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50%負荷時に変換効率92%以上を証明する80PLUS Patinum認証を取得かつ1200Wの電源容量を備えたハイエンドATX電源ユニット「ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWT」をレビューします。
セミファンレス機能の使い勝手や、GeForce RTX 3090などハイエンドグラフィックボードを搭載し、ピーク負荷が1000Wにも達する環境において静音動作が可能なのか徹底検証していきます。
製品公式ページ:http://www.enermaxjapan.com/Platimax-DF_Series/EPF1200EWT_top.html
ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWT レビュー目次
1.ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWTの外観や概要
2.ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWTのケーブルや電源端子
3.ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWTのファンノイズと電圧安定性
4.ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWTのレビューまとめ
【機材協力:ENERMAX 国内正規代理店クーラージャイアント】
ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWTの外観や概要について
早速パッケージを開封してENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWTの外観や付属品をチェックしていきます。パッケージの構造はN型箱で開くと、右側にはスポンジスペーサーと専用ナイロンバッグに保護された電源ユニット本体が収められており、各種ケーブル類はさらに小分けの紙製パッケージに封入された状態で左側に収められていました。
電源ユニット本体はスポンジ製スペーサーで保護された状態でパッケージ内に収納されています。
プラグインケーブル以外の付属品は、独立スリーブケーブルコーム、ACケーブル、マジックテープ、ケーブルタイ、ロゴシール、電源ユニット固定用インチネジ4個です。
「ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWT」本体をチェックしていきます。
ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWTの外装は金属製ですが、布のような独特の質感です。側面には矢印マークの凹凸加工とPlatimaxの王冠シンボルとテキストロゴが刻印されています。
ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWTは電源容量1200Wの超大容量ですが50%負荷時の変換効率92%以上を保証する80PLUS Platinum認証の低発熱を活かして奥行はコンパクトな160mmとなっており、同製品が登場した2017年当時は1200Wで最小サイズでした。
「ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWT」の冷却ファンは、最近の電源ユニットのトレンド通りに140mm角の大型冷却ファンであり、同社の高性能CPUクーラーにも使用されている、ENERMAXが特許を取得した「Twister Bearing」も採用されています。
Twister Bearingは摩擦を最小限に抑えるためにひとつのパーツで構成され、オイルを注すことなく滑らかな動作を実現する特殊な素材を採用、マグネティックボールが軸を支持することにより振動を大幅に軽減しています。
ENERMAX Platimax D.F.シリーズは最大でシステム負荷40%以下において電源ユニット冷却ファン動作が停止するセミファンレス機能「Smart Semi Fanless Control」にも対応しています。
今回レビューする電源容量1200Wモデルの「ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWT」はシステム負荷30%(約360W)までセミファンレス動作が可能です。同時に内部温度センサーによるセーフティ機能も実装されており、セミファンレス動作下でも内部温度が閾値以上に上昇すれば自動でファンが始動する設計なので過度な高温による故障の心配はなく安心して運用できます。
また「ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWT」は、”D.F.”の名前が示す通り、ENERMAXが特許取得済みの自己洗浄機能「Dust Free (D.F.) Rotation technology」に対応しています。
PC起動時に電源ユニット搭載の冷却ファンを10秒の間、逆方向に回転させることにより、冷却ファンの羽についた埃を飛ばし、埃を溜まりにくくする自己洗浄機能です。さらに電源ユニット背面のスイッチを押下することによって、システム動作中であっても任意のタイミングで同機能による電源ユニットの洗浄を行うことができます。
ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWTはATX24PINからPCIE補助電源まで全てのケーブルが着脱可能なフルプラグイン式になっているので環境に合わせて使用するケーブルが選択できます。
ACコンセントケーブルは国内のPC関連でよく使われる3PINタイプの端子になっています。コンセントからの電力供給を簡単にカットできるロッカー型ハードウェアスイッチが付いています。排気用の背面エアスリットもほぼ全体に及び大きく取られているので通気性も十分です。
「ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWT」はシステム負荷50%の環境下において92%以上の電力変換効率を発揮することが確認済みの80PLUS Platinum認証を取得、1200Wという大容量な電源ユニットです。
10コア以上のウルトラメニーコアCPUへ電力供給を行うEPS電源や、TGP300W超のウルトラハイエンドGPUへ電力供給を行うPCIE補助電源では、それだけで20Aを超える出力を要求することもありますが、ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWTはそれに対して安定した電力供給が可能な容量を備えていますが、後述の通りレーン分割が少しややこしいので注意が必要です。
ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWTはPCIE補助電源やEPS電源など12V電源出力が最大100Aに対応しますが、シングルレーンではなく、プラグイン端子毎に4レーン分割されています。
各レーン毎の最大出力(合計出力が100A以下の範囲内で)は、ATX24 PIN用の「12V1」が25A、EPS 8PINを1本だけ接続できる「12V2」が25A、EPS/PCIE/SATAなど汎用の「12V3」が50A、PCIE補助電源専用の「12V4」が50Aとなっています。
12V2~4については、『12V2はEPS電源専用』、『12V4はPCIE補助電源専用』としてまずこの2つを使用し、2基のEPS電源端子があるマザーボードや3基以上のPCIE補助電源があるグラフィックボード(もしくはマルチGPU)の環境で、端子が不足する場合に12V3を使用する感じで配線してください。
1次と2次回路ともに過酷な環境下でも安定した電圧を実現する日本メーカー製105℃液体電解コンデンサを採用しています。大きな電圧変動を受けても劣化しない電極箔に加え、低抵抗電解液の採用により超ESR・超低インピーダンスを実現します。より長寿命で安定した電圧を提供します。またDC to DCコンバーター回路により、安定した出力電圧と高効率を実現しています。
ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWTのケーブルや電源端子について
「ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWT」に実装されている電源コネクタの種類やケーブル長についてチェックしていきます。「ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWT」に付属するプラグインケーブルは全て、黒色ベースに白色ドット柄の個別スリーブ化ケーブルが採用されています。スリーブの柄は若干人を選ぶデザインです。個別スリーブ化ケーブルは見栄えが良いというメリットがある一方で、フラットきしめん型ケーブルに比較して配線がスペースを大きく占有します。
個別スリーブ化ケーブルはその名の通りケーブル1本1本が個別にスリーブ化されているのでそのまま使用すると1つのプラグインケーブルでも各ケーブルがバラバラになってしまいますが、「ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWT」には標準でスリーブケーブルガイドも付属するので、見栄えにこだわりのあるユーザーでも大丈夫です。
ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWTのスリーブケーブルは「SLEEMAX」と命名されており、厳選された生地を使用して作られた、滑らかで柔らかい質感のスリーブケーブルになっているとのことです。内部銅線も「UL 1007 Certified 16/18 AWG Wire」が採用され高い導電性を備えます。
「ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWT」で使用可能な電源ケーブルの長さやコネクタ数の一覧は次のテーブルのようになっています。
ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWTの電源ケーブルについて個別にチェックしていきます。
ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWTのATX 24PINケーブルは個別スリーブ化ケーブルで、大型フルタワーPCケースにも対応可能な長さ600mmです。
PCIE補助電源とEPS電源のケーブルは見分けるのが面倒ですが、「ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWT」のプラグインケーブルではコネクタの側面に「PCIE」と「CPU」と表記されて、自作PC初心者にもわかりやすくなっています。
「ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWT」にはEPS電源ケーブルとして700mmのケーブルが2本付属します。
Intel Core-Xに対応するX299マザーボードやAMD Ryzen Threadripperに対応するTRX40マザーボードなどエンスー向け高性能マザーボードではEPS電源として8+4PINや8PIN×2を要求するものもありますが、ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWTではEPS電源8PIN端子は2基搭載されているので問題なく対応可能です。
2本のEPS電源ケーブルのEPS電源コネクタのうち一方は8PINから分離できないコネクタですが、もう一方は2つの4PINコネクタをロックピンで結合・分離できるコネクタが採用されていました。互換性と使い勝手ともに良好な構成です。
「ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWT」に付属するPCIE補助電源ケーブルはプラグインコネクタの根本から8PIN(600mm)が2本、Y字に分岐するケーブルです。8PINコネクタはいずれも6+2PINに分離可能なタイプです。
「ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWT」のPCIE補助電源ケーブルは同種のケーブルが3本付属しています。コネクタ数および電源容量的にもマルチGPUにも対応可能ですが、最近のハイエンドGPUではケーブル1本当たりに1コネクタが推奨されているので、若干注意が必要です。「ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWT」については高品質な電源ケーブルが採用されているので、プラグインコネクタ毎の12V出力容量にさえ注意すれば1ケーブル2コネクタを使用しても問題ないと思いますが。
SATA電源ケーブルは全長1050mm(500 + 150 + 150 + 150mm)で4コネクタのケーブルです。
同種のSATA電源ケーブルが3本付属するのでSATA端子は12基使用可能となっており多数のHDDストレージを搭載するようなサーバー機用の電源としても使用できます。
4PINペリフェラル電源ケーブルは全長1050mm(500 + 150 + 150 + 150mm))で4コネクタの電源ケーブルとなっており、同ケーブルが1本だけ付属します。
ほぼディスコンですがフロッピー端子の変換ケーブルも付属します。
ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWTのファンノイズと電圧安定性
ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWTの負荷に対する冷却ファンの動作をチェックしてみました。ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWTの検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成 | |
OS | Windows10 Home 64bit |
CPU |
Intel Core i9 9900K(レビュー) Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
M/B | ASUS WS Z390 PRO (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKK DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 4000MHz, CL17-17-17-37-CR2 |
システムストレージ |
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB MZ-N6E1T0B/IT (レビュー) |
PCケース/ ベンチ板 |
STREACOM BC1 (レビュー) |
上記のベンチ機でグラフィックボードをGeForce GTX 1650、GeForce GTX 1660 Ti、GeForce RTX 2070 SUPER、GeForce RTX 3080、GeForce RTX 3090、Radeon VIIなどに変え、もしくは電力制限等から調整を行って、特定の消費電力に対する負荷時の電源ファンのファンノイズを測定しました。測定負荷にはTime Spyグラフィックテスト1を15分以上ループさせています。
また今回検証する「ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWT」は電源容量1000Wオーバーの超大容量電源ユニットなので、シングルでもTGP350Wという非常に大きい消費電力を要求するGeForce RTX 3090を2枚使用したマルチGPU、NVLink SLIで1000W前後の負荷をかけました。
・GeForce RTX 3090 NVLink SLIの性能をベンチマークで比較検証
消費電力の測定にはBluetooth接続でスマホから消費電力を見られるワットチェッカー「ラトックシステム REX-BTWATTCH1」を使用して、電源ユニットの変換損を含めたシステム全体の消費電力をチェックしています。なお同ワットチェッカーでは消費電力は1秒ごとにW単位で表示されますが、平均的な数値になっており実際の瞬間最大値はさらに高い値を取っている場合があります。記事中では表示値からおおよその平均を取って表記しますが、実際には+100Wから+200Wの瞬間的な負荷が発生することがあるので注意してください。
・ラトックシステムのスマホ対応ワットチェッカー第2世代を試す
電源ユニットのファンノイズはサウンドレベルメーターを利用してノイズレベルを測定・比較していきます。
電源ユニットは机の上に横置きとし、電源ユニットの吸気面と向かい合わせにして50cmほど離した位置にサウンドレベルメーターを設置しています。
この測定方法において電源OFF時の騒音値は30dB未満です。目安として騒音値が35dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになりますが、35~38dB以下であればPCケースに入れてしまえばファンノイズが気になることはそうそうないと思います。40dB前後になると煩く感じ始め、45dBを超えるとヘッドホンをしていてもはっきり聞き取れるくらいになります。
A特性で測定しているのである程度は騒音値にも反映されていますが、同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。
**記事中に青色の騒音計も出てきますが、ファンノイズが大きく変化する時やファンストップ時の指標、距離などを統一せずにざっくり”とても静か”と分かりやすくするため、等に使っているだけなので数値自体の比較はしないでください。
またベンチ機のCPUクーラーやグラフィックボードから出るファンノイズについては吸音材の板を使用して電源ユニット本体のファンノイズ測定への影響を下げています。電源ユニットのファンノイズを測定する瞬間は電源負荷に影響が出ないように注意した上で、グラフィックボードやCPUクーラーの冷却ファンのファン速度を下げているので、測定値33dB以上であれば、これらの影響は基本的に無視して問題ありません。
消費電力とファンノイズの測定結果は次のようになりました。
「ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWT」のファンノイズについては、シングルグラフィックボード環境で一般的に消費される400W以下の負荷において、冷却ファンのノイズレベルが34dB以下という優れた静音性を発揮しました。
一方で電源負荷が600Wを超えた辺りで急にファン速度が上がってくるので、ノイズレベルが40dBを超えてくるとPCケースに入れていてもだんだんと煩く感じるようになってきます。600~800Wは距離にも依ると思いますが、800~1000Wでノイズレベルが43dBくらいになるとPCケースからでもハッキリとファンノイズが漏れてくるはずです。
「ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWT」の電源ユニット冷却ファンのファン速度は電源ユニットの負荷が直接の制御ソースとなっており、負荷と連動して即座にファン速度が変動します。
「ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWT」のファンノイズで評価が難しいのが450~550W辺りの負荷がかかった時で、負荷に対するファンノイズの変化がセンシティブというか、負荷に応じでノイズレベルが30台から40台まで大きく変化します。
ファン速度のステップアップで瞬間的に高速になるのか、ファンガードとの風切り音が極値的にピークになるポイントなのか、600W前後の負荷の時よりもノイズレベルが高くなることもあって、電源負荷がこの辺りになるのは避けたい感じでした。
セミァンレス機能もまた電力負荷を制御ソースとしてファンの始動と停止が制御されています。セミファンレス動作の閾値は公式の仕様通り、電源容量の30%にあたる360W前後となっていました。300~400W辺りはファンの始動と停止が微妙な区間で、下の動画のように360Wを超えてもピクピク動いてファンが回転しないこともあります。またファンが動作している状態だと300W前後ではそのまま回転し続け、250Wを下回ると停止ます。
セミファンレス動作を含めてファン速度は電源負荷に比例して即座に変動するので、閾値前後では始動時のファン速度も小さく、始動と停止を繰り返しても煩く感じることはないと思いますが、800W以上の大負荷と停止閾値以下を頻繁に行き来する場合(大きな電力負荷の大きな変動が繰り返される場合)、ファン速度の乱高下で煩く感じるかもしれません。
ファン速度についてステップアップ・ダウン遅延や、ヒステリシスなど短期間での大幅な変化を防ぐ制御を実装して、煩く感じにくくする工夫も欲しかったところです。
続いて「PassMark Inline PSU Tester」という電源電圧等の検証ツールを使用し、電源容量の半分を超えるような大負荷時にPCIE補助電源+12Vがどの程度安定しているのかチェックしてみました。(まだ20年10月から導入したばかりなので参考までに)
PassMark Inline PSU TesterについてはTechpowerupという海外サイトにおいてその測定値が、電力測定用の専門機器と比較してどれくらい精度があるのか検証されています。
PassMark Inline PSU Testerでは単純な電力・電圧・電流だけでなく、リプル、PSU Timings、Slew Rateなど細かい部分も計測できるのですが、内容が専門的になり過ぎ、一部測定値は専門測定機器に比べて誤差が大きい(TPUによると)という理由もあって、当サイトでの検証では測定値が信頼できそうで、なおかつ電源ユニットの性能として一般ユーザーにとっても身近かつ分かりやすい、PCIE補助電源+12Vの安定性に的を絞ってチェックしていきます。
「PassMark Inline PSU Tester」を使用したPCIE補助電源+12V安定性の検証方法についてはファンノイズの測定と同様に、3DMark Time Spyグラフィックテスト1のループ再生を使用して一定の電源負荷をかけ続けます。さらに電源負荷をかけたい場合はグラフィックボードを2枚にしたり、同時にCPUを使用した動画のエンコードを行ったりします。以上の方法で一定の電源負荷を10分程度かけ続け、その間にグラフィックボードに接続したPCIE補助電源の+12V電圧がどの程度安定しているのか、ログから確認します。
「ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWT」に対して500W程度の電源負荷をかけ続けた時に、グラフィックボードへ接続したPCIE補助電源の+12V電圧の挙動は次のグラフのようになりました。連続変化ではありませんが観測された最大値と最小値の変動幅は4.8%程度でした。平均電圧が多少低いのは許容範囲内だと思いますが、最小電圧値の下振れが少々大きいのは気になります。
続いてGeForce RTX 3090 NVLink SLIを使用して電力負荷をさらに上げました。「ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWT」に対して900W~950W程度の電源負荷をかけ続けた時に、グラフィックボードへ接続したPCIE補助電源の挙動は次のグラフのようになりました。連続変化ではありませんが観測された最大値と最小値の変動幅は4.7%程度でした。
ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWTのレビューまとめ
最後に「ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWT」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 電源容量1200W、変換効率92%以上のPlatinum認証取得のハイエンド電源ユニット
- +12Vは最大100A出力に対応(4分割マルチレール)
- 電源容量1200Wでは最小クラスの奥行160mmコンパクトサイズ
- シングルグラフィックボード環境の400W以下の負荷に対してノイズレベルは34dB以下
- 電源負荷360W以下でファンが停止するセミファンレス機能に対応
- 自己洗浄機能「Dust Free (D.F.) Rotation technology」で起動時に自動洗浄
- 背面スイッチで起動中を含めていつでも自己洗浄機能を使用可能
- 電源ユニット冷却ファンは電源負荷に即座に反応するので、負荷に応じて乱高下する可能性
- 450~550W程度の負荷でファンノイズの変動が大きく、ノイズレベルも高い
- 500W程度の負荷において+12V電圧の下振れが若干大きい?(実用上は問題ないと思いますが)
「ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWT」は電源容量1200Wの大容量、50%負荷時に92%以上の高い変換効率を証明する80PLUS Platinum認証取得、+12V出力は4レール分割で合計最大100Aとなっており、2020年現在、自作PC向けとしては最高クラスのハイエンド電源ユニットです。
Core i9 10900KやRyzen 9 3950Xといったメインストリーム向け最上位CPUはもちろんIntel Core-XやAMD Ryzen ThreadripperなどエンスーCPUに、TGP300W超ウルトラハイエンドGPUのNVIDIA GeForce RTX 3090を組み合わせるような2020年最高峰の環境に対しても安定して電力供給が可能なポテンシャルを有しています。
+12Vの安定性についても平均電圧は基準値に対して1%以内の誤差に留まっており、GeForce RTX 3090 NVLink SLIを使用した900~950Wの負荷に対しても安定した電力供給が可能でした。検証では500W負荷時の+12Vの下振れが若干大きかったものの、システムが落ちるほどではないので実用上は特に問題ないと思います。
冷却ファンの静音性については、一般的なシングルグラフィックボード環境における400W程度の負荷に対してノイズレベルが34dB程度とここまでは優秀ですが、600W以上の電源負荷ではノイズレベルも40dBを超えてくるので特別煩いわけではないものの、静音性は特に優秀というわけでもありません。
600W超級の負荷だと電源以外のCPU/GPUクーラー等の冷却機器もそれなりにファンノイズが上がってくるので、相対的な話として数値自体はそれほど気にすることはないと思ったのですが、電源ユニット冷却ファンのファン速度が電源負荷の変動に対して即座に反応するので、負荷に応じてファン速度が乱高下する可能性があるなど、煩く感じてしまう要素を排除できなかったところがむしろ気になりました。
また400~600Wの範囲内でファンノイズの変動幅が大きく、ファンノイズ的にいまいち安定しないところも注意が必要かと思います。
「ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWT」は電源容量1200Wの超大容量ですが50%負荷時の変換効率92%以上を保証する80PLUS Platinum認証の低発熱を活かして奥行はコンパクトな160mmとなっており、同製品が登場した2017年当時は1200Wで最小サイズでした。2020年現在の製品で見ても最小クラスの製品なので、1000W超に対応するコンパクト電源を探しているなら「ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWT」を検討する価値はあると思います。
以上、「ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWT」のレビューでした。
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変換効率92%の80PLSU Platinum認証を取得かつ1200Wの電源容量を備えたハイエンドATX電源ユニット「ENERMAX Platimax D.F. EPF1200EWT」をレビュー。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) October 31, 2020
GeForce RTX 3090 NVLink SLIで静音性や電力安定性を徹底検証https://t.co/aem5QJr234
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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