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フルHD解像度で240Hzリフレッシュレートに対応する17.3インチIPS液晶パネルを採用し、7800mAhの大容量バッテリーも内蔵する世界初のモバイルゲーミングモニタ「ASUS ROG Strix XG17AHPE」をレビューします。
製品公式ページ:https://www.asus.com/ROG-Republic-Of-Gamers/ROG-Strix-XG17AHPE/
マニュアル:
ASUS ROG Strix XG17AHPE レビュー目次
1.ASUS ROG Strix XG17AHPEの概要
2.ASUS ROG Strix XG17AHPEの開封・付属品
3.ASUS ROG Strix XG17AHPEの液晶モニタ本体
4.ASUS ROG Strix XG17AHPEのモニタカバーとスタンド
4.ASUS ROG Strix XG17AHPEのOSD操作・設定
5.ASUS ROG Strix XG17AHPEの発色・輝度・視野角
6.ASUS ROG Strix XG17AHPEの240Hzリフレッシュレートについて
7.ASUS ROG Strix XG17AHPEの応答速度・表示遅延
8.ASUS ROG Strix XG17AHPEのFreeSync/G-Sync CPについて
9.ASUS ROG Strix XG17AHPEのレビューまとめ
ASUS ROG Strix XG17AHPEの概要
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」は解像度が1920×1080のフルHD解像度で、画面サイズが17.3インチの液晶モニタです。液晶パネルタイプはノングレア(非光沢)で発色や視野角に優れたIPS液晶パネルが採用され、100% sRGBの広い色域を実現しています。コントラスト比は通常1,000:1、応答速度は3ms(GTG)、輝度は最大300nits(cd/m^2)です。「ASUS ROG Strix XG17AHPE」のリフレッシュレートはネイティブ240Hzです。240Hzの高リフレッシュレートによって応答速度が高速になるのでブレや残像がなくなってクッキリとした滑らかな表示です。60FPSでは識別の難しいゲーム内遠方で動くエネミーやオブジェクトの発見などが容易になるので、オンライン対戦FPSゲームなど競技性の高いPCゲームにおいて対戦相手よりも優位に立つことができます。
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」はAMD/NVIDIA製グラフィックボードやXbox One Xを組み合わせることで利用可能な可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync)」にも対応しており、ティアリングがなくスタッタリングを抑えた快適で鮮明なゲーミング環境を実現できます。
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」に搭載されたビデオ入力はHDMI2.0 (Micro)×1、USB Type-C×1 (DisplayPort Alternate Mode)の2系統です。全てのビデオ入力がフルHD/240Hzに対応します。
さらに「ASUS ROG Strix XG17AHPE」はモバイルモニタながらハイエンドオーディオに採用される「ESS 9118 Sabre HiFi DAC」によるヘッドホンアンプを内蔵しており、ハイレゾオーディオにも対応します。
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」はホストから電力供給を受けて動作する単純なモバイルモニタではなく、モニタに7800mAhのリチウムイオンバッテリーが内蔵され、公称のバッテリー寿命はモニタリフレッシュレート240Hz動作時に3.5時間です。充電形式についてはQuick Charge 3.0やUSB Power Delivery 3.0などによる高速充電に対応します。
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」の寸法は幅399mm x 高さ250mm x 奥行9.95mmとなっています。標準でモニタ本体に備え付けられたモニタ保護カバーはモニタスタンドの役割も兼ねており、縦置きと横置きの両方に対応しています。本体重量はモニタスタンドありで1.06kgです。
国内発売は未定ですが、バリエーションモデルとして専用三脚「ROG Tripod」やキャリングバッグが付属する「ASUS ROG Strix XG17AHP」もラインナップされています。
ASUS ROG Strix XG17AHPEの開封・付属品
まずは「ASUS ROG Strix XG17AHPE」を開封していきます。「ASUS ROG Strix XG17AHPE」のパッケージサイズは幅700mm×厚さ190mm×高さ448mmとなっており、17インチモバイルPCの梱包のような大きさです。
黒地に赤色でROGマークが描かれたおパッケージを開くと、スポンジ製スペーサーで保護された「ASUS ROG Strix XG17AHPE」の化粧箱と、付属品の収められた縦長の箱が現れます。
一番外側のパッケージは黒字に赤色でROGマークが描かれているだけなので使いまわし感がありましたが、近年のROG Strixシリーズを代表するサイバーテキストパターンが描かれたこちらの化粧箱が本命のパッケージでした。
化粧箱の蓋を開くと、半透明なビニールに保護された「ASUS ROG Strix XG17AHPE」のモニタ本体が現れました。
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」はモバイルモニタながら6万円を超える高額な製品というだけあって、カラーキャリブレーションの証明書も付属します。
モニタ本体の下には、各種付属品が収められています。「ASUS ROG Strix XG17AHPE」の付属品は、USB Type-Cケーブル、Micro HDMIケーブル、Type-C to Type-Aアダプタ、マニュアル等冊子類です。
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」のビデオ入力はUSB Type-CとMicro HDMI2.0の2つがあり、それぞれ1本ずつ付属しています。
各種ケーブルを個別に購入するのであれば、長さ2mで「ASUS ROG Strix XG17AHPE」のフルHD/240Hzの正常動作を確認してるので、「エレコム USB Type-Cケーブル USB3.1」や「エレコム Micro-HDMIケーブル」がおすすめです。特にエレコム Micro-HDMIケーブルは標準で付属するケーブルよりもケーブル径が細くて取り回しが良いので管理人も個人的に使用しており、HDMI接続で使用するのであればオススメのケーブルです。
また縦長の小分けパッケージには販売ローカルに合わせて、ACアダプタ等が収納されています。
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」に付属するACアダプタは、5V/2Aと9V/2Aに対応しています。スマホ等にも使用される一般的な電圧・電流構成なので、市販のUSB ACアダプタでも充電可能です。
ASUS ROG Strix XG17AHPEの液晶モニタ本体
続いて「ASUS ROG Strix XG17AHPE」の液晶モニタ本体をチェックしていきます。「ASUS ROG Strix XG17AHPE」はフレームレス構造ではなく、上左右に幅4mm程度の薄い枠が上から貼り付けられています。
モバイルモニタはディスプレイパネルに手指が触れやすく、特に「ASUS ROG Strix XG17AHPE」はベゼルが狭いので、パネルの清掃用に専用のウェットティッシュとクリーニングクロスを用意しておくのがオススメです。皮脂汚れであれば専用品を使うと購入直後のように綺麗にできます。
・ゲーミングモニタを綺麗に拭く方法 - ゲーミングモニタの選び方[番外編]
また下側にはスピーカーの音を出すため細かい穴があけられた幅20mm程度のフレームがあります。下フレームの中央にはROGアイコンもあります。
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」はモバイルモニタながらハイエンドオーディオに採用される「ESS 9118 Sabre HiFi DAC」によるヘッドホンアンプを内蔵しており、ハイレゾオーディオにも対応します。また下フレームには1Wステレオスピーカーも内蔵されています。
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」は表示領域が17.3インチサイズのモバイルモニタで、寸法は横399mm x 縦250mm、A4用紙と比較すると次のようになっています。
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」の背面はアルミニウム製で堅牢かつ薄くしいデザインです。
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」の背面は見ての通りブラックとグレイのツートンカラーですが、ヘアラインの表面処理がブラックは粗く、グレイは細かくなっていて、単純な色味だけでなく印象が大きく異なるのも特徴的です。
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」の厚みを測定してみたところほぼ1cmと非常に薄いです。重量も本体のみで1087g、付属の折りたたみ式モニタカバーを装着しても1200g程度なので持ち運びも苦になりません。
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」のOSDメニュー操作用ボタンやIOポートが正面から見て左側にまとめて実装されています。
正面から見て右側は上に”REPUBLIC OF GAMERS”のロゴが描かれているだけです。
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」の左側面の上側には電源ボタン(OSD操作では戻るボタンとして使用する)と3つのOSDメニュー操作ボタンが設置されています。
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」の左側面の下側にはI/Oポートがあり、上から順にMini HDMI端子、
ビデオ入力用Type-C端子(給電と充電に対応)、給電専用USB Type-C端子、3.5mmヘッドホンジャックが実装されています。
ビデオ入力用のUSB Type-C端子はDisplayPort Alternate Modeに対応した最新モバイルPCやスマートフォンに接続することによってケーブル1本で映像入力と電力供給が可能です。5V/2Aや9V/2Aの出力に対応した機器の場合は「ASUS ROG Strix XG17AHPE」へ給電しながらビデオ表示が可能です。
ビデオ入力のType-C端子から「ASUS ROG Strix XG17AHPE」を充電するかどうかについてはOSD設定から明示的にオン/オフの切り替えが可能です。スマートファンやタブレットなど電力出力機能が弱い機器の場合は、入力デバイスで”電話”を選択してください。
ちなみにNVIDIA GeForce RTX 20XXシリーズのグラフィックボード一部モデルに搭載されているUSB Type-C端子は、ケーブル1本で「ASUS ROG Strix XG17AHPE」へビデオ出力と電力供給を行うことが可能です。
このUSB Type-C端子は今後登場が予定されているVirtualLink規格に対応したVR HMDをケーブル1本で接続するためのビデオ出力ですが、汎用的なUSB3.1規格とも互換性があります。具体的なハードウェアの仕様としてDisplayPort Alternate ModeとUSB Power Deliveryに対応しており、USB PDについては5V/3A、9V/3A、12V/2.25Aの3種類のモードで最大27Wの電力供給が可能です。
ASUS ROG Strix XG17AHPEのモニタカバーとスタンド
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」のモニタカバーとスタンドについてチェックしていきます。「ASUS ROG Strix XG17AHPE」にはモニタスタンドとしても使用できる専用のモニタカバーが標準で付属します。
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」のモニタカバーはマグネットによってモニタの下側側面に装着する構造です。モニタカバーの色はグレーで、PUレザーのような表面加工になっています。
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」のモニタカバーは三角の二辺になるように折り曲げることで、モニタスタンドとしても使用できます。
モニタ背面にマグネットで固定することで支点を作るのですが、内蔵磁石と強く接着される場所は2か所だけです。無段階的な使い方もできなくはありませんが、安定性を考えると45度と60度の2段階と考えるのが無難です。
また「ASUS ROG Strix XG17AHPE」のモニタカバーは小さい三角になっている部分を内側へ折り込むことで、縦置きのスタンドとしても使用できます。
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」は付属のモニタカバーをスタンドとして使用できるのに加えて、モニタ本体の背面中央にカメラ三脚等で使用される1/4規格のねじ穴があります。
ねじ穴を使えばカメラ用のスタンドや三脚パーツを、「ASUS ROG Strix XG17AHPE」のモニタスタンドとして使用できます。
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」は大容量バッテリーを内蔵しており、100% sRGBの優れた色域が保証されていて、カメラ用の1/4ネジにも対応しているので、カメラ撮影の確認用モニタにも最適です。
国内での発売予定は未定ですが、バリエーションモデルとして専用三脚「ROG Tripod」やキャリングバッグが付属する「ASUS ROG Strix XG17AHP」もラインナップされています。
ASUS ROG Strix XG17AHPEのOSD操作・設定
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」のOSD操作はモニタ左側面の上側に設置されている、電源ボタンを含めた4つのボタンを使用します。4つのボタンのいずれかを押下すると下のような基本メニューが表示されます。ボタンの位置に合わせて、機能のアイコンが表示されるので操作に迷うことはないと思います。基本メニューを開いて、上から2番目のリストアイコンのボタンを押下すると詳細設定メニューが表示されます。
一番下のボタンはボリューム調整のショートカットメニューが割り当てられています。なお、このショートカットキーに割り当てる機能はOSDメニューから切り替えが可能です。またキーロックショートカットキーの役割もあり、5秒長押しでキーロックのオン/オフを切り替えます。
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」のOSDは日本語UIに対応しています。OSD表示領域は17インチ画面の4分の1より小さく、文字も小さいので若干見辛く感じそうです。英語など日本語以外のUIが表示される場合は下記の手順で日本語UIに表示を直すことができます。
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」のOSDメニューには大きく分けて、「ゲーム」「画像」「色」「電源」「自動回転」「入力選択」「MyFavorite」「システム」の8つの項目が用意されています。
ゲーム関連の表示設定はトップメニューで一番上の「ゲーミング」に配置されています。
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」では画質モードに当たる設定としてGameVisualがあります。標準設定の「レースモード」に加えてゲームジャンル別で「RTS/RPGモード」「FPSモード」、さらに「シーンモード(風景画像の閲覧)」「映画モード」、sRGB互換の「sRGBモード」、そして自由にユーザー設定を適用できる「ユーザーモード」の計8つの画質モードが用意されています。
一般にオーバードライブと呼ばれる応答速度を調整する機能は、ASUS ROG Strix XG17AHPEでは「OD」の名前で配置されています。オーバードライブ補正の強度をレベル0~レベル5の6段階で設定できます。標準設定はレベル3です。
可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync)」はそのままの名前で設定項目が配置されています。標準でONになっています。
黒の強弱を調節して暗がりの視認性を高める機能「Shadow Boost」は、無効化(None)およびLevel 1~Level 3およびダイナミック調整の3段階+αで設定が可能です。この機能はレースモード、RTS/RPGモード、FPSモードでのみ利用可能です。
GamePlusからは、リフレッシュレートのリアルタイムカウンターやグラフ、照準点(OSDクロスヘア)、カウントダウンタイマーなどをオーバーレイ表示できるゲームプレイに便利な機能の設定が行えます。
ASUS ROG Strix XG17AHPEの発色・輝度・視野角について
ASUS ROG Strix XG17AHPEの発色・輝度・視野角など画質についてチェックしていきます。直接的な画質ではありませんがASUS ROG Strix XG17AHPEの液晶パネルは光沢のあるグレアではなくアンチグレアタイプなので暗転時に自分の顔などが映り込みません。
液晶パネルには大きく分けてIPS液晶パネルとVA液晶パネルとTN液晶パネルの3種類があり、各社個別の製品によって個体差はあるものの、この3つの液晶パネルの特性を簡単にまとめると次のテーブルのようになります。
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」に採用されているIPS液晶パネルはTN液晶パネルやVA液晶パネルと比べると色再現性や視野角など一般に画質に直結する性能が優れている反面、価格が高価になりがちな液晶パネルです。TN液晶パネルに比べて応答速度が遅めなので、60Hzオーバーのリフレッシュレートを実現しているIPS液晶パネル採用ゲーミングモニタは少ないため、輪をかけて高価です。とはいえ画質とリフレッシュレートを両立できるので、予算に糸目をつかないエンスーゲーマー勢に好まれています。
液晶パネルの簡易比較表 | |||
IPS | VA | TN | |
色再現性 | ◎ | 〇 | △ |
コントラスト | 〇 | ◎ | △ |
視野角 | 〇 | 〇 | △ |
応答速度 | 〇 | △ | ◎ |
価格 (高RR) |
△ (×) |
△ | 〇 |
液晶パネルの種類による性能の違いについてはこちらの記事も参照してみてください。
・IPS/VA/TN液晶パネルを比較解説 - ゲーミングモニタの選び方[4]
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」は240Hzの超高速リフレッシュレートながら、IPS液晶パネルが採用されているので視野角も良好です。
比較対象として下の写真は240Hzリフレッシュレート対応で一般的なTN液晶パネルですが、最近では左右の視野角は若干黄ばむものの大きな色の破綻はありませんが、上下については多少の角度でも色が破綻しています。
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」の発色について、色温度の標準設定である”通常”で、白色が極端に黄色や青色がかって見えることもなく、特に違和感はありませんでした。色温度設定には冷たい/通常/暖かいの3種類のプリセットがありますが、これらを切り替えても発色に違和感がある場合は、ユーザー設定でRGBのバランスを好みに合わせて整えてください。
また「ASUS ROG Strix XG17AHPE」では1.8、2.2、2.5の3種類のガンマが設定できます。
ASUS ROG Strix XG17AHPEの240Hzリフレッシュレートについて
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」の最大の特徴の1つである240Hzリフレッシュレートについてチェックしていきます。まずは「ASUS ROG Strix XG17AHPE」の特徴の1つである”240Hzリフレッシュレート”について、その意味自体は特に説明せずとも読者はご存知だと思いますが、一般的な60Hzリフレッシュレートの液晶モニタが1秒間に60回の画面更新を行うのに対して、240Hzリフレッシュレートであれば標準的な60Hzの4倍となる1秒間に240回の画面更新を行います。
1秒間に240回の画面更新を行う240Hzリフレッシュレートの物理的なメリットとしては、単純に秒間コマ数が増えるので映像がより滑らかになります。上の章で詳しく検証したようにリフレッシュレートが上がると応答速度も上がって細部がクッキリとしたシャープな映像に見えやすくなり、加えて画面更新間隔が短くなるので表示遅延が小さくなり、一般的な60Hz環境よりもスピーディーなプレイで他者を圧倒しやすくなります。
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」ではNVIDIA GeForce RTX20/GTX16シリーズやAMD Radeon VII/RX Vega/5XXシリーズなど最新グラフィックボードのUSB Type-C (DisplayPort Alternate Mode)もしくはHDMI2.0のビデオ出力に接続することによって、モニタリフレッシュレートを144Hzや240Hzなどに自由に設定できます。
モニタリフレッシュレートの設定は、NVIDIA製GPUの場合は上のスクリーンショットのようにNVIDIAコントロールパネルから、AMD製GPUの場合はWindowsのディスプレイ設定から行います。
「ASUS ROG Strix XG17AHPE」に搭載されていMicro HDMIビデオ入力はver2.0なので、フルHD/240Hzに対応しています。
オンライン対戦FPSなど競技性の高いゲームにおいて240Hzリフレッシュレートのモニタを使用した時の実用的なアドバンテージとして、ゲーム内視線を左右に振った時の視認性が上がるという例は直感的にもわかりやすいメリットですが、その他にもゲーム内遠方に存在して動いているエネミーやオブジェクトの視認性が上がるというメリットも存在します。
下の比較動画では4分割して映像を並べていますが、右下以外の3つは右下画面の緑枠部分を拡大するよう接写して、「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影したものになっています。リフレッシュレート別で左上は60Hz、右上は120Hz、左下は240Hzとなっていますが、赤枠で囲った建物の出入り口付近で左方向に移動する敵の動きはリフレッシュレートが上がるほど視認しやすくなるのがわかると思います。
またハイリフレッシュレートなゲーミングモニタでは表示遅延も小さくなります。
画面表示を基準にして、クロスヘア中央にターゲットをエイムしてから撃ち始めた場合、240Hzのほうが60Hzより先に着弾します。ターゲットが逃げる場合は50ms程度の差で撃ち漏らす場合もあります。
技術云々ではなく、単純に、クロスヘア中央にエイムするという同じタイミングで撃ちあっていたら、リフレッシュレートが高いモニタを使っている方が勝ちます。加えて操作と画面表示の繰り返し応答も早いので、当然、リフレッシュレートが高い方がエイムもスムーズになります。
NVIDIA公式からもハイリフレッシュレートなゲーミングモニタとハイフレームレートに対応可能な高性能グラフィックボードを使用するメリットについて紹介する「動画が公開されています。
なお「ASUS ROG Strix XG17AHPE」でフルHD解像度/240FPSを狙うには、元から軽めのPCゲームや画質設定を下げた最新PCゲームであってもグラフィックボードのGPU性能がそれなりに要求されます。液晶モニタに「ASUS ROG Strix XG17AHPE」を使用するのであれば2019年最新のハイエンドGPUであるNVIDIA GeForce RTX 2080 SUPERやNVIDIA GeForce RTX 2080 Tiがおすすめです。
・GeForce RTX 20XX/GTX 16XXシリーズのレビュー記事一覧へ
ASUS ROG Strix XG17AHPEのFreeSync/G-Sync CPについて
続いて「ASUS ROG Strix XG17AHPE」が対応する可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync / NVIDIA G-Sync Compatible(VESA Adaptive-Sync)」についてチェックしていきます。「ASUS ROG Strix XG17AHPE」のUSB Type-CポートにNVIDIA GeForce RTX20/GTX16のグラフィックボードやモバイルPCを接続したところ、G-Sync Compatible認証は非取得ですが可変リフレッシュレート同期機能を有効化できました。
下のように240Hzリフレッシュレートにおいても可変リフレッシュレート同期機能が正常に動作しており、有効時はフレームレートに合わせてリフレッシュレートが変動し、スタッターやティアリングが抑制されているのが分かります。
モニタの画面更新(リフレッシュ)に関する基本的な予備知識や、「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync)」と「NVIDIA G-Sync Compatible」の関係についてはこちらの記事を参考にしてください。
・ゲーミングモニタの選び方[3] FreeSyncとG-Sync Compatibleについて
なお当サイトのレビューではNVIDIA環境について、G-Syncモジュールが搭載されたモニタにおける可変リフレッシュレート同期機能を単純にG-Syncと呼び、AMD FreeSync(VESA Adaptive-Sync)に対応したモニタにおける可変リフレッシュレート同期機能はG-Sync CompatibleもしくはAdaptive-Syncと呼びます。またドライバでそのモニタが正式にサポートされている場合はG-Sync Compatible認証取得済みと補足します。
「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync) / NVIDIA G-Sync Compatible」には対応可能なフレームレート(リフレッシュレート)の上限と下限が製品ごとに設定されており、「ASUS ROG Strix XG17AHPE」は48Hz~240Hzの範囲内で可変リフレッシュレート同期に対応しています。また「AMD FreeSync」に対応するビデオ入力はHDMI2.0とUSB Type-C (DisplayPort Alternate Mode)の両方です。
「NVIDIA G-Sync Compatible」に対応するビデオ入力は機能の仕様上、USB Type-C (DisplayPort Alternate Mode)のみです。
AMD FreeSyncの使い方
可変リフレッシュレート同期「AMD FreeSync」を有効化する手順について説明します。AMD製GPU搭載PCの場合はRadeon設定のウィンドウ右上にある歯車アイコンを選択、トップメニュータブからディスプレイを選択の手順で表示される「Radeon FreeSync」のスライドスイッチから機能を有効化します。
また上で紹介した参考記事中で解説しているように、AMD FreeSyncではテアリング解消とマウス遅延低減のどちらを優先するかで垂直同期の有無を各自で選択する必要があります。垂直同期は通常ゲーム内設定でON/OFFの切り替えが可能ですが、ドライバ側が上書きしてゲーム内からは切り替えられない場合があります。ゲーム内で設定して希望通りの動作にならない時はRadeon Settingsのゲームプロファイルもチェックしてください。
NVIDIA G-Sync Compatibleの使い方
可変リフレッシュレート同期「NVIDIA G-Sync Compatible」を有効化する手順について説明します。2019年1月15日以降の最新ドライバによってNVIDIA GeForce環境でもAdaptive-Syncが利用可能になりました。ドライバの更新に合わせてG-Sync Compatible認証を取得するモニタが増えています。
417.71以降の最新ドライバをインストールして、DisplayPortビデオ出力にAdaptive-Sync対応モニタを接続すると、G-Sync対応モニタを接続した時と同様にAdaptive-Syncを有効化するための設定が、NVIDIAコントロールパネル上の「G-Syncの設定」に表示されます。
「G-SYNC、G-SYNCとの互換性を有効化(Enable G-SYNC, G-SYNC Compatible)」のチェックボックスをチェックして、下のモニタアイコンに使用するモニタの名前が表示・選択されていることを確認し、適用をクリックすればNVIDIA GeForce環境でAdaptive-Syncを有効化できます。
なお今回レビューする「ASUS ROG Strix XG17AHPE」のようにG-SYNC Compatible認証を取得していない一般のAMD FreeSync/VESA Adaptive-Sync対応モニタでも、互換性が検証されていないと注記が表示されますが、NVIDIA製GPU環境においてAdaptive-Syncを利用できます。
AMD FreeSync/NVIDIA G-Sync Compatibleの効果
可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync) / NVIDIA G-Sync Compatible」の効果やメリットについて説明していきます。機能的にはほぼ同じなので以下まとめてFreeSyncと呼ぶことがあります。AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync) / NVIDIA G-Sync Compatibleの検証に際してはリプレイ機能があって同一シーンで検証がしやすいので「Project Cars 2」を使用しています。またフレームレートやテアリングの発生の様子を確認しやすいように、画面左上にはGPUフレームレートOSD、画面左端にはGPUフレームバッファで色の変わるカラーバーが表示されるようにしています。加えてモニタが対応していればモニタOSDのリフレッシュレート表示機能も使用します。
画面右上のフレームレートはGPUフレームバッファから算出されているので必ずしもリフレッシュレートとは一致しません。画面左端のカラーバーは連続するフレーム間、つまりn番目とn+1番目のフレームではそれぞれ異なる色になっているため、同時に複数色のカラーバーが表示されている画面はテアリングが発生していることを意味します。
まずは同期なし、垂直同期、FreeSync、FreeSync+垂直同期の違いを分かりやすく体感してもらうため、モニタリフレッシュレート60HzにおいてGPU側出力フレームレートが30FPS~60FPSの間で変動するようにして、「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影して、画面表示の様子を比較してみました。
同期なしでは盛大にテアリングが発生し、垂直同期ではスタッター(カクつき)が発生しているのがわかります。一方でFreeSyncと垂直同期の両方を有効にした場合はテアリングもスタッターも発生しません。ただし例外として動画で50秒以降のフレームレートが40FPSを下回るとAMD FreeSyncの対応フレームレート外となるためスタッターが発生しています。またFreeSyncのみを有効にして垂直同期は無効の場合、同期なしと比べて圧倒的にテアリングが減っているのがわかります。ただし対応フレームレート内であっても稀にテアリングが発生し、対応フレームレート外では同期なし同様にテアリングが発生します。
続いて144Hzリフレッシュレートにおいて、GPU側出力フレームレートが100FPS前後で変動するようにして、先ほど同様に同期なし、垂直同期、FreeSync、FreeSync+垂直同期の様子を16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影して比較してみました。
FreeSync有効であれば同期なしのテアリングや垂直同期のスタッターに悩まされることなく滑らかで綺麗な映像が表示できています。FreeSyncの60Hz/50FPS前後と144Hz/100FPS前後を比較すると当然ですが後者の方がコマ割りが増えるので16倍速スローモーションでもスムーズに見えます。
FreeSyncのみを有効した時に映像フレームレートが対応フレームレート範囲外になるとテアリングが発生しますが、リフレッシュレートを上回ってしまう場合については、Radeon設定のRadeon Chillの最大FPSに”リフレッシュレートから3,4FPSを引いた値”を指定してください。(グローバル設定だけでなくゲームタイトル別に設定が可能)
なおNVIDIA GeForce環境でAdaptive-Syncを利用する場合も、フレームレートがリフレッシュレートを超過するとテアリングが発生するので、テアリングを完全になくすには垂直同期を有効化する必要があります。もしくは垂直同期無効においてテアリングをなくすには、NVIDIAコントロールパネルの「Max Frame Rate」に”リフレッシュレートから3,4FPSを引いた値”を指定してください。(グローバル設定だけでなくゲームタイトル別に設定が可能)
これの設定以外にもRivaTunerやNvidia Profile Inspectorを使用してゲーム内フレームレートがモニタリフレッシュレートを上回らないように設定することも可能です。
下の比較はいずれもFreeSyncが有効になっているのでスタッターもなく滑らかですが、単純にFreeSyncだけを有効にすると対応フレームレートの上限となるリフレッシュレートを超えた時にテアリングが発生します。
リフレッシュレートが144Hz(フレームレートの上限が144FPS)の場合は120FPS~140FPSが上限になるようにフレームレートに制限をかければ、マウス操作を低遅延しつつ、テアリングの発生も最小限に抑えて快適なゲームプレイが可能です。
またPUBGやCS:GOのようなオンライン対戦FPSや格闘ゲームなど1,2フレームを争う競技性の高いPCゲームでは、表示遅延(入力遅延)が発生する垂直同期は嫌われる傾向にありますが、144Hzや240Hzといったハイリフレッシュレートモニタにおいて、同期機能を無効化した場合に発生するテアリングがどのように影響するのか検証してみました。
テアリングはモニタ表示更新中のフレームバッファの更新で発生しますが、目で見た時の違和感はn番目とn+1番目のフレームの絵の差に影響されます。コマ割りが細かくなる高フレームレートではn番目とn+1番目の絵の違いは当然、低フレームレートの場合よりも小さくなります。そのため50FPSでは画面の分断のように知覚できたテアリングは、200FPSのような高フレームレートでは細かいノイズのような形で知覚されます。
100FPSを超える高フレームレートでは大きな分断に見えるテアリングの代わりに、細かいノイズのように感じるテアリングが増えてきます。『細かいノイズの発生程度であれば高リフレッシュレートモニタのテアリングは実用上は大した問題ではなく、可変リフレッシュレート同期機能は不要である』という意見がありますが、高リフレッシュレートモニタのアドバンテージとして先に解説した「ゲーム内遠方に存在して動いているエネミーやオブジェクトの視認性」と合わせて考えると、このノイズの有無は遠方の細かいエネミーやオブジェクトの発見に影響します。なので高リフレッシュレートモニタを使用するのであれば可変リフレッシュレート同期機能はあったほうがいい、というのが管理人の意見です。
ASUS ROG Strix XG17AHPEのレビューまとめ
最後に「ASUS ROG Strix XG17AHPE」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 画面サイズ17.3インチでモバイルモニタとしては大きめのサイズ
- 発色や視野角など画質に優れたIPS液晶パネル
- 液晶パネルは反射防止のアンチグレア
- ビデオ入力はUSB Type-C(DP Alt Mode)とMicro HDMI2.0の計2系統
- 全てのビデオ入力においてフルHD解像度で240Hzリフレッシュレートの高速動作
- 可変リフレッシュレート同期機能AMD FreeSync(VESA Adaptive-Sync)に対応
(USB Type-CとHDMIで48FPS~240FPSの範囲内で対応) - 240Hzで3.5時間動作が可能な7800mAhの大容量バッテリーを搭載
(5V/2Aもしくは9V/2Aで充電に対応) - ESS 9118 Sabre HiFi DACによるヘッドホンアンプを内蔵
- OSDクロスヘアやリアルタイムリフレッシュレートなど便利機能に対応
- モニタスタンドを兼ねたモニタカバーが標準で付属
- 1/4ネジのネジ穴があるので、カメラ用三脚などを使用できる
- モバイルモニタながら7万円以上と高価
- 付属カバーのスタンド機能は横置きで2段階調整のみ
以上、「ASUS ROG Strix XG17AHPE」のレビューでした。
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240Hzリフレッシュレート対応17.3インチIPS液晶パネルを採用し、7800mAhの大容量バッテリーも内蔵する世界初のモバイルゲーミングモニタ「ASUS ROG Strix XG17AHPE」をレビューhttps://t.co/4Z11Xyd3eO
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) July 14, 2020
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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