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クリエイティブタスクやPCゲーミングのために2019年最新のミドルクラスPCを構築する際、ハイコストパフォーマンスなCPUとして候補に挙がる「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」はどちらがオススメなのか、実際のクリエイティブタスクやPCゲーミングにおけるベンチマークの性能比較から解説していきます。
目次
1.AMD Ryzen 5 3600とIntel Core i5 9400Fの概要
2.AMD Ryzen 5 3600とIntel Core i5 9400Fの検証機材・動作設定
3.AMD Ryzen 5 3600とIntel Core i5 9400Fのクリエイティブ性能
・3Dレンダリング性能
・動画エンコード性能
・RAW現像性能
・PCゲーム/スマホアプリのビルド性能
4.AMD Ryzen 5 3600とIntel Core i5 9400Fのゲーミング性能
・4K解像度/60FPSターゲット
・フルHD解像度/ハイフレームレート
・バトルロイヤル系PCゲーム/240FPSターゲット
5.【まとめ】AMD Ryzen 5 3600とIntel Core i5 9400Fのどちらを買うべきか
・クリエイティブ性能について
・ゲーム性能について
・総評
AMD Ryzen 5 3600とIntel Core i5 9400Fの概要
最初にと「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」の概要について簡単に紹介しておきます。「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」の主要な製品スペックをまとめてテーブルで比較すると次のようになっています。重要なチェックポイントを抜粋するとコアスレッド数、オーバークロックの可否、価格の3点です。
Ryzen 5 3600とCore i5 9400F スペック簡易比較 | ||||
Ryzen 5 3600 |
Ryzen 5 3600X | Core i5 9400F | Core i5 9600K |
|
コアスレッド | 6コア12スレッド | 6コア6スレッド | ||
ベースクロック | 3.6GHz | 3.8GHz | 2.9GHz | 3.7GHz |
最大ブースト | 4.2GHz | 4.4GHz | 4.1GHz | 4.6GHz |
オーバークロック |
O | X | O |
|
L3キャッシュ | 32MB | 9MB | ||
TDP | 65W | 95W | 65W | 95W |
CPUクーラー | 付属 | X | ||
iGPU |
X | O |
||
CPUソケット | AMD AM4 |
Intel LGA1151 |
||
対応チップセット | X570, X470, B450, X370, B350, A320など |
Z390, Z370 , H370, B360, H310など |
||
2019年8月現在 おおよその国内価格 (北米希望小売価格) |
2.6万円 (199ドル) |
3.2万円 (249ドル) |
1.8万円 (182ドル) |
3.0万円 (262ドル) |
まずコアスレッド数はCore i5 9400Fが6コア6スレッドに対して、Ryzen 5 3600はマルチスレッディングに対応した6コア12スレッドです。動作クロックについては内部的な仕様が複雑なので、他社間でのスペックはあまり気にせず、実際のベンチマーク結果を参考にしてください。
Ryzen 5 3600が倍率アンロックでユーザーによるOCに対応しているのに対して、Core i5 9400Fは倍率ロックなのでCPUコアクロックのOCには非対応です。ただしRyzen 5 3600はOCの伸びしろはほぼないので、下位チップセットのマザーボードでもメモリがOCできること以外は気にする必要はありません。なおCore i5 9400FでもZ390/Z370マザーボードを使用すればメモリ周波数は定格の2666MHz以上にOCできます。
価格については2019年8月現在、Core i5 9400Fが1.8万円程度で購入できるのに対して、Ryzen 5 3600は2.6万円とやや割高です。各CPUに対応したザーボードについては両者ともに安価なボードもあるので、CPU&マザーボードの価格帯はCPUの価格差がそのまま反映されると考えてください
あとRyzen 5 3600とCore i5 9400FのTDPは65Wで共通ですが、電力制御の違いによって通常、実際の消費電力はRyzen 5 3600のほうが20~30W程度高くなります。ただしRyzen 5 3600はCore i5 9400FよりもCPUヒートスプレッダが大きく、またCPUダイとヒートスプレッダ間にソルダリングが採用されているため、TDPや実際の消費電力に差があっても、CPUの冷やしやすさに大差はなく、この点についてはあまり気にしなくてもいいと思います。
この比較記事では簡単のために省略している内容も多いですが、「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」については詳細なフルレビューも公開中です。上位CPUとの比較など、各CPUについてもっと詳しく気になる人はこちらも参考にしてください。
・「AMD Ryzen 5 3600」をレビュー
・「Intel Core i5 9400F」をレビュー
AMD Ryzen 5 3600とIntel Core i5 9400Fの検証機材・動作設定
以下、「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」の各種検証を行うベンチ機、および比較対象となる各CPUのベンチ機の詳細となります。AMD AM4(X570)環境 テストベンチ機の構成 | |
CPU | 【第3世代Ryzen】 AMD Ryzen 5 3600 (レビュー) 【第2世代Ryzen】 AMD Ryzen 5 2600X(レビュー) |
マザーボード | MSI MEG X570 ACE (レビュー) |
CPUクーラー | Corsair H150i PRO RGB (レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー) |
CPUクーラー (温度制限検証時) |
AMD Wraith Prism (レビュー) |
メインメモリ (第3世代Ryzen) |
G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) 3600MHz, CL16-16-16-36-CR1 |
メインメモリ (第2世代Ryzen) |
G.Skill FLARE X F4-3200C14D-16GFX DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 3200MHz, CL14-14-14-34-CR1 |
ビデオカード(共通) | ZOTAC RTX 2080Ti AMP Extreme Core (レビュー) |
システムストレージ(共通) | Samsung 860 PRO 256GB (レビュー) |
OS(共通) | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット(共通) | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
AMD AM4(X570)環境では検証機材マザーボードとして「MSI MEG X570 ACE」を使用しています。「MSI MEG X570 ACE」でCPU動作設定を標準設定のAutoとした場合、各CPUは仕様通りの定格動作で問題なく動作するので、測定に当たってソフトウェア的には特に個別の設定は行っていません。
ただしAMD Ryzen CPUではCPUクーラーの冷却性能が十分であれば電力制限を解除して自動的に動作クロックを引き上げる機能「XFR (Extended Frequency Range)」が効くため、電力制限の閾値となるPPTが仕様値のTDPよりも高く設定されています。例えばRyzen 5 3600XではTDP65Wを上回って仕様上の上限値となるPPT 88W以下で動作します。
Intel LGA1151(Z390)環境 テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i5-9600K(レビュー) Intel Core i5-9400F(レビュー) |
マザーボード | ASUS WS Z390 PRO (レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 (レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKK DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 3600MHz, CL16-16-16-36-CR2 |
その他 |
レビュー対象CPUのベンチ機と共通 |
Intel LGA1151(Z390)環境では検証機材マザーボードとして「ASUS WS Z390 PRO」を使用しています。Intel第9世代CPUに対応するZ390マザーボードの多くでは、CPU動作設定を標準設定のAutoとした場合、各CPUのPerCore最大動作倍率は単コア/全コアは仕様通りですが、PL1/PL2が無効化される傾向にあります。
Core i9-9900KとCore i7-9700K以外についてはAuto設定でもIntel仕様値のTDP内に収まる動作となるのでAuto設定のまま検証を行っています。しかしながらCore i9-9900KとCore i7-9700KはAuto設定では消費電力が大幅にTDPから超過するため、標準設定のAuto設定に加えて、下のようなBIOS設定(9900Kの例)によってIntelの仕様に合わせたPerCore最大動作倍率および電力制限を適用した”定格動作”についても測定を行っています。
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、Intel Core-XやAMD Ryzen TRのようなハイエンドデスクトップ環境はもちろん、メインストリーム向けでもハイパフォーマンスな環境を目指すのであれば、システムストレージ用に一押しのSSDです。
・「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。Thermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスで適量が塗布されていれば、CPUクーラー固定時の圧着でヒートスプレッダ全体へ自然に伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
サーマルグリスの代用品として、数年スパンの長期使用においても性能低下が基本的になく再利用も可能、グリスが零れてマザーボードが汚れたり壊れる心配もないので、炭素繊維サーマルシート「Thermal Grizzly Carbonaut」もオススメです。
・「Thermal Grizzly Carbonaut」はRyzen 9 3900Xを冷やせるか!?
AMD Ryzen 5 3600とIntel Core i5 9400Fのクリエイティブ性能
AMD Ryzen 5 3600とIntel Core i5 9400Fについて3Dレンダリング、動画エンコード、RAW現像、PCゲーム/スマホアプリのビルドなどクリエイティブ作業に関する性能を各種ベンチマークソフトや実際のアプリケーションで検証しました。AMD Ryzen 5 3600とIntel Core i5 9400Fの3Dレンダリング性能
CPUのマルチスレッド性能を比較するベンチマークソフトとして国内外で最も知られている「Cinebench R15」をはじめとして、Cinebenchの2019年最新バージョン「Cinebench R20」、オープンソース3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフト、3Dレンダラー「Corona Renderer」の公式ベンチマークソフト、3Dレンダラー「V-Ray」の公式ベンチマークソフトの4種類を使用して、CPUの3Dレンダリング性能についてベンチマーク測定を行いました。Cinebench R15は3Dレンダリング性能を測定するベンチマークソフトになっており、マルチスレッド性能を測定するテストとシングルスレッド性能を測定するテストの2種類を実行しています。また2019年最新バージョンのCinebench R20についてはマルチスレッド性能を測定するテストのみを実行しました。
Cinebench R15 マルチスレッド性能テストについて「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
Cinebench R15 シングルスレッド性能テストについて「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
Cinebench R20 マルチスレッド性能テストについて「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフトについて「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
Blender」の公式ベンチマークソフトのレンダリング時間だけを見ても性能差が直感的にわかりにくいので、Core i5 9400Fを基準にして(全CPU比較データではCore i5 9400Fが基準)、「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのレンダリング速度を性能比としてグラフ化しました。
3Dレンダラー「Corona Renderer」の公式ベンチマークソフトについて「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
3Dレンダラー「Corona Renderer」の公式ベンチマークソフトのレンダリング時間だけを見ても性能差が直感的にわかりにくいので、Core i5 9400Fを基準にして(全CPU比較データではCore i5 9400Fが基準)、「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのレンダリング速度を性能比としてグラフ化しました。
3Dレンダラー「V-Ray」の公式ベンチマークソフトについて「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
3Dレンダラー「V-Ray」の公式ベンチマークソフトのレンダリング時間だけを見ても性能差が直感的にわかりにくいので、Core i5 9400Fを基準にして(全CPU比較データではCore i5 9400Fが基準)、「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのレンダリング速度を性能比としてグラフ化しました。
AMD Ryzen 5 3600とIntel Core i5 9400Fの動画エンコード性能
続いて無料で利用できる動画編集ソフトとして国内外で多数のユーザーがいる「Aviutl」と、商用動画編集ソフト「TMPGEnc Video Mastering Works 7」と「Adobe Premiere Pro(Media Encoder)」を使用して、「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUの動画エンコード性能を比較していきます。AviutlとTMPGEnc Video Mastering Works 7はいずれも、現在主流なH.264 (MPEG-4 AVC) ビデオストリームへエンコードを行う「x264」エンコーダ、そしてH.264より高圧縮・高画質で次世代規格として期待されているH.265(HEVC) ビデオストリームへエンコードを行う「x265」エンコーダが使用できるので、CPUをリソースとして各エンコーダで共通の動画ファイルのエンコードを行いました。
エンコードを行う動画ファイルについては、Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsのゲーム内ベンチマーク(60秒ほど)をNVIDIA ShadowPlayで録画したものを使用しています。1920×1080/60FPS/50Mbpsと3840×2160/60FPS/120Mbpsの2種類の動画ファイルを作成し、「1920×1080 to 1920×1080」、「3840×2160 to 1920×1080」、「3840×2160 to 3840×2160」の3種類のエンコードを行っています。
Aviutlのx264/x265のエンコード設定は次のスクリーンショットのようになっています。TMPGEnc Video Mastering Works 7については固定ビットレートで1920×1080へエンコードする場合は25Mbps、3840×2160へエンコードする場合は60Mbpsに設定しています。
なおエンコーダと解像度設定が同じであればaviutlとTMPGEncのCPU別エンコード速度の傾向は概ね一致するので、aviutlのケースを抜粋してグラフを掲載します。x2/x3/x4のバーについては同じエンコードを添え字の数だけ並列実行した時の合計変換フレームレートを示しています。
x264エンコーダによって1920×1080解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
x264エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
x264エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の3840×2160解像度へエンコードした時のエンコード速度について「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
x265エンコーダによって1920×1080解像度の動画をH.265(HEVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
x265エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.265(HEVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
x265エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.265(HEVC)の3840×2160解像度へエンコードした時のエンコード速度について「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
加えてAdobe Premiere Pro(Media Encoder)による動画エンコードについても、「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUの動画エンコード性能を比較しました。
Adobe Premiere Proのエンコード設定はCPUリソースのx264エンコードで、1920×1080へエンコードする場合は25Mbps、3840×2160へエンコードする場合は60Mbpsの固定ビットレートです。Media Encoderでは1つのプロジェクトを複数の設定で同時にエンコードできますが、複数のプロジェクトを同時にエンコードすることができないので単一エンコードのみを比較しています。
Adobe Premiere Proによる動画エンコードについてはAMD Ryzen CPUは苦手である評価されていることが多いですが、2019年現在では最適化も進んでおり、コアスレッド数とコアクロックに比例した性能が発揮できるようになっています。
AMD Ryzen 5 3600とIntel Core i5 9400FのRAW現像性能
続いてDxO PhotoLabによるRAW現像を行って「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUの性能を比較していきます。「SONY DSC-RX100M5」で撮影した5472×3648解像度のRAW画像ファイル 100枚に対して、DxO PhotoLabの画質プリセット「DxO 標準」をベースにノイズ除去を「PRIME」に変更したプリセットを適用し、RAW現像を行いました。なおDxO PhotoLabによるRAW現像は並列処理数を設定できますが、CPUコア数の半分もしくはそれより一つ少ないくらいの並列処理で最速になるようです。DxO PhotoLabによるRAW現像速度について「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
AMD Ryzen 5 3600とIntel Core i5 9400FのPCゲーム/スマホアプリのビルド性能
最後に「Unreal Engine 4」や「Unity」などフリーウェアながら高画質なPCゲームやスマホゲームを製作可能なゲームエンジンを使用したゲーム制作におけるCPU性能の検証として、「Unreal Engine 4」で「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUの性能を比較していきます。検証にはEpic Games Storeで無料配布されているデモプロジェクト「Infiltrator」を使用したビルド時間の比較を行います。検証設定としてリアルタイム表示はオフ、ライティングの品質をプロダクションとしています。Unreal Engine 4のバージョンは4.22.3、Windows10のバージョンは1903で統一しています。
「Unreal Engine 4 - Infiltrator」のビルド時間について「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
「Unreal Engine 4 - Infiltrator」のビルド時間だけを見ても性能差が直感的にわかりにくいので、Core i5 9400Fを基準にして(全CPU比較データではCore i5 9400Fが基準)、「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのビルド速度を性能比としてグラフ化しました。
AMD Ryzen 5 3600とIntel Core i5 9400Fのゲーミング性能
AMD Ryzen 5 3600とIntel Core i5 9400FのPCゲームに関する性能を実ゲームを用いたベンチマーク測定で検証しました。なお章タイトルではゲーミング性能と表記してはいますが、Intel第7/8/9世代Core-SやAMD第2/3世代Ryzenなどここ数年で発売された4コア4スレッド以上のCPUであればフルHD~4K解像度の60FPSターゲットにおいてCPUボトルネックが発生するケースは多くありません。そのためCPUゲーム性能比較の具体的な内容は”高フレームレートにおけるCPUボトルネック比較”と表現するのが実状に即しています。
ただし最新の超高画質で重いゲームの場合、ゲームプレイの裏で次のシーンのロード作業が動くとロードが遅くなったりスタッター(カクツキ)が発生することがあるので、ゲーミングPCに搭載するCPUとして6コア6スレッド以上を個人的に推奨しています。
各CPUのゲーミング性能を測定するため統一検証機材として、2019年最新にして最速のGPUである「NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti」を搭載したグラフィックボード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme Core」を使用しています。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme Coreは、RTX 2080 TiのAIBパートナーの中でも屈指のOCチューニング力を誇るZOTACによって良質なGPUコアが選別され、リファレンスよりも200MHz以上も高いブーストクロック、さらにGDDR6メモリのメモリクロックまで引き上げるという、RTX 2080 Tiグラフィックボードで最速を狙えるファクトリーOCが施されています。加えて、ZOTACを高品質メーカーとして一躍ブランド力を押し上げたAMP Extremeシリーズの代名詞とも言える3スロットを占有する超弩級な大型GPUクーラーが採用され、静音性も非常に優れたモデルです。
・「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme」をレビュー
CPU別ゲーミング性能の比較には2019年最新PCゲームから、Assassin's Creed Odyssey、Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands、Shadow of the Tomb Raider、Middle-Earth: Shadow of Warの4種類を使用しています。60FPSの標準フレームレートをターゲットとした4K(3840×2160)解像度/高画質設定と、100FPS以上のハイフレームレートをターゲットとしたフルHD(1920×1080)解像度/中画質設定の2種類について、各ゲームで平均フレームレートと最小フレームレートを測定しました。
なおCPUボトルネック比較の性質上、平均FPSと最小FPSをある程度の精度で測定する必要があるため、検証ではほぼ同一シーンで測定が可能なゲーム内ベンチマークを使用しています。
AMD Ryzen 5 3600とIntel Core i5 9400Fのゲーム性能 - 4K解像度/60FPSターゲット
まずは60FPSの標準フレームレートをターゲットとした4K(3840×2160)解像度/高画質設定のゲーミング性能について「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」や比較対象CPUのベンチマーク結果をチェックしていきます。なお上述の通り60FPSターゲットでは基本的にCPUボトルネックは発生しないので、グラフの掲載順は性能(平均フレームレート)による昇順ではなく、当サイト既定のCPU分類順としています。
Assassin's Creed Odyssey(4K解像度、超高-画質プリセット)に関する「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands(4K解像度、非常に高い-画質プリセット)に関する「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
Shadow of the Tomb Raider(4K解像度、DirectX12、最高-画質プリセット)に関する「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
Middle-Earth: Shadow of War(4K解像度、ウルトラ-画質プリセット)に関する「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
AMD Ryzen 5 3600とIntel Core i5 9400Fのゲーム性能 - フルHD解像度/ハイフレームレート
続いて100FPS以上のハイフレームレートをターゲットとしたフルHD(1920×1080)解像度/中画質設定のゲーミング性能について「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」や比較対象CPUのベンチマーク結果をチェックしていきます。Assassin's Creed Odyssey(フルHD解像度、中-画質プリセット)に関する「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands(フルHD解像度、中-画質プリセット)に関する「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
Shadow of the Tomb Raider(フルHD解像度、DirectX12、中-画質プリセット)に関する「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
Middle-Earth: Shadow of War(フルHD解像度、中-画質プリセット)に関する「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
AMD Ryzen 5 3600とIntel Core i5 9400Fのゲーム性能 - バトルロイヤル系PCゲーム
最後に近年流行りのオンライン対戦PCゲームの中でも競技ゲーマーにも愛用される240Hzの超ハイリフレッシュレートなゲーミングモニタのユーザーが多いであろうバトルロイヤル系PCゲームにおけるCPU別ゲーム性能をチェックしていきます。検証にはバトルロイヤルというジャンルにおける4大タイトルと言っても過言ではない、Apex Legends、Call of Duty: Black Ops 4、Fortnite、PlayerUnknown’s Battlegroundsを使用します。
Apex Legends(フルHD解像度、RTX 2080 Tiの既定プリセット)に関する「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
一応、平均FPSの昇順で並べましたが、Apex Legendsは240FPSターゲットでもCPUボトルネックの影響が小さいタイトルとなっており、第1/2世代Ryzenが若干劣る程度で、第3世代Ryzenや第9世代Coreなど最新CPUは6コア6スレッド以上なら横並びです。
Call of Duty: Black Ops 4(フルHD解像度、RTX 2080 Tiの既定プリセット)に関する「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
Fortnite(フルHD解像度、高-画質プリセット)に関する「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(フルHD解像度、中-画質プリセット)に関する「AMD Ryzen 5 3600」と「Intel Core i5 9400F」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
PUBGのベンチマーク測定に使用しているトレーニングモードは他プレイヤーの影響を受けやすく測定精度は他の検証に比べるとやや劣るのですが、今回検証した中ではCore i9 9900Kが頭1つ飛びぬけ、第3世代Ryzen各種やCore i7は測定誤差の範囲内でほぼ同性能といった具合でした。それ以下ではCore i5(6C6T)、Core i3(4C4T)、第2世代Ryzenと順に性能がスケーリングしていきます。
【まとめ】AMD Ryzen 5 3600とIntel Core i5 9400Fのどちらを買うべきか
最後に以上のベンチマーク結果を参考にして『AMD Ryzen 5 3600とIntel Core i5 9400Fのどちらを買うべきか』についてまとめます。クリエイティブ性能について
Intel Core i5 9400Fのクリエイティブ性能については、6コア6スレッドで全コア3.9GHz動作のCPUという額面通りのパフォーマンスです。第8世代からの大幅な性能向上はありませんが、第7世代以前のIntelメインストリーム向けCore i5シリーズは4コア4スレッドCPUだったので、3Dレンダリング、動画エンコード、RAW現像など各種クリエイティブタスクにおいて50%近い高速化を果たしており、4コア8スレッドのCore i7と比較しても勝ったり負けたりな性能です。価格も手の伸ばしやすい2万円未満なので、7世代以前のCPUを使用しているユーザーにとっては有力な買い替え候補だと思います。一方で今回競合CPUとして挙げたAMD Ryzen 5 3600はというと、マルチスレッディングに対応した6コア12スレッドCPUなので、クリエイティブ性能においてIntel Core i5 9400Fを圧倒し、50%程度高速なパフォーマンスを実現しています。クリエイティブ性能のコストパフォーマンスはAMD Ryzen CPUに軍配が上がります。
ゲーム性能について
まずゲーム性能検証の冒頭でも述べたようにフルHD~4K解像度の60FPSターゲットであれば4コア4スレッド以上の最新CPUであればどれを使用しても大差はありません。ただし最新の超高画質で重いゲームの場合、ゲームプレイの裏で次のシーンのロード作業が動くとロードが遅くなったりスタッター(カクツキ)が発生することがあるので、ゲーミングPCに搭載するCPUとしては6コア6スレッド以上を個人的に推奨しています。また60FPSターゲットであってもAssassin's Creed OdysseyのようにCPUによって差が出るケースもあるので、PCゲームメーカーの最適化の優先順位まで考慮するとIntelのメインストリーム向け最新CPUのPCゲーミングにおける安定性にはやはり信頼がおけます。
GeForce RTX 2080 Tiを使用したハイフレームレート環境について、Ryzen 5 3600とCore i5 9400Fを比較してみると、差が出ないタイトルもありましたが、基本的にはRyzen 5 3600のほうが高性能という結果でした。
今回比較サンプルとして掲載したRyzne 5 2600XはもとよりRyzen 7 2700Xですら、ハイフレームレートなPCゲーミングではCore i5 9400Fに後れをとるシーンが多かったことを考えると、第3世代Ryzenの性能の伸びは圧倒的です。
総評
Ryzen 5 3600の発売以前であれば、「Intel Core i5 9400F」と「AMD Ryzen 5 2600X」のどちらを選ぶべきかについては、「PCゲーミング、特にハイフレームレートを重視するならIntel Core i5 9400F」、「3Dレンダリングや動画・画像編集などクリエイティブタスクを重視するならAMD Ryzen 5 2600X」という具合の住み分けでした。「AMD Ryzen 5 3600」はクリエイティブタスクおよびPCゲーミングのいずれにおいても「Intel Core i5 9400F」を上回るパフォーマンスを発揮しており、性能だけを見れば選ぶべきCPUは「AMD Ryzen 5 3600」で間違いありません。
ただし2019年8月現在、各CPUの販売価格を見ると、「Intel Core i5 9400F」が1.8万円ほどであるのに対して「AMD Ryzen 5 3600」は2.6万円程と8000円程度高い価格差があります。
Ryzen 5 3600やCore i5 9400Fと組み合わせるミドルクラスGPUも合わせて考慮すると8000円分の余裕があればGTX 1660をGTX 1660 Tiに、RX 570をRX 580にといった上位GPUへのアップグレードが可能です。また今回ゲーム性能の検証ではCPUの性能差(CPUボトルネック)をはっきりさせるためRTX 2080 Tiで測定を行いましたが、ミドルクラスGPUを使用した時にCPU性能がボトルネックになってRyzen 5 3600とCore i5 9400Fで大きく差が付くかというと、実は微妙なところです。
「AMD Ryzen 53600」と「Intel Core i5 9400F」のどちらを選ぶべきかについては今後の価格変化も重要になるのですが、「ゲーム配信・実況やクリエイティブタスクも行うならAMD Ryzen 5 3600」、「単純にPCゲームしかせずGPUやその他に予算を割くならIntel Core i5 9400F」という具合で選ぶことになると思います。
あとBTO PCの場合は今のところIntel製CPUを採用したモデルの方が多いので、選びやすさという点ではCore i5 9400Fのほうが上かもしれません。
以上、『Ryzen 5 3600とCore i5 9400Fはどちらが買いか徹底比較!』でした。
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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クリエイティブタスクやPCゲーミングのために2019年最新のミドルクラスPCを構築する際、ハイコストパフォーマンスなCPUとして候補に挙がる「AMD Ryzen 5 2600X」と「Intel Core i5 9400F」はどちらがオススメなのか、実際のクリエイティブタスクやPCゲーミングにおけるベンチマークの性能比較から解説していきます。
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最後に以上のベンチマーク結果を参考にして『Intel Core i5 9400FとAMD Ryzen 5 2600Xのどちらを買うべきか』についてまとめます。
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