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10コア20スレッド「Core i9 10900K」など第10世代Comet Lake-S CPUに対応するZ490チップセット搭載マザーボードとして、Supermicroが展開するゲーミングブランド"SuperO"からリリースされた、4基のx16サイズPCIEスロットやAQUANTIA製10Gbイーサを搭載するパーソナルワークステーションの構築にも最適なハイエンドモデル「SuperO C9Z490-PGW」をレビューします。
Supermicroは一般的な自作PCユーザーには馴染みの薄い企業かもしれませんが、世界的にサーバー/ワークステーション及びHPC関連製品などを開発・提供しているハードウェアベンダーであり、同社が展開するゲーミングブランドSuperOは、信頼性が求められる業界で培われた熟練のノウハウを活用し、サーバーグレードの高品質なコンポーネントや回路設計によって構築されたゲーミングマザーボードをリリースしています。
代理店公式ページ:https://www.ask-corp.jp/products/supero/motherboard/intel-z490/c9z490-pgw.html
製品公式ページ:https://www.supero.com/ja/product-series/55-c9z490-pgw.html
マニュアル:https://www.supermicro.com/manuals/motherboard/Z490/MNL-2238.pdf
SuperO C9Z490-PGW レビュー目次
1.SuperO C9Z490-PGWの外観・付属品
2.SuperO C9Z490-PGWの基板上コンポーネント詳細
3.SuperO C9Z490-PGWのCPUクーラー互換性
4.SuperO C9Z490-PGWの検証機材
5.SuperO C9Z490-PGWのBIOSについて
6.SuperO C9Z490-PGWのOC設定について
7.SuperO C9Z490-PGWの動作検証・OC耐性
8.SuperO C9Z490-PGWのレビューまとめ
【注意事項】
同検証は2020年8月上旬に行っておりSuperO C9Z490-PGWのBIOSはver1.0aを使用しています。最新BIOSでは修正されている不具合や追加されている機能もあると思うので、最新BIOSのリリースについては公式ページを各自でチェックしてください。
サポート:https://www.supero.com/en/product-series/55-c9z490-pgw.html#product-download-tab
【2020年8月11日:初稿】
レビュー記事初稿を公開、BIOS:1.0aで検証
【機材協力:Supermicro】
SuperO C9Z490-PGWの外観・付属品
まず最初にSuperO C9Z490-PGWの外観と付属品をチェックしていきます。「SuperO C9Z490-PGW」の製品パッケージ内に同封されている冊子マニュアルは多言語マニュアルとなっており、日本語ページは5ページほどでマニュアルというよりクイックリファレンスな感じです。マザーボードの詳細情報について知りたいときは英語になりますが、公式ページで配布されているマニュアルを参照する必要があります。ドライバ類についてはそろそろUSBメモリに移行して欲しいところ。
組み立てに関連する付属品としては、SATAケーブル4本、リアI/Oシールド、スティック型WiFiアンテナ*2、M.2 SSD固定ネジ&スペーサー、S-Connectorとなっており、サーバー屋らしくシンプルです。
「SuperO C9Z490-PGW」に付属するはS-ConnectorパワースイッチやストレージLEDなど細かいフロントI/Oピンをまとめてマザーボードに接続可能な便利なコネクタです。
マザーボード全体像は次のようになっています。
SuperO C9Z490-PGWはATXフォームファクタのマザーボードです。サーバー・ワークステーション用マザーボードというと緑色や青色のPCB基板を思い浮かべますが、SuperOはゲーミングブランドだけあって近年のトレンドを踏襲した黒色PCB基板です。
前世代C9Z390-PGWと比較すると、メタリックな深緑色やメカメカしいデザインから、より洗練された外観に変わっているのがわかります。
「SuperO C9Z490-PGW」のマザーボード右下に設置されたチップセット用ヒートシンクは黒一色の無骨なアルミニウム製ですが、斜めのヘアラインアルミニウムの光沢がスマートさを感じさせるアクセントになっています。PCIEスロット間にはM.2スロットに装着されたM.2 SSDを冷やすヒートシンクが装着されており、チップセットクーラーと調和のとれたシンプルデザインです。
「SuperO C9Z490-PGW」のCPUソケットの上側と左側には、チップセットクーラーと同じく黒一色のアルミニウム塊型の独立したVRM電源クーラーヒートシンクが設置されています。リアI/Oカバーは色味が異なる黒~グレーの3種のヘアラインアルミニウムプレートで構成され、SuperOのブランドロゴが刻印されています。
リアI/OカバーのSuperOロゴと斜めライン部分にはLEDイルミネーションが内蔵されており、白色に点灯します。
オーバークロックに対応した最近のハイエンドマザーボードではOCによって大幅に増加するVRM電源負荷(CPU消費電力)を分散するため、10フェーズを超える、より多くのVRM電源フェーズ数を確保する傾向にありますが(フェーズ数は必ずしもVRM電源の性能には直結しないものの)、SuperO C9Z490-PGWはハイエンドZ490マザーボードとしてはかなり少なめの8(6+2)フェーズのVRM電源が実装されています。Core i9 10900KをOCした時のVRM電源温度についてはレビュー後半で詳しくチェックしていきます。
「SuperO C9Z490-PGW」はVRM電源フェーズ数こそ少ないですが、VRM電源回路にハイサイド/ローサイドMOS-FETとドライバICをワンパッケージし、低発熱で定評のある「Dr. MOS」の90A対応版「Infineon TDA21490」使用されています。
10コア20スレッドのCore i9 9900Kのオーバークロックに対応したハイエンドZ490マザーボードとしては、「SuperO C9Z490-PGW」はEPS端子数も少なめで、8PIN EPS端子が1基だけ設置されています。
以下USB規格に関する説明がありますが『USB3.2 Gen2 = USB3.1 Gen2』、『USB3.2 Gen1 = USB3.1 Gen1 = USB3.0』と考えて基本的に問題ありません。
「SuperO C9Z490-PGW」のリアI/Oには接続帯域20Gbpsに達する次世代規格USB3.2 Gen2x2に対応したUSB Type-C端子が1基実装されています。
USB3.2 Gen2x2の接続に対応した外付けストレージについてはWDから新製品「WD_BLACK P50 Game Drive(レビュー)」が2020年1月に発売されており、USB3.2 Gen2x2に対応したUSB Type-Cで接続することによって連続アクセス2GB/sの超高速を実現できます。
リアI/Oには最新のUSB3.1 Gen2規格に対応した2基のType-Aと1基のType-Cの計3基の端子が設置されています。そのほかのUSB端子については2基のUSB3.2 Gen1端子が搭載されています。マウス・キーボードなどの周辺機器を多数繋いでいてもVR HMDに余裕で対応可能です。個人的に残念なポイントとしてはUSB3.0/1は無線マウスと電波干渉を起こすことがあるので、加えてUSB3.0端子から少し離れた場所にUSB2.0を設置して欲しかったです。
ネットワーク関連では低CPU負荷、高スループットで定評のあるIntel純正のLANコントローラーが採用された有線LAN端子に加えて、一般的なギガビットイーサの10倍の帯域幅を実現するMarvell AQtion(旧Aquantia)製10Gbイーサ AQC107を搭載しています。
さらに「SuperO C9Z490-PGW」は次世代規格WiFi6に対応したIntel AX200コントローラーによる無線LANも搭載しています。接続規格としてはWi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac/ax、2.4/5GHzデュアルバンド、最大通信速度2400Mbps、Bluetooth 5.0に対応しています。リアI/Oには無線モジュールのアンテナ端子が設置されているので付属のアンテナを接続できます。
なお製品公式ページではIntel AX200とのことでしたが、サンプル機を確認してみたところ無線LANコントローラーは2020年最新のIntel AX201でした。
SuperO C9Z490-PGWの基板上コンポーネント詳細
続いて「SuperO C9Z490-PGW」のマザーボード基板上の各種コンポーネントをチェックしていきます。システムメモリ用のDDR4メモリスロットはCPUソケット右側に4基のスロットが設置されています。固定時のツメはマザーボード上側の片側ラッチとなっています。グラフィックカードのあるPCIEスロット側はラッチがないので干渉の心配もありません。
またメモリスロットには、メモリ装着時に基板のたわみを防止する補強用メタルアーマー「SUPERO Armor」も搭載しています。
グラフィックボードなどを設置するPCIEスロットは上から[x16、N/A、x16、x1、x16、N/A、x16]サイズが設置されています。「SuperO C9Z490-PGW」の最大の特徴の1つである、1/3/5/7段に設置されたx16サイズPCIEスロットは[x16, N/A, x16, N/A]や[x8, x8, x8, x8]のPCIE3.0帯域で使用できます。4段目のx1サイズスロットはPCIE3.0x1帯域の拡張スロットとして使用できます。
SuperO C9Z490-PGWにも最近のトレンドとしてx16サイズスロットには1Kgを超える重量級グラボの重さに耐えるように、補強用メタルアーマー搭載スロットSUPERO Armorが採用されています。
なお「SuperO C9Z490-PGW」はNVIDIA製GPUによるマルチGPU機能SLIには対応していないので注意してください。
CPU直結PCIEレーンが16レーンのIntel第10世代CPU用マザーボードながら、4基のx16サイズPCIEスロットで[x16, N/A, x16, N/A]や[x8, x8, x8, x8]の帯域で拡張ボードの接続を可能にするPLXスイッチチップはCPUソケット下に実装され、アルミニウム塊型の大型ヒートシンクで冷却されています。
SuperO C9Z490-PGWにはSATAストレージ用の端子は4基搭載されています。SATA_1~4の4基はIntel Z490チップセットのコントローラーによる接続で、RAID0/1/5/10のハードウェアRAID構築にも対応しています。
高速NVMe(PCIE3.0x4)接続規格に対応したM.2スロットはPCIEスロット間に計2基が設置されています。M.2_M1とM.2_M2はいずれもNVMe接続のM.2 SSDにのみに対応しており、SATA接続のM.2 SSDには非対応です。
「SuperO C9Z490-PGW」のM.2スロットにはいずれもプレートカバー型の放熱ヒートシンクが装着されており、M.2 SSDのサーマルスロットリング発生を抑制する効果が期待できます。
マザーボード右端には最新規格USB3.1 Gen2に対応した内部USB3.1 Gen2ヘッダーが搭載されています。
マザーボード下端には内部USB3.0ヘッダーと内部USB2.0ヘッダーがそれぞれ1基ずつ設置されています。
CorsairLinkやNZXT CAM対応製品など内部USB2.0ヘッダーを使用する周辺機器も増えていますが、SuperO C9Z490-PGWには内部USB2.0ヘッダーが1基しかありません。内部USB2.0が不足する場合はUSB2.0ヘッダー増設ハブの「NZXT INTERNAL USB HUB」や「Thermaltake H200 PLUS」がおすすめです。
マザーボード基板上にはOCerのみならず一般自作erにとっても組み立て中の動作確認に便利なオンボードのスタートスイッチとリセットスイッチとCMOSクリアスイッチが実装されています。マザーボード基板右下にはPOSTエラーのチェックができるDebug LEDが設置されています。
またリアパネルとオンボードの2か所に、CMOSクリアのハードウェアスイッチ実装されておりOC設定に失敗してもPCケースを開くことなくBIOSの設定をクリアできるので手動でOCを行うユーザーにとても便利です。
「SuperO C9Z490-PGW」には冷却ファンや簡易水冷クーラーポンプの接続用ファン端子がマザーボード上の各場所に計6個設置されています。
「SuperO C9Z490-PGW」はオンボードサウンドに7.1チャンネルや32Bit/192kHzのハイレゾ音源に対応するRealtek ALC1220コーデックを使用した高音質ソリューションが採用されています。オーディオ用の外部アンプ等との接続に最適な光デジタル端子も設置されています。
「SuperO C9Z490-PGW」にはマザーボード上に標準でビープ音の鳴るスピーカーも設置されていました。システム起動時やPOSTエラーコードなどが鳴ります。BIOSから無効化する設定はありませんでした。エラーチェックに使えるので機能として搭載する分には問題ないのですが、毎回鳴ると邪魔に感じる人もいるので、BIOSから無効化できるように設定を用意して欲しかったです。
SuperO C9Z490-PGWの検証機材
SuperO C9Z490-PGWを使用して検証機材と組み合わせてベンチ機を構築しました。SuperO C9Z490-PGW以外の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9 10900K (レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36(レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) |
CPUベンチ用 ビデオカード |
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー) |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
システムメモリの検証機材には、XMP OCプロファイルによるメモリ周波数4000MHzかつメモリタイミングCL15の超低レイテンシなオーバークロックに対応する8GB×4=32GBのメモリキット「G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK」を使用しています。かなりピーキーなOC設定なので一般にはオススメし難い製品ですが。
・「G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK」をレビュー
高級感のあるヒートシンクや8分割ARGB LEDを搭載してデザイン面でも優れる「G.Skill Trident Z Neo」シリーズは当サイトでも特にオススメしているDDR4メモリです。第3世代Ryzen向けにリリースされた製品ですが、3200MHz/CL14や3600MHz/CL16といった定番スペックがラインナップされていて、Intel第10世代Comet Lake-S CPU&Z490マザーボード環境でも高いパフォーマンスを発揮できるので、選んで間違いのないオススメなOCメモリです。
・「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN」をレビュー
360サイズや240サイズなど120mmファンを複数搭載できるマルチファンラジエーターの簡易水冷CPUクーラーを使用するのであれば、「Noctua NF-A12x25 PWM」への換装もおすすめです。「Noctua NF-A12x25 PWM」は、超硬質かつ軽量な新素材「Sterrox LCP」の採用によってフレーム-ブレード間0.5mmの限界を実現させた次世代汎用120mm口径ファンとなっており、1基あたり3500円ほどと高価ですが、標準ファンよりも静音性と冷却性能を向上させることができます。
・「Noctua NF-A12x25 PWM」を360サイズ簡易水冷に組み込む
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、メインストリーム向けでもハイパフォーマンスな環境を目指すのであれば、システムストレージ用に一押しのSSDです。
・「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
サーマルグリスの代用品として、数年スパンの長期使用においても性能低下が基本的になく再利用も可能、グリスが零れてマザーボードが汚れたり壊れる心配もないので、炭素繊維サーマルシート「Thermal Grizzly Carbonaut」もオススメです。
・「Thermal Grizzly Carbonaut」はCore i9 9900Kを冷やせるか!?
以上で検証機材のセットアップが完了となります。
SuperO C9Z490-PGWのBIOSについて
「SuperO C9Z490-PGW」を使用した検証機の構築も完了したので動作検証とOC耐性のチェックの前にBIOSの紹介をします。(OSから日付調整する前にスクショを取っている場合、日付が変になっているかもしれませんが無視してください。また内容的に差異のないものは過去のスクリーンショットを流用しています。)
SuperO C9Z490-PGWのBIOSに最初にアクセスするとEZモードというグラフィカルな画面が表示されます。パッと見の見栄えは良いのですが詳細モードでないと詳細設定ができないので「F7」キーを押してサクッと「アドバンスドモード(Advanced Mode)」へ移るのがおすすめです。
画面上中央の「English」と表記されたアイコンをクリックしてプルダウンメニューから日本度を選択すると日本語UIで表示できます。英語、中国語に次いで日本語UIが採用されているところは非常に興味深いです。日本語ローカライズについては漢字フォントも日本語用のものですし、翻訳もある程度正確で、国内におけるマザーボードメーカー主要4社と比較してもそん色ない品質です。
「F7」キーを押すとアドバンスドモードという従来通りの文字ベースのBIOSメニューが表示されます。次回起動時に初回からアドバンスドモードを起動する場合は、アドバンスド設定のタブにある「セットアップモード」の項目をアドバンスドモードに変更してください。
アドバンスドモードはテキストベースのクラシカルUIになっています。「オーバークロッキング」「CPU」「メモリ」「高度な設定」「H/W Monitor」「保存および終了」「BIOSアップデート」の7つのタブで構成されており、左右カーソルキーでいつでもタブの選択が可能です。他社でも採用されるレイアウトですが、他社が左右カーソルキーですぐにタブが切り替わるのに対して、「SuperO C9Z490-PGW」ではタブアイコンの選択が変わるだけで、エンターで決定してからタブが切り替わります。
SuperO C9Z490-PGWのBIOSにおいて設定の保存とBIOSからの退出はトップメニュータブ最右端の「保存および終了」から行えます。
特定のブートデバイスを指定してBIOSから退出するBoot Override機能も「保存および終了」タブメニューに配置されています。
BIOSのアップデート方法は、まず下から最新のBIOSファイルをダウンロード、解凍してUSBメモリのルートに解凍フォルダを置きます。
サポート:https://www.supero.com/en/product-series/55-c9z490-pgw.html#product-download-tab
USBメモリを挿入したままBIOSを起動し、アドバンスドモードのトップメニュータブ「BIOSアップデート」でアップデートの開始を選択します。
アップデートの開始を選択すると一度、再起動してからBIOSメニューがまた開きます。再度BIOSアップデートのタブを開くとBIOSファイルの選択が表示されるのでUSBメディアに保存したBIOSファイルを選択するとBIOSのアップデートが開始されます。
ブートとOSインストール周りについて紹介します。SuperO C9Z490-PGWのブート回りは「保存および終了」タブメニュー内で下画像のように非常に簡潔にまとめられており初心者でも迷うことはないと思います。ブートモードからはUEFIとLegacyが選択できますが、一般ユーザーはUEFI固定でOKです。
「SuperO C9Z490-PGW」においてWindows OSインストールメディアを起動するには、ブートオプションの優先順位から自動的にインストールメディアを起動する場合、「Boot Option #1」に「UEFI:USBハードディスク 〇〇」を選択します。
複数のUSBストレージがシステムに接続されている場合は、「UEFI USBハードディスクドライブ BBSプロパティ」から、OSインストールメディアの優先度を1番にします。
ブートデバイスを個別に指定して再起動できるBoot Override機能からOSインストールメディアを起動する場合は、「UEFI:〇〇」というOSインストールメディアを選択してください。
BIOSのアップデートやWindows OSのインストール方法を紹介したところで、SuperO C9Z490-PGWのBIOS機能で管理人が気になったものをいくつかチェックしていきます。
BIOS上のファンコントロール機能については「H/W Monitor」のタブ内に用意されています。「H/W Monitor」の上の方には各種温度や電圧が表示されていますが、下にスクロールしていくとファン制御の項目が表示されます。
なお「H/W Monitor」のタブ内ではファン回転数をチェックできません。「SuperO C9Z490-PGW」のBIOS内で現在のファン回転数をチェックできるのはEZモードのみとなっていました。「H/W Monitor」のタブ内でファン回転数がチェックできないのは不便なので項目を追加して欲しいところです。
SuperO C9Z490-PGWのファン端子に接続されたファンのファン制御としては、「静音」「安定」「フルスピード」「カスタマイズ」の4種類のプリセットが選択できます。
「静音」「安定」「フルスピード」の3つでは全てのファン端子が共通の設定で制御されますが、「カスタマイズ」では各ファン端子に対して2~4つの制御点を指定したファンカーブを設定できます。制御ソース温度にはCPU温度とPCH(チップセット)温度の2種類が選択できます。
SuperO C9Z490-PGWのOC設定について
SuperO C9Z490-PGWを使用した場合のオーバークロックの方法を紹介します。なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
「SuperO C9Z490-PGW」のオーバークロック設定は「オーバークロック」というトップメニューのタブページに各種設定項目が集約されています。OC設定項目は下にスクロールしていくと、CPUコアクロック、メモリ、電圧の順番で表示されます。
CPUコアクロック(コア倍率)の変更について説明します。
コアクロックは負荷のかかるコア数に対して最大動作クロック(BCLKに対する倍率)を指定でき、PerCore動作倍率と呼ばれます。「コア0:コア1:コア2:コア3」を倍率として、例えば「45:43:43:42」のようにバラバラに指定した場合、4つのコアのうち1つに負荷が掛かる場合は4コアのうち1つが45倍動作、2つと3つの場合は43、4つの場合は42となります。
SuperO C9Z490-PGWではCPU内部クロック倍率の設定モードとして、マザーボードのお任せとなる「自動(定格のBy Core Usage動作倍率)」、全コアの倍率を同じに設定する「全てのコアを同期(Sync All Cores)」、負荷のかかっているコア数によって最大動作倍率を設定する「コア毎(By Core Usage)」の3つのモードが存在します。
一般ユーザーがCPUのOCを行う場合は通常、全コアの最大倍率を一致させると思いますが、同マザーボードの場合は「全てのコアを同期(Sync All Cores)」モードを選択して「コア比率制限 0 のオーバーライド: 50」と設定することでデフォルトのBCLK(ベースクロック)が100MHzなのでその50倍の5.0GHzで全てのコアが動作します。
「コア毎(By Core Usage)」モードでは負荷がかかっているコア数に対して最大動作倍率を設定可能です。
「SuperO C9Z490-PGW」はベースクロック(BCLK)の変更にも対応しています。テキストボックスに入力した値の(MHz)が実際のBCLKになります。デフォルトでは100MHzに設定されていますが、0.25MHz刻みで設定できます。CPUコアクロックはBCLKに対する動作倍率で設定されるのでベースクロック110MHz、動作倍率45倍の場合はコアクロック4.95GHz動作となります。ただしBCLKを使用したOCはかなり上級者向けなので通常はAutoか100MHzが推奨です。
キャッシュ(Ring)動作倍率の設定項目は、少しわかりにくい場所にありますが、「アドバンスドCPU OC設定 - CPU機能 - リング」の順番に下っていくと表示されます。
キャッシュ動作倍率をOCする場合は「Ring Max OC Ratio」の2つに希望するキャッシュ動作倍率を入力してください。並んで表示される「Max Ring Ratio Limit」と「Min Ring Ratio Limit」については0で自動設定になるので放置でOKです。
続いてコア電圧の調整を行います。
Intel第10世代 CPUではCPUコアとキャッシュへの電圧は共通になっています。CPUコアクロックやキャッシュクロックのOCに関連する電圧設定は、SuperO C9Z490-PGWでは「オーバークロック」タブの「Voltage Configuration」に配置されています。
SuperO C9Z490-PGWではCPUコア電圧をマニュアルの設定値に固定する「Overdrive」モード、CPUに設定された比例値に加えてターボブースト時にのみ昇圧を行う「Adaptive」モードの2種類が使用できます。
SuperO C9Z490-PGWでCPUコア/キャッシュクロックのOCを行う場合、CPUコア電圧の設定については設定が簡単で安定しやすいので固定値を指定するOverdriveモードがおすすめです。10コア20スレッドCore i9 10900KをOCする場合、CPUコア電圧の目安としては最大で1.300~1.350V程度が上限になると思います。
CPUコア電圧モードについて簡単に説明すると、オフセットモードやアダプティブモードはCPU負荷に比例して電圧が設定されており、低負荷時は電圧が下がるので省電力に優れるのですが、OCをする場合はマザーボードによって挙動に差があり安定する設定を見極めるのが難しいので、個人的にはオフセットやアダプティブは定格向け、OCには固定値適用の固定モードを推奨しています。
仮にOCでオフセットやアダプティブを使う場合も最初はコアクロックに対して安定する電圧を見極める必要があるので、まずは固定モードを使用します。
ちなみにマザーボードにより対応しているモードは異なりますが、CPUのオーバークロックに付随するコア電圧のモードの概略図は次のようになっています。
またCPUコアクロックを高く設定する時に追加で変更するといい項目として「ロードラインキャリブレーション」があります。ロードラインキャリブレーションはCPU負荷時の電圧降下を補正してOCを安定させる機能となっており、SuperO C9Z490-PGWでは補正の強度としてLevel 1~Level 7の7段階が選択できます。
Level1が補正最小、Level7が補正最大で、添え字が大きくなるほど電圧降下の補正は強くなりOCは安定しやすくなりますが発熱も大きくなります。Level 4かLevel 5あたりから最初に使っておいて、ストレステストのCPU温度をチェックしながら補正を調整していくのがおすすめです。
その他にもCPUコアクロックをOCする場合は「CPU SVID (Overdrive時のみ)」を無効化すると安定しやすいようです。
また電力制限に関する設定は「アドバンスドCPU OC設定 - TDP構成を構成する」の順番に下っていくと表示されます。
長期間電力制限(Long Duration Power Limit、PL1)にあたる「電流制限1」と短期間電力制限(Short Duration Power Limit、PL2)に当たる「電流制限2」の2種類、およびPL2で動作可能な時間を指定できる「電流制限1 時間ウィンドウ」の設定項目が配置されています。
この3種類の電力制限については「カスタム設定公称値」と「カスタム設定下」の2つで同じ設定がありますが、前者で定格値に対して、後者はConfigurable TDP-Downの値を示しています。この2種類のうちどちらの設定がロードされるのかは「構成可能なブートモード」の設定項目によって決まりますが、初期設定では前者が選択されているので、任意に電力制限を変更する時は前者を調整するだけでOKです。
Core i9 10900Kの全コア5.0GHz超OCのようにTDPを大幅に超過するオーバークロックでPL1/PL2による電力制限がかからないよう設定したい場合は、PL1とPL2に十分高い値を設定してください。ちなみにSuperO C9Z490-PGWでは「4095875」と設定すると電力制限がUnlimited(無制限)になります。
メモリのオーバークロックについても簡単に紹介しておきます。
メモリの性能について簡単に言うと「動作クロックが高く」「タイミングが小さい」ほど性能は高くなります。そのためメモリOCを手動で行う手順を簡単にまとめると「電圧を上げて動作可能なクロックを探し」、「そのクロックにおいて正常に動作する最小のタイミングを探る」という2つの手順を繰り返すことになります。
一方でXMPによるメモリOCは上の手順によるOCをメーカー側がすでに行って動作確認をしているので、メーカーが動作確認を行ったOCプロファイルを適用するだけで簡単にメモリをオーバークロックできます。
メモリOCではPOSTすらクリアできずBIOSに到達できないことも少なくありませんが、「SuperO C9Z490-PGW」では正常にPOSTできないメモリOC設定でエラーが出た場合は数回再起動した後、自動で2133MHzのような緩い設定で起動してくれるのでメモリOCを安心して行えます。
SuperO C9Z490-PGWでは「メモリプロファイル」からXMPプロファイルを選択することでOCメモリに収録されたXMPプロファイルによるメモリのオーバークロックが可能です。
メモリプロファイルでデフォルトプロファイルを選択した場合は、使用するメモリにSPD情報として収録されている動作クロック2133~2666MHzなどのメモリ周波数およびタイミングによる定格動作となります。
メモリプロファイルでカスタムプロファイルを選択するとメモリ周波数やメモリタイミングを手動設定できます。まずメモリリファレンスクロックを100MHzか133MHzから選択でき(通常は133MHz)、メモリ周波数はそれに対する動作倍率で決まりますが、設定するメモリ動作周波数は「Memory Ratio」のプルダウンメニューで倍率ではなく周波数が表示されて直接指定できます。
「高度なメモリOC設定」からメモリタイミングの個別打ち込み設定も可能です。
通常、メモリタイミングを手動で設定する場合は基本的には「CAS Latency (tCL)」、「RAS to CAS (tRCD)」、「RAS Active Time (tRAS)」の主要な3タイミングと、加えて「Refresh Cycle Time (tRFC)」と「Command Rate(NMode):1 or 2」の6つ以外はAutoのままで大丈夫です。
DDR4メモリの周波数OCを行う際はメモリ電圧も昇圧しますが、メモリ電圧の設定項目も「メモリオーバークロック」のページにまとめて配置されています。3000MHz以上にOCする場合は1.300~1.350V、3800MHz以上にOCする場合は1.370~1.400Vに上げる必要があります。メモリをOCする場合は最初から1.350V以上にDRAM電圧を盛っておくのがおすすめです。
数世代前の過去のIntel CPUではメモリ周波数を3200MHz以上にOCする場合は「VCCSA(CPU SA Voltage)」を盛るとメモリOCが安定したのですが、Intel第10世代CPU環境における「VCCSA」の影響は今のところよくわかりません。Auto設定で安定しない場合は昇圧を試してみても良いかもしれません。
また今のところZ490環境では現象を確認できていませんでしたが、メモリのオーバークロックでPCIE拡張カードの検出不可やオンボードUSB端子同士の干渉などが発生する場合は「電圧設定」にある「VCCIO(CPU VCCIO Voltage)」や「チップセット電圧(PCH Core Voltage)」を盛ると安定するかもしれません。
メモリのオーバークロックについてさらに詳しい情報はこちらの記事を参照してください。
・【できる!メモリOC】 OCメモリの選び方から設定まで完全解説
SuperO C9Z490-PGWの動作検証・OC耐性
BIOS周りの管理人的に気になるところの紹介はこのあたりにしてSuperO C9Z490-PGWを使用した検証機で具体的に動作検証とOC耐性をチェックしていきます。まずはFast Bootとフルスクリーンロゴを無効にしてOSの起動時間を測定したところ、SuperO C9Z490-PGWの起動時間は50秒ほどした。POSTは比較的速いのですが、POST完了からWindowsのブート開始までの待機時間?が数十秒ほどあってここで時間がかかっているようです。
SuperO C9Z490-PGW(BIOS:1.0a、1.0b)を使用した今回の検証環境において、ディスプレイを接続していないiGPU用ビデオ出力が誤検出される症状が発生しました。
電源OFFからの起動時はランダム、OSの再起動時は必ず、という頻度でiGPU用ビデオ出力が誤検出されて、接続していないサブディスプレイが表示されてしまいます。
iGPU用ビデオ出力が誤検出される症状が発生する場合は、BIOS設定においてiGPUを明示的に無効化することで、同症状の発生を解消できます。
「SuperO C9Z490-PGW」にCore i9 10900Kを組み込んだ場合のBIOS標準設定における動作についてですが、Intel Extreme Tuning Utilityから確認したところ、2コアまでは53倍、全10コアで49倍の動作倍率になっており、CPUコア動作倍率は仕様値通りです。電力制限についてもPL1=TDP=125で公式仕様の通りに適用されており、BIOS標準設定ではTDP125WのCPUとしてCore i9 10900Kを運用できます。
続いてSuperO C9Z490-PGWを使用した場合のCPUとメモリのオーバークロック耐性をチェックしてみました。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
Core i9 10900KのOC設定は動作倍率設定をそのままに電力制限を無効化、メモリのOC設定はG.Skill Flare X F4-3200C14Q-32GFXのOCプロファイルを適用し、「メモリ周波数:3200MHz」「メモリ電圧:1.350V」「メモリタイミング:14-14-14-34-CR2」としています。
上の設定を適用したところ問題なくOSを起動させることができました。
SuperO C9Z490-PGWの環境(BIOS:1.0a)においてメモリのオーバークロックを行ったところ、G.Skill Flare X F4-3200C14Q-32GFXやG.Skill Trident Z RGB F4-3200C14Q-32GTZRXのOCプロファイルによる、メモリ周波数を3200MHz、メモリタイミング:14-14-14-34-CR2の高性能定番スペックで安定動作を確認できました。
一方で、3600MHz/CL14に対応するG.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZNや、4000MHz/CL15に対応するG.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVKといった実用最速クラスのOCプロファイルについてはPOSTエラーでOS起動すら難しいという結果でした。
またこれらのOCメモリは国内シェアも高い4大メーカーのマザーボード環境であれば、『メモリ周波数3600MHz、メモリタイミング16-16-16-36、メモリ電圧1.350V』のようにメモリ周波数と主要タイミングのみのカジュアル設定で3600MHz/CL16の定番設定が容易に動作するメモリなのですが、「SuperO C9Z490-PGW」の環境ではやはりPOSTエラーで起動できませんでした。
XMPプロファイルによる3200MHz/CL14が安定動作しているので、高コスパな3200MHz/CL16や3600MHz/CL18、高性能な3600MHz/CL16もXMPプロファイルに対応していれば問題なく動作するとは思いますが、十分に選別されたOCメモリであっても、カジュアルな手動設定ではそういった定番OCも難しいと思います。
今後のBIOSアップデートでセカンド・サードタイミングのオートフィル精度という意味においてメモリOC耐性の改善に期待したいところです。
10コア20スレッド「Intel i9 10900K」の電力制限無効化による全コア4.9GHz、メモリ周波数3200MHz、メモリタイミング14-14-14-34-CR2でCinebench R20も問題なくクリアできました。このOC設定でCinebench R20を実行するとベンチマークスコアは6300程になります。
続いてこのOC設定を使用してストレステストを実行しました。
検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間7分、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)をソースとしてAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。Core i9 10900Kは10コア20スレッドのCPUなので、同じ動画のエンコードを2つ並列して実行し、30分程度負荷をかけ続けます。ストレステスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
ストレステスト中のCPU温度とCPU使用率のログは次のようになりました。マザーボードにSuperO C9Z490-PGWを使用することでCore i9 10900Kを電力制限無効化で全コア同時4.9GHz、メモリ3200MHzにOCしてストレステストをクリアできました。CPUクーラーのファン回転数は1200RPMで固定しています。
スマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE Pro」(レビュー)を使用してSuperO C9Z490-PGWのVRM電源温度をチェックしてみました。
最初からCore i9 10900Kを上記のBIOS設定でOCした時の負荷テスト中の温度をチェックしていきます。SuperO C9Z490-PGW環境でCore i9 10900Kを電力制限無効化で全コア4.9GHzまでクロックアップ、かつメモリも3200MHzにOCするとシステム全体(ほぼCPU)の消費電力が270~290Wに達します。
Core i9 10900Kを電力制限無効化で全コア4.9GHzまでクロックアップするとEPS電源経由の消費電力は250W前後に達し、エンスージアスト向けCore-Xもかくや、というくらい非常に大きいCPU消費電力が発生します。
そんなCPU消費電力200W超級のVRM電源負荷に対して、90A対応Dr. MOSで構成される堅牢な8(6+2)フェーズVRM電源回路を搭載する「SuperO C9Z490-PGW」のVRM電源温度はホットスポットで90度前後に達しました。
今回の検証では上のグラフのように全コア4.9GHzに張り付いてコアクロックも安定していますが、CPUソケットに直接風の当たらない簡易水冷CPUクーラー環境を想定するとVRM電源のオーバーヒートによるコアクロック低下までギリギリと言う感じは否めません。
90A対応Dr. MOSを採用して1フェーズ当たりは非常に高品質とはいえ、CPU向けは6フェーズと数が少なく、VRM電源クーラーの規模も小さいので、やはり200W超級の負荷に対して余裕を持って対応するのは難しいようです。
Core i9 10900KやCore i9 10900など動作設定によってはCPU Package Powerが125Wを大幅に上回るCPUを使用する場合は、スポットクーラーの増設などでVRM電源の冷却を補助したいところ。
「SuperO C9Z490-PGW」は360サイズ簡易水冷CPUクーラーで冷却可能なOCであれば標準装備だけでもVRM電源を十分低温に収めることができます。さらにVRM電源の冷却を増強すべくスポットクーラーを使用するのであれば、フレキシブルファンアーム「サイズ 弥七」や、可変アルミニウム製ファンフレームでVRM電源を狙って設置が容易な「IN WIN MARS」がオススメです。
・マザーボードVRM電源クーラーのレビュー記事一覧へ
SuperO C9Z490-PGWのレビューまとめ
最後に「SuperO C9Z490-PGW」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 黒一色のシンプルかつスマートなデザイン
- 90A対応Dr. MOSなどで構成される高品質な8(6+2)フェーズVRM電源
- Core i9 10900Kの電力制限無効化、メモリ3200MHz OCで安定動作
- [x16, N/A, x16, N/A]や[x8, x8, x8, x8]に対応する4基のx16サイズPCIEスロット
- 重量級グラボにも耐えるメタルアーマー採用PCIEスロット
- ヒートシンク付きのNVMe対応M.2スロットを2基搭載
- USB3.2 Gen2x2 Type-Cポートを標準搭載
- Marvell AQtion(旧Aquantia)製10Gbイーサを標準搭載
- 動作検証に便利なオンボードのスタート/リセット/CMOSクリアスイッチ
- CPU消費電力が125Wを大きく超える場合はVRM電源にスポットクーラーの併用を推奨
- メモリOCの手動設定においてセカンド・サードタイミングのオートフィル精度が微妙
- NVIDIA製GPUによるマルチGPU機能SLIには非対応(AMD GPUはマルチGPUが可能)
- ビープ音スピーカーをBIOSから無効化できる設定を用意して欲しい
- iGPUビデオ出力の誤検出の症状(BIOS:1.0a、1.0bで確認、iGPUの無効化で回避可能)
Intel第10世代CPUの最上位モデル「Core i9 10900K」はメインストリーム向けCPUながら10コア20スレッドで高いマルチスレッド性能を実現しており、Core i9 10900Kと組み合わせることでプロフェッショナルの要求にこたえる環境を構築できる「SuperO C9Z490-PGW」はクリエイターにもオススメできる製品だと思います。
「SuperO C9Z490-PGW」のBIOSについては、前世代Z390と比べても日本語ローカライズの品質はさらに改善されており、国内で大きなシェアを占める主要4社のマザーボードとそん色ないレベルへまた一歩近づいたと思います。特に日本語UIに対応しているところは、日本人ユーザーにとっては嬉しいところです。
SuperO C9Z490-PGWを使用した検証機では10コア20スレッドのIntel Core i9 10900Kを電力制限無効化による全コア4.9GHzのクロックアップ、かつメモリも3200MHz/CL14にオーバークロックして負荷テストをクリアすることができました。
マザーボードのOC耐性を評価する上で重要なファクターになるVRM電源について、「SuperO C9Z490-PGW」は200W超の負荷がかかるCore i9 10900Kの電力制限無効化に対してVRM電源オーバーヒートによるコアクロックの強制低下こそ発生していないので、最低限の水準はクリアしてくれていると思いますが、一方で5GHz超のOCに対応できる余力がないところはハイエンドZ490として正直なところ不満が残ります。
90A対応Dr. MOSなどの高品質素子で構成されているとはいえ200W超クラスの負荷に対してCPUコア向け6フェーズというVRM電源フェーズ数はやはり少なく、またこの6フェーズを冷やすためのVRM電源クーラーも単純なアルミニウム塊型ヒートシンクとなっていて、ヒートパイプによる拡張やリアI/Oカバーと一体化した大型化などのトレンドも取りこぼしているので力不足は否めません。
メモリOCについては、G.Skill Flare X F4-3200C14Q-32GFXのOCプロファイルを使用することでデュアルチャンネル4枚刺しにおいてメモリ周波数3200MHzにおいてメモリタイミング14-14-14-34の高性能定番設定が安定動作したので、メモリ回路の品質自体は問題ないと思います。
一方で十分なOC耐性を備えたメモリを組み合わせたとしても、『メモリ周波数3600MHz、メモリタイミング16-16-16-36、メモリ電圧1.350V』のようなメモリ周波数と主要タイミングのみのカジュアル設定で3600MHz/CL16の定番設定が上手く動作しない辺り、メモリOCでの扱いにくさを感じます。セカンド・サードタイミングのオートフィル精度については今後のBIOSアップデートで改善を期待したいです。
以上、「SuperO C9Z490-PGW」のレビューでした。
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SuperO C9Z490-PGW レビュー
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) August 11, 2020
✅x16×2やx8×4に対応する4基のx16サイズPCIEスロット
✅USB3.2 Gen2x2 Type-Cポートを搭載
✅Marvell AQtion製10Gbイーサを標準搭載
⛔PL1:125W以上ではVEM電源にスポットクーラーを推奨
⛔メモリOCでセカンド・サードのオートフィル精度が微妙https://t.co/Z4hXuzJ9jE
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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