GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME


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GIGABYTEから第3世代Ryzen Threadripper向けに新たに開発されたTRX40チップセット搭載Socket sTRX4マザーボードとしてリリースされた、19(16+3)フェーズの超堅牢なVRM電源を実装し、リアI/OにIntel X550-AT2による2基の10Gb LANを標準搭載した「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」をレビューしていきます。ストレージ&ネットワーク回りが競合他社を含めても最強スペックで、同社下位モデルDESIGNAREが顔負けなクリエイター向けの最強TRX40マザーボードを徹底検証します。
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製品公式ページ:https://www.gigabyte.com/jp/Motherboard/TRX40-AORUS-XTREME
マニュアル:https://download.gigabyte.com/FileList/Manual/mb_manual_trx40-aorus-xtreme_1001_j.pdf



GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME
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GIGABYTE
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GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME レビュー目次


1.GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEの外観・付属品
2.GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEの基板上コンポーネント詳細
3.GIGABYTE AORUS Gen4 AIC Adapter Cardについて
4.Threadripper専用空冷CPUクーラーとのクリアランスについて
5.GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEの検証機材
6.GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEのBIOSについて
7.多機能かつ使いやすいファンコン機能「スマートFan 5」について
8.イルミネーション操作機能「GIGABYTE RGB Fusion」について
9.GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEのOC設定について
10.GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEの動作検証・OC耐性
11.GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEのレビューまとめ




【注意事項】
同検証は19年12月下旬に行っておりGIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEのBIOSはF3fを使用しています。最新BIOSでは修正されている不具合や追加されている機能もあると思うので、最新BIOSのリリースについては公式ページを各自でチェックしてください。

サポート:https://www.gigabyte.com/jp/Motherboard/TRX40-AORUS-XTREME-rev-10/support#support-dl-bios

【19年12月18日:初稿】
レビュー記事初稿を公開、BIOS:F3fで検証

【20年1月19日:初稿】
ストレステストに関する補足を追記しました。



GIGABYTE製マザーボードは簡単な内容なら日本語でメーカーへ直接問い合わせが可能

GIGABYTE製マザーボードについてはGIGABYTEの公式サポートページにおいてアカウント登録が必要ですが、意外なことに日本語による問い合わせに対応しています。問い合わせページのインターフェースの言語は英語なので英語で行けるところは英語で入力するほうがいいと思いますが、長文を書く必要がある問い合わせの本文では日本語で書いてもしっかり対応してもらえました。
ハードウェア的な故障等のサポート(交換や修理)は代理店を介する必要がありますが、同社専用ソフトウェアの不具合や最新バージョンの問い合わせなど簡単な内容であれば、メーカー窓口に直接問い合わせができるのでレスポンスの面でメリットがあります。
サポートページ:http://esupport.gigabyte.com/Login/Index?ReturnUrl=%2f
GIGABYTE サポート




GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEの外観・付属品

まず最初にGIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEの外観と付属品をチェックしていきます。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEのパッケージはマザーボードの箱としては独特な上開き化粧箱になっていました。開閉しやすく高級感もあります。
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パッケージを開くと上段にはマザーボード本体はスポンジクッションのスペーサーの中に収められていました。マザーボードを取り出すと2重底になっており下段には各種付属品が入っています。
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なおここまで某A社のR〇Gシリーズと梱包はほぼ同じ形式でした、いいんだろうか?

マニュアルなど冊子類が一通り揃っています。ファングッズとしてはステッカー、バッジが付属します。
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注目ポイントとして「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」のドライバはCDではなく専用のUSBメモリに収録されていました。光学ドライブを搭載しない環境も増えているので嬉しい配慮です。その他のマザーボード製品でもドライバはUSBメモリに移行して欲しいところ。
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組み立てに関連する付属品としては、SATAケーブル6本、WiFiアンテナ×2、M.2 SSD固定ネジ&スペーサー×4セット、RGB対応汎用4PIN LEDテープ接続ケーブル×2、アドレッサブルRGB LED変換ケーブル×2、サーモセンサー2本、G-Connector、フロントパネルヘッダー延長ケーブル、内部USB2.0ヘッダー延長ケーブル、ノイズセンサーです。
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付属する6本のSATAケーブルについては一般的なビニール被膜タイプではなく、スリーブ化された高級感のあるSATAケーブルが6本付属しています。
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「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」はGIGABYTE RGB Fusionによるライティング制御に対応したLEDヘッダーの延長ケーブルとしてRGB対応汎用4PIN LEDヘッダー用とアドレッサブルRGB対応VG-D型汎用3PIN LEDヘッダー用の2種類が2本ずつ付属します。アドレッサブルRGB用ケーブルはマザーボード上に実装されたVD-G型3PINヘッダーをロック付き3PINコネクタに変換するケーブルになっています。
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「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」にはフロントパネルコネクタをひとまとめにしてマザーボードに接続しやすくする独自パーツ「G-Connector」と、マザーボードの独自ヘッダーを一般的なフロントパネルヘッダーに返還する延長ケーブルが付属します。
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今回は検証用スイッチ&LEDで試してみましたが次のように「G-Connector」へ各種コネクタを装着します。あとはこのまま「G-Connector」をマザーボードのフロントパネルヘッダー延長ケーブルに挿せばOKという非常に便利な独自機能です。
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「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」はマザーボード上に実装された内部USB2.0ヘッダーも独自規格になっており、汎用ヘッダーに変換する2分岐の延長ケーブルが付属します。
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「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」にはPCケース内部の騒音値を測定するためのノイズセンサーも付属しています。マザーボード上のノイズ検出用2PINヘッダーと接続することで任意の位置からノイズを測定できます。
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詳細については後ほど詳しく解説しますが、「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」にはPCIE4.0対応NVMe M.2スロットを4基増設可能なPCIE拡張ボード「AORUS Gen4 AIC Adapter Card」が標準で付属します。
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マザーボード全体像は次のようになっています。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEはXL-ATXフォームファクタのマザーボードで一般的なATXフォームファクタよりも横幅が30mm程大きい275mm、加えて縦にもPCIEスロット1つ分長い325mmとなっています。
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「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」はPCIEスロットが8スロットあるPCケースでないと設置できないので注意が必要です。
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「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」はATX 24PIN電源、SATAストレージ、フロントI/Oなど各種ケーブルヘッダーがマザーボード基板から横向き水平に実装されているところが特徴的です。製品公式ページでもケーブルマネジメントをスマートかつ容易にし、エアフローを改善するとアピールされています。
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マザーボード下側はヘアラインやサンドブラストなどの表面処理が組み合わさった黒一色のアルミニウム製アーマーで覆われています。質感も非常に高くエレガントな外観です。
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黒一色のデザインを象徴する「DOMINANT IN DARKNESS」のロゴがチップセットクーラーの艶あり鏡面な斜めプレート部分に刻印されています。
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第3世代Ryzenに対応するX570 AORUS XTREMEではX570マザーボード唯一のファンレスモデルとアピールされていましたが、「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」はPCHファンが搭載されています。マザーボード下半分を占有するアルミニウム製アーマーは4基のM.2スロットに設置可能なM.2 SSDを冷やすヒートシンクの役割も果たすので、PCHファンによってM.2 SSDも一括して冷却される構造です。
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PCH冷却ファンはBIOS上のファンコントロール機能から制御が可能です。標準の動作プリセットではチップセット温度が58度以下の時はファンが停止するセミファンレス動作にも対応しています。
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「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」のリアI/OカバーやVRM電源ヒートシンクもまた黒一色のデザインになっています。リアI/Oカバーには同製品のブランドネーム「AORUS」を示す「Speed(素早さ)」「Power(力強さ)」「Accuracy(精密さ)」を表現したという”鷹(ファルコン)”をモチーフにしたアイコンロゴとテキストロゴが素地に溶け込む感じで控えめに描かれています。
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「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」にはCPUコア向け16フェーズとSOCコア向け3フェーズで計19フェーズという第3世代Ryzen Threadripper対応TRX40マザーボードの中でもトップクラスの超特盛りなVRM電源が実装されています。
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Infineon Digital PWMコントローラーXDPE132G5Cにより16+3フェーズのダイレクト駆動を採用しています。VRM電源のMOS FETにはInfineon TDA21472 Power Stage MOSFET、ハイサイド/ローサイドMOS-FETとドライバICをワンパッケージし低発熱で定評のあるDr. MOSを採用しており、各フェーズ70AでCPUコアに対して合計最大1120Aの電源出力が可能です。
その他にも高電流耐性・低発熱なサーバー級チョークコイルや超低ESR特性で長寿命のDurable Black固体コンデンサなどサーバークラスの高信頼性コンポーネントでVRM電源はデザインされています。
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「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」のVRM電源クーラーには「8mm 大口径ヒートパイプ」、「LAIRD製 高性能熱伝導パッド」、「Fin-Array Heatsink」、「アクティブ冷却ファン」、「NanoCarbon Back Plate」などが採用されており、GIGABYTEが開発してきた技術の粋を集めた設計です
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「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」ではグラフィックカード設計で培ったクーラー技術を転用し放熱フィンプレートで構成される放熱用フィン設計Fins-Array technology」も採用されています。X470マザーボード以来、同社のハイエンド製品で採用され続けており放熱性能の高さに定評のある設計です。
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実はCPUソケット左側にヒートパイプを介して拡張されるフィンアレイヒートシンクはリアI/Oカバーとも連結されていて、リアI/Oカバーはプラスチック製ではなくほぼ全体がアルミニウムで一体成型されているので、放熱ヒートシンクの役割を果たします。加えてリアI/Oカバーと繋がっているオンボードオーディオカバー部分もアルミニウム製です。
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CPUソケット左のVRM電源クーラーヒートシンクに大きく覆い被さるリアI/Oカバーの内部にはVRM電源を冷やすために1基の30mm角小型ファンが内蔵されています。この冷却ファンは「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」のVRM電源回路の温度センサーによって制御されます。
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VRM電源冷却ファンはBIOS上のファンコントロール機能から制御が可能です。標準の動作プリセットではVRM電源温度が84度以下の時はファンが停止するセミファンレス動作にも対応しています。
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32コア64スレッドもラインナップされる第3世代Ryzen Threadripper CPUへ安定した大電力供給が行えるように「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」のEPS端子は8PIN×2が実装されています。EPS電源端子については電源容量800W以下の電源ユニットでは1つしか端子がない場合があるので、EPS端子が足りているか事前に注意して確認してください。EPS電源コネクタに装着された金属アーマーはコネクタの補強とともに熱拡散も補助します。
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また「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」のマザーボード背面には重量の大きい大型のグラフィックボードやCPUクーラーの負荷による基板の曲がりなどを防止する金属製バックプレートが装着されています。
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バックプレートの表面には熱放射性能を高めるナノカーボン表面加工が施されており、マザーボードのVRM電源部分の裏面とバックプレートはサーマルパッドを介して接触しているので、バックプレートが放熱板の役割を果たし、約10%高いVRM電源の冷却を実現します。
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さらに「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」にはマザーボード一体型リアI/Oバックパネルも採用されています。PCケースにパネルを装着する作業は固くて装着し難かったり、忘れてしまうこともあるのでマザーボードに標準で統合されているのは嬉しい機能です。
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以下USB規格に関する説明がありますが『USB3.2 Gen2 = USB3.1 Gen2』、『USB3.2 Gen1 = USB3.1 Gen1 = USB3.0』と考えて基本的に問題ありません。

「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」のリアI/Oには接続帯域10Gbpsに達するUSB3.2 Gen2に対応したUSB端子として 7基のType-A端子と1基のType-C端子の計8基が実装されています。マウス・キーボードなどの周辺機器を多数繋いでいても、VR HMDに余裕で対応可能です。ただUSB3.Xは無線マウスと電波干渉を起こすことがあるので、追加でUSB2.0端子も少し離れた場所に設置して欲しかったです。
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「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」にはサーバー・ワークステーションなどプロフェッショナルユースで採用される高信頼性かつ高速なIntel X550-AT2コントローラーによる10Gb LANが2基搭載されています。Intel X550-AT2を搭載した世界初のTRX40マザーボードです。2つの10Gb LANで並列接続して20Gbの接続帯域を実現するリンク・アグリゲーションにも対応します。
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次世代規格WiFi6に対応した無線LANも搭載しています。接続規格としてはWi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac/ax、2.4/5GHzデュアルバンド、最大通信速度2400Mbps、Bluetooth 5.0に対応しています。リアI/Oには無線モジュールのアンテナ端子が設置されているので付属のアンテナを接続できます。
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注意点として、Intel X550-AT2コントローラーによる10Gb LANはWindows10に収録されている標準ドライバでは動作しません。付属USBメモリからドライバをインストールするか、もしくは無線LANは標準ドライバで動作するのでこちらを使用する必要があります。なお無線LANで接続してインターネットに繋がった状態になると自動的に対応ドライバがインストールされます。
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GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEの基板上コンポーネント詳細

続いて「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」のマザーボード基板上の各種コンポーネントをチェックしていきます。
Ryzen Threadripper用TR4ソケットはLOTESとFOXCONNの2社が製造しており、各社マザーボードで採用されていますが、「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」にはFOXCONN製ソケットが搭載されていました。TR4ソケットの一部にはかなり力を入れて押し付けないとソケットのネジが噛み合わないものがありますが、「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」のソケットはネジの噛み合わせに十分な遊びがあって簡単にネジを締めることができました。
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システムメモリ用のDDR4メモリスロットはCPUソケット両側に8基のスロットが設置されています。
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「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」のメモリ固定時のツメはマザーボード下側の片側ラッチとなっています。最も近いPCIEスロットとの距離は十分なのでグラフィックボードと干渉する心配はなく、ラッチを開いたとしてもグラフィックボードと干渉しませんでしたが、グラフィックボードを装着した状態でメモリを交換するのは難しそうなので注意が必要です。
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DDR4メモリスロットには外部ノイズEMIから保護して安定したメモリOC環境を実現し、またメモリモジュールの挿抜によるPCB基板の歪みや破損を防止する金属シールド「Ultra Durable Memory Armor」が実装されています。
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グラフィックボードなどを設置するPCIEスロットは全8段で上から[N/A、x16、N/A、x16、N/A、x16、N/A、x16]サイズのスロットが設置されています。実際のPCIEレーン帯域については2段目と6段目はPCIE4.0x16、4段目と6段目はPCIE4.0x8で、排他利用はありません。プライマリGPUは2段目のスロットですが、CPUソケットとの間隔は狭いので、大型のハイエンド空冷クーラーを使用する場合はグラフィックボードとCPUクーラーの干渉に注意が必要です。
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グラフィックボード向けのx16スロットとしてプライマリは2段目、セカンダリは6段目に配置されており、現在主流な2スロット占有グラフィックボードやハイエンドGPUのオリファンモデルで採用の増えている3スロット占有グラフィックボードを使用しても下位グラフィックボードが上位グラフィックボードのエアフローを妨げないよう配慮されています。
別売りオプションパーツのNVLink SLI Bridgeが必要ですが、3スロットのNVLink SLI BridgeがあればNVIDIAの最新GPUであるRTX 2080 TiやRTX 2080でもマルチGPU環境を構築可能です。
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GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEには最近のトレンドとしてx16サイズスロット全てにPCIEスロット補強用メタルアーマー「Ultra Durable PCIe Armor」とPCIEスロット左右端の固定を補強するGIGABYTE特許取得済「Double Locking Bracket」による2重の保護が施されています。1Kgを超える重量級グラボの重さに耐えるためのこれらの対策により垂直方向に3.2倍、水平方向に1.7倍と両方向の負荷に対する強度は大幅に向上しています。
GIGABYTE Ultra Durable PCIe ArmorGIGABYTE Double Locking Bracket
マザーボード右端下側にはグラフィックボードなどPCIEスロットに設置した拡張カードへ安定した電力供給を行うための追加電源としてマザーボードと平行にPCIE補助電源6PINコネクタのオプション電源端子が用意されています。オプション扱いですがマルチGPU構成で組む場合は接続したほうがよさそうです。
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SATAストレージ用の端子はマザーボード右下に10基搭載されています。右寄り8基のSATA3_0~7はいずれもAMD TRX40チップセットのコントローラーによる接続で、RAID0/1/10のハードウェアRAID構築にも対応しています。左寄り2基のSATA3_8~9はASMedia製コントローラーによって接続されます。
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高速NVMe(PCIE4.0x4)接続規格に対応したM.2スロットはPCIEスロット間とチップセット下に計4基が実装されています。4つのM.2スロットはいずれもNVMeとSATAの両方に対応しています。M2MとM2QはCPU直結PCIEレーンに、M2PM2CはPCH経由のPCIEレーンに接続されています。
M2Cだけは排他利用があり、NVMe接続のM.2 SSDを使用時はSATA3_4~7の4基が、SATA接続のM.2 SSDを使用時はSATA3_4~5の2基が利用不可となります。またM2Cはマザーボード固定ネジの位置に被っているので組み込み順序に注意が必要です。
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「AORUS Thermal Reactive Armor」と呼ばれるマザーボードした半分を覆うアルミニウム製フルアーマー型の放熱ヒートシンクが4つのM.2スロット全てに被さっており、PCHファンによる一括冷却も併用されることで、M.2 SSDのサーマルスロットリングを防いで性能を最大限引き出します。
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加えて「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」にはNVMe M.2 SSDを4枚装着可能なPCIE拡張ボード「AORUS Gen4 AIC Adapter Card」が標準で付属しており、これを使用することでPCIE4.0x4に対応するM.2スロットをさらに4つ増設できます。
「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」はPCIE4.0x16を4つのPCIE4.0x4に分割することで4基のNVMe M.2 SSDを増設できる拡張ボードなので2段目もしくは6段目のPCIEスロットへの増設が推奨です。
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マザーボード右端には最新接続規格USB3.1 Gen2に対応する内部USB3.1 Gen2ヘッダーと、2基の内部USB3.0ヘッダーが設置されています。内部USB3.0ヘッダーはコネクタやケーブルがグラフィックボードなどのPCIE拡張ボードと干渉しないように、いずれもマザーボードと並行な向きに実装されています。
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マザーボード右上には独自コネクタから専用の延長ケーブルを介して2基のUSB2.0内部ヘッダーが使用できます。USB2.0内部ヘッダーは2基あるのでCorsairLinkやNZXT CAM対応製品などUSB2.0内部ヘッダーを使用する機器も増えていますが、GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEであればそれらの機器も問題なく使用可能です。内部USB2.0が2基でも不足する場合はUSB2.0ヘッダー増設ハブの「NZXT INTERNAL USB HUB」や「Thermaltake H200 PLUS」がおすすめです。
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USB3.0内部ヘッダーF_U32_1はGIGABYTE独自機能「USB TurboCharger」に対応しており、フロントUSB3.0 Type-A/C端子で、Androidデバイス(QC 3.0)やAppleデバイス(Apple Fast-Charge)のるUSB高速充電が利用できます。
USB TurboCharger

「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」はパーソナルワークステーション向け製品ですが、ゲーミングブランドAORUSの名を冠するだけあって、GIGABYTE独自の高音質オンボードサウンド機能が採用されています。SN比120dBで圧倒的なオーディオ再生能力を誇り、フロント/リアのマイク入力のSN比が110dB/114dBに改善された「ALC1220-VB 120dB SNR HD オーディオ」を搭載しています。自動でヘッドホンのインピーダンスを検出して最適な出力を可能にする「Smart Headphone Amp」機能などもあり、サウンドボードや外部DAC要らずな高音質オンボードサウンドが実現されています。
ALC1220-VB 120dB SNR HD
さらにヘッドホン用DAC&アンプには、最高130dBのSN比と-112dBのTHD+Nにより、スタジオ級の音質をヘッドフォンに確実に伝えることができ、またFLACやWAVなどの一般的なハイレゾおよび32bit 192KHz PCMのロスレス・オーディオフォーマットな音源に対応する「ESS SABRE ES9218 HiFi DAC」が採用されています。
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冷却ファンや簡易水冷クーラーのポンプの接続用の端子は計7基あり、マザーボード右上にまとめられています。これだけあればマルチファンラジエーターを複数積んだハイエンド水冷構成を組んでもマザーボードのファン端子で運用可能です。「PUMP」の添え字の付いたファン端子は最大24W(12V、2A)の出力にも対応しているので本格水冷向けのD5やDDCポンプの電源としても使用できます。
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加えて「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」には、本格水冷PCユーザーには嬉しい外部温度センサーの接続端子が2基設置されています。GIGABYTEのファンコントロール機能は外部センサーをソースにした水温依存のファンコントロールが可能なので水冷ユーザーにお勧めです。
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「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」のファンコン機能Smart Fan5では外部温度センサー2基に加えてマザーボード上備え付けの温度センサー7基で計9基の温度センサーから自由にソース温度を選択して7基のファン端子を制御できます。
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マザーボード上にはOCerのみならず一般自作erにとっても組み立て中の動作確認に便利なスタートスイッチ&リセットスイッチ、POSTエラーのチェックができるDebug LEDが実装されています。CMOSクリアのハードウェアスイッチも設置されているのでOC設定をミスっても簡単に初期化が可能です。
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GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEにはGIGABYTE特許取得済みの「デュアルBIOS」機能が採用されており、OC設定によってメインBIOS(M_BIOS)のデータが破損してもバックアップBIOS(B_BIOS)によってメインBIOSの復旧や重要データのバックアップが可能になります。BIOSの切り替えはマザーボード下に設置されたスライドスイッチによって行います。BIOSの修復方法については下の記事を参考にしてください。
GIGABYTEのDual BIOS対応マザーボードで破損したBIOSを修復する方法
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「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」にはマザーボード左下にTHB-C端子があるので、同社のThunderbolt3拡張ボード「GIGABYTE GC-TITAN RIDGE」を使用することでThunderbolt3端子が増設可能です。(ただTRX40環境ではThunderbolt3の利用は一部制限があるとか、不具合があるとの話も)
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「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」にGC-TITAN RIDGEを設置して、Thunderbolt3 SSDを接続してみたところ正常に動作しました。
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GIGABYTE AORUS Gen4 AIC Adapter Cardについて

「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」には1つにPCIEスロットにNVMe M.2 SSDに対応したM.2スロットを4基増設可能なPCIE拡張ボード「AORUS Gen4 AIC Adapter Card」が標準で付属します。PCIE4.0x4接続のNVMe M.2 SSDをサポートしています。
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「AORUS Gen4 AIC Adapter Card」はグラフィックボードのような形状のPCIE拡張ボードです。ヘアライン仕上げのアルミニウム製プレートが装着されていて豪華な外見ですが、クーラー外装自体はプラスチック製でした。
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「AORUS Gen4 AIC Adapter Card」の背面にはクーラー外装と同じデザインのアルミニウム製バックプレートが装着されています。
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「AORUS Gen4 AIC Adapter Card」はPCIEスロットを1スロット占有する拡張ボードです。この種の拡張ボードではPCIE補助電源がオプションで実装されているものもありますが、「AORUS Gen4 AIC Adapter Card」は非搭載なのでM.2 SSDの消費電力として対応できるのはPCIEスロットから供給可能な75Wまでです。
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基板背面のプラスネジ5つを外すと基板からクーラー外装とバックプレートを取り外すことができます。
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「AORUS Gen4 AIC Adapter Card」のクーラー外装がそのままM.2 SSDヒートシンクになっており、M.2 SSDをヒートシンクに接触させるためのサーマルパッドも標準で貼り付けられています。
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「AORUS Gen4 AIC Adapter Card」のM.2スロットはいずれもPCIEスロットに対して平行な向きに4基が実装されています。M.2スロットは現在主流なM.2 2280フォームファクタだけでなく、全長120mmのM.2 22120フォームファクタにも対応しています。
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「AORUS Gen4 AIC Adapter Card」はクーラー外装に設置された銅製ヒートシンク及び、基板側に装着された金属製プレートにサーマルパッドを介して接するという構造でM.2 SSDを冷やします。両面のサーマルパッドはいずれも標準で貼り付けられています。
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「AORUS Gen4 AIC Adapter Card」の右端にはブロアー型のファンが設置されており、PCIEブラケット側へ排気する外排気クーラーになっています。
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冷却ファンの傍には2つの青色スライドスイッチがあります。スイッチのON/OFFの組み合わせで拡張ボードの認識番号1~3を割り当てることによって、同カードを複数使用する時にシステム上から見分けることができます。
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「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」でAORUS Gen4 AIC Adapter Cardを使用して複数のNVMe M.2 SSDを増設する場合は、設置するPCIEスロットに対してBIOSメニューでPCIE帯域の分割設定を適用する必要があります。
「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」の場合は2段目と6段目のPCIEスロットがPCIE4.0x16帯域を4つのPCIE4.0x4に分割できるので4基のNVMe M.2 SSDの増設に対応します。4段目と8段目のPCIEスロットはPCIE4.0x8帯域なので2つのPCIE4.0x4に分割でき2基のNVMe M.2 SSDの増設が可能です。
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今回、「AORUS Gen4 AIC Adapter Card」の検証には、マザーボード備え付けヒートシンクとの組み合わせがメーカーから想定されてヒートシンクレスで販売されているPCIE4.0対応NVMe M.2 SSD「CFD PG3VNF 1TB」を4枚使用しました。
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「AORUS Gen4 AIC Adapter Card」でCFD PG3VNF 1TBのようなPCIE4.0対応NVMe M.2 SSDを4枚使用してNVMe RAIDを構成すると、連続読み出し17GB/s、連続書き込み16GB/sの超高速なストレージを構築できます。
PCIE4x4 NVMe SSD_RAID0-x4

「AORUS Gen4 AIC Adapter Card」はサポートページで配布されている「AORUS Storage Maneger」によってファン速度を設定できます。「AORUS Gen4 AIC Adapter Card」のファン速度はPCB基板上に設置された温度センサーを制御ソースとして既定のファンカーブプリセットによって制御されます。設定可能なファン速度プリセットはBalanced(標準)、Silent、Performanceの3種類です。
AORUS Strage Maneger
上のようにアイドル時の「AORUS Gen4 AIC Adapter Card」のファン速度は1600RPM~1700RPMとなっており、ノイズレベルは36dB程度と静音な動作です。
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iometarを使用して「AORUS Gen4 AIC Adapter Card」に設置した4枚のCFD PG3VNF 1TBでシーケンシャルリードのアクセスを行ったところ、4基のNVMe(PCIE4.0x4)接続SSDとしては理想的なトータル19GB/sの読み出し速度となりました。
AORUS Gen4 AIC Adapter Card_speed
SSDの温度については標準動作のBalancedプリセットにおいて20分程度負荷をかけ続けたところ、メモリチップの温度は60度前後に達し、PCB基板上の温度センサーは最大70度を示していますが、オーバーヒートでハングアップすることはありませんでした。(CFD PG3VNFでは最も発熱の大きいメモリコントローラーの温度をモニタリングできない)
AORUS Gen4 AIC Adapter Card_temp_Balanced
この時、「AORUS Gen4 AIC Adapter Card」のファン速度は2100~2200RPM程度となっていますが、ノイズレベルは40dB未満なので、ファンノイズが煩く感じることはないと思います。
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またファン制御をPerfomanceプリセットに変えて同様のテストを行ったところ、メモリチップの温度は60度未満、PCB基板上の温度センサーは最大64度までさがりました。
AORUS Gen4 AIC Adapter Card_temp_Performance
ファン制御をPerfomanceプリセットに変えると温度が下がる代わりにファン速度が上がって2600RPM以上で動作するのでノイズレベルは44~45dB程度となり、ファンノイズが耳について煩く感じ出します。
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Threadripper専用空冷CPUクーラーとのクリアランスについて

「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」とsTRX4ソケットに対応するThreadripper専用の空冷CPUクーラーとのPCIEスロットやメモリスロットのクリアランスについてチェックしていきます。

TRX40マザーボードとのクリアランス検証に使用する空冷CPUクーラーのうち「be quiet! Dark Rock Pro TR4」「Noctua NH-U9 TR4-SP3」「Noctua NH-U12S TR4-SP3」の3機種については、国内正規代理店のTechace様より機材をお借りしました。


be quiet! Dark Rock Pro TR4

be quiet! Dark Rock Pro TR4については「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」のVRM電源クーラーとの距離がギリギリですが、干渉することなく設置できます。「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」にbe quiet! Dark Rock Pro TR4を設置した場合、最上段のPCIEスロットとCPUクーラーが干渉することはありません。
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be quiet! Dark Rock Pro TR4とのメモリのクリアランスについては、CPUソケットに近い内側2つのメモリスロットにヒートシンクが被さります。ヒートシンク本体のクリアランスは製品仕様では47mm程度が確保されていますが、前方の冷却ファンはそれよりも低いので全高44mm程度が限界になります。全高43mmのG.Skill Trident Zシリーズについては干渉せずに設置できます。
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Noctua NH-U9 TR4-SP3

Noctua NH-U9 TR4-SP3については「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」のVRM電源クーラーと干渉することなく設置できます。「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」にNoctua NH-U9 TR4-SP3を設置した場合、最上段のPCIEスロットとCPUクーラーが干渉することはありません。
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Noctua NH-U9 TR4-SP3とのメモリのクリアランスについては、CPUソケットに近い内側2つのメモリスロットに冷却ファンが被さります。
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冷却ファンの固定はファンクリップを使用しており高さ方向のオフセット幅にかなり余裕があるので、背の高いヒートシンクを備えたメモリであっても装着自体は可能です。全高39mmよりも高いメモリではメモリヒートシンクの差分だけCPUクーラーの全高が高くなります。
ただし、全高35mmくらいのロープロファイルなヒートシンク付きメモリであれば問題ありませんが、全高39mmのG.Skill Flare Xや全高43mmのG.Skill Trident Zなどを超えてくるとヒートシンクの放熱フィンとファンの気流面が大きくズレ始めるので非推奨です。
Noctua NH-U9 TR4-SP3_memory_height


Noctua NH-U12S TR4-SP3

Noctua NH-U12S TR4-SP3については「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」のVRM電源クーラーと干渉することなく設置できます。「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」にNoctua NH-U12S TR4-SP3を設置した場合、最上段のPCIEスロットとCPUクーラーが干渉することはありません。
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Noctua NH-U12S TR4-SP3とのメモリのクリアランスについては、CPUソケットに近い内側1つのメモリスロットに冷却ファンが被さります。後方にファンを増設する時にファンノイズを低減させる厚手のラバーパッドを使用するとギリギリで2つ目のスロットには被さります。
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冷却ファンの固定はファンクリップを使用しており高さ方向のオフセット幅にかなり余裕があるので、背の高いヒートシンクを備えたメモリであっても装着自体は可能です。全高39mmよりも高いメモリではメモリヒートシンクの差分だけCPUクーラーの全高が高くなります。
ただし、全高35mmくらいのロープロファイルなヒートシンク付きメモリや全高39mmのG.Skill Flare Xであれば問題ありませんが、全高45mmを超えるCorsair Dominator Platinumなどを使用すると、ヒートシンクの放熱フィンとファンの気流面が大きくズレ始めるので非推奨です。
Noctua NH-U12S TR4-SP3_memory_height


Noctua NH-U14S TR4-SP3

Noctua NH-U14S TR4-SP3については「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」のVRM電源クーラーと干渉することなく設置できます。「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」にNoctua NH-U14S TR4-SP3を設置した場合、最上段のPCIEスロットとCPUクーラーが干渉することはありません。
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Noctua NH-U14S TR4-SP3とのメモリのクリアランスについては、CPUソケットに近い内側1つのメモリスロットに冷却ファンが被さります。後方にファンを増設する時にファンノイズを低減させる厚手のラバーパッドを使用するとギリギリで2つ目のスロットにも被さります。
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冷却ファンの固定はファンクリップを使用しており高さ方向のオフセット幅にかなり余裕があるので、背の高いヒートシンクを備えたメモリであっても装着自体は可能です。ヒートシンクなしメモリの全高31mmよりも高いメモリではメモリヒートシンクの差分だけCPUクーラーの全高が高くなります。
ただし、全高35mmくらいのロープロファイルなヒートシンク付きメモリであれば問題ありませんが、全高39mmのG.Skill Flare Xや全高43mmのG.Skill Trident Zなどを超えてくるとヒートシンクの放熱フィンとファンの気流面が大きくズレ始めるので非推奨です。
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Thermalright Silver Arrow TR4

Thermalright Silver Arrow TR4については「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」のVRM電源クーラーと干渉することなく設置できます。「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」にThermalright Silver Arrow TR4を設置した場合、最上段のPCIEスロットとCPUクーラーが干渉することはありません。
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Thermalright Silver Arrow TR4とのメモリのクリアランスについては、CPUソケットに近い内側1つのメモリスロットにヒートシンクが被さります。前方もしくは後方にファンを増設する場合はCPUソケットに近い内側2つ目のメモリスロットにもファンが被さります。
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Thermalright Silver Arrow TR4のヒートシンクについては、全高45mmまでのクリアランスがあるので全高43mmのG.Skill Trident Zは問題なく設置できますが、全高49mmのCorsair Vengeance RGB Proや全高53mmCorsair Dominator Platinum RGBは干渉していしまいます。
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ヒートシンクの前後に冷却ファンを増設する場合、冷却ファンの固定はファンクリップを使用しており高さ方向のオフセット幅にかなり余裕があるので、背の高いヒートシンクを備えたメモリであっても装着自体は可能です。ヒートシンクなしメモリの全高31mmよりも高いメモリではメモリヒートシンクの差分だけCPUクーラーの全高が高くなります。
ただし、全高35mmくらいのロープロファイルなヒートシンク付きメモリであれば問題ありませんが、全高39mmのG.Skill Flare Xや全高43mmのG.Skill Trident Zなどを超えてくるとヒートシンクの放熱フィンとファンの気流面が大きくズレ始めるので非推奨です。
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GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEの検証機材

GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEを使用して検証機材と組み合わせてベンチ機を構築しました。GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME以外の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成
CPU AMD Ryzen Threadripper 3970X
32コア64スレッド (レビュー
CPUクーラー ENERMAX LIQTECH TR4 II 360
ELC-LTTRO360-TBP (レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Neo
F4-3600C14Q-32GTZN
(+F4-3600C14D-16GTZN×2セット)
DDR4 8GB*4=32GB (レビュー
CPUベンチ用
ビデオカード
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
ファンレス (レビュー
システムストレージ
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー
OS Windows10 Home 64bit
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー


システムメモリの検証機材には、第3世代Ryzen&X570マザーボードのプラットフォームに最適化されたハイパフォーマンスOCメモリの最速モデル「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN」を使用しています。3600MHz/CL14の最速モデル、3200MHz/CL14や3600MHz/CL16といった定番スペックがラインナップされ、高級感のあるヒートシンクや8分割ARGB LEDを搭載してデザイン面でも優れる「G.Skill Trident Z Neo」シリーズは、第3世代Ryzenの自作PCで性能を追求するなら間違いのないオススメなOCメモリです。
「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN」をレビュー
G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN

レビュー記事後半ではRyzen Threadripper 3970Xを使用したオーバークロックも実践するので検証機材CPUクーラーにはAMD Ryzen ThreadripperのTR4 Socketに完全対応となる大型ベースプレートと360サイズラジエーター採用で最高クラスの冷却性能を誇る簡易水冷CPUクーラー「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」を検証機材として使用しています。
「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」をレビュー
ENERMAX LIQTECH TR4 II 360

360サイズや240サイズなど120mmファンを複数搭載できるマルチファンラジエーターの簡易水冷CPUクーラーを使用するのであれば、「Noctua NF-A12x25 PWM」への換装もおすすめです。「Noctua NF-A12x25 PWM」は、超硬質かつ軽量な新素材「Sterrox LCP」の採用によってフレーム-ブレード間0.5mmの限界を実現させた次世代汎用120mm口径ファンとなっており、1基あたり3500円ほどと高価ですが、標準ファンよりも静音性と冷却性能を向上させることができます。
「Noctua NF-A12x25 PWM」を360サイズ簡易水冷に組み込む
Noctua NF-A12x25 PWM x3

ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、Ryzen Threadripperのようなエンスー環境のシステムストレージ用に一押しのSSDです。
「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
Samsung SSD 860 PRO 256GB


CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
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グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
Thermal Grizzly Kryonaut_Threadripper
普段は熱伝導グリスを上のようにてきとうに塗っているのですが、Ryzen Threadripperはヒートスプレッダが大きいため、『最初に等間隔に9カ所小さめに熱伝導グリスを落として、さらにその間の4か所に少し大きめに熱伝導グリスを塗る』というNoctua式の塗り方が良い感じだったので今回はNoctua式を採用しました。
Noctua TR4_tp
この塗り方をするとRyzen Threadripperの大型ヒートスプレッダでもCPUクーラーの圧着でヒートスプレッダ全体へ熱伝導グリスが綺麗に伸びます。ただしグリスをかなり大量に使うので注意。
Thermal Grizzly Kryonaut_Threadripper_noctua

サーマルグリスの代用品として、数年スパンの長期使用においても性能低下が基本的になく再利用も可能、グリスが零れてマザーボードが汚れたり壊れる心配もないので、炭素繊維サーマルシート「Thermal Grizzly Carbonaut」もオススメです。
「Thermal Grizzly Carbonaut」はRyzen TR 3970Xを冷やせるか!?
Thermal Grizzly Carbonaut_Ryzen Threadripper 3970X

以上で検証機材のセットアップが完了となります。
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GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEのBIOSについて

GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEを使用した検証機の構築も完了したので動作検証とOC耐性のチェックの前にBIOSの紹介をします。
(OSから日付調整する前にスクショを取っている場合、日付がおかしいですが無視してください。また内容的に差異のないものは過去の同社製マザーボードのBIOSスクリーンショットを流用しています。)

GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEのBIOSに最初にアクセスするとイージーモードというグラフィカルな画面が表示されます。パッと見の見栄えは良いのですが詳細モードでないと詳細設定ができないので「F2」キーを押してサクッと「アドバンスドモード(Advanced Mode)」へ移るのがおすすめです。
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アドバンスドモードという従来通りの文字ベースBIOSメニューが表示されました。トップに表示されるシステムタブのシステム言語から日本語を選択可能です。トップメニューのタブは左右カーソルキーで簡単に移動できます。
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GIGABYTE製マザーボードのBIOSの翻訳は一部誤訳もあるものの比較的まともなので日本語UIとしては使いやすいと評価していいと思います。未だに一部の漢字に違和感のあるフォントですが、フォントサイズが調整されて見切れることがないように2019年7月以降の製品では修正が加えられています。

GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEのBIOSにおいて設定の保存とBIOSからの退出はトップメニュータブ最右端の「保存して終了(save and exit)」から行えます。特定のブートデバイスを指定してBIOSから退出するBoot Override機能もあります。
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「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」のサポートページでは2019年12月現在、最新版BIOSとして「F3f」が公開されています。BIOSのアップデート方法は、まず下から最新のBIOSファイルをダウンロード、解凍してUSBメモリのルートに解凍フォルダを置きます。
サポート:https://www.gigabyte.com/jp/Motherboard/TRX40-AORUS-XTREME-rev-10/support#support-dl-bios

USBメモリを挿入したままBIOSを起動し、BIOSメニューのSystem Infoタブの最下段に表示される「Q-FLASH」を選択するか、「F8」キーのショートカットキーでQ-FLASHを起動します。
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Q-Flashの画面に移動したら、Update BIOSを選択し、USBメモリからアップデートファイルを選択します。
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ブートとOSインストール周りについて紹介します。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEのブート回りは下画像のようにトップメニュータブ「BIOS」の中で非常に簡潔にまとめられており初心者でも迷うことはないと思います。OSのインストールも「起動オプション #1」に「UEFI 〇〇」というOSインストールメディアを設定して保存&退出でOKです。
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GIGABYTEのBIOSではブートデバイスの指定が可能なので起動オプションで設定せずに、「保存して終了(save and exit)」のタブメニューから「UEFI 〇〇」というOSインストールメディアを選択してもOKです。
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ちなみにWindows10の製品パッケージに付属するUSBメモリではUEFIで認識できないトラブルが発生することがあるようなので、そういうときはこちらの記事に従ってMS公式ツールを使用して適当なUSBメモリでOSインストールメディアを作成すると上手くいきます。


BIOSのアップデートやWindows OSのインストール方法を紹介したところで、GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEのBIOS機能で管理人が気になったものをいくつかチェックしていきます。

「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」はNVMe SSDによるRAIDストレージの構築に対応していますが、「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」に標準で付属する「AORUS Gen4 AIC Adapter Card」や、一般販売されている「ASRock Ultra Quad M.2 Card」や「ASUS HYPER M.2 X16 CARD V2」のような複数のNVMe M.2 SSDを設置可能なPCIE拡張ボード用にPCIEレーンを分割するBIOS設定が用意されています。
BIOS設定を変更することで、「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」の2段目と6段目に実装されたPCIE4.0x16レーンのPCIEスロットは4つのPCIE4.0x4レーンに、4段目と8段目に実装されたPCIE4.0x8レーンのPCIEスロットは2つのPCIE4.0x4レーンに分割することができます。
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NVMe RAIDモードで使用するブータブルディスクの作成方法(Windows OSのインストール方法)について詳しくは下の記事でまとめているのでこちらを参照してください。X399マザーボードを使用していますが、設定やインストールの基本的な手順は共通です。
記事中ではRAID0ストレージにインストールする例を紹介していますが、アレイ構築でシングルボリュームを選べば、SATA SSDのシングルボリュームへのOSインストールも同様の手順で行えます。
Threadripper環境でNVMe RAIDにOSをインストールする方法
Ryzen Threadripper環境でNVMe RAIDにOSをインストールする方法



多機能かつ使いやすいファンコン機能「スマートFan 5」について

GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEなどGIGABYTE製マザーボードに採用されるファンコントロール機能「スマートFan 5」が外部温度センサー対応など多機能かつ、ユーザービリティーにも優れたUIでかなり使いやすいので詳しくチェックしていきます。
ちなみに「スマートFan 5」はWindows OS上の専用アプリからも設定が可能ですが、BIOSからも専用アプリと同様にフルコントロール可能なので、一度設定したら頻繁に弄るものでもありませんし、余計なものを入れるよりもBIOS上からの操作に慣れておく方がおすすめです。

「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」のファンコントロール機能「スマートFan 5」には、「F6」のショートカットキーか、「Settings」タブの「スマートFan 5」を選択することでアクセスできます。
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「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」のファンコントロール機能は下のスクリーンショットのようにグラフィカルUIによる設定のみで一部他社製品のようなコンソールで値を打ち込むようなメニューは存在しません。グラフィカルUIでマウスを使って簡単にできる機能なのですが、マウスレスでも全て設定可能となっており、ASUSやASRockのBIOSのような直打ちUIが好きな管理人でも使いやすいと感じる良いファンコンでした。
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同ファンコントロール機能でユーザーが主に触る部分は下のスクリーンショットで囲った、「設定を行うファン端子」「速度設定プリセットの選択」「手動設定時のファンカーブ」「ファンカーブの温度ソース」「設定の適用」の5つになると思います。
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左上「Monitor」と表示されたすぐ横にあるプルダウンメニューからはファンコン設定を行うファン端子を選択可能で、選択したファン端子について、その下に位置する各設定項目を変更できます。選択したファン端子について「〇〇ファン速度制御」の項目から、「通常」「静音」「フルスピード((定格)」の3つのプリセットに加えて、ユーザーが各自でファンカーブをカスタマイズできる「手動」の4種類を選択できます。
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また選択しているファン端子の操作を行う温度ソースは「Fan Control Use Temperature input」から選択可能になっており、マザーボード備え付けの7つの温度センサーに加えて、増設可能な2つの温度センサーで計9個の温度センサーを温度ソースに指定できます。ただしCPUファンについてはCPU温度ソース固定となります。水温センサーを外部温度センサー端子に接続すれば水温ソースにしたラジエーターファンのファンコンにも対応可能なので水冷PC用のマザーボードとしても最適なファンコン機能です。
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〇〇ファン速度制御」の項目で「手動:を選択した場合はファンカーブのグラフにおいて、ファンストップ温度と、フルスピード温度に加えて、グラフ内で任意の4点についてファンカーブを設定できます。「Monitor」と「〇〇ファン速度制御」の項目間で上下カーソルキーを使うことで各ファンカーブ頂点を指定することができます。注目ポイントとしては「Shift」キーとカーソルキーの同時押しによってマウスレスでファンカーブの頂点を格子上で移動可能となっており、直打ち派の管理人も唸る非常に設定しやすいグラフィカルUIでした。
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Monitor」からは特定のファン端子を選択するので選択したファン端子1つだけについて設定を適用することも可能なのですが、設定の適用を行う「Apply to」のボタンをクリックするとマザーボードに設置されたファン端子が全て列挙され、ファン端子名の左にあるチェックボックスのチェックを入れるもしくは外すことで、現在設定を行っているファン端子と同じ設定を他のファン端子にも一斉に適用することが可能です。ファン設定の同期適用機能があるというのはユーザービリティーに優れ非常に好印象です。
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その他にも急激な温度変化へファンコンが過敏に反応しないようファン速度変化に1~3秒の猶予を設ける「Temperature Interval」、ファン操作モードを「DC/PWM/自動検出」から設定する「〇〇ファン Control Mode」などのファンコン設定項目があります。ソース温度が一定以下の時にファンを停止させる「〇〇ファン Stop」機能も用意されており、ファン操作モードがPWMの場合でも手動設定時のセミファンレス機能を問題なく使用できました。(ASUSマザボではDCモードのみだった気がします。)
またマザーボードにブザーユニットが接続されている場合は、特定温度ソースが一定温度を超えた場合にエラーを知らせる「Temperature Warning」や接続されているファンに不具合が発生した(回転数の検出ができない)場合に警告を行う「〇〇ファン異常警告」といった設定も可能です。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_BIOS_Fan_8
また「0」と書かれたファンカーブの頂点はファンストップ温度となっており、指定した温度ソースがファンストップ温度以下の場合、設定を行ったファン端子に接続されたファンを停止させる、所謂セミファンレス機能が使用できます。試しに止めてみました。
Smart Fan5 fanless

「Smartファン5」は欲を言えば数値直打ちのコンソール型UIもあると嬉しいとか個人的な要望はあるものの、マザーボードのファンコントロール機能としては、同じく外部温度センサーソースに対応したASUSの「Q-Fan control」以上に多機能です。

「Smartファン5」はWindows OS上のインフォメーションソフト「System Information Viewer」に統合されており同アプリ上から、BIOSと同じくファンコントロールが可能です。(System Information Viewerの利用にはAPP Centerのインストールも必要になります。)
Smart Fan5_da (1)
上で紹介したBIOS上のファンコントロール同様に、個別のファンについてファンカーブの設定、セミファンレス機能のON/OFF、ヒステリシス間隔の変更など詳細なファンコントロール設定が可能です。
Smart Fan5_da (5)
上のメニューで左にあるケースアイコンをクリックするとPCケース内におけるファンの設置位置やファンコンのソース温度を設定するメニューが表示されます。
Smart Fan5_da (3)
その他にも温度やファン回転数などのハードウェアモニタリングやモニタリング値によるアラーム機能、モニタリング値のログ機能なども用意されていました。
Smart Fan5_da (4)Smart Fan5_da (6)


GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEなどGIGABYTE製マザーボードに採用されるファンコントロール機能「Smartファン5」はおそらく一般ユーザーにとっては最も使いやすく機能の優れたファンコントロールだと思います。



イルミネーション操作機能「GIGABYTE RGB Fusion」について

「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」はマザーボード備え付けのLEDイルミネーションやRGB対応汎用4PIN/アドレッサブルRGB対応汎用3PINイルミネーション機器を操作可能なライティング制御機能「GIGABYTE RGB Fusion」に対応しています。
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「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」に備え付けられたLEDイルミネーションはいずれもアドレッサブルLEDイルミネーションで、リアI/OパネルのAORUSロゴ、チップセットクーラー、マザーボード右端背面の3か所に設置されています。
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マザーボードの左下にRGB対応汎用4PIN LEDヘッダーが計2基設置されています。付属の延長ケーブルを使用することで当サイトでもレビュー記事を公開している「SilverStone SST-LS02」や「SilverStone FG121 / FG141」などRGB対応汎用4PINのLED機器が接続可能です。出力は最大24W(12V, 2A)まで対応しており、最長2mのLEDテープを延長接続可能です。
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またアドレッサブルLED機器を接続可能なARGB対応VD-G型3PIN LEDヘッダーも2基実装されています。使用可能なアドレッサブルLEDテープについては国内で発売済みの「BitFenix Alchemy 3.0 Addressable RGB LED Strip」や「ASUS ROG ADDRESSABLE LED STRIP-60CM」や「AINEX アドレサブルLEDストリップライト」が動作することが確認できています。
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GIGABYTEのライティング制御機能「RGB Fusion」はWindows OS上の同名アプリ「RGB Fusion」からライティングに関する各種設定が可能です。プリセットも豊富でイラストも交えたUIが使いやすいソフトウェアです。
「RGB Fusion」を起動すると、マザーボードやメモリなどRGB Fusion対応機器一覧アイコンとライティング同期設定が表示されたホームページが表示されます。ホームページ右側から発光パターンや発光カラー設定を行うと左側にアイコンの表示されている対応機器全てに同じライティング設定が適用されます。
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右上にある歯車アイコンで表示される設定ウィンドウにはスマホアプリとのペアリング設定があり、また「LEDs in Sleep, Hibernation……」の項目ではスリープやシャットダウン中にLEDイルミネーションを点灯させるかどうかが設定できます。
GIGABYTE RGB Fusion_OFF

同社製品の「GIGABYTE AORUS RGB Memory」や「GIGABYTE AORUS GeForce RTX 2080 Ti XTREME WATERFORCE 11G」、またはサードパーティ製品の「Corsair VENGEANCE RGB PRO」や「Kingston HyperX Predator RGB」など、RGB Fusionと互換性のあるイルミネーション機器を一括して制御できます。
GIGABYTE RGB Fusion_AORUS RGB Memory

なおBIOS内の「Settings - Miscellaneus」にある「LEDs in System Power On State」ではシステムがアクティブな状態、「LEDs in Sleep, Hibernation……」の項目ではスリープやシャットダウン中にLEDイルミネーションを点灯させるかどうかが設定できます。




GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEのOC設定について

GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEを使用した場合のオーバークロックの方法を紹介します。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。


AMD Ryzen Threadripper CPUについては純正のOCツール「AMD Ryzen Master」が用意されていますが、同ユーティリティの使い方については下の記事を参考にしてください。
AMD Ryzen専用純正OCツール「AMD Ryzen Masterユーティリティ」の使い方
AMD Ryzen Masterユーティリティ


「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」ではオーバークロック関連の設定項目はトップメニュータブ「Tweaker」に各種設定がまとめられています。下にスクロールしていくと概ね「コアクロック→メモリ→電圧」の順番で並んでいます。設定値を直接入力する項目でデフォルトの「Auto」に戻す場合は「a」キーを入力すればOKです。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_BIOS_OC_1
GIGABYTE製マザーボードのOC設定については、設定項目も簡潔にまとまっていて使いやすいのですが、難点としては、テンキーの「+/-」キーで設定値の変更はできるものの、メモリ周波数やロードラインキャリブレーションの設定がプルダウンメニューでないところが非常に不便であると、ここ2,3年に渡って評価していたのですが、「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」など2019年7月以降の新製品ではこの部分が修正されました。


CPUコアクロック(コア倍率)の変更について説明します。
第3世代Ryzen Threadripperは、CPU温度や電力に関して安定動作可能な相関関係を記したテーブルがCPU内部に用意されており、それに則した形で「Pure Power」や「Precision Boost(2)」といったRyzen CPUの独自機能により動作クロックや電力がリアルタイム制御されています。
Precision Boost 2
例えばRyzen Threadripper 3970XではCPUクーラー冷却性能の影響で若干前後しますが、単コア負荷の場合は最大で4.5GHz、全コア負荷の場合はTDPの範囲内で変動しますが軽いワークロードであれば全コア4.2~4.3GHzで動作し、動画のエンコードなど重いワークロードでは冷却性能が十分ならベースクロックを上回る平均3.8~4.0GHz程度で動作します。
Ryzen Threadripper 3970X_clock
第3世代Ryzenや第3世代Ryzen Threadripper CPUの動作クロックに関する予備知識については下の記事で概要を解説しているので参考にしてください。
「Precision Boost Overdrive」を徹底解説
precision-boost-overdrive

GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEのコアクロックのOC設定方法はベースクロック(BCLK):100MHzに対する倍率指定となっており0.25倍単位でCPUコアクロックの倍率を設定できます。「CPU クロック倍率: 40.00」と設定することでデフォルトのベースクロック100MHzの40倍で4.0GHzで動作します。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_BIOS_OC_2
「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」ではベースクロックの調整にも対応しており、CPUクロック倍率の上にある「CPUベースクロック」の項目で変更可能です。100~300MHzの範囲内で0.01MHz刻みで設定できます。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_BIOS_OC_3
「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」では全コア共通の動作倍率設定だけでなく、CCX単位(3970Xの場合は4コア1セット、3960Xの場合は3コア1セット)で個別に動作倍率を設定するPer CCXにも対応しています。設定は少し面倒になりますが、CCX別にOC耐性には違いがあるので、共通のコア電圧に対して、OC耐性の良いCCXでは44倍に、OC耐性の悪いCCXは42倍に、のように細かく設定できます。Intel製CPUのBy Specific Core設定のようにコア電圧もCCX単位で調整できるとさらにOC設定の幅が広がるのですが、電圧については今のところ非対応です。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_BIOS_OC_4

「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」では単コアブーストクロックを維持したまま、電力制限を解除することで全コア最大動作倍率を引き上げることができる「Precision Boost Overdrive」もBIOSから設定が可能です。ただし設定項目は若干分かり難い場所に配置されており、「Settings - AMD Overclocking - Precision Boost Overdrive」の順にアクセスしていく必要があります。Tweakersの上のほうにショートカットを配置しておいて欲しいところです。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_BIOS_OC_5
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_BIOS_OC_6
Precision Boost Overdriveを「Manual」もしくは「Advanced」に設定にすると、第3世代Ryzenにおいても前世代と同様に、電力制限上限値を指定する「PPT Limit (W)」、最大動作クロックの制限値に影響する「TDC Limit / EDC Limit (A)」を設定できます。
さらにX570マザーボードでは第3世代Ryzenが新たにサポートする「Auto OverClocking Mode」に関する設定項目として、Precision Boost 2によるコアクロックの上昇幅を設定する「Max CPU Boost Clock Override」や、Precision Boost 2やXFRによる自動OC機能が効く温度閾値を引き上げる「Platform Thermal Throttle Limit」などのオプションが追加されています。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_BIOS_OC_7
また「AMD CBS」内にはTDP設定に近い設定項目である「Package Power Limit(PPT)」を指定する設定も用意されています。標準TDP280WのウルトラメニーコアCPUを150Wなど低い消費電力に制限して運用することができます。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_BIOS_OC_8

続いてコア電圧の調整を行います。
AMD Ryzen Threadripper CPUのオーバークロックで変更する電圧設定についてはRyzen CPUと同様に、CPUコアクロックに影響する「CPUコア電圧」と、メモリの動作周波数に影響する「SOC電圧」の2種類のみと非常に簡単化されています。
Ryzen OC Voltage
「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」ではTweakerの項目で下にスクロールしていくと、各種電圧設定項目が表示されますが、AMD Ryzen CPUの手動OCに関連する電圧設定については「CPU Core電圧」、「VCORE SOC(CPU SOC電圧)」、そして「DRAM電圧」の3項目のみに注目すればOKです。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_BIOS_OC_9

CPUコアクロックのOCに関連する電圧のOC設定としては、「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」ではCPUコア電圧(BIOS上ではCPU Core voltageもしくはCPU Vコアと表記されています)の項目を変更します。マニュアルの設定値を指定して入力する固定モードでは、コア電圧を0.00625V刻みで設定が可能です。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_BIOS_OC_10
「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」でコア電圧のオフセット設定を行う方法は少し分かり難いのですが、CPU Vコアの項目をNormalにすると、Dynamix Voltageの項目のグレーアウトが解除されて、オフセット値を指定できるようになります。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_BIOS_OC_11
CPUコア電圧モードについて簡単に説明すると、オフセットモードやアダプティブモードはCPU負荷に比例して電圧が設定されており、低負荷時は電圧が下がるので省電力に優れるのですが、OCをする場合はマザーボードによって挙動に差があり安定する設定を見極めるのが難しいので、個人的にはオフセットやアダプティブは定格向け、OCには固定値適用の固定モードを推奨しています。
仮にOCでオフセットやアダプティブを使う場合も最初はコアクロックに対して安定する電圧を見極める必要があるので、まずは固定モードを使用します。
ちなみにマザーボードにより対応しているモードは異なりますが、CPUのオーバークロックに付随するコア電圧のモードの概略図は次のようになっています。
vc

またコアクロックを高く設定する時に追加で変更するといい電圧設定項目としてロードラインキャリブレーションがありすが、Tweakersの下の方に配置された「高度な電圧設定 - CPU/VRM Settings」を順番に選択していくとアクセスできます。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_BIOS_OC_12
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_BIOS_OC_13
「CPU VRINロードラインキャリブレーション」はCPU負荷時の電圧降下を補正してOCを安定させる機能です。補正を強くするほどOCの安定性は増しますがCPUやVRM電源部分の発熱も大きくなるので、基本的にはMedium辺りを最初に使って、ストレステストのCPU温度をチェックしながらモードを上げていくのがおすすめです。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_BIOS_OC_14


メモリのオーバークロックについても簡単に紹介しておきます。
メモリの性能について簡単に言うと「動作クロックが高く」「タイミングが小さい」ほど性能は高くなります。そのためメモリOCを手動で行う手順を簡単にすると「電圧を上げて動作可能なクロックを探し」、「そのクロックにおいて正常に動作する最小のタイミングを探る」という2つの手順を繰り返すことになります。
一方でXMPによるメモリOCは上の手順によるOCをメーカー側がすでに行い動作確認をしているので、メーカーが動作確認を行ったOCプロファイルを適用するだけで簡単にメモリをオーバークロックできます。

なおAMD Ryzen Threadripper環境ではメモリのオーバークロックに伴って、コアクロックOC時のコア電圧の要求値が上がるので注意してください。
メモリOCではPOSTすらクリアできずBIOSに到達できないことも少なくありませんが、「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」では正常にPOSTできないメモリOC設定でエラーが出た場合は数回再起動した後、自動で2133MHzのような緩い設定で起動してくれるのでメモリOCを安心して行えます。


メモリOCで有名なXMPプロファイルはIntelの策定した規格なのでAMD CPU&マザーボードの環境では厳密にいうと非対応ですが、GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEではXMPプロファイルの項目が表示されており、XMPプロファイルからRyzen環境で動作しそうな適当なOCプロファイルを自動生成して適用してくれます。「エクストリーム・メモリ・プロファイル(XMP)」を選択して表示されるポップアップからプロファイルを選択すればOCプロファイルによるメモリのオーバークロックが可能です。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_BIOS_OC_15
「XMP設定の読み込み」の設定値が無効になっている場合は、使用するメモリにSPD情報として収録されている動作クロック2133~2666MHzなどのメモリ周波数およびタイミングによる定格動作となります。
手動でメモリ周波数を設定する場合は「DRAM周波数(DRAM Frequency)」の項目でプルダウンメニューから最大6000MHzまでの動作クロック(倍率)設定が可能です。「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」ではメモリ周波数もBCLKに対する倍率で表示されます。
メモリ周波数もBCLKに対する倍率で動作周波数が決まっているので、BCLKを標準値の100MHzから120MHzに上げると、44倍設定時の動作周波数は4000MHzから5280MHzに上がります。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_BIOS_OC_16
「高度なメモリ設定 - MemorySubtimings」を選択するとメモリタイミングの個別打ち込み設定が表示されます。メモリタイミングを手動で設定する場合は基本的には「CAS Latency (tCL)」、「RAS to CAS Read (tRCDrd)」、「RAS to CAS Write (tRCDwr)」、「RAS Precharge (tRP)」、「RAS Active Time (tRAS)」の主要な5タイミングと、加えて各種タイミングの下の方に配置されている「Command Rate:1 or 2」の6つ以外はAutoのままでいいと思います。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_BIOS_OC_17
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_BIOS_OC_18
メモリ周波数を3200MHz以上にOCして動作が安定しない場合は、「GearDownMode」をEnabled(有効)に設定すると動作が安定するかもしれないので、Auto(自動)で上手くいかない場合は設定を変更してみてください。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_BIOS_OC_19
メモリタイミングの下の方にある「ProcODT」という設定値がAutoのままではPOSTがクリアできなかったり、OS起動後に安定しない場合があります。そういった場合は「ProcODT」を43.6~68.6の間で固定して安定するものを探してみてください。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_BIOS_OC_20

DDR4メモリの周波数OCを行う際は「DRAM CH AB/CD Voltage」からDRAM電圧を昇圧します。3000MHz以上にOCする場合は1.300~1.350V、3600MHz以上にOCする場合は1.370~1.400Vに上げる必要があります。メモリをOCする場合は最初から1.350V以上にDRAM電圧を盛っておくのがおすすめです。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_BIOS_OC_21
AMD Ryzen Threadripper CPUでメモリの動作クロックをOCする場合はDRAM電圧だけでなく「CPU SOC電圧(VCORE SOC)」も1.100V程度に盛ってやると動作が安定しやすいようです。GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEではCPUコア電圧同様に0.00625mV刻みで値を設定できます。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_BIOS_OC_22

また第3世代Ryzen Threadripper CPU環境ではメモリ周波数3600MHzまではInfinity Fabric周波数が1:1で同期しますが、3733MHz以上では2:1で同期し、Infinity Fabric周波数がメモリ周波数の半分になります。
「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」では「Infinity Fabric Frequency and Dividers」の項目を指定することで3733MHzや3800MHzのメモリ周波数において、Infinity Fabric周波数の1:1同期が可能になります。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_BIOS_OC_23





GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEの動作検証・OC耐性

BIOS周りの管理人的に気になるところの紹介はこのあたりにして、GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEを使用した検証機で具体的に動作検証とOC耐性をチェックしていきます。

まずはFast Bootとフルスクリーンロゴを無効にしてOSの起動時間を測定したところ、GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEの起動時間は38秒ほどした。多機能なエンスー向けマザーボードなので仕方ありませんが、POSTに時間がかかっていて起動は遅めです。



続いてGIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEを使用した場合のCPUとメモリのオーバークロック耐性をチェックしてみました。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。


第3世代Ryzen Threadripperは、従来のRyzen CPUと同様にCPUクーラーの冷却性能に応じた自動OC機能「Precision Boost 2 & XFR 2 (Extended Frequency Range 2)」が機能しますが、第3世代Ryzen Threadripperではその際に参照されるテーブルが限界近くまでチューニングされており、ユーザーが設定を変更したとしてもコアクロックを上昇させることが可能なマージン(ヘッドルームと呼ばれている)が非常に小さくなっています。
第3世代Ryzen Threadripperについてはコアクロック回りを下手に弄るよりも、定格のまま、もしくはPrecision Boost Overdriveで電力制限を解除する程度に留め(定格と比べて消費電力の増加に対する性能の伸びは小さいが)、360サイズ簡易水冷CPUクーラーのような高性能なCPUクーラーの冷却性能にまかせて自動OC機能によるクロックアップを狙うのがオススメです。

Ryzen Threadripper 3970XのOC設定については、Precision Boost Overdriveを有効化して『PPT = 1000W、TDC = 490A、EDC = 630A』、また「CPUコア電圧:-0.100V(オフセット)」に設定しています。メモリのOC設定は「メモリ周波数:3600MHz」「メモリタイミング:14-15-15-35-1T」「メモリ電圧:1.480V」としました。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_OC Test_BIOS (1)GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_OC Test_BIOS (2)

上の設定を適用したところ問題なくOSを起動させることができました。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_OC test_1
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_OC test_2


GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEの環境(BIOS:F3f)では8GB×8枚=64GBの構成で、メモリ周波数を3600MHzにOCしてメモリタイミング:14-15-15-35-CR1に詰めることができました。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_OC test_memtest
3600MHz/CL14のOCプロファイルが収録されたOCメモリ「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN」が2セット用意できなかったので、同じOC設定のF4-3600C14D-16GTZNを2セット組み合わせて、8GB×8枚=64GBのシステムメモリを構築しましたが、3600MHz/CL14で問題なく動作しました。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME review_04439_DxO
なお今回の検証ではメモリ電圧をOCプロファイルの1.400Vから1.450Vに昇圧していますが、1.400Vに設定してRAM Testを実行すると、スポットクーラーでメモリを冷やす場合はテストをクリアできたのですが、スポットクーラーで冷やさない場合は20~30分程度経過してメモリ温度が上がるとエラーが出ました。
G.Skillから発表されている第3世代Ryzen Threadripper向けメモリキットで3600MHz/CL14のモデルが1.450Vに設定されていたのは、温度の問題で昇圧する必要があったのではないかと思います。
speclist-eng


32コア64スレッド「AMD Ryzen Threadripper 3970X」のPB2&XFR2による全コア4.0GHzへのクロックアップに加えて、メモリ周波数を3600MHzにオーバークロックして、Cinebench R20も問題なくクリアできました。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_OC test_cinebench


続いてスマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE Pro」(レビュー)を使用して「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」のVRM電源温度をチェックしていきます。
CPUへ電力供給を行うVRM電源に負荷をかけるためCPUに対してストレステストを実行しますが、その検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)でAviutl+x264を使って4並列のエンコードを行い、30分以上に渡って負荷をかけ続けました。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
Ryzen Threadripper 3970X_Stress


【2020年1月19日追記】-------------
検証当時に使用したCPUクーラーに動作不良があったため、以下の検証において、AMD Ryzen Threadripper 3970XのCPU温度が本来よりもかなり高く、またCPUコアクロックが低くなっています。
CPUクーラーに「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」&「Noctua NF-A12x25 PWM x3」を使用し、ファン回転数を1600RPMに固定した時の、正しいCPU温度やCPUコアクロックは下のグラフのようになります。
AMD Ryzen Threadripper 3970X_clockAMD Ryzen Threadripper 3970X_temp

上のグラフのようになるはずのCPU温度がより高い温度になるため、CPUの熱がVRM電源に伝搬し、さらにCPU温度が高いほどCPU消費電力は上がってしまう傾向にあるので、下記の検証ではVRM電源に対して本来よりも厳しいストレステストを実行したことになります。

CPUクーラーに「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」&「Noctua NF-A12x25 PWM x3」を使用した結果としては正しくないのですが、それよりも性能の低いCPUクーラーを使用したと考えれば評価は可能な結果となっています。「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」&「Noctua NF-A12x25 PWM x3」で適切に冷やせた場合は、下記の結果よりもVRM電源温度は10度前後下がる可能性があります。
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ストレステスト中のCPU温度とCPU使用率のログは次のようになりました。
まずはCPU定格動作について、マザーボードにGIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEを使用してRyzen Threadripper 3970Xにストレステストを実行すると、CPU温度は平均76.9度、最大80.0度、コアクロックは平均3752MHzとなります。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_Test_stress_3970X_def
次にPrecision Boost Overdrive適用時について、マザーボードにGIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEを使用してRyzen Threadripper 3970Xにストレステストを実行すると、CPU温度は平均89.3度、最大92.0度、コアクロックは平均3976MHzとなります。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_Test_stress_3970X_PBO


検証機材の360サイズ簡易水冷CPUクーラー「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」によって十分な冷却を行った場合、Precision Boost Overdriveで電力制限の解除された、32コア64スレッドのRyzen Threadripper 3970Xは全コア平均4.0GHz程度で動作しますが、ここにメモリ周波数3600MHzのメモリオーバークロックを組み合わせてストレステストを実行すると、GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME環境ではシステム消費電力(ほぼCPU消費電力)が450~500Wに達します。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_Test_3970X_PBO_power

AMD Ryzen Threadripper 3970Xを使用すると定格動作でもシステム消費電力は350W前後に達しますが、「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」はパッシブ空冷のままでもVRM電源周りが80度前後に収まるという良好な結果を出しています。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_FLIR_3970X_def
続いてRyzen Threadripper 3970XをPBOによって全コア4.0GHzにクロックアップしており、システム消費電力は450~500Wに達するので、ソフトウェアモニタリング上で最大84度、サーモグラフィーで確認できる最大温度は90度を超過しました。100度の大台にも達しておらず、これ以上温度が上がればVRM電源冷却ファンが始動するので、Ryzen Threadripper 3970Xを運用する上では許容範囲内に収まっていると思いますが、すでにレビューしている他3社のハイエンドモデルに比べると高めの温度になっています。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_FLIR_3970X_PBO

「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」のVRM電源冷却ファンは標準プリセットにおいてVRM電源温度が84度を超えるまで始動しないので、VRM電源温度が70度に達したらVRM電源ファンが始動するようにマニュアル設定を施して、Ryzen Threadripper 3970XをPBOによって全コア4.0GHzにクロックアップした状態で同様のストレステストを実行してみました。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_OC test_VRM-Fan_manual
上のような設定でVRM電源ファンを動作させると、VRM電源ファンのファン速度は3300RPM程度となり、VRM電源温度はファンが動作しない時に比べて4度低下しました。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_Test_stress_3970X_PBO_VRM-Fan
リアI/Oカバー内のVRM電源冷却ファンが3300RPM程度で動作した時のノイズレベルは36dB程度なので、ファンノイズの大きさは特に問題になりません。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME review_04741_DxO
VRM電源冷却ファンを動作させたとしてもサーモグラフィーを見ての通りVRM電源周辺の温度は80度後半に達しており、やはり他3社と比較しても高温です。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_FLIR_3970X_PBO_Fan

「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」は360サイズ簡易水冷CPUクーラーで冷却可能なOC・電力制限解除であれば標準装備だけでもVRM電源を十分低温に収めることができますが、製品寿命を延ばすためさらに低温に保ちたい時、もしくはDIY水冷などでさらに上のOCを目指す時に、VRM電源の冷却を増強すべくスポットクーラーを使用するのであれば、フレキシブルファンアーム「サイズ 弥七」や、可変アルミニウム製ファンフレームでVRM電源を狙って設置が容易な「IN WIN MARS」がオススメです。
マザーボードVRM電源クーラーのレビュー記事一覧へ
マザーボードVRM電源クーラー



GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEのOC検証に関する補足

今回の検証においては「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」は他3社に比べて見劣りするというのが正直な感想です。
まずメモリOCについては上で紹介したように、一応、RAM Testで安定動作と評価できる程度の結果は得られたのですが、「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」の環境では同条件において、稀にPOST時にエラーが発生することがある、メモリ電圧を1.480Vと高めに設定する必要がある(HWiNFOの値を信じるなら設定値より実際の値が低いため)、などすでにレビューを公開している他3社のハイエンドモデルに比べて、メモリOCの安定性にはやや疑問が残る結果となりました。自動設定回りが怪しいので今後のBIOSで改善されることに期待したいです。

またCPUに負荷がかかった時のVRM電源温度が他3社よりも高いところも気になります。RAM Testによるメモリテストも動画エンコードほどではないものの負荷が大きいので、VRM電源の温度が伝搬して付近にあるメモリ温度が上昇することで、メモリOCの安定性が下がる可能性があります。
CPUソケット上のVRM電源ヒートシンクに直接冷却ファンが乗っているASRockとASUSの2社はともかくとして、VRM電源クーラーの構造が似通っているMSIと比較しても「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」のほうが全体的に高温なところは特に気になりました。
GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME_3970X_PBO-tile



GIGABYTE TRX40 AORUS XTREMEのレビューまとめ

最後に「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • ”DOMINANT IN DARKNESS”と表現されるAORUS XTREMEの黒一色のクールなデザイン
  • マザーボード備え付けのアドレッサブルなLEDイルミネーションが綺麗
  • 16フェーズの堅牢なVRM電源回路、アクティブ空冷な超大型VRM電源クーラーを搭載
  • 32コアRyzen TR 3970X 4.0GHz(PBO)、メモリクロック3600MHz OCで安定動作
  • 外部センサーと搭載で水温ソースのファンコンも可能なので水冷PCにも最適
  • 重量級グラボにも耐える2大独自機能「Ultra Durable PCIe Armor」と「Double Locking Bracket」
  • 外部ノイズから保護することで安定したメモリOCを実現する「Ultra Durable Memory Armor」
  • 外部温度センサーに対応したファンコン「Smartfan 5」は多機能で使いやすい
  • ヒートシンク搭載、PCIE4.0対応NVMe接続のM.2スロットを4基設置
  • PCIE4.0対応M.2スロット4基増設拡張ボードが付属
  • リアI/OにIntel X550-AT2コントローラーによる2基の10Gb LANを標準搭載
  • WiFi6、最大通信速度2400Mbps、Bluetooth5.0に対応したIntel製の無線LAN搭載
  • 別売りのThunderbolt3拡張ボードGC-TITAN RIDGEに対応
  • スタート・リセットスイッチなど動作検証に便利なオンボードスイッチ
悪いところor注意点
  • マザーボードサイズはATXより幅が20mm程長く
    PCIEスロット8段で+1段分だけ縦にも長いXL-ATXなのでPCケースとの干渉に注意
  • 他3社のハイエンドモデルと比べてVRM電源温度が高い

「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」は、縦長のXL-ATXサイズによって1スロットスペースのx16サイズPCIEスロットを4基搭載、リアI/OにIntel X550-AT2コントローラーによる2基の10Gb LANを標準搭載、Thunderbolt3端子増設拡張ボードGC-TITAN RIDGEに対応、マザーボード上のM.2スロット4基に加えてPCIE4.0対応M.2スロット4基増設拡張ボードAORUS Gen4 AIC Adapter Cardが付属など、クリエイターにとって重要なストレージ・ネットワーク機能において最強のTRX40マザーボードと言っても過言ではないスペックです。同社下位モデルDESIGNAREが顔負けなクリエイター向けの最強TRX40マザーボードに仕上がっていると思います。

TDP280Wの第3世代Ryzen Threadripperに対応すべく開発されただけあって、16+3フェーズの堅牢なVRM電源回路に、アクティブ冷却ファンも内蔵するフィンアレイ型ヒートシンク、放熱を補助するナノカーボン表面加工が施されたバックプレートなど、VRM電源周りについても充実しています。

ソフト面においてもGIGABYTE社のファンコントロール機能「Smartfan 5」は外部センサーを含めた9個温度センサーをソースに8基のファンを自由自在に制御できるので、これを目当てにGIGABYTE製マザーボードを購入しても後悔のないほど非常に優れた機能になっており、水冷ユーザーにもおすすめです。

BIOSデザインについては好みの問題かと思いますが、「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」ではカーソルキー操作を基本としたクラシカルなUIが採用されており管理人的に好みでした。ただグラフィカルUI好きにとっては物足りないかもしれません。翻訳は一部誤訳があるものの比較的まともですが、日本語フォントの調整が微妙なのが玉に瑕です。メモリ周波数やLLCの項目がメニュー選択式に改善されたことで使いやすさも向上しています。


Ryzen Threadripper 3970Xなど第3世代Ryzen Threadripperの特性上、PBOで電力制限を解除するだけに留まって、今回はCPUコアクロックのオーバークロックは行いませんでしたが、「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」を使用した検証機では32コア64スレッドRyzen Threadripper 3970Xを自動OC機能によって全コア4.0GHzにクロックアップし、メモリも3600MHz/CL14にオーバークロックして安定動作させることができました。

手動OCを行わずとも高性能なCPUクーラーを組み合わせた時に自動的にクロックアップする第3世代Ryzen Threadripper CPUと組み合わせるTRX40マザーボードの評価において、CPUへ電力供給を行うVRM電源回路の品質やVRM電源クーラーの冷却性能が重要なファクターになるのは言うまでありません。
「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」ではPBOによる電力制限解除によって400W超クラスの負荷が発生するRyzen Threadripper 3970Xの全コア4GHzクロックアップに対して、16フェーズの超堅牢なVRM電源によって安定した電力供給を行うことができました。
VRM電源の冷却面においては、フィンアレイ型ヒートシンク、放熱補助バックプレート、アクティブ冷却ファンなど充実した装備によってRyzen Threadripper 3970Xを運用する上で及第点を与えられるだけの結果は得られたのですが、すでにレビューを公開した他3社のハイエンドモデルと比べると冷え具合が一歩劣る感じになったのが少し残念でした。
VRM電源回路直上のヒートシンクに冷却ファンを搭載しているASUSとASRockはともかくとして、構造的に似通っているMSI Creator TRX40との差が特に気になりました。サーモグラフィを見ての通りVRM電源温度はすぐ近くにあるDDR4メモリにも伝搬して、メモリ温度にも差が出ています3200MHzから3600MHzの高周波数かつ低レイテンシなOCメモリでパフォーマンスの向上するRyzen Threadripper環境では冷えるに越したことはないという事情もありますし。

メモリOCについては8GB×8=64GB構成において、メモリ周波数に同期するIF周波数も含めて考えれば第3世代Ryzen Threadripper環境では最速クラスとなるメモリ周波数3600MHz/メモリタイミング14-15-15-35-CR1が、検証機材メモリ「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN」に収録されたOCプロファイルを適用することで簡単に実現できました。
ただ安定動作している時はRAM Testでの長期チェックもクリアできているのですが、偶にPOSTでエラーが出たり、起動直後にフリーズする症状も見られたので、自動設定のどこかが都度変わっているのか、安定していない感じも見受けられました。このあたりは今後のBIOSアップデートで改善を期待したいところです。

またOCプロファイルを使用しない手動OCにおいても、メモリ周波数と主要タイミングのみを設定するカジュアルOC設定でメモリ周波数3600MHz/メモリタイミング16-16-16-36-CR1で安定動作させることができました。AMD公式から第3世代Ryzen Threadripper環境のメモリ速度としてはスイートスポットと評価される3600MHz/CL16に、周波数と主要タイミングのみの簡単なOC設定で詰めることができたので、「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」は回路品質だけでなくBIOS自動設定の精度という意味においてもメモリOC耐性は余裕で及第点をクリアしていると思います。

以上、「GIGABYTE TRX40 AORUS XTREME」のレビューでした。
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Ryzen Threadripperは従来のCPUに比べて非常に大きいヒートスプレッダが採用されているので、大型ベースコアを採用するThreadripper専用CPUクーラーがおすすめです。


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