指定LEDテープに対応したDigital LEDヘッダーも設置されています。
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GIGABYTEのLEDイルミネーション操作機能「RGB Fusion」はWindows OS上の同名アプリ「RGB Fusion」から各種設定が可能です。Z270やX370マザーボードをレビューした時よりもプリセットも豊富になり設定可能な範囲が広くなってRGB Fusionは使いやすくブラッシュアップされています。
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ちなみにRGB Fusionの使用は統合ランチャーAPP Center経由の利用が推奨されていますが、アプリのインストール自体は単独でも可能になっており、インストールフォルダから実行ファイル「SelledV2.exe」を起動することで問題なく使用できました。
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ウィンドウトップメニュータブの「Basic」を選択すると、LEDイルミネーション発光パターンとして「Static(固定発光)」「Pulse(ゆっくり明滅)」「Flash(点滅)」「Double Flash(2回点滅)」「Color Cycle(カラーサイクル)」「Random(ランダムに点滅)」「Wave」「Demo(Wave+Color Cycle)」の9つがGIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7では選択可能でした。
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「Static(固定発光)」「Pulse(ゆっくり明滅)」「Flash(点滅)」「Double Flash(2回点滅)」では円形カラーパレットから自由に発光カラーを設定できます。
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カラーサイクルのプリセットも発光カラーの遷移が滑らかで見栄えが良好です。


トップメニュータブの「Intelligent(各種ソースに同期)」ではCPU温度やCPU使用率などハードウェアモニタリングの数値に応じて発光カラーが変更する発光パターンです。状態に応じて3種類の発光カラーをアサインすることでLEDイルミネーションをインジケーターとして使用できます。
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ウィンドウ左にあるアイコンの「Advanced」を選択するとより詳細なLEDイルミネーション設定が可能です。マザーボード上の備え付けのLEDイルミネーションもメモリスロットやPCI-Eスロットなど個別の場所ごとに発光カラーや発光パターンの設定が可能です。
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マザーボード備え付けのLEDイルミネーションを下のように個別に設定できます。
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また「Advanced」の「Peripheral Device LED」を選択するとグラフィックボードやDDR4メモリなどGIGABYTE RGB Fusionに対応する外部機器のLEDイルミネーションも一括で管理できます。当サイトでレビュー記事を公開している「GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Edition」や「Corsair VENGEANCE RGB DDR4メモリ」が対応機器となっています。
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「GIGABYTE RGB Fusion」はデスクトップアプリだけでなくBIOS上のグラフィカルUIでLEDイルミネーションの調整を行えます。いちいち専用アプリをインストールするのが面倒なのでBIOSから設定できるのは非常に便利で。ただし残念ながらBIOSからは設定可能な発光パターンが少なく、マザーボード上の個別箇所設定が不可能など、デスクトップアプリと比べて設定内容が限定されています。
RGB Fusionの設定へアクセスするには「周辺機器(Peripherals)」タブメニューにある「RGB Fusion(誤訳?:アンビエントLED)」を選択します。「LEDs in Sleep, Hibernation……」の項目ではスリープやシャットダウン中の
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BIOSから設定可能な発光パターンは「Breathing(パルス発光モード)」「カラーサイクル(Color Cycle)」「固定(Static Mode)」「点滅(Flash Mode)」の4種類となっており、個別箇所ごとの設定などは不可能でした。
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またPCと同じネットワーク上にあるスマートフォンからもLEDイルミネーションの設定が可能です。
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GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7のOC設定について

GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7を使用した場合のオーバークロックの方法を紹介します。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。


GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7ではオーバークロック関連の設定項目はトップメニュータブ「M.I.T.」の「高度な周波数設定(Advanced Frequency Settings)」「高度なメモリ設定(Advanced Memory Settings)」「高度な電圧設定(Advanced Voltage Settings)」に各種設定がまとめられています。
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「GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7」でOC設定を行う上で豆知識として、設定値を直接入力する項目でデフォルトの「Auto」に戻す場合は「a」キーを入力します。またGIGABYTEのBIOSではロードラインキャリブレーションなどプルダウンメニューで選択できると便利な所で少々面倒ですがテンキーの「+/-」キーを使用して設定する仕様なので覚えておいてください。


CPUコアクロック(コア倍率)の変更について説明します。
コアクロックはコア数に対して各コアに最大動作クロック(BCLKに対する倍率)を指定できます。「コア0:コア1:コア2:コア3」を倍率として、例えば「45:43:43:42」のようにバラバラに指定した場合、4つのコアのうち1つに負荷が掛かる場合は4コアのうち1つが45倍動作、2つと3つの場合は43、4つの場合は42となります。

コアクロックの動作倍率を変更するためトップメニュータブ「M.I.T.」の「高度な周波数設定」を開きます。ユーザーがCPUのOCを行う場合は通常、全コアの最大倍率を一致させると思いますが、同マザーボードの場合は「CPU Clock Ratio(CPUクロック動作倍率): 45」と設定することでデフォルトのBCLK(ベースクロック)が100MHzなのでその45倍の4.5GHzで動作します。
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CPUクロック動作倍率の上にある「CPUベースクロック(CPU BCLK Frequency)」の項目ではその名の通りベースクロック(BCLK)を変更可能です。Autoでは通常100MHzに固定されていますが、設定値を直打ちすることで80~500MHzの範囲内で0.01MHz刻みで設定できます。CPUコアクロックはBCLKに対する動作倍率で設定されるのでBCLK110MHz、動作倍率45倍の場合はコアクロック4.95GHz動作となります。ただしBCLKを使用したOCはかなり上級者向けなので通常はAutoか100MHzが推奨です。
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7_BIOS_OC_2
コアクロック倍率設定の下にある「高度なCPUコア設定(Advanced CPU Core Settings)」へアクセスすると追加でいくつか重要なCPU設定が可能になります。
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「高度なCPUコア設定」ではキャッシュ動作倍率にあたる「キャッシュ動作倍率(Uncore Ratio)」を変更可能です。CPUコアクロック同様にベースクロックに対する動作倍率でメッシュの動作周波数を設定できます。
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7_BIOS_OC_5

続いてコア電圧の調整を行います。
トップメニュータブ「M.I.T.」の「高度な電圧設定(Advanced Voltage Settings)」を開くと「高度な電力設定(Advanced Power Settings)」「CPUコア電圧設定(CPU Core Voltage Control)」「チップセット電圧設定(Chipset Voltage Control)」「メモリ電圧設定(DRAM Voltage Control)」「内蔵VR設定(Internal VR Control)」の5つの項目が表示されます。
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CPUコア/キャッシュクロックに関連する電圧設定は主に「CPUコア電圧設定(CPU Core Voltage Control)」から行います。CoffeeLake-S CPUではCPUコアクロックとキャッシュクロックのOC時に変更する電圧は共通となっており、「CPUコア電圧(CPU Vcore)」の項目を変更します。CPUコア電圧は0.001V刻みで設定可能になっています。OC時の電圧制御モードは固定電圧モードのみが使用可能でした。6コア12スレッドCore i7 8700KをOCする場合のCPUコア電圧の目安としては非殻割りでは1.300~1,400V、殻割りクマメタル化では1.400~1.500V程度が上限になると思います。
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CPUコア電圧モードについて簡単に説明すると、オフセットモードやアダプティブモードはCPU負荷に比例して電圧が設定されており、低負荷時は電圧が下がるので省電力に優れるのですが、OCをする場合はマザーボードによって挙動に差があり安定する設定を見極めるのが難しいので、個人的にはオフセットやアダプティブは定格向け、OCには固定値適用の固定モードを推奨しています。
仮にOCでオフセットやアダプティブを使う場合も最初はコアクロックに対して安定する電圧を見極める必要があるので、まずは固定モードを使用します。
ちなみにマザーボードにより対応しているモードは異なりますが、CPUのオーバークロックに付随するコア電圧のモードの概略図は次のようになっています。
vc

またコアクロックを高く設定する時に追加で変更するといい電圧設定項目として「高度な電圧設定(Advanced Voltage Settings)」にある「CPU Vcoreロードラインキャリブレーション」が挙げられます。この設定を変更することでCPU負荷時の電圧降下を補正してOCを安定させることが可能です。補正を強くするほどOCの安定性は増しますがCPUやVRM電源部分の発熱も大きくなるので真ん中あたりを最初に使っておいて、ストレステストのCPU温度をチェックしながらモードを上げていくのがおすすめです。
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7_BIOS_OC_7
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7では「CPU VRINロードラインキャリブレーション」の設定方法が少し特殊で、デフォルトの設定値は「Auto」ですが、キーボードテンキーの「+」「-」キーで設定内容が「Auto」「Standard」「Normal」「Low」「Medium」「High」「Turbo」「Extreme」に遷移していきます。設定値が限られている項目なのでプルダウンメニューで設定できるようにしてほしいところです。「Standard」や「Normal」の動作がよくわかりませんが、「Low」~「Extreme」は補正の強さをそのまま示しているので、High辺りから使っていけばいいと思います。GIGABYTE公式のOCガイドによると5.0GHzまではHighで、5.0GHzから上を狙う場合はTurboを選択した方が良いようです。


また「高度なCPUコア設定」の項目には「短時間電力制限(Package Power Limit1 - TDP)」「長時間電力制限(Package Power Limit2」という2つの電力制限機能があり、電力制限がかかる閾値(単位はW)と電力制限がかかるまでの時間を設定できます。電力制限がかかるとその指定電力内に収まるようにコアクロックに制限がかかります。デフォルトの状態では「Auto」になっていますが、GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7ではパワーリミットが掛からないように勝手に設定してくれるので放置でも問題ありません。基本的に一定消費電力以内に収めるための省電力機能(+若干のシステム保護機能)と考えてください。
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7_BIOS_OC_8


メモリのオーバークロックについても簡単に紹介しておきます。
メモリの性能について簡単に言うと「動作クロックが高く」「タイミングが小さい」ほど性能は高くなります。そのためメモリOCを手動で行う手順を簡単にすると「電圧を上げて動作可能なクロックを探し」、「そのクロックにおいて正常に動作する最小のタイミングを探る」という2つの手順を繰り返すことになります。

メモリOCではPOSTすらクリアできずBIOSに到達できないことも少なくありませんが、「GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7」では正常にPOSTできないメモリOC設定で数回エラーが出た場合は、自動で再起動した後、2133MHzのような緩い設定で起動してくれるのでメモリOCを安心して行えます。

GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7では「無効(自動/手動設定)」「XMP」の2種類からメモリの動作クロックとタイミングを設定できます。XMPによるメモリOCではメーカーが動作確認を行ったOCプロファイルを適用するだけで簡単にメモリをオーバークロックができます。
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GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7ではメモリクロックの設定方法も少々独特で、最大5800MHz(58.00倍)まで選択可能ですが、プルダウンメニューによる選択ではなく、メモリ周波数の直打ち(補正あり)か、テンキーの「+/-」キーによる設定値変更で選択する形式になっています。
メモリ周波数もBCLKに対する倍率で動作周波数が決まっているので、BCLKを標準値の100MHzから120MHzに上げると、40倍設定時の動作周波数は4000MHzから4800MHzに上がります。
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メモリ設定にある「チャンネルA/Bサブタイミング」ではタイミングの個別打ち込み設定が可能です。
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7_BIOS_OC_11
チャンネルA/Bで設定項目が分かれていますが、デュアルチャンネルでメモリを使用している場合でもチャンネルAだけ設定すれば残りはAutoのままでも設定が共有されるので1つだけ設定すればOKです。メモリタイミングを手動で設定する場合は基本的には「CAS Latency」、「RAS to CAS (tRCD)」、「RAS Precharge (tRP)」、「RAS Active Time (tRAS)」の主要な4タイミングと、加えて「tRFC」と「Command Rate:1 or 2」の6つ以外はAutoのままでいいと思います。
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7_BIOS_OC_12
DDR4メモリについては3000MHz以上にOCする場合はDRAM電圧を1.300~1.350V、3800MHz以上にOCする場合はDRAM電圧を1.370~1.400Vに上げる必要があります。メモリをOCする場合は最初から1.350V以上にDRAM電圧を盛っておくのがおすすめです。
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今のところZ370環境では不具合を確認できていませんでしたが、メモリのオーバークロックでPCI-E拡張カードの検出不可やオンボードUSB端子の干渉などが発生する場合は「VCCSA(CPU System Agent Voltage)」「VCCIO」「チップセット電圧(PCH Core)」を盛ると安定するかもしれません。
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GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7の動作検証・OC耐性

BIOS周りの管理人的に気になるところの紹介はこのあたりにしてGIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7を使用した検証機で具体的に動作検証とOC耐性をチェックしていきます。

まずはFast Bootとフルスクリーンロゴを無効(BIOS設定)にしてOSの起動時間を測定したところ、GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7の起動時間は15秒ほどした。メインストリーム向けCPU用の上位マザーボードとしてはPOSTも速くて起動時間も短く良好な結果だと思います。



続いてGIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7を使用した場合のCPUとメモリのオーバークロック耐性をチェックしてみました。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。


Core i7 8700KのOC設定は「CPUクロック倍率:52」「CPUキャッシュ倍率:48」「CPUコア電圧:1.410V」「CPU Vコア ロードラインキャリブレーション:Turbo」「メモリ周波数:3900MHz」「メモリ電圧:1.400V」「メモリタイミング:19-19-19-39-CR1」としています。
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上の設定を適用したところ問題なくOSを起動させることができました。
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GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7_OC Test_2

GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7の環境(BIOS:F4a)でメモリ周波数を3900MHzにOCしてメモリタイミング:19-19-19-39-CR1に詰めることができました。
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7_OC Test_memtest
4000MHzについては起動できるもののmemtestでエラー、4100MHz以上についてはPOSTの時点でクリアできませんでした。検証機材のF4-4200C19Q2-64GTZKKのうち4枚刺しでSkylake-X環境において4200MHzの正常動作を確認していますが、CoffeeLake-S環境向け製品ではないのでそれが原因でメモリ周波数が伸びないのか、それともセカンド以降のタイミングなど他になにかメモリOC設定で不足している箇所があるのかもしれません。
ちなみにマザーボード以外揃えてASUS ROG MAXIMUS X HEROでメモリOCを行ったところ3800MHzは安定して3900MHzはPOSTが不安定になったので、サンプルは少ないですが「GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7」はメモリOC耐性も優秀な印象です。


6コア12スレッド「Intel Core i7 8700K」のコア/キャッシュクロック5.2/4.8GHz、メモリ周波数3900MHz、メモリタイミング19-19-19-39-CR1でCinebenchも問題なくクリアできました。
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7_OC Test_Cinebench

続いてこのOC設定を使用してストレステストを実行しました。
検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はCore i7 8700K 定格の場合15分ほどなので同じ動画のエンコードを2つ並列して2周実行しています。テスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
Core i7 8700K Stress test

ストレステスト中のCPU温度とCPU使用率のログは次のようになりました。マザーボードにGIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7を使用して「Intel Core i7 8700K」をコア/キャッシュクロック5.2/4.8GHz、メモリ周波数3900MHzにOCしてストレステストをクリアできました。CPUクーラーのファン回転数は1000RPMで固定しています。
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7_OC Test_stress


スマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE」を使用してGIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7のVRM電源温度をチェックしてみました。
まずはGIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7においてCore i7 8700Kをデフォルト設定で負荷をかけてからVRM電源温度を測定してみました。GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7のデフォルト設定ではCore i7 8700Kは全コア4.3GHz動作となります。GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7のデフォルト設定であればCore i7 8700Kに長時間負荷がかかってもVRM電源温度はせいぜい70度前後なので特に問題はなさそうです。
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7_def
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7_FLIR (3)

続いてCore i7 8700KをOCした時の負荷テスト中のVRM電源部分の温度をチェックしていきます。
「GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7」ではマザーボード外観で確認したようにVRM電源クーラーの冷却用に35mm角の冷却ファンがリアI/Oカバー内に設置されています。
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7 review_01692GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7 review_01694
VRM電源冷却ファンはマザーボード上のファン端子に接続されており、他のファン端子同様にファンコントロール機能「Smart Fan 5」から制御可能になっています。デフォルト設定ではVRM電源に実装された温度センサーをファンコントロールのソースとして制御されており、VRM電源温度が90度以下であれば冷却ファンは停止し、90度を超えると冷却ファンが始動します。VRM電源冷却ファンのファン回転数については最大で5000~6000RPMに達します。
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この種の冷却ファンについては径が小さい分、高速回転なのでファンノイズの大きさがどの程度なのか気になりますが、GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7のVRM電源冷却ファンは最大回転数の6000RPMでもノイズレベルは39dB程度なのでファンノイズが煩く感じることはないと思います。
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7 review_01949

ツイッターで行った統計(5.4GHzの投票は無視)を参考にすると、5.0GHz OCがパッシブ空冷で問題なく運用できれば2/3のユーザーは満足するはずということで、全コア5.0GHz、1.300V(LLC:Turbo)の簡単設定ですが、OCして同じように負荷をかけたところ、VRM電源周りの温度は90度前後でした。比較的高い温度ですが、上述のように「GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7」にはVRM電源クーラーが搭載されており、今回のOC設定では長時間負荷をかけ続けてもVRM電源クーラーの始動閾値を行ったり来たりする感じだったので、全コア5.0GHzまでであれば追加のスポットクーラーを用意しなくても特に問題なさそうです。
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GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7_OC Test_5G

本題のCore i7 8700Kを上記のBIOS設定通りに全コア5.2GHzにOCした時のVRM電源温度についてですが、サーモグラフィーで確認したところVRM電源周りの温度は100度を超えてしまいました。ソフトウェア読みのVRM電源温度も最大106度に達しています。GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7はVRM電源に冷却ファンが設置されていますが、Core i7 8700Kを5.0GHz以上にオーバークロックした時のVRM電源の発熱を御し切れるほどの冷却性能はないようです。
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7_FLIR (2)
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7_FLIR (1)
一応今回の負荷テストではVRM電源のオーバーヒートによってCPUコアクロックが強制的に下げられるようなことはありませんでしたが、実際にPCケースに入れて長時間負荷をかけるという状態を考えるとCore i7 8700Kを5.0GHz以上にOCする場合は別途VRM電源の冷却用にスポットクーラーを用意した方がいいと思います。



GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7のレビューまとめ

最後に「GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • ロボット装甲を模した機械的なデザイン
  • マザーボード全体を覆うLEDイルミネーションが非常に豪華
  • ヒートパイプ付きの大型VRM電源クーラーを搭載
  • 6コア12スレッドCore i7 8700Kが全コア5.2GHz、メモリクロック3900MHz OCで安定動作
  • 重量級グラボにも耐える2大独自機能「Ultra Durable PCIe Armor」と「Double Locking Bracket」
  • 外部ノイズから保護することで安定したメモリOCを実現する「Ultra Durable Memory Armor」
  • スタート・リセットスイッチなど動作検証に便利なオンボードスイッチ
  • 外部温度センサーに対応したファンコン「Smartfan 5」は多機能で使いやすい
  • 高速NVMe接続のM.2スロットが3基設置されている
  • CPUソケット下のM.2スロットに独自ヒートシンク「GIGABYTE M.2 Thermal Guard」が付属
  • NVIDIA GTX 10XXシリーズのマルチGPU用SLI HBブリッジが付属する
  • フロントパネルコネクタのマザーボードへの装着を簡単にする独自パーツ「G-Connector」
悪いところor注意点
  • Core i7 8700Kを5GHz以上にOC時はVRM電源周りにスポットクーラーの使用を推奨
  • リアI/OにUSB2.0端子がないのでワイヤレスUSB機器との干渉が心配
  • HDMI端子はver1.4で4K・30FPSが上限
  • 無線LAN・Bluetoothモジュールは非搭載

「GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7」はGIGABYTEのゲーミングブランドAORUSシリーズからリリースされたIntel CoffeeLake-S対応Z370マザーボード最上位モデルらしく、各種メタルアーマー、M.2ヒートシンク、マザーボード全体を覆うLEDイルミネーションなどハード面ではこれ以上ないくらい多機能かつ豪華なマザーボードとして仕上がっています。ソフト面においてもGIGABYTE社のファンコントロール機能「Smartfan 5」は外部センサーを含めた9個温度センサーをソースに8基のファンを自由自在に制御できるので、これを目当てにGIGABYTE製マザーボードを購入しても後悔のないほど非常に優れた機能になっており、水冷ユーザーにもおすすめです。

BIOSデザインについては好みの問題かと思いますが、GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7ではカーソルキー操作を基本としたクラシカルなUIが採用されており管理人的に好みでした。ただグラフィカルUI好きにとっては物足りないかもしれません。
翻訳は一部誤訳があるものの比較的まともですが、日本語フォントの調整が微妙なのが玉に瑕です。あとOC設定でLLCやメモリ周波数などプルダウン選択形式が推奨されそうな項目で直打ちorテンキー+/-で設定変更なところは改善して欲しいです。

GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7を使用した検証機では6コア12スレッドのIntel Core i7 8700Kを全コア5.2GHzに、メモリ周波数も3900MHzにオーバークロックして負荷テストをクリアすることができました。
Core i7 8700Kと組み合わせて使用した場合、デフォルト設定による運用では全コア4.3GHzで動作するためVRM電源温度はサーモグラフィーとソフト読みの両方でせいぜい70度前後なので、同マザーボードの標準設定で運用するのであればCoffeeLake-S CPUの各種においてVRM電源はパッシブ空冷の冷却でも問題ないと思います。加えてCore i7 8700Kの全コア5.0GHzまでのオーバークロックであれば標準搭載のVRM電源クーラーが仕事をしてくれるので追加のスポットクーラーを用意せずとも運用可能です。
しかしながらCore i7 8700Kを5.2GHzにオーバークロックするとマザーボードに標準搭載された35mm角のVRM電源冷却ファンがフル回転してもVRM電源温度は100度を超えてしまいました。PCケース内に入れる実用環境においてはVRM電源のオーバーヒートによる故障やCPUコアクロックの低下を避けるためにVRM電源用のスポットクーラーの設置を推奨します。
CoffeeLake-S対応Z370マザーボードの本格的な検証は同製品が初めてなので、他製品と比較した相対的な観点からは今はまだ、VRM電源の冷却性能の良し悪しが判断できないという点は前置きしたうえで、「GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7」はVRM電源冷却ファンも搭載しているのでVRM電源の冷却面でもう少し健闘して欲しかったというのが正直なところです。CPUコアクロックやメモリ周波数のOC耐性は良好な結果が出ているだけに惜しいと感じてしまいます。


以上、「GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7」のレビューでした。
GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7







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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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