Intel Core i9 9900KS


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8コア16スレッドで全コア5GHz動作が可能なチューニングが施されたスペシャルエディション「Intel Core i9 9900KS(型番:BX80684I99900KS)」をレビューしていきます。爆熱という多くの評価に反してCore i9 9900KSをIntelの仕様値通りTDP127Wで運用できるのか、さらに標準モデルのCore i9 9900Kや同じく8コア16スレッドの競合製品Ryzen 7 3700X/3800X対して、クリエイティブタスクやPCゲーミングにおいてどれくらい性能を発揮するのか、各種ベンチマーク比較によって徹底検証します。


製品公式ページ:https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/products/processors/core/i9-processors/i9-9900ks.html
Intel Core i9 9900KS_top




Intel Core i9 9900KS レビュー目次


1.Intel Core i9 9900KSの外観・付属品・概要
2.Intel Core i9 9900KSの検証機材・動作設定
3.Intel Core i9 9900KSの動作クロック・消費電力・温度

  Intel Core i9 9900KSのOC耐性について

4.Intel Core i9 9900KSの基礎ベンチマーク
5.Intel Core i9 9900KSのクリエイティブ性能

  ・3Dレンダリング性能
  ・動画エンコード性能
  ・RAW現像性能
  ・PCゲーム/スマホアプリのビルド性能
6.Intel Core i9 9900KSのゲーミング性能
  ・4K解像度/60FPSターゲット
  ・フルHD解像度/ハイフレームレート
  ・バトルロイヤル系PCゲーム/240FPSターゲット
7.CPUエンコーダとリアルタイム配信について
8.Intel Core i9 9900KSのレビューまとめ

  ・温度・消費電力について
  ・クリエイティブ性能について
  ・ゲーム性能について
  総評 - 選別版Core i9 9900Kは誰のためのCPUか?



Intel Core i9 9900KSの外観・付属品・概要

「Intel Core i9 9900KS」の外観や付属品について簡単にチェックしておきます。またこの章では「Intel Core i9 9900KS」の仕様等について簡単に触れておきたい概要もあれば紹介します。
「Intel Core i9 9900KS」は刻印の通り「SRG1Q」なので新ステッピングとなっています。旧ステッピングのCPUを使用している場合、マザーボードBIOSの更新やOSのクリーンインストールが必要になるので注意してください。
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「Intel Core i9 9900KS」の製品パッケージはCore i9 9900Kの発表当時も話題になりましたが、12面体の独特な形状で、黒色のきんちゃく袋で保護されています。きんちゃく袋の素材がジャージ記事でIntelロゴ入りに変わり、プラスチックケースに巻き付けられたスリーブの表面が光沢に変わっていますが、基本的な梱包構造はCore i9 9900Kと同じです。
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かさばる&開けにくいので個人的にはCore i9 7980XEやCore i7 8086Kの化粧箱が好みです。
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12面体のプラスチックパッケージ開くとコンパクトな化粧箱が現れます。いっそこの内パッケージだけで販売すればいいのでは?とも思いました。
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「Intel Core i9 9900KS」など第9世代CoffeeLake Refresh-Sと前世代となる第8世代CoffeeLake-SはいずれもLGA1151ソケットに対応したCPUなので基本的な外形は一致しています。ただしヒートスプレッダの形状がかなり昔のものに先祖返り?して、CPUクーラーと接する面積が小さくなっています。(写真は9600Kと8600K)
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第6世代Skylake-Sから薄くなったPCB基板は第9世代CoffeeLake Refresh-Sで再び厚くなり、全高はほぼ同じなのでヒートスプレッダが薄くなっています。
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PCB基板が厚くなった分、ヒートスプレッダは薄くなり、面積も小さくなっているため「Intel Core i9 9900KS」など第9世代CoffeeLake Refresh-S CPUの重量は、前世代よりも軽くなっていました。ヒートスプレッダの質量がほぼ直結しているのでCPU発熱に対するヒートスプレッダのバッファも弱まっていると予想されます。
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Intel Core i9 9900KSは8コア16スレッドのCPUであり、TDP127Wでベースクロックは4.0GHz、単コアおよび全コアの最大ブーストクロックは5.0GHzとなります。
Intel Core i9 9900KSを標準モデルのCore i9 9900Kや、同コアスレッド数のRyzen 7 3700X/3800Xと比較すると次のようになっています。
Core i9 9900KSは通常モデルCore i9 9900Kとの違いとしてTDPが127Wに引き上げられており、ベースクロックも4.0GHzに上昇しています。高クロック動作が可能な選別モデル的な扱いでいいと思います。また期間限定の特別版という製品なのもあって一般的なCPUの保証期間は購入から3年間ですが、「Intel Core i9 9900KS」の保証期間は購入から1年間と短くなっています。
Core i9 9900KS スペック簡易比較

Core i9
9900KS
Core i9
9900K
Ryzen 7
3700X
Ryzen 7
3800X
コアスレッド 8コア16スレッド
ベースクロック 4.0GHz 3.6GHz 3.6GHz 3.9GHz
最大ブースト 5.0GHz 5.0GHz 4.4GHz 4.5GHz
オーバークロック
O
L3キャッシュ 16MB 32MB
TDP 127W 95W 65W 105W
CPUクーラー X 付属 (Wraith Prism)
iGPU
O X
おおよその国内価格
(北米希望小売価格)
6.6万円
(513ドル)
5.8万円
(488ドル)
4.3万円
(329ドル)
5.1万円
(399ドル)
保証期間 1年 3年

Core i9 9900Kでは1コアから全8コアまで負荷がかかった時のコア数に対して動作倍率は[50, 50, 48, 48, 47, 47, 47, 47]となっていましたが、「Intel Core i9 9900KS」の動作倍率については1コアから8コアまで全て50倍となっています。
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第3世代から第8世代までIntelのメインストリームデスクトップ向けCore-S CPUでは、CPUダイとヒートスプレッダ間のTIM(Thermal Interface Material)にはシリコングリスが採用されていましたが、第9世代CoffeeLake Refresh-S CPUで初回ロンチされた倍率アンロックのK付き3モデルについては今回レビューする「Intel Core i9 9900KS」を含めてソルダリングが採用されています。
Intel 9th Gen Core CoffeeLake Refresh_press (2)



Intel Core i9 9900KSの検証機材・動作設定

以下、「Intel Core i9 9900KS」の各種検証を行うベンチ機、および比較対象となる各CPUのベンチ機の詳細となります。
Intel LGA1151(Z390)環境 テストベンチ機の構成
CPU 【第9世代Core】
Intel Core i9-9900KS(レビュー
Intel Core i9-9900K(レビュー
Intel Core i7-9700K(レビュー
Intel Core i5-9600K(レビュー
Intel Core i5-9400F(レビュー
【第8世代Core】
Intel Core i7-8700K(レビュー
Intel Core i5-8600K(レビュー)
Intel Core i3-8350K(レビュー)
Intel Pentium Gold G5600(レビュー)
マザーボード ASUS WS Z390 PRO
レビュー
CPUクーラー Fractal Design Celsius S36 (レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Black
F4-4400C19D-16GTZKK
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー
3600MHz, CL16-16-16-36-CR2
その他
レビュー対象CPUのベンチ機と共通

Intel LGA1151(Z390) Test Bench

Intel LGA1151(Z390)環境では検証機材マザーボードとして「ASUS WS Z390 PRO」を使用しています。Intel第9世代CPUに対応するZ390マザーボードの多くでは、CPU動作設定を標準設定のAutoとした場合、各CPUのPerCore最大動作倍率は単コア/全コアは仕様通りですが、PL1/PL2が無効化される傾向にあります。
Auto設定でもIntel仕様値のTDP内に収まる動作となるCPUについてはAuto設定のまま検証を行っています。
しかしながらCore i9-9900KS、Core i9-9900K、Core i7-9700KはAuto設定では消費電力が大幅にTDPから超過するため、MB標準のAuto設定に加えて、下のようなBIOS設定(9900Kの例)によってIntelの仕様に合わせたPerCore最大動作倍率および電力制限(PL1=TDP, PL2=PL1*1.25, Tau=8s)を適用した”定格動作”についても測定を行っています。なおCore i9-9900KSはPL2=210W、Tau=28sと言及するメディアが多いのでそちらに合わせました。
Intel LGA1151(Z390)_TDP_BIOS (1)Intel LGA1151(Z390)_TDP_BIOS (2)
上の設定はASUS製マザーボードのBIOSメニューから設定した例ですが、ASRock、GIGABYTE、MSIなど主要4社のマザーボードであれば同種の設定項目が用意されているはずなので、同じように電力制限を課すことができます。再起動等で初期化されることもあるので、確実性の高いBIOSからの設定が推奨なのですが、「Intel Extreme Tuning Utility」からも設定が可能です。



ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、Intel Core-XやAMD Ryzen TRのようなハイエンドデスクトップ環境はもちろん、メインストリーム向けでもハイパフォーマンスな環境を目指すのであれば、システムストレージ用に一押しのSSDです。
「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
Samsung SSD 860 PRO 256GB

CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
Thermal Grizzly Kryonaut_03822_DxO



グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。Thermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスで適量が塗布されていれば、CPUクーラー固定時の圧着でヒートスプレッダ全体へ自然に伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
Thermal Grizzly Kryonaut_01749

サーマルグリスの代用品として、数年スパンの長期使用においても性能低下が基本的になく再利用も可能、グリスが零れてマザーボードが汚れたり壊れる心配もないので、炭素繊維サーマルシート「Thermal Grizzly Carbonaut」もオススメです。
「Thermal Grizzly Carbonaut」はCore i9 9900Kを冷やせるか!?
Thermal Grizzly Carbonaut_Core i9 9900K



Intel Core i9 9900KSの動作クロック・消費電力・温度

「Intel Core i9 9900KS」に関する検証のはじめに、「Intel Core i9 9900KS」の動作クロック、消費電力、温度など同CPUの基本的な動作についてチェックしていきます。
Intel Core i9 9900KS_CPU-Z
「Intel Core i9 9900KS」は8コア16スレッドのCPUであり、定格動作において1コア~8コアまで同時に負荷がかかった時の最大動作倍率はコア数1~8に対して順番に[50, 50, 50, 50, 50, 50, 50, 50]です。全8コアへ同時に負荷がかかっても最大で5.0GHz動作が可能となっています。
Intel Core i9 9900KS_XTU_Auto
またIntel第9世代Core-S CPUの製品仕様を確認すると「Turbo Boost Power Max(長期間電力制限/Power Limit 1)」は127W(=TDP)、「Turbo Boost Short Power Max(短期間電力制限/Power Limit 2)」は159W(PL1×1.25)もしくは210Wになっているはずですが、BIOS標準設定ではいずれも無制限に変更されていました。
Intel Package Power Control
「Intel Core i9 9900KS」をZ390マザーボード「ASUS WS Z390 PRO(BIOS:0701)」と組み合わせてCPU動作をBIOS標準設定とし、CinebenchやAviult&x264エンコードを実行したところ、いずれのケースにおいても全8コアへ同時に大きな負荷がかかった時の動作クロックは5.0GHzに張り付きました。このときCPU Package Powerは127Wを大幅に超過し180~220W程度を示します。
Intel Core i9 9900KS_PL-NA
一方で「Intel Core i9 9900KS」を仕様通り電力制御(PL1:127W、PL2:210W、Tau:28s)で動作させると、Cinebenchの開始直後はCPU Package Powerが180~220W程度まで上昇しますが、短期間電力制限時間の28秒を超過するとTDP(長時間電力制限)と同じ127Wに抑制されます。
Intel Core i9 9900KS_PL-shortIntel Core i9 9900KS_PL-long


続いてCPU消費電力の検証結果をチェックしていきますが、当サイトのCPUレビューでは主として”CPU温度への影響要因”という意味においてCPU消費電力を評価しているので、動画のエンコードによって長期間電力制限が効いている状態の平均的な消費電力をCPU消費電力として比較します。
個人的な意見としては短期間電力制限は短期間かつCPU温度によっても制御されるのでCPU温度への影響要因として比重は小さく、また瞬間ピーク電力はせいぜいがTDP+100W程度なので、マザーボードVRM電源の破損を心配するほどではなく、その程度の電力超過は電源ユニットで十分吸収できるので、評価対象としてあまり意味がないと思っています。
またCPU製品仕様のTDPについては、定義がIntel/AMDで厳密には異なり、各社の具体的な測定・算出方法も不明なので、CPU動作クロックを含めて総合的に判断する必要があるものの、基本的には長期間電力制限時の消費電力がTDP仕様値とほぼ一致、もしくはTDP仕様値を下回れば正常であると評価します。
当レビュー記事では簡単のため割愛しますが、CPUの消費電力に関する評価基準の補足として下記の記事も参考にしてください。
2019年最新CPUの消費電力・発熱・TDP・温度について - 爆熱評価のウソほんと
2019年最新CPUの消費電力・発熱・TDP・温度について

CPU消費電力の測定には電源ユニット「Corsair HX1200i」のCorsair Linkによる電力ログ機能を用いてコンセントからの出力ではなく変換ロスを差し引いた入力電力をチェックしています。
また電力測定の際は上記の主電源ユニットに加えて、CPUへの電力供給を行うEPS端子を除いた、各種電源端子へ接続するために別の副電源ユニットを使用しています。そのため測定値にはEPS電源端子を経由して供給されるCPU消費電力以外の消費電力は含まれません。なお電源ユニットに対する実際の最大瞬間負荷は測定値より50~100W上回る場合があるので電源ユニットの電源容量選択の参考にする場合は注意してください。
Intel Core i9 9900KS review_00797
Intel Core i9 9900KS_power_sc

CPUの消費電力や温度の測定を行う負荷テストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間6分40秒、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)を変換ソースとして、Aviutl&x264を使って動画のエンコードを行います。動画エンコードの同時実行数については4~6コアは並列なし、8~14コアは2並列実行、16コア以上は3並列実行としています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTやPrimeなど専用負荷ソフトを使用しているレビューもありますが、管理人の私見としてはCPU負荷が非現実的なので、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースを想定した場合、ほぼ最大のCPU負荷となるx264による動画エンコードとストレステストに採用しています。
CPU Power-Temp_Test

「Intel Core i9 9900KS」と比較対象の各CPUについて、上記負荷テスト中の”平均値を消費電力”、”最大値を瞬間的な最大電源負荷”と表記した場合、消費電力測定結果は次のようになっています。 【全CPU比較データ

「Intel Core i9 9900KS」をAuto設定で電力制限なしに全コア5.0GHzで動作させるとCPU消費電力は201Wとなり、仕様値のTDP127Wを大幅に上回ります。しかしながら定格仕様の通りにPL1:127W/PL2:210W(もしくは159W)の電力制限を行うと、短期間電力制限が効く間は200W程度と同等消費電力(瞬間最大負荷)となる一方で、長期的には当然ですが、消費電力は138Wに下がってTDP仕様値を満たす動作となります。
Core i9 9900KS_power

続いて「Intel Core i9 9900K」は一般的な120サイズ冷却ファン搭載のサイドフロー型空冷CPUクーラーで運用できるかどうかを検証してみました。
検証負荷には消費電力測定と同様に動画のエンコードを実行しています。空冷CPUクーラー使用時のCPU温度検証の検証機材CPUクーラーには、Noctua製サイドフロー型CPUクーラーのスタンダードモデル「Noctua NH-U12S」を使用しており、冷却ファンは次世代120mmファン「Noctua NF-A12x25 PWM」に交換しています。また120サイズ簡易水冷CPUクーラーの環境を想定して、ラジエーターは360サイズですが120mmファンを1基だけ動作させた状態についても同様に測定を行いました。
Intel LGA1151(Z390) Test Bench_CPU Cooler

「Intel Core i9 9900KS」の全コア5GHzかつ電力制限無効化は、一般的な120サイズ空冷CPUクーラーで冷やそうとすると、仕様上の限界温度Tj=100度を超えてコアクロックが強制的に低下することはなかったものの、最大温度97度、平均温度91度とかなり高温になりました。120サイズ簡易水冷CPUクーラーを使用すると最大温度86度、平均温度82度と10度くらい温度が下がり、何とか安心して運用できるレベルだと思います。とはいえ、全コア5GHzかつ電力制限無効化で「Intel Core i9 9900KS」を使用するのであれば最低でも240サイズ簡易水冷CPUクーラーは必要になると思います。
一方で定格動作の通りにTDP127Wの電力制限を行うと、短期間電力制限の間に一時的にCPU温度は80度超に達しますが、以後、長期間電力制限によってCPU消費電力がPL1:127Wで制限されるので、120サイズ空冷CPUクーラーでもCPU温度は70度未満に収まっています。仕様値通りにTDP127Wで運用するのであれば、「Intel Core i9 9900KS」は一般的な120サイズ冷却ファンの空冷CPUクーラーでも問題なく運用できることがわかります。
Intel Core i9 9900KS_temp
またTDP127W動作時のIntel Core i9 9900KSの全コア動作クロックは全コア最大動作倍率を下回り、実動平均で4.5~4.6GHz程度になります。TDP95W動作時のCore i9 9900Kが4.1GHz程度なので10%程度高速な動作となるようです。ワークロードの重さで実際の動作クロックはこれより低くなる可能性がありますが、ベースクロック仕様値の4.0GHzはTDP127W制限下でもクリアできていると見て問題なさそうです。
Intel Core i9 9900KS_clock

検証機材として組み合わせて使用されるマザーボード標準設定がTDP127Wを満たす定格動作を無視したものになっているので、国内外の多くのレビューにおいて、Intel Core i9 9900KSはしばしば消費電力(発熱)が非常に大きく、CPU温度が高温になるためハイエンド空冷やマルチファン簡易水冷のCPUクーラーが必要である、と評価されることが多いですが、仕様値通りにTDP127Wの動作設定であれば当然ながら消費電力は抑制され、一般的な空冷CPUクーラーでも問題なく運用できます。
当サイトでは1年以上前のCore i9 7900Xのレビューから指摘していたことですが、『IntelはES品等の検証において定格動作設定を使用するガイドラインを示す』、『マザーボードベンダーはBIOS標準設定に定格動作を満たす設定を採用する』の2点を徹底してもらいたいというのが管理人の意見です。


Intel Core i9 9900KSのOC耐性について

「Intel Core i9 9900KS」のOC耐性についてですが、Core i9 9900Kと9900KFを合わせて15個くらい選別した経験からいって、上位20%くらいの低電圧動作が可能な個体が使用されているんじゃないかな、と感じました。(確認数が2つだけなのでほぼ勘ですが)
詳細は省きますが、全コア5GHz動作時にaviutl&x264エンコードが30分以上安定する下限コア電圧を調べた時に、Core i9 9900K(9900KF)では1.225V~1.350V(BIOS設定値)で差がありましたが、今回、管理人が入手した「Intel Core i9 9900KS」については1.250Vで安定動作となりました。全コア5.1GHzで常用が可能、「ASRock Z390 Phantom Gaming X」のレビュー記事でCore i9 9900Kを全コア5.2GHzにOCしていますが、マザーボードによっては全コア5.2GHzも安定動作するレベルの個体です。
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Core i9 9900K発売当初に10個くらい選別してこのクラスの個体は1,2個しかなかったので、今でこそCore i9 9900Kが5.8万円くらいまで値下がりしていますが、当時は6.5万円くらいだったので(現在の相場で考えても選別の手間がなくなるので)、OC耐性が上位選別な個体が6.6万円で手に入ると考えるとOC的にはかなりお得な気がします。
ダイ直で液体金属比較をした時に使用したCore i9 9900KFは今年8月末に購入で、なかなか刺激的なハズレ石でしたが、Core i9 9900KSの数を揃えるために最近流通している9900K/9900KFには電圧特性の悪い石が混ざっている(大半を占める?)のでは、と疑う気持ちも。
液体金属頂上決戦! リキエクスVSクマメタルVSシルバーキング
Liquid Metal Comparison



Intel Core i9 9900KSの基礎ベンチマーク

Intel Core i9 9900KSの基本的なCPU性能を専用ベンチマークソフトで検証しました。
この章ではPCMark 8とPCMark 10という総合ベンチマークソフトを使用していますが、デスクトップ向けの高性能CPUの性能比較ベンチマークとしては頭打ちな傾向があります。レビュー項目の1つとして参考までにスコア比較していますが、実用的なCPU性能については後半の個別性能比較を参考にしてください。
また同ベンチマークはシングルスレッド性能(動作クロックの高さ)が重要になる傾向も強く、近年のCPUを見ると、Intel第8/9世代Coreに比べて第2世代以前のAMD Ryzen CPUでは低めのスコアが出ていましたが、AMD第3世代RyzenはIntel第8/9世代Coreとそん色ないパフォーマンスを発揮できるようになっています。

まずは「PCMark 8 Creative Test (Run Accelerated)」のベンチマーク結果をチェックしていきます。「PCMark 8」は動画再生能力、DirectX9のグラフィック性能、Webブラウジング、ビデオチャットなど一般ユースにおけるPCの総合的な性能を測定するためのベンチマークソフトです。
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「Intel Core i9 9900KS」を含めた各CPU環境のPCMark 8ベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Core i9 9900KS_bench_pcm8

「PCMark 10 Extended」のベンチマーク結果をチェックしていきます。「PCMark 10」はPCMark 8と同様にPCの総合的な性能を測定するためのベンチマークソフトですが、DirectX11に対応するなどPCMark 8よりも最近のPCの性能測定に最適化されています。
Core i9 9900KS_pcm10_sc

「Intel Core i9 9900KS」を含めた各CPU環境について、PCMark 10ベンチマークの総合スコアを比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Core i9 9900KS_bench_pcm10_1

「PCMark 10 Extended」にはPCの基本性能を測る「Essentials」、ビジネスアプリケーション性能を測る「Productivity」、クリエイティブ性能を測る Digital Content Creation」、ゲーム性能を測る「Gaming」の大きく分けて4つのテストグループがあるので、個別にベンチマークスコアを比較してみました。

PCの基本性能を測る「Essentials」は、アプリケーションの起動に要する時間を測る「App Start-up」、 ウェブブラウジングの性能を測る「Web Browsing」、1対1または多対多のビデオ会議をシミュレートする「Video Conferencing」の3つのワークロードで構成されています。
モバイル版Core i7を搭載するSurface Pro(2017)との比較でわかりますが、一般的なPC利用において大半のデスクトップ向けCPUは十分な性能を備えています。
「Essentials」について「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Core i9 9900KS_bench_pcm10_2

ビジネスアプリケーション性能を測る「Productivity」は、ワープロソフト(マイクロソフトWordなど)の処理性能をシミュレートする「Writing」、表計算ソフト(マイクロソフトExcelなど)の処理性能をシミュレートする「Spreadsheets」の2つのワークロードで構成されています。
モバイル版Core i7を搭載するSurface Pro(2017)との比較でわかりますが、一般的なオフィスワークにおいて大半のデスクトップ向けCPUは十分な性能を備えています。
「Productivity」について「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Core i9 9900KS_bench_pcm10_3

クリエイティブ性能を測る「Digital Content Creation」は、写真に対するフィルタリング処理の性能をシミュレートする「Photo Editing」、動画編集の性能をシミュレートするワークロード「Video Editing」、レイトレーシングによる3Dグラフィクス制作(3Dレンダリング)をシミュレーションする「Rendering and Visualization」の3つのワークロードで構成されています。
「Digital Content Creation」について「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Core i9 9900KS_bench_pcm10_4

ゲーム性能を測る「Gaming」は、グラフィックボードの性能測定で幅広く活用されているベンチマークソフト「3DMark」に収録された「Fire Strike」と同じベンチマークテストを実行するワークロードです。
「Gaming」について「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Core i9 9900KS_bench_pcm10_5



Intel Core i9 9900KSのクリエイティブ性能

Intel Core i9 9900KSについて3Dレンダリング、動画エンコード、RAW現像、PCゲーム/スマホアプリのビルドなどクリエイティブ作業に関する性能を各種ベンチマークソフトや実際のアプリケーションで検証しました。

Intel Core i9 9900KSの3Dレンダリング性能

CPUのマルチスレッド性能を比較するベンチマークソフトとして国内外で最も知られている「Cinebench R15」をはじめとして、Cinebenchの2019年最新バージョン「Cinebench R20」、オープンソース3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフト、3Dレンダラー「Corona Renderer」の公式ベンチマークソフト、3Dレンダラー「V-Ray」の公式ベンチマークソフトの4種類を使用して、CPUの3Dレンダリング性能についてベンチマーク測定を行いました。

Cinebench R15は3Dレンダリング性能を測定するベンチマークソフトになっており、マルチスレッド性能を測定するテストとシングルスレッド性能を測定するテストの2種類を実行しています。また2019年最新バージョンのCinebench R20についてはマルチスレッド性能を測定するテストのみを実行しました。
Core i9 9900KS_cinebench-r15_sc
Core i9 9900KS_cinebench-r20_sc

Cinebench R15 マルチスレッド性能テストについて「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Core i9 9900KS_rendering_cinebenchR15_multi

Cinebench R15 シングルスレッド性能テストについて「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Core i9 9900KS_rendering_cinebenchR15_single

Cinebench R20 マルチスレッド性能テスト
について「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Core i9 9900KS_rendering_cinebenchR20_multi

3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフト
について「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Core i9 9900KS_rendering_blender_time
「Blender」の公式ベンチマークソフトのレンダリング時間だけを見ても性能差が直感的にわかりにくいので、Core i5 9400Fを基準にして(全CPU比較データではCore i5 9400Fが基準)、「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのレンダリング速度を性能比としてグラフ化しました。 全CPU比較データ
Core i9 9900KS_rendering_blender_perf

3Dレンダラー「Corona Renderer」の公式ベンチマークソフトについて「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Core i9 9900KS_rendering_corona_time
3Dレンダラー「Corona Renderer」の公式ベンチマークソフトのレンダリング時間だけを見ても性能差が直感的にわかりにくいので、Core i5 9400Fを基準にして(全CPU比較データではCore i5 9400Fが基準)、「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのレンダリング速度を性能比としてグラフ化しました。 全CPU比較データ
Core i9 9900KS_rendering_corona_perf

3Dレンダラー「V-Ray」の公式ベンチマークソフトについて「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Core i9 9900KS_rendering_v-ray_time
3Dレンダラー「V-Ray」の公式ベンチマークソフトのレンダリング時間だけを見ても性能差が直感的にわかりにくいので、Core i5 9400Fを基準にして(全CPU比較データではCore i5 9400Fが基準)、「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのレンダリング速度を性能比としてグラフ化しました。 全CPU比較データ
Core i9 9900KS_rendering_v-ray_perf


Intel Core i9 9900KSの動画エンコード性能

続いて無料で利用できる動画編集ソフトとして国内外で多数のユーザーがいる「Aviutl」と、商用動画編集ソフト「TMPGEnc Video Mastering Works 7」と「Adobe Premiere Pro(Media Encoder)」を使用して、「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUの動画エンコード性能を比較していきます。
AviutlとTMPGEnc Video Mastering Works 7はいずれも、現在主流なH.264 (MPEG-4 AVC) ビデオストリームへエンコードを行う「x264」エンコーダ、そしてH.264より高圧縮・高画質で次世代規格として期待されているH.265(HEVC) ビデオストリームへエンコードを行う「x265」エンコーダが使用できるので、CPUをリソースとして各エンコーダで共通の動画ファイルのエンコードを行いました。
エンコードを行う動画ファイルについては、Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsのゲーム内ベンチマーク(60秒ほど)をNVIDIA ShadowPlayで録画したものを使用しています。1920×1080/60FPS/50Mbpsと3840×2160/60FPS/120Mbpsの2種類の動画ファイルを作成し、「1920×1080 to 1920×1080」、「3840×2160 to 1920×1080」、「3840×2160 to 3840×2160」の3種類のエンコードを行っています。
Aviutlのx264/x265のエンコード設定は次のスクリーンショットのようになっています。TMPGEnc Video Mastering Works 7については固定ビットレートで1920×1080へエンコードする場合は25Mbps、3840×2160へエンコードする場合は60Mbpsに設定しています。
x264_encode_settingx265_encode_setting
なおエンコーダと解像度設定が同じであればaviutlとTMPGEncのCPU別エンコード速度の傾向は概ね一致するので、aviutlのケースを抜粋してグラフを掲載します。厳密にはソフトウェアによって若干CPUメーカー別で得意不得意もあるので、aviutlとTMPGEncの全CPU比較データはリンクから各自で参照してください。x2/x3/x4のバーについては同じエンコードを添え字の数だけ並列実行した時の合計変換フレームレートを示しています。


x264エンコーダによって1920×1080解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ(Aviutl) / 全CPU比較データ(TMPGEnc)
Core i9 9900KS_encode_aviutl_x264_1920to1920

x264エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ(Aviutl) / 全CPU比較データ(TMPGEnc)
Core i9 9900KS_encode_aviutl_x264_3840to1920

x264エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の3840×2160解像度へエンコードした時のエンコード速度について「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ(Aviutl) / 全CPU比較データ(TMPGEnc)
Core i9 9900KS_encode_aviutl_x264_3840to3840

x265エンコーダによって1920×1080解像度の動画をH.265(HEVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ(Aviutl) / 全CPU比較データ(TMPGEnc)
Core i9 9900KS_encode_aviutl_x265_1920to1920

x265エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.265(HEVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ(Aviutl) / 全CPU比較データ(TMPGEnc)
Core i9 9900KS_encode_aviutl_x265_3840to1920

x265エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.265(HEVC)の3840×2160解像度へエンコードした時のエンコード速度について「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ(Aviutl) / 全CPU比較データ(TMPGEnc)
Core i9 9900KS_encode_aviutl_x265_3840to3840

加えてAdobe Premiere Pro(Media Encoder)による動画エンコードについても、「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUの動画エンコード性能を比較しました。

Adobe Premiere Proのエンコード設定はCPUリソースのx264エンコードで、1920×1080へエンコードする場合は25Mbps、3840×2160へエンコードする場合は60Mbpsの固定ビットレートです。Media Encoderでは1つのプロジェクトを複数の設定で同時にエンコードできますが、複数のプロジェクトを同時にエンコードすることができないので単一エンコードのみを比較しています。
Adobe Premiere Proによる動画エンコードについてはAMD Ryzen CPUは苦手である評価されていることが多いですが、2019年現在では最適化も進んでおり、コアスレッド数とコアクロックに比例した性能が発揮できるようになっています。
【Adobe Premiere Pro 全CPU比較データ:1920to1920 / 3840to1920 / 3840to3840
Core i9 9900KS_encode_aviutl_x265_3840to3840


Intel Core i9 9900KSのRAW現像性能

続いてDxO PhotoLabによるRAW現像を行って「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUの性能を比較していきます。「SONY DSC-RX100M5」で撮影した5472×3648解像度のRAW画像ファイル 100枚に対して、DxO PhotoLabの画質プリセット「DxO 標準」をベースにノイズ除去を「PRIME」に変更したプリセットを適用し、RAW現像を行いました。なおDxO PhotoLabによるRAW現像は並列処理数を設定できますが、CPUコア数の半分もしくはそれより一つ少ないくらいの並列処理で最速になるようです。
DxO PhotoLab
DxO PhotoLabによるRAW現像速度について「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Core i9 9900KS_DxO


Intel Core i9 9900KSのPCゲーム/スマホアプリのビルド性能

最後に「Unreal Engine 4」や「Unity」などフリーウェアながら高画質なPCゲームやスマホゲームを製作可能なゲームエンジンを使用したゲーム制作におけるCPU性能の検証として、「Unreal Engine 4」で「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUの性能を比較していきます。
検証にはEpic Games Storeで無料配布されているデモプロジェクト「Infiltrator」を使用したビルド時間の比較を行います。検証設定としてリアルタイム表示はオフ、ライティングの品質をプロダクションとしています。Unreal Engine 4のバージョンは4.22.3、Windows10のバージョンは1903で統一しています。
Unreal Engine 4_Infiltrator_test
「Unreal Engine 4 - Infiltrator」のビルド時間について「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 全CPU比較データ
Core i9 9900KS_ue_time
「Unreal Engine 4 - Infiltrator」のビルド時間だけを見ても性能差が直感的にわかりにくいので、Core i3 8350Kを基準にして(全CPU比較データではCore i5 9400Fが基準)、「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのビルド速度を性能比としてグラフ化しました。 全CPU比較データ
Core i9 9900KS_ue_perf



Intel Core i9 9900KSのゲーミング性能

Intel Core i9 9900KSのPCゲームに関する性能を実ゲームを用いたベンチマーク測定で検証しました。
なお章タイトルではゲーミング性能と表記してはいますが、Intel第7/8/9世代Core-SやAMD第2/3世代Ryzenなどここ数年で発売された4コア4スレッド以上のCPUであればフルHD~4K解像度の60FPSターゲットにおいてCPUボトルネックが発生するケースは多くありません。そのためCPUゲーム性能比較の具体的な内容は”高フレームレートにおけるCPUボトルネック比較”と表現するのが実状に即しています。
ただし最新の超高画質で重いゲームの場合、ゲームプレイの裏で次のシーンのロード作業が動くとロードが遅くなったりスタッター(カクツキ)が発生することがあるので、ゲーミングPCに搭載するCPUとして6コア6スレッド以上を個人的に推奨しています。

ゲームタイトルにもよりますがPCゲームにおけるCPU負荷は基本的にTDP内に収まることが多く、CPUコアクロックは全コア最大動作倍率に張り付きます。フレームレートに対するCPUボトルネックの緩和においては、この全コア最大動作倍率の高さが重要になり、クリエイティブタスクと違って電力制限は支配的ではなくなります。(PCゲームではIntel製CPUのPL1、AMD製CPUのPPTは影響をほとんど及ぼさなくなる)
PC-Gaming_CPU-Power
Core i9 9900KやRyzen 7 3700XのようにTDPに対して全コア動作倍率の高いCPUでは、PCゲームにおいてもCPU使用率が高くなるハイフレームレートでCPU消費電力がTDPを超過するタイミングもありますが、TDP内に制限した場合と比較して大きな差は出ません。
そのためクリエイティブタスクなどここまでの検証において複数の電力制限で測定していたCPUも、PCゲームでは簡単のため電力制限が緩い方だけを使用して性能を測定します。
CPU_game_TDP


各CPUのゲーミング性能を測定するため統一検証機材として、2019年最新にして最速のGPUである「NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti」を搭載したグラフィックボード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme Core」を使用しています。
CPU Bench_Gaming_GPU
ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme Coreは、RTX 2080 TiのAIBパートナーの中でも屈指のOCチューニング力を誇るZOTACによって良質なGPUコアが選別され、リファレンスよりも200MHz以上も高いブーストクロック、さらにGDDR6メモリのメモリクロックまで引き上げるという、RTX 2080 Tiグラフィックボードで最速を狙えるファクトリーOCが施されています。加えて、ZOTACを高品質メーカーとして一躍ブランド力を押し上げたAMP Extremeシリーズの代名詞とも言える3スロットを占有する超弩級な大型GPUクーラーが採用され、静音性も非常に優れたモデルです。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme」をレビュー
ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme


CPU別ゲーミング性能の比較には2019年最新PCゲームから、Assassin's Creed OdysseyTom Clancy's Ghost Recon WildlandsShadow of the Tomb RaiderMiddle-Earth: Shadow of Warの4種類を使用しています。60FPSの標準フレームレートをターゲットとした4K(3840×2160)解像度/高画質設定と、100FPS以上のハイフレームレートをターゲットとしたフルHD(1920×1080)解像度/中画質設定の2種類について、各ゲームで平均フレームレートと最小フレームレートを測定しました。
Game_Performance
なおCPUボトルネック比較の性質上、平均FPSと最小FPSをある程度の精度で測定する必要があるため、検証ではほぼ同一シーンで測定が可能なゲーム内ベンチマークを使用しています。


Intel Core i9 9900KSのゲーム性能 - 4K解像度/60FPSターゲット

まずは60FPSの標準フレームレートをターゲットとした4K(3840×2160)解像度/高画質設定のゲーミング性能について「Intel Core i9 9900KS」や比較対象CPUのベンチマーク結果をチェックしていきます。
なお上述の通り60FPSターゲットでは基本的にCPUボトルネックは発生しないので、グラフの掲載順は性能(平均フレームレート)による昇順ではなく、当サイト既定のCPU分類順としています。

Assassin's Creed Odyssey(4K解像度、超高-画質プリセット)に関する「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Core i9 9900KS_game_3840_acod

Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands(4K解像度、非常に高い-画質プリセット)に関する「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Core i9 9900KS_game_3840_gr

Shadow of the Tomb Raider(4K解像度、DirectX12、最高-画質プリセット)に関する「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Core i9 9900KS_game_3840_sottr

Middle-Earth: Shadow of War(4K解像度、ウルトラ-画質プリセット)に関する「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Core i9 9900KS_game_3840_sow


Intel Core i9 9900KSのゲーム性能 - フルHD解像度/ハイフレームレート

続いて100FPS以上のハイフレームレートをターゲットとしたフルHD(1920×1080)解像度/中画質設定のゲーミング性能について「Intel Core i9 9900KS」や比較対象CPUのベンチマーク結果をチェックしていきます。

Assassin's Creed Odyssey(フルHD解像度、中-画質プリセット)に関する「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Core i9 9900KS_game_1920_acod

Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands(フルHD解像度、中-画質プリセット)に関する「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Core i9 9900KS_game_1920_gr

Shadow of the Tomb Raider(フルHD解像度、DirectX12、中-画質プリセット)に関する「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Core i9 9900KS_game_1920_sottr

Middle-Earth: Shadow of War(フルHD解像度、中-画質プリセット)に関する「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。 全CPU比較データ
Core i9 9900KS_game_1920_sow


Intel Core i9 9900KSのゲーム性能 - バトルロイヤル系PCゲーム

最後に近年流行りのオンライン対戦PCゲームの中でも競技ゲーマーにも愛用される240Hzの超ハイリフレッシュレートなゲーミングモニタのユーザーが多いであろうバトルロイヤル系PCゲームにおけるCPU別ゲーム性能をチェックしていきます。
検証にはバトルロイヤルというジャンルにおける4大タイトルと言っても過言ではない、Apex LegendsCall of Duty: Black Ops 4FortnitePlayerUnknown’s Battlegroundsを使用します。
Game_Performance_br



Apex Legends(フルHD解像度、RTX 2080 Tiの既定プリセット)に関する「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
一応、平均FPSの昇順で並べましたが、Apex Legendsは240FPSターゲットでもCPUボトルネックの影響が小さいタイトルとなっており、第1/2世代Ryzenが若干劣る程度で、第3世代Ryzenや第9世代Coreなど最新CPUは6コア6スレッド以上なら横並びです。
CPU_game_3_br240hz_al

Call of Duty: Black Ops 4(フルHD解像度、RTX 2080 Tiの既定プリセット)に関する「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
CPU_game_3_br240hz_codbo4

Fortnite(フルHD解像度、高-画質プリセット)に関する「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。10月のチャプター更新で整合性のある検証ができなくなったので、Core i9 9900KSについては測定データなしとしていますが、コアクロックから考えて9900Kの上にくるはずです。
CPU_game_3_br240hz_fn

PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(フルHD解像度、中-画質プリセット)に関する「Intel Core i9 9900KS」を含めた各種CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
PUBGのベンチマーク測定に使用しているトレーニングモードは他プレイヤーの影響を受けやすく測定精度は他の検証に比べるとやや劣るのですが、今回検証した中ではCore i9 9900KSとCore i9 9900Kが頭1つ飛びぬけ、第3世代Ryzen各種やCore i7は測定誤差の範囲内でほぼ同性能といった具合でした。それ以下ではCore i5(6C6T)、Core i3(4C4T)、第2世代Ryzenと順に性能がスケーリングしていきます。
CPU_game_3_br240hz_pubg



CPUエンコーダとリアルタイム配信について

ゲーム実況やライブ配信と呼ばれるPCゲームのリアルタイム配信について、現在ではNVIDIA GeForce GTX 1660やAMD Radeon RX 580などミドルクラスGPUをエンコーダとすることでフルHD解像度で必要十分な画質とフレームレートが得られます。
GPUエンコーダは動作自体も軽いので、これらGPUエンコーダの登場によってリアルタイム配信やプレイ動画の録画におけるCPUエンコーダの役目は終わったというのが一時期の私見でしたが、メインストリーム向けCPUのコアスレッド数の増加に伴い、x264 Mediumのような高画質プリセットのプレイ&録画が一般ユーザー的にも現実的になってきています。

Youtube LiveやTwitchなどリアルタイム配信(ライブストリーミング)サービスで、PS4/Xbox/Switch等のコンシューマーゲーム機やPCゲームのプレイ動画・ゲーム実況を快適に配信するのに必要なCPU性能については、現在、連載を続けている【快適配信】シリーズで詳細に解説しています
一口にゲーム実況と言っても、『1.ビデオキャプチャを使用してPCは録画配信作業のみを行う』、『2.PC1台で同時にゲームプレイと録画配信を行う』の2つのケースに大別され、どちらで使用するのかで要求されるCPU性能やCPUメーカー毎の得手不得手など事情が変わってくるので注意してください。

【快適配信】シリーズの記事一覧へ
【快適配信】シリーズの記事一覧へ


Intel Core i9 9900KSのリアルタイム配信性能について

Intel Core i9 9900KSのリアルタイム配信性能について簡単に検証結果だけ紹介しておくと、Intel Core i9 9900KSは『PC1台でPCゲームをプレイしながらOBSでx264 MediumエンコーダによってフルHD解像度の高画質動画を配信する』というケースに対応できました。


PC1台でのx264 Mediumによるリアルタイム配信は、6コア12スレッドや8コア8スレッドのCPUではマルチスレッド性能が足りず、8コア16スレッドCPUが要求されます。下は録画動画のフレーム落ちをグラフ化したものです。検証内容は第2世代Ryzenについて調べた【快適配信】シリーズ第4弾と同じなので詳細は割愛します。
Ryzen 7 2700X_OBS_x264_Medium_Div2Ryzen 7 2700X_OBS_x264_Medium_FCND
Ryzen 7 2700X_OBS_x264_Medium_SoTTRRyzen 7 2700X_OBS_x264_Medium_SoW


画質と快適性を求めるなら録画・配信専用マシンもオススメ

ビデオキャプチャ業界の進歩も目覚ましく、2018年に発売された「AVerMedia Live Gamer Ultra」は4K/60FPS/HDRやフルHD/240FPSの映像ソースを無遅延なパススルー表示しつつ、フルHD/60FPSのプレイ動画として録画・配信できるUSB接続外付け機器型ビデオキャプチャとなっており、プレイ動画の録画・配信に関する多様なニーズを網羅し得る名機です。
4K/HDRや240FPSのパススルー対応「AVerMedia Live Gamer Ultra」をレビュー
AVerMedia Live Gamer ULTRA

前述の通りフルHD/60FPSの録画・配信であればGTX 1060程度の性能のGPUをエンコーダとすることで必要十分な画質が得られて動作も軽いので、録画配信のために高性能な反面、非常に高額なCPUに投資するよりも、多少コストがかかっても「AVerMedia Live Gamer Ultra」などのビデオキャプチャと組み合わせて録画・配信用サブ機を構築するほうが、録画・配信の手法としてはわかりやすくてハードルが低いと思います。
AMD Ryzen 7 3700X review_00899

AVerMedia製ビデオキャプチャの最新おすすめ機種を機能比較
AVerMedia最新ビデオキャプチャのおすすめ

「AVerMedia Live Gamer Ultra」などUSB接続外付け機器型ビデオキャプチャと組み合わせて録画・配信用サブ機を構築するのであれば、ASRock Deskmini GTX 1060ベアボーン採用BTO PCの「G-GEAR alpha」や「GALLERIA Mini 1060」がおすすめです。
PCサイズはコンパクトなのでサブ機としてもあまり余分にスペースを占有せず、GPUにはGTX 1060を搭載しておりフルHD/60FPSのGPUエンコードにも余裕で対応できて、CPUには最大で「G-GEAR alpha」ならCore i7 8700、「GALLERIA Mini 1060」ならCore i7 7700を選択可能、2基の2.5インチSATA SSDと3基のM.2 SSDを搭載可能なのでストレージ拡張性も十分です。ASRock Deskmini GTXシリーズについてはレビューも公開しているので参考にしてみてください。
GTX 1060搭載で容積2.7LのスーパーコンパクトPC「GALLERIA Mini 1060」をレビュー
GALLERIA Mini 1060

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Intel Core i9 9900KSのレビューまとめ

「Intel Core i9 9900KS(型番:BX80684I99900KS)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ or 概要
  • Intelのメインストリーム向け8コア16スレッドCPU
  • TDP127W制限下で全コア同時4.5~4.6GHz動作が可能
  • TDP127W制限なら空冷CPUクーラーでも問題なく運用可能
  • 240FPSなどハイフレームレートPCゲーミングでは現状で最高の選択肢
悪いところ or 注意点
  • メインストリーム向けながら6.5万円というエンスー向けCPU並みの高い価格
  • MB標準設定では消費電力が非常に高くなるので240サイズ以上の簡易水冷クーラーを推奨
  • 新ステッピングに対応したBIOSにアップデートが必要

温度・消費電力について

補足の章で解説した通りIntel Core i9 7900Xの登場以降、Intel CPUは検証機材に使用するマザーボードに依るとはいえ基本的にIntelの仕様を満たす電力制限が無効化されているため、昨年発売された標準モデルのCore i9 9900KやCore i7 9700Kと同じく、Core i9 9900KSもまたCPU温度と消費電力が非常に高いと多くのレビューでは評価されています。

しかしながら電力制限をIntelの仕様に合わせて設定すれば当然、Core i9 9900KSは問題なくTDP127WのCPUとして運用することができ、TDP127Wの電力制限を課していれば120サイズの一般的な空冷CPUクーラーでも適切な温度で運用できます。
 TDP127Wに制限した場合の性能についても各章で紹介した検証結果の通り、最大動作倍率となる全コア5.0GHzで電力制限を無視した時よりは当然下がりますが、それでも8コア16スレッドCPUらしい性能を発揮しており、決して”爆熱”等の誹りを受けるCPUではないと思います。

ただしマザーボードが電力制限を無視している設定を標準設定に採用しているケースが多いことも事実です。電力制限自体は簡単な設定ではあるものの、一般ユーザーがそのまま使用するとほぼ確実に全コア5.0GHzの動作になることが予想されるため、検証結果の通り一般的な空冷CPUクーラーでは運用が難しくなっており、「Intel Core i9 9900KS」で自作PCを組むのであれば240サイズ以上の簡易水冷CPUクーラーを使用するのが無難です。


クリエイティブ性能について

「Intel Core i9 9900KS」のクリエイティブ性能については、8コア16スレッドで全コア3.9GHz動作のCPUという額面通りのパフォーマンスです。
2019年最新のIntel製CPUの中で最も売れ筋の製品と言っても過言ではない6コア6スレッドのミドルクラスCPU Core i5 9400Fと比較して、3Dレンダリングや動画のエンコードなどコンテンツクリエイトに関する性能では、2倍もの高パフォーマンスを発揮します。

しかしながら、同じく8コア16スレッドで競合製品のRyzen 7 3700XやRyzen 7 3800Xと比較するとコアスレッド数の通り、クリエイティブタスクにおける性能はほぼ同等となっており、価格差がそのままコストパフォーマンスに直結します。Intel製CPUでは下位モデルのCore i7 9700Kが現状ではRyzen 7 3700Xとほぼ同じ価格となっており、Core i9 9900KSと同価格帯には12コア24スレッドのRyzen 9 3900Xがあるので、クリエイティブ性能についてはコストパフォーマンスの観点からRyzenに軍配が上がるというのが正直な感想です。


ゲーム性能について

Intelが第9世代CoffeeLake Refresh-S CPUの発表スライドの最初に掲げた”世界最高のゲーミングCPU(World's Best Gaming processor)”を引き継ぎ、”さらに良くなった!(Made Even Better)”の売り文句まで引っ提げて登場した「Intel Core i9 9900KS」は、PCゲームにおけるCPUボトルネックを最も緩和できるCPUであり、現行最速240Hzの超ハイリフレッシュレートなゲーミングモニタの性能を最大限発揮できるので、バトルロイヤル系などオンライン対戦PCゲームをプレイするためのPCに搭載CPUとしては間違いなく最高の選択肢です。

競合製品のAMD Ryzen CPUも第3世代Ryzenでは、第2世代以前に感じた超えられない壁はなく、ハイフレームレートなPCゲーミングでもIntelのCore i7やCore i5と伯仲する性能を発揮するようになっていますが、その中でもやはりCore i9 9900KSは頭一つ飛びぬけた性能があります。

ゲーム性能検証の冒頭でも述べたようにフルHD~4K解像度の60FPSターゲットであれば4コア4スレッド以上の最新CPUであればどれを使用しても大差はありません。ただし最新の超高画質で重いゲームの場合、ゲームプレイの裏で次のシーンのロード作業が動くとロードが遅くなったりスタッター(カクツキ)が発生することがあるので、ゲーミングPCに搭載するCPUとしては6コア6スレッド以上を個人的に推奨しています。
また60FPSターゲットであってもAssassin's Creed OdysseyのようにCPUによって差が出るケースもあるので、PCゲームメーカーの最適化の優先順位まで考慮するとIntelのメインストリーム向け最新CPUのPCゲーミングにおける安定性にはやはり信頼がおけます。

またプレイ動画の配信についてはNVIDIA GeForceグラフィックボードで使用可能なハードウェアエンコーダNVEncが軽くて画質も必要十分なので主流になりつつあります。その分野ではCPUの存在感は薄まりつつありますが、プレイ動画の作成や編集においては依然として動画のエンコード性能しかりCPUの性能が重要になるので、プレイ動画の作成という面をゲーム性能と捉えるなら、その意味でもCore i9 9900KSは優れたゲーミングCPUです。


総評 - 選別版Core i9 9900Kは誰のためのCPUか?

”ハイフレームレートなPCゲーミング用に一番高速なCPUが欲しいPCゲーマー”と”Intelのメインストリーム向け8コア16スレッドCPUを限界OCでシバキ倒したいOCer”がIntel Core i9 9900KSの主とした購買層であると断言して間違いないと思います。
ただOCer諸兄はCore i9 9900Kの発売時点でPayPay還元等の波に乗って選別しまくっただろうし、手動OCで引き上げられる常用限界が+200MHz程度と考えるとあまりロマンはないかも?

設定なしで全コア5GHzが動くという手軽さを考えると、自作PCに詳しくないけど絶対に勝ちたいガチゲーマーにとって、さらに良くなった最良の選択肢、というのがCore i9 9900KSの正体だと思います。


以上、「Intel Core i9 9900KS」のレビューでした。
Intel Core i9 9900KS


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「Intel Core i9 9900KS」を標準搭載したBTO PCについては、CPUクーラーに360サイズ簡易水冷CPUクーラー「Fractal Design Celsius S36」を採用し、グラフィックボードとしては独自に簡易水冷化が施されたオリジナルのRTX 2070 SUPER~RTX 2080 Tiが選択可能なサイコム社の「G-Master Hydro Z390 Extreme KS」がオススメです。




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