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変換効率90%のGold認証を取得かつ850Wの電源容量を備えたハイパフォーマンスATX電源ユニット「Super Flower LEADEX III GOLD 850W」をレビューしていきます。ハードウェアスイッチで切り替え可能なセミファンレス機能の使い勝手や、GeForce RTX 2080 Tiなどハイエンドグラフィックボードを搭載する環境において静音動作が可能なのかについて徹底検証していきます。
代理店公式ページ:http://www.dirac.co.jp/leadex-iii-gold/
Super Flower LEADEX III GOLD 850W レビュー目次
1.Super Flower LEADEX III GOLD 850Wの外観
2.Super Flower LEADEX III GOLD 850Wのケーブルや電源端子について
3.Super Flower LEADEX III GOLD 850Wの負荷別のファンノイズについて
4.Super Flower LEADEX III GOLD 850Wのレビューまとめ
Super Flower LEADEX III GOLD 850Wの外観
早速パッケージを開封してSuper Flower LEADEX III GOLD 850Wの外観や付属品をチェックしていきます。パッケージの構造はN式箱で、天面を短辺方向に開くので開封時のスペースが最小限です。キャラメル箱型の外スリーブや長辺方向に開くN式箱でないのは個人的に好感が持てるところです。
パッケージを開くと左側にはスポンジスペーサーに保護された電源ユニット本体が収められており、各種ケーブル類は専用の不織布バッグに封入された状態でパッケージ右側に収められていました。
プラグインケーブル以外の付属品としては固定ネジとACケーブルです。付属ネジはハンドスクリューなのでツールレスで固定できます。
「Super Flower LEADEX III GOLD 850W」本体をチェックしていきます。
最近はPSUシュラウド(PSUカバー、チャンバー構造)を搭載したPCケースが多いからか、「Super Flower LEADEX III GOLD」シリーズの天面は何の装飾もないフラットなパネルです。
一方でPSUシュラウドに電源ユニット側面が覗けるウィンドウが備わったPCケースもあるので、電源ユニット側面は、Super Flowerのメーカー名ロゴと蝶のアイコンロゴが凹凸加工で描かれています。
Super Flower LEADEX III GOLD 850Wは電源容量850Wでメインストリーム向け電源としては比較的大容量ですが、ATX電源として標準的な奥行160mmです。
「Super Flower LEADEX III GOLD」シリーズには近年主流な140mm角ではありませんが、130mm角、125mmサイズの冷却ファンが搭載されています。軸受けには摩擦が少なく低速回転に適した流体動圧軸受(FDB:Fluid Dynamic Bearing)が採用されています。
「Super Flower LEADEX III GOLD 850W」は電源ユニットが低負荷で温度が低い時に冷却ファンを停止させるセミファンレス機能「ECO Intelligent Thermal Control System II」が採用されています。セミファンレス機能は電源ユニット背面の3段階ロッカースイッチで制御する構造になっていて、2種類のセミファンレスモードと常時回転モードの3種類から選択できます。
ロッカースイッチを『 O 』に設定すると、1つ目のセミファンレスモードになります。Oモードでは電源ユニット内部の気温センサーによって冷却ファンが制御され、内部温度が62~68度に達するとファンが始動、逆に47~53度に下がるとファンが停止するヒステリシスループ制御も採用されています。
ロッカースイッチを『 I 』に設定すると、1つ目のセミファンレスモードになります。Iモードでは電源ユニット内部の気温センサーによって冷却ファンが制御され、内部温度が42~48度に達するとファンが始動、逆に27~33度に下がるとファンが停止するヒステリシスループ制御も採用されています。
ロッカースイッチを『 II 』に設定すると、冷却ファンが常時回転するモードになります。IIモードでは内部温度45度まではファン回転数800RPMで動作し、そこから内部温度に比例してファンが速くなっていきます。
「Super Flower LEADEX III GOLD 850W」は電源ケーブルが全て着脱可能なフルプラグイン型で、プラグイン端子は次のようになっています。
ACコンセントケーブルは国内のPC関連でよく使われる3PINタイプの端子になっています。コンセントからの電力供給を簡単にカットできるロッカー型ハードウェアスイッチが付いています。
「Super Flower LEADEX III GOLD 850W」はシステム負荷50%の環境下において90%以上の電力変換効率を発揮することが確認済みの80PLUS Gold認証が取得されています。電源容量は850Wで、+12V出力はシングルレールで70.8Aの出力に対応しています。Intel Core-XやAMD Ryzen ThreadripperのOC環境ではCPUへ電力供給を行うEPS端子だけでも20A以上の出力を要求することもありますが、シングルレール70Aの出力が可能なSuper Flower LEADEX III GOLD 850Wなら安定した電力供給が可能な容量を備えています。
「Super Flower LEADEX III GOLD 850W」を含めSuper Flower LEADEX III GOLDシリーズのキャパシタには、1次側と2次側の全て日本メーカー製105℃コンデンサが採用されています。±1.5%以内の厳格な電圧制御を可能とし、製品保証については国内正規代理店ディラックを介して5年保証が提供されます。
Super Flower LEADEX III GOLD 850Wのケーブルや電源端子について
「Super Flower LEADEX III GOLD 850W」に実装されている電源コネクタの種類やケーブル長についてチェックしていきます。「Super Flower LEADEX III GOLD 850W」のプラグインケーブルは製品パッケージ内の電源ユニット本体左側に収められていた不織布バッグの中に入っています。
Super Flower LEADEX III GOLD 850Wで使用するプラグインケーブルは、ATX24PIN電源とEPS電源とPCIE補助電源の3種類は黒色スリーブまとめ型ケーブル、SATA電源と4PINペリフェラル電源の2種類は省スペースで取り回しに優れたフラットきしめん型ケーブル(リボンケーブル)で構成されています。
スリーブまとめ型ケーブルは一般には安価な電源ユニットに採用されることの多いケーブルの種類になりますが、「Super Flower LEADEX III GOLD 850W」に付属するケーブルのマザーボードに接続する側のコネクタの根本を確認してみると、熱収縮チューブが明らかに膨らんでおり、どうやら電力波形の安定化やノイズ低減のためコンデンサ等の素子がケーブル側にも埋め込まれているようです。そのため「Super Flower LEADEX III GOLD 850W」では高級電源で採用の多いフラットきしめん型ではなくスリーブまとめ型のケーブルが採用されているようです。
「Super Flower LEADEX III GOLD 850W」で使用可能な電源ケーブルの長さやコネクタ数の一覧は次のテーブルのようになっています。
Super Flower LEADEX III GOLD 850Wの電源ケーブルについて個別にチェックしていきます。
Super Flower LEADEX III GOLD 850WのATX24PINケーブルのATX24PINケーブルは一般的なミドルタワーPCケースに対応可能な600mmの黒色スリーブまとめ型ケーブルです。
PCI-E補助電源とEPS電源のケーブルは見分けるのが面倒ですが、「Super Flower LEADEX III GOLD 850W」のプラグインケーブルではそれぞれの電源コネクタの側面に「VGA」や「CPU」と表記されており、自作PC初心者にもわかりやすくなっています。
「Super Flower LEADEX III GOLD 850W」にはEPS電源ケーブルとして650mmのケーブルが2本付属します。Intel Core-Xに対応するX299マザーボードやAMD Ryzen Threadripperに対応するTRX40マザーボードなどエンスー向け高性能マザーボードではEPS電源として8+4PINや8PIN×2を要求するものもありますが、Super Flower LEADEX III GOLD 850WではEPS電源8PIN端子は2基搭載されているので問題なく対応可能です。
なお電源容量750Wモデルは同様に2本が付属しますが、650Wモデルと550Wモデルは1本のみなので注意してください。
2本のEPS電源ケーブルはマザーボードに接続するEPS電源コネクタが両方ともロックピン付きのコネクタになっています。
「Super Flower LEADEX III GOLD 850W」に付属するPCI-E補助電源ケーブルは8PIN(600mm)からもう1つの8PIN(150mm)が分岐するケーブルです。8PINコネクタはいずれも6+2PINに分離可能なタイプです。
「Super Flower LEADEX III GOLD 850W」のPCIE補助電源ケーブルは同種のケーブルが3本付属しています。コネクタ数的にはマルチGPUにも対応可能ですが、ハイエンドGPUでマルチGPUを組むとなると電源容量的にギリギリなので、その場合は電源1000W以上の製品を選択した方がいいと思います。
なお電源容量750Wモデルは同様に3本が付属しますが、650Wモデルと550Wモデルは2本のみなので注意してください。
SATA電源ケーブルとして、全長760mm(400 + 120 + 120 mm)で3コネクタのケーブルが3本付属します。SATA端子は9基使用可能となっており多数のHDDストレージを搭載するようなサーバー機用の電源としても使用できます。
4PINペリフェラル電源ケーブルは760mm(400 + 120 + 120 + 120mm)で4コネクタのケーブルです。
Super Flower LEADEX III GOLD 850Wの負荷別のファンノイズについて
Super Flower LEADEX III GOLD 850Wの負荷に対する冷却ファンの動作をチェックしてみました。Super Flower LEADEX III GOLD 850Wの検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成 | |
OS | Windows10 Home 64bit |
CPU |
Intel Core i9 9900K(レビュー) Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
M/B | ASUS WS Z390 PRO (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKK DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 4000MHz, CL17-17-17-37-CR2 |
システムストレージ |
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB MZ-N6E1T0B/IT (レビュー) |
PCケース/ ベンチ板 |
STREACOM BC1 (レビュー) |
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製3bit-MLC型64層V-NANDのメモリチップを採用するメインストリーム向け最新SATA接続M.2 SSD「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」を使用しています。「Samsung SSD 860 EVO M.2」は2.5インチSATA SSDと同等のパフォーマンスをケーブルレスで発揮できる手軽さが魅力です。Samsung SSD 860 EVOシリーズの容量1TB以上のモデルは大容量データの連続書き込みにおける書き込み速度の低下というTLC型SSDの欠点も解消されているので、大容量ファイルをまとめて入れても余裕のあるメインストレージとしてお勧めのSSDです。
・「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」をレビュー
上記のベンチ機でグラフィックボードをGeForce GTX 1050 Ti、GeForce GTX 1650、GeForce GTX 1660 Ti、GeForce RTX 1070、GeForce RTX 2080、GeForce RTX 2080 Ti、Radeon VIIなどに変え、それぞれについて消費電力と負荷時の電源ファンのファンノイズを測定しました。測定負荷にはFireStrike Extremeグラフィックテスト1を15分以上ループさせています。
消費電力の測定にはBluetooth接続でスマホから消費電力を見られるワットチェッカーを使用して、電源ユニットの変換損を含めたシステム全体の消費電力をチェックしています。なお同ワットチェッカーでは消費電力は1秒ごとにW単位で表示されますが、平均的な数値になっており実際の瞬間最大値はさらに高い値を取っている場合があります。記事中では表示値からおおよその平均を取って表記しますが、実際には+100Wから+200Wの瞬間的な負荷が発生することがあるので注意してください。
サウンドレベルメーターを利用してゲーム負荷時のノイズレベルを測定・比較しています。ノイズレベルの測定には「サンワダイレクト 400-TST901A」を使用しています。電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質にもよるので注意してください。
またベンチ機のCPUクーラーやグラフィックボードから出るファンノイズについては吸音材の板を使用して電源ユニット本体のファンノイズ測定への影響を下げています。非負荷時にグラフィックボードのファン回転数を負荷時の最大値に固定してもサウンドレベルメーターが35~36dBしか示さないのでこれらの影響は基本的に無視して問題ありません。
消費電力とファンノイズの測定結果は次のようになりました。
「Super Flower LEADEX III GOLD 850W」のファンノイズについては、シングルグラフィックボード環境で一般的に消費される400W以下の負荷において、冷却ファンの常時動作モードではノイズレベルが37dB以下に収まるという優れた結果です。一方でファンレス動作についてはファンが内部温度センサーで制御されるのでファンの始動と停止を繰り返し、始動時のファンノイズが45dB程度と高い値を示しました。ファンの常時動作モードが十分な静音性を実現しているので、セミファンレスモードはあまりオススメできません。
グラフィックボードにGeForce RTX 2080 Tiを使用して1時間以上に渡って400Wクラスの電源負荷をかけ続けてみましたが、「Super Flower LEADEX III GOLD 850W」のファンノイズの騒音値は37dB程度に収まりました。シングルグラフィックボード環境なら電源ユニットのファンノイズが煩く感じることはまずあり得ないと思います。
「Super Flower LEADEX III GOLD 850W」は内部温度センサーを制御ソースとしてファンコントロールを行うので環境によって差が出る可能性はあるものの、近年の一般的なPCケースでは電源ユニットが底面吸気の別チャンバー扱いなので検証結果に近い静音性が得られるはずです。
「Super Flower LEADEX III GOLD 850W」は内部温度センサーを制御ソースとしてファンをコントロールする2種類のセミファンレス動作に対応しており、今回は始動・停止の閾値が高いMode-Oについて検証してみました。
400Wクラスの電源負荷をかけても内部温度センサーが始動閾値に達するまではファンが停止します。
ファンの始動と停止は内部温度センサーで制御されているので、長期的に負荷をかける場合、ファンの始動と停止を繰り返すことになります。今回の検証において、300W負荷時は10分、400W負荷時は5分程度の間隔でファンの始動と停止を繰り返しました。
ファンの始動と停止を繰り返すこと自体は特に問題はないのですが、ファンレスモードにおけるファン始動時から停止までのファンノイズがファン常時動作モードの時よりもかなり大きく、45dB程度を示しました。大きいファンノイズを伴って一定間隔でファンの始動と停止を繰り返すことが予想されるため、「Super Flower LEADEX III GOLD 850W」のセミファンレス機能については利用をお勧めできません。
セミファンレスモード Mode-Oにおける始動直後から停止直前まで(最短ルートを仮定)のファン速度は公式資料を参考にすると、ファン常時動作モードの低温動作時とほぼ同等の800~900RPM程度なので、ファンノイズも同程度になるはずですが、腑に落ちない結果でした。
Super Flower LEADEX III GOLD 850Wのレビューまとめ
最後に「Super Flower LEADEX III GOLD 850W」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 電源容量850W、変換効率90%以上のGold認証取得のハイパフォーマンス電源ユニット
- +12Vは70.8Aのシングルレール出力
- 奥行160mmの標準的なサイズのATX電源ユニット
- シングルグラフィックボード環境の400W以下の負荷に対してノイズレベルは37dB程度
- 内部温度センサーをソースにした2種類のモードでファンレス動作が可能
- ファンレス機能は背面スイッチで簡単にON/OFF含めモード切り替えが可能
- 電源ケーブルに電圧を安定させる素子が内蔵されている
- 5年間の長期保証
- ATX24PIN、EPS電源、PCIE補助電源の電源ケーブルは黒色スリーブまとめ型
- セミファンレス動作は始動時のファンノイズが大きいので非推奨
「Super Flower LEADEX III GOLD 850W」は50%負荷時の変換効率が90%以上のGold認証を取得かつ電源容量も850Wの大容量モデルなので、GeForce RTX 2080 TiやRadeon VIIなどハイエンドグラフィックボードとCore i9 9900KやRyzen 9 3900Xなどメインストリーム向け最上位CPUの組み合わせにも対応できるスペックです。
冷却ファンの静音性については、シングルグラフィックボード環境で一般的に消費される400W以下の負荷においてノイズレベルが37dB程度に収まるという優秀な結果です。一般的なシステムの負荷においては、40dBを余裕で下回る数値なので電源ユニット冷却ファンが主とした騒音源になることはなく、またファンノイズを認識できたとしても(PCケースに入れてしまえばおそらく聞こえないレベルのファンノイズですが)、煩く感じることはないと思います。
一方でSuper Flower LEADEX III GOLDシリーズについてはハードウェアスイッチで簡単に切り替え可能なセミファンレス機能もアピールポイントの1つでしたが、実際に動作を検証してみると、ファン始動時のファンノイズがファン常時動作モードと比べてかなり大きくなり、そのファンノイズを伴って一定間隔でファンの始動と停止を繰り返します。ファンノイズ的に快適な運用は期待できないというのが正直なところなので、ファン常時動作モードでの運用をオススメします。
以上、「Super Flower LEADEX III GOLD 850W」のレビューでした。
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「Super Flower LEADEX III GOLD 850W」をレビュー
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) February 20, 2020
良い
✅電源容量850W、変換効率90%以上のGold認証取得
✅400W以下の負荷に対して騒音値は37dB程度
✅背面スイッチで簡単に切り替え可能なセミファンレスモード
悪いor注意
⛔セミファンレスは始動時のファンノイズが大きいhttps://t.co/4SIc4prqZX
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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