GIGABYTE Z390 AORUS MASTER


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8コア16スレッドのCore i9 9900KなどIntel第9世代CoffeeLake Refresh-Sに対応するZ390チップセット搭載マザーボードとしてGIGABYTEからリリースされた、ゲーマー向けブランド”AORUS”シリーズのハイエンドモデル「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」のレビュー用サンプルをメーカーよりお借りできたのでレビューしていきます。「Design for All Cores 5GHz+」をキャッチコピーにするAORUS Z390マザーボードのATXサイズ最上位モデルの実力を徹底検証します。
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製品公式ページ:https://www.gigabyte.com/jp/Motherboard/Z390-AORUS-MASTER-rev-10
マニュアル:http://download.gigabyte.asia/FileList/Manual/mb_manual_z390-aorus-master_1001_j.pdf
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【注意事項】
検証中のトラブルなども記事内で記載していますが、Intel CoffeeLake Refresh-S CPU自体が発売されたばかりなので、OSの問題なのか、マザボBIOSの問題なのか原因の切り分けが現状でできないものも少なくありません。今後ドライバやBIOSなどソフトウェアの更新でパフォーマンスや安定性が向上することは期待できると思うので、その辺りも念頭に置いて読んでもらえるとありがたいです。
同検証は19年1月中旬に行っておりGIGABYTE Z390 AORUS MASTERのBIOSはF8eを使用しています。最新BIOSでは修正されている不具合や追加されている機能もあると思うので、最新BIOSのリリースについては公式ページを各自でチェックしてください。

サポート:https://www.gigabyte.com/jp/Motherboard/Z390-AORUS-MASTER-rev-10#support-dl-bios

【19年1月30日:初稿】
レビュー記事初稿を公開、BIOS:F8eで検証



GIGABYTE製のマザーボードについて

GIGABYTE製マザーボードについてはGIGABYTEの公式サポートページにおいてアカウント登録が必要ですが、意外なことに日本語による問い合わせに対応しています。問い合わせページのインターフェースの言語は英語なので英語で行けるところは英語で入力するほうがいいと思いますが、長文を書く必要がある問い合わせの本文では日本語で書いてもしっかり対応してもらえました。
サポートページ:http://esupport.gigabyte.com/Login/Index?ReturnUrl=%2f
GIGABYTE サポート
国内のマザーボードベンダー大手を見ると、ASUSとMSIが代理店に丸投げで直通の有人サポートなしに対して、GIGABYTEは日本語対応可能な有人サポートありというのはかなり好印象です。メーカー直通の日本語対応有人サポートが欲しい人はGIGABYTE製マザーボードの購入を検討する価値はあると思います。


GIGABYTEマザーボードでは多数の独自機能アプリが用意されており、統合ランチャーである「APP Center」をスタート地点に利用できます。なお独自アプリの一部は「APP Center」をインストールしてからでないとインストール・使用できないので注意してください。
GIGABYTE APP Center
オンラインであればAPP Centerから最新ドライバやソフトウェアをインストール可能です。「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」専用アプリは10近くありますが必要なものだけをスマホのアプリ感覚で簡単にインストールできるのでAPP Centerは非常に便利なクライアントソフトです。
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「RGB Fusion」やファンコン統合インフォソフト「System Information Viewer」などユーザーにとって魅力的なアプリが多岐にわたって展開されていますが、各アプリの機能や使い方の概要は下の公式紹介ページにて日本語でわかりやすく解説されているので、GIGABYTE独自アプリを使いたい人は参考にしてください。
GIGABYE独自アプリ解説:http://www.gigabyte.jp/MicroSite/369/images/app-center.html
GIGABYE独自アプリ解説


GIGABYTE Z390 AORUS MASTER レビュー目次


1.GIGABYTE Z390 AORUS MASTERの外観・付属品
2.GIGABYTE Z390 AORUS MASTERの基板上コンポーネント詳細

3.GIGABYTE Z390 AORUS MASTERの検証機材のセットアップ
4.GIGABYTE Z390 AORUS MASTERのBIOSについて
5.多機能かつ使いやすいファンコン機能「スマートFan 5」について
6.イルミネーション操作機能「GIGABYTE RGB Fusion」について
7.
GIGABYTE Z390 AORUS MASTERのOC設定について
8.GIGABYTE Z390 AORUS MASTERの動作検証・OC耐性
9.GIGABYTE Z390 AORUS MASTERのレビューまとめ



GIGABYTE Z390 AORUS MASTERの外観・付属品

まず最初にGIGABYTE Z390 AORUS MASTERの外観と付属品をチェックしていきます。
パッケージを開くと上段にはマザーボード本体が静電防止ビニールに入った状態で収められていました。マザーボードを取り出すと2重底になっており下段には各種付属品が入っています。
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付属品一覧は次のようになっています。
マニュアルやドライバCDなど必要なものが一通り揃っています。ドライバ類についてはそろそろUSBメモリに移行して欲しいところ。ファングッズとしてはステッカー、バッジ、ケーブルタイが付属します。
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GIGABYTE Z390 AORUS MASTERには全編日本語の詳細なマニュアルが付属しているので、英語が苦手なユーザーでも安心して使用できます。日本語マニュアルについてはPDFファイルでサポートページで公開されています。
マニュアル:http://download.gigabyte.asia/FileList/Manual/mb_manual_z390-aorus-master_1001_j.pdf

組み立てに関連する付属品としては、SATAケーブル4本、M.2 SSD固定スペーサー&スクリュー*3セット、RGB対応汎用4PIN LEDケーブル、アドレッサブル対応3PIN LEDケーブル*2、SLI HBブリッジ、サーモセンサー2本、G-Connectorとなっています。GIGABYTE Z390 AORUS MASTERは外部温度センサーに対応しているのでそれに接続できるサーモセンサーも付属しているところが特徴的です。
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GIGABYTE Z390 AORUS MASTERにはNVIDIA製GPU搭載グラフィックボードでマルチGPUを構築するためのSLIブリッジとしてGTX 10XXシリーズの広帯域SLI接続に対応した1スロットスペース型のSLI HBブリッジが付属しています。
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GIGABYTE Z390 AORUS MASTERは、GIGABYTE RGB Fusionによるライティング制御に対応したLEDヘッダーの延長ケーブルとしてRGB対応汎用4PINヘッダー用ケーブルとアドレッサブル対応VG-D型3PINヘッダー用ケーブルの2種類が付属します。
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アドレッサブル対応VG-D型3PINヘッダー用ケーブルは同種のケーブルが2本付属します。
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GIGABYTE Z390 AORUS MASTERにはアドレス指定対応LEDテープ用のVD-G型3PINヘッダーがマザーボード上に実装されていますが、上のケーブルでロック付き3PINコネクタに変換できます。
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GIGABYTEの一部のマザーボードではフロントパネルコネクタのマザーボードへの装着を簡単にする独自パーツ「G-Connector」が付属します。
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今回は検証用スイッチ&LEDで試してみましたが次のように「G-Connector」へ各種コネクタを装着します。
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あとはこのまま「G-Connector」をマザーボードのフロントパネルヘッダーに挿せばOKという非常に便利な独自機能です。
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マザーボード全体像は次のようになっています。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTERはATXフォームファクタのマザーボードです。
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マザーボード右下のチップセット用ヒートシンクの中央に配置されたメタリックグレーのヘアラインアルミニウム製プレートには同製品のブランドネーム「AORUS」を示す「Speed(素早さ)」「Power(力強さ)」「Accuracy(精密さ)」を表現したという”鷹(ファルコン)”をモチーフにしたロゴが描かれています。Z370ではロボットの装甲的なデザインでしたが、Z390では薄っすら電子回路を模したパターンが描かれたシンプルなデザインに回帰しています。
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リアI/Oカバーはチップセットクーラーと同様にブラックのプラスチックをベースに電子回路パターンが刻印されたヘアラインアルミニウムプレートが装着されたデザインで、VRM電源に大きく被さる構造です。
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GIGABYTE Z390 AORUS MASTERには14(12+2)フェーズのVRM電源が搭載されています。
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6コア12スレッドCPU向け開発された前世代「GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7」では10フェーズのVRM電源回路が実装されていましたが、最大で8コア16スレッドとなるCore i9 9900Kのオーバークロックにも対応するよう新たに開発された「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」は14(12+2)フェーズのVRM電源が実装されており、CPU用に12フェーズの大容量VRM電源が確保されています。
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IR デジタル・コントローラーおよびPowIRstage ICによってVRM電源間の負荷が均一に分散するよう調停しており、一部のVRM電源へ集中した過負荷がかかりオーバーヒートが発生することを防ぐことで安定した電力供給を可能にしています。素子レベルでもサーバークラスの高信頼性コンポーネントによってVRM電源はデザインされているとのことです。
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一般的なPCB基板の2倍の厚さとなる銅箔層「2oz Copper PCB(2オンス銅箔層基板)」および通常よりも広く展開された電力供給レーン「Enlarged Power Plane」によって3次元的にCPUへの電力供給回路を拡大することによって電気抵抗(損失=発熱)を軽減し、全コア5GHz OCでも回路を低温に保つことができます。
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「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」には、グラフィックカード設計で培ったクーラー技術として100枚以上の放熱フィンプレートで構成される放熱用フィン設計「Fins-Array technology」を採用することにより、従来の単純なアルミニウム塊型ヒートシンク形状に比べ放熱面積を300%増加させています。加えてVRMからの発熱を速やかに拡散するヒートパイプのダイレクトタッチ構造や、従来のサーマルパッドよりも同じ時間に2.7倍の熱を伝達することが可能な5W/mK の高熱伝導率パッドが使用されています。
「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」のVRM電源クーラーには「ダイレクトタッチヒートパイプ」、「高性能熱伝導パッド」、「フィンカット加工アルミニウム塊ヒートシンク(Fin-Cut Heatsink)」、「Fin-Array Heatsink」、「放熱バックプレート」などGIGABYTEが開発してきた技術の粋を集めた設計によって、同社の過去製品比で30%以上高い放熱性能を実現しています。
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「GIGABYTE X399 AORUS XTREME」のマザーボード背面には重量の大きい大型のグラフィックボードやCPUクーラーの負荷による基板の曲がりなどを防止する金属製バックプレートが装着されています。またマザーボードのVRM電源部分の裏面とバックプレートはサーマルパッドを介して接触しており、バックプレートは基板の補強だけでなく、放熱板の役割も果たしています。
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「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」には8コア16スレッドのCore i9 9900Kのオーバークロックを行っても安定してCPUへ電力供給を行えるように8PIN*2のEPS端子が設置されています。EPS電源端子については電源容量800W以下の電源ユニットでは1つしか端子がない場合があるので、EPS端子が足りているか事前に注意して確認してください。
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さらに「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」にはマザーボード一体型リアI/Oバックパネルも採用されています。PCケースにパネルを装着する作業は固くて装着し難かったり、忘れてしまうこともあるのでマザーボードに標準で統合されているのは嬉しい機能です。
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リアI/Oには最新のUSB3.1 Gen2規格に対応したUSB端子として3基のType-Aと1基のType-Cの計4基で赤色USB端子が実装されています。そのほかのUSB端子については4基のUSB2.0端子と2基のUSB3.0端子が設置されています。個人的に残念なポイントとしてはUSB3.0/3.1は無線マウスと電波干渉を起こすことがあるので、USB2.0は少し離れた場所に設置して欲しかったです。
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ビデオ出力にはHDMIが設置されていますが、HDMI端子については4K・60FPSに非対応で4K・30FPSが上限となるver1.4対応です。Z390ザーボードでは4K・60FPSに対応したHDMI2.0を搭載するものは非常に少ないので外部GPU(グラフィックボード)を使用しないユーザーは注意が必要です。
ネットワーク関連では低CPU負荷、高スループットで定評のあるIntel純正のLANコントローラーが採用された有線LAN端子が設置されています。加えてIntel製のワイヤレスモジュールも実装されています。接続規格としてはWi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac、2.4/5GHzデュアルバンド、Bluetooth 5.0に対応しています。リアI/Oには無線モジュールのアンテナ端子が設置されており、付属のアンテナを接続できます。
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重量計を使用して重さを測定してみたところ、GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7は1054g、同じくATXサイズでZ270マザーボードとしては重い部類のASRock Z270 SuperCarrierは1092gに対して、GIGABYTE Z390 AORUS MASTERは1609gとなっており、金属製バックプレートなど豪華な構成だけあってかなりの大重量です。
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GIGABYTE Z390 AORUS MASTERの基板上コンポーネント詳細

続いて「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」のマザーボード基板上の各種コンポーネントをチェックしていきます。
システムメモリ用のDDR4メモリスロットはCPUソケット右側に4基のスロットが設置されています。
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固定時のツメは両側ラッチとなっています。片側ラッチよりも固定が少し面倒ですが、しっかりとDDR4メモリを固定できるので信頼性は高い構造です。プライマリグラフィックボードの設置PCI-Eスロットは2段目に配置されているのでPCI-Eスロット側のラッチと拡張ボードが干渉する心配もありません。
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DDR4メモリスロットには外部ノイズEMIから保護して安定したメモリOC環境を実現し、またメモリモジュールの挿抜によるPCB基板の歪みや破損を防止する金属シールド「Ultra Durable Memory Armor」が実装されています。
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グラフィックボードなどを設置するPCI-Eスロットは全7段で上から[x1、x16、x1、N/A、x16、x1、x16]サイズのスロットが設置されています。上段のプライマリグラフィックボード用スロットを2段目に配置することで、大型ハイエンド空冷CPUクーラーとグラフィックボードの干渉を回避しています。最下段のx16サイズスロットはPCIE3.0x4帯域ですが、直上のM.2スロット(M2P)と一部帯域が共有されており、M.2スロットにNVMe M.2 SSDが接続されている場合はPCIE3.0x2帯域に制限されます。
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グラフィックボード向けのx16スロットとしてプライマリは2段目、セカンダリは5段目に配置されており、現在主流な2スロット占有グラフィックボードを使用しても下位グラフィックボードが上位グラフィックボードのエアフローを妨げないよう配慮されています。付属の1スロットスペース型SLI HBブリッジを使用すればGTX 1080 TiやGTX 1070 Tiを使用したマルチGPU SLI環境を構築可能です。
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別売りオプションパーツのNVLink SLI Bridgeが必要ですが、3スロットのNVLink SLI BridgeがあればNVIDIAの最新GPUであるRTX 2080 TiやRTX 2080でもマルチGPU環境を構築可能です。
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GIGABYTE Z390 AORUS MASTERには最近のトレンドとしてx16スロット全てにPCI-Eスロット補強用メタルアーマー「Ultra Durable PCIe Armor」とPCI-Eスロット左右端の固定を補強するGIGABYTE特許取得済「Double Locking Bracket」による2重の保護が施されています。1Kgを超える重量級グラボの重さに耐えるためのこれらの対策により垂直方向に3.2倍、水平方向に1.7倍と両方向の負荷に対する強度は大幅に向上しています。
GIGABYTE Ultra Durable PCIe ArmorGIGABYTE Double Locking Bracket

SATAストレージ用の端子はマザーボード右下に6基搭載されています。SATA3_0~5はいずれもIntel Z390チップセットのコントローラーによる接続で、RAID0/1/5/10のハードウェアRAID構築にも対応しています。
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高速NVMe接続規格に対応したM.2スロットはCPUソケット下、PCI-Eスロット間、チップセット下の計3基が設置されています。M2MはNVMeとSATAの両方に対応していますが、SATA・NVMeに関わらずM..2 SSDを使用する場合はSATA3_4とSATA3_5は排他利用で使用できません。M2AもNVMeとSATAの両方に対応していますが、SATA接続の場合はSATA3_1端子と排他利用です。M2PはNVMeのみに対応しており、使用する場合は7段目のPCI-Eスロットの接続帯域がPCI-E3.0x2に制限されます。M2MM2AM2Pはいずれもチップセット経由の接続です
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3基のM2スロットにはNVMe規格の高速通信を行うM.2端子を外部ノイズEMIから保護して安定した接続を実現するためメタルアーマーが装着されています。
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「AORUS M.2 Thermal Guard」というカバー型の放熱ヒートシンクが3つのM.2スロット全てに装着されており、 M.2 SSDのサーマルスロットリングを防いで性能を最大限引き出します。
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GIGABYTE Z390 AORUS MASTERに関して、PCI-Eスロットや各種ストレージ端子の排他利用についてまとめると次のようになっています。
  • GPU用の2段目と5段目のPCI-Eスロットは[x16, N/A]or[x8, x8]帯域
  • 最下段x16スロットはM2Pと一部帯域共有で[x4, N/A] or [x2, x4]
  • M2M使用時はSATA・NVMeに関わらずSATA3_4とSATA3_5は使用不可
  • M2AでSATA接続のM.2 SSDを使用する場合、SATA3_1は使用不可

CPUとチップセット間はIntel Z390シリーズチップセットではDMI 3.0で接続されており、この帯域が非公式ながらNVMe M.2 SSDの接続規格であるPCI-E3.0x4とほぼ同じ帯域です。
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Z390チップセット搭載マザーボードのM.2スロットのうちチップセットを経由して接続されているストレージへ個別にアクセスがある場合は最新の3.0GB/s越えの高速SSDでもフルスペック動作が可能になっていますが、この帯域がボトルネックになるため複数のM.2スロットで一度にアクセスが発生すると合計で4GB/s程度がボトルネックになります。現状ではランダム性能への影響は軽微で主にシーケンシャル性能に制限がかかります。
M.2スロットのPCI-Eレーンがどこに繋がっているかで簡単に次のようなメリットとデメリットがあります。

CPU直結の場合 チップセット接続の場合
長所  複数のM.2 SSD(PCH側*1含む)の
 同時アクセスでもフルスペック動作
 IRSTによるハードウェアRAIDで
 性能を上げることができる
短所  IRSTによるハードウェアRAID
 が構築できない
 (Intel製SSDではVROCで
  ソフトウェアRAIDが構築可能)
 複数のM.2 SSDから同時にアクセス
 がある場合、ストライプRAIDの場合
 4GB/s程度がボトルネックになる
複数のM.2 SSDを同時にフルアクセスさせたい場合は、PCI-E→M.2アダプタを使用するなどしてCPU直結のM.2スロットを用意し、マザーボード備え付けのM.2スロットと組み合わせるなど工夫が必要です。


チップセット上非金にはUSB3.0内部ヘッダーと次世代規格のUSB3.1 Gen2に対応する内部ヘッダー設置されています。
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USB3.0内部ヘッダーはGIGABYTE独自機能「USB TurboCharger」に対応しており、フロントUSB3.0 Type-A/C端子で、Androidデバイス(QC 3.0)やAppleデバイス(Apple Fast-Charge)のるUSB高速充電が利用できます。
USB TurboCharger
USB2.0の内部ヘッダーも2基マザーボード下に設置されています。CorsairLinkやNZXT CAM対応製品などUSB2.0内部ヘッダーを使用する機器も増えていますが、GIGABYTE Z390 AORUS MASTERであればそれらの機器も問題なく使用可能です。内部USB2.0が2基でも不足する場合はUSB2.0ヘッダー増設ハブ「NZXT INTERNAL USB HUB」がおすすめです。
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「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」はゲーミングブランドAORUSの名を冠するだけあって、GIGABYTE独自の高音質オンボードサウンド機能「AORUS AUDIO」も採用されています。SN比120dBで圧倒的なオーディオ再生能力を誇り、フロント/リアのマイク入力のSN比が110dB/114dBに改善された「ALC1220-VB 120dB SNR HD オーディオ」を搭載しています。自動でヘッドホンのインピーダンスを検出して最適な出力を可能にする「Smart Headphone Amp」機能などもあり、サウンドボードや外部DAC要らずな高音質オンボードサウンドが実現されています。
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さらにヘッドホン用DAC&アンプには、最高125dBのSN比と-112dBのTHD+Nにより、スタジオ級の音質をヘッドフォンに確実に伝えることができ、またFLACやWAVなどの一般的なハイレゾおよびロスレス・オーディオフォーマットな音源に対応する「ESS SABRE ES9118 HiFi DAC」が採用されています。
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リアI/Oに設置されているUSB3.0ポートのうち2基の黄色USB端子は「USB DAC-UP 2」というUSB機器接続時に電圧の低下やノイズの無い電力を供給することが可能な専用電源回路付き可変電圧USBポートです。例えばUSB給電のUSB DACを接続した場合に高音質化が期待できたり、ケーブルの長いVR HMDを接続する時の信号損失を解消します。
GIGABYTE USB DAC-UP 2

マニュアルからの画像を使用しますが、冷却ファンや簡易水冷クーラーのポンプの接続用の端子はマザーボード上の各場所に計8か所設置されていました。これだけあれば360サイズなどの大型ラジエーターを複数基積んだハイエンド水冷構成を組んでもマザーボードのファン端子だけで余裕で運用可能です。加えて「PUMP」の添え字の付いたファン端子は最大24W(12V、2A)、3Amp/HPWR水冷ポンプ用端子は最大36W(12V、3A)の出力にも対応しているので本格水冷向けのD5やDDCポンプの電源としても変換ケーブルを噛ませることで使用できます。
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ATX24PIN端子の左下とチップセットの下には本格水冷PCユーザーには嬉しい外部温度センサーの接続端子が設置されています。GIGABYTEのファンコントロール機能は外部センサーをソースにした水温依存のファンコントロールが可能なので水冷ユーザーにお勧めです。
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上記の外部温度センサー2基に加えてマザーボード上備え付けの温度センサー7基で計9基の温度センサーから自由にソース温度を選択してファンコントロールが可能です。
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マザーボード基板右下にはPOSTエラーのチェックができるDebug LED、またリアI/OにはOCerのみならず一般自作erにとっても組み立て中の動作確認に便利なスタートスイッチが実装されています。CMOSクリアのハードウェアスイッチも設置されているのでOC設定をミスっても簡単に初期化が可能です。ただしスタートスイッチとCMOSクリアが横に並んでいるのは誤押下の可能性を考えると避けたほうがいいレイアウトだと感じました。あと個人的な好みとしてはスタートスイッチはリアI/Oではなくオンボードに設置して欲しかったです。
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GIGABYTE Z390 AORUS MASTERにはGIGABYTE特許取得済みの「デュアルBIOS」機能が採用されており、OC設定によってメインBIOS(M_BIOS)のデータが破損しても、自動でバックアップBIOS(B_BIOS)に切り替わってメインBIOSの復旧や重要データのバックアップが可能になります。BIOS切替スイッチはマザーボード左下に配置されています。「デュアルBIOS」を使用したBIOSの修復方法はこちらの記事で紹介しています。
GIGABYTE Dual BIOSGIGABYTE Z390 AORUS MASTER review_03384_DxO
GIGABYTE Z390 AORUS MASTERのUSB3.1端子はThunderbolt3には非対応ですが、SATA端子の上にTHB-C端子があるので、同社のThunderbolt3拡張ボード「GIGABYTE GC-ALPINE RIDGE」(レビュー)や「GIGABYTE GC-TITAN RIDGE」を使用することでThunderbolt3端子を増設可能です。
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最後に余談ですが、「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」のCPUソケットではCPUインストレーションツールが使用可能でした。ebay等で型番:13010-01860100を買えば使えます。
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GIGABYTE Z390 AORUS MASTERの検証機材

GIGABYTE Z390 AORUS MASTERを使用して検証機材と組み合わせてベンチ機を構築しました。GIGABYTE Z390 AORUS MASTER以外の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成
CPU Intel Core i9 9900K
8コア16スレッド (レビュー
CPUクーラー Fractal Design Celsius S36 (レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Black
F4-4400C19D-16GTZKK
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー
CPUベンチ用
ビデオカード
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
ファンレス (レビュー
システムストレージ
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー
OS Windows10 64bit Home
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー


レビュー後半のOC検証で使用するCPUにはZ390マザーボードで使用可能なIntel第9世代CoffeeLake Refresh-S CPUの最上位モデルとなる8コア16スレッドの「Intel Core i9 9900K」を使用しています。検証機材のCore i9 9900KはCPUダイとヒートスプレッダ間のグリスを液体金属グリスに塗り替え、ヒートスプレッダもRockit Cool製のオリジナル銅製IHSに交換しているので通常よりも低い温度で動作しています。
Core i9 9900Kの殻割りクマメタル化&銅製IHSの冷却性能を検証
Core i9 9900K delid&cupperCore i9 9900K delid_temp

「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」が対応するCore i9 9900KやCore i7 9700Kは手動OCすると発熱がかなり大きくなるので大型簡易水冷CPUクーラーが推奨されますが、360サイズや240サイズなど120mmファンを複数搭載できるマルチファンラジエーターの簡易水冷CPUクーラーを使用するのであれば、「Noctua NF-A12x25 PWM」への換装もおすすめです。「Noctua NF-A12x25 PWM」は、超硬質かつ軽量な新素材「Sterrox LCP」の採用によってフレーム-ブレード間0.5mmの限界を実現させた次世代汎用120mm口径ファンとなっており、1基あたり3500円ほどと高価ですが、標準ファンよりも静音性と冷却性能を向上させることができます。
「Noctua NF-A12x25 PWM」を360サイズ簡易水冷に組み込む
Noctua NF-A12x25 PWM x3

ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、メインストリーム向けでもハイパフォーマンスな環境を目指すのであれば、システムストレージ用に一押しのSSDです。
「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
Samsung SSD 860 PRO 256GB


CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
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グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
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以上で検証機材のセットアップが完了となります。
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GIGABYTE Z390 AORUS MASTERのBIOSについて

GIGABYTE Z390 AORUS MASTERを使用した検証機の構築も完了したので動作検証とOC耐性のチェックの前にBIOSの紹介をします。
(OSから日付調整する前にスクショを取っている場合、日付が変になっている場合がありますが無視してください。また内容的に差異がなければ過去のスクリーンショットを流用しています。)

GIGABYTE Z390 AORUS MASTERのBIOSに最初にアクセスするとイージーモードというグラフィカルな画面が表示されます。パッと見の見栄えは良いのですが詳細モードでないと詳細設定ができないので「F2」キーを押してサクッと「クラシックモード(Classic Mode)」へ移るのがおすすめです。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_1
クラシックモードという従来通りの文字ベースBIOSメニューが表示されました。トップに表示されるシステムタブのシステム言語から日本語を選択可能です。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_2
GIGABYTE製マザーボードのBIOSの翻訳は一部誤訳もあるものの比較的まともなので日本語UIとしては使いやすいのですが、フォントサイズの調整が微妙で見切れたりするところが玉に瑕です。トップメニューのタブは左右カーソルキーで簡単に移動できます。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_3

GIGABYTE Z390 AORUS MASTERのBIOSにおいて設定の保存とBIOSからの退出はトップメニュータブ最右端の「保存して終了(save and exit)」から行えます。特定のブートデバイスを指定してBIOSから退出するBoot Override機能もあります。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_4

1月21日現在、「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」のサポートページで公開されている最新版は「F8e」だったのでBIOSの更新を行いました。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_5
BIOSのアップデート方法は、まず下から最新のBIOSファイルをダウンロード、解凍してUSBメモリのルートに解凍フォルダを置きます。
サポート:https://www.gigabyte.com/jp/Motherboard/Z390-AORUS-MASTER-rev-10#support-dl-bios

USBメモリを挿入したままBIOSを起動し、BIOSメニュー右下に表示される「Q-FLASH」を選択するか、「F8」キーのショートカットキーでQ-FLASHを起動します。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_6
Q-Flashの画面に移動したら、Update BIOSを選択し、USBメモリからアップデートファイルを選択します。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_7
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_8

Q-Flashを使用したアップデート手中については動画で撮影したので参考にしてください。


ブートとOSインストール周りについて紹介します。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTERのブート回りは下画像のようにトップメニュータブ「BIOS」の中で非常に簡潔にまとめられており初心者でも迷うことはないと思います。OSのインストールも「起動オプション #1」に「UEFI 〇〇」というOSインストールメディアを設定して保存&退出でOKです。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_10
GIGABYTEのBIOSではブートデバイスの指定が可能なので起動オプションで設定せずに、「保存して終了(save and exit)」のタブメニューから「UEFI 〇〇」というOSインストールメディアを選択してもOKです。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_9
ちなみにWindows10の製品パッケージに付属するUSBメモリではUEFIで認識できないトラブルが発生することがあるようなので、そういうときはこちらの記事に従ってMS公式ツールを使用して適当なUSBメモリでOSインストールメディアを作成すると上手くいきます。


BIOSのアップデートやWindows OSのインストール方法を紹介したところで、GIGABYTE Z390 AORUS MASTERのBIOS機能で管理人が気になったものをいくつかチェックしていきます。

GIGABYTE Z390 AORUS MASTERに搭載される独自機能である「USB DAC-UP 2」という専用電源回路付き可変電圧USBポートについてBIOSから設定可能で電圧補償値を0.1~0.3Vに設定できます。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_9



多機能かつ使いやすいファンコン機能「スマートFan 5」について

GIGABYTE Z390 AORUS MASTERなどGIGABYTE製マザーボードに採用されるファンコントロール機能「スマートFan 5」が外部温度センサー対応など多機能かつ、ユーザービリティーにも優れたUIでかなり使いやすいので詳しくチェックしていきます。
ちなみに「スマートFan 5」はWindows OS上の専用アプリからも設定が可能ですが、BIOSからも専用アプリと同様にフルコントロール可能なので、一度設定したら頻繁に弄るものでもありませんし、余計なものを入れるよりもBIOS上からの操作に慣れておく方がおすすめです。

GIGABYTE Z390 AORUS MASTERのファンコントロール機能「スマートFan 5」には、「alt」キーでクラシックモード右下に表示される「スマートFan 5」を選択するか、「M.I.T.」タブの「スマートFan 5」を選択することでアクセスできます。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_Fan_1
「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」のファンコントロール機能は下のスクリーンショットのようにグラフィカルUIによる設定のみで一部他社製品のようなコンソールで値を打ち込むようなメニューは存在しません。グラフィカルUIでマウスを使って簡単にできる機能なのですが、マウスレスでも全て設定可能となっており、ASUSやASRockのBIOSのような直打ちUIが好きな管理人でも使いやすいと感じる良いファンコンでした。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_Fan_2
同ファンコントロール機能でユーザーが主に触る部分は下のスクリーンショットで囲った、「設定を行うファン端子」「速度設定プリセットの選択」「手動設定時のファンカーブ」「ファンカーブの温度ソース」「設定の適用」の5つになると思います。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_Fan_3
左上「Monitor」と表示されたすぐ横にあるプルダウンメニューからはファンコン設定を行うファン端子を選択可能で、選択したファン端子について、その下に位置する各設定項目を変更できます。選択したファン端子について「〇〇ファン速度制御」の項目から、「通常」「静音」「フルスピード((定格)」の3つのプリセットに加えて、ユーザーが各自でファンカーブをカスタマイズできる「手動」の4種類を選択できます。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_Fan_4
また選択しているファン端子の操作を行う温度ソースは「Fan Control Use Temperature input」から選択可能になっており、マザーボード備え付けの7つの温度センサーに加えて、増設可能な2つの温度センサーで計9個の温度センサーを温度ソースに指定できます。ただしCPUファンについてはCPU温度ソース固定となります。水温センサーを外部温度センサー端子に接続すれば水温ソースにしたラジエーターファンのファンコンにも対応可能なので水冷PC用のマザーボードとしても最適なファンコン機能です。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_Fan_5
〇〇ファン速度制御」の項目で「手動:を選択した場合はファンカーブのグラフにおいて、ファンストップ温度と、フルスピード温度に加えて、グラフ内で任意の4点についてファンカーブを設定できます。「Monitor」と「〇〇ファン速度制御」の項目間で上下カーソルキーを使うことで各ファンカーブ頂点を指定することができます。注目ポイントとしては「Shift」キーとカーソルキーの同時押しによってマウスレスでファンカーブの頂点を格子上で移動可能となっており、直打ち派の管理人も唸る非常に設定しやすいグラフィカルUIでした。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_Fan_6
Monitor」からは特定のファン端子を選択するので選択したファン端子1つだけについて設定を適用することも可能なのですが、設定の適用を行う「Apply to」のボタンをクリックするとマザーボードに設置されたファン端子が全て列挙され、ファン端子名の左にあるチェックボックスのチェックを入れるもしくは外すことで、現在設定を行っているファン端子と同じ設定を他のファン端子にも一斉に適用することが可能です。ファン設定の同期適用機能があるというのはユーザービリティーに優れ非常に好印象です。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_Fan_7
その他にも急激な温度変化へファンコンが過敏に反応しないようファン速度変化に1~3秒の猶予を設ける「Temperature Interval」、ファン操作モードを「DC/PWM/自動検出」から設定する「〇〇ファン Control Mode」などのファンコン設定項目があります。ソース温度が一定以下の時にファンを停止させる「〇〇ファン Stop」機能も用意されており、ファン操作モードがPWMの場合でも手動設定時のセミファンレス機能を問題なく使用できました。(ASUSマザボではDCモードのみだった気がします。)
またマザーボードにブザーユニットが接続されている場合は、特定温度ソースが一定温度を超えた場合にエラーを知らせる「Temperature Warning」や接続されているファンに不具合が発生した(回転数の検出ができない)場合に警告を行う「〇〇ファン異常警告」といった設定も可能です。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_Fan_8
また「0」と書かれたファンカーブの頂点はファンストップ温度となっており、指定した温度ソースがファンストップ温度以下の場合、設定を行ったファン端子に接続されたファンを停止させる、所謂セミファンレス機能が使用できます。試しに止めてみました。
Smart Fan5 fanless

「Smartファン5」は欲を言えば数値直打ちのコンソール型UIもあると嬉しいとか個人的な要望はあるものの、マザーボードのファンコントロール機能としては、同じく外部温度センサーソースに対応したASUSの「Q-Fan control」以上に多機能です。

「Smartファン5」はWindows OS上のインフォメーションソフト「System Information Viewer」に統合されており同アプリ上から、BIOSと同じくファンコントロールが可能です。(System Information Viewerの利用にはAPP Centerのインストールも必要になります。)
Smart Fan5_da (1)
上で紹介したBIOS上のファンコントロール同様に、個別のファンについてファンカーブの設定、セミファンレス機能のON/OFF、ヒステリシス間隔の変更など詳細なファンコントロール設定が可能です。
Smart Fan5_da (5)
上のメニューで左にあるケースアイコンをクリックするとPCケース内におけるファンの設置位置やファンコンのソース温度を設定するメニューが表示されます。
Smart Fan5_da (3)
その他にも温度やファン回転数などのハードウェアモニタリングやモニタリング値によるアラーム機能、モニタリング値のログ機能なども用意されていました。
Smart Fan5_da (4)Smart Fan5_da (6)


GIGABYTE Z390 AORUS MASTERなどGIGABYTE製マザーボードに採用されるファンコントロール機能「Smartファン5」はおそらく一般ユーザーにとっては最も使いやすく機能の優れたファンコントロールだと思います。



イルミネーション操作機能「GIGABYTE RGB Fusion」について

GIGABYTE Z390 AORUS MASTERはマザーボード備え付けのLEDイルミネーションやRGB対応汎用4PIN/アドレッサブルRGB対応汎用3PINイルミネーション機器を操作可能なライティング制御機能「GIGABYTE RGB Fusion」に対応しています。
「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」にはリアI/OからオンボードオーディオにかけてのカバーとチップセットクーラーのAORUSロゴ部分にLEDイルミネーションが搭載されています。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER review_06209
マザーボードの右上と左下の2か所にRGB対応汎用4PIN LEDヘッダーが計2基設置されています。出力は最大24W(12V, 2A)まで対応しています。当サイトでもレビュー記事を掲載しているLEDテープ「SilverStone SST-LS02」やLEDファングリル「Phanteks Halos Lux RGB Fan Frames」などが接続可能です。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER review_03376_DxOGIGABYTE Z390 AORUS MASTER review_03382_DxO
またアドレッサブルLED機器を接続可能なARGB対応VD-G型3PIN LEDヘッダーも2基が実装されています。使用可能なアドレッサブルLEDテープとしては国内で発売済みの「BitFenix Alchemy 3.0 Addressable RGB LED Strip」や「ASUS ROG ADDRESSABLE LED STRIP-60CM」が動作することが確認できています。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER review_06210

GIGABYTEのライティング制御機能「RGB Fusion」はWindows OS上の同名アプリ「RGB Fusion」からライティングに関する各種設定が可能です。プリセットも豊富でイラストも交えたUIが使いやすいソフトウェアです。
「RGB Fusion」を起動すると、マザーボードやメモリなどRGB Fusion対応機器一覧アイコンとライティング同期設定が表示されたホームページが表示されます。ホームページ右側から発光パターンや発光カラー設定を行うと左側にアイコンの表示されている対応機器全てに同じライティング設定が適用されます。
GIGABYTE RGB Fusion_1
同期設定で選択可能な発光パターンとして「Static(固定発光)」「Pulse(ゆっくり明滅)」「Flash(点滅)」「Double Flash(2回点滅)」「Color Cycle(カラーサイクル)」「Random(ランダムに点滅)」の既定パターンや、音声出力に合わせて変化する「MUSIC」、ゲームに合わせて変化する「GAME」などがあります。
GIGABYTE RGB Fusion_2a
GIGABYTE RGB Fusion_2bGIGABYTE RGB Fusion_2c
右上にある歯車アイコンで表示される設定ウィンドウにはスマホアプリとのペアリング設定があり、また「LEDs in Sleep, Hibernation……」の項目ではスリープやシャットダウン中にLEDイルミネーションを点灯させるかどうかが設定できます。
GIGABYTE RGB Fusion_OFF

トップメニューのパーツアイコンを選択すると、選択したパーツへ個別にライティング制御を適用できます。マザーボードでは備え付けLEDイルミネーションでも部位によって制御は分かれており、汎用ヘッダーのライティング制御も個別に設定できます。個別設定モードにおいて選択可能な発光パターンは選択部位によって変わります。
GIGABYTE RGB Fusion_3a
GIGABYTE RGB Fusion_3b

今回はマザーボード以外のRGB Fusion対応機器として「GIGABYTE AORUS RGB Memory」を使用しましたが、その他にもRGB Fusion対応機器には、当サイトでレビュー記事を公開している「GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Edition」のようなGIGABYTE AORUSブランドのグラフィックボードや、LEDイルミネーション搭載メモリの他社製品では「Corsair VENGEANCE RGB PRO」や「Kingston HyperX Predator RGB」などがあります。
GIGABYTE RGB Fusion_AORUS RGB Memory

「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」ではBIOS:F8eの時点では非対応ですが、「GIGABYTE RGB Fusion」はデスクトップアプリだけでなくBIOS上のグラフィカルUIでLEDイルミネーションの調整を行えます。いちいち専用アプリをインストールするのが面倒なのでBIOSから設定できるのは非常に便利で。ただし残念ながらBIOSからは設定可能な発光パターンが少なく、マザーボード上の個別箇所設定が不可能など、デスクトップアプリと比べて設定内容が限定されています。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_LED_2
RGB Fusionの設定へアクセスするには「周辺機器(Peripherals)」タブメニューにある「LEDs in System Power On State」ではシステムがアクティブな状態、「LEDs in Sleep, Hibernation……」の項目ではスリープやシャットダウン中にLEDイルミネーションを点灯させるかどうかが設定できます。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_LED_1

またPCと同じネットワーク上にあるスマートフォンからもLEDイルミネーションの設定が可能です。
GIGABYTE GA-AX370-Gaming K7_web_9



GIGABYTE Z390 AORUS MASTERのOC設定について

GIGABYTE Z390 AORUS MASTERを使用した場合のオーバークロックの方法を紹介します。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。


GIGABYTE Z390 AORUS MASTERではオーバークロック関連の設定項目はトップメニュータブ「M.I.T.」の「高度な周波数設定(Advanced Frequency Settings)」「高度なメモリ設定(Advanced Memory Settings)」「高度な電圧設定(Advanced Voltage Settings)」に各種設定がまとめられています。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_OC_1

CPUコアクロック(コア倍率)の変更について説明します。
コアクロックはコア数に対して各コアに最大動作クロック(BCLKに対する倍率)を指定できます。「コア0:コア1:コア2:コア3」を倍率として、例えば「45:43:43:42」のようにバラバラに指定した場合、4つのコアのうち1つに負荷が掛かる場合は4コアのうち1つが45倍動作、2つと3つの場合は43、4つの場合は42となります。

コアクロックの動作倍率を変更するためトップメニュータブ「M.I.T.」の「高度な周波数設定」を開きます。ユーザーがCPUのOCを行う場合は通常、全コアの最大倍率を一致させると思いますが、同マザーボードの場合は「CPU Clock Ratio(CPUコアクロック動作倍率): 45」と設定することでデフォルトのBCLK(ベースクロック)が100MHzなのでその45倍の4.5GHzで動作します。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_OC_2
「高度なCPUコア設定」を選択して次の設定ページを開くと、上のトップページよりも詳しい設定ページが表示されます。「ターボ倍率(1~8コアアクティブ)」では負荷のかかっているコア数に対する最大動作倍率を設定する、所謂、Per Coreモードの動作倍率設定が可能です。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_OC_3
CPUクロック動作倍率の上にある「CPUベースクロック(CPU BCLK Frequency)」の項目ではその名の通りベースクロック(BCLK)を変更可能です。Autoでは通常100MHzに固定されていますが、設定値を直打ちすることで80~500MHzの範囲内で0.01MHz刻みで設定できます。CPUコアクロックはBCLKに対する動作倍率で設定されるのでBCLK110MHz、動作倍率45倍の場合はコアクロック4.95GHz動作となります。ただしBCLKを使用したOCはかなり上級者向けなので通常はAutoか100MHzが推奨です。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_OC_4
CPUキャッシュ動作倍率については、「高度なCPUコア設定」の「キャッシュ動作倍率(UnCore Ratio)」から設定します。CPUコアクロック同様にベースクロックに対する動作倍率でメッシュの動作周波数を設定できます。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_OC_5

続いてコア電圧の調整を行います。
トップメニュータブ「M.I.T.」の「高度な電圧設定(Advanced Voltage Settings)」を開くと「高度な電力設定(Advanced Power Settings)」「CPUコア電圧設定(CPU Core Voltage Control)」「チップセット電圧設定(Chipset Voltage Control)」「メモリ電圧設定(DRAM Voltage Control)」「内蔵VR設定(Internal VR Control)」の5つの項目が表示されます。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_OC_6
CPUコア/キャッシュクロックに関連する電圧設定は主に「CPUコア電圧設定(CPU Core Voltage Control)」から行います。CoffeeLake-S CPUではCPUコアクロックとキャッシュクロックのOC時に変更する電圧は共通となっており、「CPUコア電圧(CPU Vcore)」の項目を変更します。
「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」では「CPU Vコア」の項目を0.001V刻みで設定することによって固定電圧モードでCPUコア電圧を設定可能です。「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」でCPUコア/キャッシュクロックのOCを行う場合、CPUコア電圧の設定については設定が簡単で安定しやすいので固定電圧モードがおすすめです。8コア16スレッドCore i9 9900KをOCする場合、CPUコア電圧の目安としては最大で1.300~1.350V程度が上限になると思います。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_OC_7
「CPU Vコア」をNormalに設定すると、CPUストック電圧の電圧カーブ通りの動作となり、下に配置されている「Dynamic Vcore (DVID)」からオフセット電圧の設定が可能です。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_OC_8
CPUコア電圧モードについて簡単に説明すると、オフセットモードやアダプティブモードはCPU負荷に比例して電圧が設定されており、低負荷時は電圧が下がるので省電力に優れるのですが、OCをする場合はマザーボードによって挙動に差があり安定する設定を見極めるのが難しいので、個人的にはオフセットやアダプティブは定格向け、OCには固定値適用の固定モードを推奨しています。
仮にOCでオフセットやアダプティブを使う場合も最初はコアクロックに対して安定する電圧を見極める必要があるので、まずは固定モードを使用します。
ちなみにマザーボードにより対応しているモードは異なりますが、CPUのオーバークロックに付随するコア電圧のモードの概略図は次のようになっています。
vc

またコアクロックを高く設定する時に追加で変更するといい電圧設定項目として「高度な電圧設定(Advanced Voltage Settings)」にある「CPU Vcoreロードラインキャリブレーション」が挙げられます。この設定を変更することでCPU負荷時の電圧降下を補正してOCを安定させることが可能です。補正を強くするほどOCの安定性は増しますがCPUやVRM電源部分の発熱も大きくなるので真ん中あたりを最初に使っておいて、ストレステストのCPU温度をチェックしながらモードを上げていくのがおすすめです。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_OC_9
GIGABYTEの旧マザーボードでは「CPU VRINロードラインキャリブレーション」の設定方法が少々面倒でキーボードテンキーの「+」「-」キーで設定内容を変える必要がありましたが、「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」では設定値がプルダウンメニューで表示されるように改善されました。「Standard」や「Normal」の動作がよくわかりませんが、「Low」~「Ultra Extreme」は補正の強さをそのまま示しているので、High辺りから使っていけばいいと思います。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_OC_10

また「高度なCPUコア設定」の項目には「短時間電力制限(Package Power Limit1 - TDP)」「長時間電力制限(Package Power Limit2」という2つの電力制限機能があり、電力制限がかかる閾値(単位はW)と電力制限がかかるまでの時間を設定できます。電力制限がかかるとその指定電力内に収まるようにコアクロックに制限がかかります。デフォルトの状態では「Auto」になっていますが、GIGABYTE Z390 AORUS MASTERではパワーリミットが掛からないように勝手に設定してくれるので放置でも問題ありません。基本的に一定消費電力以内に収めるための省電力機能(+若干のシステム保護機能)と考えてください。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_OC_11


メモリのオーバークロックについても簡単に紹介しておきます。
メモリの性能について簡単に言うと「動作クロックが高く」「タイミングが小さい」ほど性能は高くなります。そのためメモリOCを手動で行う手順を簡単にすると「電圧を上げて動作可能なクロックを探し」、「そのクロックにおいて正常に動作する最小のタイミングを探る」という2つの手順を繰り返すことになります。

メモリOCではPOSTすらクリアできずBIOSに到達できないことも少なくありませんが、「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」では正常にPOSTできないメモリOC設定で数回エラーが出た場合は、自動で再起動した後、2133MHzのような緩い設定で起動してくれるのでメモリOCを安心して行えます。

GIGABYTE Z390 AORUS MASTERでは「無効(自動/手動設定)」「XMP」の2種類からメモリの動作クロックとタイミングを設定できます。XMPによるメモリOCではメーカーが動作確認を行ったOCプロファイルを適用するだけで簡単にメモリをオーバークロックができます。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_OC_12
「DRAM Frequency」の設定値がAutoになっている場合は、使用するメモリにSPD情報として収録されている動作クロック2133~2666MHzなど周波数およびタイミングによる定格動作となります。
手動でメモリ周波数を設定する場合は「DRAM Frequency」の項目でプルダウンメニューから最大8533MHzまでの動作クロック(倍率)設定が可能です。G.SkillやCorsairのOCメモリでも18年後半現在XMP4600MHzが最高なのでまだまだ道のりは長いですが。
メモリ周波数もBCLKに対する倍率で動作周波数が決まっているので、BCLKを標準値の100MHzから120MHzに上げると、44倍設定時の動作周波数は4000MHzから5280MHzに上がります。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_OC_13
GIGABYTEの旧マザーボードでは「DRAM Frequency」の設定方法が少々面倒でキーボードテンキーの「+」「-」キーで設定内容を変える必要がありましたが、「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」では設定値がプルダウンメニューで表示されるように改善されました。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_OC_14
メモリ設定にある「チャンネルA/Bサブタイミング」ではタイミングの個別打ち込み設定が可能です。チャンネルA/Bで設定項目が分かれていますが、デュアルチャンネルでメモリを使用している場合でもチャンネルAだけ設定すれば残りはAutoのままでも設定が共有されるので1つだけ設定すればOKです。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_OC_15
メモリタイミングを手動で設定する場合は基本的には「CAS Latency」、「RAS to CAS (tRCD)」、「RAS Precharge (tRP)」、「RAS Active Time (tRAS)」の主要な4タイミングと、加えて「tRFC」と「Command Rate:1 or 2」の6つ以外はAutoのままでいいと思います。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_OC_16
DDR4メモリについては3000MHz以上にOCする場合はDRAM電圧を1.300~1.350V、3800MHz以上にOCする場合はDRAM電圧を1.370~1.400Vに上げる必要があります。メモリをOCする場合は最初から1.350V以上にDRAM電圧を盛っておくのがおすすめです。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_OC_17
今のところZ390環境では不具合を確認できていませんでしたが、メモリのオーバークロックでPCI-E拡張カードの検出不可やオンボードUSB端子の干渉などが発生する場合は「VCCSA(CPU System Agent Voltage)」「VCCIO」「チップセット電圧(PCH Core)」を盛ると安定するかもしれません。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_BIOS_OC_18



GIGABYTE Z390 AORUS MASTERの動作検証・OC耐性

BIOS周りの管理人的に気になるところの紹介はこのあたりにしてGIGABYTE Z390 AORUS MASTERを使用した検証機で具体的に動作検証とOC耐性をチェックしていきます。

まずはFast Bootを無効にしてOSの起動時間を測定したところ、「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」の起動時間は12秒ほどした。多機能なハイエンドマザーボードとは思えないくらいにPOSTが非常に高速です。


「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」にCore i9 9900Kを組み込んだ場合のBIOS標準設定における動作についてですが、CPU動作倍率は1~8コア負荷順で[50, 50, 49, 48 , 48, 47, 47, 47]でIntel公式の定格動作倍率設定よりも若干引き上げられています。電力制限については長期間電力制限と短期間電力制限の両方が標準では無効化されています。GIGABYTE Z390 AORUS MASTERにCore i9 9900Kを組み込むと、Intel公式の仕様値であるTDP95Wを大きく上回る消費電力で動作します。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_Core i9 9900K_XTU_Auto
「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」のBIOS標準設定はTDP95Wを超過する動作になりますが、下のようなBIOS設定によってPerCore最大動作倍率および電力制限を適切に設定すれば、Intelの仕様に通りの定格動作で運用することは可能です。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_Core i9 9900K_BIOS_def

続いてGIGABYTE Z390 AORUS MASTERを使用した場合のCPUとメモリのオーバークロック耐性をチェックしてみました。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。


Core i9 9900KのOC設定は「CPUクロック倍率:51」「CPUキャッシュ倍率:47」「CPUコア/キャッシュ電圧:1.300V(固定モード)」「ロードラインキャリブレーション: Turbo」「メモリ周波数:3800MHz」「メモリ電圧:1.400V」「メモリタイミング:17-17-17-37-CR2」としています。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_OC Test_BIOS (1)GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_OC Test_BIOS (2)GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_OC Test_BIOS (3)
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_OC Test_BIOS (4)GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_OC Test_BIOS (5)GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_OC Test_BIOS (6)

上の設定を適用したところ問題なくOSを起動させることができました。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_OC Test_1
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_OC Test_2


GIGABYTE Z390 AORUS MASTERの環境(BIOS:f8e)において、検証機材メモリのG.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKKを使用して、メモリ周波数3800MHz メモリタイミング:17-17-17-37-CR2で安定動作が確認できました。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_OC Test_rumtest_3800MHz
同じ検証機材メモリG.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKKを使用した場合、他社のハイエンドマザーボードではメモリ周波数と主要タイミングのみの簡易設定で4000MHzが安定動作したのですが、「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」ではRumtestでエラーが出ました。セカンド/サードタイミングの自動設定で差が出たか、メモリ配線等の物理的要因でOC耐性に差があるようです。前者であれば今後の改善に期待したいところ。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_OC Test_rumtest_4000MHz

8コア16スレッド「Intel Core i9 9900K」のコア5.1GHz/キャッシュ4.7GHz、メモリ周波数3800MHz、メモリタイミング17-17-17-37-CR2でCinebenchも問題なくクリアできました。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_cinebench

続いてこのOC設定を使用してストレステストを実行しました。
検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はCore i9 9900K 定格の場合20分ほどなので同じ動画のエンコードを2つ並列して実行しています。テスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
Core i9 9900K Stress test

ストレステスト中のCPU温度とCPU使用率のログは次のようになりました。マザーボードにGIGABYTE Z390 AORUS MASTERを使用して「Intel Core i9 9900K」をコア/キャッシュクロック5.1/4.7GHz、メモリ周波数3800MHzにOCしてストレステストをクリアできました。CPUクーラーのファン回転数は1600RPMで固定しています。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_OC Test_stress


スマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE Pro」(レビュー)を使用してGIGABYTE Z390 AORUS MASTERのVRM電源温度をチェックしてみました。
まずはGIGABYTE Z390 AORUS MASTERにCore i9 9900Kを組み込んだ場合をデフォルト設定で負荷をかけてからVRM電源温度を測定してみました。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTERのデフォルト設定ではCore i9 9900KにTDP95Wの電力制限がかからず、全コア4.7GHzで動作しますが、VRM電源周りに風が直接当たらない簡易水冷CPUクーラーの環境であっても、VRM電源温度は50度前後に収まります。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_FLIR_9900K_def
続いてCore i9 9900Kを上記のBIOS設定でOCした時の負荷テスト中のVRM電源温度をチェックしていきます。ちなみに「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」環境でCore i9 9900Kを全コア5.1GHzまでOC、かつメモリも3800MHzにOCするとシステム全体(マイナス20~30WでほぼCPU)の消費電力が250Wに達します。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_OC Test_power
VRM電源周りに風の直接当たらない簡易水冷CPUクーラーの環境において、Core i9 9900Kを全コア5.1GHzにOCしてVRM電源温度をサーモグラフィーで確認したところ、GIGABYTE Z390 AORUS MASTERのVRM電源周りの温度は最大でも60度半ばに収まりました。Core i9 9900Kを使用して同等の負荷をかけた場合、他社のハイエンドZ390マザーボードではVRM電源温度が90度前後に達したため管理人的にはスポットクーラーを使用したアクティブ空冷が推奨でしたが、「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」であればCore i9 9900Kを5GHzオーバーにOCしてもVRM電源はパッシブ空冷のままで対応できるという非常に優秀な結果です。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER_FLIR_9900K_OC

「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」環境においてCore i9 9900Kで全コア5.0GHzオーバーの大幅なオーバークロックをする場合、スポットクーラーを使用するのであれば、可変アルミニウム製ファンフレームでVRM電源を狙って設置が容易な「IN WIN MARS」がおすすめです。
可変アルミフレーム搭載ファン「IN WIN MARS」をレビュー
IN WIN MARS


GIGABYTE Z390 AORUS MASTERのレビューまとめ

最後に「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • GIGABYTE AORUSシリーズのデザイン
  • 基板保護バックプレートを標準搭載
  • 重量級グラボにも耐える2大独自機能「Ultra Durable PCIe Armor」と「Double Locking Bracket」
  • 外部ノイズから保護することで安定したメモリOCを実現する「Ultra Durable Memory Armor」
  • Core i9 9900K 5.1GHz、メモリクロック3800MHz OCで安定動作
  • Core i9 9900Kの全コア5GHz超のOCにもパッシブ空冷で対応可能なVRM電源
  • スタート・リセットスイッチなど動作検証に便利なハードウェアスイッチ
  • 外部温度センサーに対応したファンコン「Smartfan 5」は多機能で使いやすい
  • 高速NVMe接続のM.2スロットが3基設置
  • M.2スロットに独自ヒートシンク「GIGABYTE M.2 Thermal Guard」が付属
  • フロントパネルコネクタのマザーボードへの装着を簡単にする独自パーツ「G-Connector」
悪いところor注意点
  • HDMI端子はver1.4で4K・30FPSが上限
  • リアI/OにスタートとCMOSクリアのスイッチが並んでいるレイアウトは誤押下が心配
    管理人的にはスタートスイッチはリアI/Oではなくオンボードが好み

「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」はGIGABYTEのゲーミングブランドAORUSシリーズの中でExtremeを別格とすれば一般ユーザーの選択しとしては最上位モデルと言っても間違いのない製品で、各種メタルアーマー、背面保護金属製バックプレート、プリマントリアI/Oシールド、3基のヒートシンク付きM.2スロットなど同製品の位置づけに引けを取らない非常に豪華な仕様です。またAORUS Z390マザーボードが「Design for All Cores 5GHz+」をキャッチコピーにしているだけあって、VRM電源の低発熱性能とVRM電源クーラーの冷却性能は他社のハイエンドZ390マザーボードと比較しても抜群に冷えました。

ソフト面においてもGIGABYTE社のファンコントロール機能「Smartfan 5」は外部センサーを含めた9個温度センサーをソースに8基のファンを自由自在に制御できるので、これを目当てにGIGABYTE製マザーボードを購入しても後悔のないほど非常に優れた機能になっており、水冷ユーザーにもおすすめです。

BIOSデザインについては好みの問題かと思いますが、GIGABYTE Z370 AORUS Gaming 7ではカーソルキー操作を基本としたクラシカルなUIが採用されており管理人的に好みでした。ただグラフィカルUI好きにとっては物足りないかもしれません。翻訳は一部誤訳があるものの比較的まともですが、日本語フォントの調整が微妙なのが玉に瑕です。メモリ周波数やLLCにメニュー選択式に改善されたことで使いやすさも向上しています。

「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」にCore i9 9900Kを組み合わせて使用した場合、デフォルト設定による運用では定格の電力制限が無効化されるため全コア4.7GHzという高いコアクロックで動作しますが、それでもVRM電源温度はサーモグラフィーでせいぜい50度前後なので、同マザーボードの標準設定で運用するのであれば、Intel第9世代CoffeeLake Refresh-S CPUの各種においてVRM電源はパッシブ空冷の冷却でも問題ないと思います。

GIGABYTE Z390 AORUS MASTERを使用した検証機では8コア16スレッドのCore i9 9900Kを全コア5.1GHz、キャッシュ4.7GHzに、メモリ周波数も3800MHzにオーバークロックして負荷テストをクリアすることができました。
また8コア16スレッドの最上位モデルCore i9 9900Kを5.1GHzにOCして長時間の負荷をかけた場合、VRM電源温度は最大でも60度半ばに収まりました。Core i9 9900Kを使用して全コア5GHzオーバーの負荷をかけた場合、他社のハイエンドZ390マザーボードではVRM電源温度が90度前後に達したため管理人的にはスポットクーラーを使用したアクティブ空冷が推奨でしたが、「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」であればCore i9 9900Kを5GHzオーバーにOCしてもVRM電源はパッシブ空冷のままで対応が可能です。
メモリOCについては周波数と主要タイミングのみの簡単なOC設定で、メモリ周波数3800MHzにおいてメモリタイミング17-17-17-37-CR2まで詰めることができたのでメモリOC耐性(BIOS自動設定)も余裕で及第点をクリアしていると思います。ただしメモリについては他社のハイエンドZ390マザーボードでは同検証メモリを使用して4000MHzが安定動作したので、一長一短な感じもあります。


以上、「GIGABYTE Z390 AORUS MASTER」のレビューでした。
GIGABYTE Z390 AORUS MASTER



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検証機材として使用している以下のパーツもおすすめです。



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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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