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第2世代Ryzen CPUにネイティブ対応となるX470チップセット搭載AM4マザーボードとしてGIGABYTEからリリースされた、ゲーマー向けブランド”AORUS GAMING”の最上位モデル「GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI」のレビュー用サンプルをメーカーよりお借りできたのでレビューしていきます。GPUクーラー開発で培った技術から転用した放熱フィン設計「Fins-Array technology」を採用したVRM電源クーラーや前世代よりも強力になったVRM電源回路によってRyzen 7 2700Xの大幅OCにも余裕で対応可能なゲーマー向けハイエンドX470マザーボードを徹底検証していきます。
製品公式ページ:https://www.gigabyte.com/jp/Motherboard/X470-AORUS-GAMING-7-WIFI-rev-10
マニュアル:http://download.gigabyte.asia/~/Manual/mb_manual_x470-aorus-gaming-7-wifi_1001_j.pdf
【注意事項】
検証中のトラブルなども記事内で記載していますが、第2世代Ryzen CPU自体が発売されたばかりなので、OSの問題なのか、マザボBIOSの問題なのか原因の切り分けが現状でできないものも少なくありません。今後ドライバやBIOSなどソフトウェアの更新でパフォーマンスや安定性が向上することは期待できると思うので、その辺りも念頭に置いて読んでもらえるとありがたいです。
同検証は18年4月下旬に行っておりGIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIのBIOSはF4e(ベータBIOS)を使用しています。最新BIOSでは修正されている不具合や追加されている機能もあると思うので、最新BIOSのリリースについては公式ページを各自でチェックしてください。
サポート:https://www.gigabyte.com/jp/Motherboard/X470-AORUS-GAMING-7-WIFI-rev-10#support-dl
【18年5月6日:初稿】
レビュー記事初稿を公開、BIOS:F4eで検証
GIGABYTE製のマザーボードについて
GIGABYTE製マザーボードについてはGIGABYTEの公式サポートページにおいてアカウント登録が必要ですが、意外なことに日本語による問い合わせに対応しています。問い合わせページのインターフェースの言語は英語なので英語で行けるところは英語で入力するほうがいいと思いますが、長文を書く必要がある問い合わせの本文では日本語で書いてもしっかり対応してもらえました。サポートページ:http://esupport.gigabyte.com/Login/Index?ReturnUrl=%2f
国内のマザーボードベンダー大手を見ると、ASUSとMSIが代理店に丸投げで直通の有人サポートなしに対して、GIGABYTEは日本語対応可能な有人サポートありというのはかなり好印象です。メーカー直通の日本語対応有人サポートが欲しい人はGIGABYTE製マザーボードの購入を検討する価値はあると思います。
GIGABYTEマザーボードでは多数の独自機能アプリが用意されており、統合ランチャーである「APP Center」をスタート地点に利用できます。なお独自アプリの一部は「APP Center」をインストールしてからでないとインストールできないので注意してください。
「RGB Fusion」やファンコン統合インフォソフト「System Information Viewer」などユーザーにとって魅力的なアプリが多岐にわたって展開されていますが、各アプリの機能や使い方の概要は下の公式紹介ページにて日本語でわかりやすく解説されているので、GIGABYTE独自アプリを使いたい人は参考にしてください。
GIGABYTE独自アプリ解説:http://www.gigabyte.jp/MicroSite/369/images/app-center.html
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI レビュー目次
1.GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIの外観・付属品
2.GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIの基板上コンポーネント詳細
3.GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIへのパーツ組み込み(ギャラリー)
4.GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIの検証機材のセットアップ
5.GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIのBIOSについて
6.多機能かつ使いやすいファンコン機能「スマートFan 5」について
7.LEDイルミ操作機能「GIGABYTE RGB Fusion」について
8.GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIのOC設定について
9.GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIの動作検証・OC耐性
10.GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIのレビューまとめ
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIの外観・付属品
まず最初にGIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIの外観と付属品をチェックしていきます。パッケージを開くと上段にはマザーボード本体が静電防止ビニールに入った状態で収められていました。マザーボードを取り出すと2重底になっており下段には各種付属品が入っています。
付属品一覧は次のようになっています。
マニュアルやドライバCDなど必要なものが一通り揃っています。ドライバ類についてはそろそろUSBメモリに移行して欲しいところ。
組み立てに関連する付属品としては、SATAケーブル4本、RGBW LEDテープ接続ケーブル、アドレッサブルLEDテープ接続ケーブル、SLI HBブリッジ、サーモセンサー2本、G-Connector、M.2 SSD固定ネジとなっています。GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIは外部温度センサーに対応しているのでそれに接続できるサーモセンサーも付属しているところが特徴的です。
「GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI」にはNVIDIA製GPU搭載グラフィックボードでマルチGPUを構築するためのSLIブリッジとしてGTX 10XXシリーズの広帯域SLI接続に対応した1スロットスペース型のSLI HBブリッジが付属しています。
Intel X299やAMD X370/X399のマザーボード製品ではSLIコネクタが金属シールドタイプになっていたのですが、「GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI」では他社と同じプラスチックコネクタに変わっていました。他社標準になっただけなので必ずしもマイナスポイントではないのですが、GIGABYTEマザーボードの付属SLI HBブリッジは金属シールド付きで高品質というイメージがったのでそれを知っている人にとっては残念なポイントかもしれません。
GIGABYTEからはAORUSブランドのRGBイルミネーションに対応したSLI HBブリッジ「AORUS SLI HB Bridge RGB」もリリースされています。GIGABYTEのライティング操作機能「GIGABYTE RGB Fusion」で発光カラー・パターンの同期操作が可能なのでおすすめです。
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIには汎用LEDヘッダーとして、マザーボードメーカー各社が採用しているRGB 4PINではなく、白色LEDを搭載するRGBWに対応した5PIN LEDヘッダーが2基実装されており、それに対応した延長ケーブルが1本付属します。
PINアサイン自体はRGB 4PINにWの1PINが追加されただけなので、LED機器側の端子はWの1PINが分離可能な構造になっており、RGB 4PINのLED機器も問題なく使用可能です。
またGIGABYTE製マザーボード上に実装された独自端子のアドレッサブルLED対応3PINヘッダーを4PINから1本抜けたG-DV型3PIN端子に変換するケーブルも付属します。
GIGABYTEの一部のマザーボードではフロントパネルコネクタのマザーボードへの装着を簡単にする独自パーツ「G-Connector」が付属します。
今回は検証用スイッチ&LEDで試してみましたが次のように「G-Connector」へ各種コネクタを装着します。
あとはこのまま「G-Connector」をマザーボードのフロントパネルヘッダーに挿せばOKという非常に便利な独自機能です。
マザーボード全体像は次のようになっています。
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIはATXフォームファクタのマザーボードです。以前レビューしたGA-AX370-Gaming K7はブラックメインのカラーリングでしたがGIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIではベースカラーのブラックにアクセントとしてシルバーやオレンジの装飾が施されています。
マザーボード右下のチップセット用ヒートシンクについては同製品のブランドネーム「AORUS」と「Speed(素早さ)」「Power(力強さ)」「Accuracy(精密さ)」を表現したという”鷹(ファルコン)”をモチーフにしたロゴが刻印されています。マットブラックなヒートシンク本体にエッジの効いたカットが施され、アクセントカラーのオレンジやARUSロゴの刻印されたシルバーのプレートが装着されています。
ブラックがベースカラーなリアI/Oカバーには、チップセットヒートシンク同様にオレンジがアクセントカラーなシルバーのプレートが装着されており、AORUSブランドネームが刻印されています。
GIGABYTE社のX370チップセット搭載AM4マザーボードではRyzen 7のOC時にVRM電源温度の高さが問題視されることもありましたが、「GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI」ではグラフィックカード設計で培ったクーラー技術として、100枚以上の放熱フィンプレートで構成される放熱用フィン設計「Fins-Array technology」を採用することにより、従来のアルミニウム塊型ヒートシンク形状に比べ放熱面積を大幅に拡大し、最大40%の低い動作温度を実現しています。
X370世代のAORUS 7では10フェーズだったVRM電源は、TDP105WのRyzen 7 2700Xのオーバークロックにも対応できるように、「GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI」では12(10+2)フェーズに増強されています。VRM電源回路にはサーバークラスの高品質素子と設計が採用され、IRデジタル・コントローラーおよびPowIRstage ICによってVRM電源間の負荷が均一に分散するよう調停しており、一部のVRM電源へ集中した過負荷がかかりオーバーヒートが発生することを防ぐことで安定した電力供給を可能にしています。また超低ESR特性で長寿命のDurable Black固体コンデンサが採用されています。
前世代のGIGABYTE製X370マザーボードではCPUへの電力供給を行うEPS端子は8PIN*1のみが実装されていましたが、第1世代Ryzenの最上位モデルRyzen 7 1800Xを超えるTDP105WのRyzen 7 2700Xのオーバークロックにも対応すべく、「GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI」ではEPS端子は8PIN+4PINに増強されています。700W以下のメインストリーム電源ユニットではEPS端子が1つしかないものもあるので組み合わせて使用する電源ユニットには注意が必要です。
また「GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI」のマザーボード背面のVRM電源周りにはバックプレートが搭載されています。プレスリリースや公式ページを参照した当初はVRM電源の冷却を補助するための放熱プレートだと思っていたのですが、分解してみるとサーマルパッド等は貼られていなかったので、単純に基板補強のためのバックプレートだったようです。
「GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI」にはマザーボード一体型のプリマウントリアI/Oバックパネルも採用されています。PCケースにパネルを装着する作業は固くて装着し難かったり、忘れてしまうこともあるのでマザーボードに標準で統合されているのは嬉しい機能です。
リアI/Oに設置されたUSB端子のうちType-AとType-Cが並んだ赤色USB端子は最新のUSB3.1 Gen2規格に対応しています。そのほかのUSB端子については2基のUSB2.0端子と6基のUSB3.0端子が設置されています。個人的に残念なポイントとしてはUSB3.0/3.1は無線マウス等と電波干渉を起こすことがあるので、USB2.0端子はUSB3.0端子から少し離れた場所に設置して欲しかったです。
ネットワーク関連では低CPU負荷かつ高スループットで定評のあるIntel純正のLANコントローラーが採用された有線LAN端子に加えて、無線LANモジュールも標準搭載しており、接続規格としてはWi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac、2.4/5GHzデュアルバンド、Bluetooth 5.0に対応しています。リアI/Oには無線モジュールのアンテナ端子が設置されているので付属アンテナを接続できます。
重量計を使用して重さを測定してみたところ、同じくATXマザーボードのGIGABYTE AORUS GA-AX370-Gaming K7は993g、ASRock X470 Taichiが1021gに対して、GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIは1218gとなっており、豪華な装備の分だけ重量は大きくなっているようです。
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIの基板上コンポーネント詳細
続いて「GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI」のマザーボード基板上の各種コンポーネントをチェックしていきます。システムメモリ用のDDR4メモリスロットはCPUソケット右側に4基のスロットが設置されています。メモリスロット間にはLEDイルミネーションも実装されています。
固定時のツメは両側ラッチとなっています。片側ラッチよりも固定が少し面倒ですが、しっかりとDDR4メモリを固定できるので信頼性は高い構造です。
DDR4メモリスロットには外部ノイズEMIから保護して安定したメモリOC環境を実現し、またメモリモジュールの挿抜によるPCB基板の歪みや破損を防止する金属シールド「Ultra Durable Memory Armor」が実装されています。
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIではマザーボード右端から順にDIMM_1/3/2/4とメモリスロットが配置されており、添え字の順番通りにメモリを設置すればOKです。Ryzen対応のAM4マザーボードでは信号反射などの影響から添え字の数字を無視した設置が推奨されていることが多いですが、GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIではこの辺の表記もしっかりと調整してあるのが好印象です。
メモリスロットのすぐ右にはAccent LEDというアクリルバーが設置されています。アクリルバーには模様が入っていますが、このアクリルバーは着脱が可能なので好きなイラストやロゴの入ったアクリルバーに交換することができます。マザーボード備え付けのその他のLEDイルミネーション同様にGIGABYTE RGB Fusionから発光カラーや発光パターンの設定が可能です。
グラフィックボードなどを設置するPCI-Eスロットは上から[x1、x16、N/A、x1、x16、N/A、x16]サイズのスロットが設置されています。上段のプライマリグラフィックボードを2段目のスロットに配置することで、大型ハイエンド空冷CPUクーラーとグラフィックボードの干渉を回避しています。最下段のx16サイズスロットの帯域はPCI-E2.0x4となっており、下側のM.2スロットと排他利用になります。x1サイズスロットの帯域はいずれもPCI-E2.0x1です。
グラフィックボード向けのx16スロットは2段目と5段目に配置されており、現在主流な2スロット占有グラフィックボードを使用しても下位グラフィックボードが上位グラフィックボードのエアフローを妨げないよう配慮されています。付属の1スロットスペース型SLI HBブリッジを使用すれば、NVIDIAの最新GPUであるGTX 1080 Ti、GTX 1080、GTX 1070を使用したマルチGPU SLI環境を構築可能です。
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIにも最近のトレンドとして2, 5, 7段目のx16スロットにはPCI-Eスロット補強用メタルアーマー「Ultra Durable PCIe Armor」とPCI-Eスロット左右端の固定を補強するGIGABYTE特許取得済「Double Locking Bracket」による2重の保護で1Kgを超える重量級グラボの重さに耐えるように対策が施され垂直方向に4.8倍、水平方向に1.7倍と両方向の負荷に対する強度が大幅に向上しています。
SATAストレージ用の端子はマザーボード右下に6基搭載されています。SATA(0~5)はいずれもAMD X470チップセットのコントローラーによる接続で、RAID0/1/10のハードウェアRAID構築にも対応しています。
高速NVMe接続規格に対応したM.2スロットはチップセット左に2基設置されています。赤色のM.2スロットと緑色のM.2スロットはいずれもNVMe接続とSATA接続の両方のM.2 SSDに対応しています。ただしNVMe接続については赤色のM.2スロットの帯域がPCIE3.0x4に対して、緑色のM.2スロットの帯域はPCIE2.0x4なので最新のNVMe M.2 SSDを接続しても3GB/sを超える連続リード等の高速動作では仕様値の半分の性能しか発揮できない場合があります。また緑色のM.2スロットは最下段のx16サイズPCI-Eスロットと排他利用です。
2基のM2スロットにはNVMe規格の高速通信を行うM.2端子を外部ノイズEMIから保護して安定した接続を実現するためメタルアーマーが装着されています。
M.2スロットには「GIGABYTE M.2 Thermal Guard」というカバー型の放熱ヒートシンクが装着されており、M.2 SSDのサーマルスロットリングを防いで性能を最大限引き出します。
メモリスロットの右下には内部USB3.1 Gen2ヘッダーが1基実装されています。
USB3.0の内部ヘッダーはマザーボード下部のチップセット下に2基設置されています。
USB2.0の内部ヘッダーも2基ずつマザーボード下に設置されています。CorsairLinkやNZXT CAM対応製品など内部USB2.0を使用する機器も増えていますが、GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIであればそれらの機器も問題なく使用可能です。内部USB2.0が2基でも不足する場合はUSB2.0ヘッダー増設ハブ「NZXT INTERNAL USB HUB」がおすすめです。
ゲーミングマザーボードということでGIGABYTE独自の高音質オンボードサウンド機能「AMP-UP AUDIO」も採用されています。SN比120dBにいたる圧倒的なオーディオ再生能力を誇るALC1220というオーディオコーデックをフロント/リアのオーディオ出力用にデュアルで搭載し、自動でヘッドホンのインピーダンスを検出して最適な出力を可能にする「Smart Headphone Amp」機能やSN比114dBのDSD128録音機能などが利用可能です。さらにSN比121dBで、32bit, 384kHz PCMなどハイレゾ音源に対応する圧倒的なオーディオ再生能力を誇る「ESS SABRE DAC」を搭載しています。オーディオコンポーネントにはニチコン製音響用コンデンサなど高品質な素子が採用されています。
リアI/Oに設置されているUSB3.0ポートのうち左の黄色USB端子と2基の内部USB3.0ヘッダーは「USB DAC-UP 2」というUSB機器接続時に電圧の低下やノイズの無い電力を供給することが可能な専用電源回路付き可変電圧USBポートです。例えばUSB給電のUSB DACを接続した場合に高音質化が期待できたり、ケーブルの長いVR HMDを接続する時の信号損失を解消します。
マニュアルからの画像を使用しますが、冷却ファンや簡易水冷クーラーのポンプの接続用の端子はマザーボード上の各場所に計8か所設置されていました。これだけあれば360サイズなどの大型ラジエーターを複数基積んだハイエンド水冷構成を組んでもマザーボードのファン端子だけで余裕で運用可能です。加えて「PUMP」の添え字の付いたファン端子2基は最大24W(12V、2A)の出力にも対応しているので本格水冷向けのD5やDDCポンプの電源としても変換ケーブルを噛ませることで使用できます。
マザーボード右側のDebug LEDの右隣と内部USB2.0ヘッダーの右隣の2か所には、本格水冷PCユーザーに嬉しい外部温度センサーの接続端子が設置されています。GIGABYTEのファンコントロール機能は外部センサーをソースにした水温依存のファンコントロールが可能なので水冷ユーザーにお勧めです。
上記の外部温度センサー2基に加えてマザーボード上備え付けの温度センサー7基で計9基の温度センサーから自由にソース温度を選択してファンコントロールが可能です。
マザーボード基板上のメモリスロット右にはPOSTエラーのチェックができるDebug LEDが、またオンボードスイッチは今回実装されていませんが、リアI/OパネルにはOCerのみならず一般自作erにとっても組み立て中の動作確認に便利なスタートスイッチとCMOSクリアスイッチが実装されています。CMOSクリアも簡単なのでメモリOC設定も手軽に行えます。
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIにはGIGABYTE特許取得済みの「デュアルBIOS」機能が採用されており、OC設定によってメインBIOS(M_BIOS)のデータが破損してもバックアップBIOS(B_BIOS)によってメインBIOSの復旧や重要データのバックアップが可能になります。BIOS切替スイッチは左上の写真のDebug LEDの右隣に配置されています。「デュアルBIOS」を使用したBIOSの修復方法はこちらの記事で紹介しています。
マザーボード右下にはフロントパネルI/Oヘッダーがあります。同社独自パーツの「G-Connector」が付属するのであまり重要ではありませんが、フロントI/Oヘッダーは基板上に色分けされたプリントがあるので林立している各ヘッダーピンを視認しやすくピンアサインは基板上にヒントもプリントされているのでユーザービリティーに優れる設計です。
「GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI」にはベースクロックを変更する「Turbo B-Clock」というチューニングICが実装されています。BCLKを使用するOCはかなり難易度が高いのでOCer向けの機能ですが、100MHz固定の場合でもBCLKの安定性が増すので一般的なOCでも恩恵の大きいモジュールです。
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIへのパーツ組み込み
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIにDDR4メモリとCPUクーラーを設置してみました。内容的には写真のギャラリーだけになっています。DDR4メモリには「G.Skill FLARE X F4-3200C14D-16GFX」(レビュー)、CPUクーラーには「Corsair H150i PRO RGB」(レビュー)を使用しています。
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIの検証機材セットアップ
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIを使用して検証機材と組み合わせてベンチ機を構築しました。GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI以外の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成 | |
CPU | AMD Ryzen 7 2700X (レビュー) |
CPUクーラー | Corsair H150i PRO RGB (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill FLARE X F4-3200C14D-16GFX DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) ARD4-U16G48SB-26V-D Samsung Edition DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) |
CPUベンチ用 ビデオカード |
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
システムストレージ |
WD Blue 3D NAND SATA SSD 500GB (レビュー) |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
レビュー後半の動作検証ではRyzen 7 2700Xを使用したOC検証も行いますが、CPUクーラーには2018年1月に発売されたばかりの新製品でCorsair製簡易水冷CPUクーラーの最上位モデルとなる360サイズラジエーター搭載の簡易水冷CPUクーラー「Corsair H150i PRO RGB」を使用しています。
マザーボード備え付けの固定器具にCPUクーラーリテンションブラケットのフックをひっかけてハンドスクリューで締めるだけなので設置が非常にお手軽です。
360サイズラジエーター搭載の「Corsair H150i PRO RGB」と280サイズラジエーター搭載の「Corsair H115i PRO RGB」はいずれも冷却性能が高く、LEDイルミネーションやファン制御などの操作性・カスタマイズ性にも優れているので第2世代Ryzen CPUとの組み合わせにはおすすめなCPUクーラーです。
・「Corsair H150i PRO RGB」&「Corsair H150i PRO RGB」をレビュー
システムメモリにはRyzen環境におけるハイパフォーマンスなOCメモリとして昨年より定評のある「G.Skill FLARE X F4-3200C14D-16GFX」を使用しています。メモリ周波数3200MHz、メモリタイミング14-14-14-34-CR1の高速・低遅延な動作がOCプロファイルを使用したオーバークロックで簡単に実現でき、第2世代Ryzen環境ならさらに伸びしろもあるので、第2世代Ryzen環境向けにおすすめのDDR4メモリです。
・3200MHzのRyzen用OCメモリ「G.Skill F4-3200C14D-16GFX」をレビュー
CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
以上で検証機材のセットアップが完了となります。
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIのBIOSについて
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIを使用した検証機の構築も完了したので、動作検証とOC耐性のチェックの前にBIOSの紹介をします。(OSから日付調整する前にスクショを取っている場合、日付がおかしいですが無視してください。また内容的に差異のないものは過去の同社製マザーボードのBIOSスクリーンショットを流用しています。)
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIのBIOSに最初にアクセスするとクラシックモードという従来通りの文字ベースBIOSメニューが表示されました。トップに表示されるシステムタブのシステム言語から日本語を選択可能です。
GIGABYTE製マザーボードのBIOSの翻訳は一部誤訳もあるものの比較的まともなので日本語UIとしては使いやすいのですが、フォントサイズの調整が微妙で見切れたりするところが玉に瑕です。トップメニューのタブは左右カーソルキーで簡単に移動できます。「左alt」キーを押すかマウスオーバーで右下にメニューとポップアップヒントが表示されています。
一応、流行に合わせてグラフィカルUIのイージーモードも用意されており、右下メニューや「F2」キーでイージーモードを表示できます。パッと見の見栄えは良いのですが詳細設定ができないのでクラシックモードの利用がおすすめです。
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIのBIOSにおいて設定の保存とBIOSからの退出はトップメニュータブ最右端の「保存して終了(save and exit)」から行えます。特定のブートデバイスを指定してBIOSから退出するBoot Override機能もあります。
「GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI」については4月末現在、最新BIOSとして正式版のF3とベータ版のF4dが配布されているので、今回の検証に当たってBIOS:F4dにアップデートしました。(ベータ版は不具合が発生する可能性があるので一般的にはアップデート非推奨です)
BIOSのアップデート方法は、まず下から最新のBIOSファイルをダウンロード、解凍してUSBメモリのルートに解凍フォルダを置きます。
サポート:https://www.gigabyte.com/jp/Motherboard/X470-AORUS-GAMING-7-WIFI-rev-10#support-dl
USBメモリを挿入したままBIOSを起動し、「alt」キーかマウスオーバーでクラシックモード右下に表示される「Q-FLASH」を選択するか、「F8」キーのショートカットキーでQ-FLASHを起動します。
Update BIOSを選択し、接続したUSBメモリからアップデートファイルを選択します。
以降のアップデート手中については動画で撮影したので参考にしてください。
ブートとOSインストール周りについて紹介します。
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIのブート回りは下画像のようにトップメニュータブの「BIOSの機能(BIOS)」の中で非常に簡潔にまとめられており初心者でも迷うことはないと思います。OSのインストールも「起動オプション #1」に「UEFI 〇〇」というOSインストールメディアを設定して保存&退出でOKです。
GIGABYTEのBIOSではブートデバイスの指定が可能なので起動オプションで設定せずに、「保存して終了(save and exit)」のタブメニューから「UEFI 〇〇」というOSインストールメディアを選択してもOKです。
ちなみにWindows10の製品パッケージに付属するUSBメモリではUEFIで認識できないトラブルが発生することがあるようなのでそういうときはこちらの記事に従ってMS公式ツールを使用して適当なUSBメモリでOSインストールメディアを作成すると上手くいきます。
BIOSのアップデートやWindows OSのインストール方法を紹介したところで、GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIのBIOS機能で管理人が気になったものをいくつかチェックしていきます。
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIに搭載される独自機能である「USB DAC-UP 2」という専用電源回路付き可変電圧USBポートについてBIOSから設定可能で電圧補償値を0.1~0.3Vに設定できます。
また後程別章でも詳しく説明しますが、GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIではBIOSからマザーボード備え付けのRGB LEDイルミネーションを操作可能になっており、リアI/OパネルのLEDの点灯/消灯、スリープ・シャットダウン時のLEDの点灯/消灯、LED発光カラー&パターンの設定などが行えます。
多機能かつ使いやすいファンコン機能「スマートFan 5」について
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIなどGIGABYTE製マザーボードに採用されるファンコントロール機能「スマートFan 5」が外部温度センサー対応など多機能かつ、ユーザービリティーにも優れたUIでかなり使いやすいので詳しくチェックしていきます。ちなみに「スマートFan 5」はWindows OS上の専用アプリからも設定が可能ですが、BIOSからも専用アプリと同様にフルコントロール可能なので、一度設定したら頻繁に弄るものでもありませんし、余計なものを入れるよりもBIOS上からの操作に慣れておく方がおすすめです。
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIのファンコントロール機能「スマートFan 5」には、「alt」キーでクラシックモード右下に表示される「スマートFan 5」を選択するか、「M.I.T.」タブの「スマートFan 5」を選択することでアクセスできます。
「GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI」のファンコントロール機能は下のスクリーンショットのようにグラフィカルUIによる設定のみで一部他社製品のようなコンソールで値を打ち込むようなメニューは存在しません。グラフィカルUIでマウスを使って簡単にできる機能なのですが、マウスレスでも全て設定可能となっており、ASUSやASRockのBIOSのような直打ちUIが好きな管理人でも使いやすいと感じる良いファンコンでした。
同ファンコントロール機能でユーザーが主に触る部分は下のスクリーンショットで囲った、「設定を行うファン端子」「速度設定プリセットの選択」「手動設定時のファンカーブ」「ファンカーブの温度ソース」「設定の適用」の5つになると思います。
左上「Monitor」と表示されたすぐ横にあるプルダウンメニューからはファンコン設定を行うファン端子を選択可能で、選択したファン端子について、その下に位置する各設定項目を変更できます。選択したファン端子について「〇〇ファン速度制御」の項目から、「通常」「静音」「フルスピード((定格)」の3つのプリセットに加えて、ユーザーが各自でファンカーブをカスタマイズできる「手動」の4種類を選択できます。
また選択しているファン端子の操作を行う温度ソースは「Fan Control Use Temperature input」から選択可能になっており、マザーボード備え付けの7つの温度センサーに加えて、増設可能な2つの温度センサーで計9個の温度センサーを温度ソースに指定できます。ただしCPUファンについてはCPU温度ソース固定となります。水温センサーを外部温度センサー端子に接続すれば水温ソースにしたラジエーターファンのファンコンにも対応可能なので水冷PC用のマザーボードとしても最適なファンコン機能です。
「〇〇ファン速度制御」の項目で「手動:を選択した場合はファンカーブのグラフにおいて、ファンストップ温度と、フルスピード温度に加えて、グラフ内で任意の4点についてファンカーブを設定できます。「Monitor」と「〇〇ファン速度制御」の項目間で上下カーソルキーを使うことで各ファンカーブ頂点を指定することができます。注目ポイントとしては「Shift」キーとカーソルキーの同時押しによってマウスレスでファンカーブの頂点を格子上で移動可能となっており、直打ち派の管理人も唸る非常に設定しやすいグラフィカルUIでした。
また「0」と書かれたファンカーブの頂点はファンストップ温度となっており、指定した温度ソースがファンストップ温度以下の場合、設定を行ったファン端子に接続されたファンを停止させる、所謂セミファンレス機能が使用できます。試しに止めてみました。
「Monitor」からは特定のファン端子を選択するので選択したファン端子1つだけについて設定を適用することも可能なのですが、設定の適用を行う「Apply to」のボタンをクリックするとマザーボードに設置されたファン端子が全て列挙され、ファン端子名の左にあるチェックボックスのチェックを入れるもしくは外すことで、現在設定を行っているファン端子と同じ設定を他のファン端子にも一斉に適用することが可能です。ファン設定の同期適用機能があるというのはユーザービリティーに優れ非常に好印象です。
その他にも急激な温度変化へファンコンが過敏に反応しないようファン速度変化に1~3秒の猶予を設ける「Temperature Interval」、ファン操作モードを「DC/PWM/自動検出」から設定する「〇〇ファン Control Mode」などのファンコン設定項目があります。ソース温度が一定以下の時にファンを停止させる「〇〇ファン Stop」機能も用意されており、ファン操作モードがPWMの場合でも手動設定時のセミファンレス機能を問題なく使用できました。(ASUSマザボではDCモードのみだった気がします。)
またマザーボードにブザーユニットが接続されている場合は、特定温度ソースが一定温度を超えた場合にエラーを知らせる「Temperature Warning」や接続されているファンに不具合が発生した(回転数の検出ができない)場合に警告を行う「〇〇ファン異常警告」といった設定も可能です。
欲を言えば数値直打ちのコンソール型UIもあると嬉しいとか個人的な要望はあるものの、マザーボードのファンコントロール機能としては同じく外部温度センサーソースに対応したASUSの「Q-Fan control」以上に多機能です。
「Smartファン5」はWindows OS上のインフォメーションソフト「System Information Viewer」に統合されており同アプリ上から、BIOSと同じくファンコントロールが可能です。(System Information Viewerの利用にはAPP Centerのインストールも必要になります。)
上で紹介したBIOS上のファンコントロール同様に、個別のファンについてファンカーブの設定、セミファンレス機能のON/OFF、ヒステリシス間隔の変更など詳細なファンコントロール設定が可能です。
上のメニューで左にあるケースアイコンをクリックするとPCケース内におけるファンの設置位置やファンコンのソース温度を設定するメニューが表示されます。
その他にも温度やファン回転数などのハードウェアモニタリングやモニタリング値によるアラーム機能、モニタリング値のログ機能なども用意されていました。
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIなどGIGABYTE製マザーボードに採用されるファンコントロール機能「Smartファン5」はおそらく一般ユーザーにとっては最も使いやすく機能の優れたファンコントロールだと思います。
イルミネーション操作機能「GIGABYTE RGB Fusion」について
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIにはマザーボード備え付けLEDイルミネーションや4PIN RGB LEDテープやアドレス指定LEDテープに対応したイルミネーション操作機能「GIGABYTE RGB Fusion」が用意されています。「GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI」は4基のDDR4メモリスロットの間に設置された3本列のLEDイルミネーションやPCI-Eスロット内蔵LEDイルミネーションなどマザーボード備え付けLEDイルミネーションが他社製品と比較しても非常に豊富な所が特徴的です。
リアI/Oパネルに搭載されたLEDイルミネーションはアドレス指定対応LEDになっており、専用アプリから個別設定を行うことでアドレッサブルな発光パターンが選択できます。
マザーボード右端にある「Accent LED」というLEDライトバーはデフォルトでは幾何学模様のアクリルプレートが装着されていますが、このアクリルプレートはユーザーで交換可能になっています。
4基のDDR4メモリスロットの間に3本列のLEDイルミネーションが設置されています。
PCI-EスロットにもLEDイルミネーションが搭載されています。
マザーボード上にはLEDイルミネーション同期調整機能「GIGABYTE RGB Fusion」による操作に対応した汎用ヘッダーとしてRGBW 5PIN LEDヘッダーがマザーボードの右上と左下に設置されています。付属の延長ケーブルを使用することで当サイトでもレビュー記事を公開している「SilverStone SST-LS02」や「SilverStone FG121 / FG141」など汎用LED機器が接続可能です。出力は最大24W(12V, 2A)まで対応しており、最長2mのLEDテープを延長接続可能です。また対応機器が今のところ不明ながらアドレス指定LEDテープに対応したDigital LEDヘッダーも2基設置されています。
GIGABYTEのLEDイルミネーション操作機能「RGB Fusion」はWindows OS上の同名アプリ「RGB Fusion」からライティングに関する各種設定が可能です。プリセットも豊富になり設定可能な範囲が広くなってRGB Fusionは使いやすくブラッシュアップされています。
ちなみにRGB Fusionの使用は統合ランチャーAPP Center経由の利用が推奨されていますが、サポートページからダウンロートすれば、RGB Fusion単独のインストールも可能になっており、インストールフォルダから実行ファイル「SelledV2.exe」を起動することで問題なく使用できました。
ウィンドウトップメニュータブの「Basic」を選択すると、LEDイルミネーション発光パターンとして「Static(固定発光)」「Pulse(ゆっくり明滅)」「Flash(点滅)」「Double Flash(2回点滅)」「Color Cycle(カラーサイクル)」「Random(ランダムに点滅)」「Wave」「Demo(Wave+Color Cycle)」の9つが選択可能です。「Static(固定発光)」「Pulse(ゆっくり明滅)」「Flash(点滅)」「Double Flash(2回点滅)」では右側に配置されている円形カラーパレットから自由に発光カラーを設定できます。
トップメニュータブの「Intelligent(各種ソースに同期)」ではCPU温度やCPU使用率などハードウェアモニタリングの数値に応じて発光カラーが変更する発光パターンです。状態に応じて3種類の発光カラーをアサインすることでLEDイルミネーションをインジケーターとして使用できます。
ウィンドウ左にあるアイコンの「Advanced」を選択するとより詳細なLEDイルミネーション設定が可能です。マザーボード上の備え付けのLEDイルミネーションもメモリスロットやPCI-Eスロットなど個別の場所ごとに発光カラーや発光パターンの設定が可能です。
また「Advanced」の「Peripheral Device LED」を選択するとグラフィックボードやDDR4メモリなどGIGABYTE RGB Fusionに対応する外部機器のLEDイルミネーションも一括で管理できます。当サイトでレビュー記事を公開している「GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Edition」や「Corsair VENGEANCE RGB DDR4メモリ」が対応機器となっています。
「GIGABYTE RGB Fusion」はデスクトップアプリだけでなくBIOS上のグラフィカルUIでLEDイルミネーションの調整を行えます。いちいち専用アプリをインストールするのが面倒なのでBIOSから設定できるのは非常に便利で。ただし残念ながらBIOSからは設定可能な発光パターンが少なく、マザーボード上の個別箇所設定が不可能など、デスクトップアプリと比べて設定内容が限定されています。
RGB Fusionの設定へアクセスするには「周辺機器(Peripherals)」タブメニューにある「RGB Fusion(誤訳?:アンビエントLED)」を選択します。
BIOSから設定可能な発光パターンは「Breathing(パルス発光モード)」「カラーサイクル(Color Cycle)」「固定(Static Mode)」「点滅(Flash Mode)」の4種類となっており、個別箇所ごとの設定などは不可能でした。
またPCと同じネットワーク上にあるスマートフォンからもLEDイルミネーションの設定が可能です。
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIのOC設定について
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIを使用した場合のオーバークロックの方法を紹介します。なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
第2世代Ryzen CPUについてはX470チップセット搭載マザーボードと組み合わせた場合に使用できる純正のOCツール「AMD Ryzen Masterユーティリティ」が用意されていますが、こちらの使い方については下の記事を参考にしてください。
・AMD Ryzen専用純正OCツール「AMD Ryzen Masterユーティリティ」の使い方
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIではオーバークロック関連の設定項目はトップメニュータブ「M.I.T.」の「高度な周波数設定」「高度なメモリ設定」「高度な電圧設定」に各種設定がまとめられています。ちなみに設定値を直接入力する項目でデフォルトの「Auto」に戻す場合は「a」キーを入力すればOKです。
CPUコアクロック(コア倍率)の変更について説明します。
コアクロックはコア数に対して各コアに最大動作クロック(BCLKに対する倍率)を指定できます。「コア0:コア1:コア2:コア3」を倍率として、例えば「45:43:43:42」のようにバラバラに指定した場合、4つのコアのうち1つに負荷が掛かる場合は4コアのうち1つが45倍動作、2つと3つの場合は43、4つの場合は42となります。
AMD Ryzen CPUについても定格では同様に、例えばRyzen 7 2700Xでは冷却性能依存の自動OC機能「XFR」の影響で若干前後しますが、単コア負荷の場合は4.3GHz、動画のエンコードなど全コア負荷の重いワークロードでは3.9GHz程度で動作します。
RyzenのCPUコアクロックに関して、BIOSから行う基本的なOC設定と専用ユーティリティー「Ryzen Master」によるOC設定は、単一の「P-State」で固定コアクロックかつ固定電圧を指定するOC設定になっていますが、Ryzen CPUでは本来、複数の「P-State」が設定可能です。
アイドル時のP-State0、低負荷時のP-State1、高負荷時のP-State2のように負荷に応じてP-State(コアクロックと電圧の組み合わせ)という状態を遷移できます。例えばRyzenの定格動作ではCPUごとにデフォルトで設定されたP-Stateに従って動作しているので可変コアクロックかつ可変電圧になっています。
固定最大コアクロック&固定電圧によるOCに比べて、複数のP-Stateを設定する方法は難易度が高いですが、一部のコアのみより高いクロックで動作させるなど細かい設定が可能になります。とはいえやはりマニュアルで複数のP-Stateを設定する方法は難易度が高い設定になるので、簡単な単一P-Stateで固定最大倍率&固定電圧のOCがおすすめです。
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIのコアクロックのOC設定方法はベースクロック(BCLK):100MHzに対する倍率指定となっており0.25倍単位でCPUコアクロックの倍率を設定できます。「CPU クロック倍率: 40.00」と設定することでデフォルトのベースクロック100MHzの40倍で4.0GHzで動作します。
「GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI」ではベースクロックの調整にも対応しており、CPUクロック倍率の上にある「CPUベースクロック」の項目で変更可能です。100~300MHzの範囲内で0.01MHz刻みで設定できます。
コアクロック倍率設定の下にある「高度なCPUコア設定」へアクセスすると追加でいくつか重要なCPU設定が可能になります。
「Down Core Control」の項目では動作させるコア数をプルダウンメニューから指定することができます。8コアCPUのRyzen 7を使用している場合は2コア([1+1]or[2+0])、3コア([3+0])、4コア([2+2]or[4+0])、6コア([3+3])が選択可能です。
AMD CPUのマルチスレッディング機能である「SMT:サイマルテイニアス マルチスレッディング(Simultaneous multithreading)」の有効・無効をBIOS上から設定可能です。
続いてコア電圧の調整を行います。
AMD Ryzen CPUのオーバークロックで変更する電圧設定については、CPUコアクロックに影響する「CPUコア電圧」と、メモリクロックやRyzen APUに搭載される統合GPUの動作周波数に影響すると「SOC電圧」の2種類のみと非常に簡単化されています。
AMD Ryzen CPUの手動OCに関連する電圧設定については基本項目が「CPU Core電圧」「VCORE SOC(CPU SOC電圧)」「DRAM電圧」の3項目のみと非常に簡単化されています。
CPUコアクロックのOCに関連する電圧のOC設定としては、GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIではCPUコア電圧(BIOS上ではCPU Core voltageもしくはCPU Vコアと表記されています)の項目を変更します。GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIではマニュアルの設定値を指定して入力する固定モードのみが使用できます。AMD Ryzen CPUのコア電圧は0.00625V刻みでコア電圧の設定が可能です。
CPUコア電圧モードについて簡単に説明すると、オフセットモードやアダプティブモードはCPU負荷に比例して電圧が設定されており、低負荷時は電圧が下がるので省電力に優れるのですが、OCをする場合はマザーボードによって挙動に差があり安定する設定を見極めるのが難しいので、個人的にはオフセットやアダプティブは定格向け、OCには固定値適用の固定モードを推奨しています。
仮にOCでオフセットやアダプティブを使う場合も最初はコアクロックに対して安定する電圧を見極める必要があるので、まずは固定モードを使用します。
ちなみにマザーボードにより対応しているモードは異なりますが、CPUのオーバークロックに付随するコア電圧のモードの概略図は次のようになっています。
またコアクロックを高く設定する時に追加で変更するといい電圧設定項目として、CPUコア電圧の設定欄の下にある「CPU VRINロードラインキャリブレーション」が挙げられます。この設定を変更することでCPU負荷時の電圧降下を補正してOCを安定させることが可能です。補正を強くするほどOCの安定性は増しますがCPUやVRM電源部分の発熱も大きくなるので、基本的には真ん中あたりから最初に使っておいて、ストレステストのCPU温度をチェックしながらモードを上げていくのがおすすめです。ただ「GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI」については補正が弱めなようなので、TurboかExtremeがおすすめです。
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIでは「CPU VRINロードラインキャリブレーション」の設定方法については、キーボードにテンキーがある場合は「+」「-」キーで設定内容を「Standard」~「Extreme」で変更できます。また数字キーの1~6が「Standard」「Low」「Medium」「High」「Turbo」「Extreme」に割り当てられており、その他の入力を行うと「Auto」に戻ります。
「Standard」の動作がよくわかりませんが、「Low」~「Extreme」は補正の強さをそのまま示しているので、High辺りから使っていけばいいと思います。
あとGIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIでは複数のP-State(Custom P-State)の個別設定も可能です。設定項目は若干わかりにくい場所にに配置されており、トップメニュータブの「周辺機器(Peripherals)」から「AMD CBS」、「Zen Common Options」「Custom Pstates / Throttling」と順番に下っていくことでアクセスできます。
Custom P-Stateでは「P-State X FID」「P-State X DID」「P-State X VID」の3種の設定値を各P-State Xに対して設定します。いずれの設定値も16進数(0~9、A~F)による設定で例えば、3a(16進数)=3*16+10=58(10進数)となります。
各P-State Xに対するコアクロックの設定は次のようになります。
コアクロック = BCLK(ベースクロック)*FID / DID * 2
つまり「FID / DID * 2」がコアクロックOC一般に言うコア倍率になります。例えば上のスクリーンショットでは「FID:88」「DID:8」なので10進数に戻してコア倍率を計算すると、34.00となりBCLK:100MHzに乗じて3400MHz動作となります。「Custom P-States X」の下にある「Frequency(MHz)」の横のテキストボックスにも3400と表示されています。似たようなコア倍率に対して「Core FID」と「Core DID」の組み合わせが複数存在する可能性がありますが、この組み合わせによるOC安定性に関する違いまではわからないので、そのあたりは各自で詰めてみてください。
各P-State Xに対するコア電圧は「P-State X VID」によって決まっており、同様に16進数による設定値入力で、0~FFの範囲内で設定可能です。「P-State X VID」の設定値に対してコア電圧は次のようになります。
コア電圧 = 1.55000V - 0.00625 * VID
例えばVID:3a(16進数)=58(10進数)の場合はコア電圧は1.18750Vとなります。
以上のような流れで最大コアクロックをP-State 0として順番に下がるように設定していきます。
メモリのオーバークロックについても簡単に紹介だけしておきます。
メモリの性能について簡単に言うと「動作クロックが高く」「タイミングが小さい」ほど性能は高くなります。そのためメモリOCを手動で行う手順を簡単にすると「電圧を上げて動作可能なクロックを探し」、「そのクロックにおいて正常に動作する最小のタイミングを探る」という2つの手順を繰り返すことになります。
メモリOCではPOSTすらクリアできずBIOSに到達できないことも少なくありませんが、「GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI」では正常にPOSTできないメモリOC設定でエラーが出た場合は数回再起動した後、自動で2133MHzのような緩い設定で起動してくれるのでメモリOCを安心して行えます。
メモリOCで有名なXMPプロファイルはIntelの策定した規格なのでAMD CPU&マザーボードの環境では厳密にいうと非対応ですが、GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIではXMPプロファイルの項目が表示されており、XMPプロファイルからRyzen環境で動作しそうな適当なOCプロファイルを自動生成して適用してくれます。
「エクストリーム・メモリ・プロファイル(XMP)」を選択して表示されるポップアップからプロファイルを選択すればOCプロファイルによるメモリのオーバークロックが可能です。
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIではメモリクロックの設定方法も少々独特で、1333MHz(13.33倍)から4200MHz(42.00倍)まで選択可能ですが、プルダウンメニューによる選択ではなく、メモリ周波数の直打ち(補正あり)か、テンキーの「+/-」キーによる設定値変更で選択する形式になっています。
メモリ周波数もBCLKに対する倍率で動作周波数が決まっているので、BCLKを標準値の100MHzから120MHzに上げると、40倍設定時の動作周波数は4000MHzから5040MHzに上がります。
メモリ設定の「DRAMタイミングモード」を「手動」に設定することでメモリタイミングの個別打ち込み設定も可能です。メモリタイミングを手動で設定する場合は基本的には「CAS Latency (tCL)」、「RAS to CAS Read (tRCDrd)」、「RAS to CAS Write (tRCDwr)」、「RAS Precharge (tRP)」、「RAS Active Time (tRAS)」の主要な5タイミングと、加えて各種タイミングの下の方に配置されている「Command Rate:1 or 2」の6つ以外はAutoのままでいいと思います。
メモリタイミングの下の方にある「ProcODT」という設定値がAutoのままではPOSTがクリアできなかったり、OS起動後に安定しない場合があります。そういった場合は「ProcODT」を43.6~68.6の間で固定して安定するものを探してみてください
メモリ周波数を3200MHz以上にOCして動作が安定しない場合はトップメニュータブの「周辺機器(Peripherals)」から「AMD CBS」、「UMC Common Options」、「DDR4 Common Options」、「DRAM Controller Configuration」と進んで表示される「GearDownMode」をEnabledに設定すると動作が安定するかもしれないので、Autoで上手くいかない場合は設定を変更してみてください。
DDR4メモリについては3000MHz以上にOCする場合はDRAM電圧を1.300~1.350Vに上げる必要があります。メモリをOCする場合は最初から1.350VにDRAM電圧を盛っておくのがおすすめです。
AMD Ryzen CPUでメモリの動作クロックをOCする場合はDRAM電圧だけでなく「CPU SOC電圧(VCORE SOC)」も1.100V程度に盛ってやると動作が安定しやすいようです。GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIではCPUコア電圧同様に0.00625mV刻みで値を設定できます。
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIのOC設定についてはベースクロックBCLKの変更もできるので高度なオーバークロックも可能なマザーボードです。設定項目も簡潔にまとまっていて使いやすいのですが、難点としては、テンキーの「+/-」キーで設定値の変更はできるものの、メモリ周波数やロードラインキャリブレーションの設定がプルダウンメニューでないところが非常に不便なのでこの点についてはアップデートで修正して欲しいです。
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIの動作検証・OC耐性
BIOS周りの管理人的に気になるところの紹介はこのあたりにしてGIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIを使用した検証機で具体的に動作検証とOC耐性をチェックしていきます。まずはBIOS上の起動設定をフルスクリーンロゴとファストブートを無効(BIOS設定)にしてOSの起動時間を測定しました。「GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI」の起動時間は19秒ほどとなりました。メインストリーム向けハイエンドマザーボードの起動時間としては良好な結果です。
続いてGIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIを使用した場合のCPUのオーバークロック耐性をチェックしてみました。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
Ryzen 7 2700XやメモリのOC設定は「CPUクロック倍率:42」「CPUコア電圧:1.350V固定」「CPU VRINロードラインキャリブレーション: Extreme」「メモリ周波数:3466MHz」「メモリ電圧:1.350V」「SOC電圧:1.100V」「メモリタイミング:16-16-16-16-36-CR1」としています。
上の設定を適用したところ問題なくOSを起動させることができました。
「GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI」の環境では、検証機材メモリに「G.Skill FLARE X F4-3200C14D-16GFX」を使用して手動オーバークロックすることによってメモリ周波数3466MHzにOCし、なおかつメモリタイミングを16-16-16-36-CR1に詰めることができました。なおメモリ周波数3600MHzについてはWindowsの起動までは問題ないもののF4-3200C14D-16GFXではタイミングを緩めてもMemtestをクリアすることができませんでした。
なお「GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI」と組み合わせて使用するメモリについて、メーカーで3200MHzが動作確認済みのOCメモリは容量単価で高価になっていますが、安価に済ませたいということであれば、PCショップアークから発売されている「ARD4-U16G48SB-26V-D Samsung Edition」がRyzen環境と相性の良いSamsung B-Die採用で、かつ高速な定格2666MHz対応メモリなのでお勧めです。このメモリでも手動OCによって3200MHz&CL16の安定動作が確認できています。
Ryzen 7 2700Xの4.2GHz、メモリ3466MHzでCinebenchも問題なくクリアできました。
続いてこのOC設定を使用してストレステストを実行しました。
検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はRyzen 7 2700Xの場合15分ほどなので同じ動画で2つ平行して2周させています。エンコード中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
ストレステスト中のCPU温度とCPU使用率のログは次のようになりました。マザーボードにGIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIを使用することでRyzen 7 2700Xを全コア同時4.2GHzにOCしてストレステストをクリアできました。CPUクーラーのファン回転数は1200RPMで固定しています。
スマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE Pro」(レビュー)を使用してGIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIのVRM電源温度をチェックしてみました。
Ryzen 7 2700Xやメモリを上記のBIOS設定でOCした時の負荷テスト中のVRM電源温度をチェックしていきます。ちなみにGIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI環境でRyzen 7 2700Xを4.2GHzまでOC、かつメモリも3466MHzにOCするとシステム全体(ほぼCPU)の消費電力が200W~250Wに達します。
Ryzen 7 2700Xを常用限界近くまでOCして負荷をかけていますが、簡易水冷CPUクーラーによるCPU冷却で、かつスポットクーラーよって風も当てないパッシブ冷却の状態でも、VRM電源温度は70度後半に収まりました。前世代X370チップセット搭載のGIGABUTE製マザーボードではRyzen 7 1800XをOCした時のVRM電源温度が100度達したので、それと比較するとVRM電源回路やVRM電源クーラーは飛躍的に改善されており、GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIであればRyzen 7 2700XをOCしてもパッシブ冷却で問題なさそうです。
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIのレビューまとめ
最後に「GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- ブラックメインにシルバーやオレンジがアクセントカラーになったクールなデザイン
- 重量級グラボにも耐える2大独自機能「Ultra Durable PCIe Armor」と「Double Locking Bracket」
- 外部ノイズから保護することで安定したメモリOCを実現する「Ultra Durable Memory Armor」
- GPUクーラーから転用した放熱設計「Fins-Array technology」採用VRM電源クーラー
- マザーボード一体型のプリマウントリアI/Oバックパネル
- 検証機ではRyzen 7 2700Xの全コア同時4.2GHz&メモリ3466MHz OCで正常動作
- Ryzen 7 2700X 4.2GHz OC時のパッシブ冷却でもVRM電源温度は70度後半
- 外部温度センサーに対応したファンコン「Smartfan 5」は多機能で使いやすい
- 高速NVMe接続のM.2スロットが2基設置(うち1基はPCI-E2.0x4帯域)
- M.2スロットの両方に独自のSSDヒートシンク「GIGABYTE M.2 Thermal Guard」を装備
- NVIDIA GTX 10XXシリーズのマルチGPU用の金属端子SLI HBブリッジが付属する
- フロントパネルコネクタのマザーボードへの装着を簡単にする独自パーツ「G-Connector」
- Wi-FiはIEEE802.11ac/n/a/g/b、Bluetoothはver5.0に対応した無線LAN搭載
- ハイエンドオーディオにも採用される「ESS SABRE DAC」搭載オンボードサウンド
- リアI/Oにスタート・CMOSクリアスイッチを実装
- 最上位モデルとしてはオンボードのスタート・リセット・CMOSクリアスイッチが欲しいところ
第2世代Ryzen CPUにネイティブ対応となるX470チップセット搭載AM4マザーボードとしてGIGABYTEからリリースされた、ゲーマー向けブランド”AORUS GAMING”の最上位モデル「GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI」は販売価格3.5万円とメインストリーム向け製品としては比較的高価なだけあって、各種機能が豊富に取り揃えられています。特にGIGABYTE社のファンコントロール機能「Smartfan 5」は外部センサーを含めた9個温度センサーをソースに8基のファンを自由自在にコントロールできるので、これを目当てにGIGABYTE製マザーボードを購入しても後悔のないほど非常に優れた機能でした。水冷ユーザーにもおすすめです。加えてメモリスロットやPCI-Eスロット、マザーボード右端に配置された「Accent LED」など他社製品よりも豪華に実装され、マザーボード全体を覆うLEDイルミネーションも魅力です。
BIOSデザインについては好みの問題かと思いますが、GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIではカーソルキー操作を基本としたクラシカルなUIが採用されており管理人的に好みでした。ただグラフィカルUI好きにとっては物足りないかもしれません。
翻訳は一部誤訳があるものの比較的まともですが、日本語フォントの調整が微妙なのが玉に瑕です。あとOC設定でLLCやメモリ周波数などプルダウン選択形式が推奨されそうな項目で直打ちor+/-テンキーで設定変更なところは改善して欲しいです。
GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFIを使用した検証機では第2世代Ryzen最上位のRyzen 7 2700Xの全コア4.2GHzに、メモリ周波数も3466MHzにオーバークロックすることができました。メモリについてはRyzen環境に最適化されたOCメモリの「G.Skill FLARE X F4-3200C14D-16GFX」だけでなく、Samsung B-Dieを採用するバルクメモリ「ARD4-U16G48SB-26V-D Samsung Edition」でも3200MHzの高速動作を実現できたので、少なくとも下調べをして適切なメモリを購入すれば3200MHz動作を狙うのも難しくないと思います。
また「GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI」にはベースクロックのチューニングIC「Turbo B-Clock」が搭載され、ベースクロックを0.01MHz刻みで制御可能なのでより高度なオーバークロックが可能になっておりゲーマーだけでなく、第2世代Ryzen環境で極限を目指すOCerにも満足のいく製品です。
VRM電源の冷却についても、同社のGPUクーラーで使用されている放熱用フィン設計「Fins-Array technology」を転用し、100枚以上のアルミニウムフィンを備えたVRM電源クーラーを搭載、さらに12フェーズに強化されたVRM電源回路の実装により、Ryzen 7 2700X 4.2GHz OC時のパッシブ冷却でもVRM電源温度は70度後半に収まるという非常に優秀な結果を出しました。今回のVRM電源クーラーの性能については、さすがGIGABYTEはGeFoece GTX 1080 TiやRadeon RX Vega 64などハイエンドGPUを搭載するグラフィックボードを多数輩出する大手グラフィックボードメーカーだと感心しました。
前世代X370チップセット搭載製品でRyzen 7 1800XをOCした時の温度が100度に達した過去があるので検証前は少し不安もあったのですが、「GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI」のVRM電源回路およびVRM電源クーラーは、そんな心配を払拭するには十分過ぎる飛躍的な進化を果たしています。
第2世代Ryzen 7の高速動作を支えるVRM電源回路とVRM電源クーラーが飛躍的進化を遂げ、隙がなくなった多機能ハイエンドなゲーマー向けX470マザーボード「GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI」は、Ryzen 7 2700Xと組むのにおすすめなマザーボードです。
以上、「GIGABYTE X470 AORUS GAMING 7 WIFI」のレビューでした。
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検証機材として使用している以下のパーツもおすすめです。G.Skill F4-3200C14D-16GFX DDR4-3200 CL14 8GB×2 AMD Ryzen用メモリ
G.Skill
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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