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HDR表示に対応した31.5インチ4K解像度VA液晶モニタ「BenQ EW3270U」のサンプル機をメーカーよりご提供いただけたのでレビューしていきます。「BenQ EW3270U」はHDR対応4K液晶モニタながら6万円を切るリーズナブルな価格なので、PS4 ProやXbox One Xなどコンシューマーゲーム機のユーザー、そしてアサクリオリジンやFF15 PC版など対応の増えつつあるHDR対応PCゲームをプレイするPCゲーマーにとってコストパフォーマンスが優れた製品です。

製品公式ページ:http://www.benq.co.jp/product/monitor/ew3270u/
マニュアル:https://benqesupport.blob.core.windows.net/~/EL2870U/UM_EN_180124122551.pdf

BenQ EW3270U(4K/HDR対応/VA非光沢/HDMI×2、DP、USB-C)
BenQ EW3270U
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BenQ EW3270U レビュー目次
1.BenQ EW3270Uの概要
2.BenQ EW3270Uの開封・付属品
3.BenQ EW3270Uの液晶モニタ本体
4.BenQ EW3270UのOSD操作・設定
5.BenQ EW3270Uの画質について
6.BenQ EW3270Uで4K・HDRを試す
7.BenQ EW3270Uのレビューまとめ
BenQ EW3270Uの概要
「BenQ EW3270U」は解像度が3840x2160の4K解像度で画面サイズが31.5インチの液晶モニタです。液晶パネルタイプはノングレア(非光沢)で、IPSパネルと比較して残像が発生しやすいもののコントラスト比が高く、発色や視野角も優れたVAパネルが採用され、DCI-P3のカバー率95%の色域に対応します。コントラスト比はIPSパネルに標準的な1,000:1を大きく上回る3,000:1、応答速度は4ms(GTG)、HDR表示で重要になる輝度は標準300nits(cd/m^2)で最大輝度は不明です。PS4 ProやXbox One Xなどの高画質ゲームでも採用されているHDR規格HDR10に対応しており、アサクリオリジンやFF15 PC版など対応の増えつつあるHDR対応PCゲームでもHDR表示が可能です。

「BenQ EW3270U」に搭載されたビデオ入力はHDMI2.0*2、DisplayPort1.4*1、USB Type-C(DP alt Mode)の4系統です。4つのビデオ入力はいずれも4K/60FPSのビデオ出力に対応しています。HDMI2.0*2とDisplayPort1.4*1の3系統はHDCP2.2に対応しています。

「BenQ EW3270U」の寸法は幅727mm × 高さ523mm × 奥行215mmです。付属モニタスタンドは上下チルトのみ対応しています。チルト角は上15度から下5度の範囲で調節可能です。本体重量(モニタスタンド込み)は7.5kgで、モニタ重量は5.2kgです。100mm x 100mmのVESAマウントにも対応しており重量的にも問題なくモニタアームが使用可能です。
「BenQ EW3270U」の特色の1つ「ブライトネスインテリジェンスプラス(B.I.+)」により、室内照明や太陽光など周囲の明るさと色温度を検知して、ディスプレイ設定を自動で最適化し眼精疲労を軽減します。また「B.I.+」機能は映像の色階調を保って原色どおりの彩度と色相を再現しつつ、白飛びや黒つぶれを防ぎディテールを鮮明に映し出す効果もあります。「B.I.+」機能はHDR表示においても使用可能で、コントラストと鮮やかさのベストなバランスを保ちながらHDRの卓越した画像パフォーマンスを最大限に引き出します。


その他にも、ティアリング(フレーム更新タイミング差による画面のズレ)やスタッタリング(カクツキ)を抑制できるアダプティブシンク機能として、Xbox One XやAMD製GPU搭載PCで使用可能な「AMD FreeSync」に対応しています。低解像度ビデオ入力を高解像度画質にリアルタイム変換する「Super Resolution(超解像度)」機能も備えます。


BenQ EW3270Uの開封・付属品
なにはともあれまずはBenQ EW3270Uを開封していきます。「BenQ EW3270U」のパッケージサイズは31.5インチモニタが入っているだけあって、幅956mm x 高さ560mm x 奥行160mmと巨大で、重量も10kg以上あり、持ち手になる部分がないので、成人男性でも持ち運びには少し困ると思います。

液晶モニタのパッケージはモニタスタンドの影響で厚みが大きいものが多いですが、「BenQ EW3270U」は160mmとかなりスリムになっています。

パッケージ上側のビニールテープの封を切って、パッケージを開くと発泡スチロールのスペーサーに収められた製品本体が取り出せます。

付属品を簡単にチェックしておくと、ACケーブル、USB Type-Cケーブル、Mini DisplayPort-DisplayPortケーブル、クィックスタートガイド、ドライバーCD、保証書が付属します。

「BenQ EW3270U」が対象としているPS4 ProやXbox One Xには4K・HDR表示に対応したHDMIケーブルが標準で付属するので、「BenQ EW3270U」の付属品にはHDMIケーブルは含まれません。PCでHDMIビデオ入力を使用したい場合は別途HDMIケーブルを購入する必要があります。
個別に購入するのであれば18Gbpsの高速伝送と高色域になった超高画質映像の伝送ができる4K・60FPS・HDR対応のPremium HDMI cable規格認証済みでケーブル径4.5mmのスリムケーブルの「エレコム Premium HDMIケーブル スリムタイプ」シリーズがおすすめです。


エレコム PREMIUM HDMIケーブル スリムタイプ 1.0m
エレコム PREMIUM HDMIケーブル スリムタイプ 1.5m
エレコム PREMIUM HDMIケーブル スリムタイプ 2.0m
エレコム
「BenQ EW3270U」のスタンドはフットプレートとフレームの2つの部品から組み立てる構造になっています。

フットプレートにフレームを挿入して底面側のネジを締めるだけと組み立ては非常に簡単です。


「BenQ EW3270U」モニタスタンドのフットプレートはプラスチック製ですが木目調とヘアラインアルミの中間のような質感の表面加工が施されていて高級感があります。

フレーム部分もプラスチック製ですが、こちらは光沢のあるブラックカラーです。

組み立てたモニタスタンドはモニタ本体の背面下部に配置されたスリットに挿入して、左右2か所のネジを締めれば固定完了です。「BenQ EW3270U」ではモニタスタンドの固定にはプラスドライバーが必要になるので注意してください。


BenQ EW3270Uの液晶モニタ本体
続いてBenQ EW3270Uの液晶モニタ本体をチェックしていきます。
BenQ EW3270Uの上左右はフレームがありますが、フレーム幅は13mm程度と比較的スリムなのでフレームの存在感が気になることはないと思います。下側のみBenQのメーカーロゴが中央に刻印されたグレーカラーの少し厚めなフレームがあります。フレームの内側の非表示領域は1mm以下です。


背面は艶消し表面加工の黒色プラスチック製です。緩やかな曲面を描いており中央少し上にメーカーロゴが刻印されている以外はシンプルなデザインになっています。

モニタ本体下側の左端(正面から見て右下)には、液晶モニタの電源をON/OFFする白色のパワースイッチ、およびモニタOSDを操作するための5つの黒色スイッチが配置されています。

表面の下側フレームの右端には、「ブライトネスインテリジェンスプラス(B.I.+)」や「HDR」を切り替えるスイッチが配置されています。

また表面の下フレーム中央のBenQメーカーロゴの下に飛び出した光沢のあるパネルは、「ブライトネスインテリジェンスプラス(B.I.+)」において環境明度や色温度を感知するためのセンサーが内蔵されています。「ブライトネスインテリジェンスプラス(B.I.+)」機能を使用する場合は、保護フィルムを剥がして、センサー部分が隠れないように注意してください。

「BenQ EW3270U」のモニタ本体の厚さは最薄部で20mm、最厚部で60mmほどでした。近年では最厚部50mmを切る4K液晶モニタもあるので、「BenQ EW3270U」は厚くはないものの薄くもない標準的な製品です。

液晶モニタ本体背面を下から覗き込むと左側には各種入出力ポート、右側中央寄りにはACケーブルの接続端子が設置されています。「BenQ EW3270U」は外部ACアダプタを必要としないAC変換内蔵型です。

「BenQ EW3270U」の背面左側にはI/Oポートとして左から順に、HDMI2.0*2、DisplayPort1.4*1、USB Type-C(DP alt Mode)の4系統、および右端には3.5mmヘッドホンジャックが設置されています。4つのビデオ入力はいずれも4K/60FPSのビデオ出力に対応しています。HDMI2.0*2とDisplayPort1.4*1の3系統はHDCP2.2に対応しています。

「BenQ EW3270U」のモニタスタンドはシンプルな構造だけあって可動部は少なく、上下チルトのみ対応しています。上下チルトの可動域は仕様通り下に5度、上に15度です。



BenQ EW3270UはVESA100x100規格のVESAマウントに対応しておりサードパーティ製のモニターアームを使用できます。付属モニタスタンドの稼働域が狭いので、昇降・スイーベル・ピボットなどにも対応させたい場合はサードパーティ製のモニタスタンドやモニタアームを使用するのがおすすめです。

モニターアームについては管理人は「Lumen MA-GS102BK」、もしくは色違いでほぼ同機能な「サンワダイレクト 100-LA018」という製品をおすすめしています。モニターアームというとエルゴトロン製が一番の売れ筋ですが、クランプのネジが下に伸びているタイプのモニターアームは机に干渉して使えないという問題があり、MA-GS102BKはクランプを上側から六角レンチで締めるタイプでテーブル下の隙間が狭いデスクでも使用できるので管理人も使っています。


「Lumen MA-GS102BK」はモニタとアームを接続する部分がクイックリリースのブラケット式になっていてモニタアームからモニタ本体の着脱が非常に簡単です。ピボット機能もあるので設置後にモニタを縦・横で向きを切り替えることもできます。ただ関節の滑りに若干難があるので潤滑剤を塗布するのがおすすめです。

BenQ EW3270UのOSD操作・設定
BenQ EW3270UのOSD操作はモニタ下側左端(正面から見て右下)に設置されている5つのボタンを使用します。
5つのボタンを使用したOSDの基本的な操作方法はマニュアルに記載されているとおりです。
メニュー非表示においては、左3つの①~③ボタンはショートカットキーでそれぞれブルーライト抑制モード切替、画質モード切替、ビデオ入力切替が割り当てられています。④を押すとOSD詳細設定メニューが表示されます。
OSD詳細設定メニュー表示中は、①が設定項目の上移動or設定値の上昇、②が設定項目の下移動or設定値の減少、③は決定・選択、④は前の項目に戻る、⑤はOSD詳細設定メニューを閉じる、以上のように機能が割り当てられています。

④ボタンを押下するとモニタ右下にOSDメニューが表示されます。「BenQ EW3270U」のOSDメニューは最初から日本語UIになっていました。メニューに合わせてボタンを操作すると入力選択や詳細設定メニューからの設定が行えます。液晶モニタの9分の1くらいの領域に大きくOSDメニューが表示されるので文字が小さくて見えにくいなど操作性の心配はないと思います。

「BenQ EW3270U」のOSDメニューには大きく分けて、「EyeCare機能」「輝度・色調のマニュアル設定」「画面表示機能設定」「音声出力設定」「システム設定」の5つの項目が用意されています。





ショートカットキーのうち②と③はOSDメニューから機能を各自で割り当てることができます。

「BenQ EW3270U」の画質モードについては、「標準モード」以外にHDRをエミュレートする「HDRモード」や「シネマHDRモード」など多種多様な画質モードが用意されています。

また下側フレームの右端に配置されたスイッチを押すと、「ブライトネスインテリジェンスプラス(B.I.+)」と「HDR」のON/OFFの組み合わせを切り替えることができます。




BenQ EW3270Uの画質について
BenQ EW3270Uの画質についてチェックしていきます。直接的な画質ではありませんがBenQ EW3270Uの液晶パネルは光沢のあるグレアではなくアンチグレアタイプなので暗転時に自分の顔などが映り込みません。

液晶パネルには大きく分けてIPS液晶パネルとVA液晶パネルとTN液晶パネルの3種類があり、各社個別の製品によって個体差はあるものの、この3つの液晶パネルの特性を簡単にまとめると次のテーブルのようになります。
「BenQ EW3270U」に採用されているVA液晶パネルはIPS液晶パネルほどではないものの、TN液晶パネルよりも色再現性や視野角が良好です。またVA液晶パネルはIPS液晶パネルよりもコントラストが高いためメリハリの利いた鮮やかな絵になりやすいので、パッと見でわかりやすく綺麗な画質になります。価格面でもTN液晶ほどではありませんがIPS液晶パネルよりも安価でコストパフォーマンスに優れます。唯一の欠点としてVA液晶パネルは応答速度が若干遅く、残像が出やすい特性があります。
液晶パネルの簡易比較表 | |||
IPS | VA | TN | |
色再現性 | ◎ | 〇 | △ |
コントラスト | 〇 | ◎ | △ |
視野角 | 〇 | 〇 | △ |
応答速度 | 〇 | △ | ◎ |
価格 | △ | △ | 〇 |
「BenQ EW3270U」のカラーグラデーションをいくつかの画像を表示して確認してみたところVA液晶らしくいずれも滑らかで綺麗に表示されました。







VA液晶パネルを採用する「BenQ EW3270U」はコントラストが高いのでIPSパネルよりもメリハリの利いた鮮やかな絵になりやすく、細かい色再現性よりも静止画や動画でわかりやすい綺麗さを求めるならVA液晶パネルはかなり優秀だと思います。

「BenQ EW3270U」の視野角についてはVA液晶パネルなのでIPS液晶パネルに比べると若干白みがかる傾向はあるもののTN液晶のような破綻は発生しないので、大きな色差はなく視野角も良好です。

また「UFO Test: Ghosting」を使用して、応答速度や残像についても簡単にチェックしてみました。
「BenQ EW3270U」はVA液晶パネルなので、比較的良好な色再現性やメリハリの利いた優れたコントラストの反面、応答速度は若干遅いため残像が出やすくなっています。下写真はシャッタースピードを十分小さくして撮影していますが残像がはっきり確認できます。

「BenQ EW3270U」に加えて、比較対象として高価なIPS液晶パネルを採用する32インチ4Kモニタの「LG 32UD99-W(レビュー)」と、同じくIPS液晶パネル採用で120Hzの高リフレッシュレート動作となるゲーミングモニタ「Dell AW3418DW 120Hz(レビュー)」でも同様に「UFO Test: Ghosting」を行って、その様子を「SONY DSC-RX100M4」の16倍速(960FPS)ハイフレームレートムービーで撮影し、比較してみたところ次のようになりました。
また「UFO Test: Ghosting」において下の写真のようにUFOが微かに表示された瞬間を始点に、その地点のUFOが完全に消えた時点を終点にして、その間隔を応答速度として算出し比較してみました。

「BenQ EW3270U」と「Dell AW3418DW (120Hz)」と「LG 32UD99-W」の3つの液晶モニタについて上の手順で算出した応答速度を比較したところ次のようになりました。
スペック的には類似の「BenQ EW3270U」と「LG 32UD99-W」に注目すると、IPS液晶パネル採用で10万円前後と高価な「LG 32UD99-W」と比較してVA液晶パネル採用で安価な「BenQ EW3270U」は応答速度が若干遅くなっています。この結果については「BenQ EW3270U」に限った話ではなくVA液晶パネル採用製品の特徴として、IPS液晶パネルよりも応答速度が遅く、残像が出やすい性質が反映した結果になっています。

BenQ EW3270Uで4K・HDRを試す
「BenQ EW3270U」についてはPS4 ProやXbox One Xに付属するHDMIケーブルを使用することで特に問題なく4K・HDR・60FPS表示が可能でした。
Xbox One Xについては4K・HDR・60FPSに加えてアダプティブシンク(可変リフレッシュレート)機能「AMD FreeSync」がHDMI接続で使用できました。スタッタリングやティアリングの発生の抑制に加えて、「BenQ EW3270U」は60Hzのモニタなので関係ありませんが、グラフィック負荷の低いゲームであれば最大120FPSでゲームがプレイできるようになります。


HDRについて簡単に説明しておくと、HDR(ハイダイナミックレンジ)というのは、RGBの光の三原色の映像情報に加えて、輝度(明るさ)の情報が備わった映像ソースのことです。従来の表示機器や映像ソースでは10^3程度のダイナミックレンジしかありませんでしたが、HDRに対応することでダイナミックレンジが10^5程度と100倍近く拡張され、「明るい場所は明るく、暗い場所は暗く」なるように画面の明るさを操作することで、白飛びや黒潰れをなくして高画質を実現しています。
HDRでは映像ソースのダイナミックレンジが拡張された分、ハード側の表示性能も重要になります。1枚絵の中で幅広いダイナミックレンジを表現するためには、部分部分の明るさ(輝度)の表示が重要になるので、HDRに関連するハード的な予備知識として、液晶モニタのLEDバックライトの「エリア駆動(部分駆動やローカルディミングとも呼ばれる)」や画素自体が自発光する「有機ELモニタ」があります。
今回レビューする「BenQ EW3270U」は非対応ですが、LEDバックライトが既存の液晶モニタで主流なエッジライト式ではなく、液晶パネル直下型の製品では、表示位置の映像輝度情報に応じてLEDバックライトの輝度を制御するエリア駆動(部分駆動やローカルディミングとも呼ばれる)によって、暗い場所のバックライトを消灯し、逆に明るい場所だけを点灯させることができます。左写真はエリア駆動、右写真は非対応で撮影した様子ですが、左写真は地球周辺の黒い部分のバックライトが切れて中央の地球の立体感が増しているのに対し、右写真では黒い部分のバックライトも点灯しており、白みがかって平坦に見えます。


HDRに関する説明は色々とあると思いますが、管理人は「明るい場所は明るく、暗い場所は暗く」と大雑把に理解しています。「明るい場所は明るく、暗い場所は暗く」するということは必ずしも”見えやすく”なるわけではありません。というか暗い場所は暗くなるので必然、暗い部分は見えにくいですし、明るい場所が明るくなったら太陽を覗き込んだ時のようにその周辺は光で潰れて見えにくくなります。もちろん明暗が分かれることで境界線がクッキリして見えやすくなる場合もあります。一部のゲーミングモニタに暗所を明るく(白く)して見えやすくする機能があるように、HDR表示は見やすさには直結しないので、見やすさという意味で画質が良くなるのかというと、その点はケースバイケースで、暗い部分が強調されることを考えると見えにくさの方が体感しやすい気がします。
HDRは原理的にはモニタから見える映像を”リアル”に近づける機能です。ただし実際のところはモニタ個別の色調設定などの都合で鮮やかになり過ぎたり色味が変わったりするので、「実際の視覚と同じ」という意味でリアルかというと疑問符が付くのですが。「明るい場所は明るく、暗い場所は暗く」なるので立体感は増して、平面表示の中に奥行を感じやすくなるという点ではリアルな表示に近づきます。個人的にはHDR表示の効果はSDRに比べて、鮮やかになって、立体感が増すと感じています。
4Kモニタの広告をフルHDモニタで見る以上に、SDRモニタでHDRについて体感的に理解することは困難です。なのでHDRについては店頭など実機で体験して気に入れば購入するくらいが正直なところおすすめです。HDRについては正直に言って”百聞は一見に如かず”な機能です。SDRモニタ上で調べるよりもHDR表示の実機を見て気に入るかどうかが全てな機能だと思います。
とはいえレビュー記事の都合上、比較写真でも撮らないと形にならないので写真を撮ってみました。
いくつかPS4 Pro/Xbox One X/Windows PCでHDR表示に対応したゲームから、通常ダイナミックレンジのSDRとハイダイナミックレンジのHDRについて比較写真を撮影してみました。ISOや絞りなどの写り具合に影響しそうなカメラ設定は比較シーン間では統一しています。また「BenQ EW3270U」の画質モードでも表示が変わってくるので、SDRではデフォルト設定の標準モード、HDRではHDRモードで統一しています。
「明るい場所は明るく、暗い場所は暗く」のとおりSDRの全体的に白っぽい絵が、HDRでは陰影がはっきりして鮮やかになっていることはわかると思います。






BenQ EW3270Uのレビューまとめ
最後に「BenQ EW3270U」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 4K(3820*2160)解像度で31.5インチとちょっと大きめの扱いやすいサイズ
- IPSパネルよりもコントラストに優れたVAパネル採用
- PS4 ProやXbox One XやPCゲームで使用できるHDR10に対応
- 液晶パネルは反射防止のアンチグレア
- 入力はHDMI2.0×2、DisplayPort、USB Type-Cの計4系統で豊富
- HDMIとDisplayPortは4K・HDR・60FPSの表示が可能
- HDMIとDisplayPortはHDCP2.2対応
- HDMIとDisplayPortはアダプティブシンク機能「AMD FreeSync」に対応
- モニタ本体重量7kgかつVESAマウント対応でモニターアームを使用可能
- 18年5月現在、製品販売価格が5万円後半と安価
- IPSパネルよりも残像が発生しやすいVAパネル採用
- 付属スタンドは上下チルトのみで機能性は乏しい
- USBハブポートは非搭載
「BenQ EW3270U」はコントラストに優れたVA液晶パネル採用でメリハリの利いた鮮やかな画質で発色も良好であり、OSDメニューのレスポンスも速くて操作しやすく、ビデオ入力もHDMI2.0*2含めて計4系統と豊富なので、総合的に使いやすい液晶モニタだと思います。
HDMI入力とDisplayPort入力はいずれも4K・HDR・60FPSの映像ソースに対応しており、加えてXbox One XやAMDグラフィックボード搭載PCを接続すればアダプティブシンク機能「AMD Free Sync」も利用できます。
豊富な4系統のビデオ入力は、PS4 ProやXbox One Xなどコンシューマーゲーム機に1つ目のHDMI端子、TVチューナー付きレコーダーに2つ目のHDMI端子、メインのデスクトップPCにDisplayPort端子、サブのモバイルPCにUSB Type-C端子、のように配分すれば「BenQ EW3270U」1台で余分なセレクタなどを用意しなくてもAV環境を完結できます。
VA液晶パネルとIPS液晶パネルについて一長一短なので個々人で好みがわかれるところですが、それ以外に関しては18年最新環境として全部入りで万能なスペックになっており、6万円以下で購入可能なコストパフォーマンスも備わった「BenQ EW3270U」は30インチクラスのHDR対応4K液晶モニタを探しているならお勧めの製品です。
以上、「BenQ EW3270U」のレビューでした。

BenQ EW3270U(4K/HDR対応/VA非光沢/HDMI×2、DP、USB-C)
BenQ EW3270U
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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