Antec Signature 1000 Titanium


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Antecのフラッグシップ級ブランド”Signature”シリーズからリリースされた、50%負荷時に94%以上という極めて優秀な変換効率を証明する80PLUS Titanium認証を取得する電源容量1000Wの電源ユニット「Antec Signature 1000 Titanium」をレビューします。
セミファンレス機能の使い勝手や、GeForce RTX 3090などハイエンドグラフィックボードを搭載し、ピーク負荷が800Wオーバーにも達する環境において静音動作が可能なのか徹底検証していきます。

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代理店公式ページ:https://www.links.co.jp/item/signature-1000-titanium/
製品公式ページ:https://antec.com/product/power/signature-titanium-1000.php







Antec Signature 1000 Titanium レビュー目次


1.Antec Signature 1000 Titaniumの外観や概要
2.Antec Signature 1000 Titaniumのケーブルや電源端子
3.Antec Signature 1000 Titaniumのファンノイズと電圧安定性
4.Antec Signature 1000 Titaniumのレビューまとめ



【機材協力:Antec 国内正規代理店リンクスインターナショナル】



Antec Signature 1000 Titaniumの外観や概要について

早速パッケージを開封してAntec Signature 1000 Titaniumの外観や付属品をチェックしていきます。
「Antec Signature 1000 Titanium」は国内正規代理店リンクスインターナショナルを経由した10年間の長期保証が受けられます。なお保証の申請にはシュリンクに貼られた代理店の正規取り扱い品を証明するシールが必要になるので間違って破棄しないよう、購入時のレシートや納品書と一緒に大切に保管しておいてください。
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「Antec Signature 1000 Titanium」のパッケージは横長でキャラメル箱と呼ばれる外装スリーブに茶色のダンボール製内パッケージという構造になっており、若干開けにくさを感じます。
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パッケージを開くとまずは電源ユニットのケーブルタイや保証書など各種付属品が入っていました。その下には左側にスポンジのスペーサーで安置された電源ユニットが、右側にはACケーブルと専用不織布バッグの中に入れられた状態でモジュラーケーブル各種が収められています。
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電源ユニット本体は不織布のスリーブに覆われ、スポンジ製スペーサーで保護された状態でパッケージ内に収納されています。
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プラグインケーブル以外の付属品は、ACケーブル、マジックテープ、ケーブルタイ、電源ユニット固定用インチネジ4個、クイックマニュアルです。
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「Antec Signature 1000 Titanium」本体をチェックしていきます。
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「Antec Signature 1000 Titanium」の外装は高品位な黒塗装が施され、ガンメタルカラーのロゴプレートやファンフレームがアクセントになって高級な工業製品のような印象を与える外観です。
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ガンメタルカラーのパーツはアルミニウム製で斜めにカットされた角のアルミニウム素地が光を反射して輝くところも美しく、高級感を醸し出しています。
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Antec Signature 1000 Titaniumは電源容量1000Wの超大容量ですが50%負荷時の変換効率94%以上を保証する80PLUS Titanium認証の低発熱を活かして奥行はコンパクトな170mmとなっています。
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「Antec Signature 1000 Titanium」の冷却ファンは、最近の電源ユニットのトレンド通りに135mm角の大型サイズです。冷却ファンに採用されている高性能流体動圧軸受(FDB)は、摩擦抵抗を低減、回転時の軸ブレと振動を防止して、ファン回転時の振動音を極限まで抑制し、抜群の低ノイズで最適なエアフローを供給するとのこと。
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「Antec Signature 1000 Titanium」は低負荷時に冷却ファンを停止させるセミファンレス機能「Zero RPM MODE」にも対応しています。Zero RPM MODEはハードウェアスイッチ1つでON/OFFの切り替えが可能です。
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公式の情報ではありませんが「Antec Signature 1000 Titanium」のOEM元と思われるSeasonic PRIME TX-1000の情報を参照するとセミファンレス機能は電源負荷30~40%程度以下でファンを停止させるようです。OEMだからといって必ずしも同じ動作とは限らないので、セミファンレス機能がどのように動くのかについてはレビュー後半で詳しくチェックしていきます。
SeaSonic PRIME TX-1000_semi-fanless

Antec Signature 1000 TitaniumはATX24PINからPCIE補助電源まで全てのケーブルが着脱可能なフルプラグイン式になっているので環境に合わせて使用するケーブルが選択できます。
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また「Antec Signature 1000 Titanium」などAntec Signatureシリーズは独自機能「OC Link」に対応しています。OC Linkは、OCerや複数電源ユニットを搭載可能なサーバー・ワークステーションに向けた機能となっており、専用ケーブルで接続することによって2基の電源ユニットを同時に使用できます。
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ACコンセントケーブルは国内のPC関連でよく使われる3PINタイプの端子になっています。コンセントからの電力供給を簡単にカットできるロッカー型ハードウェアスイッチが付いています。排気用の背面エアスリットもほぼ全体に及び大きく取られているので通気性も十分です。
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「Antec Signature 1000 Titanium」はシステム負荷50%の環境下において94%以上の電力変換効率を発揮することが確認済みの80PLUS Titanium認証を取得、1000Wという大容量な電源ユニットです。+12Vはシングルレールで83Aの出力に対応します。
10コア以上のウルトラメニーコアCPUへ電力供給を行うEPS電源や、TGP300W超のウルトラハイエンドGPUへ電力供給を行うPCIE補助電源では、それだけで20Aを超える出力を要求することもありますが、Antec Signature 1000 Titaniumはそれに対して安定した電力供給が可能な容量を備えています。
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「Antec Signature 1000 Titanium」には、Antec独自のPhaseWave Designが採用されています。ノイズの発生や伝達ロスを抑制するワイヤーレス基板、高周波ノイズとスイッチング損失を抑制したフルブリッジLLC回路、優れた変換効率を実現するDC-DCコンバータを搭載し、高効率で低発熱な回路は高負荷時でも安定した出力を実現します。
また電解コンデンサには1次側と2次側の全てにおいて、超低ESR・超低インピーダンスな日本メーカー製の高品質コンデンサを採用し、より長寿命で安定した電圧を提供します。
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内部設計に関して、公式の情報ではありませんが、「Antec Signature 1000 Titanium」のOEM元と思われるSeasonic PRIME TX-1000の情報を参照すると次のようにアピールされています。
最新設計「MTLR(Micro Tolerance Load Regulation)」では、負荷電流(出力電流)の変動に対して電源の出力電圧がどのくらい変動するかという負荷レギュレーションにおいて、非常にタイトな0.5%という負荷制御の許容範囲内で、出力電圧を一定に保ちます。この非常に優れた電気的性能と安定性は、高性能システムの電源を選ぶ上で理想的な選択肢となります。
背面パネルとPCB(プリント回路基板)が銅板によって接続するケーブルレス接続の内部構造が採用され手動挿入時に製造誤差の可能性を低下させるだけでなく、作動時の出力電力の品質が改善されます。加えて大幅にケーブルが軽減されたことによって内部構造が綺麗に整理され電源ユニット内のエアフロー改善にも寄与しています。
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Antec Signature 1000 Titaniumのケーブルや電源端子について

「Antec Signature 1000 Titanium」に実装されている電源コネクタの種類やケーブル長についてチェックしていきます。

「Antec Signature 1000 Titanium」に付属するプラグインケーブルは、ATX 24PINのみ黒色のスリーブまとめ型ですが、それ以外のPCIE補助電源、EPS電源、SATA電源、4PINペリフェラル電源のケーブルは取り回しに優れ実用性の高い黒色のきしめん型フラットケーブル(リボンケーブル)が採用されています。
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「Antec Signature 1000 Titanium」で使用可能な電源ケーブルの長さやコネクタ数の一覧は次のテーブルのようになっています。
 「Antec Signature 1000 Titanium」のモジュラー端子/ケーブル構成
種類 コネクタ数 ケーブル
数量 x 長さ
(1本のコネクタ数)
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ATX
20/24 PIN
1  1 x 600 mm
CPU/EPS
8(4+4) PIN
2  2 x 650 mm
PCIE
8(6+2) PIN
8  4 x 750 mm (1)
 2 x 675 + 75 mm (2)
SATA 14  2 x 400 + 110 + 110 + 110 mm (4)
 1 x 350 + 150 + 150 + 150 mm (4)
 1 x 300 + 150 mm (2)
Peripheral 5  1 x 460 + 120 + 120 mm (3)
 1 x 350 + 120 mm (2)
Peripheral
to SATA
2  1 x 150 + 150 mm (2)
Floppy 1  100 mm


Antec Signature 1000 Titaniumの電源ケーブルについて個別にチェックしていきます。
Antec Signature 1000 TitaniumのATX24PINケーブルは大型フルタワーPCケースにも対応可能な610mmのスリーブまとめ型ケーブルが採用されています。
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PCIE補助電源とEPS電源のケーブルは見分けるのが面倒ですが、「Antec Signature 1000 Titanium」のプラグインケーブルではコネクタの側面に「PCIE」と「CPU」と表記されて、自作PC初心者にもわかりやすくなっています。
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「Antec Signature 1000 Titanium」にはEPS電源ケーブルとして650mmのケーブルが2本付属します。
Intel Core-Xに対応するX299マザーボードやAMD Ryzen Threadripperに対応するTRX40マザーボードなどエンスー向け高性能マザーボードではEPS電源として8+4PINや8PIN×2を要求するものもありますが、Antec Signature 1000 TitaniumではEPS電源8PIN端子は2基搭載されているので問題なく対応可能です。
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2本のEPS電源ケーブルのEPS端子はいずれも、8PINを4+4PINに分離可能なコネクタが採用されています。欲を言えば使い勝手を考えると2本のうち1つは分離に対応していないコネクタを採用するか、4PIN同士がロックピンで結合できるコネクタ(参考写真)を採用して欲しいところ。
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「Antec Signature 1000 Titanium」に付属するPCIE補助電源ケーブルは、単純に8PIN(750mm)が1つだけのケーブルと、8PIN(675mm)からもう1つの8PIN(75mm)が分岐するケーブルの2種類があります。
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PCIE補助電源の8PINコネクタはいずれも6+2PINに分離可能なタイプです。
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「Antec Signature 1000 Titanium」のPCIE補助電源ケーブルは、1コネクタのケーブルが4本と2コネクタのケーブルが2本の計6本が付属しており、最大で8個の8PINコネクタを使用できます。コネクタ数的にも電源容量敵にもマルチGPUに余裕で対応が可能です。
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SATA電源ケーブルは全長730mmのL字4コネクタ(400 + 110 + 110 + 110 mm)のケーブル2本、全長800mmのストレート4コネクタ(350 + 150 + 150 + 150 mm)のケーブル1本、そして全長450mmの2コネクタ(300 + 150 mm)のケーブル1本で、計14コネクタの4本のケーブルが付属します。
SATA端子は14基使用可能(4PINペリフェラル変換を含めると16基)となっており多数のHDDストレージを搭載するようなサーバー機用の電源としても使用できます。
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4PINペリフェラル電源ケーブルは全長700mmの3コネクタ(460 + 120 + 120 mm)と全長470mmの2コネクタ(350 + 120 mm)の2種類があります。
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さらにオプションケーブルとして4PINペリフェラル端子1つをSATA電源端子2つに分岐できる変換ケーブルも1本付属します。ケーブル長は300mm (150 + 150mm)、ストレートコネクタのシリアルケーブルです。
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ほぼディスコンですがフロッピー端子の変換ケーブルも付属します。
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Antec Signature 1000 Titaniumのファンノイズと電圧安定性

Antec Signature 1000 Titaniumの負荷に対する冷却ファンの動作をチェックしてみました。
Antec Signature 1000 Titaniumの検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成
OS Windows10 Home 64bit

CPU

Intel Core i9 9900K(レビュー
Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V
殻割り&クマメタル化(レビュー
M/B ASUS WS Z390 PRO
レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Black
F4-4400C19D-16GTZKK
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー
4000MHz, CL17-17-17-37-CR2
システムストレージ
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB
MZ-N6E1T0B/IT (レビュー
PCケース/
ベンチ板
STREACOM BC1 (レビュー

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上記のベンチ機でグラフィックボードをGeForce GTX 1650、GeForce GTX 1660 Ti、GeForce RTX 2070 SUPER、GeForce RTX 3080、GeForce RTX 3090、Radeon VIIなどに変え、もしくは電力制限等から調整を行って、特定の消費電力に対する負荷時の電源ファンのファンノイズを測定しました。測定負荷にはTime Spyグラフィックテスト1を15分以上ループさせています。

また今回検証する「Antec Signature 1000 Titanium」は電源容量1000Wの大容量電源ユニットなので、シングルでもTGP350Wという非常に大きい消費電力を要求するGeForce RTX 3090を2枚使用したマルチGPU、NVLink SLIで1000Wに迫る負荷をかけました。(CPUにも同時に負荷がかかると1000Wを超過するので負荷は適切に調整しています)
GeForce RTX 3090 NVLink SLIの性能をベンチマークで比較検証
GeForce RTX 3090 NVLink SLI

消費電力の測定にはBluetooth接続でスマホから消費電力を見られるワットチェッカー「ラトックシステム REX-BTWATTCH1」を使用して、電源ユニットの変換損を含めたシステム全体の消費電力をチェックしています。なお同ワットチェッカーでは消費電力は1秒ごとにW単位で表示されますが、平均的な数値になっており実際の瞬間最大値はさらに高い値を取っている場合があります。記事中では表示値からおおよその平均を取って表記しますが、実際には+100Wから+200Wの瞬間的な負荷が発生することがあるので注意してください。
REX-BTWATTCH1

ラトックシステムのスマホ対応ワットチェッカー第2世代を試す
ラトックシステム ワットチェッカー


電源ユニットのファンノイズはサウンドレベルメーターを利用してノイズレベルを測定・比較していきます。
電源ユニットは机の上に横置きとし、電源ユニットの吸気面と向かい合わせにして50cmほど離した位置にサウンドレベルメーターを設置しています。
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この測定方法において電源OFF時の騒音値は30dB未満です。目安として騒音値が35dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになりますが、35~38dB以下であればPCケースに入れてしまえばファンノイズが気になることはそうそうないと思います。40dB前後になると煩く感じ始め、45dBを超えるとヘッドホンをしていてもはっきり聞き取れるくらいになります。
A特性で測定しているのである程度は騒音値にも反映されていますが、同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。
*記事中に青色の騒音計も出てきますが、ファンノイズが大きく変化する時やファンストップ時の指標、距離などを統一せずにざっくり”とても静か”と分かりやすくするため、等に使っているだけなので数値自体の比較はしないでください。

またベンチ機のCPUクーラーやグラフィックボードから出るファンノイズについては吸音材の板を使用して電源ユニット本体のファンノイズ測定への影響を下げています。電源ユニットのファンノイズを測定する瞬間は電源負荷に影響が出ないように注意した上で、グラフィックボードやCPUクーラーの冷却ファンのファン速度を下げているので、測定値33dB以上であれば、これらの影響は基本的に無視して問題ありません。
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消費電力とファンノイズの測定結果は次のようになりました。
「Antec Signature 1000 Titanium」のファンノイズについては、シングルグラフィックボード環境で一般的に消費される400Wはもちろん、TGP300W超のRTX 3080/3090を搭載した500W負荷、さらには実用上、同電源ユニットで安定動作を狙える800W前後の負荷に至るまで、ノイズレベルは33dB以下という極めて優れた静音性を発揮しました。

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システム 消費電力 ファンノイズ
アイドル
60 31.1
GTX 1650 / SUPER
120 31.4
GTX 1660 Ti / SUPER
200 31.6
RTX 2060/S, RX 5700 250 31.8
RTX 2070/S, RX 5700 XT 300
31.7
RTX 2080 SUPER, Radeon VII 350 31.9
RTX 2080 Ti 400 32.0
RTX 3080
450 32.0
RTX 3090
500
32.0

550 32.0

600~650
32.2

700~750
32.7

800~850
33.0

「Antec Signature 1000 Titanium」は800Wクラスの負荷をかけても、平置きの状態でファンが動作しているのかわからないレベルの静音性を実現しており、アクティブ冷却ファンを搭載する電源ユニットでこれ以上の静音性はない、と言っても過言ではありません。
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「Antec Signature 1000 Titanium」は電源ユニット背面に設置されたハードウェアスイッチを非押下状態にすると低負荷においてセミファンレス機能に対応したHybrid Modeで動作させることができます。
「Antec Signature 1000 Titanium」においてセミファンレス機能のファンの始動および停止のトリガーは内部温度センサーとなっており、500Wから800Wの大負荷をかけても内部温度センサーが閾値に達しなければファンは始動しません。
試しに500Wの負荷を長期的にかけてみたところ、ファンの始動まで20分ほどかかりました。また温度センサーを制御ソースにしているので、逆にファンが始動してからしばらく経って閾値を下回るとファンは停止します。500Wの負荷をかけ続けた場合、20分スパンで始動と停止を繰り返しました。
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ファンが定常動作する状態において極めて優秀な静音性を発揮する「Antec Signature 1000 Titanium」ですが、静音面で唯一の欠点として、セミファンレス機能においてファン始動時のファンノイズが挙げられます。
内部温度センサーが閾値に達するとファンが始動するのですが、負荷に依らず、始動の瞬間だけファンがフル回転になります。
内部温度センサーをソースにしてヒステリシスになっているようなので、数秒から十数秒のような短いスパンで始動と停止を繰り返すことはないと思いますが、300~500W程度の負荷において、数十分置きにファンが一瞬最速になるのは使っていて気になるかもしれません。
幸いセミファンレス機能は背面スイッチでOFFにもできますし、ファン常時動作でもノイズレベルは極小なので、管理人的にはファン常時動作モードでの運用がオススメです。



続いて「PassMark Inline PSU Tester」という電源電圧等の検証ツールを使用し、電源容量の半分を超えるような大負荷時にPCIE補助電源+12Vがどの程度安定しているのかチェックしてみました。(まだ20年10月から導入したばかりなので参考までに)
PassMark Inline PSU TesterについてはTechpowerupという海外サイトにおいてその測定値が、電力測定用の専門機器と比較してどれくらい精度があるのか検証されています。
PassMark Inline PSU Testerでは単純な電力・電圧・電流だけでなく、リプル、PSU Timings、Slew Rateなど細かい部分も計測できるのですが、内容が専門的になり過ぎ、一部測定値は専門測定機器に比べて誤差が大きい(TPUによると)という理由もあって、当サイトでの検証では測定値が信頼できそうで、なおかつ電源ユニットの性能として一般ユーザーにとっても身近かつ分かりやすい、PCIE補助電源+12Vの安定性に的を絞ってチェックしていきます。
PassMark Inline PSU Tester
「PassMark Inline PSU Tester」を使用したPCIE補助電源+12V安定性の検証方法についてはファンノイズの測定と同様に、3DMark Time Spyグラフィックテスト1のループ再生を使用して一定の電源負荷をかけ続けます。さらに電源負荷をかけたい場合はグラフィックボードを2枚にしたり、同時にCPUを使用した動画のエンコードを行ったりします。以上の方法で一定の電源負荷を10分程度かけ続け、その間にグラフィックボードに接続したPCIE補助電源の+12V電圧がどの程度安定しているのか、ログから確認します。
PassMark Inline PSU Tester_stress-test

「Antec Signature 1000 Titanium」に対して500W程度の電源負荷をかけ続けた時に、グラフィックボードへ接続したPCIE補助電源の+12V電圧の挙動は次のグラフのようになりました。連続変化ではありませんが観測された最大値と最小値の変動幅は5.3%程度でした。
全体として12.00Vを可能な限り下回らないように、という電圧設計(制御)であることが伺える動作です。極端に高い電圧なら機器の破損に繋がりそうですが、この程度の誤差で確実に12Vを下回らないというのは、電圧の安定性が求められるCPUやGPUのOCに向いている動作なのではないかと思います。
Antec Signature 1000 Titanium_Voltage-Stability_PCIE+12V_500W
続いてGeForce RTX 3090 NVLink SLIを使用して電力負荷をさらに上げました。「Antec Signature 1000 Titanium」に対して900W~950W程度の電源負荷をかけ続けた時に、グラフィックボードへ接続したPCIE補助電源の+12V電圧の挙動は次のグラフのようになりました。連続変化ではありませんが観測された最大値と最小値の変動幅は3.5%程度でした。
電圧推移の変動幅が小さいこと一目見て分かり、流石は高性能電源で知られるSeasonicのOEMだと感じました。
Antec Signature 1000 Titanium_Voltage-Stability_PCIE+12V_800W



Antec Signature 1000 Titaniumのレビューまとめ

最後に「Antec Signature 1000 Titanium」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • 電源容量1000W、変換効率94%以上の80PLUS Titanium認証取得のハイエンド電源ユニット
  • +12Vはシングルレールで最大83Aに対応
  • Antec Signatureシリーズの工業製品的、質実剛健なデザイン
  • 実用的な負荷全域に対してノイズレベルは34dB以下
  • 背面ボタンでON/OFF切り替えが可能なセミファンレス機能
  • 内部温度センサーが閾値以下なら800Wクラスの負荷でも一時的にファンは停止
  • 国内正規代理店リンクスインターナショナルを介した10年間の正規保証
悪いところor注意点
  • ATX24PIN電源ケーブルはリボンケーブルではなくスリーブまとめ型ケーブル
  • セミファンレス機能でファン始動時のノイズが大きい
  • 税込み4.2万円程度と非常に高価(2020年10月現在)

「Antec Signature 1000 Titanium」は電源容量1000Wの大容量、50%負荷時に94%以上の極めて優秀な変換効率を証明する80PLUS Titanium認証取得、+12V出力はシングルレール83Aとなっており、2020年現在、自作PC向けとしては最高クラスのハイエンド電源ユニットです。
メインストリーム向けATX電源では大容量な部類の850WはGeForce RTX 3090/3080などTGP300W超グラフィックボードに対する推奨電源容量であるものの、CPU消費電力だけで300Wに達するCore i9 10900KやCore-XシリーズのOCやAMD Ryzen Threadripperと組み合わせるとなると、ややこころもとない容量になってしまいますが、+150W余裕のある「Antec Signature 1000 Titanium」ならそういった組み合わせにも安定した電力供給が可能です。

冷却ファンの静音性についても「Antec Signature 1000 Titanium」は、一般的なシングルグラフィックボード環境における400W程度から、実用的な上限となる800Wまで負荷全域においてノイズレベル33dB以下という極めて優れた性能を発揮しました。ベンチ台に平置きしていてもかなり近寄らないと(というかファンを目視しないと)冷却ファンが動いているのかどうか確信が持てないレベルの静かさで、アクティブ冷却な電源ユニットの到達点と言っても過言ではないと思います。
唯一、セミファンレス機能を使用した時のファン始動ノイズが気になりましたが、ファン常時動作モードにすれば済む話なので、気になるなら背面スイッチでOFFにすればOKです。

「Antec Signature 1000 Titanium」はその性能に比例してか、2020年10月現在、税込み4.2万円とかなり高価ですが、国内正規代理店を介して10年間の正規保証が提供されています。電力供給能力と静音性の両面においては自作PC向け電源ユニットとしては1つの極値に至っているので、”一生使える”は言い過ぎですが、電源ユニットの規格変更でも起こらない限り、”購入すれば10年は不満なく使い続けられる”電源ユニットであることは間違いないと思います。

以上、「Antec Signature 1000 Titanium」のレビューでした。
Antec Signature 1000 Titanium





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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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