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H710iやH510 EliteなどNZXT New HX10シリーズPCケースへ自然に溶け込むフラットな外観や、NZXT CAMに対応したGRID+ V3とHUE 2がマザーボード上に統合されシステム的にも高い親和性を備えたZ390マザーボード「NZXT N7 Z390 Matte White(型番:N7-Z39XT-W1)」のレビュー用サンプルをメーカーよりお借りできたのでレビューしていきます。
見た目に大きく影響するPCパーツをオールNZXTで揃えるための最後の1ピースとなるマザーボードが、NZXT CAMによってどんなカスタマイズ・ライトアップを可能にするのか、そして現在マザーボード市場を占める主要4社の製品並みにCore i9 9900Kを運用できるのか徹底検証します。
製品公式ページ:https://www.nzxt.com/products/n7-z390-matte-white
マニュアル:https://sta3-nzxtcorporation.netdna-ssl.com/uploads/download/attachment/810/N7-Z390-Web_Manual-JP-082719.pdf
NZXT N7 Z390 Matte White
NZXT N7 Z390 Matte Black
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NZXT N7 Z390 Matte Black
NZXT
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NZXT N7 Z390 レビュー目次
1.NZXT N7 Z390の外観・付属品
2.NZXT N7 Z390の基板上コンポーネント詳細
3.NZXT N7 Z390の検証機材
4.NZXT N7 Z390のBIOSについて
5.NZXT N7 Z390のOC設定について
6.NZXT CAMのセットアップ方法と基本的な使い方
7.NZXT CAMのファンコントロール機能について
8.NZXT CAMのイルミネーション制御機能について
・NZXT Aer RGB 2 120/140について
・NZXT HUE 2 LED Stripsについて
・CAMでNZXT N7 Z390に接続されたHUE 2対応機器を制御する
9.NZXT N7 Z390の動作検証・OC耐性
10.NZXT N7 Z390のレビューまとめ
【注意事項】
同検証は19年9月上旬に行っておりNZXT N7 Z390のBIOSはver1.0.2を使用しています。最新BIOSでは修正されている不具合や追加されている機能もあると思うので、最新BIOSのリリースについては公式ページを各自でチェックしてください。
サポート:https://www.nzxt.com/products/n7-z390-matte-white
【19年9月15日:初稿】
レビュー記事初稿を公開、BIOS:1.0.2で検証
NZXT N7 Z390の外観・付属品
まず最初にNZXT N7 Z390の外観と付属品をチェックしていきます。NZXT N7 Z390のパッケージはキャラメル箱型の外スリーブに茶箱の内箱というマザーボードの梱包としては珍しい形式です。
茶色の内パッケージの蓋を開くと、透明プラスチックスペーサーに安置されたマザーボードが現れます。マザーボードの下方向(下写真の左側)のスペースには付属品が収められています。
「NZXT N7 Z390」の付属品はSATAケーブル4本、WiFiアンテナ、LEDケーブル*3、マザーボード固定ネジ(M3)、マニュアルです。
「NZXT N7 Z390」はマザーボード全体がアーマーで覆われており、マザーボード固定ネジ穴にアクセスし難い形状なので、オフセットの付いたマザーボード固定ネジセットが付属します。
NZXT Aer RGB 2やNZXT HUE 2 LED Stripに対応した独自規格のLEDヘッダーが「NZXT N7 Z390」上には実装されていますが、そこにNZXT HUE 2 LED StripやHUE 2 Cable Combを接続するための汎用4PIN型LEDヘッダーに変換するケーブルが付属します。
マザーボード全体像は次のようになっています。
NZXT N7 Z390はATXフォームファクタのマザーボードで、マットブラックのPCB基板を背景にしてホワイトもしくはブラックのアーマーが搭載されています。
「NZXT N7 Z390」には今回レビューするマットホワイトモデル(型番:N7-Z39XT-W1)に加えて、メタルアーマーが黒一色なマットブラックモデル(型番:N7-Z39XT-B1)もラインナップされています。
「NZXT N7 Z390」にはマザーボード下側全体を覆う金属製カバーが搭載されています。金属製カバーの塗装はNZXT製PCケースNew Hシリーズの外装を想起させるマットで高品位な質感です。
「NZXT N7 Z390」のホワイトモデルではリアI/OカバーとVRM電源クーラーはツートンカラーをなしています。水玉スリットの金属製カバーの下には、アルミニウム製ヒートシンクがVRM電源クーラーとして装着されています。
「NZXT N7 Z390」を覆うメタルアーマーは金属製プッシュピンで固定されておりツールレスで簡単に着脱が可能です。
なおZ370チップセットを搭載した前モデル登場時は交換用カバー「N7 Heatsink Cover」というアクセサリパーツも告知されていましたがこちらは発売されなかったようです。
「NZXT N7 Z390」には9フェーズのVRM電源回路が実装されています。Z370チップセットを搭載した前モデルN7 Z370では15フェーズだったのでVRM電源フェーズ数は大幅に減っています。対応CPUで最上位となる8コア16スレッドCore i9 9900Kを大幅にオーバークロックしても安定した電力供給が可能かどうか、レビュー後半のOC検証で詳しくチェックしていきます。
手動OCによってCPU消費電力が200Wを超過するCore i9 9900Kのオーバークロックにも対応すべくZ390マザーボードの上位モデルではEPS電源端子として8PIN+4PINや8PIN*2を搭載しているものも多いですが、「NZXT N7 Z390」のEPS電源端子は8PINが1つだけ実装されています。
「NZXT N7 Z390」には一体型リアI/Oバックパネルも採用されています。PCケースにパネルを装着する作業は固くて装着し難かったり、忘れてしまうこともあるのでマザーボードに統合されているのは嬉しい機能です。
リアI/Oには最新のUSB3.1 Gen2規格に対応したUSB端子として4基のType-A端子が設置されています。そのほかのUSB端子については2基のUSB3.0端子が搭載されています。個人的に残念なポイントとしてはUSB3.0/3.1は無線マウスと電波干渉を起こすことがあるので、USB3.0端子から少し離れた場所に追加でUSB2.0を設置して欲しかったです。
ビデオ出力にはHDMIとDisplayPortが設置されていますが、HDMI端子については4K・60FPSに非対応で4K・30FPSが上限となるver1.4対応です。Z390マザーボードでは4K・60FPSに対応したHDMI2.0を搭載するものは非常に少ないので外部GPU(グラフィックボード)を使用しないユーザーは注意が必要です。
ネットワーク関連では低CPU負荷かつ高スループットで定評のあるIntel純正のLANコントローラーが採用された有線LAN端子に加えて、同じくIntel製コントローラーWireless-AC 9560の無線LANも搭載しています。接続規格としてはWi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac、2.4/5GHzデュアルバンド、最大通信速度1733Mbps、Bluetooth 5.0に対応しています。
NZXT N7 Z390の基板上コンポーネント詳細
続いて「NZXT N7 Z390」のマザーボード基板上の各種コンポーネントをチェックしていきます。システムメモリ用のDDR4メモリスロットはCPUソケット右側に4基のスロットが設置されています。固定時のツメはマザーボード上側(上写真の右側)の片側ラッチとなっています。グラフィックカードのあるPCI-Eスロット側はラッチがないので干渉の心配もありません。
グラフィックボードなどを設置するPCI-Eスロットは上から順に[x1、x16、N/A、x4、x16、N/A、x4]サイズのスロットが設置されています。上段のプライマリグラフィックボードを2段目のスロットに配置することで、大型ハイエンド空冷CPUクーラーとグラフィックボードの干渉を回避しています。
2基のx16サイズスロットは全てCPU直結PCIE3.0レーンに接続されており、[x16, N/A] or [x8, x8]の帯域で使用できます。その他のスロットはチップセットに接続されており、2基のx4サイズスロットはPCIE3.0x4、x1サイズスロットはPCIE3.0x1で、排他利用はありません。
NZXT N7 Z390にはSATAストレージ用の端子はSATA3_1~4の4基が搭載されています。SATA3_1~4はIntel Z390チップセットのコントローラーによる接続で、RAID0/1/5/10のハードウェアRAID構築にも対応しています。
高速NVMe接続規格に対応したM.2スロットは、PCIEスロット間に計2基が設置されています。上側M.2スロットのM2_2はNVMe(PCIE3.0x4)接続とSATA接続のM.2 SSD両方に対応していますが、下側M.2スロットのM2_3はNVMe(PCIE3.0x4)接続のM.2 SSDのみに対応します。いずれも排他利用はありません。
Intel Z390チップセット搭載マザーボードではCPUとチップセット間はDMI 3.0というインターフェースで接続されており、この帯域が非公式ながらNVMe M.2 SSDの接続規格であるPCI-E3.0x4とほぼ同じ帯域です。
Z390チップセット搭載マザーボードのM.2スロットのうちチップセットを経由して接続されているストレージへ個別にアクセスがある場合は最新の3.0GB/s越えの高速SSDでもフルスペック動作が可能になっていますが、この帯域がボトルネックになるため複数のM.2スロットで一度にアクセスが発生すると合計で4GB/s程度がボトルネックになります。現状ではランダム性能への影響は軽微で主にシーケンシャル性能に制限がかかります。
M.2スロットのPCI-Eレーンがどこに繋がっているかで簡単に次のようなメリットとデメリットがあります。
CPU直結の場合 | チップセット接続の場合 | |
長所 | 複数のM.2 SSD(PCH側*1含む)の 同時アクセスでもフルスペック動作 |
IRSTによるハードウェアRAIDで 性能を上げることができる |
短所 | IRSTによるハードウェアRAID が構築できない (Intel製SSDではVROCで ソフトウェアRAIDが構築可能) |
複数のM.2 SSDから同時にアクセス がある場合、ストライプRAIDの場合 4GB/s程度がボトルネックになる |
マザーボードの右端には、内部USB3.1 Gen2ヘッダーと内部USB3.0ヘッダーが実装されています。内部USB3.0ヘッダーはマザーボード基板に平行な端子になっています。
「NZXT N7 Z390」のマザーボード下端には内部USB2.0ヘッダーが3基も設置されていました。NZXT CAM対応製品には「NZXT GRID+ V3」、「NZXT Hi スマートデバイス」、「NZXT Hue 2」など内部USB2.0ヘッダーで接続する機器が多いですが、内部USB2.0ヘッダーが3基もある「NZXT N7 Z390」なら余裕で対応できます。もしも内部USB2.0ヘッダーが不足する場合はUSB2.0ヘッダー増設ハブ「NZXT INTERNAL USB HUB」がおすすめです。
「NZXT N7 Z390」はオンボードサウンドには、ハイエンドゲーミングマザーボードで幅広く採用されている高音質オーディオ「Realtek ALC1220」が採用されていました。既存のゲーミングマザーボードと同様に「NZXT N7 Z390」もサウンドボード要らずで高音質なサウンドが楽しめると思います。
リアI/OにはOCerのみならず一般自作erにとっても組み立て中の動作確認に便利なオンボードのスタートスイッチとリセットスイッチが実装されています。さらにPOSTエラーのチェックができるDebug LEDが設置されています。またリアパネルにはCMOSクリアのハードウェアスイッチ実装されておりOC設定に失敗してもPCケースを開くことなくBIOSの設定をクリアできるので手動でOCを行うユーザーにとても便利です。
「NZXT N7 Z390」では冷却ファンを接続するためのファン端子として、PWM対応4PINファンコネクタがマザーボード上に計8基設置されています。8基のファン端子はCPUファン端子とウォーターポンプ(AIO_PUMP)ファン端子、その他のケースファン(SYS_FAN)端子6基に分かれています。
「NZXT N7 Z390」には2つのBIOS ROMが搭載されており、オレンジ線で囲った「デュアルBIOSスイッチ」をスライドすることでメイン(A)とバックアップ(B)のBIOSを簡単に切り替えることができます。右側スライド状態がメインBIOS、左スライド状態がバックアップBIOSです。
デュアルBIOSスイッチの隣にある「ROM_BACKUP」ボタンを使用すると、メインBIOSが破損した時に簡単に修復することができます。
NZXT N7 Z390の検証機材
NZXT N7 Z390を使用して検証機材と組み合わせてベンチ機を構築しました。NZXT N7 Z390以外の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9 9900K 8コア16スレッド (レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36(レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー) |
メインメモリ 1 |
G.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKK DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) |
メインメモリ 2 |
G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) |
CPUベンチ用 ビデオカード |
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー) |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
レビュー後半のOC検証で使用するCPUにはZ390マザーボードで使用可能なIntel第9世代CoffeeLake Refresh-S CPUの最上位モデルとなる8コア16スレッドの「Intel Core i9 9900K」を使用しています。検証機材のCore i9 9900KはCPUダイとヒートスプレッダ間のグリスを液体金属グリスに塗り替え、ヒートスプレッダもRockit Cool製のオリジナル銅製IHSに交換しているので通常よりも低い温度で動作しています。
・Core i9 9900Kの殻割りクマメタル化&銅製IHSの冷却性能を検証
「NZXT N7 Z390」が対応するCore i9 9900KやCore i7 9700Kは手動OCすると発熱がかなり大きくなるので大型簡易水冷CPUクーラーが推奨されますが、360サイズや240サイズなど120mmファンを複数搭載できるマルチファンラジエーターの簡易水冷CPUクーラーを使用するのであれば、「Noctua NF-A12x25 PWM」への換装もおすすめです。「Noctua NF-A12x25 PWM」は、超硬質かつ軽量な新素材「Sterrox LCP」の採用によってフレーム-ブレード間0.5mmの限界を実現させた次世代汎用120mm口径ファンとなっており、1基あたり3500円ほどと高価ですが、標準ファンよりも静音性と冷却性能を向上させることができます。
・「Noctua NF-A12x25 PWM」を360サイズ簡易水冷に組み込む
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、メインストリーム向けでもハイパフォーマンスな環境を目指すのであれば、システムストレージ用に一押しのSSDです。
・「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
サーマルグリスの代用品として、数年スパンの長期使用においても性能低下が基本的になく再利用も可能、グリスが零れてマザーボードが汚れたり壊れる心配もないので、炭素繊維サーマルシート「Thermal Grizzly Carbonaut」もオススメです。
・「Thermal Grizzly Carbonaut」はCore i9 9900Kを冷やせるか!?
以上で検証機材のセットアップが完了となります。
NZXT N7 Z390のBIOSについて
NZXT N7 Z390を使用した検証機の構築も完了したので動作検証とOC耐性のチェックの前にBIOSの紹介をします。BIOSに最初にアクセスすると「NZXT N7 Z390」ではベーシックモードというトップページが表示されます。細かい設定はできないので、中央のアイコンからサクッとアドバンスドモードへ移るのがおすすめです。
NZXT N7 Z390のBIOSのアドバンスドモードは文字ベースBIOSメニューになっています。画面上に表示されている「メイン」「オーバークロック」「詳細」などメニュータブから左右カーソルキーで各設定ページが表示できます。画面右下の「English」と表記されたボタンから言語設定が可能です。
NZXT N7 Z390のBIOSは日本語に対応しています。所々、翻訳の怪しい部分もありますが、日本ユーザーの使用には十分耐えると思います。
NZXT N7 Z390のBIOSにおいて設定の保存とBIOSからの退出はトップメニュータブ最右端の「出口」から行えます。特定のブートデバイスを指定してBIOSから退出するBoot Override機能もあります。
ブートとOSインストール周りについて紹介します。とはいってもNZXT N7 Z390のブート回りは下画像のように非常に簡潔にまとめられており、自作PCの初心者でも迷うことはないと思います。
OSのインストールも「ブートオプション1」に「USBキー:UEFI 〇〇」というOSインストールメディアを設定して保存&退出でOKです。出口(Exit)のメニューから「UEFI 〇〇」をブートオーバーライドで指定して起動しても同様にOSのインストールデバイスから起動可能です。
ちなみにWindows10の製品パッケージに付属するUSBメモリではUEFIで認識できないトラブルが発生することがあるようなので、そういうときはこちらの記事に従ってMS公式ツールを使用して適当なUSBメモリでOSインストールメディアを作成すると上手くいきます。
続いてBIOS上から設定が可能な範囲内でNZXT N7 Z390のファンコントロール機能について紹介します。
NZXT N7 Z390ではBIOSのトップメニュータブ「モニター」を選択すると、各種電圧やファン回転数のモニタリング情報が表示され、「スマートファン機能」を選択することでBIOS上のファンコントロール機能にアクセスできます。
NZXT N7 Z390ではBIOS上のファンコントロール機能で制御可能なファン端子は、マザーボード上の7つのうち、「CPUファン」と「AIOポンプ」の2つだけです。残りの5つについてはWindows OS上で使用する専用アプリケーション「NZXT CAM」から操作します。
NZXT N7 Z390ではファン制御プリセット(スマートファンモード)として、通常(Normal)、安静(Quiet)、無音(Silent)、手動(manual)、無効(Disable)の5つが用意されています。通常、静音、無音の3つは既定のプリセットによってCPU温度をコントロールソースにファンの動作が制御されます。
手動モードでは、最低ファン速度(スマートファン開始PWM値)、ファン制御開始温度(スマートファン開始PWM温度)、ステップアップ温度(DeltaT)、ステップアップ速度(スマートファンスロープPWM値)の4つのパラメーターを設定します。
「NZXT N7 Z390」ではファン速度を決めるPWMデューティ比を0~255の256段階で設定でき、CPU温度がファン制御開始温度よりも低ければ、最低ファン速度(0~255で指定)で定速動作となります。CPU温度がファン制御開始温度を超えると、ステップアップ温度(0~15で指定)を上回った分だけ、ステップアップ速度(0~15で指定)が最低ファン速度に加算されていきます。
例えばファン制御開始温度が60度、最低ファン速度が100、ステップアップ温度が3、ステップアップ速度が5とすると。CPU温度が66度ならファン速度は106、CPU温度が75度ならファン速度は115と比例してスピードアップします。
NZXT N7 Z390のOC設定について
NZXT N7 Z390を使用した場合のオーバークロックの方法を紹介します。なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
「NZXT N7 Z390」のオーバークロック設定はその名の通り「オーバークロック」というトップメニューの項目にまとめられています。数値を入力する項目では「0」がAuto設定となります。
CPUコアクロック(コア倍率)の変更について説明します。
コアクロックはコア数に対して各コアに最大動作クロック(BCLKに対する倍率)を指定できます。「コア0:コア1:コア2:コア3」を倍率として、例えば「45:43:43:42」のようにバラバラに指定した場合、4つのコアのうち1つに負荷が掛かる場合は4コアのうち1つが45倍動作、2つと3つの場合は43、4つの場合は42となります。
NZXT N7 Z390ではCPUクロック動作倍率の設定モードとして、マザーボードのお任せとなる「自動(Auto)」、全コアの倍率を同じに設定する「Sync All Cores」、負荷のかかっているコア数によって最大動作倍率を設定する「Per Core」の3つのモードが存在します。
ユーザーがCPUのOCを行う場合は通常、全コアの最大倍率を一致させると思いますが、同マザーボードの場合は「Sync All Cores」を選択して、動作倍率を50と設定することでデフォルトのBCLK(ベースクロック)が100MHzなのでその50倍の5.0GHzで動作します。
「コア毎(Per Core)」モードでは負荷がかかっているコア数に対して最大動作倍率を設定可能です。
NZXT N7 Z390はベースクロック(BCLK)の変更にも対応しており、を97.50MHz~538.25MHzの範囲内で0.01MHz刻みで変更可能です。125.70MHzに設定したい場合、小数点を除いて12570と入力します。
キャッシュ動作倍率は「CPU Cache Ratio」から変更可能です。CPUコアクロック同様にベースクロックに対する動作倍率でキャッシュの動作周波数を設定できます。ただしBIOS:1.02ではキャッシュ倍率を定格の43倍以上に設定しても実際の動作には反映されませんでした。
続いてコア電圧の調整を行います。
Intel第8/9世代CPUではCPUコアとキャッシュへの電圧は共通なので、CPUコアクロックやキャッシュクロックのOCに関連する電圧設定としては、NZXT N7 Z390では「CPUコア/キャッシュ電圧(CPU Core/Cache Voltage)」の項目を変更します。
NZXT N7 Z390ではCPUコア電圧の設定モードとして、自動設定の「自動(Auto)」、マニュアルの設定値に固定する「手動(Manual)」モード、CPUに設定された比例値にオフセットかける「オフセット(Offset)」モードの3種類が使用できます。
NZXT N7 Z390でCPUコア/キャッシュクロックのOCを行う場合、CPUコア電圧の設定については設定が簡単で安定しやすいので固定値を指定する固定モードがおすすめです。マニュアルモードでは0.050V刻みでコア電圧を指定できます。8コア16スレッドCore i9 9900KをOCする場合、CPUコア電圧の目安としては最大で1.300~1.350V程度が上限になると思います。
CPUコア電圧モードについて簡単に説明すると、オフセットモードやアダプティブモードはCPU負荷に比例して電圧が設定されており、低負荷時は電圧が下がるので省電力に優れるのですが、OCをする場合はマザーボードによって挙動に差があり安定する設定を見極めるのが難しいので、個人的にはオフセットやアダプティブは定格向け、OCには固定値適用の固定モードを推奨しています。
仮にOCでオフセットやアダプティブを使う場合も最初はコアクロックに対して安定する電圧を見極める必要があるので、まずは固定モードを使用します。
ちなみにマザーボードにより対応しているモードは異なりますが、CPUのオーバークロックに付随するコア電圧のモードの概略図は次のようになっています。
またコアクロックを高く設定する時に追加で変更するといい項目として「Advanced OC Settings」に「ロードラインキャリブレーション」があります。ロードラインキャリブレーションはCPU負荷時の電圧降下を補正してOCを安定させる機能です。「NZXT N7 Z390」では補正の強度として自動およびレベル1~レベル4の5段階が用意されており、レベル4が補正最大で、レベルの添え字が大きいほど電圧降下の補正は強くなりOCは安定しやすくなりますが発熱も大きくなります。レベル2かレベル3あたりから最初に使っておいて、ストレステストのCPU温度をチェックしながら補正を調整していくのがおすすめです。
「短時間電力制限(パワーリミット 2 上書き)」「長時間電力制限(パワーリミット 1 上書き)」という2つの電力制限機能があります。通常は電力制限がかかる閾値(単位はW)と電力制限がかかるまでの時間を設定でき、電力制限がかかるとその指定電力内に収まるようにコアクロックに制限がかかりますが、「NZXT N7 Z390」では同機能の有効化時の電力制限値は最大(Maximum)で固定されており、任意に変更できません。
メモリのオーバークロックについても簡単に紹介しておきます。
メモリの性能について簡単に言うと「動作クロックが高く」「タイミングが小さい」ほど性能は高くなります。そのためメモリOCを手動で行う手順を簡単にすると「電圧を上げて動作可能なクロックを探し」、「そのクロックにおいて正常に動作する最小のタイミングを探る」という2つの手順を繰り返すことになります。
一方でXMPによるメモリOCは上の手順によるOCをメーカー側がすでに行い動作確認をしているので、メーカーが動作確認を行ったOCプロファイルを適用するだけで簡単にメモリをオーバークロックできます。
メモリOCではPOSTすらクリアできずBIOSに到達できないことも少なくありませんが、NZXT N7 Z390では正常にPOSTできないメモリOC設定でエラーが出た場合は数回再起動した後、自動で2133MHzや2400MHzなど定格となるSPDプロファイルの緩い設定で再起動してくれるのでメモリOCを安心して行えます。
NZXT N7 Z390ではから「メモリプロファイル」からXMPプロファイルを選択することでOCメモリに収録されたXMPプロファイルによるメモリのオーバークロックが可能です。
「メモリプロファイル」の設定値が「自動」になっている場合は、使用するメモリにSPD情報として収録されている動作クロック2133~2666MHzなどのメモリ周波数およびタイミングによる定格動作となります。「カスタムプロファイル」を選択すると、メモリ周波数やメモリタイミングを任意に設定できます。
手動でメモリ周波数を設定する場合は「メモリ周波数」の項目でプルダウンメニューから最大4133MHzまでの動作クロック(倍率)設定が可能です。メモリ周波数もBCLKに対する倍率で動作周波数が決まっているので、BCLKを標準値の100MHzから120MHzに上げると、4000MHz設定時の動作周波数は4800MHzに上がります。
メモリタイミングの個別打ち込み設定も可能です。メモリタイミングを手動で設定する場合は基本的には「CAS Latency (tCL)」、「RAS to CAS / RAS Precharge (tRCD / tRP)」、「RAS Active Time (tRAS)」の主要な3タイミングと、加えて「Refresh Cycle Time (tRFC)」と「Command Rate:1 or 2」の5つ以外はAutoのままでいいと思います。
ただし「NZXT N7 Z390」においてメモリタイミングの手動設定は、セカンドやサードについても具体的な数字を打ち込む必要があり、0を入力するとAuto設定になりますが、国内でシェアの高い主要4社製品に比べてAuto設定の精度が弱く、カスタム設定によるメモリOCの難易度はかなり高いです。
DDR4メモリについては3000MHz以上にOCする場合は1.300~1.350V、3800MHz以上にOCする場合は1.370~1.400Vに上げる必要があります。メモリをOCする場合は最初から1.350V以上にDRAM電圧を盛っておくのがおすすめです。
1,2世代前の過去のIntel CPUではメモリ周波数を3200MHz以上にOCする場合は「VCCSA(CPU SA Voltage)」を盛るとメモリOCが安定したのですが、Intel第8/9世代CPU環境における「VCCSA」の影響は今のところよくわかりません。Auto設定で安定しない場合は昇圧を試してみても良いかもしれません。
また今のところZ390環境では現象を確認できていませんでしたが、メモリのオーバークロックでPCI-E拡張カードの検出不可やオンボードUSB端子同士の干渉などが発生する場合は「VCCIO(CPU VCCIO Voltage)」も盛ると安定するかもしれません。
NZXT CAMのセットアップ方法と基本的な使い方
「NZXT N7 Z390」はNZXT製品の統合ソフトウェア「CAM」から様々な操作を行えます。「CAM」は公式サポートページからダウンロードできます。CAMのリニューアルの関連で2019年9月現在はまだダウンロードページが日本語ローカライズされていませんが、下のリンク先から「Free Download」を選択すれば簡単にソフトウェアインストーラーのダウンロードが可能です
NZXT CAMダウンロード:https://camwebapp.com/download
上のページからダウンロードしたインストーラーを起動すれば後は自動で最新版の「NZXT CAM」をダウンロードし、PCへインストールしてくれます。
インストールが完了したら「CAM」を起動します。初回起動時はアカウントへのログインウィンドウが表示されますが、アカウントがない場合は小さく書かれているゲストアカウントでの使用を選択すればアカウント登録せずに使用することもできます。
「CAM」はゲストアカウントとしてアカウント登録なしでも使用できますが、NZXTのアカウントを作成する(メールアドレスとパスワードの登録のみ)か、Googleなどのアカウントで共有ログインすることで、「NZXT GRID+ V3」や「New Hシリーズ スマートデバイス」の目玉機能の1つである収音マイク等を使用した機械学習など一部の機能が解放されます。
2019年9月現在の「NZXT CAM」は、Kraken X2シリーズ登場時の第1世代、NZXT New HシリーズPCケース登場時の第2世代を経て、第3世代というべきリニューアルが施されており、UIがよりシンプルで使いやすく、動作も軽快になっています。基本的なデザインはパステルカラーなフラットデザインが踏襲されていますが、カラーリングがメーカーカラーのホワイト&パープルのツートンカラーになっています。
「NZXT CAM」は日本語UIに対応しています。もしも自動で日本語にならない場合は、右上の歯車アイコンから設定ページを開くと言語設定が可能です。
「CAM」のUIカラーについては標準のホワイト&パープルに加えて、設定画面からDark Modeを選択することによってブラック&パープルに切り替えることができます。
「CAM」はMSI AfterBurner&RivaTunerなどで有名なゲーム中のオーバーレイモニタリング機能にも対応しており、同じく設定ウィンドウの「FPS」タブで設定ができます。
NZXT CAMのファンコントロール機能について
NZXT CAMからは今回レビューしている「NZXT N7 Z390」のマザーボード上ファン端子以外にも、簡易水冷CPUクーラーKRAKEN X2シリーズ、ファンコントローラーNZXT GRID+ V3などシステムに接続されているファン・ポンプを制御できます。「NZXT CAM」でファン・ポンプを制御するには、トップメニューの「チューニング - 冷却」を選択して設定画面を開きます。
「NZXT CAM」のファン制御ページを開くと、トップにマスタープロファイル(各ファン端子の制御プロファイルの組み合わせ)を選択、保存するメニュー、システムに接続されたファンの速度やシステムの温度やノイズレベルを表示するタイル、個別のファン設定が順番に表示されます。
システムに接続されたファン制御を静音もしくはパフォーマンスのプリセットで統一したり、固定デューティ比を指定する既定のマスタープロファイル、各自で設定したカスタムのマスタープロファイルはプルダウンメニューから簡単に切り替えることができます。
ファン毎に任意のファン制御設定を適用した場合、「名前を付けて保存」からカスタムのマスタープロファイルを作成できます。
「NZXT N7 Z390」ではマザーボード上に8基のファン端子が実装されています。BIOS上にもファン制御機能があるのですが、BIOSから制御可能なのはCPUファンとAIOポンプの2つのみとなっており、残る6基のケースファンを含めた全てのファン端子を制御するにはNZXT CAMが必須となります。
NZXT CAMに対応した各種ファン・ポンプ端子は、「静音」と「パフォーマンス」の2つの既定プリセット、ファン速度デューティ比を指定する「固定」、任意のファンカーブを設定する「カスタム」の4つのモードで制御できます。
ファン制御が温度に依存するファンカーブの場合、ファン制御ソースとしてCPU温度とGPU温度の2種類を選ぶことできます。簡易水冷CPUクーラーNZXT KRAKEN X2シリーズの場合は水温も加わります。
「静音」と「パフォーマンス」の2つの既定プリセットのファンカーブ設定は次のようになっています。
「固定」では温度に依らずファンを一定速度で回すことができます。
「カスタム」ではソース温度に対して20度から95度までを5度刻みにして、16頂点のファンカーブを任意に設定できます。
「カスタム」においてファン速度を0%にすると、ソース温度がファン速度0%に指定されている最大温度よりも低い時にファンを完全に停止させるセミファンレス機能的な使い方もできます。
NZXT CAMのイルミネーション制御機能について
「NZXT N7 Z390」にはNZXT HUE 2と同等の機能を備えたライティングコントローラーが搭載されており、専用ソフトウェアNZXT CAMから、NZXT Aer RGB 2やNZXT HUE 2 LED Stripsなど同社製対応製品のライティング制御が行えます。NZXT N7 Z390ではマザーボード備え付けLEDイルミネーションは搭載されていませんが、NZXT Aer RGB 2やNZXT HUE 2 LED Stripに対応した独自規格のLEDヘッダーが3基実装されています。HUE 2やNZXT N7 Z390では1チャンネル当たりにデイジーチェーン接続可能な機器の制限は「合計LED球数が40以下」のみとなっており、Aer RGB 2やHUE 2 LED Stripsを1つのチャンネルに混在させることができます。
「NZXT N7 Z390」に搭載されたこの独自端子には、「NZXT Aer RGB 2 120/140」や「NZXT HUE 2 LED Strips」が接続できるのでこの2つを使用して、ライティング制御の方法を紹介していきます。ちなみに、その他にも「HUE 2 Cable Comb」なども接続できます。
NZXT Aer RGB 2 120/140について
「Aer RGB 2 120/140」は500~1500RPMで速度調整可能なPWM対応の4PIN型ケースファンです。製品名の通り「Aer RGB 2 120」は120mm角、「Aer RGB 2 140」は140mm角のケースファンです。「Aer RGB 2 120/140」のファンフレーム吸気面内側にはファンブレードの外周に沿ってLEDイルミネーションリングが設置されています。LEDリング内には8分割されてLEDライトが埋め込まれており、アドレッサブル(アドレス指定可能)なLEDイルミネーション操作に対応します。
「Aer RGB 2 120/140」の軸受けを固定する支柱はフレームから中央に向かって弧を描きますが、ファンブレードの回転方向に対して垂直になっており、ファンブレードの根元が支柱付近を通過するときに発生するノイズを抑制しています。
姉妹モデルのAer PやAer Fでは吸気・排気ともにファンフレームはすり鉢状に面取り拡張されて大風量を獲得できるように最適化されていますが、Aer RGB 2は吸気面にLEDリングが搭載されているので風量の面では若干不利な構造になっています。ネジ穴部分では表面にはネジ穴に沿ったリング状、裏面にはフレームを覆う面状にプラスチックフレームとは別でゴム製のパーツ「バイブレーションダンパー」が採用され防振性も確保されています。
「Aer RGB 2 120/140」では航空機などにも採用されているファンブレード端の盛り上がった構造、「ウイングレット」構造も確認できます。ウイングレット構造によって空気抵抗を小さくし風切り音を抑制することで最適な静音性と風量を実現しています。
「Aer RGB 2 120/140」の軸受にはNZXTが特許を取得した銅製の流体動圧軸受(FDB)を使用し、寿命は公称6年以上となっています。自称軸ソムリエの管理人が軸音テイスティング(耳を近づけてファンを指で弾くだけ)をしてみましたが、低速回転時の軸音が聞こえない良いファンでした。低回転軸音に煩い管理人的も納得の良い冷却ファンなのでLEDイルミネーション目的で低回転運用しても軸音が気になることはないと思います。
ファンフレーム側面のファン電源ケーブルが出ている側にはLEDイルミネーション用の接続端子が設置されています。
Aer RGB 2は自機を介して複数機のNZXT HUE 2対応機器を連結させるデイジーチェーン接続に対応しており、コントローラー側のIN端子と増設機器側のOUT端子の2端子が設置されています。IN/OUTでコネクタの形状が異なるので間違って接続してしまう心配はありません。
下の写真は旧モデルHUE+とAer RGB初期モデルですが、こんな感じで1つのチャンネル(LEDコネクタ)へ数珠繋ぎにHUE 2対応LED機器を連結させることができます。なおHUE+では1つのチャンネルに接続できるLED機器の種類は1種類のみでしたが、HUE 2やNZXT N7 Z390ではAer RGB 2やHUE 2 LED Stripsを1つのチャンネルに混在させることができます。
「Aer RGB 2 120/140」には、ライティングコントローラーに接続するためのLEDケーブル、Aer RGB 2をデイジーチェーン接続するためのLEDケーブル、HUE 2 LED StripsやHUE 2 Cable Combをデイジーチェーン接続するための変換LEDケーブル、ファン固定用テーパーネジが付属します。
ライティングコントローラーに接続するためのLEDケーブル(右)はコントローラー側のコネクタが一回り大きいサイズになっています。Aer RGB 2をデイジーチェーン接続するためのLEDケーブルはIN/OUTで形状が異なりますがほぼ同サイズのコネクタです。
HUE 2 LED StripsやHUE 2 Cable Combをデイジーチェーン接続するための変換LEDケーブルはその名の通りですが、「Aer RGB 2 120/140」のOUT端子に汎用4PIN LEDヘッダー形状のHUE 2対応機器をデイジーチェーン接続するのに使用します。
NZXT HUE 2 LED Stripsについて
「NZXT HUE 2 LED Strips」はNZXT HUE 2に対応したアドレッサブル(アドレス指定対応)LEDテープ「HUE 2 LED Strip」が2本入っています。LEDテープ1本あたり10個のLED球が実装されています。HUE 2やNZXT N7 Z390は1チャンネル当たり最大40球のLEDへ電源出力が可能なのでHUE 2 LED Stripを最大4本まで連結して使用できます。付属のLEDテープは透明ビニール内のLED素子間にマグネットが埋め込まれておりスチール製シャーシのPCケースには容易に設置可能です。テープ背面には両面テープも標準で貼られているのでアルミニウム製PCケースでも設置可能です。
LEDテープ両側の接続端子はRGB対応汎用4PINと同じ形状ですが、特殊なアサインになっておりRGB対応汎用4PIN LEDとは互換性がないので注意してください。
付属ケーブルとして、HUE 2やNZXT N7 Z390に接続するためのケーブルと、汎用4PINコネクタの延長ケーブルの2本が付属します。長さはいずれも500mm程です。HUE 2やNZXT N7 Z390に接続するケーブルはコントローラー側が独自規格の端子、LEDテープ側は汎用4PIN型オス端子となっています。
汎用4PIN LEDヘッダーは裏表がないコネクタになっていますが、LEDテープのピンアサインには指定があるのでLEDテープの+5Vと接続・延長ケーブルの矢印マークが一致するように繋いで下さい。
CAMでNZXT N7 Z390に接続されたHUE 2対応機器を制御する
最後に「NZXT N7 Z390」に接続されたNZXT Aer RGB 2やNZXT HUE 2 LED StripsなどHUE 2対応製品を専用ソフトウェアNZXT CAMからライティング制御する方法について紹介していきます。「NZXT CAM」でHUE 2対応機器のライティング制御を行うには、トップメニューの「照明」を選択して設定画面を開きます。
画面右上の「テーマパックを選択する」を選ぶと、テーマパックと呼ばれる既定プリセットによって、システムに接続されたLEDチャンネルを同期設定させることができます。
なお「NZXT N7 Z390」のLED端子に接続されたLED機器はPCに通電後、NZXT CAMを起動するまでは、全LEDが白色に発光するNZXT Whiteのテーマパックが適用されます。過去に設定した任意のライティング制御を適用するためには、システム起動後に1度は必ずNZXT CAMを起動する必行があります。
テーマパックは既定の10種類に加えて、ユーザーが任意のカスタムテーマパックを作成することができます。LEDチャンネルに対して個別に設定を行い、「テーマパックを選択する」を選ぶとテーマパックの保存に関して表示されます。ユーザー作成したテーマパックは各LEDチャンネルに対して任意に設定した内容をまとめた発光パターンのカスタムプロファイル的なものになります。
現在テーマパックを表示するサンプルイメージの下には、システムに接続されたLEDチャンネルの一覧が表示されます。「NZXT N7 Z390」には3つのLED端子が実装されており、3つのLEDチャンネルに対して個別に任意のライティング設定を適用できます。
LEDチャンネルをクリックすると、そのチャンネルに関する発光カラーや変化スピード等の詳細設定メニューが展開されます。
上のスクリーンショットを見てわかるように「NZXT N7 Z390」や「NZXT HUE 2」では1つのLEDチャンネル内にAer RGB 2やHUE 2 LED StripsといったHUE 2対応機器を複数種類混在させることができます。下は前世代のHUE+ですが、Aer RGB初期モデルなど旧HUE製品は1つのチャンネルに1種類の機器しか接続できませんでした。これだけでもHUE 2対応機器は配線やライティング制御の自由度が広がっていることがわかります。
LEDチャンネルの右側にあるプルダウンメニューから、そのLEDチャンネルに適用する発光パターンが選択できます。選択可能な発光パターンは、固定発光のような一般的なものから、マーキーやスーパーレインボーのようなアドレッサブルタイプ、CPU温度やGPU温度に比例して変化、音声出力に依存など20種類以上もあり非常に豊富です。
固定、呼吸、フェージングなど発光カラーを任意に設定できるものについては、「LED色をカスタマイズ」のスライドスイッチをONにすると、個別LEDアドレスに対して発光カラーを完全に任意の設定が行えます。
NZXT N7 Z390の動作検証・OC耐性
BIOS周りの管理人的に気になるところの紹介はこのあたりにしてNZXT N7 Z390を使用した検証機で具体的に動作検証とOC耐性をチェックしていきます。まずはFast Bootを無効にしてOSの起動時間を測定したところ、「NZXT N7 Z390」の起動時間は16秒ほどした。多機能なハイエンドマザーボードとしてはPOSTも非常に高速です。
「NZXT N7 Z390」にCore i9 9900Kを組み込んだ場合のBIOS標準設定における動作について、CPU動作倍率は1~8コア負荷順で[50, 50, 49, 48 , 48, 47, 47, 47]でIntel公式の定格動作倍率ですが、電力制限については長期間電力制限と短期間電力制限の両方が標準では無効化されています。NZXT N7 Z390にCore i9 9900Kを組み込むと、Intel公式の仕様値であるTDP95Wを大きく上回る消費電力で動作します。
「NZXT N7 Z390」のBIOS標準設定ではCore i9 9900KはTDP95Wを超過する動作になりますが、下のようなBIOS設定で「Overclocking Presets」をNormalからPower Limitedに切り替えると短期間電力制限は強化されているものの、長期間電力制限95Wは適用できるので、TDP95WのCPUとして運用が可能になります。
続いてNZXT N7 Z390を使用した場合のCPUとメモリのオーバークロック耐性をチェックしてみました。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
Core i9 9900KのOC設定は「CPUクロック倍率:50」「CPUコア/キャッシュ電圧:1.400V(固定モード)」「ロードラインキャリブレーション: Level 4」、またメモリOCについてはOCプロファイルを使用して「メモリ周波数:3600MHz」「メモリ電圧:1.400V」「メモリタイミング:14-15-15-35-CR2」としています。
OC検証に使用しているCore i9 9900KのCPU個体は別のマザーボードのレビューでも使用しているものと共通で、主要4社の上位マザーボードであれば全コア5.1GHz~5.2GHzで常用できるOC耐性があります。しかしながら「NZXT N7 Z390」ではロードラインキャリブレーションを最大補正のLevel 4にしても負荷時のコア電圧の低下が激しく、コア電圧を1.400Vまで盛っても安定動作させることができなかったので、今回の検証では上のように全コア5.0GHzに設定しました。
上の設定を適用したところ問題なくOSを起動させることができました。
「NZXT N7 Z390」の環境(BIOS:ver1.02)において、G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZNのOCプロファイルを使用して、メモリ周波数3600MHz、メモリタイミング:14-15-15-35-CR2で安定動作が確認できました。ちなみにG.Skill Trident Z NeoはAMD第3世代Ryzenに最適化されたモデルですが、Intel第9世代Core-S環境でもOCプロファイルは問題なく動作しています。
OC設定の章で説明したように、「NZXT N7 Z390」のメモリOCのマニュアル設定についてはサード/セカンドタイミングも手動で打ち込む必要があるので難易度は高いです。普段Z390マザーボードの検証で使用しているG.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKKはメモリタイミングの自動設定の精度が高いマザーボードであれば、4000MHz/CL17で安定動作させることができるメモリなので、この辺りはやはり主要4社の上位製品と差が出ます。
とはいえメモリ周波数3600MHz、メモリタイミング14-15-15-35-CR2で安定動作が確認できているので、マザーボードのメモリOC耐性自体は十分に及第点をクリアできていると思います。3200MHz~3800MHz程度のXMPプロファイルが収録されたOCメモリであれば問題なく動作すると思います。
8コア16スレッド「Intel Core i9 9900K」のコア5.0GHz、メモリ周波数3600MHz、メモリタイミング14-15-15-35-CR2でCinebenchも問題なくクリアできました。
続いてこのOC設定を使用してストレステストを実行しました。
検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はCore i9 9900K 定格の場合20分ほどなので同じ動画のエンコードを2つ並列して実行しています。テスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
ストレステスト中のCPU温度とCPU使用率のログは次のようになりました。マザーボードにNZXT N7 Z390を使用して「Intel Core i9 9900K」をコアクロック5.0GHz、メモリ周波数3600MHzにOCしてストレステストをクリアできました。CPUクーラーのファン回転数は1500RPMで固定しています。
スマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE Pro」(レビュー)を使用してNZXT N7 Z390のVRM電源温度をチェックしてみました。
Core i9 9900Kを上記のBIOS設定でOCした時の負荷テスト中のVRM電源温度をチェックしていきます。ちなみに「NZXT N7 Z390」環境でCore i9 9900Kを全コア5.0GHzまでOC、かつメモリも3600MHzにOCするとシステム全体(マイナス50W程度でほぼCPU)の消費電力が240~250Wに達します。
VRM電源周りに風の直接当たらない簡易水冷CPUクーラーの環境において、Core i9 9900Kを全コア5.0GHzにOCしてVRM電源温度をサーモグラフィーで確認したところ、NZXT N7 Z390のVRM電源周りの温度は最大で80度後半まで達しました。ソフトウェアモニタリングのVRM電源温度とも概ね一致しています。VRM電源温度は高温ではありますが、Core i9 9900Kの全コア5.0GHz OCにもパッシブ空冷で対応可能な温度に収まっており、定格や全コア4.7GHzの電力制限解除くらいなら余裕で対応できそうです。
「NZXT N7 Z390」環境においてCore i9 9900Kで全コア5.0GHzオーバーの大幅なオーバークロックをする場合、スポットクーラーを使用するのであれば、フレキシブルファンアーム「サイズ 弥七」や、可変アルミニウム製ファンフレームでVRM電源を狙って設置が容易な「IN WIN MARS」がオススメです。
・マザーボードVRM電源クーラーのレビュー記事一覧へ
NZXT N7 Z390のレビューまとめ
最後に「NZXT N7 Z390(型番:N7-Z39XT-W1)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- NZXT製PCケース New HX10シリーズとも親和性の高いフラットな外観
- Core i9 9900K 5.0GHz、メモリクロック3600MHz OCで安定動作
- ベースクロックBCLKの調整も可能
- 高速NVMe接続のM.2スロットが2基設置
- 動作検証に便利なオンボードスタートスイッチ、CMOSクリアスイッチを搭載
- NZXT CAMに対応したGRID+ V3と同等のファンコントロール機能が統合されている
- NZXT CAMに対応したHUE 2と同等のライティング制御機能が統合されている
- 内部USB2.0ヘッダーを3基も搭載している
- Core i9 9900K(F)を5.0GHz以上にOC時はスポットクーラーの併用を推奨
- HDMI端子はver1.4で4K・30FPSが上限
- オーバークロック耐性は主要4社の上位製品と比較すると一段劣る
「NZXT N7 Z390」は、同社製PCケースのH710iやH510 EliteなどNew HX10シリーズへ自然に溶け込むフラットな金属製カバーを搭載する外観がまず目につく特長となっており、加えてその見た目だけでなくNZXT CAMに対応したGRID+ V3と同等のファンコントロール機能およびHUE 2と同等のライティング制御機能がマザーボード上に統合されているのでPCのシステム的にも高い親和性を備えます。
”オールNZXT”なオシャレ自作PCを実現する上で見た目に大きく影響する部品、PCケース、CPUクーラー、ケースファン、GPUクーラーと続く最後の1ピースです。マザーボード単体で見るとフラットでシンプルな外観ながら、CAMによるライティング制御の幅広さによってユーザーに合わせた個性あるライトアップを可能にしてくれます。
NZXT N7 Z390のBIOSではクラシカルなUIが採用されており、所々、翻訳の怪しい部分もありますが日本語UIにも対応していて、OSインストールのブート設定からオーバークロックまで基本的に使いやすいUIだと思います。
「NZXT N7 Z390」にCore i9 9900Kを組み合わせて使用した場合、デフォルト設定による運用では定格の電力制限が無効化されるため全コア4.7GHzという高いコアクロックで動作しますが、標準設定の範囲内であればCore i9 9900Kを含めたIntel第9世代Core-S CPUの各種においてVRM電源はパッシブ空冷の冷却でも問題ないと思います。
NZXT N7 Z390を使用した検証機では8コア16スレッドのCore i9 9900Kを全コア5.0GHz、メモリ周波数も3600MHzにオーバークロックして負荷テストをクリアすることができました。
OC時のVRM電源温度については、8コア16スレッドの最上位モデルCore i9 9900Kを5.0GHzにOCして長時間の負荷をかけた場合、80度後半に達しました。温度自体は高温いもののパッシブ空冷のままでも運用できそうな範囲に収まっています。
メモリOCについてはオーバークロックメモリのOCプロファイルを使用することによって、メモリ周波数3600MHzにおいてメモリタイミング14-15-15-35-CR2まで詰めることができたのでマザーボード配線という意味でのメモリOC耐性は余裕で及第点をクリアしていると思います。
「NZXT N7 Z390」のOC耐性については、前述の通りZ390マザーボードとして管理人の考える最低限の水準はクリアしているものの、ロードラインキャリブレーションが最大のLevel 4でも補正が弱く、9900Kを5.1GHz以上にOCするのが難しかったり、メモリタイミングの自動設定の精度が微妙でマニュアル設定によるメモリOCが難しかったりと、ASRock/ASUS/GIGABYTE/MSIといった国内でもシェアの高い主要4社の比較的上位な製品に比べて、一段劣るというのも正直な感想です。
NZXT New HX10シリーズPCケースへ自然に溶け込むフラットな外観や、NZXT CAMに対応したGRID+ V3と同等のファンコントロール機能およびHUE 2と同等のライティング制御機能がマザーボード上に統合されシステム的にも高い親和性を備えた「NZXT N7 Z390」は”オールNZXT”で個性的な自作PCを組みたいユーザーにはオススメできる製品だと思います。
以上、「NZXT N7 Z390」のレビューでした。
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