MSI X470 GAMING PRO CARBON


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第2世代Ryzen CPUにネイティブ対応となるX470チップセット搭載AM4マザーボードとしてMSIからリリースされたゲーミングモデル「MSI X470 GAMING PRO CARBON」のレビュー用サンプルをメーカーよりご提供いただけたのでレビューしていきます。万人受けするCARBONシリーズのデザインはそのままに高OC耐性と基本機能を詰め込んだミドルハイクラスのゲーマー向けX470マザーボードです。MSI X470 GAMING PRO CARBON review_05492

製品公式ページ:https://jp.msi.com/Motherboard/X470-GAMING-PRO-CARBON
マニュアル:http://download.msi.com/archive/mnu_exe/E7B78v1.0.zip
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【注意事項】
検証中のトラブルなども記事内で記載していますが、第2世代Ryzen CPU自体が発売されたばかりなので、OSの問題なのか、マザボBIOSの問題なのか原因の切り分けが現状でできないものも少なくありません。今後ドライバやBIOSなどソフトウェアの更新でパフォーマンスや安定性が向上することは期待できると思うので、その辺りも念頭に置いて読んでもらえるとありがたいです。
同検証は18年5月上旬に行っておりMSI X470 GAMING PRO CARBONのBIOSは
200(サポートページでは7B78v20と表記)を使用しています。最新BIOSでは修正されている不具合や追加されている機能もあると思うので、最新BIOSのリリースについては公式ページを各自でチェックしてください。
サポート:https://jp.msi.com/Motherboard/support/X470-GAMING-PRO-CARBON#down-bios

【18年5月11日:初稿】
レビュー記事初稿を公開、BIOS:200(サポートページでは7B78v20と表記)で検証



MSI X470 GAMING PRO CARBON レビュー目次


1.MSI X470 GAMING PRO CARBONの外観・付属品
2.MSI X470 GAMING PRO CARBONの基板上コンポーネント詳細

3.MSI X470 GAMING PRO CARBONへのパーツ組み込み(ギャラリー)
4.MSI X470 GAMING PRO CARBONの検証機材のセットアップ
5.MSI X470 GAMING PRO CARBONのBIOSについて
6.イルミネーション操作機能「MSI Mystic Light」について
7.
MSI X470 GAMING PRO CARBONのOC設定について
8.MSI X470 GAMING PRO CARBONの動作検証・OC耐性
9.MSI X470 GAMING PRO CARBONのレビューまとめ



MSI X470 GAMING PRO CARBONの外観・付属品

まず最初にMSI X470 GAMING PRO CARBONの外観と付属品をチェックしていきます。
パッケージを開くと上段にはマザーボード本体が静電防止ビニールに入った状態で収められていました。マザーボードを取り出すと2重底になっており下段には各種付属品が入っています。
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付属品一覧は次のようになっています。
マニュアルやドライバCDなど必要なものが一通り揃っています。ドライバ類についてはそろそろUSBメモリに移行して欲しいところ。
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付属の多言語マニュアルには日本語のページもありますが50ページほどで内容は多くありません。詳細について知りたい場合は公式ページでPDFファイルとして公開されている英語のマニュアルを見てください。
マニュアル:http://download.msi.com/archive/mnu_exe/E7B78v1.0.zip

内容品はSATAケーブル2本、SLI HBブリッジ、リアI/Oパネル、汎用4PIN LED用Y字分岐延長ケーブル、アドレッサブルLEDテープ接続用変換ケーブル、Corsair製LED機器接続ケーブル、M.2 SSD用ネジです。
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リアI/Oシールドは表面はマットなブラックのカラーリングになっています。ただCARBONシリーズなのにリアI/Oパネルがカーボン調イラストではなくアクセントカラーがレッドなのは気になるところ。また裏面のマザーボードと接する部分はスポンジが入っていました。
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「MSI X470 GAMING PRO CARBON」にはNVIDIA製GPU搭載グラフィックボードでマルチGPUを構築するためのSLIブリッジとしてGTX 10XXシリーズの広帯域SLI接続に対応した1スロットスペース型のSLI HBブリッジが付属しています。
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同社から発売されている「MSI SLI HB BRIDGE 3SLOT」がマザーボードのデザインと非常にマッチするのでおすすめです。ただし赤色。
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MSI X470 GAMING PRO CARBONにはRGB LED対応汎用4PINヘッダーは基板上に実装されており、付属のケーブルが2分岐ケーブルなので1つのLEDヘッダーに2つのLEDイルミネーション機器を接続可能です。
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MSI X470 GAMING PRO CARBONにはアドレッサブルLEDテープに対応したVD-G型のアドレッサブルLEDヘッダーが実装されており、独自3PINコネクタに変換するケーブルが付属します。
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MSI X470 GAMING PRO CARBONにはPCパーツメーカーCorsair社からリリースされているLEDイルミネーション搭載冷却ファンやLEDテープが接続できるLEDヘッダーが実装されており、それに対応した延長ケーブルも付属します。
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マザーボード全体像は次のようになっています。
MSI X470 GAMING PRO CARBONはATXフォームファクタのマザーボードです。今でこそ定番感のあるデザインですが、CARBONシリーズ登場当時は斬新だった、ゲーミングマザーボードながら赤色を廃して黒一色のカラーリングです。
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マザーボード右下のチップセット用ヒートシンクについては素材はマットなブラック塗装の金属で、右半分には製品名の通りメタリックなカーボンパターンが描かれ、MSIのブランドネームが刻印されています。
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リアI/Oカバーはブラックの枠とシルバーのラインで中央に布のような質感のカーボン調パターンプレートになっておりマザーボード全体として統一感のあるデザインです。これまでMSI Carbonシリーズはメタリック?なカーボンパターンでしたが、MSI X470 GAMING PRO CARBONでは艶のあるグロッシーな表面になっているとことが特徴的です。VRM電源ヒートシンクは背が高く放熱フィンが備わった大型のヒートシンクになっています。
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MSI X470 GAMING PRO CARBONには13フェーズのVRM電源が実装されています。低温で稼働し高い電力効率と安定性を実現する「DARK CHOKE」、低ESR(等価直列抵抗)と長寿命な日本製キャパシタなど高品質コンポーネントによって構成されています。
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前世代のMSI製X370マザーボードではCPUへの電力供給を行うEPS端子は8PIN*1のみが実装されていましたが、第1世代Ryzenの最上位モデルRyzen 7 1800Xを超えるTDP105WのRyzen 7 2700Xのオーバークロックにも対応すべく、「MSI X470 GAMING PRO CARBON」ではEPS端子は8PIN*2に増強されています。700W以下のメインストリーム電源ユニットではEPS端子が1つしかないものもあるので組み合わせて使用する電源ユニットには注意が必要です。
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リアI/Oには最新のUSB3.1 Gen2規格に対応したUSB端子としてLAN端子の下にType-AとType-Cの2端子が設置されています。そのほかのUSB端子については2基のUSB2.0端子と4基のUSB3.0端子が搭載されています。マウス・キーボードなどの周辺機器を多数繋いでいても、HTC ViveやOculus Rift CV1のようなVR HMDに十分対応可能です。ただUSB3.0/3.1は無線マウスと電波干渉を起こすことがあるのでUSB2.0が少し離れた場所に配置されている配慮が嬉しいです。加えてゲーマーには嬉しいPS/2端子も搭載されています。
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有線LANには低CPU負荷、高スループットで定評のあるIntel純正のLANコントローラーが採用されています。統合GPUにVegaグラフィックスを搭載するRyzen APU向けビデオ出力としてDisplayPort1.2とHDMI1.4が実装されています。HDMIはver1.4なので4K解像度は30FPSまでとなり、60FPS出力には非対応です。

重量計を使用して重さを測定してみたところ、同じくATXマザーボードのMSI X370 GAMING PRO CARBONは896g、MSI MSI X470 GAMING PRO CARBONは1266gに対して、MSI X470 GAMING PRO CARBONは1023gでした。前世代と比較するとVRM電源ヒートシンクが大型化しているので重量も大きくなっているようです。
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MSI X470 GAMING PRO CARBONの基板上コンポーネント詳細

続いて「MSI X470 GAMING PRO CARBON」のマザーボード基板上の各種コンポーネントをチェックしていきます。
システムメモリ用のDDR4メモリスロットはCPUソケット右側に4基のスロットが設置されています。
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固定時のツメは両側ラッチとなっています。片側ラッチよりも固定が少し面倒ですが、しっかりとDDR4メモリを固定できるので信頼性は高い構造です。
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DDR4メモリスロットには外部ノイズEMIから保護するための金属シールド「DDR4 Steel Armor」が実装されており、DDR4 BOOSTというMSI独自の基板配線の最適化技術と組み合わせて、より安定したメモリのオーバークロック環境を実現しています。
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MSI X470 GAMING PRO CARBONではA1、A2、B1、B2と配置されているDDR4メモリスロットのうち、A2とB2から埋めるようにと指示があるので注意してください。Ryzen対応のAM4マザーボードでは信号反射などの影響からこのようなメモリスロットの埋め方がMSI製品で推奨されているようです。
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グラフィックボードなどを設置するPCI-Eスロットは上から[N/A、x16、N/A、x1、x16、x1、x16]サイズのスロットが設置されています。上段のプライマリグラフィックボードを2段目のスロットに配置することで、大型ハイエンド空冷CPUクーラーとグラフィックボードの干渉を回避しています。最下段のx16サイズスロットの帯域はPCI-E2.0x4となっており、下側のM.2スロットと排他利用になります。x1サイズスロットの帯域はいずれもPCI-E2.0x1です。
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グラフィックボード向けのx16スロットは2段目、5段目に配置されており、現在主流な2スロット占有グラフィックボードを使用しても下位グラフィックボードが上位グラフィックボードのエアフローを妨げないよう配慮されています。付属もしくは別売りの1スロットスペース型SLI HBブリッジを使用すれば、NVIDIAの最新GPUであるGTX 1080 Ti、GTX 1080、GTX 1070を使用したマルチGPU SLI環境を構築可能です。
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MSI X470 GAMING PRO CARBONにも最近のトレンドとして2段目と5段目のx16サイズスロットには1Kgを超える重量級グラボの重さに耐えるように補強用メタルアーマー搭載スロット「MSI PCI Express Steel Armor slots」が採用されています。半田付けによる固定を強化したことで従来よりも4倍も頑丈になっており、PCI-Eスロットをシールドで覆うことによって外部ノイズEMIから保護する役割も果たします。
MSI PCI-E Steel Armor

SATAストレージ用の端子はマザーボード右下に8基搭載されています。SATA_1~8はいずれもAMD X470チップセットのコントローラーによる接続で、RAID0/1/10のハードウェアRAID構築にも対応しています。SATA_3ポートは下段のM.2スロットにSATA接続M.2 SSDを接続した場合は排他利用になります。
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高速NVMe接続規格に対応したM.2スロットはチップセット左に2基設置されています。赤色のM.2スロットはNVMe接続のM.2 SSDのみ、緑色のM.2スロットはNVMe接続とSATA接続の両方のM.2 SSDに対応しています。ただしNVMe接続については赤色のM.2スロットの帯域がPCIE3.0x4に対して、緑色のM.2スロットの帯域はPCIE2.0x4なので緑色のM.2スロットでは最新のNVMe M.2 SSDを接続しても3GB/sを超える連続リード等の高速動作では仕様値の半分の性能しか発揮できない場合があります。また緑色のM.2スロットにNVMe M.2 SSDを接続した場合は最下段のx16サイズPCI-Eスロットと排他利用、SATA接続M.2 SSDを接続した場合はSATA_3ポートと排他利用になります。
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3基のM.2スロットにはMSI独自のSSDヒートシンク「M.2 Shield」が設置されており、同ヒートシンクを使用することで、グラフィックボードなど発熱から保護し、M.2 SSDがむき出しの状態よりもサーマルスロットリングの発生を遅くする効果が見込まれます。
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マザーボード右端中央と右下には内部USB3.0ヘッダーが2基設置されています。2基の内部USB3.0ヘッダーのうちマザーボード右端中央の端子はマザーボード基板と平行に実装されています。
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USB2.0の内部ヘッダーも2基ずつマザーボード下に設置されています。CorsairLinkやNZXT CAM対応製品など内部USB2.0を使用する機器も増えていますが、MSI X470 GAMING PRO CARBONであればそれらの機器も問題なく使用可能です。
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1ゲーミングマザーボードということでMSI独自の高音質オンボードサウンド機能を従来機種よりもさらに強化した「AUDIO BOOST 4」も採用されています。日本ケミコン製のオーディオコンデンサを採用し、オーディオパートはマザーボードから物理的に分離され、左右のオーディオチャンネルがレイヤー分けされることでクリアな音質を実現します。インピーダンス最大600オームまで対応可能な高出力DACで高音質ヘッドホンも使用可能です。FPSゲームなどで足音や銃声をゲーム内にOSD表示で可視化する「NAHIMIC Sound Technology」も使用できます。
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ケーブルが長くならざるを得ないVR HMDの接続ケーブルではパフォーマンスに大きな影響を与える信号損失が発生しやすいため、MSIではUSBリピーターチップ「VR BOOST」によって信号強度を高めてVR機器に最適化したUSBポートが設置されています。またリアI/OにはCMOSクリアのハードウェアスイッチも設置されているのでオーバークロック設定を失敗しても簡単に初期化が可能です。
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冷却ファンを接続するためのコネクタについてはPWM対応4PINファンコネクタとしてCPUファン端子水冷ポンプ対応端子ケースファン端子4基の計6基が搭載されています。これだけあれば360サイズなどの大型ラジエーターを複数基積んだハイエンド水冷構成を組んでもマザーボードのファン端子だけで余裕で運用可能です。水冷ポンプ対応の「PUMP_FAN1」端子は最大24W(12V、2A)の出力にも対応しているので本格水冷向けのD5やDDCポンプの電源としても変換ケーブルを噛ませることで使用できます。
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MSIのファンコントロール機能にはソース温度の乱高下を無視してスムーズなファン回転数変化を実現するヒステリシス機能も備わっています。
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MSI X470 GAMING PRO CARBONへのパーツ組み込み

MSI X470 GAMING PRO CARBONにDDR4メモリとCPUクーラーを設置してみました。内容的には写真のギャラリーだけになっています。
DDR4メモリには「G.Skill FLARE X F4-3200C14D-16GFX」(レビュー)、CPUクーラーには「Corsair H150i PRO RGB」(レビュー)を使用しています。
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MSI X470 GAMING PRO CARBONの検証機材セットアップ

MSI X470 GAMING PRO CARBONを使用して検証機材と組み合わせてベンチ機を構築しました。MSI X470 GAMING PRO CARBON以外の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成
CPU AMD Ryzen 7 2700X
レビュー
CPUクーラー Corsair H150i PRO RGB
レビュー
メインメモリ G.Skill FLARE X
F4-3200C14D-16GFX
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー

ARD4-U16G48SB-26V-D
Samsung Edition
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー
CPUベンチ用
ビデオカード
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
ファンレス (レビュー
システムストレージ
WD Blue 3D NAND SATA SSD 500GB
レビュー
OS Windows10 Home 64bit
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー

レビュー後半の動作検証ではRyzen 7 2700Xを使用したOC検証も行いますが、CPUクーラーには2018年1月に発売されたばかりの新製品でCorsair製簡易水冷CPUクーラーの最上位モデルとなる360サイズラジエーター搭載の簡易水冷CPUクーラー「Corsair H150i PRO RGB」を使用しています。
マザーボード備え付けの固定器具にCPUクーラーリテンションブラケットのフックをひっかけてハンドスクリューで締めるだけなので設置が非常にお手軽です。
Corsair H150i PRO RGB_1Corsair H150i PRO RGB_2
360サイズラジエーター搭載の「Corsair H150i PRO RGB」と280サイズラジエーター搭載の「Corsair H115i PRO RGB」はいずれも冷却性能が高く、LEDイルミネーションやファン制御などの操作性・カスタマイズ性にも優れているので第2世代Ryzen CPUとの組み合わせにはおすすめなCPUクーラーです。
「Corsair H150i PRO RGB」&「Corsair H150i PRO RGB」をレビュー
Corsair H150i_H115i PRO RGB

システムメモリにはRyzen環境におけるハイパフォーマンスなOCメモリとして昨年より定評のある「G.Skill FLARE X F4-3200C14D-16GFX」を使用しています。メモリ周波数3200MHz、メモリタイミング14-14-14-34-CR1の高速・低遅延な動作がOCプロファイルを使用したオーバークロックで簡単に実現でき、第2世代Ryzen環境ならさらに伸びしろもあるので、第2世代Ryzen環境向けにおすすめのDDR4メモリです。
3200MHzのRyzen用OCメモリ「G.Skill F4-3200C14D-16GFX」をレビュー
G.Skill FLARE X F4-3200C14D-16GFX

CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
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グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
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以上で検証機材のセットアップが完了となります。
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MSI X470 GAMING PRO CARBONのBIOSについて

MSI X470 GAMING PRO CARBONを使用した検証機の構築も完了したので動作検証とOC耐性のチェックの前にBIOSの紹介をします。
(OSから日付調整する前にスクショを取っている場合、日付がおかしいですが無視してください。また内容的に差異のないものは過去の同社製マザーボードのBIOSスクリーンショットを流用しています。)


BIOSに最初にアクセスするとイージーモードというグラフィカルな画面が表示されます。パッと見の見栄えは良いのですが詳細モードでないと詳細設定ができないので「F7」キーを押してサクッと詳細モード移るのがおすすめです。右上には表示言語変更のプルダウンメニューがあります。MSIマザーボードはASUSの次くらいにしっかりとローカライズされているので日本語UIも使いやすいと思います。
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MSIのBIOS詳細モードでは「SETTING」「OC」「M-FLASH」「OC PROFILE」「HARDWARE」「BOARD EXPLORER」の6つのアイコンを選択することで中央のイラスト部分や画面全体に詳細設定項目が表示されるという構造になっています。キーボード操作も可能ですがマウス操作を重視したUIです。
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MSI X470 GAMING PRO CARBONのBIOSにおいて設定の保存とBIOSからの退出は「SETTING」アイコンの「保存して終了」の項目内に存在します。ASUS、ASRock、GIGABYTEなどと違ってカーソルキーのみの移動で設定保存と退出関連の項目にサクッと移動できないのが少し不便に感じます。起動デバイスを指定して再起動をかける「Boot Override」機能があるのは使い勝手が良くて好印象です。
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今回の個体については初期のBIOSバージョンは「2.00」で、公式ページでこれより公開されている最新BIOSのバージョンも「2.00」でした。
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BIOSのアップデート方法は、まず下から最新のBIOSファイルをダウンロード、解凍してUSBメモリのルートに解凍フォルダを置きます。
サポート:https://jp.msi.com/Motherboard/support/X470-GAMING-PRO-CARBON#down-bios

USBメモリを挿入したままBIOSを起動し、詳細モード左下の「M-FLASH」を選択します。「M-FLASH」モードはBIOSとは完全に別で用意されており再起動するか尋ねられるので再起動します。ただし手動でOCを行っている場合は「M-FLASH」を選択しても一度設定をデフォルトに戻して再起動がかかるので、再度BIOSに入って「M-FLASH」を選択する必要があるようです。
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再起動して「M-FLASH」に入ったら下のようにUSBメモリ内のBIOSファイルを選択してアップデートを実行すればBIOSのアップデートが完了します。なおBIOSアップデート後は自動でBIOSへ入らないので注意してください。アップデート後はOC設定なども初期化されてしまうので初回は自動でBIOSに入って欲しいです。
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BIOSのアップデートまでの手順を動画で撮影しました。



ブートとOSインストール周りについて紹介します。
MSI X470 GAMING PRO CARBONのブートデバイス関連の設定は「SETTING」アイコンの「ブート」という項目にまとめられています。
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「Boot mode select」はデフォルトでは「UEFI&Legacy」になっていますが、Windows10ユーザーは基本的にUEFIしか使用しないのでUEFIに固定してしまうのがおすすめです。
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起動デバイスの優先順位は「FIXED BPPT ORDER Priorities」という項目で、ハードディスクやDVDドライブなど大別した優先順位が設定可能となっており、その下にある「〇〇 Drive BBS Priorities」で同じ種類のデバイスについて個別の起動優先順位の設定を行えます。
一般的にはWindows OSの入った「UEFI:HardDisk:Windows Boot Manager(〇〇)」を最上位に設定して、その他の起動デバイスは無効化しておけばOKです。
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Windows 10 OSのインストール手順(BIOSにおける設定)についても簡単に紹介しておきます。
Windows 10のOSインストールメディア(USBメモリ)については「FIXED BPPT ORDER Priorities」では「UEFI USB Key:UEFI: 〇〇」という名前になります。「UEFI USB Key:UEFI: 〇〇」を起動優先順位の最上位に設定してください。ちなみにWindows10の製品パッケージに付属するUSBメモリではUEFIで認識できないトラブルが発生することがあるようなのでそういうときはこちらの記事に従ってMS公式ツールを使用して適当なUSBメモリでOSインストールメディアを作成すると上手くいきます。
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起動優先順位でインストールメディアを最上位に設定したら設定を変更してBIOSから退出します。ただMSI X470 GAMING PRO CARBONはブートデバイスを指定できるBoot Overrideを使用できるので直接OSインストールメディアを起動デバイスとして指定して再起動してもOKです。
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BIOSのアップデートやWindows OSのインストール方法を紹介したところで、MSI X470 GAMING PRO CARBONのBIOS機能で管理人が気になったものをいくつかチェックしていきます。

MSI X470 GAMING PRO CARBONのファンコントロールや各種コンポーネント温度のハードウェアモニタリングはトップメニューの「HARDWARE」アイコンからアクセスできます。
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「MSI X470 GAMING PRO CARBON」のファンコン機能は下のスクリーンショットのようにグラフィカルUIによる設定のみで他社製品のようなコンソールで値を打ち込むようなメニューは存在しません。またファンコンカーブの設定にはマウス操作が必須です。
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MSI X470 GAMING PRO CARBONではモニタリング可能な温度として「CPU」「System」「MOS(VRM電源)」「PCH(チップセット)」の4つがあります。しかしながらMSI X470 GAMING PRO CARBONではファンコントロールのソース温度はCPU温度に固定されておりその他の温度をソースにしたファン制御には非対応でした。ファン設定についてはファンカーブ以外に、PWM/DC制御の選択とヒステリシス設定が可能です。
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MSI製マザーボードのファンコントロール機能はグラフィカルUIでわかりやすく設定できるよ、という機能になっています。直感的にわかりますし直打ちが苦手な人にはありがたい機能だと思います。ただ個人的にはコンソール直打ちが好きなので管理人がMSIマザボを敬遠してしまう理由の1つです。

あと細かいところですがBIOS内のスクリーンショットをF12キーで撮影できますがスクリーンショットファイルの名前がタイムスタンプではなく保存するUSBメモリのルートに存在するファイルで重複しない連番なのが少し使い難かったです。間違って上書き保存してしまうことがあるのでタイムスタンプにして欲しいです。



イルミネーション操作機能「MSI Mystic Light」について

MSI製のマザーボードにもマザーボード備え付けのLEDイルミネーションやRGB対応汎用4PINイルミネーション機器に対応したイルミネーション操作機能「MSI Mystic Light」が用意されています。
MSI X470 GAMING PRO CARBONではマザーボードのカラーリングを黒一色にする代わりに「MSI Mystic Light」というLEDイルミネーション操作機能で色鮮やかにライトアップするコンセプトになっています。
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MSI X470 GAMING PRO CARBONでは大きく分けて、リアI/Oカバー、チップセットクーラー(2アドレス)、マザーボード右上裏(4アドレス)の3か所にLEDイルミネーションが実装されています。
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MSIのイルミネーション操作機能「MSI Mystic light」による操作に対応した汎用4PIN LEDヘッダーがマザーボードの左下と左上(EPS端子のすぐ下)に設置されています。当サイトでもレビュー記事を掲載しているLEDテープ「SilverStone SST-LS02」やLEDファングリル「SilverStone FG121 / FG141」などが接続可能です。
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またアドレッサブルLEDテープに対応したVD-G型3PINヘッダーも実装されています。使用可能なアドレッサブルLEDテープとしては国内で発売済みの「BitFenix Alchemy 3.0 Addressable RGB LED Strip」が動作することが確認できています。アドレッサブルLEDテープを接続すると個別発光パターン設定から「Color Ring」「Planetary」「Double Meteor」「Energy」「Adagio」などのアドレッサブルな発光パターンが選択できます。
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またCorsair製のLEDイルミネーション機器が接続可能な独自規格の3PINヘッダーもマザーボード右上には実装されており、「Corsair RGB Fan」や「Corsair Lighting PRO LEDストリップ」を接続して、MSI Mystic Lightでライティング制御が行えます。
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MSI Mystic Lightに対応する機器についてはMSIの公式ページで一覧が公開されています。
MSI Mystic Light対応機器:https://jp.msi.com/Landing/mystic-light-motherboard#mystic
MSI Mystic Light_goods
当サイトでレビュー記事を公開中のCorsair製DDR4 OCメモリ「Corsair VENGEANCE RGB」もMSI Mystic Lightによるイルミネーション同期設定にも対応しています。
「Corsair VENGEANCE RGB」DDR4 OCメモリをレビュー
Corsair VENGEANCE RGB

イルミネーション操作機能「MSI Mystic Light」は単独のアプリケーションとして配布されており、公式ページからダウンロードして起動すると次のようなウィンドウが表示されます。
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「MSI Mystic Light」のトップメニューでは緑線で囲った部分をプルダウンメニューから「All Sync」に設定するとマザーボードだけでなく、その他にも接続されているMSI Mystic Light対応機器の同期設定が行えます。青で囲った部分から発光カラーやパターンを設定でき、下にある7つの菱形をクリックすると左下のカラーパレットが表示され、クリックした菱形に対してパレットからカラーを選択して保存しておけます。
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マザーボードやMSI Mystic Light対応機器へ個別に設定を行う場合は、同期設定に関するプルダウンメニューから個別設定の「Individual」を選択し、その下にあるDevice Settingにマザーボードアイコンが表示されている状態で「Setting」のボタンをクリックします。
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上の手順でマザーボード上のLEDイルミネーションに対する個別設定ウィンドウが表示されます。
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マザーボードのプレビューイメージの左上にある「Sync ALL」のチェックボックスをチェックするとマザーボード上のLEDイルミネーションの同期設定を行えます。マザーボード備え付けLEDイルミネーションに対して個別に発光カラーを設定する場合は「Sync ALL」のチェックを外して、「LED AREA」のプルダウンメニューから設定したい箇所を選択します。
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ウィンドウ下側にあるプルダウンメニューから発光パターンが設定できます。発光カラーについてもカラーパレットやプリセットカラーは上で紹介した同期設定と同様に設定を行えます。
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下のようにマザーボード備え付けのLEDイルミネーションや汎用ヘッダーに接続可能なLED機器はMSI Mystic Lightから個別に発光カラー・パターンの制御が可能です。
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MSI X470 GAMING PRO CARBONのOC設定について

MSI X470 GAMING PRO CARBONを使用した場合のオーバークロックの方法を紹介します。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。

第2世代Ryzen CPUについてはX470チップセット搭載マザーボードと組み合わせた場合に使用できる純正のOCツール「AMD Ryzen Masterユーティリティ」が用意されていますが、こちらの使い方については下の記事を参考にしてください。
AMD Ryzen専用純正OCツール「AMD Ryzen Masterユーティリティ」の使い方
AMD Ryzen Masterユーティリティ

MSI X470 GAMING PRO CARBONではオーバークロック関連の設定項目はトップメニューの「OC」アイコンに各種設定がまとめられています。下にスクロールしていくと概ね「コアクロック→メモリ→電圧」の順番で並んでいます。設定値を直接入力する項目でデフォルトの「Auto」に戻す場合は「a」キーを入力すればOKです。
MSI X470 GAMING PRO CARBON_BIOS_OC_1
OCメニューのトップには「OC Explore Mode」という項目があり一般的なOC設定の可能な「Normal」に加えて、一部の高度なOC設定項目を解除できる「Expert」モードがあります。基本的なOC設定は「Normal」モードでも十分行えるので初心者は無理せず「Normal」モード推奨です。
MSI X470 GAMING PRO CARBON_BIOS_OC_2


CPUコアクロック(コア倍率)の変更について説明します。
コアクロックはコア数に対して各コアに最大動作クロック(BCLKに対する倍率)を指定できます。「コア0:コア1:コア2:コア3」を倍率として、例えば「45:43:43:42」のようにバラバラに指定した場合、4つのコアのうち1つに負荷が掛かる場合は4コアのうち1つが45倍動作、2つと3つの場合は43、4つの場合は42となります。そしてベースクロック(BCLK)は通常100MHzなので動作倍率40倍であればコアクロックは4.0GHzとなります。

AMD Ryzen CPUについても定格では同様に、例えばRyzen 7 2700Xでは冷却性能依存の自動OC機能「XFR」の影響で若干前後しますが、単コア負荷の場合は4.3GHz、動画のエンコードなど全コア負荷の重いワークロードでは3.9GHz程度で動作します。

RyzenのCPUコアクロックに関して、BIOSから行う基本的なOC設定と専用ユーティリティー「Ryzen Master」によるOC設定は、単一の「P-State」で固定コアクロックかつ固定電圧を指定するOC設定になっていますが、Ryzen CPUでは本来、複数の「P-State」が設定可能です。
アイドル時のP-State0、低負荷時のP-State1、高負荷時のP-State2のように負荷に応じてP-State(コアクロックと電圧の組み合わせ)という状態を遷移できます。例えばRyzenの定格動作ではCPUごとにデフォルトで設定されたP-Stateに従って動作しているので可変コアクロックかつ可変電圧になっています。
固定最大コアクロック&固定電圧によるOCに比べて、複数のP-Stateを設定する方法は難易度が高いですが、一部のコアのみより高いクロックで動作させるなど細かい設定が可能になります。とはいえやはり複数のP-Stateを設定する方法は難易度が高い設定になるので、簡単な単一P-Stateで固定最大倍率&固定電圧のOCがおすすめです。
Ryzen P-State_1


MSI X470 GAMING PRO CARBONのコアクロックのOC設定方法はコアクロック(MHz)の動作倍率を指定する形になっていました。「CPU Ratio」の項目を「40.25」と設定するとベースクロック(BCLK):100MHzに対して4025MHzで動作するように設定されます。動作倍率は0.25刻みで指定可能です。
MSI X470 GAMING PRO CARBON_BIOS_OC_3
MSI X470 GAMING PRO CARBONはベースクロックの変更には対応していません。

AMD CPUのマルチスレッディング機能である「SMT: サイマルテイニアス マルチスレッディング(Simultaneous multithreading)」の有効・無効をBIOS上から設定可能です。設定箇所はOCトップメニューの最下にある「CPUの機能」という項目の下位に置かれています。
MSI X470 GAMING PRO CARBON_BIOS_OC_4
またRyzen CPUをOCする場合はコアクロックを最大値で安定させるため「Core Performance Boost」と「Cool'n'Quiet」を無効化した方がいいようです。
MSI X470 GAMING PRO CARBON_BIOS_OC_5aMSI X470 GAMING PRO CARBON_BIOS_OC_5b


続いてコア電圧の調整を行います。
AMD Ryzen CPUのオーバークロックで変更する電圧設定については、CPUコアクロックに影響する「CPUコア電圧」と、メモリクロックやRyzen APUに搭載される統合GPUの動作周波数に影響すると「SOC電圧」の2種類のみと非常に簡単化されています。
Ryzen OC Voltage
MSI X470 GAMING PRO CARBONではOCの項目で下にスクロールしていくと、各種電圧設定項目が表示されますが、AMD Ryzen CPUの手動OCに関連する電圧設定については基本的に「CPU Core電圧」「CPU SOC電圧」「DRAM電圧」の3項目のみに注目すればOKです。
MSI X470 GAMING PRO CARBON_BIOS_OC_6
CPUコアクロックのOCに関連する電圧設定としては、MSI X470 GAMING PRO CARBONではCPUコア電圧(BIOS上ではCPU Core voltageと表記されています)の項目を変更します。
MSI X470 GAMING PRO CARBONではマニュアルの設定値を指定して入力する固定モードのみが使用できます。CPUコア電圧は0.0125V刻みでコア電圧の設定が可能です。
MSI X470 GAMING PRO CARBON_BIOS_OC_7
CPUコア電圧モードについて簡単に説明すると、オフセットモードやアダプティブモードはCPU負荷に比例して電圧が設定されており、低負荷時は電圧が下がるので省電力に優れるのですが、OCをする場合はマザーボードによって挙動に差があり安定する設定を見極めるのが難しいので、個人的にはオフセットやアダプティブは定格向け、OCには固定値適用の固定モードを推奨しています。
仮にOCでオフセットやアダプティブを使う場合も最初はコアクロックに対して安定する電圧を見極める必要があるので、まずは固定モードを使用します。
ちなみにマザーボードにより対応しているモードは異なりますが、CPUのオーバークロックに付随するコア電圧のモードの概略図は次のようになっています。
vc

またコアクロックを高く設定する時に追加で変更するといい電圧設定項目として「DigitALL power」がCPUコア電圧の設定欄のすぐ上に配置されています。
MSI X470 GAMING PRO CARBON_BIOS_OC_8
「DigitALL power」内の設定項目の中でCPU負荷時の電圧降下を補正してOCを安定させる「CPUロードラインキャリブレーション」はMode1~Mode8まで設定可能となっており、添え字の数字が小さくなるほど補正が強くなります。小さくするほどOCの安定性は増しますがCPUの発熱も大きくなるのでMode3あたりを最初に使っておいて、ストレステストのCPU温度をチェックしながらモードを上げていくのがおすすめです。
MSI X470 GAMING PRO CARBON_BIOS_OC_9


メモリのオーバークロックについても簡単に紹介だけしておきます。
メモリの性能について簡単に言うと「動作クロックが高く」「タイミングが小さい」ほど性能は高くなります。そのためメモリOCを手動で行う手順を簡単にすると「電圧を上げて動作可能なクロックを探し」、「そのクロックにおいて正常に動作する最小のタイミングを探る」という2つの手順を繰り返すことになります。

メモリOCではPOSTすらクリアできずBIOSに到達できないことも少なくありませんが、MSI X470 GAMING PRO CARBONでは正常にPOSTできないメモリOC設定でエラーが出た場合は数回再起動した後、自動で2133MHzや2400MHzなど定格となるSPDプロファイルの緩い設定で再起動してくれるのでメモリOCを安心して行えます。

メモリOCで有名なXMPプロファイルはIntelの策定した規格なのでAMD CPU&マザーボードの環境では厳密にいうと非対応ですが、MSI X470 GAMING PRO CARBONなどの一部のMSIマザーボードでは、メモリに収録されたXMPプロファイルからRyzen環境でも使用可能なメモリOCプロファイルを自動生成する「A-XMP」という独自機能があります。
MSI X470 GAMING PRO CARBON_BIOS_OC_10
XMPを使用しない場合、「DRAM Frequency」の項目とAutoにすると、DDR4メモリごとにSPDプロファイルに設定された2133MHz~2666MHzの動作周波数とタイミングによる定格動作となります。手動でメモリ周波数を設定する場合は「DRAM Frequency」の項目でプルダウンメニューから最大4200MHzまでの動作クロック(倍率)設定が可能です。
MSI X470 GAMING PRO CARBON_BIOS_OC_11MSI X470 GAMING PRO CARBON_BIOS_OC_12
「詳細DRAM構成」の設定項目からメモリタイミングの個別打ち込み設定も可能です。メモリタイミングを手動で設定する場合は基本的には「CAS Latency (tCL)」、「RAS to CAS Read (tRCDrd)」、「RAS to CAS Write (tRCDwr)」、「RAS Precharge (tRP)」、「RAS Active Time (tRAS)」の主要な5タイミングと、加えて「Command Rate:1 or 2」の6つ以外はAutoのままでいいと思います。
MSI X470 GAMING PRO CARBON_BIOS_OC_13
メモリ周波数を3200MHz以上にOCする場合は小項目「Misc Item」内にある「GearDownMode」を有効(Enabled)に設定すると動作が安定するかもしれません。MSI X470 GAMING PRO CARBONではAuto設定に任せると無効になるケースがあるようなので、自動(Auto)で上手くいかない場合は設定を変更してみてください。
MSI X470 GAMING PRO CARBON_BIOS_OC_14
メモリタイミングの下の方にある小項目「On-Die Termination Configuration」内の「ProcODT」という設定値がAutoのままではPOSTがクリアできない場合があります。AutoでPOSTをクリアできない、もしくは起動後に安定しない場合は「ProcODT」を43.6~68.6の間で固定して安定するものを探してみてください
MSI X470 GAMING PRO CARBON_BIOS_OC_15

DDR4メモリの周波数OCを行う際はDRAM電圧(DRAM Voltage)を、メモリ周波数3000MHz以上の場合は1.300V~1.350V、メモリ周波数3800MHz以上の場合は1.370V~1.400Vに上げる必要があります。メモリをOCする場合は最初から1.350V以上にDRAM電圧を盛っておくのがおすすめです。
MSI X470 GAMING PRO CARBON_BIOS_OC_16
AMD Ryzen CPUでメモリの動作クロックをOCする場合はDRAM電圧だけでなく「CPU SOC電圧(CPU NB/SOC Voltage)」も1.100V~1.200V程度に盛ってやると動作が安定しやすいようです。MSI X470 GAMING PRO CARBONではCPUコア電圧同様に0.0125mV刻みで値を設定できます。
MSI X470 GAMING PRO CARBON_BIOS_OC_17



MSI X470 GAMING PRO CARBONの動作検証・OC耐性

BIOS周りの管理人的に気になるところやOC設定の基本についての紹介はこのあたりにしてMSI X470 GAMING PRO CARBONを使用した検証機で具体的に動作検証とOC耐性をチェックしていきます。

まずはBIOS上の起動設定をフルスクリーンロゴとファストブートを無効(BIOS設定)にしてOSの起動時間を測定しました。MSI X470 GAMING PRO CARBONの起動時間は19秒ほどとなりました。メインストリーム向けの多機能マザーボードの起動時間としては良好な結果です。



続いてMSI X470 GAMING PRO CARBONを使用した場合のCPUのオーバークロック耐性をチェックしてみました。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。


Ryzen 7 2700XのOC設定は「CPU動作周波数:4200MHz」「CPUコア電圧:1.375V」「CPUロードラインキャリブレーション:Mode2」「メモリ周波数:3400MHz」「メモリタイミング:16-16-16-36-CR1」「メモリ電圧:1.350V」としています。
MSI X470 GAMING PRO CARBON_OC test_BIOS (1)MSI X470 GAMING PRO CARBON_OC test_BIOS (2)
MSI X470 GAMING PRO CARBON_OC test_BIOS (3)MSI X470 GAMING PRO CARBON_OC test_BIOS (4)


上の設定を適用したところ問題なくOSを起動させることができました。
MSI X470 GAMING PRO CARBON_OC test_1
MSI X470 GAMING PRO CARBON_OC test_2

「MSI X470 GAMING PRO CARBON」の環境では、検証機材メモリに「G.Skill FLARE X F4-3200C14D-16GFX」を使用して手動オーバークロックすることによってメモリ周波数3400MHzにOCし、なおかつメモリタイミングを16-16-16-36-CR1に詰めることができました。
MSI X470 GAMING PRO CARBON_OC test_mem_1
MSI X470 GAMING PRO CARBON_OC test_mem_2
なお競合他社のマザーボードでは「G.Skill FLARE X F4-3200C14D-16GFX」を使用してメモリ周波数3466MHzで安定動作させることができたのですが、「MSI X470 GAMING PRO CARBON」の環境では同検証機材メモリとの相性がそこまで良くはないのか、メモリ周波数を3466MHzにOCするとMemtestで安定させることができませんでした。
MSI X470 GAMING PRO CARBON_OC test_mem_f

「MSI X470 GAMING PRO CARBON」と組み合わせて使用するメモリについて、メーカーで3200MHzが動作確認済みのOCメモリは容量単価で高価になっていますが、安価に済ませたいということであれば、PCショップアークから発売されている「ARD4-U16G48SB-26V-D Samsung Edition」がRyzen環境と相性の良いSamsung B-Die採用で、かつ高速な定格2666MHz対応メモリなのでお勧めです。このメモリでも手動OCによって3200MHz&CL16の安定動作が確認できています。
ARD4-U16G48SB-26V-D_3200MHz_MSI

Ryzen 7 2700Xの4.2GHz、メモリ3400MHzでCinebenchも問題なくクリアできました。
MSI X470 GAMING PRO CARBON_OC test_Cine


続いてこのOC設定を使用してストレステストを実行しました。
検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はRyzen 7 2700Xの場合15分ほどなので同じ動画で2つ平行して2周させています。エンコード中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
X470 OC Test

ストレステスト中のCPU温度とCPU使用率のログは次のようになりました。マザーボードにMSI X470 GAMING PRO CARBONを使用することでRyzen 7 2700Xを全コア同時4.2GHzにOCしてストレステストをクリアできました。CPUクーラーのファン回転数は1200RPMで固定しています。
MSI X470 GAMING PRO CARBON_OC test_stress


スマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE Pro」(レビュー)を使用してMSI X470 GAMING PRO CARBONのVRM電源温度をチェックしていきます。
まずはRyzen 7 2700XをCPU動作周波数は定格、メモリ周波数は3200MHzにOCした状態を定格として上の負荷テスト同様に動画のエンコードで負荷をかけてVRM電源の温度をチェックしてみました。CPUクーラーには簡易水冷を使用しており、VRM電源部分に風を当てないパッシブ空冷の状態で負荷テストを行ったところ、VRM電源部分は最大で90度半ばに達しました。
MSI X470 GAMING PRO CARBON_FLIR_def_noFan_1
MSI X470 GAMING PRO CARBON_FLIR_def_noFan_2
Ryzen 7 2700XをX470マザーボードと組み合わせると、CPUの冷却に依存した自動OC機能「XFR」が働くので、デフォルト設定のままで運用しても全コア3.9GHz程度まで動作周波数が上がるため、必然的にVRM電源への負荷は仕様値の3.7GHzで動作した時より大きくなるものの、デフォルト設定による運用でVRM電源温度が90度以上に達するのは厳しいというのが正直なところです。
MSI X470 GAMING PRO CARBON_def_stress

さらにRyzen 7 2700Xやメモリを上記のBIOS設定でOCした時の負荷テスト中のVRM電源温度をチェックしていきます。ちなみにMSI X470 GAMING PRO CARBON環境でRyzen 7 2700Xを4.2GHzまでOC、かつメモリも3466MHzにOCするとシステム全体(ほぼCPU)の消費電力が200W~250Wに達します。
MSI X470 GAMING PRO CARBON_OC test_power
定格でも90度半ばまで上がったので、やはりと言うべきか、Ryzen 7 2700Xを常用限界近くまでOCすると、VRM電源周りのパッシブ冷却のでは冷やしきれずVRM電源周りの温度は110度を上回ってしまいました。
MSI X470 GAMING PRO CARBON_FLIR_OC_noFan_1
MSI X470 GAMING PRO CARBON_FLIR_OC_noFan_2
流石にパッシブ冷却のままでは厳しいので、120mmファンを1200RPMで回してVRM電源周りに風を当てるスポットクーラーにしました。
MSI X470 GAMING PRO CARBON review_05678
スポットクーラーによってVRM電源周りを冷やすアクティブ冷却で同じ負荷をかけてみたところ、なんとか80度後半に収めることができました。
MSI X470 GAMING PRO CARBON_FLIR_OC_Fan_1
MSI X470 GAMING PRO CARBON_FLIR_OC_Fan_2


「MSI X470 GAMING PRO CARBON」をRyzen 7 2700Xと組み合わせた場合、デフォルト設定による運用であってもXFRが最大限に働くとVRM電源温度は90度に達し、全コア4.0GHzオーバーに手動OCすると100度を大きく上回るため、簡易水冷CPUクーラーやサイドフロー型空冷CPUクーラーでCPUのみを冷やして、VRM電源周りに風が当たらない状態で運用するのはかなり厳しくなっています。
「MSI X470 GAMING PRO CARBON」でRyzen 7 2700Xを使用する場合は、付属CPUクーラー「Wraith Prism」などトップフロー型CPUクーラーを組み合わせるか、簡易水冷CPUクーラーを組み合わせる場合は、別途VRM電源周りに風が当てるためスポットクーラーの併用をお勧めします。スポットクーラーを使用するのであれば、可変アルミニウム製ファンフレーム搭載の冷却ファン「IN WIN MARS」がおすすめです。
可変アルミフレーム搭載ファン「IN WIN MARS」をレビュー
IN WIN MARS



MSI X470 GAMING PRO CARBONのレビューまとめ

最後に「MSI X470 GAMING PRO CARBON」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • ブラックメインにアクセントとしてカーボン調プレートが飾られたデザイン
  • LEDイルミネーションでユーザーの好みに合わせて色鮮やかにライトアップできる
  • 外部ノイズEMIから保護するための金属シールド「DDR4 Steel Armor」
  • 重量級グラボにも耐えるメタルアーマー採用PCI-Eスロット「MSI PCI Express Steel Armor slots」
  • VRM電源フェーズ数は13フェーズを実装
  • 検証機ではRyzen 7 2700Xの全コア同時4.2GHz、メモリ3400MHz OCで安定動作
  • 高速NVMe接続のM.2スロットが2基設置(うち1基はPCI-E2.0x4帯域)
  • M.2スロットのうち1つはMSI独自のSSDヒートシンク「M.2 Shield」を装備
  • NVIDIA GTX 10XXシリーズのマルチGPU用のSLI HBブリッジが付属する
  • ミドルハイクラスで2.5万円程度とコスパが優秀
悪いところor注意点
  • Ryzen 7 2700Xを使用する場合、定格でもスポットクーラーの使用を推奨、OC時は必須
  • 欲を言えば外部温度センサーソースのファンコン機能が欲しいところ
  • ベースクロックは100MHz固定でBCLKによるOCには非対応

第2世代Ryzen CPUにネイティブ対応となるX470チップセット搭載AM4マザーボードとしてMSIからリリースされた、ゲーミングモデル「MSI X470 GAMING PRO CARBON」はMSIのCARBONシリーズらしく、基本的な機能を手堅く揃えつつCPUコアとメモリともにOC耐性にも優れた、ミドルハイクラスの高性能ゲーミングマザーボードとして仕上がっています。デザイン面では当製品の代名詞とも言えるカーボンパターンがチップセットクーラーとリアI/Oカバーに描かれていますが、チップセットクーラーにはメタリックなカーボンパターン、リアI/Oには布のような凹凸感のあるカーボンパターンが採用され、定番デザインの中にも小さな変化が組み込まれています。X370ではカーボンパターンのデコレーション感がありましたが、今回はマザーボード全体としての統一感がありカーボンパターンが全体のデザインに溶け込んでいます。

BIOSデザインについては好みの問題かと思いますが、MSI X470 GAMING PRO CARBONではマウス&キーボード環境を想定したグラフィカルなUIが採用されており管理人的には少し使いづらいと感じてしまいました。個人的にMSIマザボを敬遠してしまう理由の1つではあるのですが、グラフィカルUIが好きなユーザーにとっては嬉しい仕様だとも思うので個々人の好みで評価は分かれるところです。

ファンコントロール機能については折角BIOS上からモニタリング可能な温度が複数用意されているのに、ファンコンソース温度の変更機能がないのは残念でした。ファンコンソース温度変更機能については今後のBIOSアップデートで機能の追加を強く希望したいところです。

MSI X470 GAMING PRO CARBONを使用した検証機では第2世代Ryzen最上位のRyzen 7 2700Xの全コア4.2GHzに、メモリ周波数も3400MHzにオーバークロックすることができました。メモリについてはRyzen環境に最適化されたOCメモリの「G.Skill FLARE X F4-3200C14D-16GFX」だけでなく、Samsung B-Dieを採用するバルクメモリ「ARD4-U16G48SB-26V-D Samsung Edition」でも3200MHzの高速動作を実現できたので、少なくとも下調べをして適切なメモリを購入すれば3200MHz動作を狙うのも難しくないと思います。


CPUのオーバークロックを行う上でVRM電源回路はマザーボード依存のOC耐性として重要ファクターの1つですが、「MSI X470 GAMING PRO CARBON」では前世代X370マザーボードよりもVRM電源フェーズ数が増えて13フェーズになり、ヒートシンクにはスリットが設けられて放熱面積も拡大されており、第2世代Ryzenに合わせてメーカー側も対策を施していることがわかります。しかしながらRyzen 7 2700Xと組み合わせた場合、デフォルト設定による運用であってもXFRが最大限に働くとVRM電源温度は90度に達し、全コア4.0GHzオーバーに手動OCすると100度を大きく上回りました。なおMSIによれば、125度でプロテクトが働くため、100度付近では問題ないと回答がありました

「MSI X470 GAMING PRO CARBON」と組み合わせて使用するCPUとしては、TDPが低めで余裕のあるRyzen 7 2700か下位モデルのRyzen 5 2600Xを選択するのが安定だというのが正直なところです。「MSI X470 GAMING PRO CARBON」は販売価格2.5万円でコストパフォーマンスが優秀なミドルハイクラスのゲーマー向け製品なので、第2世代Ryzen 5 Readyなマザーボードだと思います。

以上、「MSI X470 GAMING PRO CARBON」のレビューでした。
MSI X470 GAMING PRO CARBON







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検証機材として使用している以下のパーツもおすすめです。
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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