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Ryzen Threadripperの超巨大なCPUヒートスプレッダ全体をカバーする面積68mm×53mmのニッケルメッキ処理済み大型銅製ベースプレートと左右16本の銅製6mm径ヒートパイプで構成されたツインタワー大型ヒートシンクを採用する、AMD Ryzen ThreadripperのTR4プラットフォーム専用CPUクーラー「Thermalright Silver Arrow TR4」のサンプル機を国内正規代理店ディラック様よりお借りできたのでレビューしていきます。
代理店公式ページ:http://www.dirac.co.jp/silverarrow-tr4/
製品公式ページ:http://thermalright.com/product/silver-arrow-tr4/
マニュアル:http://thermalright.com/backup/installation/SilverArrowTR4/TR4-Manual.pdf
「Thermalright Silver Arrow TR4」は国内正規代理店ディラックから8月31日に発売予定です。
Thermalright Silver Arrow TR4 Threadripper専用CPUクーラー
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Thermalright
Amazon.co.jp で詳細情報を見る<TSUKUMO><PCショップアーク><ドスパラ>
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レビュー目次
1.Thermalright Silver Arrow TR4の梱包・付属品
2.Thermalright Silver Arrow TR4のヒートシンク
3.Thermalright Silver Arrow TR4の冷却ファン
4.Thermalright Silver Arrow TR4の外観
5.Thermalright Silver Arrow TR4の検証機材・セットアップ
6.Thermalright Silver Arrow TR4の各種クリアランス
7.Thermalright Silver Arrow TR4の冷却性能
8.Thermalright Silver Arrow TR4でThreadripper 2990WXを冷やす
9.Thermalright Silver Arrow TR4のレビューまとめ
補足.空冷クーラーと水冷クーラーの違いについて
Thermalright Silver Arrow TR4の梱包・付属品
まずは「Thermalright Silver Arrow TR4」の外観や付属品をチェックしていきます。「Thermalright Silver Arrow TR4」は茶箱に黒色でイラストやテキストがプリントされたシンプルなデザインで、同じくRyzen Threadripper専用空冷CPUクーラーの「Noctua NH-U14S TR4-SP3」と比べると2倍くらいの大きさで、ハイエンド空冷CPUクーラーらしいデカいパッケージです。
Thermalright Silver Arrow TR4のパッケージは立方体ですが所謂、N型箱と呼ばれる形状で、蓋を開くとまずはマウントパーツなど付属品が収められた黒色スポンジスペーサーがあり、その下には白色スポンジスペーサーで保護されたCPUクーラーヒートシンクと冷却ファンがあります。さらにその下にはドライバーと熱伝導グリスも同封されていました。
「Thermalright Silver Arrow TR4」の付属品は、マニュアル、各種マウントパーツ、ドライバー、熱伝導グリスとなっています。
熱伝導グリスとして「Thermalright Chill Factor 3」という、熱伝導率:3.5W/mk、熱抵抗値:0.012℃/Wの高性能熱伝導グリスが付属します。
CPUクーラーマウントパーツやファン固定用クリップなどは黒色スポンジスペーサーにひとまとめで収められています。見ての通りCPUクーラー組み立てに関するパーツは比較的少なくシンプルです。
CPUクーラーの設置に関連した部品は、マウンティングプレート*2、スクリューピラー(スタンドオフ)*4、プレート固定ネジ*5、CPUクーラー固定ネジ(ワッシャー付き)*3の4種類です。プレート固定ネジとCPUクーラー固定ネジはそれぞれ予備として1つ余分に付属しています。
冷却ファン固定用のクリップは標準で使用するヒートシンク中央用クリップ*2、増設オプションとしてヒートシンク前後に使用するファンクリップとして、右側クリップ(赤色ラベル)*2と左側クリップ(白色ラベル)*2の3種類6本が付属します。
「Thermalright Silver Arrow TR4」には冷却ファンとヒートシンクの間に挟む防振ラバーパッドが前後・中央の3か所用に4枚*3で計12枚付属します。
詳しくは後ほど紹介しますが、CPUクーラー本体を簡単にチェックしておきます。
Thermalright Silver Arrow TR4はいかにも空冷CPUクーラーらしい外観で、鋭角的なデザインの大型アルミニウム製ヒートシンクは光沢のあるニッケルメッキが施され、”Silver Arrow”という名前通りです。ベースプレートの前後からヒートパイプが伸びて2つの放熱ヒートシンクを構成する所謂ツインタワー型空冷CPUクーラーですが、メモリクリアランスを重視して、標準構成では冷却ファンは中央の1基のみとなっています。
ヒートシンクに冷却ファン等を装着した状態で重量を比較してみたところ、Thermalright Silver Arrow TR4の重量は1072g、Noctua NH-U14S TR4-SP3の重量は1028g、Noctua NH-D15の重量は1285gでした。
Thermalright Silver Arrow TR4のヒートシンク
続いてThermalright Silver Arrow TR4のヒートシンクをチェックしていきます。Thermalright Silver Arrow TR4のヒートシンクの放熱フィンは一般的なアルミニウム製ですが光沢のあるニッケルメッキが施されており、見た目に美しいだけでなく、汚れにくく錆びにくいというメリットもあります。
Thermalright Silver Arrow TR4のヒートシンク放熱フィンはベースコア前後から分岐するツインタワー型です。
PCケースサイドパネルから見える天面からがわかりやすいのですが、矢じりのような鋭角的な形状と光沢のあるニッケルメッキによる銀色のデザインは”Silver Arrow”という名を表しています。
鋭角的なデザインのデメリットとしては放熱フィン側面の折り曲げ加工などは施されていないので、CPUクーラーヒートシンクを持った時にフィンで手を切らないように注意が必要です。
「Thermalright Silver Arrow TR4」のヒートシンクはベースコアを中心に放熱フィンが正面から見て右側にオフセットされており前後の方向が定まっています。ヒートシンクの左右はオフセットがあり非対称ですが、前後は対称な形状になっています。右下の側面写真を見るとわかりやすいですが、気流の方向に沿って放熱フィンが波打った形状になっているところも特徴的です。
ニッケルメッキの施された銅製ベースコアからは同じくニッケルメッキ銅製の6mm径ヒートパイプが片側8本で計16本も伸びるという非常に豪華な構成です。
Thermalright Silver Arrow TR4のベースコアプレートはニッケルメッキの銅製でCPUクーラーヒートスプレッダとの接触面積を最大化するために鏡面化(平滑化)されています。
「Thermalright Silver Arrow TR4」には既存のCPUと比較して超大型なRyzen Threadripperの68mm×51mmのCPUヒートスプレッダを完全にカバーすることが可能な68mm×53mmのニッケルメッキ処理済み大型銅製ベースプレートが採用されています。
Thermalright Silver Arrow TR4の冷却ファン
Thermalright Silver Arrow TR4には「Thermalright TY-143 FAN」というラウンドフレーム形状で150mm径の大型冷却ファンが標準で1基付属します。「Thermalright TY-143 FAN」の定格ファン回転数は2500RPMで、PWM速度制御によって600~2500RPMの範囲で制御が可能です。ファンフレームは赤が強めなレンガ色、ファンブレードは蛍光感のあるオレンジ色と比較的鮮やかなカラーリングなので好みが分かれ、ブラックやシルバーなどでシンプルにまとめたいユーザー向きではないかもしれません。冷却ファンの軸を支えるフレームはファンブレードの回転と直交する向きに軸から伸びてファン回転とは逆方向に弧を描いて気流の直進性を増し、静音性も確保できる形状です。
吸気・排気面を広くとるため、ファンフレームの前後はすり鉢形状になっています。
ファンの外寸は横150mm、縦140mmと独特な形状です。0時と6時部分のフレームが薄くなって、ここでもヒートシンク付きメモリ等との干渉回避の配慮が加えられています。ネジ穴は120mmサイズの汎用ケースファンと同じ位置に配置されていました。
冷却ファンのヒートシンクへの固定方法はサイドフローCPUクーラーとしては一般的な針金のファンクリップを使用する方式です。標準で使用するヒートシンク中央用クリップ*2、増設オプションとしてヒートシンク前後に使用するファンクリップとして、右側クリップ(赤色ラベル)*2と左側クリップ(白色ラベル)*2の3種類6本が付属します。
「Thermalright TY-143 FAN」のフレームには防振ラバーパッドがないので、冷却ファンとヒートシンクの間には共振対策として防振ラバーパッドを挟みます。ラバーパッドは冷却ファンではなくヒートシンクに貼り付けます。
冷却ファンのネジ穴にファンクリップを引っ掛けるのですが、中央用のクリップはファンに対して脱落を防止出来る形状になっておらず、すぐに外れてしまうので、慣れるまで固定が難しく感じました。前後のファンクリップについてはファンから脱落しにくい形状になっています。
「Thermalright Silver Arrow TR4」では増設オプション扱いになっている前後のファンクリップについては特に問題ないのですが、標準で使用する中央用ファンクリップについては、Noctua製空冷CPUクーラーのファンクリップと比較すると、ヒートシンクに固定するまでファンから容易に脱落する形状や、指を引っ掛けるための凸状の折り曲げがないなど若干使い難さを感じました。
「Thermalright Silver Arrow TR4」に標準で付属する「Thermalright TY-143 FAN」はAmazonなどで冷却ファン単体でも販売されているので、保守部品や増設オプションパーツとして簡単に入手することができます。
Thermalright TY-143 FAN 日本正規代理店品
Thermalright
増設オプションとしてヒートシンクの前後に設置できる冷却ファン用のファンクリップもCPUクーラーに付属するのでThermalright TY-143 FANを追加で購入すればデュアルファンやトリプルファンも構築可能です。
ただし「Thermalright Silver Arrow TR4」と単品販売の「Thermalright TY-143 FAN」のどちらにもPWM対応4PINファンの分岐ケーブルは付属しません。各ファンをそれぞれマザーボードやファンコンに接続するか、個別に分岐ケーブルを購入する必要があるので注意してください。
ちなみに「Noctua NF-A15 PWM Fan」は「Thermalright TY-143 FAN」とほぼ同じ形状なので、「Thermalright Silver Arrow TR4」で使用できます。
Thermalright Silver Arrow TR4の外観
ヒートシンクと冷却ファンの個別チェックも済んだところで、ヒートシンクへ冷却ファンを組み込んで「Thermalright Silver Arrow TR4」の完成状態の外観や寸法をチェックしていきます。Thermalright Silver Arrow TR4はいかにも空冷CPUクーラーらしい外観で、矢じりを模した鋭角的なデザインのツインタワー型アルミニウム製ヒートシンクが目立ちます。シルバーの名の通りニッケルメッキ処理によって眩い光沢を放っているのも目を引くところです。
「Thermalright Silver Arrow TR4」は標準位置にファンを設置すると、ヒートシンクよりも中央の冷却ファンの方が高い位置にあって、全高は製品仕様通り163mmでした。ファンの位置はファンクリップで上下にオフセットできるので、前後にファンを増設して大型ヒートシンク付きメモリとの干渉を避けるため高い位置にファンを設置するとそれだけ全高も高くなるので注意してください。
Thermalright Silver Arrow TR4の検証機材・セットアップ
Thermalright Silver Arrow TR4を検証機材のベンチ機にセットアップします。ベンチ機のシステム構成は次のようになっています。テストベンチ機の構成 | ||
ベンチ機1 |
ベンチ機2 |
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OS | Windows10 Home 64bit | |
CPU |
AMD Ryzen Threadripper 1950X 16コア32スレッド (レビュー) AMD Ryzen Threadripper 2990WX 32コア64スレッド (レビュー) |
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M/B | 【動作検証用】 ・ASRock Fatal1ty X399 Professional Gaming(レビュー) ・MSI MEG X399 CREATION(レビュー) 【各種クリアランス検証用】 ・ASRock X399M Taichi(レビュー) ・ASUS ROG ZENITH EXTREME (レビュー) ・MSI X399 GAMING PRO CARBON AC (レビュー) ・GIGABYTE X399 Designare EX(レビュー) |
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メインメモリ | G.Skill FLARE X for AMD RYZEN TR F4-3200C14Q-32GFX DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) |
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グラフィックボード |
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
EVGA GTX 1080 SC2 (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung SSD 860 PRO 256GB (レビュー) |
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電源ユニット |
Corsair HX1200i (レビュー) |
Thermaltake Toughpower iRGB PLUS 1250W Titanium (レビュー) |
PCケース/ ベンチ板 |
STREACOM BC1 (レビュー) |
Cooler Master MASTERCASE MAKER 5t (レビュー) NZXT Aer F 140 3基(レビュー) |
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、Ryzen Threadripper&X399のようなエンスー環境のシステムストレージ用に一押しのSSDです。
・「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
CPUクーラーの設置方法について、当サイトの評価基準となるチェックポイントは次の3つです。
- LGA115Xの場合、CPU固定バックプレートが単独でマザーボードに固定できるか
- マウントパーツ設置状態でCPUを交換できるか
- 空冷の場合、ネジ止めの場合はマザーボード側から固定できるか
簡易水冷or水冷ブロックの場合、ハンドスクリューなどツールレス固定ができるか
上の3項目を全て満たす例として本格水冷用のCPU水冷ブロックですが「EK-Supremacy EVO」のマウンタ構造は「バックプレートをM/Bに固定可能」「完全ツールレス」「マウンタ設置状態でCPUの交換が可能」なので本格水冷・簡易水冷クーラーの水冷ブロック固定方式としてはベストだと思っています。水冷クーラーメーカーにはどんどん真似してもらいたい理想的な構造です。
「Thermalright Silver Arrow TR4」ではCPUクーラーをマザーボードに固定するために、最初にマウントパーツを装着します。使用する部品はマウンティングプレート*2、スクリューピラー(スタンドオフ)*4、プレート固定ネジ*5、CPUクーラー固定ネジ(ワッシャー付き)*3の4種類です。
まずはスクリューピラーをCPUソケット四隅のネジ穴に装着します。
続いてスクリューピラーにマウンティングプレートを乗せて、プレート固定ネジ(ワッシャーが付いていないほう)でマウンティングプレートを固定します。以上でマウントパーツの設置は完了です。見ての通りマウントパーツを設置するとそのままではCPUは交換できなくなります。
CPUクーラーをマザーボードに固定する準備はこれで完了したので熱伝導グリスをCPUのヒートスプレッダに塗布します。熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
Thermal Grizzly Kryonaut TG-K-001-RS(少量、1g)
Thermal Grizzly Kryonaut TG-K-015-RS(1.5ml)
Thermal Grizzly Kryonaut TG-K-030-RS(3.0ml)
親和産業
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
「Thermalright Silver Arrow TR4」については製品マニュアルで下の画像のように推奨の塗り方が紹介されています。まず最初に等間隔に9カ所小さめに熱伝導グリスを落として、さらにその間の4か所に少し大きめに熱伝導グリスを塗るという塗り方が推奨されています。
普段は熱伝導グリスを上のようにてきとうに塗っているのですが、推奨の塗り方が紹介されているので今回の検証ではマニュアルにならってみました。
この塗り方だとCPUのヒートスプレッダ全体へ熱伝導グリスが綺麗に伸びます
熱伝導グリスを塗ったらCPUクーラーヒートシンクを乗せて付属のプラスドライバーでネジ止めすればヒートシンクの装着は完了です。
ヒートシンクをマザーボードに固定したら最後にファンクリップでヒートシンクに冷却ファンを装着して、Thermalright Silver Arrow TR4の設置作業は完了です。
Thermalright Silver Arrow TR4の各種クリアランス
CPUクーラーの性能検証に入る前に、空冷CPUクーラーにはつきものである最上段PCI-EスロットやVRM電源ヒートシンクやヒートシンクを搭載したシステムメモリとのクリアランス問題についてThermalright Silver Arrow TR4の事情をチェックしていきます。クリアランスの検証マザーボードとしては後ほど冷却性能の検証機材としても使用する「ASRock Fatal1ty X399 Professional Gaming(ASRock X399 Taichi)」に加えて、「ASRock X399M Taichi」、「ASUS ROG ZENITH EXTREME」、「GIGABYTE X399 Designare EX(GIGABYTE X399 AORUS Gaming 7)」、「MSI X399 GAMING PRO CARBON AC」、「MSI MEG X399 CREATION」のマザーボード6機種(サイズ共通製品を含めると8機種)についても確認しました。
まず最初にAMD Ryzen Threadripperに対応するX399チップセット搭載TR4 Socketマザーボードと直接的に関係のあるプライマリグラフィックボードを設置する最上段PCI-EスロットおよびVRM電源クーラーとのクリアランスについてチェックします。
ATXフォームファクタの「ASRock Fatal1ty X399 Professional Gaming(ASRock X399 Taichi)」「GIGABYTE X399 Designare EX(GIGABYTE X399 AORUS Gaming 7)」「MSI X399 GAMING PRO CARBON AC」、MicroATXフォームファクタの「ASRock X399M Taichi」、E-ATXフォームファクタの「MSI MEG X399 CREATION」については、Thermalright Silver Arrow TR4はVRMヒートシンクやプライマリグラフィックボードを設置する最上段のPCI-Eスロットと干渉することなく正常に設置することができました。
「ASRock Fatal1ty X399 Professional Gaming(ASRock X399 Taichi)」
「GIGABYTE X399 Designare EX(GIGABYTE X399 AORUS Gaming 7)」
「MSI X399 GAMING PRO CARBON AC」
「ASRock X399M Taichi」
「MSI MEG X399 CREATION」
E-ATXフォームファクタの「ASUS ROG ZENITH EXTREME」については、プライマリグラフィックボードを設置するための最上段のPCI-Eスロットにヒートシンクが被ってしまいます。最上段のPCI-Eスロットを使用しないのであれば使用上の問題はありませんが、最上段のPCI-Eスロットは使用できないということは押さえておいてください。
「ASUS ROG ZENITH EXTREME」
比較的大型な空冷CPUクーラーの多くに言えることですが、CPUクーラーとグラフィックボードの隙間が狭いので、CPUクーラーの設置自体は問題ないのですが取り外しの際には少し困るかもしれません。取り外しのためには定規などを使用してPCI-Eスロットのグラフィックボード固定爪を解除する必要があります。
取り付けよりも取り外しで困るというのは大型空冷CPUクーラーのあるあるネタなので注意してください。取り外しの際はグラフィックボード固定爪の解除のためにプラスチックの定規など細くて固いものを事前に用意しておくことをお勧めします。
続いて空冷CPUクーラーではヒートシンク付きDDR4メモリとの干渉が起きやすいのでリファレンス機材としてKingstonから提供いただいた「Kingston HyperX Fury DDR4」などを使用してCPUクーラーとメモリの干渉の有無をチェックしていきます。
その他のメモリのクリアランス検証の機材として「Samsung B-Die バルクメモリ(レビュー)」「Kingston HyperX Savage(レビュー)」「Kingston HyperX Predator RGB(レビュー)」「Corsair VENGEANCE LPX(レビュー)」「G.Skill Flare X(レビュー)」「G.Skill Trident Z Red/RGB/Black(レビュー)」「Corsair VENGEANCE RGB PRO(レビュー)」「Corsair Dominator Platinum(レビュー)」も使用します。
AMD Ryzen Threadripperに対応するX399 TR4 Socket環境はクアッドチャンネルで最大8枚のメモリ装着に対応しており、使用するメモリ数に対して通常は次のようなレイアウトが推奨されています。CPUクーラーとメモリの干渉が発生する可能性が高いのは4枚刺し、もしくは8枚刺しを行う場合のCPUソケットに最も近い位置にある左右2つずつの4スロットとなります。
まずは「Thermalright Silver Arrow TR4」のヒートシンク中央にのみ冷却ファンを装着する標準構成とした場合のメモリクリアランスを確認します。
ATXフォームファクタの「ASRock Fatal1ty X399 Professional Gaming(ASRock X399 Taichi)」、「GIGABYTE X399 Designare EX(GIGABYTE X399 AORUS Gaming 7)」、「MSI X399 GAMING PRO CARBON AC」およびE-ATXフォームファクタの「MSI MEG X399 CREATION」からメモリクリアランスについてチェックしていきます。
これらのマザーボードにおける「Thermalright Silver Arrow TR4」のメモリクリアランスについては4枚刺しの場合はCPUスロットに最も隣接するメモリスロットを使用しないので「Corsair Dominator Platinum」や「Corsair VENGEANCE RGB PRO」等のかなり背の高いヒートシンクを備えたメモリであっても干渉の心配はありません。
一方で8枚刺しの場合はヒートシンク放熱フィンの下端とメモリのヒートシンク上端が接触してしまう可能性があります。ヒートシンク放熱フィン下端までの間隔は45mm程度となっており、今回検証したメモリの中では3番目に背の高い「G.Skill Trident Z Red/RGB/Black」がギリギリで設置できました。
MicroATXフォームファクタの「ASRock X399M Taichi」についてはメモリスロットが4基しかなく、4枚刺しが基本構成となりますが、CPUソケットに近い両側のメモリスロットにヒートシンクが被るので、全高45mm以下のメモリを選択する必要があり、ATXマザーボードの8枚刺し同様に「G.Skill Trident Z Red/RGB/Black」がギリギリで設置できます。
E-ATXフォームファクタの「ASUS ROG ZENITH EXTREME」についてはメモリスロットにヒートシンク放熱フィンは被らないので、「Corsair Dominator Platinum」や「Corsair VENGEANCE RGB PRO」のようなかなり背の高いヒートシンクを備えたメモリでも8枚刺しが可能です。
メモリクリアランスが十分ながら「Thermalright Silver Arrow TR4」では最上段のPCI-Eスロットが干渉してしまう「ASUS ROG ZENITH EXTREME」ですが、シングルGPU環境であれば最上段と同じくPCI-E3.0x16帯域の5段目のスロットにグラフィックボードを設置するという手もあります。簡単にチェックしてみましたが1段目と5段目でグラボの設置位置ではグラフィック性能には差は出ません。
「シングルGPU環境で5段目にグラボを設置」、「大型ヒートシンク搭載メモリ8枚刺し」、「どうしてもASUS ROG ZENITH EXTREMEを使いたい」など複数の条件に見合えば検討してみる価値はあると思います。
続いて「Thermalright Silver Arrow TR4」の増設オプションとしてヒートシンク前方とヒートシンク後方のどちらか、もしくは両方に冷却ファンを設置した場合のメモリとのクリアランスについてチェックしていきます。
「Thermalright Silver Arrow TR4」で追加の冷却ファンを設置した場合は、いずれのマザーボードにおいても、4枚刺しと8枚刺しの両方でメモリ上に冷却ファンが位置します。
ヒートシンクのないDDR4メモリであれば「Thermalright Silver Arrow TR4」の標準構成となる中央冷却ファンと同じ高さで前後の冷却ファンも設置できました。
ヒートシンク付きメモリを使用する場合は、ヒートシンクなしメモリの全高31mmを基準としてヒートシンクで背が高くなる分だけCPUクーラーの全高が高くなります。「Corsair Dominator Platinum」や「Corsair VENGEANCE RGB PRO」等の標準メモリより+20mm前後とかなり背の高いヒートシンクを備えたメモリでは、冷却ファンのオフセットがかなり高くなってファンの気流面と放熱フィンの面とのズレが大きくなるので非推奨となります。
ヒートシンク放熱フィンと冷却ファンの位置をメモリ別でチェックしてみると、「Kingston HyperX Fury」、「Kingston HyperX Savage」、「Corsair VENGEANCE LPX」などロープロファイルヒートシンク付きメモリは、標準DDR4メモリと数mmしか高さが変わらないので、増設オプションとしてファン設置しても違和感なく使用できると思います。
「G.Skill Flare X」、「Kingston HyperX Predator RGB」、「G.Skill Trident Z Red/RGB/Black」など標準メモリよりも10mm前後高いヒートシンクを備えたメモリについては、ファン位置がヒートシンク差分だけオフセットで高くなるものの、ファンの気流面が放熱フィンの大部分をカバーできているので、全高でPCケースとの干渉がなければ問題なく使用できると思います。
「Thermalright Silver Arrow TR4」はRyzen Threadripper専用CPUクーラーなので、Threadripper環境向けハイパフォーマンスメモリとしては鉄板モデルの「G.Skill FLARE X F4-3200C14Q-32GFX」と組み合わせて使用するのを検討しているユーザーも多いと思いますが、全高が10mmほど高くなるものの、ファンの気流面が放熱フィンをカバーできているので、マルチファン構成も問題ないと思います。
今回検証で使用した各DDR4メモリと「Thermalright Silver Arrow TR4」のクリアランスに関する互換性は次の表のようになりました。
Thermalright Silver Arrow TR4のメモリ互換性 | ||||
高さ | 4枚刺し | 8枚刺し | 増設ファン | |
ヒートシンクなし | 31mm | 〇 | 〇 | 〇 |
HyperX Fury <販売ページ> |
34mm +3mm |
〇 | 〇 | 〇 |
HyperX Savage <販売ページ> |
34mm +3mm |
〇 | 〇 | 〇 |
Corsair VENGEANCE LPX <販売ページ> |
34mm +3mm |
〇 | 〇 | 〇 |
G.Skill Flare X <販売ページ> |
39mm +8mm |
〇 | 〇 | △ |
HyperX Predator RGB <販売ページ> |
42mm +11mm |
〇 | 〇 | △ |
G.Skill Trident Z <販売ページ> |
43mm +12mm |
〇 | 〇 | △ |
Corsair Vengeance RGB Pro <販売ページ> |
49mm +18mm |
〇 | × 〇 (ZENITH) |
△: 非推奨 |
Corsair Dominator Platinum <販売ページ> |
54mm +23mm |
〇 | × 〇 (ZENITH) |
△: 非推奨 |
Thermalright Silver Arrow TR4の冷却性能
本題となるThermalright Silver Arrow TR4についてチェックしていきます。検証システムをベンチ板に置いた状態で測定を行っているためCPUクーラーが水冷・空冷によらず基本的にCPUクーラーの理想的な性能をチェックすることになります。
比較対象として240サイズラジエーター採用のRyzen Threadripper専用簡易水冷CPUクーラー「ENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR240-TBP(レビュー)」、Noctua製のRyzen Threadripper専用空冷CPUクーラー「Noctua NH-U14S TR4-SP3(レビュー)」、Ryzen ThreadripperのCPUに対応ブラケットが付属しロンチ当時からTR4に対応している280mmラジエーター搭載ハイエンド簡易水冷CPUクーラー「NZXT KRAKEN X62(レビュー)」についても同一環境で検証を行いました。
検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はRyzen Threadripper 1950Xの場合10分ほどなので同じ動画のエンコードを2つ並列して2周実行しています。テスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
検証環境にはAMD Ryzen Threadripper 1950XでマザーボードにASRock Fatal1ty X399 Professional Gamingを使用して、CPUコアクロックを全コア4.0GHz、コア電圧1.350V、LLC:Level2に手動でオーバークロックした時のストレステスト中の温度をチェックしていきます。
この検証システムでRyzen Threadripper 1950Xを定格動作させるとTDP180Wの制限がかかるためシステム全体の消費電力は220W程度となりますが、上のOC設定を適用するとシステム全体の消費電力は130Wほど増えて350W前後となり、TDP換算ではTDP310WのCPUを検証していると考えられます。
「Thermalright Silver Arrow TR4」のファン回転数を1500RPMに固定して、Ryzen Threadripper 1950Xの全コア4.0GHz OC(TDP換算310W)に負荷をかけ続けてみたところ、最大温度77度、平均温度73.2度となりました。「Thermalright Silver Arrow TR4」の付属ファン「Thermalright TY-143 FAN」の定格(最大)ファン回転数は2500RPMなのでまだ余力を残しています。
「Thermalright Silver Arrow TR4」は比較対象として同様に検証したRyzen Threadripper対応空冷「Noctua NH-U14S TR4-SP3」やThreadripper CPUにTR4対応ブラケットが標準で付属する280サイズ簡易水冷「NZXT KRAKEN X62」を若干ですが上回る優れたパフォーマンスを発揮しており、Ryzen Threadripper専用の空冷CPUクーラーとしては間違いなく最強性能です。
ただし消費電力が300Wを超えてくるのとヒートシンク(ラジエーター)の放熱容量だけでなくCPUヒートスプレッダと接するベース部分の構造(ヒートパイプと水冷ブロック)の熱交換性能のCPU温度に対する比重がかなり大きくなようで、ヒートパイプという熱拡散の構造自体がボトルネックになるのか、ENERMAX LIQTECH TR4には及ばない結果になりました。
さらに「Thermalright Silver Arrow TR4」に増設オプションとしてヒートシンク前方へ冷却ファンを追加で設置してみました。
「Thermalright Silver Arrow TR4」はベースプレートの前後に放熱ヒートシンクが拡張されたツインタワー型CPUクーラーなので、2基目のファンを増設して両方のファン回転数を1300RPMに固定すると、シングルファンの1500RPMによる検証結果よりも低い、最大75.1度、平均71.2度という温度になりました。ツインタワー型CPUクーラーという構造上、メモリクリアランスとはトレードオフになりますが、ファンノイズで正規化してみても「Thermalright Silver Arrow TR4」のヒートシンク前方への2基目のファン増設は冷却性能の向上においておすすめなオプションだと思います。
またサウンドレベルメーター(騒音計)を使用してファンノイズをCPUクーラー別で比較しました。騒音計の収音部分とノイズ発生部分との距離が15cm程度になる位置で測定を行っています。簡易水冷の場合はラジエーターとポンプ両方からの距離が15cm程度になるように設置しています。
電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも不快に感じたり感じなかったりと音の性質にもよるので注意してください。
Thermalright Silver Arrow TR4のシングルファン標準構成においてはファン回転数1200RPM以下であれば騒音値も36.0dB程度となり電源OFF時と大差ない騒音値でほぼ無音で動作させることができます。CPUをOCする場合でも1500PRM前後であれば42dB程度なので比較的静音で動作させることが可能です。
ファンを増設すると同じファン回転数でもファンノイズが上昇しますが、ツインタワー型ヒートシンクの構造上、ヒートシンク前方へのファン増設はファンノイズで正規化してみても冷却性能が伸びるのでおすすめです。
Thermalright Silver Arrow TR4で32コア64スレッドRyzen Threadripper 2990WXを冷やす
Thermalright Silver Arrow TR4を使用して、8月13日に販売が解禁された32コア64スレッドで一般に販売されるCPUとしては2018年現在、文句なしに最強のマルチスレッド性能を誇るRyzen Threadripper 2990WXを冷やしてみます。Ryzen Threadripper 2990WXを使用した検証ではCPU以外に、マザーボードもMSI MEG X399 CREATIONに切り替えています。19フェーズVRM電源を搭載しておりTDP250WのRyzen Threadripper 2990WXでも定格動作であればVRMはパッシブ空冷のままで運用できるので、2990WXとの組み合わせにおすすめのマザーボードです。
18年8月現在、Ryzen Threadripper 2990WXが発売されたばかりということもあり、定格動作であればある程度は安定しているのですが、マニュアル設定による全コア同時OCや「Precision Boost Overdrive」を使用すると定格よりパフォーマンスが下がるなど上手く動作しないケースが多く、CPUのOC時のストレステストやCPUクーラーの負荷テストとして使用している動画のエンコードも正常に動作しませんでした。
そのため今回はRyzen Threadripper 2990WXの定格を「Thermalright Silver Arrow TR4」が冷やせるか検証しました。Ryzen Threadripper 2990WXの定格で動画のエンコードによって負荷をかけるとシステム全体の消費電力(ほぼCPUによる消費電力)は300W~330Wで推移します。
検証方法については上と同様に、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はRyzen Threadripper 2990WXの場合5分ほどなので同じ動画のエンコードを4つ並列して2周実行しています。テスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
「Thermalright Silver Arrow TR4」のファン回転数を1400RPMに固定して、Ryzen Threadripper 2990WXの定格動作に負荷をかけ続けてみたところ、CPU温度は最大温度56.3度に収まりました。4つのダイに消費電力が分散する形になるので、同じ消費電力であれば1950XのOCよりも温度は低めに出るようです。
Ryzen Threadripper 2990WXの定格動作においてはCPU温度(T die)に27度加えた、コントロール温度(T ctl)が95度以下であれば、Precision Boost&XFRによる自動OCによってベースクロック3.0GHzより高いコアクロックで動作しますが、「Thermalright Silver Arrow TR4」は冷却性能も十分なので平均3.175GHzで動作しています。付属冷却ファン「Thermalright TY-143 FAN」の定格(最大)ファン回転数は2500RPMなのでまだ十分に余力も残しています。
Thermalright Silver Arrow TR4のレビューまとめ
最後にRyzen Threadripper対応ハイエンド空冷CPUクーラー「Thermalright Silver Arrow TR4」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- Silver Arrowの名の通り鋭角的なデザインとニッケルメッキによるシルバーのヒートシンクが美しい
- ThreadripperのIHSを完全にカバーする68mm×53mmの超大型ベースプレート
- 左右8本で計16本の6mm径銅製ヒートパイプ
- 140mm+径の大型冷却ファンをゆっくり回せるので静音性が高い
- ファン固定位置はクリップで上下に動かせるので大型ヒートシンク付きメモリも使用可能
- 16コア1950Xの4.0GHz OC(TDP310W相当)も運用可能な冷却性能
- 32コア2990WXの定格動作を運用可能な冷却性能
- 別売りファン使用のデュアルファン構成でさらに冷却性能UPも狙える
- 冷却ファンの形状が特殊なので汎用品は基本的に使用できない
(同一ファンが公式に単品販売されています。) - 大型グラフィックボードと組み合わせた場合に取り付けは問題ないが取り外しが難しい
- 中央ファンのファンクリップが固定しにくい
「Thermalright Silver Arrow TR4」はRyzen Threadripperの超巨大なCPUヒートスプレッダ全体をカバーする面積68mm×53mmのニッケルメッキ処理済み大型銅製ベースプレートと、左右16本のヒートパイプで構成されたツインタワー大型ヒートシンクを採用してRyzen Threadripper専用に最適化されたCPUクーラーだけあって、32コア64スレッドでTDP250WのRyzen Threadripper 2990WXを静音性を保ったままで十分に冷却できる性能があります。
また「Thermalright Silver Arrow TR4」は空冷CPUクーラーながらTDP310W相当となる1950Xの全コア4.0GHzオーバークロックにも対応が可能でした。ただし簡易水冷CPUクーラーに比べて空冷CPUクーラーはPCケース組み込みでベンチ板計測時より冷却性能が下がりやすい傾向があるのでケース内の吸排気に注意が必要です。
ファンを増設すると同じファン回転数でもファンノイズが上昇しますが、シングルタワー型ヒートシンクで冷却ファンを増設した場合、ファンノイズに対して冷却性能は伸びにくい傾向にあるのに対して、「Thermalright Silver Arrow TR4」のツインタワー型ヒートシンクの場合は、その構造上、ヒートシンク前方へのファン増設はファンノイズで正規化してみても冷却性能が伸びやすいのでおすすめな増設オプションです。
またThermalright Silver Arrow TR4に限った話ではありませんが比較的大型な空冷CPUクーラーでは取り付けは比較的簡単ですが大型グラフィックボードと組み合わせた場合に取り外しに難儀するのでその点は事前に押さえておいてください。取り外しの際はグラフィックボード固定爪の解除のために定規など細くて固いものが必要になります。
「Thermalright Silver Arrow TR4」はThreadripper対応空冷CPUクーラーとしては間違いなく最強性能であり、32コア64スレッドでTDP250WのモンスターCPUである「Ryzen Threadripper 2990WX」にも対応可能なので、第2世代Ryzen Threadripper環境を構築する上で、空冷CPUクーラーにこだわりがあるユーザーには非常におすすめなCPUクーラーです。
以上、「Thermalright Silver Arrow TR4」のレビューでした。
Thermalright TY-143 FAN 日本正規代理店品
Thermalright
Thermalright Silver Arrow TR4のメモリ互換性 | ||||
高さ | 4枚刺し | 8枚刺し | 増設ファン | |
ヒートシンクなし | 31mm | 〇 | 〇 | 〇 |
HyperX Fury <販売ページ> |
34mm +3mm |
〇 | 〇 | 〇 |
HyperX Savage <販売ページ> |
34mm +3mm |
〇 | 〇 | 〇 |
Corsair VENGEANCE LPX <販売ページ> |
34mm +3mm |
〇 | 〇 | 〇 |
G.Skill Flare X <販売ページ> |
39mm +8mm |
〇 | 〇 | △ |
HyperX Predator RGB <販売ページ> |
42mm +11mm |
〇 | 〇 | △ |
G.Skill Trident Z <販売ページ> |
43mm +12mm |
〇 | 〇 | △ |
Corsair Vengeance RGB Pro <販売ページ> |
49mm +18mm |
〇 | × 〇 (ZENITH) |
△: 非推奨 |
Corsair Dominator Platinum <販売ページ> |
54mm +23mm |
〇 | × 〇 (ZENITH) |
△: 非推奨 |
補足:空冷クーラーと水冷クーラーの違いについて
「空冷クーラー」と「水冷クーラー」の2種類ついて同じところと違うところ、また原理的に考えた冷却性能の比較を簡単に補足しておきます。関連記事
・「AMD Ryzen Threadripper 2990WX」を全コア4.0GHzにOCレビュー・ENERMAX LIQTECH TR4シリーズのレビュー記事一覧へ
・Noctua製Ryzen Threadripper対応空冷CPUクーラーのレビュー記事一覧へ
・メモリ干渉フリーなThreadripper対応空冷CPUクーラー「Deepcool Fryzen」をレビュー
・X399チップセット搭載Socket TR4マザーボードのレビュー記事一覧へ
・「G.Skill FLARE X F4-3200C14Q-32GFX」をレビュー
(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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