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シングルファンGPUクーラーを搭載する全長170mm、Mini-ITX完全対応のショート基板モデル「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」をレビューしていきます。フルHD解像度/標準画質設定のPCゲーミングに最適なNVIDIA Turing世代エントリークラスGPUである「GeForce GTX 1650」が前世代同クラスで補助電源レスGPU上位モデルであるGeForce GTX 1050 Tiに対して、どの程度の性能が発揮できるのか実ゲームベンチマークで徹底比較します。
MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC レビュー目次
1.MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCの外観
2.MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCの分解
3.MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCの検証機材セットアップ
4.MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCのゲーム性能
5.MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCの温度・消費電力・ファンノイズ
6.MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCのレビューまとめ
MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCの外観
早速、MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCを開封していきます。キャラメルボックス型の外スリーブから取り出した茶色段ボールの内パッケージを開くと、スポンジスペーサー&静電防止ビニールという一般的な梱包でグラフィックボード本体が鎮座していました。付属品はドライバCD、保証書、クイックマニュアルです。
「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」のグラフィックボード本体を見ていきます。
「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」のGPUクーラーの外装は黒色のプラスチック製です。MSIのAEROシリーズではお馴染みのカーボンパターンとホワイトカラーのラインがアクセントとして装飾されています。
「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」は全長170mmでGTX 1650グラフィックボードでは主流なショート基板になっています。Mini-ITXマザーボードに組み込んでもマザーボード基板からグラフィックボードがほぼはみ出すことのない、Mini-ITX完全対応なグラフィックボードです。
「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」はMini-ITX完全対応なショート基板かつ、グラフィックボード基板とGPUクーラーの高さもPCIEブラケットとほぼ同じです
「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」のGPUクーラーには90mm径の冷却ファンが1基だけ搭載されています。
「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」の厚みは2スロット占有です。
MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCはリファレンスの動作クロックよりも高い数値で動作するメーカーによるファクトリーOCが施されたOCモデルですが、リファレンスと同じく補助電源が不要です。
MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCのPCI-E端子と各種ビデオ出力には黒色の保護カバーが装着されています。
MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCのビデオ出力はHDMI2.0×1、DisplayPort1.4×、DVI-Dの3基が実装されています。
MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCはショート基板なので基板の反りを防止する必要はありませんが、基板の背面保護や放熱の補助の役割を果たすバックプレートは非搭載です。
なおグラフィックボードの重量はPalit GeForce GTX 1660 6GB StormX OCが406g、Palit GeForce GTX 1660 Ti 6GB StormX OCが417gに対して、MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCは371gとなっており、GTX 1650グラフィックボードとしてはコンパクトなサイズのとおり軽量です。
MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCの分解
MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCを分解してGPUクーラーやグラフィックボード基板についてチェックしていきます。なおGPUクーラーの取り外し(分解行為)はグラフィックボードの正規保証の対象外になる行為です。今回はレビューのために自己責任で分解しておりますが、繰り返しますが保証対象外になるので基本的には非推奨の行為なのでご注意下さい。
【暇があれば更新予定】
MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCの検証機材セットアップ
外観やハードのチェックはこのあたりにして早速、MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCを検証用の機材に組み込みました。テストベンチ機の構成は次のようになっています。テストベンチ機の構成 | ||
ベンチ機1 |
ベンチ機2 |
|
OS | Windows10 Home 64bit | |
CPU |
Intel Core i9 9900K(レビュー) Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
Intel Core i7 7700K (レビュー) |
CPUクーラー |
Fractal Design Celsius S36(レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
ASUS ROG RYUO 120 (レビュー) |
M/B | ASUS WS Z390 PRO (レビュー) |
ASUS ROG MAXIMUS IX FORMULA (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKK DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 4000MHz, CL17-17-17-37-CR2 |
G.Skill Trident Z F4-3600C15D-16GTZ DDR4 8GB*2=16B (レビュー) |
システム ストレージ |
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB (レビュー) |
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー) |
データストレージ |
Samsung SSD 860 QVO 4TB (レビュー) | |
電源ユニット |
Corsair HX1200i (レビュー) Corsair RM650i |
Thermaltake Toughpower iRGB PLUS 1250W Titanium (レビュー) |
PCケース/ ベンチ板 |
STREACOM BC1 (レビュー) |
Cooler Master MASTERCASE MAKER 5t (レビュー) NZXT Aer F 140 3基(レビュー) |
ベンチ機のゲームデータストレージには、世界初のQLC NANDメモリ採用2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 QVO 4TB」を使用しています。「Samsung SSD 860 QVO 4TB」は現行最新かつ主流なTLC型NAND採用のSATA3.0 SSDと同等のアクセススピードを実現しながら、同社の定番モデルである860 EVOの4TBモデルよりも大幅に安価なので、PCゲーム100GB超時代でも容量不足の心配無用なゲームデータストレージとしてオススメのSSDです。
・「Samsung SSD 860 QVO 4TB」をレビュー
「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」はその名前の通りファクトリーOCが施されており、GTX 1650の定格値である1665MHzからブーストクロックは1740MHzへ引き上げられています。パワーリミット(TDP)はリファレンス仕様値75Wのままです。
「GeForce GTX 1650」は製品仕様においてGPUエンコーダーのバージョン情報は『NVEnc(Volta)』と表記されており、Turing世代のGPUでサポートされる最新のGPUエンコーダー機能のうち、「HEVC B Frame」は非サポートです
「GeForce GTX 1650」のGPUエンコーダーのバージョンはVolta世代とのことですが、対応するデコード機能に注目してみると、Volta世代のTITAN Vが非対応のH.265 YUV 4:4:4形式にGTX 1650は対応しています。
一方で先日、動画配信ソフト「OBS」が対応したNVEnc (New)については、Turing世代のGPU(NVEnc)においてパフォーマンスが最適化されるとの情報もありますが、Volta世代のNVEnc(Pascal世代から変更なし?)が実装されているGTX 1650使用すること自体は問題なくできました。
MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCのゲーム性能
MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCの性能を測るべく各種ベンチマークを実行しました。性能比較には「Palit GeForce GTX 1660 6GB StormX OC」、「Palit GeForce GTX 1660 Ti 6GB StormX OC」、「XFX Radeon RX 480 8GB TRIPLE X」、「EVGA GeForce GTX 1060 6GB SC ACX2.0」、「EVGA GeForce GTX 1060 3GB SC ACX2.0」、「ZOTAC GeForce GTX 1050 Ti OC Edition」を使用しています。「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkで現在主流なDirectX11のベンチマーク「FireStrike」による比較になります。
FireStrike | Extreme | Ultra | |
GTX 1650 MSI ITX OC |
9026 | 4000 | 1617 |
GTX 1660 | 13940 | 6249 | 2713 |
GTX 1660 Ti | 16221 | 7254 | 3188 |
RX 480 8GB |
14136 | 6285 | 3153 |
GTX 1060 6GB | 13056 | 6256 | 3023 |
GTX 1060 3GB | 12345 | 5817 | 2696 |
GTX 1050 Ti |
7639 | 3627 | 1780 |
「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkのDirectX12ベンチマーク「TimeSpy」による性能比較となります。
TimeSpy | Async Off |
Extreme | |
GTX 1650 MSI ITX OC |
3388 | 3265 | 1505 |
GTX 1660 | 5531 | 5198 | 2476 |
GTX 1660 Ti | 6262 | 5875 | 2822 |
RX 480 8GB |
4085 | 3923 | 1824 |
GTX 1060 6GB | 4281 | 4124 | 1950 |
GTX 1060 3GB | 3961 | 3823 | 1813 |
GTX 1050 Ti | 2391 | 2278 | 1109 |
「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」を含めた各グラフィックボードについて、17年中頃から普及しつつあるHTC VIVEやOculus RiftなどVR HMDを使用したVRゲームに関する性能を測定する最新ベンチマーク「VRMark」による性能比較となります。
Orange Room |
Cyan Room |
Blue Room |
|
GTX 1650 MSI ITX OC |
5305 | 3447 | 1061 |
GTX 1660 | 8152 | 5379 | 1708 |
GTX 1660 Ti | 9366 | 6129 | 1952 |
RX 480 8GB |
6977 | 4600 | 1172 |
GTX 1060 6GB | 7175 | 3901 | 1291 |
GTX 1060 3GB | 6445 | 3510 | 1183 |
GTX 1050 Ti | 4003 | 2207 | 714 |
続いて実ゲームを用いたベンチマークになります。解像度はフルHDについて行っており、同一のグラフィック設定で同一のシーンについて平均FPSを比較しました。
ベンチマーク測定を行ったゲームタイトルは、Assassin's Creed Origins(最高設定プリセット)、Battlefield 1(最高設定プリセット)、Destiny2(最高設定プリセット)、The Division(グラフィック設定)、Far Cry 5(最高設定プリセット&TAA)、Final Fantasy XV(最高設定プリセット、NVIDIA GameWorks無効)、Ghost Recon Wildlands(非常に高い設定プリセット)、Mirrors Edge Catalyst(最高設定プリセット)、MONSTER HUNTER: WORLD(最高設定プリセット)、Rise of the Tomb Raider(高設定プリセット/FXAA/DX12)、Middle-Earth: Shadow of War(とても高い設定プリセット)、Titanfall 2(グラフィック設定)、WatchDogs_2(超高設定プリセット)、The Witcher3(最高設定)、Gears of War 4(高設定プリセット)以上の15タイトルです。
Assassin's Creed Origins(最高設定プリセット)に関する「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Battlefield 1(最高設定プリセット)に関する「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Destiny2(最高設定プリセット)に関する「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
The Division(グラフィック設定)に関する「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Far Cry 5(最高設定プリセット&TAA)に関する「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Final Fantasy XV(最高設定プリセット、NVIDIA GameWorks無効)に関する「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Ghost Recon Wildlands(非常に高い設定プリセット)に関する「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Mirrors Edge Catalyst(最高設定プリセット)に関する「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。(注:VRAM容量に合わせてグラフィック設定が自動で調整されてしまうのでGTX 1060 3GBは測定なし)
MONSTER HUNTER: WORLD(最高設定プリセット)に関する「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Rise of the Tomb Raider(高設定プリセット/FXAA/DX12)に関する「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Middle-Earth: Shadow of War(非常に高い設定プリセット)に関する「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Titanfall 2(グラフィック設定)に関する「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
WatchDogs_2(超高設定プリセット)に関する「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
The Witcher3(最高設定)に関する「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Gears of War 4(高設定プリセット)に関する「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCなど7種類のGPUについて実ゲーム性能の比率の平均を出してみたところ、MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCは同じく補助電源不要モデルで前世代同クラス上位のGeForce GTX 1050 Tiよりも平均で25%以上の性能を発揮し、ベストケースでは40%も上回るという結果になりました。2019年以降にリリースされる最新高画質PCゲームをフルHD解像度の標準画質、負荷が軽めのものであれば高画質設定でプレイできる性能です。
「GeForce GTX 1650」はあくまでエントリークラスGPUなので、Turing世代のミドルクラスGPUであるGTX 1660やGTX 1660 Tiはもとより、前世代のGTX 1060 3GB/6GBにも及びませんが、補助電源不要という制約の中で25%以上性能を伸ばしてきたところは評価に値すると思います。
MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCの温度・消費電力・ファンノイズ
MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCの負荷時のGPU温度やファンノイズや消費電力についてチェックしていきます。「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」のGPU温度とファンノイズの検証負荷としては20分間に渡たり連続してGPUに100%近い負荷をかける3DMark TimeSpy Stress Testを使用しています。
MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCのテスト終盤におけるGPU温度は最大58度に収まっています。GTX 1650は補助電源不要なエントリークラスGPUで消費電力も小さいので、Mini-ITX対応ショート基板でシングルファンのGPUクーラーでも余裕で冷やせています。
GPUコアクロックについては「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」の仕様値ではブースト1740MHzとなっていますが、負荷テスト中の実動平均は1860MHzでした。ZOTAC GTX 1050 Ti OC Editionはブーストクロックがリファレンス定格の1392MHzから100MHz以上OCされてブーストクロックは1506MHzに引き上げられたモデルですが、実動平均は1750MHzとなっており、GTX 1650とGTX 1050 Tiを比較するとGTX 1650のほうが実動コアクロックは100MHz程度高いようです。
MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCを含めていくつかのグラフィックボードについてサウンドレベルメーターを利用してゲーム負荷時のノイズレベルを測定・比較しました。ノイズレベルの測定には「サンワダイレクト 400-TST901A」を使用しています。
電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質にもよるので注意してください。
ノイズレベルの測定結果は次のようになっています。
MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCはファン回転数をモニタリングできないハードウェア実装になっていますが、ファンノイズの騒音値は44.5dB程度とエントリークラスGPUとしてはやや高めの数値になりました。GPUコア温度は50度半ばとかなり低めなので、もう少し静音性を重視したチューニングでも良かったと思います。GPUコア温度的には大分余裕があるのでファン回転数を手動設定で下げれば静音性重視の運用も可能です。
MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCの消費電力と瞬間的な最大電源負荷を測定しました。
測定負荷には上で行った温度検証と同様に3DMark TimeSpy ストレステストを使用しています。テスト全体から1秒間隔でモニタリングを行い、平均値を”消費電力”、最大値を”瞬間的な最大電源負荷”とします。なお電源ユニットに対する実際の最大瞬間負荷は測定値より50~100W上回る場合があるので、電源ユニットの電源容量選択の参考にする場合は注意してください。
消費電力の測定は電源ユニット「Corsair HX1200i」のCorsair Linkによる電力ログ機能を用いてコンセントからの入力ではなく変換ロスを差し引いたシステムへの出力電力をチェックしています。また電力測定の際は上記の主電源ユニットに加えて、CPUへの電力供給を行うEPS端子へ接続するために別の副電源ユニットを使用しています。
この方法であれば、CPU(後述のiGPUも)に負荷をかけても、CPUによる消費電力の変動はメイン電源ユニットCorsair HX 1200iの測定値には影響しません。しかしながら、測定値にはまだATX24PIN経由で供給されるマザーボードやDDR4メモリの電力が含まれるので、iGPUを使用した時の3DMark TimeSpy ストレステスト中の消費電力と最大電源負荷を同様に測定し、各種グラフィックボード使用時と差分を取る形でグラフィックボード単体の消費電力と最大電源負荷を算出します。
MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCの消費電力は58W、最大瞬間負荷は74Wでした。MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OCのTDP(パワーターゲット)はリファレンス仕様値と同じ75Wに設定されていますが、同じく補助電源不要でTDP75WのGTX 1050 Tiと比較すると、消費電力は10W程度増加しています。
GTX 1050 Ti比では若干の消費電力上昇が確認されましたが、とはいえミドルクラスのGTX 1660やGTX 1060と比較すれば半分ちょっとという非常に優れた省電力性能を実現しており、NVIDIAが同GPUのローンチにおいてデスクトップ向けよりもモバイルゲーミングPC搭載版の広報に力を入れていたのも納得です。
MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC レビューまとめ
最後に「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 最新PCゲームをフルHD/標準画質~高画質設定でプレイ可能なグラフィック性能
- GTX 1050 Tiを平均で25%以上、ベストケースでは40%近く上回るグラフィック性能
- 全長170mmのMini-ITX完全対応ショート基板
- ショート基板かつ2スロット占有シングルファンGPUクーラーとしては高い静音性
- 動画配信ソフトOBSでNVEnc (New)を使用可能
- レイトレーシングやDLSSなどTuring世代の独自機能には非対応
- GTX 1660以上がサポートするHEVC B Frameは非サポート
GeForce GTX 1650は同じく補助電源不要で前世代同クラス上位モデルのGTX 1050 Tiを平均で25%以上も上回ります。Turing世代のGPUは古いゲームよりも2018年以降に登場する最新ゲームでより高速化の恩恵が受けられる傾向があり、ベストケースでは40%程度も上回るパフォーマンスを発揮します。
GeForce GTX 1650は2019年以降に登場する最新高画質PCゲームをフルHD/標準画質でプレイするのに最適な次世代ミドルクラスGPUですが、動画配信ソフトOBSでサポートが開始されたNVEnc(New)も使用可能となっており、価格帯も149ドルからと安価なので、CPUに予算を割けないエントリークラスのゲーミングPCで動画配信を気軽に始めることができるところもアピールポイントだと思います。
「GeForce GTX 1650」は希望小売価格149ドルからで、国内においては4月23日のローンチ直後において税込み2万円から販売されており、しばらくすればGTX 1050 Tiと同様に1.6~1.8万円で購入できるようになると思います。単純にこの価格帯だけを見ると悪くないのですが、競合AMDのミドルクラスGPU下位モデルであるRX 570が19年4月現在、GTX 1650と同じかそれよりも安く販売されており、グラフィック性能的には上のサマリーで140%~150%程度とGTX 1650よりも高速なので苦戦を強いられそうな予感はあります。
ただしNVIDIAのマーケティングを見ても「GeForce GTX 1650」のデスクトップ版はあくまでおまけで、優れた省電力性能を活かしたGTX 1650搭載モバイルゲーミングPCが本命のようです。
「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」については、可もなく不可もなくというか、標準的なGeForce GTX 1650のグラフィックボードというのが率直な感想です。2019年4月現在においてGTX 1650として標準的な販売価格2.1万円程であり、Mini-ITXにも完全対応なショート基板モデルなのでPCケース内での干渉の心配もほぼなく、旧世代GPUからのアップグレードにも最適ですし、買って後悔することはまずありません。
ショート基板でヒートシンク放熱フィンの面積が狭く、冷却ファンもシングルファンなので、一般的な2連ファンGPUクーラーに比べると冷却性能や静音性では劣りますが、GTX 1650自体が消費電力50W~60W程度と低発熱なので小型クーラーでも問題なく運用できます。強いて言うとすれば「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」はややファン回転数高めで冷却性能重視なチューニングになっているのは気になりました。静音性を重視したい人はMSI Afterburnerという純正アプリもあるので、ファン速度の手動設定をお勧めします。
以上、「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」のレビューでした。
・GTX 1650 販売ページ:
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<TSUKUMO><ドスパラ><PCワンズ><ソフマップ>
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