QNAP TVS-472XT


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10Gb有線LANやThunderbolt3による超高速ネットワーク接続に対応し、4基の3.5インチストレージと2基のNVMe M.2 SSDを内蔵可能なハイエンドNAS「QNAP TVS-472XT(型番:TVS-472XT-PT-4G)」をレビューします。デスクトップ向け高性能CPUのIntel Pentium G5400Tによってフルポテンシャルを発揮する10Gb LAN搭載NASの性能を徹底検証していきます。
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製品公式ページ:https://www.qnap.com/ja-jp/product/tvs-472xt
マニュアル:https://download.qnap.com/Storage/TechnicalDocument/TVS-x72XT/TVS-x72XT-UG-01-ja-JP.pdf

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QNAP TVS-472XT レビュー目次


1.QNAP TVS-472XTの外観・付属品
  ・補足:QNAP TVS-472XTのThunderbolt3接続について
付録.QNAP QDA-A2ARについて
2.QNAP TVS-472XTの内部構造
3.QNAP TVS-472XTの検証機材と基本仕様

  ・10Gb LAN増設PCIE拡張ボードについて

4.QNAP TVS-472XTの初期設定
5.QNAP TVS-472XTでネットワークストレージを作る方法

  ・ボリュームやRAIDを作る
  ・ボリュームに共有フォルダを作る
  ・共有フォルダにドライブパスを通す
6.HDIMIビデオ出力とHybridDesk Stationについて

7.QNAP TVS-472XTの性能
8.QNAP TVS-472XTのレビューまとめ



【機材協力:ITGマーケティング株式会社(Samsung SSD 国内正規代理店)】



QNAP製NASの基本中の基本

QNAP製NASの多くは”QTS”と呼ばれるNAS専用のOSをNASにインストールして使用します。
QTSはNASのストレージではなく、NASに標準で内蔵されているフラッシュメモリにインストールされます。
「QNAP TVS-472XT」の場合は5GBのフラッシュメモリが標準で内蔵されており、そこへQTSがインストールされます。QTSのフラッシュメモリにはデュアルブートOS保護が施されており、滅多なことではQTSのOSが破損する心配はありません。

QNAP製NASの基本システムであるQTSについては、NASに接続したPCのウェブブラウザ上で操作します。メインPCのウェブブラウザ画面上に別のWindows PC(QTS)が動いているような感覚で各種設定が行えます。
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QNAP TVS-472XTの外観・付属品

まず最初に「QNAP TVS-472XT」の外観や付属品について簡単にチェックしておきます。
「QNAP TVS-472XT」は茶色の段ボール箱に梱包されており、蓋を開くと、NAS製品本体はビニール袋に包装された状態でさらにスポンジスペーサーで保護され、各種付属品は茶箱に小分けされていました。
「QNAP TVS-472XT」の付属品は、1Gb LAN対応LANケーブル2本、10Gb対応LANケーブル1本、ACケーブル、M.2 SSDヒートシンク2個、各種ネジセット、マニュアルとなっています。
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続いて「QNAP TVS-472XT」の本体をチェックしていきます。
「QNAP TVS-472XT」は”NAS”と言われて思い浮かべる奥行長めなコンパクトキューブPCのような形状で、サイズは幅188.2mm×高さ199.3mm×奥行279.6mmです。
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「QNAP TVS-472XT」は見ての通り、4基の3.5(2.5)インチストレージが搭載可能なNASです。内部に関する章で説明しますが、NASの内部には2基のNVMe M.2スロットがあり、そちらもNASのボリュームや高速キャッシュとして使用できるので、分類上、「QNAP TVS-472XT」は6ドライブのNASとなります。
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「QNAP TVS-472XT」の3.5インチドライブベイは4基ですが、「QNAP QDA-A2AR」という純正アクセサリパーツを使用すると1つの3.5インチドライブベイに2基の2.5インチSATA SSDを搭載できます。アダプタ1つあたり1万円ほどと高価ですが、SSDオンリーで大容量NASを構築するならぜひ買い揃えたいところです。
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「QNAP TVS-472XT」の前面上部には電源のON/OFFなどの簡単な操作や、ボリューム情報やIPアドレスなどを確認できるLCDパネル&Enter/Selectの2ボタンが設置されています。さらに右下には電源スイッチとUSB3.0端子(枠の部分はUSBワンタッチコピーボタン)が設置されています。
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「QNAP TVS-472XT」のフロントには、ボリューム情報やIPアドレス等が確認可能なLCDパネルが搭載されており、ディスプレイ右にある2ボタン(Enter/Select)で操作できます。またディスプレイ左には、ステータスやLAN/ドライブのアクセスを示すLEDインジケーターがあります。
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フロント右下に実装されたUSB端子ではボタンワンタッチでコピーやバックアップが可能なUSBワンタッチコピー機能が使用できます。ただし、USBワンタッチコピーボタンを利用するにはQTS上で「Hybrid Backup Sync」というアプリのインストールが必要になります。ググればQNAP公式に出てきますが地味に案内不足な部分でマニュアルにも明記しておいて欲しいところ。
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「QNAP TVS-472XT」の背面には各種I/Oポート、120mm角の排気ファン、電源ユニット&AC端子、PCIE拡張スロット(QNAP製品独自のブラケット)×2などがあります。
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「QNAP TVS-472XT」のI/Oポートには、後ろから見て左側面を下に向けた状態で、右から順に、マイク用オーディオ入力3.5mmジャック、ヘッドホン用オーディオ出力3.5mmジャック、1Gb LAN端子×2、USB3.1 gen2 Type-A端子(赤色)、USB3.0 Type-A端子(青色)、USB3.1 gen2 Type-C端子×2、10Gb LAN端子、HDMI2.0ビデオ出力、そしてPCIE拡張スロットに2基のThunderbolt3端子があります。
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「QNAP TVS-472XT」に搭載された10Gb LAN端子のコントローラーはAQUATIA製、Thunderbolt3のコントローラーは最新のTitan RidgeではなくAlpine Ridgeです。
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補足:QNAP TVS-472XTのThunderbolt3接続について

「QNAP TVS-472XT」には標準でThunderbolt3拡張ボードが搭載されており、2基のThunderbolt3端子を使用でき、Thunderbolt3端子を介してPCと接続できます。
Thunderbolt3の接続帯域は40Gbpsと非常に高速であり、この超広帯域を利用した高速なデータ転送や、NASを介したインターネット接続が可能な利便性(T2E機能)が製品公式ホームページでもアピールされていますが、少なくとも前者については2019年12月に検証した時点で実用に足るものではありませんでした。

まず大前提としてThunderbolt3を介して「QNAP TVS-472XT」をPCと接続すると、仮想的には20Gb LANとしてネットワークが構築されます。
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この構造については下調べ時点で分かっていたので、理想的には連続2GB/s越えのアクセススピードで利用できるものと期待していたのですが、実際に試してみるとまずエクスプローラー上におけるコピー書き込みで全く速度が出ないという症状に当たりました。
この症状がWindows10のバージョンに依存しているようで1903では発症して1809では発症しないのですが、かといって1809なら理想的な2GB/s越えの性能が出るかというとそんなこともなく、10Gb LAN接続よりも遅いという次第でした。


上の症状について、また『Thunderbolt3接続で20Gb LAN相当のパフォーマンスを安定して出すことができるのか(2000MB/s超の連続アクセススピードを安定して出せるのか)』という趣旨で、代理店を介してQNAPに問い合わせましたが、QNAPからは結局、類似の報告および参考になる情報はないという回答でした。
管理人としても非常に残念な結果なのですが、「QNAP TVS-472XT」のThunderbolt3接続については実用に足るものではないとの評価で、今回はこれ以上の検証を断念しました。「QNAP TVS-472XT」のPCIEx16スロットに搭載されたThunderbolt3拡張ボードは取り外しが可能なので、取り外してしまってQNAP QM2-4P-384Aのような同社製拡張ボードでM.2 SSDを増設するのがオススメです。

【2020年3月31日追記】
「QNAP TVS-472XT」などのTB3についてQNAP JAPANによるとマイクロソフトと協力して問題を解決中だそうな。北米と日本法人の違いかもしれませんが、昨年12月時点で類似の報告なしとの回答だったので、割と不信感をもっているのですが。
一応、1809でも検証したのですが、PCから20Gb LANと認識されるものの(TB3接続は20Gb LANをエミュレートする模様)、実際にファイルコピーしてみると純粋な10Gb LANよりも遅かったので、1903以降での問題が解消されたとして、性能的に存在意義があるのかどうか。




QNAP QDA-A2ARについて

3.5インチベイに2基の2.5インチSSDを搭載可能にするアクセサリパーツ「QNAP QDA-A2AR」について紹介します。「QNAP QDA-A2AR」についてはQNAP製品の国内正規代理店テックウィンド様よりお借りしました。
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QNAPからは同社製NAS向けに「QNAP QDA-A2AR」という純正アクセサリパーツが発売されており、このアダプタを使用すると1つの3.5インチドライブベイに2基の2.5インチSATA SSDを搭載できます。アダプタ1つで1万円ほどと高価ですが、SSDオンリーで大容量NASを構築するならぜひ買い揃えたい製品です。
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「QNAP TVS-472XT」は見ての通り、4基の3.5(2.5)インチストレージが搭載可能なNASですが、QNAP QDA-A2ARを使用することによって最大8基の2.5インチSSDを内蔵することができます。2020年現在、SATA SSDの最大容量が4TBなので、4ドライブベイの「QNAP TVS-472XT」でも32TB容量(+NVMe SSD)のSSDオンリーNASを構築できます。
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「QNAP QDA-A2AR」は3.5インチストレージサイズの黒色のスチール製フレームにSATA端子などの基板が装着されています。
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「QNAP QDA-A2AR」にはマニュアル、2.5インチストレージ固定用ネジ×8、動作設定スイッチ切替用ピンが付属します。
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「QNAP QDA-A2AR」の基板部分に注目すると内側には2.5インチストレージ互換のレイアウトで2基のSATA電源&SATA通信端子が上下に並んでいます。
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「QNAP QDA-A2AR」は2基の2.5インチストレージを制御するためのJmicron製JMS562が搭載されており、内側SATA端子の右上には動作設定を変更する2組のスライドスイッチがあります。
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「QNAP QDA-A2AR」の外側には3.5インチストレージ互換でSATA電源&SATA通信端子が1組あり、ここから共通して電力供給と通信を行います。
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「QNAP QDA-A2AR」はシンプルに上下2段で2基の2.5インチSSDを搭載できます。
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「QNAP QDA-A2AR」の内側SATA端子の右上には動作設定を変更する2組のスライドスイッチがあります。スライドスイッチは非常に小さいので、スライドさせるためにピンが付属します。
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「QNAP QDA-A2AR」は1基のSATA端子から2基の2.5インチストレージを接続可能なアダプタですが、その特殊な動作を可能にするためJmicron製JMS562というSATA通信マルチプライヤが搭載されています。
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「QNAP QDA-A2AR」には、Individual、RAID1、RAID0、JBODの4種類の動作モードがあります。
Individualモードはその名の通り2つのストレージを個別のストレージとして認識するモードですが、SATAポートマルチプライヤに対応している必要があるので、基本的にQNAP製NAS専用のモードです。
RAID1、RAID0、JBODの3種類は内部的な動作は異なりますが、接続ホストからは1台のストレージとして認識されるモードです。RAID1は2つのストレージに同じデータを記録しデータの保守性を高めます。RAID0は2つのストレージに半分ずつ平行にデータを記録します。JBODは2つのストレージの容量が合算されますが、内部的には順番に容量が埋まっていきます。
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QNAP TVS-472XTの内部構造

続いて「QNAP TVS-472XT」の内部構造についてチェックしていきます。
「QNAP TVS-472XT」の内部にアクセスする手順は、背面のネジ3つを外して、上と左右でコの字になっている外装パネルを後ろにズラすだけです。内部アクセスは非常に容易な構造です。
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「QNAP TVS-472XT」にはNVMe M.2 SSDに対応したM.2スロットが2基、NAS内部に実装されています。なお2つのM.2スロットの接続帯域はいずれもPCIE3.0x4ではなくPCIE3.0x2です。
正面から見て左側面の後方。120mm角ファンの手前にあるのですが、写真を見ての通り120mm角ファンの奥の方にM.2スロットがあるのでSSDの装着が割と難易度高めな構造です。
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「QNAP TVS-472XT」にはPCIE3.0x16とPCIE3.0x4の2つのPCIE拡張スロットがあります。PCIE3.0x16は標準搭載のThunderbolt3増設拡張ボードで埋まっていますが、この拡張ボードはPCIE3.0x4帯域なので下写真の奥にあるx4サイズスロットに移せば、手前のx16サイズスロットを使用できます。
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「QNAP TVS-472XT」の正面から見て右側面には自作PCで言うところのマザーボードに当たるメイン基板があります。CPUは前方寄りに設置された2基の60mmブロアーファンと基板の半分程度を覆うアルミニウム製ヒートシンクによって冷却されています。
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この2基のブロアーファンはCPUファンという扱いでQTS上からモニタリング&操作が可能です。加えてNASケースの後方に設置されたケースファンもシステムファンという名前で表示され、同様にQTS上からモニタリング&操作が可能です。
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「QNAP TVS-472XT」はデスクトップ向け高性能CPUのIntel Pentium G5400Tを搭載していますが、NASのCPU性能ボトルネックが気になったので、同じくTDP35Wの省電力で6コア12スレッドなCore i7 8700Tに換装し、性能に変化があったのかについて、こちらの記事で解説しています。
QNAP TVS-472XTのCPUをCore i7 8700Tに換装する
QNAP TVS-472XTのCPUをCore i7 8700Tに換装する


QNAP TVS-472XTのシステムメモリ

「QNAP TVS-472XT」にはシステムメモリ用に2基のSODIMM DDR4メモリスロットが実装されています。
国内で流通する「QNAP TVS-472XT」(正式な型番はTVS-472XT-PT-4G)は4GBのシステムメモリを搭載したモデルとなっており、標準で2GBのSODIMM DDR4メモリが2枚搭載されています。メモリスロットには正面の3.5インチドライブベイを取り外すと直接アクセスできるので換装は容易な構造です。
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管理人が入手した「QNAP TVS-472XT」にはApacer製SODIMM DDR4メモリが2枚搭載されていました。DDR4メモリのスペックはDDR4-2400(メモリ周波数2400MHz)、メモリタイミングCL17でした。
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「QNAP TVS-472XT」や、同NASが搭載するCPU「Intel Pentium G5400T」の仕様として、サポートされる最大メモリ容量は最大32GBなので、定格2400MHzに対応したSODIMM DDR4メモリを用意すれば、8GB×2=16GBや16GB×2=32GBへのアップグレードも可能です。
今回、QNAP TVS-472XTのメモリの増設にはDDR4-2400(メモリ周波数2400MHz, CL14)でメモリ容量8GB×2=16GBの「HyperX Impact SODIMM HX424S14IB2K2/16」を使用しましたが、問題なく動作しました。
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QNAP TVS-472XTの検証機材

「QNAP TVS-472XT」の各種検証を行う環境としては、Intel Core i9 9900K&ASUS WS Z390 PROなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。
テストベンチ機の構成
CPU Intel Core i9 9900K(レビュー
Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V
殻割り&クマメタル化(レビュー
CPUクーラー Fractal Design Celsius S36(レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Black
F4-4400C19D-16GTZKK
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー
4000MHz, CL17-17-17-37-CR2
マザーボード
ASUS WS Z390 PRO
レビュー
ビデオカード 【基礎性能検証用】
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
レビュー

【PCゲームロード時間検証用】
ZOTAC RTX 2080Ti AMP Extreme Core
レビュー
システムストレージ
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB
MZ-N6E1T0B/IT (レビュー
OS Windows10 Home 64bit
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー

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GIGABYTE GC-AQC107 - 10Gb LAN増設PCIE拡張ボード

「QNAP TVS-472XT」は10Gb LANを標準搭載するNASなので、最大アクセススピードを出すためには接続するPC側にも10Gb LANが必要になります。そこで今回検証機材としてAQUANTIA製10Gb LANを増設できるPCIE拡張ボード「GIGABYTE GC-AQC107」を使用しました。
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「GIGABYTE GC-AQC107」はその名前の通りAQUANTIA製10Gb LANコントローラーAQC-107によって10Gb LANを1基増設できるPCIE拡張ボードとなっており、PCIE2.0x4もしくはPCIE3.0x2帯域のx4サイズPCIEスロットで使用できます。
GIGABYTE GC-AQC107_PCIE_Link
なお今回検証に使用している「GIGABYTE GC-AQC107」だけでなく、国内で発売されている「ASUS XG-C100C」や「Aquantia Aqtion 10G-Pro」は、いずれもAQUANTIA製10Gb LANコントローラーAQN-107を使用していて基板構成もほぼ共通なので機能的には同じです。最新のドライバは公式サポートページからダウンロードできます。(Aquantiaは2019年末にMarvellに買収されたのでMarvellの公式ホームページからダウンロードします。)
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AQUANTIA製10Gb LANコントローラーAQN-107については2020年2月現在、最新ドライバver2.1.20を適用しないとNASへのランダムアクセスの速度が大幅に低くなる症状を確認しています。
AQC107-Driver_update_performance
各自で公式サポートページから最新ドライバをダウンロードして、デバイスマネージャーからドライバの更新を行ってください。
AQC107-Driver_update (1)
AQC107-Driver_update (2)



QNAP TVS-472XTの初期設定

「QNAP TVS-472XT」を導入する時に最初に必ず行う初期設定の手順について紹介します。
QNAP製NASの多くでは”QTS”と呼ばれるNAS専用のOSを最初にインストールします。QTSはNASのストレージではなく、NASに標準で内蔵されているフラッシュメモリにインストールされます。「QNAP TVS-472XT」の場合は4GBのフラッシュメモリが内蔵されており、そこへQTSがインストールされます。

QNAP製NASの基本システムであるQTSについては、NASに接続したPCのウェブブラウザ上で操作します。ウェブブラウザの画面上に別のWindows PCが動いているような感覚で各種設定が行えます。
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何はともあれ、各自の環境に合わせて「QNAP TVS-472XT」を接続します。最低限、ACケーブルを「QNAP TVS-472XT」に繋ぎ、ルーター経由もしくは直接にLANケーブルをPCの有線LANに接続します。
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QNAP TVS-472XTの初期設定を行うため、まずはWindows PCへ「QNAP Qfinder Pro」をインストールします。「QNAP Qfinder Pro」のインストール自体は、サポートページからダウンロードしたインストーラーを起動し、ポチポチとクリックしていくだけです。
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「QNAP Qfinder Pro」を起動すると、「QNAP TVS-472XT」がPCやネットワーク内に正常に接続されていれば、自動的に検出してくれて、「スマートインストールガイド」という初期設定プロセスへガイドしてくれます。
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「スマートインストールガイド」を起動すると、ウェブブラウザ(Microsoft Edgeなど)で初期設定画面が表示されます。
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「スマートインストールガイド」のUI言語は標準では英語ですが右上の言語メニューから日本語を選択できます。ガイドに従って、パスワード、ネットワーク、使用環境等の初期設定を行います。特に専門的な知識は必要ありません。
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QNAP TVS-472XTでネットワークストレージを作る方法

「QNAP TVS-472XT」でWindows PCから閲覧・編集が可能なネットワークストレージを作る手順を紹介します。ネットワークストレージを作るまでは、「ボリュームを作成する」、「作成したボリューム内に共有フォルダを作る」、「作成した共有フォルダにドライブパスを通す」の3つの手順となります。

1.ボリュームやRAIDを作る

まずは初期設定でも紹介したQNAP Qfinder Proから「QNAP TVS-472XT」の右クリックメニューを表示し、NASの管理メニューQTSを表示します。
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QTSが表示できたらメインメニューから「ストレージ&スナップショット」を選択します。
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「ストレージ&スナップショット」のウィンドウが表示されたら、左側メニューから「ストレージ」を選択し、中央下にある『ストレージのアイコンと+マーク』の部分を選択します。
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アイコンを選択すると「ボリューム作成ウィザードが」が表示されます。Windowsユーザーが馴染みやすい「静的ボリューム」以外に、「シックボリューム」や「シンボリューム」というスナップショットが使用できるボリュームも作成できます。
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今回は3種類のうちシンプルに静的ボリュームを選択しました。作成するボリュームの種類を選択すると、ボリュームを構成するストレージとRAIDの有無が選択できます。RAIDについてはJBOD、RAID0、RAID1、RAID5、RAID6、RAID10が選択できます。
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ボリュームの名前や、アイノード別バイト数を選択肢、最終確認をしてボリューム作成を完了します。
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ボリュームのフォーマットとデフォルトフォルダーの作成を待って、ボリュームの作成は完了です。
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2.ボリュームに共有フォルダを作る

上で作成したボリュームに共有フォルダを作成する方法について紹介していきます。
Windows PCでは一番上の階層にボリューム(ドライブ)が見えているので若干慣れませんが、とりあえずQNAP製NASではボリュームに作成された共有フォルダがエクスプローラー上では一番上の階層になります。

「QNAP TVS-472XT」でボリュームを作成すると、HomesやPublicと言った基本的な共有フォルダーが作成されますが、もちろん任意の共有フォルダを作成することもできます。共有フォルダの作成方法はいくつかありますが、代表的なものとしては以下の3つです
  • QTSのコントロールパネルの共有フォルダーの項目から作る
  • QTS標準アプリFile Station(QTS上のエクスプローラー的アプリ)から作る
  • QNAP Qfinder ProのStrage Plus & Connectから作る
コントロールパネルはNASにアクセスする際のアカウントの作成等もできる、File StationはNASのエクスプローラー的使い方ができる、Strage Plus & Connectはドライブパスを通せる、など各方法で長短はありますが、ボリュームに共有フォルダを作成できるという点は一致しています。

まずQTSのコントロールパネルの共有フォルダーの項目から作る方法ですが、QTSメインメニューのショートカットアイコンからコントロールパネルを選択し、権限設定の項目にある「共有フォルダー」を開きます。共有フォルダーの設定ページが表示されたら共有フォルダ一覧の左上にある「作成」を選択すると、新規の共有フォルダが作成できます。
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次にQTS標準アプリFile Station(QTS上のエクスプローラー的アプリ)から作る共有フォルダを作る方法ですが、QTSメインメニューのショートカットアイコンからFile Stationを開き、フォルダに+が描かれたアイコンを選択、共有フォルダを作成します。File Stationの共有フォルダ作成では作成と同時に、そのフォルダにアクセスできるアカウントなど権限に関する設定がかなり細かく行えます。
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最後にQNAP Qfinder ProのStrage Plus & Connectから共有フォルダを作る方法ですが、QNAP Qfinder Proに表示される「QNAP TVS-472XT」の右クリックメニューからStrage Plus & Connectを選択し、Strage Plus & Connectの管理画面上で共有フォルダを作成します。「QNAP TVS-472XT」上の共有フォルダにドライブパスを通す機能も統合されているので、権限関連の詳細設定を必要としないユーザーには一番使いやすい気がします。
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3.共有フォルダにドライブパスを通す

ネットワークストレージ作成の最後の仕上げとして、上で作成した共有フォルダへWindows PCのエクスプローラーから直接アクセスできるようにするためドライブパスを通します。
ドライブパスを通す作業はQNAP Qfinder Proから行います。直前の共有フォルダ作成で紹介したばかりなので、「Strage Plus & Connect」を使用した方法を紹介すると、パスを通したい共有フォルダに対して右クリックメニューを開き、「接続」を選択するだけです。
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共有フォルダにドライブパスを通すもう1つの方法は、QNAP Qfinder Proに表示される「QNAP TVS-472XT」の右クリックメニューから「ネットワーク ドライブの割り当て」を選択し、ガイドに従って順番に操作していきます。
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以上の3ステップでWindows PCのエクスプローラーからアクセス可能なネットワークストレージが構築できます。
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HDMIビデオ出力とHybridDesk Stationについて

「QNAP TVS-472XT」には4K/60FPSに対応したHDMI2.0ビデオ出力が搭載されており、NAS本体をTVやPCモニターへ直接に接続することでネットワークメディアプレイヤーや簡易のウェブブラウザとして使用したり、Youtubeなどの動画ストリーミング視聴が可能です。なおHybridDesk Stationの操作にはNASのUSB端子へ直接マウス&キーボードを接続する必要があるので注意してください。

この機能は「HybridDesk Station」と呼ばれており、初期設定時にインストールされるQNAPのNASとしてのOSである「QTS」とは別にインストールする必要があります。またQTSがNASに内蔵されたフラッシュメモリへインストールされるのに対して、HybridDesk Stationと付属アプリ類はNASのボリュームへ保存されます。
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「HybridDesk Station」をインストールして「QNAP TVS-472XT」のHDMIビデオ出力にモニタを接続すると、スマホアプリメニュー風のトップ画面が表示されます。
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「HybridDesk Station」は一応、日本語UIにも対応していますが、フォントが微妙です。簡単にググってみた限りではフォントをカスタマイズする方法は見つかりませんでした。
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QNAP TVS-472XTの性能

さて本題となる「QNAP TVS-472XT」の性能についてチェックしていきます。
NASを使用する場合、一般的な利用環境ではPCとNASの間にスイッチハブやルーターが挟まりますが、 今回の検証では、「QNAP TVS-472XT」と検証PCの間にスイッチハブやルーターは挟まず、LANケーブルで直接に接続しています。
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なお10Gb LANでPCとNASを接続する場合、そのままでは接続帯域のポテンシャルをフルに発揮できないので、「Jumbo Frame(Jumbo Packet)」という項目を手動で設定する必要があります。
PC側ではデバイスマネージャーから10Gb LANのコントローラーを選択しプロパティからJumbo Packetの値を9000程度に変更します。NAS側はQTS上の「ネットワークと仮想スイッチ(Network & Virtual Switch)」というアプリから10Gb LANの設定を開き、こちらも同じくJumbo Frameの値を9000程度に変更します。
jumbo frame

今回、「QNAP TVS-472XT」の検証に当たってNASへ内蔵するSSDには、2020年現在、最速クラスのNVMe M.2 SSD「Samsung SSD 970 PRO 1TB」、さらに比較対象として2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 850 PRO 2TB」を使用し、シンプルに単一の静的ボリュームをNAS上に作成しました。
QNAP TVS-472XT_test-volume

まずは「QNAP TVS-472XT」の基本的な読み出し性能と書き込み性能を確認するためNAS環境の検証でもよく使用される定番ベンチマークCrystalDiskMark7.0.0h(QD32, 1GiB)のスコアを比較してみました。
「QNAP TVS-472XT」においてNVMe M.2 SSDのSamsung SSD 970 PROで単一の静的ボリュームを作成し10Gb LANでPCと接続すると、製品公式ページでも言及されているように連続読み出しと連続書き込みにおいて10Gb LANの理想的な速度である1200MB/sを発揮しました。
「QNAP TVS-472XT」のマザーボード上に実装されたNVMe対応M.2スロットの内部帯域はPCIE3.0x2ですが、PCの内部ストレージとしてPCIE3.0x2で接続したSamsung SSD 970 PROのベンチマーク結果を比較すると、PCIE3.0x2帯域で接続されたNVMe M.2 SSDであれば10Gb LANに対してボトルネックになることはないと分かります。
QNAP TVS-472XT_10Gb LAN_NVMe
Samsung 970 PRO 1TB(PCIE3.0x2)

下のテーブルとグラフはQNAP公式が公開している同社製NASで実測した連続性能比較ですが、10Gb LANを搭載したNASの多くが連続性能においてLAN接続帯域で実現可能な上限値である1GB/s超に達していません。
例えば昨年レビューした「QNAP TBS-453DX」はモバイル向け4コアCPUの「Intel Celeron J4105」を搭載しており、NAS用CPUとして性能が低いというわけではないものの、10Gb LANの理想的な性能を発揮するには至りませんでした。
10Gb LANの性能をフルに発揮するにはNAS側に搭載されたCPUの性能がかなり重要になり、QNAP製NASでいうと「QNAP TVS-472XT」のような15~20万円クラスのかなり高級な製品でないと難しいので、マルチギガビットLANを搭載したNASの選択ではCPU性能にも注意する必要があります。
QNAP_10Gb_perf

「QNAP TVS-472XT」においてボリュームをSamsung SSD 970 PRO 1TBの静的ボリュームに固定して、ネットワーク接続を5Gb LAN、2.5Gb LAN、1Gb LANに変えると次のようになります。なおいずれもネットワークアダプタのプロパティからリンク速度を指定しています。
連続アクセススピードについては5Gb LANなら600MB/s、2.5Gb LANなら300MB/s、1Gb LANなら120MB/sとなり、LAN帯域に比例した値を示しています。また1Gb LANの連続アクセススピード120MB/sを十分に下回る4KBランダム性能においてもLAN帯域に比例してマルチギガビットLANが高い数値を示しています。マルチギガビットLANというと接続帯域が広がることで連続性能だけがスケーリングしていくと思われがちですが、比較結果のように4KBランダム性能もマルチギガビットの値が大きくなると性能が改善していきます。
QNAP TVS-472XT_5Gb LAN_NVMe
QNAP TVS-472XT_2.5Gb LAN_NVMe
QNAP TVS-472XT_1Gb LAN_NVMe
ちなみに2.5インチSATA SSD&10Gb LANの場合、SATA3.0の接続帯域が6Gbpsなので、5Gb LANで接続したNVMe M.2 SSD(LAN帯域がボトルネックになる)と連続性能はほぼ同性能になりますが、ランダム性能は10Gb LANで接続されたSATA SSDのほうが高速になります。10Gb LANは5Gb LANや2.5Gb LANよりランダム性能が高速なので、SATAストレージ環境においても10Gb LANを採用する意義は十分にあります。なお連続読み出しが1GB/sを超えているのはNASでシステムメモリのキャッシュが効いているからではないかとおもいます。
QNAP TVS-472XT_10Gb LAN_SATA


CrystalDiskMarkを使用した基本的なストレージ性能のチェックも完了したので、続いて「QNAP TVS-472XT」のようなNASの性能評価で最重要項目となるファイルコピーにおける読み出し・書き込みについて性能比較をしてみました。
検証に使用するデータとしては次のような50GBの動画ファイル、80GBで多数のファイルが入ったゲームのフォルダ(The Witcher 3とRise of the tomb Raiderなどのゲームフォルダ)、1KB~1MBの画像ファイル10,000枚が入った3GBの画像フォルダ、5MB~8MBの画像ファイル1,000枚が入った7GBの画像フォルダの4種類を使用しています。
Copy File_1
Copy File_2
データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。測定においては書き込み先/読み出し元の対象となるストレージが必要になるため、各ストレージのコピー相手にはM.2-PCIE変換アダプタ「Aquacomputer kryoM.2」に設置したSamsung SSD 970 PRO 1TBを使用しています。
Copy_movieCopy_game
コピーテストにおいて検証ストレージがコピー相手の「Samsung SSD 970 PRO 1TB」と同じくNVMe SSDの場合は、ASUS WS Z390 PROの1段目PCI-Eスロットにグラフィックボード、3段目PCI-Eスロットにコピー相手ストレージの「Samsung SSD 970 PRO 1TB」、5段目PCI-Eスロットに検証ストレージを設置しています。
Copy_NVMe-NVMe_2019
Z390プラットフォームでは通常、複数のNVMe SSDへ同時にアクセスが発生すると、CPU-チップセット間のDMI 3.0の帯域がボトルネックになってトータルのアクセススピードが4GB/s程度に制限されますが、ASUS WS Z390 PROではPLXスイッチチップを介するものの、コピーテストで使用する2つのNVMe SSDはそれぞれCPU直結PCI-Eレーンに接続されているので、この問題は発生しません。
Copy_NVMe-NVMe


「QNAP TVS-472XT」を含めた各種検証ストレージとSamsung 970 PRO 1TBとの間で検証用データのコピーに所要した時間の比較結果は以下のようになりました。上の検証と同様にQNAP TVS-472XT」に内蔵するSSDはSamsung SSD 970 PRO 1TB(下のグラフではNVMeと表記)と、Samsung SSD 850 PRO 2TB(下のグラフではSATAと表記)を使用しています。

まずは50GBの動画ファイルのコピーについてですが、動画ファイルは単一の大容量ファイルなので実際のコピーではベンチマークのシーケンシャルリード・ライト性能が重要になってきます。
動画ファイルのコピー読み出しに関しては、10Gb LANより広帯域なPCIE3.0x2帯域のNVMe M.2 SSDを使用しているので、シンプルにネットワーク回線のリンク速度に比例した結果になります。10Gb LANが一般的な1Gb LANの10分の1の時間でコピーを終えており、期待通りです。
SATA SSD&10Gb LANについては、SATA3.0の理想帯域が6Gbpsですが実際はそれよりも低いので、NVMe SSD&5Gb LANに若干遅れる形になるものの、連続アクセススピードはほぼ同等です。
意外な結果として、SATA SSDのSamsung SSD 850 PRO 2TBを「QNAP TVS-472XT」にシングルボリューム/10Gb LANとして接続した場合と、SATA SSDをPCに内部接続した場合とで比較すると、「QNAP TVS-472XT」のほうが僅かながら高速でした。QNAP TVS-472XT内部のSATA接続のほうがSATA3.0の理論値に近いスループットになっているからではないかと思います。
QNAP TVS-472XT_copy_1_movie_read
動画ファイルのコピー書き込みに関しては、コピー読み出しと同様に10Gb LAN~1Gb LANで綺麗にスケーリングしています。
QNAP TVS-472XT_copy_1_movie_write

続いてゲームフォルダのコピーについてですが、ゲームフォルダは大小様々なファイルを含むので、実際のコピーではベンチマークの連続性能だけでなく、ランダム性能も重要になってきます。
ゲームフォルダのコピー読み出しに関しては、動画ファイルのコピー読み出しと似た傾向になっていますが、ランダム性のあるデータコピーの要素も含まれるので、LAN帯域に対する性能スケーリングが若干鈍ります。とはいえNVMe SSD&10Gb LANは1Gb LANより8倍近く、かつPC内蔵SATA SSDよりも2倍も高速なので、十分過ぎるパフォーマンスです。
QNAP TVS-472XT_copy_2_game_read
ゲームフォルダのコピー書き込みに関しては、微妙に変動もありますが、コピー読み出しとほぼ同じ傾向です。
QNAP TVS-472XT_copy_2_game_write

続いて1KB~1MBの画像ファイル10,000枚が入った3GBのフォルダのコピーについてですが、1つ1つのファイルサイズは1KB~1MBと比較的小さいのでゲームフォルダのコピーテストよりもベンチマークのランダム性能が重要になります。ただし合計サイズが3GBと小さいのでキャッシュ性能もコピー速度に効いてきます。
小容量画像ファイルを多数含むコピー読み出しに関して、結果は内蔵ストレージとNASで明暗が大きく分かれました。マルチギガビットLANで高速化の傾向はありますが、10Gb LANと1Gb LANで比較して2倍強なので連続アクセススピードのスケーリングに比べると微妙な結果です。またPC内部接続のSSDと比較してSATA SSDよりも2.5倍の所要時間になっています。
CrystalDiskMarkの4KBランダム性能から考えると、「QNAP TVS-472XT」のNVMe SSD&10Gb LANなら遅くとも20秒台で完了すると予想していたので、この結果はかなり意外でした。
QNAP TVS-472XT_copy_3_3gpic_read
小容量画像ファイルを多数含むコピー書き込みに関して、「QNAP TVS-472XT」のコピー時間は読み出しよりも大分遅くなりました。ただ1Gb LANや2.5Gb LANが読み出しと同程度の所要時間に対して、5Gb LANと10Gb LANで大幅には速度低下しているところが気になります。管理人の予想としてはAquantia製10Gb LANの動作が怪しい気がするのですが…。
QNAP TVS-472XT_copy_3_3gpic_write

困ったことに小容量画像ファイルを多数含むコピーに関して、以前レビューした「QNAP TBS-453DX」の検証と大きく異なる傾向で整合性が取れなくなっています。
内蔵SSDに比べて遅いという傾向は一致しているのですが、NVMe SSD&10Gb LANのTVS-472XTがTBS-453DXよりも遅かったり、簡単に行ったTBS-453DXの再測定において同じ結果が得られなくなっていたりと散々なことになってしまいました。実はTVS-472XTのレビュー公開が遅れた理由です。
Aquantia製10Gb LANの動作とか、QTS4.1.1へのメジャーアップデートによる性能変化とか、疑わしいところがいくつかあるのですが、具体的な原因がはっきりとは掴めていません。10Gb LANでランダム性の高いデータコピーが遅い件については別途検証を予定しているので、そちらをお待ちください。
QNAP TBS-453DX_copy_3gpic_readQNAP TBS-453DX_copy_3gpic_write

最後に5MB~8MBの画像ファイル1,000枚が入った7GBのフォルダのコピーについてですが、1つ1つのファイルサイズは5MB以上で比較的大きいので、完全にシーケンシャル性能というわけではありませんが、シーケンシャルに近い形でアクセスが発生します。
比較的大きい画像ファイルを多数含むフォルダのコピー読み出しに関しては、10Gb LANが1Gb LANの7倍近いパフォーマンスを発揮しており、比較的良いスケーリングになっていると思います。
QNAP TVS-472XT_copy_4_7gpic_read
比較的大きい画像ファイルを多数含むフォルダのコピー書き込みに関しては、コピー読み出し同様の傾向です。このコピー読み出し&コピー書き込みは、ミラーレス一眼などで大量の写真データをバックアップ・リストアする環境を想定した検証なので、マルチギガビットLANによる作業の高速化が確実に期待できます。
QNAP TVS-472XT_copy_4_7gpic_write



QNAP TVS-472XTのレビューまとめ

最後に最大4枚のSATA接続M.2 SSDを搭載可能であり、10Gb有線LANによる超高速なネットワークストレージが構築可能なハイエンドNAS「QNAP TVS-472XT」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • 4基のドライブベイと2基のM.2スロットを搭載
  • デスクトップ向けCPUのIntel Pentium G5400Tを搭載
  • SODIMM DDR4メモリを2枚設置可能で最大32GBまでサポート
  • 2基の1Gb LANに加えて、AQUANTIA製10Gb LANを標準搭載
  • 2基のThunderbolt3端子を標準搭載(実用性は微妙)
  • 10Gb LANの理想的な性能である連続1200MB/sを発揮できる
  • 10Gb LANは100MB/s未満のランダム性能も高速になる
  • QNAP純正のPCIE拡張ボードやストレージアダプタなどアクセサリパーツが豊富
悪いところor注意点
  • Mini-ITX対応キューブPCくらいのサイズで大きい(NASとしては一般的だが)
  • Thunderbolt3接続は理想的な性能が出せず、性能が不安定で実用性は微妙
  • 1KB~1MBの小さいファイルを多数含むコピーは内蔵SSDに比べて遅い
  • M.2スロットのSSDの固定は、スペースが狭く非常に面倒、というか困難
  • NAS本体だけで製品価格15~20万円と非常に高価

「QNAP TVS-472XT」はデスクトップ向け高性能CPUのIntel Pentium G5400Tを搭載しており、連続アクセススピードで1200MB/sという10Gb LANの理想的な性能をしっかり発揮してくれました。今後実施していくNAS検証の基準になる機材として用意したので管理人的にはここが最重要ポイントでした。
ただ20Gb LANをエミュレートするThunderbolt3接続も同製品においては非常に期待していた機能だったので、これの動作が安定せず、2GB/s越えの理想的な性能を拝めなかったのは残念でした。とりあえず理想的な性能を発揮できる10Gb LAN対応NASという期待にはしっかりと応えてくれたので、まあ。

なお”デスクトップ向け高性能CPU”とは書いたものの、2020年現在においてデスクトップPC向けCPUは6コア6スレッドや6コア12スレッドが当たり前なので、それと比較するとPentium G5400Tはローエンド向けCPUとなり語弊のある表記です。ただしNAS製品ではCeleron J4105のようなモバイル向け低TDPなCPUや、数世代前のCPUが採用されることも珍しくないので、その中ではIntel第8世代デスクトップ向けCPUを搭載し、10Gb LANのフルポテンシャルを発揮できる「QNAP TVS-472XT」は間違いなくトップクラスのCPU性能です。

また「QNAP TVS-472XT」にはPCIE3.0x2帯域のNVMe対応M.2スロットが2基搭載されているので、NVMe M.2 SSDのシングルボリュームやSSDキャッシュを使用すれば、10Gb LANのフルポテンシャルを発揮させるための足回りも十分です。今回は4ドライブベイのTVS-472XTをレビューしましたが、上位モデルには6ドライブベイのTVS-672XTや6ドライブベイのTVS-872XTもラインナップされているので、個人やちょっとした研究室程度であれば大容量NASとしても十分対応できるはずです。

ネットワークストレージとして最重要と言っても過言ではないファイルコピー性能については、用途として最も想定される、スマートフォンやデジタルカメラで撮影した写真(1つ当たり数MB)や動画(1つ当たり数GB)のデータの共有・バックアップであれば、10Gbもしくは5GbのマルチギガビットLANでネットワークに接続されていれば「QNAP TVS-472XT」はPC内蔵のSATA SSDと同等もしくは上回る読み出し/書き込み速度が期待できます。
1KB~1MBのかなり小さいファイルを多数含むコピーでは内蔵SATA SSDよりも大分パフォーマンスが落ちるので注意したいところですが、そういったワークロードでも1Gb LANと比較すればマルチギガビットLANは最大で2倍近いパフォーマンスが得られるので、全くの無駄というわけでもありません。

最もドライブベイの少ない「QNAP TVS-472XT」ですら15~20万円と非常に高価で、6ベイや8ベイの上位モデルはさらに価格が上がりますが、10Gb LANをフルに活用できる高性能NASを探しているのであれば性能面では非常にオススメな製品です。

以上、「QNAP TVS-472XT」のレビューでした。
QNAP TVS-472XT


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「QNAP TVS-472XT」などマルチギガビットに対応したハイエンドNASで高速なネットワークストレージを構築するのであれば、2020年最速クラスのNVMe M.2 SSD「Samsung SSD 970 EVO Plus」や、主要メーカー製TLC型SATA SSDの中でも優れた書き込み耐性が保証されている「Samsung SSD 860 EVO」がオススメです。
QNAP TVS-472XT review_04729_DxO







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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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