動画編集・エンコードにオススメなCPUは?最新28種のCPUで徹底比較


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メインストリーム向けのIntel第10世代Core-SとAMD第3世代Ryzen、エンスージアスト向けのIntel第10世代Core-XとAMD第3世代Ryzen Threadripperなど、2020年最新4大プラットフォーム+アルファな38種類のCPUを使用して、Aviutl、TMPGEnc Video Mastering Works、Adobe Premiere Proなど主要な動画編集ソフトにおける動画エンコード性能を徹底比較し、動画編集にオススメなCPUを紹介します。


動画編集・エンコードにオススメなCPU 目次


1.38種類のCPUでAviutlの動画エンコード速度比較
2.38種類のCPUでTMPGEncの動画エンコード速度比較
3.38種類のCPUでAdobe Premiere Proの動画エンコード速度比較


4.Q&A形式でわかる動画エンコード速度比較のまとめ

5.ゲーム実況のリアルタイムエンコード性能は?


6.2万円台で買えるフルHDの動画編集に最適なCPU
7.3万円台で買えるフルHDの動画編集に最適なCPU
8.高FPSなPCゲーミングとフルHDの動画編集に最適なCPU
9.4Kや8Kなど超高解像度な動画編集にオススメなCPU




【執筆:2019年8月15日、最終更新:2020年5月30日】



38種類のCPUでAviutlの動画エンコード速度比較

無料で利用できる動画編集ソフトとして国内外で多数のユーザーがいる「Aviutl」を使用して、38種類の最新CPUで動画エンコード性能を比較していきます。
Aviutlはいずれも、現在主流なH.264 (MPEG-4 AVC) ビデオストリームへエンコードを行う「x264」エンコーダ、そしてH.264より高圧縮・高画質で次世代規格として期待されているH.265(HEVC) ビデオストリームへエンコードを行う「x265」エンコーダが使用できるので、CPUをリソースとして各エンコーダで共通の動画ファイルのエンコードを行いました。
エンコードを行う動画ファイルについては、Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsのゲーム内ベンチマーク(60秒ほど)をNVIDIA ShadowPlayで録画したものを使用しています。1920×1080/60FPS/50Mbpsと3840×2160/60FPS/120Mbpsの2種類の動画ファイルを作成し、「1920×1080 to 1920×1080」、「3840×2160 to 1920×1080」、「3840×2160 to 3840×2160」の3種類のエンコードを行っています。
Aviutlのx264/x265のエンコード設定は次のスクリーンショットのようになっています。
x264_encode_settingx265_encode_setting
下記グラフは単一エンコードのフレームレート(エンコード速度)を基準にして昇順に並べていますが、併記されているx2/x3/x4のバーについては同じエンコードを添え字の数だけ並列実行した時の合計変換フレームレートを示しています。

Aviutl&x264エンコーダによって1920×1080解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
CPU_encode_aviutl_x264_1920-1920

Aviutl&x264エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
CPU_encode_aviutl_x264_3840-1920

Aviutl&x264エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の3840×2160解像度へエンコードした時のエンコード速度について各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
CPU_encode_aviutl_x265_3840-3840

Aviutl&x265エンコーダによって1920×1080解像度の動画をH.265(HEVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
CPU_encode_aviutl_x265_1920-1920

Aviutl&x265エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.265(HEVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
CPU_encode_aviutl_x265_3840-1920

Aviutl&x265エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.265(HEVC)の3840×2160解像度へエンコードした時のエンコード速度について各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
CPU_encode_aviutl_x264_3840-3840



38種類のCPUでTMPGEnc Video Mastering Works 7の動画エンコード速度比較

国内ユーザーも多い商用動画編集ソフト「TMPGEnc Video Mastering Works 7」を使用して、38種類の最新CPUで動画エンコード性能を比較していきます。
TMPGEnc Video Mastering Works 7は、現在主流なH.264 (MPEG-4 AVC) ビデオストリームへエンコードを行う「x264」エンコーダ、そしてH.264より高圧縮・高画質で次世代規格として期待されているH.265(HEVC) ビデオストリームへエンコードを行う「x265」エンコーダが使用できるので、CPUをリソースとして各エンコーダで共通の動画ファイルのエンコードを行いました。
エンコードを行う動画ファイルについては、Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsのゲーム内ベンチマーク(60秒ほど)をNVIDIA ShadowPlayで録画したものを使用しています。1920×1080/60FPS/50Mbpsと3840×2160/60FPS/120Mbpsの2種類の動画ファイルを作成し、「1920×1080 to 1920×1080」、「3840×2160 to 1920×1080」、「3840×2160 to 3840×2160」の3種類のエンコードを行っています。
TMPGEnc Video Mastering Works 7のエンコード設定については、固定ビットレートで1920×1080へエンコードする場合は25Mbps、3840×2160へエンコードする場合は60Mbpsとしています。

下記グラフは単一エンコードのフレームレート(エンコード速度)を基準にして昇順に並べていますが、併記されているx2/x3/x4のバーについては同じエンコードを添え字の数だけ並列実行した時の合計変換フレームレートを示しています。

TMPGEnc&x264エンコーダによって1920×1080解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
CPU_encode_tmpgenc_x264_1920-1920

TMPGEnc&x264エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
CPU_encode_tmpgenc_x264_3840-1920

TMPGEnc&x264エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の3840×2160解像度へエンコードした時のエンコード速度について各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
CPU_encode_tmpgenc_x265_3840-3840

TMPGEnc&x265エンコーダによって1920×1080解像度の動画をH.265(HEVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
CPU_encode_tmpgenc_x265_1920-1920

TMPGEnc&x265エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.265(HEVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
CPU_encode_tmpgenc_x265_3840-1920

TMPGEnc&x265エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.265(HEVC)の3840×2160解像度へエンコードした時のエンコード速度について各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
CPU_encode_tmpgenc_x264_3840-3840



38種類のCPUでAdobe Premiere Proの動画エンコード速度比較

最後にAdobe Premiere Pro(Media Encoder)による動画エンコードについても、38種類の最新CPUで動画エンコード性能を比較しました。
エンコードを行う動画ファイルについては、Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsのゲーム内ベンチマーク(60秒ほど)をNVIDIA ShadowPlayで録画したものを使用しています。1920×1080/60FPS/50Mbpsと3840×2160/60FPS/120Mbpsの2種類の動画ファイルを作成し、「1920×1080 to 1920×1080」、「3840×2160 to 1920×1080」、「3840×2160 to 3840×2160」の3種類のエンコードを行っています。
Adobe Premiere Proのエンコード設定はCPUリソースのx264エンコードで、1920×1080へエンコードする場合は25Mbps、3840×2160へエンコードする場合は60Mbpsの固定ビットレートです。Media Encoderでは1つのプロジェクトを複数の設定で同時にエンコードできますが、複数のプロジェクトを同時にエンコードすることができないので単一エンコードのみを比較しています。

Adobe Premiere Proによる動画エンコードについてはAMD Ryzen CPUは苦手であると評価されていることが多いですが、2020年現在では最適化も進んでおり、コアスレッド数とコアクロックに比例した性能が発揮できるようになっています。

Adobe Premiere Pro&x264エンコーダによって1920×1080解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
CPU_encode_AdobePP_x264_1920-1920

Adobe Premiere Pro&x264エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
CPU_encode_AdobePP_x264_3840-1920

Adobe Premiere Pro&x264エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の3840×2160解像度へエンコードした時のエンコード速度について各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
CPU_encode_AdobePP_x264_3840-3840



動画エンコード速度比較のまとめ

以上、Aviutl、TMPGEnc Video Mastering Works、Adobe Premiere Proなど主要な動画編集ソフトにおける動画エンコード性能を38種類の最新CPUで比較した結果を紹介しましたが、簡単に総括していきます。

Q1:Intel製CPUとAMD製CPUの性能に差はあるのか?
A1:
CPUメーカーに依存した性能差はほとんどない
まずIntel製CPUとAMD製CPUの比較についてですが、2020年現在、一般ユースで最も主流なx264エンコードでは各CPUのマルチスレッド性能(以下、コアスレッド数×コアクロックのこと)に比例したパフォーマンスを発揮しており、CPUメーカーに依存した性能差はほとんど感じられません。

動画編集ソフトウェア別に見てもAviutlのx264エンコーダが最も綺麗にスケーリングしており、TMPGEnc Video Mastering WorksとAdobe Premiere ProではAMD製CPUにおいて僅かに不利になる傾向も見られますが、動画エンコードに限ってはCPUメーカーに拘る必要はないと思います。


Q2:Intel製CPUとAMD製CPUのコストパフォーマンスは?
A2:
AMD製CPUのほうがコストパフォーマンスは高い
x264エンコードにおけるコストパフォーマンスを見てみると、Intel Core i7 9700KとAMD Ryzen 7 3700X、およびIntel Core i5 9600KとRyzen 5 3600Xがほぼ同じエンコード速度となっていることからわかるように、AMD製CPUのほうが動画エンコードにおけるコストパフォーマンスには優れています。


Q3:AMD製CPUはAdobe Premiere Proによる動画編集が苦手?
A3:
2019年以降はIntel製CPUと同等のパフォーマンス
Adobe Premiere Proによる動画エンコードについてはAMD Ryzen CPUは苦手であると評価されている記事が多いですが、2020年現在では最適化も進んでおり、コアスレッド数とコアクロックに比例した性能が発揮できるようになっています。


Q4:10コア以上のエンスー向けCPUで性能が上がるのか?
A4:
フルHDの動画編集では限定的、4Kなど高解像度ならオススメ
エンコードに使用する素材や動画プロジェクトのフィルタ・エフェクト等でも影響される可能性がありますが、x264エンコーダ自体の限界もあって、フルHD解像度のエンコードであれば8コア16スレッドまではそこそこ綺麗にスケーリングした性能向上が期待できますが、それ以上は複数のエンコードを並列実行しないとCPUが遊び始めます。フルHD解像度の動画編集がメインであれば最大で8コア16スレッドもあれば十分なので、メインストリーム向けCPUで大丈夫です。

4K解像度以上の動画編集を行うのであればIntel Core-XやAMD Ryzen Threadripperなど10コア以上のエンスー向けCPUを選択することによって、単一の動画エンコードでもマルチスレッド性能に応じた性能向上が期待できます。20コア以上になると4K解像度でも一部のコアが遊び始めるので、8Kなどさらに超高解像度な動画編集でオススメです。


Q5:x265エンコードの性能はどうか?
A5:AMDでも第3世代Ryzenなら
Intel製CPUと同性能
x264エンコードよりも圧縮率が高いので、企業向けには採用が増えつつあるH.265(HEVC)エンコードですが、x264エンコードと比較して、「マルチコアスレッドの分散が悪い」、「x264エンコードよりも遅い」という2つの明確なデメリットが存在します。
第2世代以前のAMD Ryzen CPUはIntel製CPUに比べてx265エンコードが遅かったのですが、第3世代Ryzenではx265エンコードで使用されるAVX256という拡張命令にネイティブ対応したので、コアスレッド数が同じならIntel製CPUと同性能を発揮できます。




ゲーム実況のリアルタイムエンコード性能は?

Youtube LiveやTwitchなどリアルタイム配信(ライブストリーミング)サービスで、PS4/Xbox/Switch等のコンシューマーゲーム機やPCゲームのプレイ動画・ゲーム実況を快適に配信するのに必要なCPU性能については、現在、連載を続けている【快適配信】シリーズで詳細に解説しています。
一口にゲーム実況と言っても、『1.ビデオキャプチャを使用してPCは録画配信作業のみを行う』、『2.PC1台で同時にゲームプレイと録画配信を行う』の2つのケースに大別され、どちらで使用するのかで要求されるCPU性能やCPUメーカー毎の得手不得手など事情が変わってくるので注意してください。

【快適配信】シリーズの記事一覧へ
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2万円台で買えるフルHDの動画編集に最適なCPU

2万円台で購入可能なフルHD解像度の動画編集用のCPUとしては、Intel製CPUよりもコストパフォーマンスに優れる、6コア12スレッドCPUの「AMD Ryzen 5 3600」がおすすめです。



「AMD Ryzen 5 3600」をレビュー
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3万円台で買えるフルHDの動画編集に最適なCPU

3万円台で購入可能なフルHD解像度の動画編集用のCPUとしては、Intel製CPUよりもコストパフォーマンスに優れる、8コア16スレッドCPUの「AMD Ryzen 7 2700X」がおすすめです。


Ryzen 7 2700Xはビデオキャプチャを使用したTVゲームやPCゲームの配信用PCに組み込むCPUとしても非常にオススメです。x264 MediumプリセットのリアルタイムエンコードにWebカメラや画像合成などを加えても快適にゲーム実況可能なCPU性能です。
【快適配信:2】AMD RyzenはTVゲーム配信で高コスパなCPU
快適配信-Ryzen



ハイフレームレートなPCゲーミングとフルHDの動画編集に最適なメインストリーム向けCPU

PUBGやフォートナイトなど近年流行りのバトルロイヤルゲームをハイフレームレートでプレイしつつ、フルHD解像度のプレイ動画を録画・配信したいユーザーには、8コア16スレッドCPUの「AMD Ryzen 7 3700X」や「Intel Core i7 10700K」がオススメです。




「AMD Ryzen 7 3700X」をレビュー
AMD Ryzen 7 3700X

「Intel Core i7 10700K」をレビュー。ベストオブゲーミングCPUの素質はあるがIntel Core i7 10700K



4Kや8Kなど超高解像度な動画編集にオススメなCPU

4K解像度や8K解像度など超高解像度な動画編集においては、10コア以上のCPUでも遊びが出ることなくエンコードでマルチスレッド性能を使い切ることができるので、コストパフォーマンスを優先するなら12コア24スレッドの「AMD Ryzen 3900X」や16コア32スレッド「AMD Ryzen 9 3950X」がオススメです。


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AMD Ryzen 9 3900X

AMD Ryzen 9シリーズの同コアスレッド製品と比較すると動画エンコードにおけるコストパフォーマンスは悪く、十分な性能を発揮するにはユーザーによる手動OCも要求されるので運用ハードルも上がりますが、全方位に高性能なIntel Core-X CPUも予算が許すのであれば検討してみてもいいと思います。


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組み合わせて使用するマザーボードが5万円からとなり、CPU単体も24コアが18万円、32コアが25万円と非常に高額になりますが、クリエイティブタスクでとにかくマルチスレッド性能を追求するのであれば、AMD第3世代Ryzen Threadripperを検討してみてください。32コアのRyzen Threadripper 3970Xは半エンタープライズなXeon W-3175Xを蹴散らし、HEDT向けCPUとしては独壇場な圧倒的性能を発揮します。


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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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