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ラジエーターに設置されたファンハブと2種類のファン・ポンプ制御モードという独自機能を継承し、新たに水冷ヘッドと冷却ファンにアドレッサブルLEDイルミネーションを搭載した、360サイズ簡易水冷CPUクーラーの新モデル「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma(型番:FD-W-2-S3602)」をレビューします。
Asetek製第6世代水冷ヘッドと360サイズ大型ラジエーターを採用する「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」の冷却性能をAMD Ryzen 9 3950XやIntel Core i9 10980XEといったスーパーメニーコアCPUで徹底検証していきます。
代理店公式ページ:https://www.ask-corp.jp/products/fractal-design/cpu-cooler/celsius-plus-prisma.html
製品公式ページ:https://www.fractal-design.com/ja/products/water-cooling/celsius-plus-s36-prisma/celsius-s36-prisma/
レビュー目次
1.Fractal Design Celsius+ S36 Prismaの外観・付属品
2.Fractal Design Celsius+ S36 Prismaの水冷ヘッドと水冷チューブ
・【注意】Fractal Design Celsius+のポンプ制御について
3.Fractal Design Celsius+ S36 Prismaのラジエーターと冷却ファン
・Fractal Design Celsius+ S36 PrismaのLEDイルミネーション
4.Fractal Design Celsius+ S36 Prismaの検証機材・セットアップ
5.Fractal Design Celsius+ S36 Prismaのファンノイズと冷却性能
6.Fractal Design Celsius+ S36 Prismaのレビューまとめ
補足.空冷クーラーと水冷クーラーの違いについて
Fractal Design Celsius+ S36 Prismaの梱包・付属品
まずはFractal Design Celsius+ S36 Prismaの外観や付属品をチェックしていきます。360サイズなど大型ラジエーターを搭載する簡易水冷クーラーのパッケージはかなり大きいものが多いですが、「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」はパッケージサイズ自体は必要最小限であるものの、長辺方向に開くキャラメル箱型の外パッケージが採用されており、開封スペースは若干広めに要します。
製品パッケージを開くと内容品に合わせた形のパルプモールドをスペーサーとして、CPUクーラー本体や各種付属品が収められていました。
パルプモールド内左側にある小分けのビニール袋にはマウントパーツなど付属品が入っていました。
マウントパーツを詳しく見ていくと、AMDプラットフォーム用のリテンションブラケットとIntel LGA 115X用のバックプレートがあります。Intelプラットフォーム用のリテンションブラケットは水冷ヘッドに装着されています。水冷ヘッド固定用のネジ類については、ローレットナットの他にプラットフォーム別でスタンドオフが2種類付属します。両端の長さとネジ山が同じものがIntel LGA115X用、両端の長さが異なるものがIntel LGA2011-3/2066用となっています。AM4プラットフォームでリテンションブラケットと一緒に使用するフックも付属しています。
LGA115X用のバックプレートはネジ穴部分がスライドするようになっており、旧CPUソケットのLGA1366などを搭載するマザーボードにも対応しています。
「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」には水冷ヘッドに接続するARGB対応VD-G型汎用3PIN LEDコネクタ変換ケーブルが付属します。
両面テープでラジエーターやPCケースに貼り付けてファンケーブルをまとめる結束バンドも2個付属します。
CPUクーラー本体を取り出すと、水冷ヘッドからラジエーターまで全体がビニールに包まれていました。
今回の個体ではラジエーター放熱フィンに大きな凹みがありませんでしたが、ラジエーターの放熱フィンの一部に凹みがあると冷却性能に問題が出るほどではないものの几帳面な人にとっては気になる部分なので、他社製品の梱包ですが、こんな感じに厚紙などでラジエーターは個別に保護しておいて欲しいところ。
Fractal Design Celsius+ S36 Prismaの水冷ヘッドと水冷チューブ
続いて「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」の水冷ヘッド本体をチェックしていきます。「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」の水冷ヘッドはシンプルな円柱形で余分なところのない洗練されたデザインです。天面の鏡面で透明なプレートはアクリルではなく、擦過傷の付きにくい強化ガラス製プレートが採用されているところが大きな特徴です。
「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」の水冷ヘッドにはアドレッサブルLEDイルミネーションが内蔵されています。ちなみに同時発売のCelsius+ Dynamicシリーズは搭載するファンのみが異なり、水冷ヘッドには同じLEDイルミネーションが搭載されています。
なお専用端子からライティング制御を行わない場合は、ファン・ポンプ電源からLEDイルミネーションも給電されて、水冷ヘッドは白色の定常発光となります。ただしラジエーター側のハブに接続されたファンのLEDイルミネーションには給電されないので、ファンのLEDイルミネーションを発光させるには専用端子を介した電力供給・ライティング制御が必須となります。
円柱部分や台座にはラバー被膜が施されマットな質感で、強化ガラスプレートの艶とのコントラストによっていっそう美しく感じます。
「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」の水冷ヘッドには天面ロゴプレートの向きに合わせて、9時の方向に電源取得用4PINファン端子ケーブル、6時の方向にLEDケーブル接続用マイクロコネクタがあります。
水冷ヘッドからは直出し構造で水冷ポンプおよび冷却ファンの電源取得のための汎用4PINファンケーブルが伸びていますが、このケーブル1本でポンプと冷却ファンの電力を1つのファン端子から供給するため、Fractal Design Celsius+シリーズはモデルによって若干差がありますが仕様値では電力8~11Wの出力が要求されており、使用するマザーボードのファン端子出力には注意が必要です。
Intel300シリーズやAMD AM4など最近のマザーボードであれば水冷ポンプ用の高出力ファン端子が実装されているので問題ないと思いますが、少し古いマザーボードを使用しているユーザーは念のため予めマニュアルや仕様書をチェックしておいてください。なお同ファン端子からモニタリング可能な回転数はポンプの回転数です。
「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」は水冷ヘッド内部の水冷ポンプにAsetek製の第6世代水冷ポンプを採用しています。最大ポンプ速度は2800RPMでTDPの高い最上位クラスCPUを強力に冷却可能、最小ポンプ速度800RPMによってポンプノイズの小さい、優れた静穏性も発揮します発揮します。セラミック製ベアリング/シャフトによって平均故障時間(MTTF)が約50,000時間の高寿命かつ高静音を実現しています。
Fractal Design Celsius+シリーズは前モデルと同じく、マザーボードのPWM信号によってファン制御を行う「PWMモード」と水冷ブロックの内部ICによって水温ソースのファン制御行う「Autoモード」の2種類のファンコントロールに対応しています。
このモード切替スイッチは水冷ヘッドの外周リングが担っています。外周リングの溝の位置がそのまま現在の動作モードを示しており、リングをも回すことで簡単にモードを切り替えることが可能です。外周リングには前述の通りラバー加工が施されていますが、外観の高級感だけでなくモード切替のリング操作でも手が滑りにくいという恩恵がありました。
Celsius+ではファン制御が改良されており、Autoモードでファン・ポンプのデューティ比が最適化されたほか、PWMモードでは水温が一定以上に達するとファン・ポンプ速度が最大になるセーフティ機能も搭載されています。またポンプ速度についてはPWMモードで実際に制御可能な範囲は2000RPM~2800RPMですが、Autoモードでは水温が十分低ければ、800RPM程度の低速で動作し、優れた静音性を発揮します。
【注意】Fractal Design Celsius+のポンプ制御について
「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」はファンハブによるケーブルマネジメントの容易さが魅力の1つですが、ファンハブに接続されたファンはAutoモードでもPWMモードでも、ポンプと近似したPWMデューティ比で制御されるため、ファンを静音(低速)で動作させた場合、必然的にポンプも低速で動作します。そのため適度な静音性を維持しつつという前提があると、冷却性能を求める場合はこの機能が足かせになってしまいます。最近のマザーボードはCPUファン端子に水冷ポンプ端子が並んで配置されている製品が多いので、 水冷ヘッドからポンプケーブルとファンケーブルの2本をスリーブでまとめて伸ばし、Autoモードでは自動制御、PWMモードでは各ファン端子からファンとポンプを独立してPWM制御できるようになっていれば、ケーブルマネジメントの容易さと冷却性能を両立できて良かったと思います。
もしくはAutoモードとPWMモードに加えて、ファンハブに接続されたファンだけをPWM制御し、ポンプは常に最大速度になるPerformanceモードのような選択肢を用意して欲しかったです。
話を「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」の水冷ヘッドの解説に戻しますが、
Fractal Design Celsius+ S36 PrismaのCPUと接触するベース部分は銅製ベースプレートが採用されています。ベースプレートはフィルムではなくプラスチックカバーで保護されていました。標準で熱伝導グリスが均等に塗られているので、こだわりがなければ初回使用時は熱伝導グリスを用意する必要はありません。
銅製ベースは鏡面磨き上げではなく、平行線の磨き跡があります。指で触ると僅かながらザラザラした感じはあるものの、しっかり平滑化されています。
リテンションブラケットは歯車状のツメで固定されていて、半時計方向に回すことで水冷ヘッドから取り外し可能です。Intel製CPU用ブラケットがデフォルトで装着されていますが、AMD製CPU用ブラケットに換装することでAMD AM4プラットフォームでも使用できます。
「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」の水冷チューブは円柱形の水冷ヘッドの側面(標準では3時の方向)からL字エルボーを介して出る構造になっています。
L字エルボーの水冷ヘッド側根本はロータリー式になっているので両側ともにチューブ同士が干渉しない範囲で180度自由に動かすことができます。根本の距離は広めでチューブも細いので同じ方向でも180度近くまで回すことができます。
ラジエーター側で水冷チューブを接続しているフィッティング部分は一見、通常のストレートフィッティングですが、チューブ方向に回転するロータリー式になっているので捩じれるようなチューブの取り回しも容易です。こういう細かい配慮が嬉しい。
「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」水冷チューブには高耐久な耐熱性ゴムチューブを採用、上から柔軟性に優れ摩耗防止に適したナイロンスリーブが巻かれており取り回しにも優れています。
「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」の水冷チューブの長さは400mmほどです。十分な長さがあるのでミドルタワー程度のPCケースであればトップやリアだけでなく、フロントのファンマウントスペースにもラジエーターを設置できます。
水冷チューブの外径は18mm程度で、ゴム製チューブにナイロンスリーブが巻かれています。やや太めですが丈夫なチューブなので曲げやすく取り回しにも優れています。かなり強く曲げてもチューブが折れて潰れなかったので安心してPCへ組み込むことができます。
Fractal Design Celsius+ S36 Prismaのラジエーターと冷却ファン
続いてFractal Design Celsius+ S36 Prismaのラジエーター部分をチェックしていきます。今回レビューする「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」は360サイズラジエーターを採用し、LEDイルミネーション搭載ファンが標準で付属するモデルですが、Fractal Design Celsius+シリーズには240/280/360の3サイズのラジエーターと、LEDイルミネーション搭載ファン付属の有無で計6モデルがラインナップされています。
LEDイルミネーション搭載冷却ファンが付属する製品は「Celsius+ Prisma」、冷却ファンにLEDイルミネーションがない製品は「Celsius+ Dynamic」と名付けられています。LEDイルミネーション冷却ファンなしの360サイズラジエーター搭載モデルは「Fractal Design Celsius+ S36 Dynamic」となります。Celsius+ PrismaとCelsius+ Dynamicの両シリーズの違いは付属する冷却ファンだけで、水冷ヘッドやラジエーターの仕様は同じです。
ちなみにCelsius+は現行のCelsius無印版の後継モデルではなく、「水冷ヘッドや冷却ファンにLEDイルミネーションを搭載」、「ユーザーから要望の多かった280サイズラジエーター搭載モデルもラインナップ」の2点を主な特徴とした新バリエーションモデルという位置付けであり、今のところCelsius無印版の終売予定はなく、併売されるとのことです。
「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」のラジエーターのデザインは一般的なもので、一部メーカーの製品に採用されているように独自デザインではなく汎用的なものが使用されていました。
「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」が他社製品と大きく違うところとしては、ラジエーターのフィッティングポートの間に冷却ファンを接続するためのファンハブが設置されています。ファンハブは水冷チューブのスリーブを通して水冷ヘッドと接続されています。ラジエーター上に冷却ファン電源用ハブがあるので2~3基のファンを搭載するFractal Design Celsius+シリーズでもケーブルマネジメントが容易かつ綺麗になります。
さらにFractal Design Celsius+シリーズではこのファンハブにARGB対応VD-G型汎用3PIN LEDヘッダーが搭載されています。Fractal Design Celsius+ Prismaの場合は標準でLED搭載ファンが付属するので、そのLEDケーブルを接続することで、ファン電源同様に水冷ヘッダーから一括で電力供給とライティング制御が可能です。
「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」の放熱フィンのピッチについては水冷ユーザー視点で言うと少し密度が高いと感じました。密度が高い分、放熱フィンの放熱性能は高まりますが、静圧の低いケースファンや低回転数動作の場合、十分なパフォーマンスを発揮できない可能性もあるので注意が必要です。
管理人が本格水冷向けのラジエーターとして推奨している「Alphacool NexXxoS Full Copper ラジエーター」シリーズのフィンピッチと比較すると、「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」のフィンピッチのほうが細かいのがわかると思います。
ラジエーターの厚さは一般的な30mm厚です。25mm厚の冷却ファンと組みわせることになるので、ファン&ラジエーターマウントスペースのクリアランスは55mmほど必要になります。
「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」は360サイズラジエーターを搭載した簡易水冷CPUクーラーなので、同社製の「Fractal Design Prisma AL-12 PWM」という120mm角冷却ファンが標準で3つ付属します。
Fractal Design Prisma AL-12 PWMの定格(最大)回転数は2000RPM、PWM速度調整に対応し、500~2000RPMの範囲内で制御可能です。白色ブレードは軸受け部分に内蔵されたLEDイルミネーションの光を拡散し、ブレード全体に鮮やかな色が行き渡らせる特殊素材です。
軸受にはMTBF(平均故障間隔)がトップクラスの100,000時間である高級LLS軸受けを使用し、さらにハブ部分にベアリングの軸圧力を軽減するカウンターバランスマグネットを採用することでベアリングの耐用性を更に強化しています。軸受け固定用の支柱はファンブレードに対して垂直になっており、ファンブレードが支柱を通るときに通常発生するノイズを抑制しています。
空気力学的に基づき設計された薄板状の支柱(ワイヤ用支柱も含む)により、航空機の翼に一般的にみられるデザインを模倣し、正しい角度で簡単に空気が流れる様にする事でノイズや望ましくない乱流の発生を低減します。ファンブレードの後縁付近には航空機の翼のデザインによくみられる「トリップワイヤー技術」という構造をしており、マイクロ乱流層を発生させ全体的に効率の良い静かなエアフローを実現するそうです。
ファンフレームのネジ穴周辺部分には、高回転時に発生しやすい振動やノイズを抑制し、静音性を高める防振ラバーパッドを搭載しています。
Fractal Design Prisma AL-12 PWMからはPWM対応4PINファンケーブルに加えて、ファンに内蔵されたLEDイルミネーションに給電およびライティング制御するためのARGB対応VD-G型汎用3PIN LEDケーブルが伸びています。
Fractal Design Celsius+ S36 Prismaには、冷却ファンを固定するための長ネジが4本×3セットで計12本、ラジエーターをPCケースに固定するための短ネジが4本×3セットで計12本、ワッシャーが4個×6セットで計24個が付属します。
冷却ファンのラジエーターへの固定やラジエーターのPCケースへの固定に使用するネジの規格はUNC No.6-32でした。日本国内のユーザーとしてはホームセンターで簡単に入手可能なM3かM4ネジを採用して欲しいところです。
Fractal Design Celsius+ S36 PrismaのLEDイルミネーション
「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」の水冷ヘッドと冷却ファンに搭載されたLEDイルミネーションについて紹介していきます。「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」の水冷ヘッドと冷却ファンに搭載されたLEDイルミネーションは、ARGB対応VD-G型汎用3PIN LEDヘッダーがあるLEDコントローラーによるライティング制御に対応しています。
マザーボードについてはASUS AURA Sync、ASRock Polychlome RGB Sync、GIGABYTE RGB Fusion、MSI Mystic Lightなど国内主要4社マザーボードのライティング制御機能による操作が可能です。
またFractal Designからアクセサリパーツとして単品で市販されている「Fractal Design Adjust R1」というARGB対応LEDコントローラーでもライティング制御が可能です。
今回は別売りアクセサリですが、同社製ライティングコントローラー「Fractal Design Adjust R1」を使用して「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」のアドレッサブルLEDイルミネーションの制御について紹介します。
「Fractal Design Adjust R1」はLEDコントローラー本体からSATA電源ケーブルが伸びており、接続されたLED機器にSATA電源で電力供給を行います。
「Fractal Design Adjust R1」のLEDコントローラー本体にはマグネットが内蔵されており、スチール製PCケースの裏配線スペースのマザーボードトレイ等に貼り付けておくことが可能です。
「Fractal Design Adjust R1」にはARGB対応VD-G型汎用3PIN LEDコネクタを2分岐するケーブルが付属します。「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」の場合は水冷ヘッドから伸びるケーブル1本に集約されているので不要ですが、分岐ケーブルを使用することでその他のLED機器を並列接続できます。
「Fractal Design Adjust R1」には、波形が描かれたModeボタン、バケツとペンキの水滴が描かれたColorボタン、電球が描かれたBrightnessボタンの3つボタンがあります。
Modeボタンで発光パターンを切り替え、発光カラーの変更や輝度調整に対応している発光パターンの時はColorボタンとBrightnessボタンでそれぞれ調整できるという具合です。「Fractal Design Adjust R1」で選択可能な発光パターンや発光カラーについては製品パッケージ裏側に記載されています。
「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」のLEDイルミネーション制御にAdjust R1を使用する場合、冷却ファンのLEDケーブルはそれぞれの分岐を数珠つなぎしていき、最後にラジエーターのハブ端子に接続します。
あとは単純に水冷ヘッドから伸びるケーブルをコントローラーのLEDヘッダーに接続するだけでOKです。
Adjust R1を使用すると「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」の水冷ヘッドと冷却ファンに搭載されたアドレッサブルLEDイルミネーションを下の動画のように様々な発光パターン・発光カラーで同期して制御できます。
Fractal Design Celsius+ S36 Prismaの検証機材・セットアップ
Fractal Design Celsius+ S36 Prismaを検証機材のベンチ機にセットアップします。各種CPUクーラーの検証を行うベンチ機のシステム構成は次のようになっています。テストベンチ機の構成 | ||
CPU |
AMD Ryzen 9 3950X (レビュー) | Intel Core i9 7980XE(レビュー) 殻割り&クマメタル化 (レビュー) |
M/B | MSI MEG X570 ACE (レビュー) |
ASRock X299 OC Formula (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN (レビュー) 3600MHz, CL16-16-16-36-CR1 |
G.Skill Trident Z Black F4-4200C19Q2-64GTZKK (レビュー) 3600MHz, CL16-16-16-36-CR2 |
グラフィックボード |
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
|
システム ストレージ |
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー) |
|
OS | Windows10 Home 64bit | |
電源ユニット |
Corsair HX1200i (レビュー) | |
PCケース/ ベンチ板 |
STREACOM BC1 (レビュー) |
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、エンスー環境はもちろん、Intel/AMDのメインストリーム向けCPU環境であってもシステムストレージ用に一押しのSSDです。
・「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
CPUクーラーの設置方法について、当サイトの評価基準となるチェックポイントは次の3つです。
- LGA115Xの場合、CPU固定バックプレートが単独でマザーボードに固定できるか
- マウントパーツ設置状態でCPUを交換できるか
- 空冷の場合、ネジ止めの場合はマザーボード側から固定できるか
簡易水冷or水冷ブロックの場合、ハンドスクリューなどツールレス固定ができるか
上の3項目を全て満たす例として本格水冷用のCPU水冷ブロックですが「EK-Supremacy EVO」のマウンタ構造は「バックプレートをM/Bに固定可能」「完全ツールレス」「マウンタ設置状態でCPUの交換が可能」なので本格水冷・簡易水冷クーラーの水冷ブロック固定方式としてはベストだと思っています。水冷クーラーメーカーにはどんどん真似してもらいたい理想的な構造です。
前置きはこのあたりにしてベンチ機へFractal Design Celsius+ S36 Prismaをセットアップします。
まずはマザーボードを裏返してバックプレートのネジ穴をマザーボードのCPUソケット四隅の穴に挿入します。最新のIntel第9世代CPUに対応するLGA1151ソケットでバックプレートを装着する場合はネジ穴スライド部分の位置は一番内側でした。
バックプレートが脱落しないように注意してマザーボードを表に向け、スタンドオフと呼ばれる水冷ヘッドを固定するためのスペーサーを使ってマザーボードをバックプレートと挟みます。Intel LGA1151(LGA115X)プラットフォームでは左側にある両側のネジ山が同じ形状のスタンドオフを使用します。
下のようにスタンドオフとバックプレートでマザーボードを挟みます。4か所全てでスタンドオフを固定したらマウントパーツの設置が完了です。
マウントパーツは単独でもマザーボードに固定されているので、CPUクーラーの設置が完了していない状態でもバックプレートなどが脱落することはなく、PCケースに設置した状態でもCPUクーラーの設置が容易な構造です。
Intelのエンスー向けCPUである第9/10世代Core-Xに対応するX299チップセット搭載LGA2066プラットフォームではCPUソケットこそ前世代のLGA2011-3とは異なるもののCPUクーラーのネジ穴レイアウトは共通なので、LGA2066とLGA2011-3の共用スタンドオフをマザーボード備え付けのネジ穴に装着すればマウントパーツの設置完了です。
水冷ヘッドをマザーボードに固定する準備はこれで完了したので熱伝導グリスをCPUのヒートスプレッダに塗布します。熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。熱伝導効率も高く、柔らかいグリスで塗布しやすいのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
熱伝導グリスを塗ったらバックプレートから延びるネジに水冷ヘッドの足のネジ穴が合うようにしてCPUクーラーを装着します。CPUの上に乗せたらグリスが広がるように力の入れすぎに注意して水冷ヘッドをグリグリと捻りながら押し込んでください。
Fractal Design Celsius+ S36 Prismaの水冷ヘッドの固定ネジはツールレスな大型ローレットナットなので固定は容易です。プラスドライバーでも締められますが、そこまで強く締める必要はないので対角順に水冷ヘッドがグラグラ動かない程度に手でネジを締めてください。
第3世代Ryzenに対応するAMD AM4プラットフォームについては、リテンションブラケットとローレットナットとフックの3つを使用します。
AMDプラットフォーム用のリテンションブラケットを水冷ヘッドに装着してから、マザーボードに標準で備え付けられている固定器具へフックを引っかけるだけなので装着は非常に簡単です。
水冷ヘッド側面から水冷チューブの出ている簡易水冷CPUクーラーでは最左端にあるメモリスロットの距離次第で水冷トップ右のチューブエルボーとメモリが干渉してCPUクーラーを設置できない場合がありますが、「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」では十分なクリアランスが確保されているので、概ね干渉は起こらないと思います。
簡易水冷CPUクーラーはラジエーター設置の手間やスペース確保の問題はありますが、マザーボード上のメモリなどのコンポーネントとの干渉は大型のハイエンド空冷CPUクーラーより発生し難く、水冷ヘッドの設置自体も基本的にツールレスで容易なのが長所だと思います。
Fractal Design Celsius+ S36 Prismaのファンノイズと冷却性能
本題となるFractal Design Celsius+ S36 Prismaの冷却性能と静音性についてチェックしていきます。検証システムをベンチ板に置いた状態で測定を行っているためCPUクーラーが水冷・空冷によらず基本的にCPUクーラーの理想的な性能をチェックすることになります。
まずはサウンドレベルメーター(騒音計)を使用してファンノイズをCPUクーラー別で比較しました。騒音計の収音部分とノイズ発生部分との距離が15cm程度になる位置で測定を行っています。簡易水冷の場合はラジエーターとポンプ両方からの距離が15cm程度になるように設置しています。
電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質にもよるので注意してください。
Fractal Design Celsius+ S36 Prismaのラジエーター冷却ファンのファンノイズを測定したところ次のようになりました。Fractal Design Celsius+ S36 Prismaはラジエーター冷却ファンを1000~1200RPM前後に収まるようにするとノイズレベル40dB前後となり、静音動作で運用できると思います。
Auto Modeでファン・ポンプ制御を行うと、アイドル時で33.3dB、Ryzen 9 3950XのPBOで長時間負荷をかけても34.1dBとなります。ほぼ無音という極めて高い静音動作ですが、後述する通りAuto Modeではポンプ速度が非常に低くなるので冷却性能とトレードオフになります。
上のグラフでは冷却ファンを付属品から「Noctua NF-A12x25 PWM」に換装したケースについてもファンノイズとファン回転数の関係を掲載していますが、「Noctua NF-A12x25 PWM」に交換すれば標準ファンと同じノイズレベルにおいて300PRM~400RPM程度高いファン回転数で運用でき、より高い冷却性能と静音性を実現できます。「Noctua NF-A12x25 PWM」は1台あたり3500円ほどと高価ですが、CPUクーラーのパフォーマンスを追及するのであれば、一押しの冷却ファンです。
続いて「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」の冷却性能をチェックしていきます。
CPUクーラーの冷却性能を検証するためのストレステストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間6分40秒、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)を変換ソースとして、Aviutl&x264を使って動画のエンコードを行います。動画エンコードの同時実行数については4~6コアは並列なし、8~14コアは2並列実行、16コア以上は3並列実行としています。テスト中のファン回転数については一定値に固定します。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
まずは2019年末に発売されたばかりのAMD第3世代Ryzen最上位モデル、16コア32スレッドCPUの「AMD Ryzen 9 3950X」を使用して、AMD第3世代Ryzen環境における「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」の冷却性能を検証していきます。
Ryzen 9 3950XのOC設定については、Precision Boost Overdriveを有効化して『PPT = 300W、TDC = 300A、EDC = 300A』、「コア電圧:-100mV(オフセット)」に設定しています。メモリのOC設定は「メモリ周波数:3600MHz」「メモリタイミング:16-16-16-36」「Command Rate:GearDownMode」「メモリ電圧:1.350V」としました。
この設定でRyzen 9 3950XをOCするとCinebench R20のスコアは9500ほどとなります。またこの動作設定において上で紹介したストレステストを実行すると、システムの消費電力(マイナス50~60WでRyzen 9 3950Xの消費電力)は250W前後に達します。
「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」をAuto Modeにしてストレステストを実行したところ、「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」はRyzen 9 3950XをPBOによって全コア4.0GHz前後にクロックアップすると、CPU温度は最大80.6度、平均77.0度に達しました。Ryzen 9 3950XでPBOによるクロックアップを施すと360サイズ簡易水冷の場合、4.0~4.1GHzまでコアクロックが伸びるのですが、「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」ではCPU温度が高くなるので、コアクロックの伸びは控えめです。
上の静音性検証で見たように、「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」は極めて静音性重視な設定になっており、ポンプ速度が800~1200RPMと非常に低いため、上のようにCPU温度が高くなります。【注意】で解説したように、ポンプとファンと個別に制御できればよかったのですが。
続いてIntelのエンスー向けCPUであるCore-Xの最上位モデル、18コア36スレッドCPUの「Intel Core i9 7980XE」を使用して「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」の冷却性能を検証していきます。
検証機材のCore i9 7980XEはCPUダイとヒートスプレッダ間のTIMを液体金属グリスに塗り替えているので通常よりも低い温度で動作していますが、TIMがシリコングリスからSTIMに変更された第9世代Core-XのCore i9 9980XEとの温度差は4~5度程度なので、Core i9 9980XEの運用に関する指標としては問題なく使えるデータになっています。
・Intel Core i9 9980XEを4.4GHz OCで7980XEと比較レビュー
・「ROCKIT COOL Copper IHS」の冷却性能をCore i9 7980XEで試す
Core i9 7980XEの動作設定は「全コア4.2GHz」「コア電圧1.050V」、メモリも「メモリ周波数3600MHz」「メモリタイミング16-16-16-36-CR2」「メモリ電圧:1.350V」にOCしています。
この設定でCore i9 7980XEをOCするとCinebench R20のスコアは9700ほどとなります。またこの動作設定において上で紹介したストレステストを実行すると、システムの消費電力(マイナス50~60WでCore i9 7980XEの消費電力)は380~400W前後に達します。
Core i9 7980XEを使用した検証では冷却ファンを「Noctua NF-A12x25 PWM」に統一してファン回転数も1500RPMに固定し、「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」の冷却性能を同社製360サイズ簡易水冷CPUクーラー前モデル「Fractal Design Celsius S36」と比較してみました。
まず予備知識として、多数の簡易水冷CPUクーラーを検証してきた経験から言うと、冷却性能的にはAsetek社のOEM品が優秀で、OEM元がAsetekであれば基本的には他社OEM製と比較して頭一つ飛びぬけているというのが当サイトの評価です。さらに言えば、Asetek OEMの中でも同社前モデル「Fractal Design Celsius S36」は発売から3年近く経った今でも、1,2を争うくらい水冷ヘッドの性能が高いと管理人は高く評価しており、当サイトの各種レビューで統一検証機材として採用しているくらい高い実績を誇る製品です。
そんな前モデルCelsius S36と比較すると、「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」は2度程度ですがCPU温度が高く、微妙な差ではありますが冷却性能では劣る結果になりました。
とはいえ「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」の冷却性能自体は300Wを超えるCPU消費電力になるCore i9 7980XEのOCに対してもCPU温度70度未満に収まっており、ハイエンド空冷CPUクーラーを大きく引き離す、非常に優れた冷却性能を実現しています。
新旧モデル比較が上のような結果になった理由については、Celsius S36は第5世代のAsetek製水冷ヘッドが採用されており、一方で「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」には第6世代水冷ヘッドが採用されています。この第6世代水冷ヘッドはより低速での動作に対応するなど静音性の向上がアピールされているので、そちらに比重を置いた設計になっているのかもしれません。
なおIntel Core-Xのようなエンスー向けCPUはもとより、Intel Core i9 9900KやAMD Ryzen 9 3950XなどTDP100Wクラスのメインストリーム向け最上位CPUの冷却に「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」を使用する場合、CPU自体の冷却は上述の通り十分なのですが、これらのCPUはVRM電源への負荷も大きく、マザーボードによってはVRM電源周りが高温になることが予想されます。
マザーボードスペーサーのネジ穴を利用して固定できるフレキシブルファンアーム「サイズ 弥七」や、可変アルミニウム製ファンフレームでVRM電源を狙って設置が容易な「IN WIN MARS」をスポットクーラーに使用することによって、VRM電源が弱めな比較的安価なマザーボードでもCore i9 9900KやRyzen 9 3900Xのような最上位CPUを運用できるようになるので、「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」と一緒に使用するのがおすすめです。
・マザーボードVRM電源クーラーのレビュー記事一覧へ
Fractal Design Celsius+ S36 Prismaのレビューまとめ
最後に簡易水冷CPUクーラー「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma(型番:FD-W-2-S3602)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 強化ガラスプレートを採用したスタイリッシュな水冷ヘッド
- 水冷ヘッドと冷却ファンにアドレッサブルLEDイルミネーションを搭載
- 水冷チューブはスリーブ付きで丈夫。曲げやすく潰れにくい。
- ラジエーターの根本がストレートロータリー式なのでチューブが取り回しやすい
- ファン・LED機器の配線を容易にするハブをラジエーターに搭載
- PBOによって4.0~4.1GHzにクロックアップしたRyzen 9 3950Xを運用可能な冷却性能
- 全コア4.2GHzに手動OCしたCore i9 7980XEを運用可能な冷却性能
- バックプレートを単独でマザーボードに固定可能
- 水冷ブロックの固定はローレットナットでツールレス固定可能
- 水冷ヘッドのリングで切り替え可能なAutoとPWMの2つのファン・ポンプ制御モード
- 水温ソースのファン・ポンプ制御に対応(Autoの既定プリセットによる自動制御)
- 国内正規代理店アスクを介した5年間の長期保証
- ファンハブ使用時にファンとポンプの個別制御に対応して欲しかった
- ファン・ラジエーターの固定ネジが国内で入手の容易なM3やM4ではなくUNC No.6-32
冷却性能の検証結果からもわかるように「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」は、OCによって最大200Wクラスの電力負荷になるメインストリーム向け最上位CPUのCore i9 9900KやRyzen 9 3950Xに余裕で対応可能、さらにはIntelのエンスー向けCPUで18コア36スレッドの最上位モデル「Intel Core i9 7980XE」を全コア4.2GHzにOCした400Wクラスの発熱も冷やしきる優れた冷却性能を実現しています。
ベースプレートサイズの関係で当サイトとしては専用モデルを推奨していますが、「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」はCPU付属互換ブラケットによってRyzen Threadripper環境にも対応でき、360サイズ大型ラジエーターを採用する同製品ならTDP280Wの32コアや64コアの上位CPUにも対応できると思います。
水冷ヘッドの固定方式として、マウントパーツが個別にマザーボードに固定可能、マウントパーツを設置したままでもCPUを交換可能なところは管理人的にポイントが高いです。前者は特にマザーボードをPCケースに組み込み後のCPUクーラー設置で、バックプレートを裏から支える必要がないので全ての簡易水冷CPUクーラーで採用して欲しい構造です。
数ある簡易水冷CPUクーラーの中でも「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」などFractal Design Celsius+シリーズが前世代から継承した大きな特徴の1つがラジエーターに設置されたファンハブです。高出力ファン端子という近年のM/Bのトレンドを活用し、ラジエーター上にファンハブを設置し、水冷ヘッドから伸びるファン端子に電源を集約することによって、マルチファン大型ラジエーターを搭載する上で避けられない問題の1つであるケーブルマネジメントの煩雑さを見事に解消されています。
一方でケーブルハブによってファン・ポンプが一括で制御されるため、静音性と冷却性能のバランスを取るのが難しく、Auto Modeは静音性極振りな設計で冷却性能が低く、PWM Modeはポンプ速度を最大にすると一緒にファンも最大速度になって煩いというふうに具合が悪い欠点も前世代から引き継いでしまったのは玉に瑕でした。ファンとポンプを個別に制御できる機能を搭載して欲しかったところ。
Celsius+シリーズでは新たに水冷ヘッドにアドレッサブルLEDイルミネーションが搭載されたところも魅力です。強化ガラス製トッププレートを囲むLEDリングが七色に光るのは華美に過ぎずスタイリッシュで、シックなデザインの同社製PCケースにもマッチします。また今回レビューした「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」は冷却ファンにもアドレッサブルLEDイルミネーションを搭載しており、さらに豪華なライトアップが可能ですが、光物が苦手なユーザー向けにはファン以外同スペックなCelsius+ Dynamicシリーズも同時展開されています。
以上、「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」のレビューでした。
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水冷ヘッドと冷却ファンにLEDイルミネーションを搭載した360サイズ簡易水冷CPUクーラー「Fractal Design Celsius+ S36 Prisma」をレビュー。ファンハブと2種類の制御モードという独自機能を継承した新モデルを徹底検証。https://t.co/UmK1xNCDQ6
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) April 14, 2020
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補足:空冷クーラーと水冷クーラーの違いについて
「空冷クーラー」と「水冷クーラー」の2種類ついて同じところと違うところ、また原理的に考えた冷却性能の比較を簡単に補足しておきます。関連記事
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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