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18年10月に発売された最新のIntel第9世代CoffeeLake Refresh-S CPUから、6コア6スレッド倍率アンロックモデル「Intel Core i5 9600K」をレビューしていきます。18年最新の6コア6スレッドCPUであるCore i5 9600Kが前世代Core i5 8600Kに対してクリエイティブタスクやPCゲーミングにおいてどれくらい性能向上を遂げたのか各種ベンチマーク比較によって徹底検証します。
製品公式ページ:https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/products/processors/core/i5-processors/i5-9600k.html
【注意】
完成版のCPUレビューテンプレートに沿って執筆した「Intel Core i5 9400F」のレビュー記事を公開しました。Core i5 9600Kについても比較対象として掲載しているので、こちらの記事も参照してみてください。
・「Intel Core i5 9400F」をレビュー
Intel Core i5 9600K レビュー目次
1.Intel Core i5 9600Kの外観・付属品・概要
2.Intel Core i5 9600Kの検証機材・動作設定
3.Intel Core i5 9600Kの動作クロック・消費電力・温度
4.Intel Core i5 9600Kの基礎ベンチマーク
5.Intel Core i5 9600Kのクリエイティブ性能
6.Intel Core i5 9600Kのゲーミング性能
7.Intel Core i5 9600Kのリアルタイム配信性能
8.Intel Core i5 9600Kのレビューまとめ
Intel Core i5 9600Kの外観・付属品
「Intel Core i5 9600K」の外観や付属品について簡単にチェックしておきます。またこの章では「Intel Core i5 9600K」の仕様等について簡単に触れておきたい概要もあれば紹介します。「Intel Core i5 9600K」など第9世代CoffeeLake Refresh-Sと前世代となる第8世代CoffeeLake-SはいずれもLGA1151ソケットに対応したCPUなので基本的な外形は一致しています。ただしヒートスプレッダの形状がかなり昔のものに先祖返り?して、CPUクーラーと接する面積が小さくなっています。
第6世代Skylake-Sから薄くなったPCB基板は第9世代CoffeeLake Refresh-Sで再び厚くなり、全高はほぼ同じなのでヒートスプレッダが薄くなっています。
PCB基板が厚くなった分、ヒートスプレッダは薄くなり、面積も小さくなっているため「Intel Core i5 9600K」など第9世代CoffeeLake Refresh-S CPUの重量は、前世代よりも軽くなっていました。ヒートスプレッダの質量がほぼ直結しているのでCPU発熱に対するヒートスプレッダのバッファも弱まっていると予想されます。
第3世代から第8世代までIntelのメインストリームデスクトップ向けCore-S CPUでは、CPUダイとヒートスプレッダ間のTIM(Thermal Interface Material)にはシリコングリスが採用されていましたが、第9世代CoffeeLake Refresh-S CPUで初回ロンチされた倍率アンロックのK付き3モデルについては今回レビューする「Intel Core i5 9600K」を含めてソルダリングが採用されています。
Intel Core i5 9600Kの検証機材・動作設定
以下、「Intel Core i5 9600K」の各種検証を行うベンチ機、および比較対象となる各CPUのベンチ機の詳細となります。Intel LGA1151(Z390)環境 テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9 9900K(レビュー) Intel Core i7 9700K(レビュー) Intel Core i5 9600K(レビュー) Intel Core i7 8700K(レビュー) Intel Core i5 8600K(レビュー) Intel Core i3 8350K(レビュー) |
マザーボード | ASUS ROG MAXIMUS XI HERO (WI-FI) (レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKK DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 3600MHz, CL16-16-16-36-CR2 |
ビデオカード(共通) | GeForce RTX 2080 Ti Founders Edition (レビュー) |
システムストレージ(共通) | Samsung 860 PRO 256GB (レビュー) |
OS(共通) | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット(共通) | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板(共通) | STREACOM BC1 (レビュー) |
Intel LGA1151(Z270)環境 テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i7 7700K(レビュー) Intel Core i5 7600K(レビュー) Intel Core i3 7350K(レビュー) |
マザーボード | ASRock Z270 SuperCarrier (レビュー) |
CPUクーラー | Intel TS15A (レビュー) |
メインメモリ | Corsair Dominator Platinum Special Edition DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 3200MHz, 14-16-16-36-CR2 |
その他 |
レビュー対象のベンチ機と共通 |
Intel LGA2066(X299)環境 テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9 7980XE(レビュー) Intel Core i9 7900X(レビュー) Intel Core i7 7800X(レビュー) |
マザーボード | ASRock X299 OC Formula (レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4200C19Q2-64GTZKK DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) 3600MHz, CL16-16-16-36-CR2 |
その他 |
レビュー対象のベンチ機と共通 |
AMD AM4(X470)環境 テストベンチ機の構成 | |
CPU | AMD Ryzen 7 2700X(レビュー) AMD Ryzen 7 2700(レビュー) AMD Ryzen 5 2600X(レビュー) AMD Ryzen 5 2400G(レビュー) |
マザーボード | ASUS ROG CROSSHAIR VII HERO (Wi-Fi) (レビュー) |
CPUクーラー | Corsair H150i PRO RGB (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill FLARE X F4-3200C14D-16GFX DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 3200MHz, CL14-14-14-34-CR1 |
その他 | レビュー対象のベンチ機と共通 |
AMD TR4(X399)環境 テストベンチ機の構成 | |||
CPU | AMD Ryzen Threadripper 2950X(レビュー) |
AMD Ryzen Threadripper 2990WX(レビュー) |
|
マザーボード | ASRock Fatal1ty X399 Professional Gaming (レビュー) |
MSI MEG X399 CREATION (レビュー) |
|
CPUクーラー | ENERMAX LIQTECH TR4 II ELC-LTTRO360-TBP 360サイズ簡易水冷 (レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー) |
||
メインメモリ | G.Skill Trident Z RGB F4-3200C14Q-32GTZRX DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) 3200MHz, CL14-14-14-34-CR1 |
||
その他 | レビュー対象のベンチ機と共通 |
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、Intel Core-XやAMD Ryzen TRのようなハイエンドデスクトップ環境はもちろん、メインストリーム向けでもハイパフォーマンスな環境を目指すのであれば、システムストレージ用に一押しのSSDです。
・「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。Thermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスで適量が塗布されていれば、CPUクーラー固定時の圧着でヒートスプレッダ全体へ自然に伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
Intel Core i5 9600Kの動作クロック・消費電力・温度
「Intel Core i5 9600K」に関する検証のはじめに、「Intel Core i5 9600K」の動作クロック、消費電力、温度など同CPUの基本的な動作についてチェックしていきます。「Intel Core i5 9600K」は6コア6スレッドのCPUですが、定格動作において1コア~6コアまで同時に負荷がかかった時の最大動作クロックはコア数に対して[4.6GHz, 4.6GHz, 4.6GHz, 4.4GHz, 4.4GHz, 4.3GHz]となっています。
なお製品仕様を確認すると「Turbo Boost Power Max(長期間電力制限/Power Limit 1)」は95W、「Turbo Boost Short Power Max(短期間電力制限/Power Limit 2)」は118W(PL1×1.25)になっているはずですが、BIOS標準設定ではいずれも無制限に変更されていました。
「Intel Core i5 9600K」をZ390マザーボード「ASUS ROG MAXIMUS XI HERO(BIOS:0602)」と組み合わせてCPU動作をBIOS標準設定とし、CinebenchとAviult&x264エンコードを実行したところ、いずれのケースにおいても全6コアへ同時に大きな負荷がかかった時の動作クロックは4.3GHzでした。このときCPU Package Powerは95W以下に収まっています。
「Intel Core i5 9600K」の消費電力についてチェックする前に、最近のCPUの消費電力(CPU Package Power)やTDPに関する概要を簡単に解説しておきます。
以下の解説ではIntel/AMD環境を統一して評価できるように概要を簡単化、独自に定義し直している部分もありますが、おおむね近年のCPU事情に即した内容になっていると思います。Intel第9世代 CoffeeLake Refresh-S CPUのパワーマネジメント等の詳細な仕様が気になる人は公式データシート(英語)を参照してください。
https://www.intel.com/content/dam/www/public/us/en/documents/datasheets/8th-gen-core-family-datasheet-vol-1.pdf
まず大前提としてかなり大雑把な表現になりますが、1コアや2コアが主流だった昔のCPUは一定の動作クロックで動作しており、消費電力(発熱)は動作クロックに比例した一定値でした。CPUメーカーが決めた仕様(コア数や動作クロック)に対してその製品の消費電力(発熱)は決まるため、例えば消費電力(60W)のCPUを運用するには少なくとも60Wを放熱できるCPUクーラーが必要になります。そこで『CPUをオーバーヒートさせずに運用するために必要なCPUクーラーの放熱性能』を示す指標として「TDP(Thermal Design Power:熱電力設計)」という仕様値が生まれました。この時点では「CPU消費電力≒TDP」が成り立っていました。
しかしながら近年のCPUにおいては、下の概略図のように消費電力(発熱)はCPU負荷によって変動し、CPU温度もその時の発熱に応じて変動します。負荷によって消費電力が変動するのでパッと見では、CPU消費電力≒TDPが成り立たなくなっています。
上の概略図においてCPU消費電力(CPU負荷)は、CPU個別に設定された電力制限の範囲内で動作している青色のゾーンと、短期間/長期間電力制限が効いている赤色のゾーンの2種類に大別できます。
青色のゾーンでは基本的に電力制限の閾値よりも低い電力(CPU負荷)で変動しながら動作しており、CPU温度にも余裕があるので時折、高速(高消費電力)な動作をしています。オフィスワークやPCゲーミングのCPU負荷がこれに当たります。
赤色のゾーン(低)のうち消費電力の低い右側のゾーンは長期間にわたってCPUに90~100%の高い負荷がかかっており、長期間電力制限が機能していることを示しています。動画のエンコードや3Dレンダリングなど数十分から数時間以上の長期間に渡る高CPU負荷がこれにあたります。
赤色のゾーン(高)のうち消費電力の高い左側のゾーンは一定の短期間もしくは一定温度の閾値以下において、長期間電力制限よりも制限の緩い短期間電力制限の下で動作していることを示しています。Cinebenchなど十数秒以下のごく短期的な高CPU負荷がこれに当たります。Intel CPUであれば「Turbo Boost(2.0)」、AMD CPUであれば「XFR (Extended Frequency Range)」によってこの動作が実現しています。
青色のゾーンはCPU負荷が変動しており平均的に見ても消費電力がそもそも低く、赤色のゾーン(高)は限られた短期間であり、かつ短期間電力制限はCPU温度によっても制御されているという前提もあるので、CPU温度が最も高くなる(冷却が難しい)のは赤色のゾーン(低)となります。
『CPUをオーバーヒートさせずに運用するために必要なCPUクーラーの放熱性能』という定義から考えれば最近のCPUにおいて「TDP」と同一視できる(すべきな)のは赤色のゾーン(低)の消費電力(長期間電力制限)になります。
TDPの要旨や消費電力の現実的な意味(CPU温度への影響)を考えれば、”発熱”という意味でCPU消費電力として評価すべきなのは長期間電力制限時の消費電力(の平均値)となります。しかしながらCPU温度に対する影響の小さい瞬間ピーク値や短期間電力制限値でCPUの消費電力を評価し、その数値とCPUの仕様値として公表されているTDPが大きく異なることを批判するレビューがかなり多いというのが現状です。瞬間的なピーク値で長期間動作するかのようなミスリーディングな内容で”爆熱”や”故障が心配”などと評価する記事も存在します。
続いて消費電力とコアクロックとの関連について簡単のため2コアCPUで考えますが、下は消費電力とCPU温度に加えてCPUコアクロックを追加した概略図になります。この例では単コアのブーストクロックは最大4.0GHz、短期間電力制限のゾーンでは全コアの動作クロックが3.8GHzになっています。
IntelとAMDの最新CPUではCPU消費電力(CPU Package Power)が低ければ短期間電力制限時の動作クロックよりも高い動作クロックで全コアは動作することができ、この動作によって、主に全コアが稼働するがCPU負荷自体は軽いワークロード、例えばPCゲームなどにおいてパフォーマンスが向上します。
最近のIntel CPUで顕著ですが(AMD CPUにも当てはまるケースがある)、ブーストクロックとして製品の仕様値に記載されている動作クロックが概略図における「a.単コアブースト:4.0GHz」、「b.最大全コアブースト:3.9GHz」、「c.短期間電力制限:3.8GHz」、「d.長期間電力制限:3.5GHz」のいずれを指しているのかが不明であるという問題があり、これがTDPや消費電力に関する評価や理解を大きく妨げています。
Intel第4世代Core CPUあたりまではd区間とb/c区間の差がそこまで大きくなかったので見逃されていましたが、Core i9 7900Xの登場辺りから、d区間とb/c区間の動作クロックの差が大きくなり(同時にTDPと消費電力の差も)、仕様と実動の差異が問題視されるようになりました。
さらに事態を複雑化させる要因としてCPU動作を決めるマザーボードBIOSの標準設定がマザーボードの各製品やBIOSバージョンで異なるという問題もあります。とくに最近のIntel CPUではマザーボードの選択がレビュアーに委ねられリファレンスとなる環境が実質存在しないので、”定格動作”というものがよくわからないことになっています。
そのせいでd区間の短期間電力制限が無効化(≒TDPが無視)され、長期間にわたってb区間やc区間の動作クロック(消費電力)で動作するような設定がデフォルトになっていて、長期間電力制限(≒TDP)を大幅に上回る消費電力や、その時のCPU温度がそのCPUの定格動作として評価されているケースも少なくありません。またCinebenchなど特定のワークロードを検出してその時だけ動作クロックが上がる(当然、消費電力も)、チートじみた動作をするケースもあります。
管理人は”CPU温度への影響要因”という意味においてCPU消費電力を評価しているので、当サイトのCPUレビューでは動画のエンコードによって長期間電力制限が効いている状態の平均的な消費電力をCPU消費電力として比較します。個人的な意見としては短期間電力制限は短期間かつCPU温度によっても制御されるのでCPU温度への影響要因として比重は小さく、また瞬間ピーク電力はせいぜいがTDP+100W程度なので、マザーボードVRM電源の破損を心配するほどではなく、その程度の電力超過は電源ユニットで十分吸収できるので、評価対象としてあまり意味がないと思っています。
またCPU製品仕様のTDPについては、定義がIntel/AMDで厳密には異なり、各社の具体的な測定・算出方法も不明なので、CPU動作クロックを含めて総合的に判断する必要があるものの、基本的には長期間電力制限時の消費電力がTDP仕様値とほぼ一致、もしくはTDP仕様値を下回れば正常であると評価します。
CPU消費電力の測定には電源ユニット「Corsair HX1200i」のCorsair Linkによる電力ログ機能を用いてコンセントからの出力ではなく変換ロスを差し引いた入力電力をチェックしています。また電力測定の際は上記の主電源ユニットに加えて、CPUへの電力供給を行うEPS端子を除いた、各種電源端子へ接続するために別の副電源ユニットを使用しています。そのため測定値にはEPS電源端子を経由して供給されるCPU消費電力以外の消費電力は含まれません。
CPUの消費電力や温度の測定を行う負荷テストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間6分40秒、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)を変換ソースとして、Aviutl&x264を使って動画のエンコードを行います。動画エンコードの同時実行数については4~6コアは並列なし、8~10コアは2並列実行、12~18コアは3並列実行、20コア以上は4並列実行としています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTやPrimeなど専用負荷ソフトを使用しているレビューもありますが、管理人の私見としてはCPU負荷が非現実的なので、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースを想定した場合、ほぼ最大のCPU負荷となるx264による動画エンコードとストレステストに採用しています。
「Intel Core i5 9600K」と比較対象CPUの消費電力測定結果が次のようになっています。上記負荷テスト中の”平均値を消費電力”、”最大値を瞬間的な最大電源負荷”と表記しています。なお電源ユニットに対する実際の最大瞬間負荷は測定値より50~100W上回る場合があるので電源ユニットの電源容量選択の参考にする場合は注意してください。
「Intel Core i5 9600K」のCPU消費電力は81Wとなっており、公称値でTDP95WのCPUとしては妥当な数値に収まっています。前世代のCore i5 8600Kと比較するとどちらも6コア6スレッドCPUでスペックはほぼ同じですが、全コア同時ブーストクロックが高い分、「Intel Core i5 9600K」のほうが消費電力は大きくなっています。
最近のCPUは定格(BIOS標準設定)の動作が組み合わせるマザーボードによって異なる傾向にありますが、「Intel Core i5 9600K」をZ390マザーボード「ASUS ROG MAXIMUS XI HERO(BIOS:0602)」と組み合わせた場合、『Intel Core i5 9600Kの実際の動作は、TDP(長時間電力制限)の範囲内で仕様通りに全コアブーストクロック4.3GHzで動作する』となっているようです。そのため今回の検証において「Intel Core i5 9600K」の動作は公式に発表されている製品仕様を過不足なく満たしていると考えていいと思います。
Intel Core i5 9600Kの基礎ベンチマーク
Intel Core i5 9600Kの基本的なCPU性能を専用ベンチマークソフトで検証しました。この章ではPCMark 8とPCMark 10という総合ベンチマークソフトを使用していますが、デスクトップ向けの高性能CPUの性能比較ベンチマークとしては頭打ちな傾向があり、シングルスレッド性能(動作クロックの高さ)が重要になるのでIntel Core CPUに比べてAMD Ryzen CPUでは低めのスコアになります。レビュー項目の1つとして参考までにスコア比較していますが、実用的なCPU性能については後半の個別性能比較を参考にしてください。
まずは「PCMark 8 Creative Test (Run Accelerated)」のベンチマーク結果をチェックしていきます。「PCMark 8」は動画再生能力、DirectX9のグラフィック性能、Webブラウジング、ビデオチャットなど一般ユースにおけるPCの総合的な性能を測定するためのベンチマークソフトです。
「Intel Core i5 9600K」を含めた各CPU環境のPCMark 8ベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
「PCMark 10 Extended」のベンチマーク結果をチェックしていきます。「PCMark 10」はPCMark 8と同様にPCの総合的な性能を測定するためのベンチマークソフトですが、DirectX11に対応するなどPCMark 8よりも最近のPCの性能測定に最適化されています。
「Intel Core i5 9600K」を含めた各CPU環境のPCMark 10ベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
「PCMark 10 Extended」にはPCの基本性能を測る「Essentials」、ビジネスアプリケーション性能を測る「Productivity」、クリエイティブ性能を測る Digital Content Creation」、ゲーム性能を測る「Gaming」の大きく分けて4つのテストグループがあるので、個別にベンチマークスコアを比較してみました。
PCの基本性能を測る「Essentials」は、アプリケーションの起動に要する時間を測る「App Start-up」、 ウェブブラウジングの性能を測る「Web Browsing」、1対1または多対多のビデオ会議をシミュレートする「Video Conferencing」の3つのワークロードで構成されています。
「Essentials」について「Intel Core i5 9600K」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
ビジネスアプリケーション性能を測る「Productivity」は、ワープロソフト(マイクロソフトWordなど)の処理性能をシミュレートする「Writing」、表計算ソフト(マイクロソフトExcelなど)の処理性能をシミュレートする「Spreadsheets」の2つのワークロードで構成されています。
「Productivity」について「Intel Core i5 9600K」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
クリエイティブ性能を測る「Digital Content Creation」は、写真に対するフィルタリング処理の性能をシミュレートする「Photo Editing」、動画編集の性能をシミュレートするワークロード「Video Editing」、レイトレーシングによる3Dグラフィクス制作(3Dレンダリング)をシミュレーションする「Rendering and Visualization」の3つのワークロードで構成されています。
「Digital Content Creation」について「Intel Core i5 9600K」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
ゲーム性能を測る「Gaming」は、グラフィックボードの性能測定で幅広く活用されているベンチマークソフト「3DMark」に収録された「Fire Strike」と同じベンチマークテストを実行するワークロードです。
「Gaming」について「Intel Core i5 9600K」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
Intel Core i5 9600Kのクリエイティブ性能
Intel Core i5 9600Kの3Dレンダリング、動画エンコード、RAW現像などクリエイティブ作業に関する性能を各種ベンチマークソフトで検証しました。CPUのマルチスレッド性能を比較するベンチマークソフトとして国内外で最も知られている「Cinebench」をはじめとして、オープンソース3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフト、3Dレンダラー「Corona Renderer」の公式ベンチマークソフト、3Dレンダラー「V-Ray」の公式ベンチマークソフトの4種類を使用して、CPUの3Dレンダリング性能についてベンチマーク測定を行いました。
Cinebenchは3Dレンダリング性能を測定するベンチマークソフトになっており、マルチスレッド性能を測定するテストとシングルスレッド性能を測定するテストの2種類を実行しています。
Cinebench マルチスレッド性能テストについて「Intel Core i5 9600K」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
Cinebench シングルスレッド性能テストについて「Intel Core i5 9600K」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフトについて「Intel Core i5 9600K」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
3Dレンダラー「Corona Renderer」の公式ベンチマークソフトについて「Intel Core i5 9600K」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
3Dレンダラー「V-Ray」の公式ベンチマークソフトについて「Intel Core i5 9600K」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
続いてオープンソース動画編集ソフトとして国内外で多数のユーザーがいるAviutlを使用して、「Intel Core i5 9600K」を含めた各種CPUの動画エンコード性能を比較していきます。Aviutlではプラグイン機能によって、現在主流なH.264 (MPEG-4 AVC) ビデオストリームへエンコードを行う「x264」、H.264より高圧縮・高画質で次世代規格として期待されているH.265(HEVC) ビデオストリームへエンコードを行う「x265」が使用できるので、各エンコーダーで4K/60FPS動画を変換ソースとしてのエンコードを行いました。
Aviutl&x264プラグインを使用した動画エンコードのエンコード時間について「Intel Core i5 9600K」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
Aviutl&x264プラグインを使用した動画エンコードについて、フルHD換算(簡単にx4倍)のエンコード速度を算出し、「Intel Core i5 9600K」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
Aviutl&x265プラグインを使用した動画エンコードのエンコード時間について「Intel Core i5 9600K」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
Aviutl&x264プラグインを使用した動画エンコードについて、フルHD換算(簡単にx4倍)のエンコード速度を算出し、「Intel Core i5 9600K」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
最後にDxO PhotoLabによるRAW現像を行って「Intel Core i5 9600K」を含めた各種CPUの性能を比較していきます。「SONY DSC-RX100M5」で撮影した5472×3648解像度のRAW画像ファイル 100枚に対して、DxO PhotoLabの画質プリセット「DxO 標準」をベースにノイズ除去を「PRIME」に変更したプリセットを適用し、RAW現像を行いました。なおDxO PhotoLabによるRAW現像は並列処理数を設定できますが、CPUコア数の半分もしくはそれより一つ少ないくらいの並列処理で最速になるようです。
DxO PhotoLabによるRAW現像について「Intel Core i5 9600K」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
Intel Core i5 9600Kのゲーミング性能
Intel Core i5 9600KのPCゲームに関する性能を実ゲームを用いたベンチマーク測定で検証しました。なお章タイトルではゲーミング性能と表記してはいますが、Intel 7/8/9Gen Core-SやAMD Ryzen 3/5/7など近年発売された4コア4スレッド以上のCPUであればフルHD~4K解像度の60FPSターゲットにおいてCPUボトルネックが発生するケースは少ないので、内容としては”高フレームレートにおけるCPUボトルネック比較”というのが実状に即しています。
各CPUのゲーミング性能を測定するために組み合わせて使用するグラフィックボードは2018年後半にリリースされた最速GPU「NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti」を搭載した準リファレンスグラフィックボード「GeForce RTX 2080 Ti Founders Edition」を使用しています。
・「GeForce RTX 2080 Ti Founders Edition」をレビュー
CPU別ゲーミング性能の比較には18年最新PCゲームから、Assassin's Creed Odyssey、Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands、Shadow of the Tomb Raider、Middle-Earth: Shadow of War、PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(PUBG)の5種類を使用しています。60FPSの標準フレームレートをターゲットとした4K(3840×2160)解像度/高画質設定と、100FPS以上のハイフレームレートをターゲットとしたフルHD(1920×1080)解像度/中画質設定の2種類について、各ゲームで平均フレームレートと最小フレームレートを測定しました。
なおCPUボトルネック比較の性質上、最小FPSをある程度の精度で測定する必要があるためPUBG以外の4種についてはほぼ同一シーンで測定が可能なゲーム内ベンチマークを使用しています。
PUBGについてはゲーム内ベンチマークがないのでトレーニングモードで可能な限り他プレイヤーの影響を受けないように注意して測定しています。そのためPUBGベンチマークのフレームレートはRTX 2080 Tiで通常プレイを行った場合より高めです。(RTX 2080 TiでPUBGのプレイした時のフレームレート)
またPUBGのフルHD/中-画質プリセットについては最小フレームレートも記載していますが、他プレイヤーの位置によって変動が大きいのであくまで参考値に留めてください。
まずは60FPSの標準フレームレートをターゲットとした4K(3840×2160)解像度/高画質設定のゲーミング性能について「Intel Core i5 9600K」や比較対象CPUのベンチマーク結果をチェックしていきます。
Assassin's Creed Odyssey(4K解像度、超高-画質プリセット)に関する「Intel Core i5 9600K」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands(4K解像度、非常に高い-画質プリセット)に関する「Intel Core i5 9600K」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
Shadow of the Tomb Raider(4K解像度、DirectX12、最高-画質プリセット)に関する「Intel Core i5 9600K」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
Middle-Earth: Shadow of War(4K解像度、ウルトラ-画質プリセット)に関する「Intel Core i5 9600K」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(4K解像度、ウルトラ-画質プリセット)に関する「Intel Core i5 9600K」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
続いて100FPS以上のハイフレームレートをターゲットとしたフルHD(1920×1080)解像度/中画質設定のゲーミング性能について「Intel Core i5 9600K」や比較対象CPUのベンチマーク結果をチェックしていきます。
Assassin's Creed Odyssey(フルHD解像度、中-画質プリセット)に関する「Intel Core i5 9600K」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands(フルHD解像度、中-画質プリセット)に関する「Intel Core i5 9600K」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
Shadow of the Tomb Raider(フルHD解像度、DirectX12、中-画質プリセット)に関する「Intel Core i5 9600K」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
Middle-Earth: Shadow of War(フルHD解像度、中-画質プリセット)に関する「Intel Core i5 9600K」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(フルHD解像度、中-画質プリセット)に関する「Intel Core i5 9600K」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。最小フレームレートは他プレイヤーの位置によって変動が大きいのであくまで参考値です。
Intel Core i5 9600Kのリアルタイム配信性能
【近日更新予定】Intel Core i5 9600Kのレビューまとめ
「Intel Core i5 9600K」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ or 概要
- 6コア6スレッドで、全コア同時4.3GHz動作のCPU
- TDP95Wの仕様値に収まる消費電力
- 6コア6スレッドで3.5万円とマルチスレッド性能のコスパがやや悪い
以上、「Intel Core i5 9600K」のレビューでした。
Z390シリーズのマザーボード販売ページ
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<PCワンズ><ドスパラ><パソコン工房>
検証機材として使用している以下のパーツもおすすめです。
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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