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Kickstarterにおけるクラウドファンディングで約5億円の出資を達成した超高解像度・高視野角VR HMD「Pimax 8K」&「Pimax 5K」に管理人も出資しており、褒賞の「Pimax 8K VR Headset」が忘れたころにちょうど届いたのでレビューしていきます。3840×2160解像度の液晶パネルを2枚使用した片目4K、両目8Kな超高解像度VR HMD「Pimax 8K」がどれくらい綺麗になり、スクリーンドアが減少しているか、高解像度VR HMDとしては先行して発売され好評を博している「HTC VIVE Pro」やPC VRで最も普及している「HTC VIVE」と画質比較してみます。
製品公式ページ:https://www.pimax.com/
ドライバ・ソフトウェア:https://pimaxvr.com/pages/pitool
マニュアル:http://piplay-us.pimaxvr.com/PiTool_User_Manual_en.pdf
KS:https://www.kickstarter.com/projects/pimax8kvr/pimax-the-worlds-first-8k-vr-headset
Pimax 8K レビュー目次
1.Pimax 8Kについて
2.Pimax 8Kの梱包・付属品
3.Pimax 8KのVR HMD本体について
4.Pimax 8Kのセットアップ
5.Pimax 8KとHTC VIVE Pro/無印の画質比較
6.Pimax 8Kのレビューまとめ
Pimax 8Kについて
「Pimax 8K」の実機をチェックする前に、「Pimax 8K」や「Pimax 5K Plus」の基本情報について簡単に紹介しておきます。「Pimax 8K」と「Pimax 5K Plus」は冒頭でも紹介したように、商用販売に先駆けてKickstarterにおけるクラウドファンディングで出資を募り、約5億円の出資を獲得した高解像度VR HMDです。初期出資のアーリーバードはもう少し安いのですが、大半の出資者が「Pimax 8K」と「Pimax 5K Plus」を褒賞として獲得するために出した金額は499ドルと399ドルでした。
出資から褒賞の受け取りまで1年以上かかって管理人も届いたその時には完全に忘れていましたが、18年12月に開始された一般予約販売では倍額近い価格になっていたので、KS出資による購入はかなりお得でした。一般予約販売では限定製品として5K Plusのパネルタイプを有機ELにした「Pimax 5K BE」が999ドルで新たに追加されました。
「Pimax 8K」と「Pimax 5K Plus」の基本スペックの簡易比較は次のようになっています。
Pimax 8K スペック簡易比較 | ||||
Pimax 8K | Pimax 5K Plus |
VIVE PRO | VIVE | |
解像度(片目) | 3840×2160 | 2560×1440 | 1440×1600 | 1080×1200 |
PPI | 800 |
530 | 615 | 450 |
リフレッシュレート | 80Hz | 90Hz (BE:85Hz) |
90Hz | |
パネルタイプ | 液晶 | 液晶 (BE:OLED) |
OLED | |
視野角 | 200度 | 110度 | ||
ビデオ接続 |
DisplayPort 1.4 |
HDMI/miniDP | ||
トラッキング | HTC VIVEベースステーション 1.0/2.0 | 1.0のみ | ||
コントローラー | HTC VIVEコントローラー 1.0/2.0 | 1.0のみ | ||
オーディオ | 3.5mmオーディオジャック | 付属ヘッドホン | 3.5mm AJ | |
推奨GPU | GTX 1080 Ti RTX 2080 RTX 2080 Ti |
GTX 1070 RTX 2070 RX Vega 56/64 |
GTX 1070 GTX 1080 RX Vega 56/64 |
GTX 1060 RX 580/480 |
「Pimax 8K」と「Pimax 5K Plus」を快適に動作させるためには18年後半最新のグラフィックボードのRTX 2070~RTX 2080 Tiといったハイエンドなグラフィックボードが要求されます。グラフィックボードの性能や、グラフィックボード単体もしくは対応グラフィックボードを搭載したBTO PCの選び方については下記のレビューやまとめ記事を参考にしてください。
・GeForce RTX 2080 Tiのレビュー記事一覧へ
・GeForce RTX 2080のレビュー記事一覧へ
・GeForce RTX 2070のレビュー記事一覧へ
・おすすめグラボまとめ。予算・性能別で比較。各社AIBモデルの選び方
・おすすめBTO PCまとめ。予算・性能別で比較。カスタマイズ指南も
「Pimax 8K」と「Pimax 5K Plus」については、単純に解像度だけ見ると「Pimax 8K」が上位モデルのように見えますが、公式の比較グラフを参照する限り、「Pimax 5K Plus」の方がリフレッシュレート、彩度の高さ、ピクセル境界の滑らかさで優れており、総合スコアが高くバランスが良いようです。KSの時にはわからなかった情報なのでこれを見ていたら5K Plusに出資していた気がします。またPimax 8Kの使用については現在RTX 2080 TiやRTX 2080と組み合わせが公式から推奨されています。
「Pimax 8K」と「Pimax 5K Plus」にはPimaxから専用のベースステーションとコントローラーが発売されていますが、上の簡易比較表に記載したようにHTC VIVE用のベースステーションとコントローラーが使用できます。
「Pimax 8K」と「Pimax 5K Plus」がKSに登場した当時はHTC VIVE Proはリリースされていませんでしたが、HTC VIVE Proのフルセット版に付属するベースステーション2.0でも正常にトラッキングでき、コントローラー2.0も問題なく「Pimax 8K」とペアリングが可能でした。
「Pimax 8K」を使用する場合は、ベースステーションとコントローラーはPimaxで販売されている専用品を使用するよりも、価格的には高くつきますが、SteamVRとの互換性が高いHTC VIVEコンシューマーエディションに付属するものを流用するのがおすすめです。
Pimax専用コントローラーには親指操作部分がスティック版とトラックパッド版の2種類があり、加えて左右別の形状になっているので、親指操作部分の形状と左右別で計4種類の組み合わせがラインナップされています。2基のベースステーションと2基のコントローラーがセットで300ドルで販売されています。
専用コントローラーのボタン配置は次のようになっています。薬指と小指のセンサーボタンはトラックパッド版にのみ記載されていますが、スティック版に内蔵されているようです。ただし専用コントローラーのボタンがSteamやOculusのゲームで正常に認識されるかはよくわからないので、VIVEコントローラーも使える状況で追加アクセサリとしてという形がいいとおもいます。
5億円という巨額の出資を獲得できたためクラウドファンディング開始時に設置されていたストレッチゴールも軒並みクリアしており、専用コントローラー&ベースステーションだけでなく、今後、ダイヤル調節式ヘッドストラップやワイヤレスアダプタなど各種アクセサリの発売も予定されているようです。
Pimax 8Kの梱包・付属品
続いて「Pimax 8K」を開封していきます。「Pimax 8K」は高級感のある専用の化粧箱がパッケージになっています。蓋を外すと上段にはVR HMD本体とケーブルが収められており、下段にはその他の付属品が入っていました。
「Pimax 8K」の付属品は、マニュアルの冊子、レンズ拭きクロス、および黒色の小分けパッケージにそれぞれ詰められたヘッドストラップとACアダプタの4種類と非常にシンプルです。
マニュアルは薄い紙1枚だけで英語と中国語で1面ずつなのでPC関連に詳しくない人には導入が若干難しいかもしれません。公式に配布されているマニュアルPDFも「Pimax 8K」用というよりも、「Pimax 8K」で使用するPiToolという専用ソフトウェアの使用に関するものです。
マニュアル:http://piplay-us.pimaxvr.com/PiTool_User_Manual_en.pdf
「Pimax 8K」に標準で付属するヘッドストラップは、HTC VIVE無印版に採用されているものに似ていて、伸縮性のある布とマジックテープでできたています。。左右と頭頂部の3か所で調整するところも同様でした。
VR HMD本体に給電するためのACアダプタも付属します。ACアダプタのコンセント形状は出荷先に合わせてあるようで、日本国内の2PINタイプでした。
Pimax 8KのVR HMD本体について
Pimax 8KのVR HMDの本体についてチェックしていきます。Pimax 8KのVR HMD本体は片目用に16:9アスペクト比のモニタが内蔵されているため、HTC VIVEやOculus Riftなど現在主流なPC用VR HMDと比較するとかなり横長な形状です。中央の青色V時部分にはLEDが内蔵されており電源が入ると点灯します。
「Pimax 8K」のVR HMD本体にはヘッドストラップは開封時にはまだ装着されていないので、標準で付属する布製ヘッドストラップを各自で装着します。
ヘッドストラップにはHMD右上から伸びるケーブルを後頭部へ取り回するためのマジックテープ式のガイドがあります。
VR HMDの重量については本体のみ(ヘッドストラップは含む、ケーブル除く)で比較して、Pimax 8Kが約593g、HTC VIVE Proが約770g、HTC VIVE無印が約495gとなりました。横長の外装でサイズ自体も大きいこともあってHTC VIVE無印やOculus Rift CV1よりも重量は100g程度大きくなっていますが、HTC VIVE無印の初期ロット版と同じくらいなので、実用上は問題ないと思います。
Pimax 8Kの装着感についてはHMD重量が若干大きいこともあって、同じ構造のヘッドストラップが採用されていて軽量なHTC VIVE無印版やOculus Riftに比べるとやはり目の周りに負荷を感じます。Pimax 8KにせよHTC VIVE無印版にせよ、HMDをしっかり固定しようとしてヘッドストラップを締めると頬骨にも重さや圧がかかって長時間の着用が辛くなるのは同様でした。
一方でダイヤル式の大型ヘッドストラップが採用されているHTC VIVE Proではおでこ-頭頂部-うなじ付近のラインに重さが分散してかかって、頬骨の部分が楽でした。重さ自体は無印版やOculusよりも重いと確かに感じるのですが、頭全体に分散する感じがして楽に装着できます。VR HMD標準の装着構造としてはHTC VIVE Proが一番快適だと感じたので、「Pimax 8K」についても追加アクセサリのダイヤル式ヘッドストラップが速く発売されて欲しいところです。
標準ヘッドストラップは装着感があまりよくありませんが、3Dプリントサービス等を使用してアダプタを作成し、HTC VIVE用のデラックスオーディオストラップを装着するとかなり改善されます。
・「Pimax 8K」にHTC VIVE デラックスオーディオストラップを装着するアダプタを作ってみた
「Pimax 8K」は視野角が200度と非常に広い仕様から予想がつくように、フェイスクッションの内側のスペースは広く、レンズ自体も横に大きくなっています。
「Pimax 8K」に標準で装着されているフェイスクッションはスポンジ製となっています。Pimax 8Kのフェイスクッションは目の細かいマジックテープで固定されているだけなので、着脱が容易な構造になっており、純正・サードパーティ製のフェイスクッションと交換できます。
「Pimax 8K」のVR HMDではメガネユーザーのことも配慮されてフェイスクッションの横側に眼鏡のツルが通る切込みがありますが、レンズと目の距離を変える機能はないので、クッションの厚さを変えるなど各自で調節が必要かもしれません。
「Pimax 8K」の右縁の手前下には、左右の瞳の距離にあたるIPD(Interpupillary distance)を調整するダイヤルが設置されています。
「Pimax 8K」の左縁の手前(ヘッドストラップの付け根の下)には3.5mmオーディオジャックが設置されており、各自で用意したイヤホン・ヘッドホンを接続できます。接続したオーディオ機器のボリュームは外装右上のボリュームボタンで調節できます。ボリュームボタンに並んでヘッドセットの電源ボタンがあります。
「Pimax 8K」のフェイスクッションの中央上の奥と、外装下側中央の2か所にはモーションセンサーなど外付け機器を接続するためのUSB Type-C端子が実装されています。
Pimax 8KのHMD接続ケーブルは、ビデオ入力、USB接続、電力供給の3役を兼ねていますが、HTC VIVEやOculus Rift同様に1本のケーブルになっています。VR HMDヘッドストラップの後頭部から測ってケーブル長は約3.8mほどです。
ケーブルはPC側から20cmくらいの位置にACアダプタのDC端子を接続すためのターミナルがあり、PCに接続するケーブルとしてDisplayPortとUSBの2本に分岐しています。VR HMD後頭部からケーブル上ターミナル部分までのケーブル長は3.5m程度です。
Pimax 8Kのセットアップ
「Pimax 8K」のセットアップについて簡単に紹介していきます。「Pimax 8K」の概要でも解説したように、「Pimax 8K」と「Pimax 5K Plus」はHTC VIVE用のベースステーションとコントローラーが使用できます。
HTC VIVE用ベースステーションにせよ、Pimax専用ベースステーションにせよ、基本は同じなので、トラッキングしたい範囲を覆うようにベースステーションを設置します。
・Oculus RiftやHTC VIVEのセンサー固定におすすめなグッズを紹介
ベースステーションの設置などVR HMDの使用環境についてハードウェア関連の準備が完了したら、ソフトウェアの準備に移ります。
Pimax 8Kでプレイするゲームは基本的にSteamで販売されているものになると思います。非VIVEユーザーの場合は、Steamを使用していても未インストールなので先にSteamVRをインストールしておくのがお勧めです。
SteamクライアントDLページ:https://store.steampowered.com/about/
クライアント右上の「VR」ボタンが表示されていない場合は、ライブラリ-ツールからSteamVRを見つけて手動でインストールしてください。
続いてPimaxの公式ホームページから、「Pimax 8K」を使用するための専用ソフトウェア「PiTool」をダウンロードします。
DLページ:https://pimaxvr.com/pages/pitool-1
「PiTool」のインストーラーを上からダウンロードしたら、実行ファイルを起動して「PiTool」をインストールします。言語は英語もしくは中国語ですがポチポチとクリックしていくだけなので特に問題ないと思います。
インストールが完了したら、「Pimax 8K」をPCに接続して、「PiTool」をデスクトップショートカット等から起動します。管理人の環境では初回起動直後はそのままトラッキングの設定を始めるポップアップが表示されたので設定を行いました。
VIVEベースステーションかPimaxベースステーションかは特に尋ねられることもなく、トラッキングについては正面の設定と地面の設定のツーステップで簡単に終わりました。
地面の設定については床にヘッドセットを置いて、高さを0cmにすればOKです。
上のようにトラッキング設定が完了するとPiToolのホーム画面の下にベースステーションのアイコンが2つ点灯します。続いて右側にある「Pair Controller」からコントローラーのペアリングを行います。ガイドに従って、コントローラーの電源を入れてトラックパッド上下のボタンを両方長押ししたら、問題なくペアリングできました。冒頭で書いたようにHTC VIVE Pro用のコントローラーでも大丈夫です。
トラッキングの設定とペアリングが完了したら、PiToolの「Start SteamVR」かSteamクライアントからSteamVRを起動します。以上の手順で特に躓くこともなくSteamVRのホーム画面が表示できました。
Settings-HMDを選択すると、FOVやレンダリング品質に関する設定も行えます。標準でチェックが入っているようですが、VIVE用ベースステーションでセットアップできない場合は「Turn on Lighthouse Tracking」が有効になっているか確認してみてください。
「Pimax 8K」環境でもSteam VRの設定からは、Bluetooth等VIVEヘッドセット限定の機能を除けば、レンダリングスケール設定など各種設定が可能でした。「Pimax 8K」は製品仕様通り80HzリフレッシュレートのVR HMDとしてSteamVRから認識されています。
「Pimax 8K」をPCから取り外す場合は、『PiToolを起動したままで、HMDの電源ボタンを長押ししてパワーオフにする』の手順で踏んでから取り外してください。HMDの電源をOFFにせずに取り外すと、主モニタが暗転したままになったり、再起動するまでプチフリーズを繰り返すようになったりする可能性があります。
Pimax 8KとHTC VIVE Proの画質比較
「Pimax 8K」に関する基本的なチェックは済んだので、HTC VIVE ProやHTC VIVE無印版と画質を比較していきます。「Pimax 8K」はモニタパネルに液晶パネルが使用されており、残像感をなくすため黒挿入によるモーションブラーリダクションが行われているようです。黒挿入のせいなのか写真がいまいち綺麗に撮れなかったので、その点は予めご了承ください。実際に肉眼で見た映像はもっと綺麗というのが管理人の感想です。
まずは近距離に位置し画面全体に表示されるオブジェクトを見た時の比較です。サンプルとしては下画像が片目のディスプレイいっぱいに表示されています。
近距離に位置し画面全体に表示されるオブジェクトについては、Pimax 8K、HTC VIVE Pro、HTC VIVE無印版の3者でもパッと見では大きな差は感じられません。
よくよく注視するとHTC VIVE ProとHTC VIVE無印版ではHTC VIVE PROのほうがディテールが細かく、立体感があるのがわかりますが。VR HMD上で見ると高精細になっているので立体感が強くなり、また発色が鮮やかになっていると感じられました。
Pimax 8Kについてはレンズの相性が悪いのかカメラ(SONY DSC-RX100M5)の焦点距離が若干合わせ難く、少しボケてしまっていますが、HTC VIVE ProとHTC VIVE無印版に比べてピクセルが小さいのでスクリーンドアによる網目間は全く感じません。
続いて画面中央に表示される遠方のオブジェクトを見た時の比較です。サンプルとしては下画像が片目のディスプレイいっぱいに表示されています。
遠方のオブジェクトについてはHTC VIVE ProとHTC VIVE無印版の差が非常にわかりやすいです。サムネイルでは潰れて見えないのですが、写真をクリックして原寸に近い元画像を見てもらうと、HTC VIVE無印版ではディスプレイに網目模様が見えてしまう現象、いわゆるスクリーンドアがはっきりと見えますが、Pimax 8KはPPIが高いのでスクリーンドアを感じにくくなっています。加えて遠方のオブジェクトでも細部がはっきりと描かれています。
Pimax 8Kについてはやはりカメラで上手く撮影ができず若干ボケてしまうのですが、HTC VIVE Proでもわずかに感じた遠方のスクリーンドアはほぼなくなって、Pimax 8Kの800PPIという非常に高い精細度によって肉眼で普通の液晶モニタを見る視覚にかなり近づいてきた気がします。ただしスクリーンドアは減るものの、遠方オブジェクトの細部の見え方はPimax 8KとHTC VIVE Proで大きくは変わらない感じです。オブジェクトデータの解像度がパネルの精細度に追いついていないのかも?
最後にテキストを表示したときの比較です。サンプルとしては下画像が片目のディスプレイいっぱいに表示されています。
テキスト表示はおそらくPimax 8KとHTC VIVE ProとHTC VIVE無印版の3者の間で最も差がわかりやすいと思います。VIVE無印版ではピクセルが荒く、かつスクリーンドアで潰れてしまいぼんやりとした文字が、Pimax 8KやHTC VIVE Proではクッキリと綺麗に読むことができます。
またPimax 8K、HTC VIVE Pro、HTC VIVE無印版の順にスクリーンドアが減って網目が見え難くなっている様子も確認できます。
「機能」の漢字はHTC VIVE ProとHTC VIVE無印版との差が特に顕著です。HTC VIVE無印版では両方とも文字がほぼ潰れて雰囲気でしか読めません。しかしながらHTC VIVE Proでは「機」は文脈でかろうじて判別できるかなというくらいですが、能については問題なく読み取れます。加えて遠方のオブジェクト同様にスクリーンドアも軽減されています。
問題は「Pimax 8K」で、写真を比較するとHTC VIVE Proに比べてPPIに反して荒くなっているように見えることです。拡大して確認してみると、斜めの一方方向の線で文字が荒くなっており、ピクセルによる粒やスクリーンドアではなく(むしろピクセルやスクリーンドアは確認できない傾向)、今回の比較写真で文字がHTC VIVE Proよりも荒く見えるのはパネルではなくVR HMDのレンズの問題ではないかと思いました。あとサブピクセルの可能性も。
続いて、「Pimax 8K」の仕様値として挙げられている200度という非常に広域なFOVについて写真にするのは難しいのでインプレッションをお伝えするだけになりますが、視野角110度程度の従来のVR HMDではボヤけずに綺麗に見えるのは緑色の円からオレンジ色の円の間よりも内側でしたが、「Pimax 8K」は赤い円の部分までレンズが広がっているので、瞳を左右に動かしてオレンジ円の外側を見るような視野が得られました。構造上仕方ないものの内側に向くほうの目はどうしてもレンズ間の黒い部分にすぐ遮られてしまうのは、外の視野角が広がっただけに残念です。
またさらに外のピントが合わない部分についてもぼんやりとした光景としては視野の周囲に移るので、HTC VIVE ProやHTC VIVE無印において感じた双眼鏡を覗いている時のような閉塞感が緩和されて、視野に解放感があるという意味においても「Pimax 8K」の200度という広い視野角に有意な効果を感じました。
Pimax 8Kのレビューまとめ
最後に「Pimax 8K VR Headset」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 片目3840×2100の液晶ディスプレイ採用で約800PPIの高精細
- 200度の広域な視野角で、瞳を左右に動かす視野が得られる
- KS出資なら500ドル程度で購入できた
- HTC VIVEのベースステーション&コントローラーと互換性あり
- 一般販売ではHMD本体のみで900ドルと非常に高価
- ヘッドストラップの装着感はHTC VIVE Proに劣る
- 各種アクセサリ類が出そろっていない
「Pimax 8K」の画質に関して箇条書きに簡単にまとめると、
・スクリーンドアによる網目感は確実に減る
・HTC VIVE Pro比でオブジェクトやテキストの精細感の差は微妙(表示コンテンツによるかも)
・左右に瞳をかすような視野が得られ、解放感がある
といった感じでした
カメラで撮影した写真では上手く伝えるのが現状で難しいので、「Pimax 8K」の画質に関して管理人のインプレッションをもう少し詳しくまとめると、スクリーンドアによるピクセルの網目感については、解像度とPPIの通りにPimax 8K、HTC VIVE Pro、HTC VIVE無印版の順で確実に緩和され、Pimax 8Kにいたっては肉眼で(レンズを介さずに)液晶モニタを直接見る感覚にかなり近づいたと思います。
一方でHTC VIVE Proと比較してオブジェクトやテキストの精細感には大きく差を見出せず、またプラマイゼロなら映像ソースボトルネックの可能性も高いのですが、中央を見ても若干ぼやけた感じがしなくもないあたりが微妙です。
16:9アスペクト比のパネルですが、横を4/8/4に分けて周辺視野の4と4くらいは体感する綺麗かどうかという意味で画質に影響しないので、実際の精細感はレンズの影響も大きいもののPPIベースで比較する必要があります。スクリーンドアの減り具合に反してオブジェクトやテキストの精細感に向上を感じにくかったことについては、内部データ自体の解像度がボトルネックになっているという可能性もまあ否定できないかと思います。
視野角200度というスペック値ほどではないものの従来のVR HMDでは難しかった瞳を左右に動かして見る視野が得られるところは「Pimax 8K」の大きな魅力だと思います。ピントを合わせるのが難しい周辺視野もぼんやりとは映るので、従来製品で感じる双眼鏡を覗くような閉塞感は大きく緩和されかなり解放感があります。
海外レビューを見るとPimax 8KよりもPimax 5K Plusのほうがクッキリと綺麗な画像&テキストに見えるという報告もあるようです。公式の比較グラフでもPimax 5K Plusのほうが優秀な成績でしたし、Pimax 5K Plusの画質が個人的には気になっています。PimaxシリーズのVIVE Pro環境との互換性も確認できたので、試しにOLED版のPimax 5K BEをポチってみようかなと。
「Pimax 8K」が買いかというと、クラウドファンディングで安く購入したアーリーアダプター的には遊べる玩具として悪くないと思います。ただ一般販売向けロットは価格も2倍近くなって、納期も来年2月以降なので、どうしてもというなら止めませんが、今のところはまだ様子見でいいと思います。ダイヤル式ヘッドストラップのアクセサリが発売されるまでは管理人も常用するのはちょっとという感じです。
純粋に高解像度なPC用VR HMDをということであれば、周辺機器も出揃っていて国内でも入手の容易なHTC VIVE Proが安牌というのが正直なところです。ヘッドストラップの装着感もVIVE Proのほうが抜群に良いですし。
以上、「Pimax 8K VR Headset」のレビューでした。
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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