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全長202mmまでのグラフィックボードの増設に対応した最新NUC、Ghost CanyonことIntel NUC 9 Extreme Kitから、倍率アンロックでオーバークロックにも対応した8コア16スレッドCPUのCore i9 9980HKを搭載した最上位モデル「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」をレビューします。
製品公式ページ:https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/products/boards-kits/nuc/kits/nuc9i9qnx.html
マニュアル:https://www.intel.com/content/dam/support/us/en/documents/intel-nuc/nuc-kits/NUC9xyQNX_IntegrationGuide.pdf
データシート:http://simplynuc.com/wp-content/uploads/2020/01/NUC9QN_TechProdSpec.pdf
Intel NUC 9 NUC9i9QNX レビュー目次
1.Intel NUC 9 Extreme Kitについて
2.Intel NUC 9 NUC9i9QNXの外観・付属品
3.Intel NUC 9 NUC9i9QNXの内部構造の概要
4.Intel NUC 9 NUC9i9QNXのGPU増設とベースボード
5.Intel NUC 9 NUC9i9QNXのCompute Element
6.Intel NUC 9 NUC9i9QNXのBIOS
・Intel NUC 9 NUC9i9QNXのBIOSアップデート方法
7.Intel NUC 9 NUC9i9QNXのCPU/GPU/ストレージのスペック
・Intel NUC 9 NUC9i9QNXのメモリOCについて
8.Intel NUC 9 NUC9i9QNXの温度・消費電力・ファンノイズ
9.Intel NUC 9 NUC9i9QNXのCPU性能とGPU性能
10.Intel NUC 9 NUC9i9QNXのレビューまとめ
【機材協力(グラフィックボード):ASUS Japan】
Intel NUC 9 Extreme Kitについて
最初にIntel NUC 9 Extreme Kitについて簡単に解説しておきます。Intel NUC 9 Extreme KitにはCPU別で、Core i9-9980HKを搭載した「NUC9i9QNX」、Core i7-9850Hを搭載した「NUC9i7QNX」、Core i5-9300Hを搭載した「NUC9i5QNX」の3モデルがラインナップされています。
一般向け3モデルの最上位となるNUC9i9QNXに搭載されたCore i9-9980HKは8コア16スレッドのCPUで、モバイル向けCPUながら型番の通り末尾K付きのCPUなので倍率アンロックとなっており、CPUコアクロックのオーバークロックに対応しています。
またプロフェッショナル向けモデルとしてQuartz CanyonことIntel NUC 9 Pro Kitも展開されており、Xeon E-2286Mを搭載した「NUC9VXQNX」、Core i7-9850Hを搭載した「NUC9V7QNX」の2モデルがラインナップされています。
Intel NUC 9 Extreme KitのCompute Element対応純正PCケースは縦置き型で、寸法は奥行238mm×高さ216mm×幅96mmで容積4.9Lとなっており、従来のCanyon系ハイエンドNUCシリーズからすると大型化していますが、一般自作PCではMini-ITXでも実現が難しいコンパクトサイズです。
Intel NUC 9 Extreme Kitは、Compute Elementと呼ばれるCPUや主要なIOポートが搭載されたメイン基板と、PCIEスロットなど増設用インターフェーズが実装されたベースボードの2つで構成され、さらに純正PCケースと電源ユニットが付属しています。
Compute Elementは単品でも購入でき、Core i7からCore i9へ、または今後発売されれば次世代CPUへのアップグレードも可能です。またCompute Elementに対応したサードパーティ製PCケースや、Compute Elementを採用したゲーミングPCの発売も予定されています。
ベースボード上にはPCIE3.0x16に対応した16サイズPCIEスロットが実装されており、Intel NUC 9 Extreme Kitは全長202mm、2スロット占有、PCIE補助電源8PINのグラフィックボードの増設に対応しています。
ベースボード上のx4サイズPCIEスロット(PCIE3.0x4)とM.2スロット(NVMe PCIE3.0x4)は、グラフィックボード用x16サイズPCIEスロットとCPU直結のPCIE3.0x16レーンを共有しており、いずれかを使用するとグラフィックボード用x16サイズPCIEスロットの帯域はPCIE3.0x8になります。
Intel NUC 9 Extreme Kitにはシステム/データストレージ用に3基のM.2スロットが搭載されています。Compute Element上のM.2スロットはCM246チップセット経由の接続となり、NVMe(PCIE3.0x4)接続とSATA接続の両方のM.2 SSDに対応します。ベースボードに設置されたM.2スロットはCPU直結でNVMe(PCIE3.0x4)接続のM.2 SSDのみに対応します。
Compute Element上にはSATAポートも1基設置されていますが独自端子となっており、Intel NUC 9 Extreme Kitには専用ケーブルも付属しないので使用はできません。
Intel NUC 9 Extreme Kitではフロントとリア合わせて8基のUSBポートを搭載し、そのうちリアI/Oに実装された2基のType-CポートはThunderbolt3に対応しています。Thunderbolt3ポートはiGPUによるDisplayPort Alternate Modeでビデオ出力も可能です。
その他にもSDXCカードスロット、2基のギガビット有線LAN、HDMI2.0ビデオ出力、光デジタル音声出力が搭載され、コンパクトなNUCながらI/Oポートは非常に豊富です。
次世代規格WiFi6に対応した無線LAN(Intel AX200)も搭載しています。接続規格としてはWi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac/ax、2.4/5GHzデュアルバンド、最大通信速度2400Mbps、Bluetooth 5.0に対応しています。
Intel NUC 9 Extreme Kit スペック |
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NUC9i9QNX | NUC9i7QNX | NUC9i5QNX | NUC9VXQNX | |
CPU | Core i9-9980HK 8コア16スレッド |
Core i7-9850H 6コア12スレッド |
Core i5-9300H 4コア8スレッド |
Xeon E-2286M 8コア16スレッド |
iGPU | インテル UHD グラフィックス 630 |
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dGPU 拡張 |
PCIE3.0x16 (物理サイズPCIEx16) 全長202mm、2スロット占有、PCIE補助電源8PINに対応 PCIE3.0x4 (物理サイズPCIEx4) ベースボード上のx16とx4とM.2は帯域共有、[x16, N/A, N/A] or [x8, x4, x4] |
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OC |
対応 |
非対応 (XMPによるメモリOCは可能) |
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メモリ | DDR4-2666 SODIMM(1.2V)×2 最大64GB (CPUスペックとしては128GBに対応) |
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ECCメモリ |
非対応 |
対応 |
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M.2(CPU) | M.2 2280/22120スロット(key M)×1、ベースボード NVMe(PCIE3.0x4)対応 |
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M.2(PCH) | M.2 2280/22120スロット(key M)×2、Compute Element NVMe(PCIE3.0x4) / SATA対応、RAID 0/1対応 |
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SATA | ×1、RAID 0/1対応 (純正ケースでは使用不可) | |||
前面ポート | USB3.1 Gen2 Type-A×2 ヘッドホン&マイク対応4極3.5mm SDXCカードスロット |
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背面ポート | Thunderbolt 3×2 (DisplayPort Alt Mode対応)、 USB3.1 Gen2 Type-A×4、HDMI2.0、Ethernet×2、 ステレオ3.5mm(TOSLINK光学デジタル音声併用) |
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ビデオ出力 | HDMI 2.0a USB Type-C×2 |
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LAN | 1Gb Ethernet×2 (i219-LM, i210-AT) | |||
無線 | Intel AX200 WiFi6対応(802.11 a/b/g/n/ac/ax), Bluetooth 5.0 |
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電源 | FSP製 FSP500-30AS (内蔵) 500W, 80Plus Platinum, Flex-ATX |
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サイズ | 奥行238mm×高さ216mm×幅96mm (4.9L) | |||
保証期間 | メーカー3年 |
Intel NUC 9 NUC9i9QNXの外観・付属品
「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」を開封して、内容品や外観をチェックしていきます。「Intel NUC 9 Extreme Kit」の製品パッケージはCore i9 10980XEやOptane 905PなどIntelのフラッグシップ級製品と同じくマットな黒色の化粧箱になっています。底面の封印シールをカットするとマグネット固定の蓋を開くことができ、プラスチック製の収納ケースが現れます。
「Intel NUC 9 Extreme Kit」のNUC本体はプラスチック製ケースに収納されています。プラスチック製ケースはショルダーバッグ風のベルトが付いていて、モバイルケースとして使用できます。
ベルトのロックと、プラスチック製ケースとベルトを固定する左右のボタンを外すことで、プラスチック製ケースの上蓋が開きます。ケースの中ではNUC本体が緩衝材のスポンジスペーサーで保護されています。
NUC本体を取り出すとその下にはACケーブル等の付属品収納スペースがあります。なお国内版はACケーブルが付属しないので、C13コネクタ(自作PC電源ユニットと同じ)のACケーブルを各自で用意する必要があります。
「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」の付属品はクイックマニュアル、ロゴシール、ACケーブルなど非常にシンプルです。
続いて「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」の外観をチェックしていきます。
「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」の左右側面は金属製メッシュパネルになっていて、旧モデルのSkull CanyonやHades CanyonといったハイエンドNUCシリーズに引き続き、Ghost Canyonでもメッシュパネル前方にはドクロマークが描かれています。左右のメッシュパネルが吸気スペースになっていて、ゴム足があるのも底面だけなので縦置きが前提のPCケースです。
「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」の前面や天面は黒色プラスチック製です。前面はフロントI/Oがある以外はフラットパネルですが、天面にはエアスリットが設けられ、2基の80mm角冷却ファンが内蔵されていて、排気口の役割を果たします。
「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」の寸法は奥行238mm×高さ216mm×幅96mmで容積4.9Lと非常にコンパクトです。Intel製CPUのパッケージ(CPUクーラー付き)を3.5個分くらいのサイズ感になっています。
フルサイズグラフィックボードと240サイズ簡易水冷クーラーを搭載可能なMini-ITXサイズPCケース Fractal Design Era ITXと比較すると「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」のほうが一回り二回りも小さいことが分かりやすいと思います。
「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」は電源ユニットにFlex ATXを採用していたり、可能な限りコンパクトになるように最適化されているので、汎用品を組み合わせる自作PCではなかなか実現の難しいサイズです。
「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」のフロントIOポートには左から順に(実際の使用時の向きでは上から順に)、電源スイッチ、SDXCカードスロット、USB3.1 Gen2 Type-A端子×2、ヘッドホン&マイク対応4極3.5mmが実装されています。
「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」の背面を見るとCompute Element上に多数のIOポートが実装されています。
左から順に(実際の使用時の向きでは上から順に)、1Gb LAN×2が並び、その下にUSB3.1 Gen2 Type-A端子×4、HDMI2.0ビデオ出力(iGPU)、Thunderbolt3対応USB Type-C端子×2、ステレオ3.5mm(TOSLINK光学デジタル音声併用)が実装されています。
「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」にはフロントとリア合わせて11個のUSBポートが搭載されていますが、そのうちリアI/Oに実装された2基のType-CポートはThunderbolt3に対応しています。Thunderbolt3ポートはiGPUに接続されており、DisplayPort Alternate Modeでビデオ出力も可能です。Thunderbolt3コントローラーは2020年最新のTitan Ridge(JHL7540)です。
背面の下側には電源ユニットのAC端子と冷却ファンの排気口があります。AC端子は自作PC電源ユニット等に使用されている汎用的な3PINタイプです。AC側をON/OFFできるロッカー型スイッチがないのは少々残念です。
Intel NUC 9 Extreme Kitの純正PCケースには電源ユニットが標準で内蔵されています。「FSP500-30AS」というFlex-ATXフォームファクタで、50%負荷時の変換効率が92%以上を証明する80Plus Platinumを取得した電源容量500Wの電源ユニットになっています。
Intel NUC 9 NUC9i9QNXの内部構造の概要
続いて「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」の内部構造をチェックしていきます。Intel NUC 9 NUC9i9QNXの内部アクセスの手順として、まずは天面パネルを取り外します。天面パネルは背面の2か所のネジで固定されており、これを外してから、天面パネル自体を後方へスライドさせます。このスライドが地味に硬くて取り外しが難しかったです。
天面パネルには2基の80mm角冷却ファンが排気用に設置されていました。2基のファンは天面パネル上の専用ハブに接続されており、ハブの接触型端子によってPCケースと、さらにPCケースからCompute Elementに接続されて、ファンに電力供給と速度制御を行う構造です。
「Intel NUC 9 Extreme Kit」にはPCケース天面の2基のケースファンに、Compute ElementのCPUクーラー冷却ファンを加えて、計3基の冷却ファンがありますが、ファン速度は共通のプロファイル(ファン停止温度など完全に同じではないようですが)によって制御されています。
冷却ファンの制御プロファイルはQuiet/Balanced/Coolの3種類のプリセットに加えて、任意のファンカーブ設定が可能なCustom、ファン速度を一定のデューティ比に固定するFixedの5種類から選択できます。
天面パネルさえ取り外してしまえば、上方向にスライドさせるだけで簡単に側面の金属メッシュパネルを取り外すことができます。
サイドパネルを外したら、ネジで固定されている上側のフレームを外します。
Compute Elementの冷却ファンの手前にある薄いプラスチック板の間仕切りは、Compute Elementをグラフィックボード背面から保護するための部品であり、出荷時用の保護部品ではありません。”do not remove(取り外すな)”と注意書きがありますが、誤って千切り取らないように注意してください。
間仕切りをいったん右側に寄せると、Compute Elementにアクセスできるようになります。
「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」のPCケースにCompute Elementを装着したままでも、Compute Element上の冷却ファンやM.2 SSDヒートシンクが装着されたプラスチック製カバーは開くことができます。
Compute Elementの下側、PCIEスロットのすぐ傍にある2カ所のネジを外し、上側面の左寄りにあるエアスリットから見えるツメを外すと、プラスチック製カバーを取り外すことができます。
”上側面の左寄りにあるエアスリットから見えるツメを外す”の手順がクイックマニュアルにないので、Compute Elementをケース内に入れたままプラスチック製カバーを開くのに少々苦労しました。
上の手順でプラスチック製カバーを開くと、PCケースに装着したままでCompute Element上のメモリスロットやM.2スロットにアクセスできます。
Intel NUC 9 NUC9i9QNXのGPU増設とベースボード
続いて「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」のグラフィックボード増設とベースボードをチェックしていきます。今回レビューするNUC9i9QNXをはじめとして「Intel NUC 9 Extreme Kit」は一般自作PC用グラフィックボードの増設に対応しているところが最大の特長であり、PCIEスロットによるdGPU増設に対応した初のNUCとなっています。
「Intel NUC 9 Extreme Kit」のベースボード上にはグラフィックボード向けに1基のx16サイズPCIEスロットが実装されています。また手前の2段目にはx4サイズPCIEスロットも実装されています。
内部クリアランスについては、全長202mm以下のショートサイズグラフィックボードに対応しています。厚みは2スロット占有まで対応します。
全長227mmのGeForce RTX 2070 Founders Editionと比較するとこんな感じです。製品スペックの通り202mmちょうどだとギリギリなので、搭載例が確認できているなど確信がなければ、余裕をもって180mmくらいのITX対応ボードを選ぶのが安全だと思います。
PCIE補助電源としては8PINコネクタが2本伸びていますが、一方はL字コネクタ、もう一方はストレートコネクタなので、内部スペース的には事実上、8PIN×1しか使用できません。
Compute Elementを取り外すと、手前のx16サイズPCIEスロットとx4サイズPCIEスロットに加えて、ベースボード上にM.2 SSDヒートシンク付きのM.2スロットが現れます。このM.2スロットはNVMe(PCIE3.0x4)接続のM.2 SSDのみに対応します。
ベースボード上のx4サイズPCIEスロット(PCIE3.0x4)とM.2スロット(NVMe PCIE3.0x4)は、グラフィックボード用x16サイズPCIEスロットとCPU直結のPCIE3.0x16レーンを共有しています。x4サイズPCIEスロットとM.2スロットのいずれかを使用すると、グラフィックボード用x16サイズPCIEスロットの帯域はPCIE3.0x8になります。
通常は標準設定のAutoモードによりベースボードに設置された機器に応じてレーン分割されますが、BIOSのAdvancedタブにはCPU直結PCIEレーンの帯域分割(PCIE Bifurcation)に関する設定が用意されており、「PCIE x16」や「PCIE x8, x4, x4」の各モードに固定することもできます。
ちなみに「Intel NUC 9 Extreme Kit」のベースボードの電源コネクタには、現在自作PC向け電源コネクタとして主流なATX24PINの代わりに、12PINの独自コネクタが採用されています。
Intel NUC 9 Extreme Kitに搭載できるグラフィックボードとしては現状で最速となるGeForce RTX 2070のショートモデル「ASUS DUAL-RTX2070-O8G-MINI」を設置してみました。Intel NUC 9 Extreme Kitのために設計されたといっても過言ではないピッタリサイズです。
PCIE補助電源ケーブルやコネクタもギリギリでPCケース前方とグラフィックボードの隙間に収まっています。
また2020年最新のGeForce RTX20/GTX16やRadeon RX 5000では対応製品がありませんが、全長200mm以下かつ1スロット占有のグラフィックボードであれば、ベースボードの2スロット目に実装されたx4サイズPCIEスロットも使用できます。
「AVerMedia Live Gamer 4K」や「Elgato 4K60 Pro MK.2」と組み合わせることができればプレイ動画やゲーム実況の専用マシンとして便利なので、Turing世代のNVEncに対応したGTX 1650 SUPERや、TU116版のGTX 1650の1スロット版の発売に期待したいところです。
Intel NUC 9 NUC9i9QNXのCompute Element
続いて「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」のCompute Elementをチェックしていきます。Intel NUC 9 Extreme Kitの純正PCケースからCompute Elementを取り外す手順としては、Compute Elementの右端にあるEPS電源コネクタとUSB3.1 Gen2内部ケーブル、PCケースのフロントパネル背面のフロントI/Oケーブル、Compute Element天面のWiFiアンテナケーブル、Compute Element左端のフロントオーディオケーブルを取り外します。
これらを取り外したら、PCIEブラケットの固定ネジを外し、グラフィックボードの着脱同様にPCIEスロットのロックを解除し、Compute Elementを引き出します。
内部構造の概要でも紹介したように、Compute Elementの下側、PCIEスロットのすぐ傍にある2カ所のネジを外し、上側面の左寄りにあるエアスリットから見えるツメを外すと、プラスチック製カバーを取り外すことができます。
CPUクーラーは、銅製ベースプレートによってCPUコアと接し(VRM電源の冷却も兼ねる)、天面方向にあるフィンアレイ型ヒートシンクで放熱する構造です。ヒートシンクの規模は小さいので、長期的にはTDP35W(PL1:35W)に対応できるかどうかくらいな予感がします。
Compute Elementの右側、ちょうど冷却ファンの直下には2基のSODIMM DDR4メモリスロットがあります。
メモリは両端のラッチ(メモリの両端にある金属製の部品)で固定する構造です。斜め上から挿入してラッチ側にメモリを倒すとロックされ、逆にラッチを外に開いて固定を外すとバネみたいにビヨンとメモリが跳ね起きます。
Compute Elementの左側には2基のM.2スロットが実装されています。Compute Element上のM.2スロットはCM246チップセット経由の接続となり、NVMe(PCIE3.0x4)接続とSATA接続の両方のM.2 SSDに対応します。一方はIntel Optane 905P M.2 380GBなどのM.2 22110サイズにも対応しています。
Compute Element上の2基のM.2スロットに装着されたM.2 SSDはプラスチック製カバーに固定されたM.2 SSDヒートシンクによって放熱を補助することができます。Compute Element天面方向には純正PCケース天面の排気冷却ファンがあるので、高速なNVMe M.2 SSDでもオーバーヒートの心配はなさそうです。
「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」は次世代規格WiFi6に対応した無線LAN(Intel AX200)を搭載しています。接続規格としてはWi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac/ax、2.4/5GHzデュアルバンド、最大通信速度2400Mbps、Bluetooth 5.0に対応しています。
Compute Elementの天面には、純正PCケースのフロントパネル裏に貼り付けられたWiFiアンテナと接続する端子が実装されています。
Intel AX200はWindows10 1909の標準ドライバに対応しているはずなのですが、NUC9i9QNXでは自動認識に失敗したのか、ドライバが適用されませんでした。Windowsアップデートを実行すると有効になりますが、手動でドライバを当てない場合はインターネット接続に有線環境が必要になるので注意してください。
Compute Elementの右端には様々なヘッダー・コネクタが実装されています。
黄色のジャンパが装着された3PINヘッダーの奥にある2PINヘッダー(2PIN MEBX Reset Jumper)がCMOSクリア用ヘッダーです。
電源ユニットのAC端子からACケーブルを抜いた状態で、2PINスイッチ等を使用したこのヘッダーを10秒間ほど短絡しておくことでBIOS設定を初期化できます。(実際にはCMOSを初期化するのではなく、次回起動時に初期状態でブートする感じです。BIOSメニューに入ると以前の設定値はそのまま残っています。)
Compute ElementをPCケースから取り出す機会があれば、ケーブルの長い2PINスイッチをあらかじめ装着してPCケースからすぐ触れるところ(電源ユニットの前方がオススメ)に収納しておくのがオススメです。特にXMPメモリでメモリ周波数を3000MHz以上にOCする時は、POSTエラーでBIOSにたどり着けなくなることも多いので、事前に用意しておいてください。
Compute Elementの右下にはハードウェア電源スイッチが実装されています。ハードウェアスイッチを搭載するなら電源スイッチよりもCMOSクリアスイッチのほうがありがたいというのが正直なところ。
ちなみに電源スイッチはPCケースに搭載した状態でも背面からアクセス可能です。
EPS電源コネクタのすぐ傍には独自端子のSATAポートが1基実装されています。ただしこの独自端子に対応したケーブル類は「Intel NUC 9 Extreme Kit」には付属しないので、使用できません。サードパーティ製PCケースやゲーミングPC向けの増設ポートのようです。
Intel NUC 9 NUC9i9QNXのBIOSについて
「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」のBIOSについて紹介していきます。Intel NUC 9 Extreme Kitでは、BIOS(UEFI)メニューにはPC起動中にF2キーを連打すれば入れますが、Windows上で作成できる再起動ショートカットを作成するという手もあります。非常に便利なのでオススメです。
「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」のBIOSはテキストベースのクラシカルなUIが採用されており、UI言語は英語のみ対応でした。マウスにも対応していますが、キーボードだけで全て操作可能です。カーソルキーで項目移動、エンターで選択、Escでバック、+/-で数値変更という一般的なキーアサインです。
自作PC向け主要4社マザーボードのBIOSと比べると動作がモッサリとはしていますが、特に不具合的なものはありません。
基本情報が表示される「Main」タブに加えて、オンボードデバイスやストレージなど各種設定を行う「Advanced」タブ、各種モニタリングやファン制御を行う「Cooling」タブ、CPU/iGPU/DRAMの動作設定を行う「Performance」タブ、セキュリティ機能の設定を行う「Security」タブ、電力制限などCPU消費電力関連の設定を行う「Power」タブ、起動設定を行う「Boot」タブの7つのメニューがあります。
ここからは各種タブメニューの中から気になった項目についてピックアップして紹介します。
AdvancedタブにはCPU直結PCIEレーンの帯域分割(PCIE Bifurcation)の設定が用意されています。通常は標準設定のAutoモードで、ベースボードに設置された機器に応じてレーン分割されますが、「PCIE x16」や「PCIE x8, x4, x4」の各モードに固定することもできます。
CoolingタブではCPU温度などの各種モニタリングや冷却ファン速度設定が可能です。
「Intel NUC 9 Extreme Kit」にはCompute ElementのCPUクーラー冷却ファンに加えて、PCケース天面の2基の計3基の冷却ファンがありますが、3基のファン速度は共通のプロファイル(ファン停止温度など完全に同じではないようですが)で制御されます。
冷却ファンの制御プロファイルはQuiet/Balanced/Coolの3種類のプリセットに加えて、任意のファンカーブ設定が可能なCustom、ファン速度を一定のデューティ比に固定するFixedの5種類から選択できます。
「Intel NUC 9 Extreme Kit」の冷却ファン制御はCPU温度を制御ソースとして、ファンが停止する上限温度「Fan Off Temperature」、最小ファン速度「Minimum Duty Cycle」、最小ファン速度を維持できる上限温度「Minimum Temperature」、Minimum TemperatureよりもCPU温度が高い時に1度当たりに引き上げられるファン速度「Duty Cycle increment」の4つの値で指定されます。
なお標準設定のBalanced以外に、QuietとCoolの2種類のプロファイルがありますが、ファンカーブによるファン速度の上昇開始温度が2度違うだけなので実際の動作には大差がありません。
Intel NUC 9 Extreme Kitのうち、今回レビューする「NUC9i9QNX」に搭載されているCPUのCore i9 9980HKは倍率アンロックなCPUなのでオーバークロックに対応していますが、2020年8月現在の最新BIOS:0052では、CPUコアクロックのOCに関する設定項目は用意されていません。
BIOSから動作クロックの変更(オーバークロック)はできませんが、Windows上アプリ「Extreme Tuning Utility」からであれば設定が可能です。
メモリのオーバークロックについてはDefault(SPDプロファイル)とXMPプロファイルの2種類にのみ対応し、メモリ動作倍率やメモリタイミングのマニュアル設定には対応していません。
動作プロファイル以外では、メモリ電圧(Default, 1.20V, 1.35V)とアンコア電圧(VCCSA)オフセットの2つだけ設定が可能です。アンコア電圧オフセットはmV単位での調整となっており、200に設定すると+0.2Vの電圧オフセットとなります。
Intel NUC 9 Extreme KitのBIOSには長時間電力制限(PL1)や短時間電力制限(PL2)といった電力制限に関する設定項目もPowerタブメニューに配置されています。
NUC9i9QNXに搭載されているCore i9 9980HKの場合は全コア最大動作倍率4.2GHzに対して、短期間電力制限ですらPL2:107Wと低く設定されているので、これらの電力制限を解除することでカジュアルに性能向上を狙えます。ただしCPUの発熱は大きくなるので静音性とはトレードオフになります。
Bootタブには起動デバイスの有線順位などの設定項目が配置されています。特定のブートデバイスを指定して直接起動するBootオーバーライド機能には非対応でした。
Intel NUC 9 NUC9i9QNXのBIOSアップデート方法
「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」のBIOSアップデートの手順について簡単に解説しておきます。まず最新のBIOSアップデートファイルは公式ダウンロードページから取得できます。2020年8月現在は最新バージョンとして「Version 0052」が公開されています。
サポートページ:https://downloadcenter.intel.com/ja/product/190107/-NUC-9-Extreme-NUC9i9QNX
Intel NUC 9 Extreme KitのBIOSアップデート方法はいくつかありますが、一番簡単で分かりやすいのはWindows上で実行できるアップデートソフトを使用する方法です。
NUC9i9QNXの場合は「QXCFL579.00XX.EBU.exe」というソフトをダウンロードします。
BIOSアップデートの実行ファイルをダウンロードしたら、右クリックメニューの「管理者として実行」を選択してください。単純にダブルクリックで実行すると上手くアップデートできない可能性があるので注意してください。(アップデートに失敗してクラッシュする心配はありませんが、そもそもアップデートが実行されない)
実行ファイルを起動すると下のようなウィンドウが表示されます。『System is going to shut down, are you ready? (Y/N)』が表示されたら、”y”を入力するとシステムが再起動します。
再起動後に自動的に下記のようなBIOSアップデート画面に入り、BIOSアップデートが実行されます。後はBIOSのアップデートが完了するまで待つだけです。
Intel NUC 9 NUC9i9QNXのCPU/GPU/ストレージのスペックについて
Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNXの各種性能をチェックする前に、同PCに搭載されているCPUとGPUのスペックについて簡単に紹介します。Intel NUC 9 NUC9i9QNXのCPUスペック
「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」にはCPUとして、Intel製モバイル向けCPUの第9世代Core-Hシリーズから8コア16スレッドの最上位モデル「Core i9 9980HK」が搭載されています。Core i9 9980HKのIntel公式仕様はコアスレッド数:8コア16スレッド、ベースクロック:2.4GHz、単コア最大ブーストクロック:5.0GHz、L3キャッシュ容量:16MB、TDP:45Wです。Core i9 9980HKは単コア最大ブーストクロック5.0GHzの8コアCPUですが、1コア~8コアへ同時に負荷がかかった時の最大動作倍率は[50, 49, 48, 47, 46, 45, 44, 42]です。公式仕様としてはTDP45WのCPUですが、全コア最大動作クロックは4.2GHzとかなり高めに設定されています。
Core i9 9980HKはTDP45WのCPUですが、NUC9i9QNXでは標準で電力制限が引き上げられており、長期間電力制限PL1が65Wに設定されていました。また短期間電力制限PL2は107W、短期間電力制限時間Tauは28sに設定されています。
Core i9 9980HKはモバイル向けCPUながら倍率アンロックなCPUとなっており、2020年8月現在の最新BIOSではBIOSメニュー内にCPUのOC関連設定が用意されていませんが、Extreme Tuning Utilityを使用すればCPU動作倍率のオーバークロックが可能です。
Core i9 9980HKのコアクロックの挙動をHWiNFOから確認したところ、確かに負荷の軽い場面では最大5.0GHz程度で動作するコアがありました。
Intel NUC 9 NUC9i9QNXに搭載されたCore i9 9980HKは、8コア16スレッドのCPUであり、全コア最大動作クロックは4.2GHzですが、短期間電力制限がPL2:107Wに設定されているので、Cinebenchや動画エンコードなどでCPUにフル負荷がかかってもCPU Package Powerが107W以下に制限され、全コアの実動コアクロックは3.8~4.0GHz程度となります。
さらに短期間電力制限時間Tau:28sを超過すると、長期間電力制限PL1:65Wが有効になるので、全コアの実動クロックは3.2GHz程度になります。
ちなみにIntel NUC 9 NUC9i9QNXに搭載されたCore i9 9980HKの電力制限解除についてですが、全8コアの実動平均コアクロックはPL1:85Wで3.6GHz程度、PL1:Unlimitedで3.8GHz程度でした。
デスクトップ向け8コア16スレッドCPUのCore i9 9900KやCore i7 10700Kであれば、PL1:95W程度の電力制限で全コア4GHzオーバーで動作するので、Core i9 9980HKは電力効率があまり良いとは思えません(コアクロック制御機能的にCPU温度の高さも影響しているとは思いますが)
なおIntel NUC 9 NUC9i9QNXに搭載されたCore i9 9980HKはPL1/PL2の電力制限を200W以上に十分高く引き上げても、CPU Package Powerは110W以上に上がることはありません。
Extreme Tuning Utility上では「Current EDP Limit Throttling」が点灯しているので、別の電力制限に引っかかるようです。Compute Elementに搭載されたCPUクーラーの冷却性能的にもCPU Package Powerが110Wを超えると冷やすのが無理なので、ユーザーには触れない設定で電力制限が課されているのだと思います。
Intel NUC 9 NUC9i9QNXのシステムメモリとメモリOC
Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNXのシステムメモリにはSODIMM DDR4メモリを2枚搭載できますが、今回検証機材として「Crucial Ballistix SODIMM BL2K32G32C16S4B」を使用しています。Crucial Ballistix SODIMM BL2K32G32C16S4Bは、XMP OCプロファイルによるメモリ周波数3200MHzかつメモリタイミングCL16の高速動作なオーバークロックに対応する32GB×2=64GBの超大容量なメモリキットです。
Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」はメモリのオーバークロックに対応していますが、メモリ周波数やメモリタイミングの手動設定には対応しておらず、SPDプロファイル(Defaultプロファイル)とXMPプロファイルの2種類の選択だけが可能です。
メモリ電圧については各プロファイルに応じて自動的に選択されるので特に気にする必要はないのですが、メモリ周波数を3000MHz以上にOCする場合は、アンコア電圧オフセットを200~300(+0.2~0.3V)に設定する必要があります。
なおアンコア電圧オフセットの設定項目は初期BIOS(0034)にはないので、設定を行うにはBIOSバージョンを0052以降にアップデートする必要があります。【BIOSのアップデート方法】
Crucial Ballistix SODIMM BL2K32G32C16S4Bに収録されているメモリ周波数3200MHzかつメモリタイミングCL16のXMPプロファイルについては、アンコア電圧オフセット:200に設定を変更することで、「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」において安定動作を確認できました。
PCパーツ代理店アユートの独自ブランドから発売されている、メモリ周波数3200MHz/CL22の標準動作に対応する1枚32GB容量のSamsung純正メモリモジュール2枚組キット「AU-2XM471A4G43AB1-CWE」もIntel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNXにおいて安定動作を確認できました。
AU-2XM471A4G43AB1-CWEはJEDEC準拠のSPDプロファイルでメモリ周波数3200MHzに対応しているので、メモリ動作に関する設定が必要なく、メモリ電圧も1.200Vの低電圧動作です。なお、もしもIntel NUC 9 Extreme Kitで安定動作しない、起動が不安定な場合はアンコア電圧を0.1~0.2V程度オフセットしてください。
Crucialから発売されている、Micron純正メモリモジュールによってメモリ周波数3200MHz/CL22の標準動作に対応する1枚32GB容量の2枚組メモリキット「Crucial CT2K32G4SFD832A」もIntel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNXにおいて安定動作を確認できました。
Crucial CT2K32G4SFD832AはJEDEC準拠のSPDプロファイルでメモリ周波数3200MHzに対応しているので、メモリ動作に関する設定が必要なく、メモリ電圧も1.200Vの低電圧動作です。なお、もしもIntel NUC 9 Extreme Kitで安定動作しない、起動が不安定な場合はアンコア電圧を0.1~0.2V程度オフセットしてください。(通常は自動的に+0.100Vオフセットされます。)
Intel NUC 9 NUC9i9QNXのGPUスペック
Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNXのグラフィックボード(GPU)には、今回検証機材として同NUCに搭載可能な事実上最速となる「ASUS DUAL-RTX2070-O8G-MINI」を使用しています。ASUS DUAL-RTX2070-O8G-MINIは、NVIDIAの最新GPUであるTuring世代RTX 20XXシリーズにおいてミドルハイクラスに位置する「GeForce RTX 2070」を搭載した全長200mm以下のショート基板オリファンモデルです。
「ASUS DUAL-RTX2070-O8G-MINI」はリファレンス仕様を上回るブーストクロックは1650MHzへファクトリーOCが施されています。パワーリミット(TDP)はリファレンス仕様値と同じく175Wに設定されています。
GeForce RTX 2070 スペック比較 | |||
ASUS DUAL-RTX2070-O8G-MINI |
デスクトップ版 リファレンス |
モバイル版 | |
CUDAコア | 2304 | ||
VRAM | 8GB GDDR6 |
||
ベースクロック | 1410MHz | 1410MHz | ~1200MHz |
ブーストクロック | 1650MHz | 1620MHz | ~1450MHz |
パワーリミット | 175W | 175W | 90W~110W |
Intel NUC 9 NUC9i9QNXのストレージスペック
「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」のシステムストレージにはPCIE3.0x4接続のNVMe M.2 SSDを使用できるので、今回検証機材としてシステムストレージに「Intel SSD 760p 512GB」、データストレージに「Crucial P5 SSD 2TB」を搭載しています。「Crucial P5 SSD」は、 Micron製96層3D NANDと同社製メモリコントローラーを採用したNVMe M.2 SSDですが、空き容量の60~80%という大部分をSLCキャッシュとして使用でき、MLC型SSDのような使用感で扱えるので、2020年最新ハイエンドNVMe M.2 SSDの中でも特にオススメなモデルです。
・「Crucial P5 SSD 1TB」をレビュー。理想的なSLCキャッシュ構造が魅力
「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」に搭載したIntel SSD 760p 512GBとCrucial P5 SSD 2TBについて、ストレージ性能の測定で定番のベンチマークソフトCrystalDiskMarkを実行した結果が次のようになっています。
下は同じSSDについて、Intel Core i9 9900K&Z390環境でCrystalDiskMarkを実行した結果ですが、これと比較すると、「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」では一般的なデスクトップ環境に比べてCrystalDiskMarkのスコアが低くなっています。ハッキリとした理由は分からないのですが、CM246チップセットかCore i9 9980HKの特性でしょうか。
PCゲームのインストール先としてSSDとHDDではPCゲームのロード時間に大きな差があります。詳しくは下の記事を参照してください。「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」には3基のNVMe M.2 SSDを設置可能なスペースがあるので、システムストレージとして250~500GBのSSDとデータストレージとして1TB以上のSSDを搭載するのが管理人的にオススメの構成です。
・【SATA SSD vs NVMe SSD vs HDD】 ゲームロード時間を比較
また下の記事では、MLC/TLC/QLCのマルチビットセルやNVMe/SATA3.0など2019年最新のSSD事情について徹底解説しています。ストレージについて詳しく知りたい方は参考にしてください。
・おすすめSSDまとめ。QLC/TLC/MLCやNVMe/SATA3.0など最新SSD事情を解説
Intel NUC 9 NUC9i9QNXの温度・消費電力・ファンノイズ
「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」のCPU・GPUスペックや具体的な動作設定等について紹介したので、性能をチェックする前に、Intel NUC 9 NUC9i9QNXの消費電力・温度・ファンノイズを見ていきます。CPU負荷時のCPU温度とCPUコアクロックについて
まずは「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」に搭載されたCPUの「Core i9 9980HK」にフル負荷をかけた時のCPU温度やコアクロックを確認します。「Core i9 9980HK」をIntel NUC 9 NUC9i9QNXにおける標準設定で動作させて、ストレステストとして動画エンコードによって20分ほどフル負荷をかけ続けました。
「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」においてCore i9 9980HKは短期期間電力制限PL2:107W(Tau:28s)が許容されているのでテスト開始直後にCPU温度やファン速度が急激に上がります。
負荷開始直後からTau経過後は長期間電力制限PL1:65Wに従って動作するので、Core i9 9980HKのCPU温度は80度以下に収まります。この時にCPU Package Powerは65W前後、実動で全8コアの平均コアクロックは3.25GHz程度です。
ファン速度はCPUクーラー冷却ファンが2100RPM前後、PCケースファンが1600RPM前後で推移しますが、いずれも小径なファンなのでファンノイズは煩く感じるほどではありません。
また「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」においてCore i9 9980HKのPL1を85WやUnlimitedに解除して同様のストレステストを行うと次のようになりました。
長期間電力制限PL1を85W以上に解除すると、標準設定と比較してコアクロックが15~20%も引きあがるので、それに比例した性能向上が期待できますが、それに伴ってファン速度も大きく上がっており、静音性はトレードオフになります。
電力制限を無効化して、さらにXTUからCPUコア電圧にマイナスオフセットで-120mVの設定を適用すると、コアクロックは全コア4.1GHzまで引きあがります。
ゲーム負荷時のGPU温度とCPU温度について
続いてIntel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNXに今回搭載したグラフィックボードの「ASUS DUAL-RTX2070-O8G-MINI」とCPUの「Core i9 9980HK」にPCゲームプレイ時に相当する負荷をかけ続けたときのGPU温度とCPU温度をチェックしていきます。測定負荷として3DMark Time Spy Extreme Stress Testを使用しました。「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」に搭載したASUS DUAL-RTX2070-O8G-MINIは、長期的なゲーミング負荷に対してGPU温度は最大68度に収まっていますが、GPUクーラーのファン回転数は2100RPM程度と若干高めです。GPU温度には余裕があるので静音性を重視するのであればファン速度を1800RPM前後まで下げても良さそうです。
Intel NUC 9 NUC9i9QNXの消費電力について
「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」の消費電力についてチェックしていきます。消費電力の測定にはBluetooth接続でスマホから消費電力をリアルタイムモニタリング可能なワットチェッカー「ラトックシステム REX-BTWATTCH1」を使用して、電源ユニット(ACアダプタ)の変換損を含めた「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」のシステム全体の消費電力をチェックしています。
「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」(GeForce RTX2070、64GBシステムメモリ、NVMe M.2 SSD×2)はバックグラウンドタスクによって変動もありますが、アイドル状態におけるシステム消費電力は概ね35W前後で推移します。
CPUに対してフル負荷のかかるCinebench R20では負荷のかかる時間が短いので、短期間電力制限PL2で動作するベンチ開始直後は180W前後、その後、長期間電力制限PL1:65Wに制限されるので120W前後になります。
CPUに対して長期的にフルに負荷がかかるクリエイティブタスクでは、標準設定において「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」のシステム消費電力は120W前後で推移します。一方で長期間電力制限PL1を85Wに制限するとシステム消費電力は150W前後で推移し、電力制限を完全に解除すると180W前後に達します。
主にGPUに対してフル負荷のかかる3DMark TimeSpy Stress Testでは、GeForce RTX 2070グラフィックボードのASUS DUAL-RTX2070-O8G-MINIを搭載した「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」のシステム消費電力は250W前後になります。
GPUだけでなくCPUにも大きな負荷のかかるゲームシーンではシステム消費電力が350~400Wにも達しますが、「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」に搭載された電源ユニットは80Plus Platinum認証取得かつ電源容量500Wなので安定した電力供給が可能です。
Intel NUC 9 NUC9i9QNXのファンノイズについて
この章の最後に「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」のファンノイズをチェックしていきます。ノイズレベルの測定には「サンワダイレクト 400-TST901A」を使用しています。電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。
まずアイドル時について「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」はCPU温度が十分に低ければ冷却ファンが完全に停止するセミファンレス機能に対応していることもあって、ノイズレベルは33.4dB程度となりました。電源OFF時と大差なく、無音と言ってもよいレベルの静音性です。
アイドル時についてはノイズレベル自体は低く、実際に静かなのですが、電源ユニットから「カラカラ」「ガリガリ」「ジリリ」という感じのコイル鳴きか、小径ファンの軸ブレのような細かいノイズが生じるのが気になりました。特別煩いわけではないのですが、デスクトップに置いて1m以内にあると気になる感じの不定期なノイズです。
続いて動画エンコードなどCPUにフル負荷のかかるタスクを実行した時のファンノイズについてですが、PL1:65 Wの電力制限もあって、冷却ファンの回転数もさほど高くないためノイズレベルは40dB前後に収まっています。ファンノイズははっきり聞こえますが、煩く感じるほどではありません。
一方で短期間電力制限PL2は107Wが許容されており、なおかつCPUクーラーの規模が小さいので、瞬間的にCPU Package Powerで85W~100W程度の負荷がかかると、一瞬でCPU温度が80~90度に達してしまい、それに伴ってノイズレベル45dBを上回るファンノイズに生じます。乱高下的なファンノイズになるのでこれは煩わしく感じる人も多いと思います。
数秒間に上昇可能なデューティ比を制限するステップアップ遅延のように、ファン速度の変化を緩やかにする機能を搭載して置いて欲しかったところです。
また標準のファン制御設定のまま長期間電力制限PL1を85W以上に解除すると、ノイズレベルは47dB前後に達するので、かなり煩く感じます。
3DMark Time Spy Extreme Stress Testを使用したゲーミング負荷時のファンノイズについては、43dB前後でファンノイズが変動しました。ファンノイズはやや大きめですが、今回搭載したASUS DUAL-RTX2070-O8G-MINIはGPU温度の割にファン速度が高めなチューニングになっているので、あまり煩く感じない40dB前後までファン速度を下げても十分に運用できると思います。
一方でCPUにも負荷のかかるゲームシーンでは、やはりCPUクーラーやPCケースの冷却ファンが騒音上のボトルネックになります。CPUの発熱に対してCPUクーラーの性能が不足している感は否めません。
以上のように「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」では多くの場面でCPUクーラー冷却ファン&天面ケースファン×2が騒音上のボトルネックになる可能性が高いです。
「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」ではBIOSメニュー上でファン速度を手動で設定することも可能なので、標準設定ではどうしても煩く感じる場合は各自で上手い具合に設定し直してください。
ターボブースト時の性能は低下しますが、静音性を高める手っ取り早い設定の1つとしては、短期間電力制限PL2を標準設定の107Wから80W以下に引き下げるという手もあります。
以上の設定はBIOSメニューで行いますが、Intel NUC 9 Extreme KitではPC起動中にF2キーを連打すればBIOS(UEFI)メニューに入れます。BIOS(UEFI)メニューに入るには、Windows上で作成できる再起動ショートカットを作成するという手もあります。非常に便利なのでオススメです。
Intel NUC 9 NUC9i9QNXのCPU性能とGPU性能
最後に「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」のCPU性能とGPU性能をチェックしていきます。Intel NUC 9 NUC9i9QNXのCPU性能(クリエイティブタスク)
続いて「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」に搭載されたCore i9 9980HKのCPU性能に大きく依存する、クリエイティブタスクにおけるパフォーマンスをチェックしていきます。「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」に搭載されたCore i9 9980HKは、8コア16スレッドのCPUであり、単コア最大動作クロックは5.0GHz、全コア最大動作クロックは4.2GHz、PL1:65W制限下における3Dレンダリングや動画のエンコードなど全コアに対して大きく負荷がかかる時の実動クロックは3.2GHz程度です。
8コア16スレッドCPUのCore i9 9980HKはPL1:65W制限下において全コア3,2GHz程度で動作するので(Tau:28s内ではPL2:107Wで動作)、CPUのマルチスレッド性能を測定するベンチマークで定番のCinebench R15のスコアは1700程度、Cinebench R20のスコアは3500程度でした。
CPU性能の詳細な検証に用いるクリエイティブタスクについてはCPU使用率がフルロードになる3Dレンダリング、動画エンコード、RAW現像、ゲームビルドの4種類となっています。
具体的な測定内容は、3Dレンダリングはオープンソース3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフト、動画のエンコードは無料で利用できる動画編集ソフトとして国内外で多数のユーザーがいる「Aviutl」のx264エンコーダによるフルHD動画のエンコード、RAW現像はDxO PhotoLab(PRIMEあり、5472×3648解像度のRAW画像ファイル 100枚)、デモプロジェクト「Infiltrator」を使用したUnreal Engine 4によるゲームビルドです。
3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフトで測定する3Dレンダリング性能についてはレンダリング時間だけを見ても性能差が直感的にわかりにくいので、比較対象の中で最も遅いものを基準にして、「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」に搭載されるCore i9 9980HKを含めた各種CPUのレンダリング速度を性能比としてグラフ化しました。
x264エンコーダによって1920×1080解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」に搭載されるCore i9 9980HKを含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
DxO PhotoLabによるRAW現像速度について「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」に搭載されるCore i9 9980HKを含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
「Unreal Engine 4 - Infiltrator」のビルド性能については、ビルド時間だけを見ても性能差が直感的にわかりにくいので、比較対象の中で最も遅いものを基準にして、「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」に搭載されるCore i9 9980HKを含めた各種CPUのビルド速度を性能比としてグラフ化しました。
「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」に搭載されるCore i9 9980HKのクリエイティブタスク性能について簡単にまとめると、標準設定のPL1:65Wでは8C16Tが3.2GHz程度で動作するので、6C12Tが4GHz以上で動作するデスクトップ向けCore i5と比較して10%程度高性能です。
しかしながらデスクトップ向け8C16TのCPUと比較すると性能には大きな差があり、Core i9 9980HKに”8コア16スレッドCPU”という額面通りの性能を期待すりと落胆することになると思います。やはり”モバイル向け8コア16スレッドCPU”という感じの性能です。
PL1:85W以上に電力制限を解除するとコアクロックは3.6~3.8GHzまで引き上げることができるので、標準設定と比較して10~20%程度の性能向上を狙えます。ただし上の章で紹介した通り、静音性はトレードオフになりますし、電力制限を解除してもデスクトップ向けの8C16Tと6T12Tの中間程度の性能に収まるので、Core i9 9980HKについては無理に性能を引き上げるより、デスクトップ向け6コア12スレッドCPU相当の性能と割り切って静音性を重視するほうが良いと思います。
なお単純にBIOS設定から電力制限を解除するだけでなく、XTUからCPUコア電圧にマイナスオフセットとして-120mVの設定を適用すると、Core i9 9980HKは全コア4.1GHz前後での動作となり、デスクトップ向けCore i9 9900KのPL1:95W動作と同程度のパフォーマンスを発揮できます。
CPUコア電圧のマイナスオフセット設定については、2020年8月現在の最新BIOS(0052)ではBIOS上の設定としては用意されておらず、Windows上アプリ「Extreme Tuning Utility」から設定を行う必要があります。
個体差があると思いますが、今回入手した機材においては、100~120mVのマイナスオフセットは安定しましたが、150mVに設定すると全コア負荷では安定するのですがおそらく単コアブースト時にクラッシュ、200mVでは設定直後にクラッシュしました。
100mV前後のマイナスオフセットであれば概ね安定動作が期待できると思います。Core i9 9980HKのVFカーブはデスクトップ向けに比べて電圧が高めのような気がするので、今後のBIOSアップデートでコア電圧のオフセット設定を追加して欲しいです。
Intel NUC 9 NUC9i9QNXのGPU性能(PCゲーミング)
続いて「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」に搭載されたGPUであるGeForce RTX 2060のPCゲーミング性能についてチェックしていきます。国内最大手かつ大人気のMMO RPG「ファイナルファンタジーXIV」の2019年最新大型アップデート「FFXIV: 漆黒のヴィランズ」の公式ベンチマークソフトで、GeForce RTX 2070を搭載した「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」のPCゲーミング性能を測定してみました。(FF14ベンチはスコア10000を超えるとメモリやCPUのボトルネックベンチになるためGPUだけ高速になってもスコアに差が出なくなります。)
「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」はWQHD解像度のグラフィック設定:最高品質においてベンチマークスコアは14000オーバーとなっており、快適度評価も「非常に快適」をマークしています。
FFXIV: 漆黒のヴィランズの公式ベンチマークソフトでは総合スコアを1.5×100で割った値がちょうど平均FPSなので、GeForce RTX 2070を搭載した「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」ならFFXIV: 漆黒のヴィランズをWQHD解像度のハイフレームレートでプレイも余裕です。
また2020年最新PCゲームと比較しても高画質でグラフィック負荷が重いPCゲームに分類されるシングルプレイ用ロールプレイングゲーム「ファイナルファンタジーXV」の公式ベンチマークソフトで、GeForce RTX 2070を搭載した「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」のPCゲーミング性能を測定してみました。
「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」はWQHD解像度のグラフィック設定:高品質においてベンチマークスコアは6000を超えており、快適度評価も「快適」をマークしています。
ファイナルファンタジーXVの公式ベンチマークソフトでは総合スコアを100で割った値がちょうど平均FPSなので、「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」ならファイナルファンタジーXVをWQHD解像度で平均60FPSの滑らかなプレイが可能です。
GeForce RTX 2070を搭載した「Intel NUC 9 NUC9i9QNX」はVRMark Cyan Roomのベンチマークスコアも7000をオーバーしており、VR Ready PCの水準を余裕でクリアしています。
2020年8月現在、「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」に搭載可能な最速GPUのGeForce RTX 2070は前世代で同クラス製品のGeForce GTX 1070よりも30%以上、GeForce GTX 1080よりも10%程度の高速化を果たしており、マイナーアップデートとなるGeForce RTX 2060 SUPERを僅かに上回るグラフィック性能を発揮します。フルHD/144FPSのハイフレームレートゲーミングやWQHD解像度における高画質なPCゲーミングに対応できる性能を備えています。
GeForce RTX 2070は2020年現在、手ごろな価格で普及しつつあるWQHD/144HzのIPS液晶ゲーミングモニタと組み合わせて高画質・ハイフレームレートなPCゲーミング入門に最適なGPUの1つです。
WQHD/144HzのIPS液晶ゲーミングモニタは色々と販売されていますが、リモコン操作&USB Type-C対応でマルチメディアに最適な「BenQ EX2780Q」、OSDクロスヘアやMBRなどゲーミング機能が豊富な「ASUS TUF Gaming VG27AQ」、同スペック製品の中でも特に高発色・高応答速度な「LG 27GL850-B」は当サイトでもレビューを公開していてオススメなモデルです。
・WQHD解像度/144Hz+ゲーミングモニタのレビュー記事一覧へ
また「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」を外出先に持ち出して使用するのであれば、フルHD解像度で240Hzリフレッシュレートに対応する17.3インチIPS液晶パネルを採用し、7800mAhの大容量バッテリーも内蔵するモバイルゲーミングモニタ「ASUS ROG Strix XG17AHPE」もオススメです。
・240Hz対応モバイルモニタ「ASUS ROG Strix XG17AHPE」をレビュー
Intel NUC 9 NUC9i9QNXのレビューまとめ
最後に「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 奥行238mm×高さ216mm×幅96mmで容積4.9Lのコンパクトサイズ
- キャリーバッグとして使えるショルダーベルト付きプラスチックケースが付属
- 8コア16スレッドCPUのCore i9 9980HKを搭載
- Core i9 9980HKはデスクトップ向け6C12Tを10%程度上回るクリエイティブタスク性能
- 200mm以下のグラフィックボードを搭載でき、GeForce RTX 2070にも対応
- 32GB×2=64GBの超大容量なSODIMM DDR4メモリを搭載可能
- 32GB×2でメモリ周波数3200MHz/CL14のメモリOCが安定動作
- ストレージはNVMe M.2 SSD×3を搭載可能
- 2基のThunderbolt3端子を標準搭載
- WiFi6対応無線LANを標準搭載
- コンパクトサイズなのでやはりCPUクーラー(&ケースファン)の静音性はいまひとつ
- CMOSクリアが分かりにくく、アクセスが難しい
- 製品価格が18万円ほどと非常に高価
- 国内版はC13コネクタ(自作PC電源ユニットと同じ)のACケーブルを各自で用意
「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」は、モバイル向け8コア16スレッドCPUのCore i9 9980HKを搭載しながら。奥行238mm×高さ216mm×幅96mmで容積4.9Lという、一般的なデスクトップPCでは不可能なコンパクトサイズを実現するのはベアボーンPCならではであり、厚みという制限が大きいモバイルゲーミングPCを大きく上回る静音性を実現しています。
Core i9 9980HKは物理的には確かに8コア16スレッドCPUではありますが、Core i9 9900KやCore i7 10700Kなどデスクトップ向け8コア16スレッドCPUと比較するとマルチスレッド性能には大きな差があり、デスクトップ向けCPUを基準に考えた場合は、6コア12スレッドよりも若干速い(第10世代ではCore i5 10600K相当)という感じです。
一応、電力制限を解除して、コア電圧-100mV程度のオフセット設定(今のところXTUからしか設定できない)を行うと、Core i9 9900KのPL1:95W時程度の性能は発揮できますが、Compute ElementのCPUクーラーが静音性を維持したままで冷やせる発熱が65W程度なので、静音性とトレードオフになります。
Intelが提唱する次世代PCの形であるNUCとして、前世代では異例のAMD製iGPU搭載が話題になりましたが、Intel NUC 9 Extreme KitではNUCで初めてPCIE拡張ボードのグラフィックボード増設に対応しており、最大の特長といっても過言ではないと思います。
全長200mm以下かつ2スロット以下のグラフィックボードを搭載でき、2020年8月現在で搭載可能な最速GPUはGeForce RTX 2070です。またセカンダリPCIEスロットとしてPCIE3.0x4に対応したx4サイズスロットも実装されているので、1スロットのグラボと組み合わせれば、「AVerMedia Live Gamer 4K」や「Elgato 4K60 Pro MK.2」といった4K/60FPS/HDRやフルHD/240FPSに対応するハイエンドビデオキャプチャも使用できます。ゲーム実況の配信専用マシンとしても魅力を感じるので、Turing世代NVEncに対応した1スロットグラボの登場を切望して止みません。
ゲーム用メインPCとしてだけでなく、クリエイティブタスク用PCやゲーム配信用サブPCとして、高性能なGPUを搭載可能なコンパクトPCを探しているのであれば、「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」はオススメできる製品だと思います。
以上、「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」のレビューでした。
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グラフィックボードの増設に対応した最新NUC、Ghost CanyonことIntel NUC 9 Extreme Kitから、8コア16スレッドCore i9 9980HKを搭載した最上位モデル「Intel NUC 9 Extreme Kit NUC9i9QNX」をレビュー。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) July 31, 2020
GeForce RTX 2070&システムメモリ64GB/3200MHzの最強構成で徹底検証。https://t.co/GfMumYBthb
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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