スポンサードリンク
スモールフォームファクタ向けSFXサイズで高変換効率Platinum認証を取得する新型電源ユニットの電源容量750Wモデル「Corsair SF750 Platinum(型番:CP-9020186-JP)」のレビュー用サンプルをメーカーよりご提供いただけたのでレビューしていきます。Platinum認証を取得した高変換効率によってSFX規格のコンパクトサイズながら2019年最新ウルトラハイエンドGPUであるGeForce RTX 2080 Ti環境でも静音動作で安定した電力供給が可能な次世代SFX電源ユニットを徹底検証していきます。
代理店公式ページ:
https://www.links.co.jp/item/sf-platinum/
https://www.ask-corp.jp/products/corsair/power-supply/sf-platinum.html
製品公式ページ:https://www.corsair.com/ja/ja/~/~/SF-Series/p/CP-9020186-JP
「Corsair SF750 Platinum」のモジュラー端子/ケーブル構成
Corsair SF750 Platinum レビュー目次
1.Corsair SF750 Platinumの外観
2.Corsair SF750 Platinumのケーブルや電源端子について
3.Corsair SF750 Platinumの負荷別のファンノイズについて
4.Corsair SF750 Platinumのレビューまとめ
Corsair SF750 Platinumの外観・付属品
早速パッケージを開封してCorsair SF750 Platinumの外観や付属品をチェックしていきます。パッケージを開くとまずは電源ユニットの仕様表(英語)と多言語マニュアルが入っていました。その下にはスポンジのスペーサーで安置された電源ユニットが左側に、ACケーブルやモジュラーケーブル各種が右側に入っていました。
「Corsair SF750 Platinum」のモジュラーケーブル以外の付属品は、ACケーブル、ATX-SFX変換マウントアダプタ、ケーブルタイ、Corsairバッジ、電源ユニット固定ネジとなっています。
「Corsair SF750 Platinum」電源ユニット本体をチェックしていきます。
緩衝材には高級モデル同様にスポンジスペーサーが使用されています。電源ユニット本体はベロア布袋に入っていますが、さらにビニール袋でも保護されていました。
「Corsair SF750 Platinum」の電源ユニット本体は次のようになっています。
「Corsair SF750 Platinum」はSFX電源ユニットなので寸法は規格で規定されており、幅130mm×高さ63.5mm×奥行100mmです。
「Corsair SF750 Platinum」にはGold認証の前世代から引き続き、奥行100mmのSFX電源規格で内蔵可能な最大サイズとなる92mm角の冷却ファンが搭載されています。
開封時に注意書きシールが貼られていますが、「Corsair SF750 Platinum」は低負荷時には冷却ファンが停止するセミファンレス機能「ZERO RPM FAN MODE」にも対応しています。
Corsair SF600 Platinumは変換効率が前モデルのGold認証からさらに高変換効率で低発熱なPlatinum認証となっているので、ファンレス閾値が120Wから240Wに上がり、Corsair公式の製品スペックによるとファンノイズも若干低下しています。容量下位モデルのSF450 Platinumは電源負荷180W以下でファンレス動作に対応しています。
今回レビューする「Corsair SF750 Platinum」は、SF600 Platinumよりもさらに高い電源負荷300Wまでのファンレス動作に対応しており、600W未満の電源負荷におけるファンノイズも静音化されています。
「Corsair SF750 Platinum」はシステム負荷50%の環境下において92%の電力変換効率を発揮することが確認済みの80PLUS Platinum認証が取得されています。電源容量は750Wで、+12V出力はシングルレールで62.5Aの出力に対応しています。国内正規代理店経由のメーカー保証期間も安心の7年間です。
「Corsair SF750 Platinum」などCorsair SF Platinum Series電源ユニットは配線をはんだ付けPCB基板することで優れたパフォーマンス、抜群の安定性を誇る電圧、極めて低いリップルと電気ノイズを実現するまったく新しい内部設計に基づいて開発されています。1次側と2次側の両方に日本メーカー製の105°Cハイエンドコンデンサを採用することで安定した電力供給と長寿命を実現します。
Corsair SF750 Platinumのプラグイン端子は次のようになっています。
ACコンセントケーブルは国内のPC関連でよく使われる3PINタイプの端子になっています。SFX電源では省略されることもあるのですが、Corsair SF750 Platinumにはロッカー型ハードウェアスイッチが付いています。
「Corsair SF750 Platinum」と一般的なATX電源を代表して「Corsair RM650i」のサイズを比較してみました。「Corsair SF750 Platinum」は奥行100mmと非常にコンパクトにまとまっています。(SFXのサイズは統一されているのでSF600 PlatinumとCorsair RM650iの比較写真を流用しています)
小型PCに最適化された規格のSFX電源やSFX-L電源はATX電源よりも厚さが20mmほど薄くなっているのもポイントです。
SFX電源は自作PC標準規格のATX電源よりも厚さと奥行小さいので、付属のATX電源→SFX電源マウント変換ブラケットを使用することで、マザーボード直上に電源ユニットを設置するようなコンパクトPCケースでCPUクーラーの設置スペースを拡張することができます。
また下の写真はSFX-L電源ユニットを装着した「DAN-Cases A4-SFX(レビュー)」と「Lian Li PC-Q38(レビュー)」ですが、SFX電源の「Corsair SF750 Platinum」であればSFX-L電源よりも30mm奥行が短いのでケーブル取り回しやストレージ設置のためにより大きなスペースが確保できます。
電源ユニットの重量も確認してみたところATX電源「Corsair RM650i」が1666g、SFX電源「Corsair SF600 Platinum」が854gに対して、「Corsair SF750 Platinum」は901gでした。自宅内で持ち運びするような自作PCを製作する場合でもCorsair SF750 PlatinumなどSFX電源ユニットは軽量なので重量面でもメリットがあります。
Corsair SF750 Platinumのケーブルや電源端子について
Corsair SF750 Platinumに実装されている電源コネクタの種類やケーブル長についてチェックしていきます。Corsair SF750 Platinumのプラグインケーブルはいずれも黒色の独立スリーブ化ケーブルが採用されています。独立スリーブ化ケーブルは見栄えが良いというメリットがある一方で、きしめん型ケーブルに比較して若干空間を占有するのとケーブルガイドを適切に使用しないとバラバラになってしまうというデメリットもあります。
Gold認証の前モデルではフラットきしめん型ケーブルが採用されていましたが、Platinum認証の「Corsair SF750/SF600/SF450 Platinum」では独立スリーブ型ケーブルが採用されています。独立スリーブ型ケーブルは見た目重視なケーブルなのでコンパクトPC用のSFX電源としては取り回しに優れたフラットきしめん型ケーブルのほうが好ましい気がするので、「Corsair SF750 Platinum」のケーブルは評価が分かれそうです。
一般的なATX電源ではATX24PINケーブルの長さは500~600mm程度の長さですが、Corsair SF750 PlatinumのATX24PINケーブルは小型PCケースへの組み込みが想定されており長さ300mmのショートケーブルになっています。
PCI-E補助電源とEPS電源のケーブルは見分けるのが面倒ですが、「Corsair SF750 Platinum」のプラグインケーブルではコネクタの側面に「PCI-E」と「CPU」と表記されて、自作PC初心者にもわかりやすくなっています。
Corsair SF750 Platinumには長さ400mmのEPS 8PINケーブルが2本付属します。Corsair SF750 PlatinumはコンパクトPC向け電源ユニットで、Mini-ITXマザーボードは基本的に最大でEPS 8PINなのであまり活躍の機会はなさそうですが、ATXやMicroATXの高性能マザーボードではEPS 8+4PINや8PIN×2を要求するものにも対応できます。
EPS端子は8PINを4+4PINに分離可能なコネクタで、4PINコネクタにはロックピンもあるので使いやすいケーブルだと思います。
Corsair SF750 PlatinumにはPCI-E補助電源ケーブルとして、ケーブル1本あたり8(6+2)PINコネクタが2つある長さ400+100mmのケーブルが2本付属します。PCIE補助電源として最大で8PIN*4が使用できるのでGeForce RTX 2080 TiやRadeon RX Vega 64などハイエンドGPUにも対応可能です。
2本のケーブルはいずれも8PINコネクタを6+2PINに分離可能です。
SATA電源ケーブルは全長445mm(100 + 115 + 115 + 115 mm)で4コネクタのケーブルで、同種のケーブルが2本付属します。
4PINペリフェラル電源ケーブルは全長330mm(100 + 115 + 115 mm)で3コネクタのケーブルです。
Corsair SF750 Platinumの負荷別のファンノイズについて
Corsair SF750 Platinumの負荷に対する冷却ファンの動作をチェックしてみました。検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成 | |
OS | Windows10 Home 64bit |
CPU |
Intel Core i9 9900K(レビュー) Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
M/B | ASUS WS Z390 PRO (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKK DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 4000MHz, CL17-17-17-37-CR2 |
システムストレージ |
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB MZ-N6E1T0B/IT (レビュー) |
PCケース/ ベンチ板 |
STREACOM BC1 (レビュー) |
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製3bit-MLC型64層V-NANDのメモリチップを採用するメインストリーム向け最新SATA接続M.2 SSD「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」を使用しています。「Samsung SSD 860 EVO M.2」は2.5インチSATA SSDと同等のパフォーマンスをケーブルレスで発揮できる手軽さが魅力です。Samsung SSD 860 EVOシリーズの容量1TB以上のモデルは大容量データの連続書き込みにおける書き込み速度の低下というTLC型SSDの欠点も解消されているので、大容量ファイルをまとめて入れても余裕のあるメインストレージとしてお勧めのSSDです。
・「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」をレビュー
上記のベンチ機でグラフィックボードをGTX 1050 Ti、GTX 1060、GTX 1070、GTX 1080、GTX 1080 Tiなどに変えてそれぞれについて消費電力と負荷時の電源ファンのファンノイズを測定しました。測定負荷にはFireStrike Extremeグラフィックテスト1を15分以上ループさせています。
消費電力の測定にはBluetooth接続でスマホから消費電力を見られるワットチェッカーを使用して、電源ユニットの変換損を含めたシステム全体の消費電力をチェックしています。なお同ワットチェッカーでは消費電力は1秒ごとにW単位で表示されますが、平均的な数値になっており実際の瞬間最大値はさらに高い値を取っている場合があります。記事中では表示値からおおよその平均を取って表記しますが、実際には+100Wから+200Wの瞬間的な負荷が発生することがあるので注意してください。
サウンドレベルメーターを利用してゲーム負荷時のノイズレベルを測定・比較しています。ノイズレベルの測定には「サンワダイレクト 400-TST901A」を使用しています。電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質にもよるので注意してください。
またベンチ機のCPUクーラーやグラフィックボードから出るファンノイズについては吸音材の板を使用して電源ユニット本体のファンノイズ測定への影響を下げています。非負荷時にグラフィックボードのファン回転数を負荷時の最大値に固定してもサウンドレベルメーターが35~36dBしか示さないのでこれらの影響は基本的に無視して問題ありません。
消費電力とファンノイズの測定結果は次のようになりました。
Corsair SF750 PlatinumはSFX規格のコンパクトサイズながら、2018年最新のウルトラハイエンドグラフィックボードRTX 2080 Ti環境の平均的な消費電力である400Wの負荷においても騒音値が35dB前後であり、500Wの負荷に対しても40dB未満という極めて優れた静音性を発揮しています。
高変換効率なPlatinum認証だけあって、同社前モデルSF600 Goldや、それと並んで定番だった競合製品のSilverStone SX600-Gや後継のSX650-Gよりも高い静音性を実現しているのは当然として、電源容量600Wの下位モデルCorsair SF600 Platinumよりも静音性で優れています。
「Corsair SF750 Platinum」は電源負荷300W以下で冷却ファンが停止するセミファンレス機能「ZERO RPM FAN MODE」に対応しています。
仕様値では電源負荷300Wがファン始動の閾値とされていましたが、ワットチェッカーで確認した限りでは消費電力が330Wを超過すると即座にファンが始動しました。
「Corsair SF750 Platinum」では一度が始動するとアイドルで電力負荷が小さくなっても10~15分程度はファンが動作し続けますが、その後、ファン停止に移行します。300W以下の低負荷時におけるファンノイズはファン停止状態とほとんど大差ないので騒音面では特に問題はありません。
下位モデルのCorsair SF600 Platinumでセミファンレス機能の閾値ギリギリの負荷をかけ続けると内部温度によるセーフティ機能が働いてファンが始動したのですが、「Corsair SF750 Platinum」にセミファンレス機能の閾値ギリギリの280~290W前後の負荷をかけ続けたところ、2時間以上テストを続けてもファンが始動することはありませんでした。
ファンレス状態で「Corsair SF750 Platinum」の内部温度がどの程度まで上がるかサーモグラフィでチェックしてみたところ、確認できた最大で110度近くまで達しました。
「Corsair SF750 Platinum」では動作を確認できなかったものの下位モデルに実装されているので温度セーフティ機能はあると思うのですが、サーモグラフィで観測した限りでは、SF600 Platinumが内部温度100度前後でファンが始動したのに対し、「Corsair SF750 Platinum」は110度前後でもファンが始動しないので、閾値にかなり余裕をもたせた設計になっているようです。
この件について念のためメーカーに確認したところ、SF Platinumシリーズはヒートシンク部分の温度をモニタリングして、低負荷時でも熱暴走を防止するためにファンを強制回転させますが、下写真の②のあたりをメインにモニタリングしており、この部分が150度を超えないように制御されているそうです。ファンが強制回転し始める温度(閾値)は非公開情報ですが、②付近が150度を超えていなければ電源ユニットとして、SF750 Platinumは正常動作しているとのことです。
NVIDIAの次世代ウルトラハイエンドGPUであるGeForce RTX 2080 Tiとメインストリーム向けCPU最上位のCore i9 9900KやRyzen 7 2700Xを組み合わせるとゲームプレイ時の消費電力は400W程度になりますが、この負荷に対するファンノイズは、35.6dB程度と極めて優秀な静音性を発揮しており、1時間以上に渡って負荷を続けても内部温度は70度未満でした。
同じ負荷をかけた時に下位モデルSF600 Platinumのファンノイズは38.5dBだったので、公式に発表されているノイズレベルの通り、「Corsair SF750 Platinum」は600W未満における同じ電源負荷に対してSF600 Platinumよりも優れた静音性を発揮しています。
Corsair SF750 Platinumのレビューまとめ
最後に「Corsair SF750 Platinum (型番:CP-9020186-JP)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 電源容量750W、変換効率92%以上のPlatinum認証取得のハイパフォーマンス電源ユニット
- Platinum認証を取得した初のSFX電源ユニット
- +12Vは62.5Aのシングルレーン出力
- プラグインケーブルが全て黒色の独立スリーブケーブル
- SFX電源ユニットながらEPS 8PINを2基搭載
- Core i9 9900K&GeForce RTX 2080 Tiも運用可能かつ35dB前後の高い静音性
- 7年間の保証期間
- コンパクトPC向け電源としては独立スリーブ化ケーブルは取り回しが悪いので、
個人的には前モデル同様にフラットきしめんケーブルが好ましい
「Corsair SF750 Platinum」は、50%負荷時の変換効率が92%以上のPlatinum認証を取得し、さらに電源容量750Wの大容量を実現した初のSFX電源ユニットとなっており、GeForce RTX 2080 TiやRadeon VIIなどハイエンドグラフィックボードとCore i9 9900KやRyzen 7 2700Xなどメインストリーム向け最上位CPUの組み合わせにも対応可能です。
「Corsair SF750 Platinum」は変換効率がPlatinum認証にアップグレートされたことによって、Gold認証の変換効率な同社前モデルや競合製品よりも高い静音性を実現しています。今回実施した負荷テストではGeForce RTX 2080 TiとCore i9 9900Kの環境で長時間の負荷をかけてもノイズレベルが35dB前後、CPU負荷がさらに大きいゲームシーンで想定される500W前後の不可に対しても40dB以下という極めて優秀な静音性を発揮しました。ATX電源でもこのクラスの負荷でファンノイズが煩くなるものも少なくないので、「Corsair SF750 Platinum」の静音性については手放しで評価できると思います。
プラグインケーブルの仕様の切り替えについては賛否が分かれるところで、個人的にはどちらかというとあまり評価できないというのが正直な感想です。SFX電源についてはコンパクトPC向け製品なので狭い空間でも電源ケーブルが容易に取り回せるように、前モデル同様にフラットきしめんケーブルを標準採用して、独立スリーブ化ケーブルについてはアクセサリパーツ扱いでよかったのではないかと思います。前モデルの時点でも競合SilverStone社の柔らかく細いケーブルに比べるとケーブルの取り回しでは劣っていたので、その点でも後継となる「Corsair SF750 Platinum」で改良に期待していたので唯一と言っていい残念なポイントでした。
プラグインケーブルについて賛否が分かれるものの、Platinum認証を取得し、かつ大容量な750Wの電源容量を実現した初のSFX電源ユニットであり、静音性や安定した電力供給能力についても優れたパフォーマンスが期待できる電源ユニットなので、GeForce RTX 2080 TiやRadeon VIIなどハイエンドグラフィックボードを搭載したコンパクトPC構築のお供におすすめな電源ユニットです。
以上、「Corsair SF750 Platinum」のレビューでした。
関連記事
・自作PC電源ユニット(PSU)の徹底解説とおすすめ電源の選び方・1200W&Platinum認証電源「Corsair HX1200i」をレビュー
・Titanium認証1600Wで奥行200mmの最強電源「Corsair AX1600i」をレビュー
・SFX電源の新定番「SilverStone SST-SX650-G」をレビュー
(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
スポンサードリンク