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DELLのハイエンドゲーミングブランド Alienwareから発売された、発色と視野角に優れたIPS液晶パネルながら500Hzの超高速な垂直リフレッシュレートに対応するゲーミングモニタ「Alienware AW2524HF」をレビューします。
製品公式ページ:https://www.dell.com/ja-jp/shop/accessories/apd/210-axtm
Alienware AW2524HF レビュー目次
1.Alienware AW2524HFの概要
2.Alienware AW2524HFの開封・付属品
3.Alienware AW2524HFのモニタ本体
4.Alienware AW2524HFのOSD操作・設定
5.Alienware AW2524HFの発色・輝度・視野角
6.Alienware AW2524HFのリフレッシュレートについて
7.Alienware AW2524HFの応答速度・表示遅延
8.Alienware AW2524HFの可変リフレッシュレート同期について
9.Alienware AW2524HFのHDR表示やCSゲーム機対応について
10.Alienware AW2524HFのレビューまとめ
【機材協力:DELL】
Alienware AW2524HFの概要
「Alienware AW2524HF」は解像度が1920×1080のフルHD解像度で、画面サイズが24.5インチの液晶モニタです。液晶パネルタイプはノングレア(非光沢)で発色や視野角に優れたIPS液晶パネルが採用され、99% sRGBの広色域を実現しています。コントラスト比は通常1,000:1、応答速度は0.5ms (GTG, 最小)、1.0ms (GTG, Extreme Mode)です。「Alienware AW2524HF」のリフレッシュレートはネイティブ480Hz、さらにオーバークロック機能によって最大500Hzに対応します。
480Hz/500Hzの高リフレッシュレートによって応答速度が高速になるのでブレや残像がなくなってクッキリとした滑らかな表示です。60FPSでは識別の難しいゲーム内遠方で動くエネミーやオブジェクトの発見などが容易になるので、オンライン対戦FPSゲームなど競技性の高いPCゲームにおいて対戦相手よりも優位に立つことができます。
NVIDIAによると240Hz/FPSと比較して360Hz/FPSではさらに4%程度のエイム精度が向上するとのこと。500Hzに対応した「Alienware AW2524HF」ならさらなるスコア向上が期待できます。
「Alienware AW2524HF」はゲーミングPCやコンソールゲーム機のPlayStation 5やXbox Series X/Sを組み合わせることで利用可能な可変リフレッシュレート同期機能 AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)にも対応しています。
VRR同期機能によりティアリングがなくスタッタリングを抑えた快適で鮮明なゲーミング環境を実現できます。NVIDIA製GPUとの互換性を証明するG-Sync Compatible認証も取得予定です。
「Alienware AW2524HF」のビデオ入力はDisplayPort1.4×2とHDMI2.0の3系統です。DisplayPort1.4はフルHD/500Hzに対応、HDMI2.0はフルHD/255Hzに対応となります。
またUSBハブとしてPCと接続するアップストリーム端子に加えて周辺機器を接続するためのダウンストリームUSB3.0端子が4基搭載されています。
「Alienware AW2524HF」の寸法はモニタスタンド込みで幅555mm x 高さ390~500mm x 奥行243mm(モニタ単体では84mm)です。
付属モニタスタンドの機能は『上下チルト:上21度から下5度、左右首振りスイーベル:左右20度(計40度)、昇降高さ調整:110mm、90度回転ピボット:対応』となっています。
本体重量はモニタスタンドありで6.0kg、モニタスタンドなしの液晶パネル本体のみは3.65kgとなります。VESA100x100マウントにも対応しておりモニタアームも使用可能です。
Alienware AW2524HFの開封・付属品
まずは「Alienware AW2524HF」を開封していきます。「Alienware AW2524HF」のパッケージサイズは幅72cm×厚さ24cm×高さ46cmとなっており、24.5インチモニタが入っている箱としては若干大きめで、重量は7kg程度です。天面には持ち手が付いているので成人男性なら問題なく持ち運べると思います。
「Alienware AW2524HF」はN式箱という構造になっておりスペーサーを外パッケージから引っ張り出す手間がないのが特徴的です。
パッケージを開くとモニタ本体や付属品が収められたパルプモールド製のスペーサーが現れます。スペーサーは2段になっており、上の段にはモニタスタンドやケーブルなどの付属品が、下の段にはモニタ本体が収められています。
「Alienware AW2524HF」の付属品を簡単にチェックしておくと、DisplayPortケーブル、USB Type-C to DisplayPortケーブル、USBアップストリームケーブル、ACケーブル、マニュアル冊子類が付属します。
DisplayPortケーブルはソース側が標準コネクタのケーブルだけでなく、USB Type-Cのケーブルの2種類が付属するのが特徴的です。ゲーミングモバイルPCとの接続を意識したのだと思います。
「Alienware AW2524HF」のビデオ入力はDisplayPort1.4とHDMI2.1の2つがあり、DisplayPortケーブルがそれぞれ2種1本ずつ付属しています。
各種ケーブルを個別に購入するのであれば、4K/120Hz対応のDisplayPort1.4ケーブルなら「サンワサプライ KC-DP14シリーズ」、HDMI2.0ケーブルなら「エレコム Premium HDMIケーブル スリムタイプ DH-HDP14ESBKシリーズ」がおすすめです。いずれも標準で付属するケーブルよりもケーブル径が細くて取り回しが良いので管理人も個人的に使用しており、おすすめのケーブルです。
エレコム PREMIUM HDMIケーブル スリムタイプ 1.0m
エレコム PREMIUM HDMIケーブル スリムタイプ 1.5m
エレコム PREMIUM HDMIケーブル スリムタイプ 2.0m
エレコム
Amazon.co.jpで詳細情報を見る「Alienware AW2524HF」に付属するモニタスタンドはフレームとフットプレートの2つの部品で構成されています。
フットプレートをフレームに差し込んで底面のネジを締めるだけで簡単にモニタスタンドを組み立てられます。ネジにレバーが付いているのでドライバー不要で組み立てが可能です。
モニタスタンド装着に当たって、モニタ本体はディスプレイに傷が付かないので、梱包スペーサーに置いたままにしておくのがオススメです。
モニタスタンドを組み立てたら、「Alienware AW2524HF」のモニタ本体背面の溝に斜め下の方向からモニタスタンドを差し込めば取り付け完了です。
モニタスタンドの取り外しは、根本の下にあるスイッチでロックを外して、装着した時と逆に動かして引き出すだけです。
Alienware AW2524HFのモニタ本体
続いて「Alienware AW2524HF」のモニタ本体をチェックしていきます。「Alienware AW2524HF」はフレームレス構造ですが、2mm程度の外枠を含めて、パネル上には上左右の非表示領域の幅は6mm程度です。下にはベゼルというか薄いフレームが貼り付けられており、非表示領域は18mm程度です。
下フレームの中央には銀色文字でAlienwareテキストロゴが刻印されています。Alienwareのロゴはシンプルで良い感じなのですが、左端にある500Hzのマークはシールになっていて見た目が微妙です。(管理人はたぶん後ほど剥がします)
「Alienware AW2524HF」の背面に注目するとモニタ本体およびモニタスタンドは、Alienware公式が”レジェンド”と呼ぶ流線形の造形、カーブ要素の強くなった2022~2023年の新デザインコンセプトです。
同時に発売されたAW3821DWやAW2721D、240Hz対応IPS液晶ゲーミングモニタの初期モデルAW2720HFでは
Alienwareブランドのゲーミングモニタにはルナライトと呼ばれるホワイト寄りのグレーを基調としたカラーリングの製品もラインナップされていますが、「Alienware AW2524HF」はダークサイドオブザムーンと呼ばれる光沢のあるブラックカラーです。
Alienwareのブランド的にはルナライトの印象の方が強いですが、流線形の造形と光沢のあるブラックの組み合わせで、ダークサイドオブザムーンのカラーリングはよりいっそう”エイリアン”感があります。
モニタスタンドはよりカーブ感の強いデザインになり、フットプレートは2020~2021年頃のV字形状から、六角形でデスク上のキーボード等と干渉し難いコンパクトサイズに変わっています。
「Alienware AW2524HF」のモニタスタンドにはケーブルホールがあるので、各種ケーブルをまとめることができます。
また背面から見て右上には収納式のヘッドホンハンガーがあります。少し出っ張った先端を押すとスティック状ヘッドホンハンガーを出すことができます。
「Alienware AW2524HF」のモニタ本体の厚さは最厚部で85mmほど(左右端の最薄部は25mm程度)と最近の液晶モニタとしてはかなり厚みが大きくなっています。モニタ本体重量は3.7kg程度と軽量です。
モニタ本体背面には3カ所に分かれて全て下向きに各種I/OやAC端子が配置されています。
「Alienware AW2524HF」のビデオ入力は背面右側にあります。に左から順に、1基のHDMI2.1ビデオ入力、2基のDisplayPort1.4ビデオ入力が設置されています。
背面の右側にはUSB3.0アップストリーム端子、2基のUSB3.0ダウンストリーム端子、さらにモニタ底面に2基のUSB3.0ダウンストリーム端が設置されており、PCとアップストリーム端子を接続することによって、4基のUSBハブ端子として使用できます。
「Alienware AW2524HF」の付属モニタスタンドは左右スイーベルに対応し、可動域は左右20度(40度)です。
「Alienware AW2524HF」の付属モニタスタンドは上下チルトに対応し、可動域は仕様通り下に5度、上に21度です。
モニターの高さはモニター本体とスタンドの付け根部分が上下に動く構造になっており、モニタパネルの頂点で390mm~500mm、110mmの範囲内で調整できます。モニタスタンドの付け根部分には高さ調整に便利な目盛りがあります。
「Alienware AW2524HF」の付属モニタスタンドはピボットに対応しており、縦向きにして使用できます。付属スタンドは時計回りと反時計回りのどちらにも回転可能です。
「Alienware AW2524HF」はVESA100x100規格のVESAマウントに対応しておりサードパーティ製のモニターアームを使用できます。モニタ単体の重量も3.7kgほどなのでモニターアームを問題なく利用可能です。
「Alienware AW2524HF」のVESAネジ穴は背面外装から、10mmほど窪んだ場所にあります、クイックリリースでスライドさせるタイプのモニターアームを使用する場合は、M4ネジのスタンドオフを各自で用意してください。
オススメのモニターアームや調整機能が豊富なVESA汎用モニタースタンド、VESAマウントの干渉を避ける方法についてはこちらの記事で詳細に解説しているので、導入を検討している人は参考にしてください。
Alienware AW2524HFのOSD操作・設定
「Alienware AW2524HF」のOSD操作は底面中央に設置されている操作スティックを使用します。操作スティックは上下左右と押下の5つの操作が可能で、操作ボタン各種の応答も良好でした。また電源ボタンがOSD操作用ボタンと離れた場所に設置されていて誤押下の心配がないところも小さな評価ポイントです。
電源ボタンには電源ON時に白色で点灯するLEDが内蔵されていますが、OSD設定メニューから消灯が可能です。
「Alienware AW2524HF」は操作スティックを押下(もしくは上下左右のうちAlienVisionの切り替え機能を割り当てていない操作)するとランチャーと呼ばれるショートカットメニューが画面中央下端に表示されます。
ランチャーやOSDメニュー表示中は画面上に現在のOSD設定の一部が確認できるOSDステータスバーも表示されます。
ランチャーの中央には5つのショートカット設定アイコンが表示され、スティックを左右に操作することでアイコンを切り替え、押下するとそのショートカット設定が表示されます。
ランチャーに表示される5つのショートカット設定アイコンに割り当てる機能はOSD詳細設定メニューの「カスタマイズ」から任意に変更することができ、各自で変更頻度の高いもにに切り替えておくと便利です。
ランチャーを表示した状態で操作スティックを上に操作する(ディスプレイの奥方向へ倒す)とOSD詳細設定メニューが表示されます。
「Alienware AW2524HF」のOSD表示領域は24.5インチ画面の6分の1ほどと広いので、文字自体も大きくて視認性は良く、また上述の通り操作スティックの反応も良いので操作性はかなり良好だと思います。
「Alienware AW2524HF」は購入直後の初回起動時に言語選択メニューが表示されます。誤って日本語以外を選択してしまった場合は下記の手順で日本語に変更が可能です。
「Alienware AW2524HF」のOSDメニューには大きく分けて、「ゲーム」「輝度/コントラスト」「入力信号」「ディスプレイ」「メニュー」「カスタマイズ」「その他」の7つの項目が用意されています。
「Alienware AW2524HF」の画質モードはゲームの項目にあるプリセットモードから選択できます。標準設定の「標準」に加えて、「FPS」「MOBA/RTS」「RPG」「SPORTS」などゲームジャンルやコンテンツ別プリセットに加えて、ゲーム別に各自で設定可能な「ゲーム 1~3」、色温度別で「暖色」「寒色」、sRGB色空間に制限する「sRGB」、任意に色温度(RGB強度)を調整できる「ユーザーカラー」など多くの画質モードが用意されています。
HDMIビデオ入力時に限定されますがコンソールモードという画質モードもあります。
ゲーム関連の表示設定はトップメニューで一番上の「ゲーム」に配置されています。
一般にオーバードライブと呼ばれる応答速度を調整する機能は、「Alienware AW2524HF」は「応答時間」の名前で配置されています。オーバードライブ補正の強度を高速/超速/最速の3段階で設定ができて、標準設定は高速になっています。
黒の強弱を調節して暗がりの視認性を高める機能「暗さスタビライザー」も用意されており、補正強度はレベル0~3の4段階で設定が可能です。標準設定ではレベル0(機能OFFの状態)が設定されており、レベルを上げるほど明るく(白く)なります。
AlienVisionとAlienFXについて
「Alienware AW2524HF」ではFPSゲーム等に便利な視覚補助機能 AlienVisionがOSD機能として搭載されています。AlienVisionには、暗所の視認性を改善する「ナイト」、低解像やボヤけた表示にシャープネスをかける「クリア」、画面中央の拡大小窓を表示する「ビノ」、ヒートマップフィルタをかける「クロマ」、照準点をオーバーレイ表示する「十字線」の5つの機能があります。
ナイト、クリア、クロマの3つは画面中央にフィルターをかける範囲の小窓が表示されます。ビノも同様に小窓が表示されますが、中央を拡大する小窓が右上に表示されます。十字線はシンプルに中央に照準がオーバーレイされます。
ナイトやクロマは黒潰れして対象を視認し難いような暗いシーンに便利な機能です。
クリアはシャープネス処理がかかるので、小さい対象やボヤけた視界に効きます。
ビノも中央の小さい対象を視認するのに便利な機能、という位置づけですが、拡大率が1.1倍くらいしかありません。後述のAlienFXで小窓サイズを調整できますが、拡大倍率はそのままで表示範囲が広くなるだけでした。1.2~1.5倍くらいに調整できればよかったのですが。
AlienVisionにはトグル機能があり、OSD詳細設定メニューやランチャーが表示されていない状態で、操作スティックを上下左右に操作することで、特定フィルターのON/OFFや順次切り替えを設定できます。トグル機能を割り当てなかった(”ー”を設定した)キーを操作した場合はランチャーが表示されます。
順次切り替えについてはトグルリストから切り替えるフィルタを選択できます。
あとAlienVisionではありませんが、ゲーム向上モードという設定項目からは、リアルタイムの画面リフレッシュレートを表示する「フレームレート」(可変リフレッシュレートが有効な場合、OSD表示がリアルタイムで変化する)、カウントダウンを表示する「タイマー」があります。
AlienVisionはOSD機能だけだと5つの視覚補助機能を切り替えるだけですが、PCとモニタをUSB接続した時に使用できるAlienware Command Centerアプリケーションに含まれるAlienFXディスプレイからさらに詳細設定が可能です。残念ながらDDC/CIによるDisplayPort経由ではAlienFXを利用できません。
Alienware Command Centerアプリケーションは公式サポートページからインストーラーをダウンロードし、ポチポチとクリックするだけで簡単にインストールできます。
アプリをインストールしたらAlienware Command Centerアプリケーションを起動し、左上タブメニューのFXを選択します。
AlienFXではテーマと呼ばれる設定プロファイルを作成でき、Alienware Command Centerアプリケーションに登録したゲーム(ライブラリ)と関連付けすることでゲーム起動時にテーマを自動で切り替える、という使い方が可能です。
テーマの編集アイコン(鉛筆マーク)やアクティブなデフォルトテーマの編集アイコンを選択すると、「Alienware AW2524HF」を含めたAlienwareエコシステムの対応機器に関する各種設定が表示されます。
「Alienware AW2524HF」の場合はディスプレイ輝度、プリセットモード、暗さスタビライザーなどOSD設定の一部も表示され、Windows上で調整できます。
OSD機能だけだとAlienVisionは5つの視覚補助機能を切り替えるだけでしたが、AlienFXではフィルタ小窓のサイズ、シャープネス補正強度の調整、視覚効果とOSDクロスヘアの併用など任意に様々な設定ができます。
AlienFX内で行ったナイト、クリア、ビノ、クロマ、十字線の設定はモニタ側に記録されるので、USB接続を外しても最後に適用したカスタム設定がそのまま残ります。
Alienware AW2524HFの発色・輝度・視野角
Alienware AW2524HFの発色・輝度・視野角など画質についてチェックしていきます。直接的な画質ではありませんがAlienware AW2524HFの液晶パネルは光沢のあるグレアではなくアンチグレアタイプなので暗転時に自分の顔などが映り込みません。
ただ「Alienware AW2524HF」のアンチグレア処理フィルムはペーパーライクというか、かなりザラッとした表面処理になっています。映り込み軽減の効果は高いですが、視野角や発色という点では若干マイナスな感じです。
液晶パネルには大きく分けてIPS液晶パネルとVA液晶パネルとTN液晶パネルの3種類があり、各社個別の製品によって個体差はあるものの、この3つの液晶パネルの特性を簡単にまとめると次のテーブルのようになります。
「Alienware AW2524HF」に採用されているIPS液晶パネルはTN液晶パネルやVA液晶パネルと比べると色再現性や視野角など一般に画質に直結する性能が優れている反面、価格が高価になりがちな液晶パネルです。TN液晶パネルに比べて応答速度が遅めなので、60Hzオーバーのリフレッシュレートを実現しているIPS液晶パネル採用ゲーミングモニタは少ないため、輪をかけて高価です。とはいえ画質とリフレッシュレートを両立できるので、予算に糸目をつかないエンスーゲーマー勢に好まれています。
液晶パネルの簡易比較表 | |||
IPS | VA | TN | |
色再現性 | ◎ | 〇 | △ |
コントラスト | 〇 | ◎ | △ |
視野角 | 〇 | 〇 | △ |
応答速度 | 〇 | △ | ◎ |
価格 (高RR) |
△ (×) |
△ | 〇 |
液晶パネルの種類による性能の違いについてはこちらの記事も参照してみてください。
・IPS/VA/TN液晶パネルを比較解説 - ゲーミングモニタの選び方[4]
「Alienware AW2524HF」は500Hzの高速リフレッシュレートながら、IPS液晶パネルが採用されているので視野角も良好です。
「Alienware AW2524HF」の発色について、標準の画質モードである”標準”は6500Kくらいの色温度に調整されており、白色が極端に黄色や青色がかって見えることはないものの、少し黄色寄りな色味です。
色温度を指定する画質モードは”暖色”と”寒色”の2種類がありますが、これらを切り替えても発色に違和感がある場合は、マニュアル設定でRGBのバランスを好みに合わせて整えてください。
画質モードのユーザーカラーを選択すると利得(Gain)、オフセット、6軸色相、6軸彩度の4つの発色設定を調整できます。
白色色温度を調整したい場合は利得を調整すればOKです。黄色がかった暖色を中間色にしたい場合は赤と緑の強度を数%下げる調整をしてみてください。
ちなみにゲーム1~3のユーザープロファイルでもユーザーカラー同様に4種類の発色設定を調整できます。
加えて応答時間や暗さスタビライザーの設定はゲーム設定の項目で変更すると各画質モードで共有されますが、ゲーム1~3のユーザープロファイルでは個別に切り替わるように設定できます。
「FPS」「MOBA/RTS」「RPG」「SPORTS」などゲームジャンル別モードについては色相と彩度を0~100%の簡易的なスライダーで調整できます。
HDMIビデオ入力で接続時に限定されますが、「Alienware AW2524HF」にはコンソールモードという画質モードもあります。
コンソールモードではRGB強度を調整する”色(上記でいう利得)”に加えてガンマの設定も可能です。標準の2.2に加えて、1.8/2.0/2.4/2.6の5段階で調整できます。
ここからはカラーキャリブレータを使用して、色域・色再現性・輝度・コントラスト・均一性など画質に直結するモニタの性能について詳細な検証結果を見ていきます。なおこれらのモニタ性能(特に輝度の均一性)については同じ製品であっても個体差が大きいのでご注意ください。
検証にはカラーフィルター式(色差式)のCalibrite Display Plus HLとDatacolor Spyder X2 Ultra、そして分光式(スペクトロメーター)のX-Rite i1 Basic Pro 3を使用しています。
「Alienware AW2524HF」のディスプレイ輝度について白色点の輝度をOSD設定別で測定しました。OSD上の輝度設定10%刻みで0%~100%の輝度変化は次のようになっています。
「Alienware AW2524HF」において、一般に見やすい明るさと言われる120cd/m^2は輝度45%前後、室内照明に依りますが個人的に見やすいと感じる明るさの180~200cd/m^2は輝度75%前後です。
「Alienware AW2524HF」はSDR表示でも最大輝度が400cd/m^2以上なので比較的に明るいモニタです。
「Alienware AW2524HF」のディスプレイ輝度の均一性(Uniformity)を検証しました。画面中央の輝度が約120cd/m^2になるOSD設定において、画面を横7×縦5の35分割として各位置の白色点の輝度を測定し、中央輝度を基準にしたパーセンテージで等高線マップにしています。
「Alienware AW2524HF」は中央の大半については輝度の均一性は悪くありません。個体差の影響も大きいですが、今回のサンプル機は上端に寄ると輝度が下がる傾向で、そこは気になりました。
液晶モニタにおいて輝度の低下が特に大きい四隅&四辺は、上のような領域分割測定では見落とされてしまうので、同様に中央120cd/m^2を基準にして個別に測定したところ次のようになりました。
「Alienware AW2524HF」は外周付近に注目するとやはり左上と右上が30%以上も差があるので体感的にも輝度の低下を感じると思います。四隅でも20%程度の輝度低下に収まってくれると体感への影響は軽微なのですが。
参考までに輝度と色温度による色差の分布です。「Alienware AW2524HF」については、色温度はほぼ均一で、色差が生じている理由はほとんど輝度の不均一です。
画面中央の白色点が約120cd/m2になるOSD設定において「Alienware AW2524HF」のブラックレベルを測定したところ次のようになりました。ブラックレベルの測定にはX-Rite i1 Display Pro Plusを使用しています。
またこの時のコントラスト比も算出したところ次のようになっています。なおコントラスト比に大きく影響するブラックレベルはコンマ2桁での測定になるため測定精度が若干怪しく、ブラックレベル0.01の差でコントラスト比が大きく変わるので参考程度と考えてください。
続いて「Alienware AW2524HF」の色域と色の正確性を検証してみました。
まずはモニタのOSD設定を標準設定にして(ディスプレイ輝度のみ120cd/m^2になるように調整)、任意のカラープロファイルを適用しない場合、次のようになりました。
「Alienware AW2524HF」は100% sRGBに加えて、88% DCI-P3という広い色域をカバーしています。
2020年頃から発売されているフルHD/360Hz対応IPS液晶モニタの多くは色域のカバー率がsRGBちょうど、DCI-P3カバー率が70~75%程度なので、「Alienware AW2524HF」のほうが圧倒的に色域が広く、鮮やかな色も再現できます。
一方で色の正確性も平均ΔEが0.77となっており、標準設定のままでも非常に優秀です。X-Riteによると『ΔE=1程度で2つの色を横にくっつけて見比べた時に違いが判別できるレベル』とのこと。
「Alienware AW2524HF」は標準モードだと液晶パネルの性能を最大限に発揮し、上のような非常に広い色域で動作しますが、画質モード(プリセットモード)のsRGBを選択することで、色域に一致するエミュレート動作も可能です。ただしsRGBモードなのになぜかガンマ2.3相当になるため、そのまま使用すると色精度が微妙です。
次にX-Rite i1 Basic Pro 3を使用してカラーキャリブレーションを行いました。キャリブレーション設定は下のスクリーンショットの通りですが、i1 Profilerの標準設定をそのまま採用しています。
「Alienware AW2524HF」では標準モードにするとRGBの強さに差が大きいとアラートが出たので、手動で調整できるユーザー設定モードでRゲイン(赤)=100, Gゲイン(緑)=93, Bゲイン(青)=91としてキャリブレーションを行いました。
X-Rite i1 Basic Pro 3によってカラーキャリブレーションで作成したICCファイルを適用し、同じくX-Rite i1 Basic Pro 3で行った品質検証(色の正確性の検証)の結果は次のようになっています。X-Rite i1 Basic Pro 3は分光式(スペクトロメーター)のカラーキャリブレータなので、測定精度はこちらの方が高いはずです。
上の測定結果ではカラーキャリブレーション前の色の正確性はΔE 0.77でしたが、カラーキャリブレーション後にX-Rite i1 Basic Pro 3で測定した色の正確性はΔE 0.4とさらに優秀な数値です。
また分光型測色計(スペクトロメーター)で測定した輝度120cd/m^2における白色点のカラースペクトラムが次のようになっています。
カラースペクトラムから発色の良いモニタを見分けるざっくりとしたポイントは『RGB各色のピークが鋭く立ち上がり、かつ高さが同程度であること』です。一般的な液晶モニタは白色LEDバックライト(青色LEDを光源として赤緑(≒黄)蛍光体を組み合わせて白色を生成する)を採用しているので青色のピークが高くかつ鋭くなります。白色を基準として測定した場合、緑と赤のピークの高さは色温度のOSD設定で若干上下します。以上から簡単化すると『緑と赤のピークが鋭くなっているかどうか』をチェックすればカラースペクトラムの良し悪しがざっくりと判定できます。
一般的な液晶パネル(IPS/VA/TNに依らず)であれば下画像の左側のように青のピークだけが強く、残りの分離が弱い波形になりますが、LG製Nano-IPSで有名なKSF蛍光体や、Quantum Dot(量子ドット)といった最新技術が採用された液晶パネルは各色の分離が良く、ピークも急峻になります。
「Alienware AW2524HF」のディスプレイパネルについてはIPSという分類以外の詳細は不明でしたが、赤色ピークの左に小さい山がある特長から推測するに、KSF蛍光体(LG製Nano-IPSで有名)の技術を採用した液晶パネルのようです。
2020年頃から発売されているフルHD解像度で360Hz対応のIPS液晶モニタ製品は赤と緑の分離が弱い、一般的な液晶モニタと同じ特性です。上で見た色域の差はカラースペクトルという形でも確認できます。
Alienware AW2524HFのリフレッシュレートについて
「Alienware AW2524HF」の最大の特徴の1つである500Hzリフレッシュレートについてチェックしていきます。まずは「Alienware AW2524HF」の特徴の1つである”500Hzリフレッシュレート”について、その意味自体は特に説明せずとも読者はご存知だと思いますが、一般的な60Hzリフレッシュレートのモニタが1秒間に60回の画面更新を行うのに対して、144Hzリフレッシュレートであれば標準的な60Hzの2.4倍となる1秒間に144回の画面更新を行います。
最近では競技ゲーマー向け製品で240Hzの超高速リフレッシュレートなゲーミングモニタも普及しつつあり、さらには、それを1.5倍に上回る360Hzの超々高速なリフレッシュレート対応製品も各社から販売されています。
1秒間に500回の画面更新を行う500Hzリフレッシュレートの物理的なメリットとしては、単純に秒間コマ数が増えるので映像がより滑らかになります。上の章で詳しく検証したようにリフレッシュレートが上がると応答速度も上がって細部がクッキリとしたシャープな映像に見えやすくなり、加えて画面更新間隔が短くなるので表示遅延が小さくなり、一般的な60Hz環境よりもスピーディーなプレイで他者を圧倒しやすくなります。
「Alienware AW2524HF」ではNVIDIA GeForce RTX 40/30シリーズやAMD Radeon RX 7000/6000シリーズなど最新グラフィックボードのDisplayPort1.4のビデオ出力に接続することによって、モニタリフレッシュレートを480Hzなどに自由に設定できます。
「Alienware AW2524HF」がネイティブ対応するリフレッシュレートは最大で480Hzまでですが、OSDメニューからさらに上の500Hzに対応するオーバークロックが可能です。
リフレッシュレートのOC方法を説明すると、OSD詳細設定を開いて設定メニューの「オーバークロック」の項目をオンにすると自動的にモニタが再起動します。
上の手順でリフレッシュレートのOCを適用するとモニタの自動再起動後、NVIDIAコントロールパネルにおいて500Hzなど定格最大リフレッシュレートを上回る値が新たに表示されます。
これで「Alienware AW2524HF」が対応可能な最大リフレッシュレートの500Hzで動作させることができます。
ゲーミングPCとゲーミングモニタの接続にはDisplayPortを使用するのが現在の主流ですが、「Alienware AW2524HF」にはサブ入力としてHDMIも搭載されています。
NVIDIA GeForce RTX 40/30シリーズやAMD Radeon RX 7000/6000シリーズなど最新グラフィックボードのHDMI2.1ビデオ出力と接続した場合、「Alienware AW2524HF」はフルHD/255Hzの表示に対応します。
モニタリフレッシュレートの設定は、NVIDIA製GPUの場合は上のスクリーンショットのようにNVIDIAコントロールパネルから、AMD製GPUの場合はWindowsのディスプレイ設定から行います。
オンライン対戦FPSなど競技性の高いゲームにおいて144Hzや240Hzなど高リフレッシュレートのモニタを使用した時の実用的なアドバンテージとして、ゲーム内視線を左右に振った時の視認性が上がるという例は直感的にもわかりやすいメリットですが、その他にもゲーム内遠方に存在して動いているエネミーやオブジェクトの視認性が上がるというメリットも存在します。
下の比較動画では4分割して映像を並べていますが、右下以外の3つは右下画面の緑枠部分を拡大するよう接写して、「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影したものになっています。リフレッシュレート別で左上は60Hz、右上は120Hz、左下は240Hzとなっていますが、赤枠で囲った建物の出入り口付近で左方向に移動する敵の動きはリフレッシュレートが上がるほど視認しやすくなるのがわかると思います。
またハイリフレッシュレートなゲーミングモニタでは表示遅延も小さくなります。
表示遅延が小さいメリットとしては、視認と操作の繰り返し応答が良くなることに加えて、例えば下の動画のように壁に隠れたターゲットが壁から出てきた時、画面に表示されるのが実際に速くなります。
240~360Hz・FPSでシステム遅延が小さい環境の攻撃側に敵(守備側)が見えているのに対して、一般的な60Hz・FPSでシステム遅延が大きい環境の守備側は敵(攻撃側)が見えていない様子がハッキリと映っています。
主観の画面表示を基準にしてみると、クロスヘア中央にターゲットをエイムしてから撃ち始めた場合、240Hzのほうが60Hzより先に着弾します。ターゲットが逃げる場合は50ms程度の差で撃ち漏らす場合もあります。
技術云々ではなく、単純に、クロスヘア中央にエイムするという同じタイミングで撃ちあっていたら、リフレッシュレートが高いモニタを使っている方が勝ちます。加えて操作と画面表示の繰り返し応答も早いので、当然、リフレッシュレートが高い方がエイムもスムーズになります。
高性能なゲーミングモニタには高性能なGPUが必要
なお、ゲーミングモニタのリフレッシュレート(と解像度/フレームレート)と対になって重要なのが、PCのグラフィック性能を左右するGPU、グラフィックボードです。ハイフレームレートはヌルヌル、サクサクと表現できるような快適なゲーミングを実現するだけでなく、上で説明したように競技系ゲームを有利に運ぶ意味でも重要ですが、ゲーミングモニタがハイリフレッシュレートに対応していても、PCのグラフィック性能が不足していて大元の映像データが60FPS前後しか出ていなければ宝の持ち腐れになってしまいます。
当サイトでは240Hz+の競技ゲーマー向けモニタや4K/120Hz+のラグジュアリーな画質重視モニタを検証するにあたりモニタ性能を最大限に発揮できるよう、2023年最新にして最速のウルトラハイエンドGPUを搭載したグラフィックボード「PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8 Gaming VERTO EPIC-X RGB OC 3FAN」を使用しています。
PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8は、ベイパーチャンバー構造のベースコアや、厚みのあるファンブレードをバリヤーリングで結合した重厚な冷却ファンを採用する4スロット占有大型GPUクーラーにより、各社AIBモデルの中でもトップクラスの静音性を実現しています。
メーカーのPNYは2022年に株式会社アスクが販売代理店契約を結んだばかりの新参なので国内での知名度は高くありませんが、北米など海外市場では30年以上に渡りコンシューマーならびにビジネス向けで電子機器の製造・販売を行う大手メーカーです。
国内正規品なら代理店を介してPNY公式のグローバル保証と同じ3年間の長期保証が受けられるところも魅力です。
・「PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8」をレビュー
「Alienware AW2524HF」のポテンシャルを最大限に引き出すには、元から軽めのPCゲームや画質設定を下げた最新PCゲームであってもグラフィックボードのGPU性能はかなり高い水準で要求されます。
ゲーミングモニタとして「Alienware AW2524HF」を使用するのであれば2023年最新GPUであるNVIDIA GeForce RTX 4080/4090やAMD Radeon RX 7900 XT/XTXがおすすめです。
・GeForce RTX 40シリーズのレビュー記事一覧へ
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非可逆圧縮伝送機能「Display stream compression (DSC)」について
視覚損失のない非可逆圧縮伝送機能「Display stream compression (DSC)」について説明しておきます。Alienware AW2524HFの応答速度・表示遅延
次にゲーミングモニタのハードウェア性能として特に重要な、「Alienware AW2524HF」の応答速度や表示遅延についてチェックしていきます。まずは「Alienware AW2524HF」の応答速度について検証していきます。
なおゲーミングモニタを選ぶ、もしくはモニタの応答速度や残像を評価する上で重要な予備知識である『液晶モニタの応答速度とオーバードライブ機能』についてはこちらの記事で簡単に紹介しているので、よくわからないという人は先に確認してみてください。
「Alienware AW2524HF」のOSDメニュー上ではオーバードライブ機能は「応答時間」の名前で配置されています。オーバードライブ補正の強度を高速/超速/最速の3段階で設定ができて、標準設定は高速になっています。
応答速度の確認には「UFO Test: Ghosting」を使用します。同テストではUFOが移動する背景カラーを選択できますが、今回の検証ではブラック/グレー/ホワイトの3色を選択しています。
背景カラーがブラックの場合は各液晶パネルにおいて応答速度は高速な数値を示すので、概ね理想的な応答を確認することになります。背景カラーがホワイトの場合の応答速度は、ドキュメントやウェブページでテキストをスクロールした時の文字の滲み度合いの参考になります。背景カラーがグレーの場合、中間色に移るまでの応答速度を比較することになるので、一般的なゲームプレイにおける物理的な残像の少なさの指標として参考になります。
まずは簡単にシャッタースピードを十分に速くして「UFO Test: Ghosting」の様子を写真撮影してみたところ、「Alienware AW2524HF」を500Hzリフレッシュレート、オーバードライブ設定”高速”で動作させると、ベストタイミグ前後でも1つ2つ前の残像が見え、3つ4つ前も薄っすらと残る感じでした。
360Hzでも1つ前の残像が残る感じですが、240Hzになるとベストタイミングでほぼ1フレームだけの状態が確認できます。
さらに「Alienware AW2524HF」のリフレッシュレートを変えてみたり、他のモニタを比較対象にしたりしながら、UFO Test: Ghostingの様子をSONY DSC-RX100M5の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影し、比較してみます。
CSゲーム機で一般的な60Hzについては24Hz+ハイリフレッシュレートで最適なOD設定にすると比較的に強くオーバーシュートの逆像が非常に強く生じてしまいますが、「Alienware AW2524HF」の場合は60~120HzでOD設定を高速/超速/最速の3種類で切り替えても傾向はあまり変わりません。強いて言うなら超速が応答速度とオーバーシュートのバランスが良いように思いますが。
ここからはSONY DSC-RX100M5の960FPS(16倍速)よりもさらに高速な5760FPS(96倍速)のスーパースローモーションカメラを使用して「Alienware AW2524HF」の応答速度を比較検証していきます。
最初にオーバードライブ設定について確認しておくと、500HzにおいてOD設定を高速/超速/最速の3種類で切り替えても傾向はあまり変わりません。強いて言うなら超速が応答速度とオーバーシュートのバランスが良いように思いますが。
設定を切り替えてもOD補正に目立った差が見られませんし、後述の光センサーによる測定では最速よりも超速のほうがOD補正が強いという測定結果でした。「Alienware AW2524HF」についてはOD補正のバリエーションや最適化が微妙です。
続いてリフレッシュレートを360Hzして、液晶モニタ最速応答なASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN、TN液晶で対戦ゲーム特化なZOWIE XL2566K、360Hz対応IPS液晶モニタ初期製品のAlienware AW2521Hと比較してみました。
「Alienware AW2524HF」は、360Hz対応IPS液晶モニタ初期製品のAlienware AW2521Hよりはブラック・ホワイト背景で高速ですが、グレー背景だとあまり差がありませn。
リフレッシュレートはより高い500Hzをサポートしているものの、OD補正最適化の影響もあるのか、WQHD/360HzのASUS ROG Swift 360Hz PG27AQNのほうが応答速度は高速です。
高精度な機械式スライダーを使用した撮影で、「Alienware AW2524HF」の240Hz、360Hz、480Hzについて実際に体感する明瞭さを再現してみました。
「Alienware AW2524HF」の応答速度そのものは360Hz対応品と大きく差はないという測定結果でしたが、下の写真を見ての通り、左端から右端まで1秒のスライド速度では480Hzと360Hz/240Hzには明瞭さにハッキリと差があることが分かります。(リフレッシュレートが低くても応答速度次第で下克上することはありますが)
高速にエイムする時の視認性は確実に480Hzのほうが上です。
続いてスーパースローモーション動画ではなく、オシロスコープ&光プローブのような光センサーを利用した定量的な測定で応答速度についてチェックしていきます。
ここで確認するのは製品スペックに置いて『〇〇s (GTG)』などと表記される性能そのものです。統計的な扱いや解析には差があるかもしれませんが。
「Alienware AW2524HF」の最大リフレッシュレートで最適OD設定を適用した時の応答速度とオーバーシュートエラーのヒートマップは次のようになっています。
ゲーム機や動画視聴において一般的な60Hzリフレッシュレートにおいて、「Alienware AW2524HF」に最適OD設定を適用した時の応答速度とオーバーシュートエラーのヒートマップは次のようになっています。
ゲーミングPCだけでなくPlayStation 5やXbox Series X/Sといった最新ゲーム機も対応する120Hzの高速リフレッシュレートにおいて、「Alienware AW2524HF」に最適OD設定を適用した時の応答速度とオーバーシュートエラーのヒートマップは次のようになっています。
最後に「Alienware AW2524HF」の表示遅延(内部遅延)について測定を行いました。
モニタにはGPUのビデオ出力が送られてきてから実際にモニタに表示されるまで遅延が存在し、この遅延が大きいと例えば、FPSゲームでゲームパッドのトリガーやマウスのクリックによる操作からワンテンポ遅れて、マズルフラッシュが表示される、といった現象が発生します。人間は当然目で見てから操作するので、格闘ゲームやFPSゲームなど1,2フレームを争うような競技性の高いゲームにおいてはモニタの表示遅延が可能な限り小さいことが望まれます。
システム表示遅延やディスプレイ表示遅延の測定には、フォトセンサーを使用した特殊な測定機器「PC Gaming Latency Tester」を使用しています。当サイトのレビュー用に特注した機器なので、詳細についてはこちらの記事を参照してください。
「Alienware AW2524HF」やその他の比較モニタのディスプレイ表示遅延の測定結果は次のようになりました。測定方法的に遅延が2ms以下であればディスプレイ内部の表示遅延は誤差の範囲内で十分に小さいと考えてOKです。
「Alienware AW2524HF」は240Hz~500Hzのリフレッシュレートで理想的なディスプレイ表示遅延を発揮しています。一方でなぜか60Hzや120Hzの時の表示遅延が1桁ms程度ではあるものの遅くなりました。操作にラグを感じるほどではありませんが。
「Alienware AW2524HF」やその他の比較モニタのシステム表示遅延の測定結果は次のようになりました。この測定値は一般的なPCゲームにおける操作から画面表示の変化までの遅延に一致します。
グラフの通りリフレッシュレートを上げると応答速度だけでなく表示遅延も改善するのでゲーマーにとってハイリフレッシュレートなゲーミングモニタを選択するメリットは大きいということが分かると思います。
Alienware AW2524HFの可変リフレッシュレート同期について
続いて「Alienware AW2524HF」が対応する可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync / NVIDIA G-Sync Compatible(VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)」についてチェックしていきます。モニタの画面更新(リフレッシュ)に関する基本的な予備知識や、「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)」と「NVIDIA G-Sync Compatible」の関係についてはこちらの記事を参考にしてください。
・ゲーミングモニタの選び方[3] FreeSyncとG-Sync Compatibleについて
なお当サイトのレビューではNVIDIA環境について、G-Syncモジュールが搭載されたモニタにおける可変リフレッシュレート同期機能を単純にG-Syncと呼び、AMD FreeSync(VESA Adaptive-Sync)に対応したモニタにおける可変リフレッシュレート同期機能はG-Sync CompatibleもしくはAdaptive-Syncと呼びます。またドライバでそのモニタが正式にサポートされている場合はG-Sync Compatible認証取得済みと補足します。
「Alienware AW2524HF」は48Hz~500Hzの範囲内で「AMD FreeSync / NVIDIA G-Sync Compatible (VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)」など可変リフレッシュレート同期に対応しています。2024年2月現在、GeForce Driver 546.33でG-Sync Compatible認証は未取得でした。
従来のNVIDIA製GPUではHDMI経由でG-Sync Compatibleは利用できないケースが多かったのですが、HDMI2.1では伝送技術の規格の一部としてVRR同期が内包されているので、「Alienware AW2524HF」ではHDMI経由でもG-Sync Compatibleを利用できます。
AMD製GPU環境でもAMD FreeSyncを有効化できます。可変リフレッシュレート同期機能の対応フレームレートは48Hz~500Hzの範囲内です。
可変リフレッシュレート同期機能が正常に動作してリフレッシュレートが可変になると、「Alienware AW2524HF」のOSDメニューから確認できるリフレッシュレートがフレームレートに合わせて変動するようになるので、機能が正しく動作しているかどうかはここを見て確認してください。
Alienware AW2524HFのHDR表示やCSゲーム機対応について
「Alienware AW2524HF」のHDR表示やCSゲーム機の対応(4Kエミュレートなど)についてチェックしていきます。HDR表示やCSゲーム機対応について | |
HDMI ver, ポート数 |
HDMI2.0 ×1 |
HDR表示 | 対応 |
VRR同期 | 対応 |
カラーフォーマット DP1.4 |
フルHD/500Hz/10bit RGB |
カラーフォーマット HDMI2.1 |
フルHD/255Hz/8bit RGB フルHD/165Hz/10bit RGB |
ピーク輝度(実測) | 366cd/m^2 |
輝度認証 | - |
ローカルディミング | 非対応(グローバルディミングも) |
4Kエミュレート | 非対応 |
PlayStation 5 | フル/120FPS対応 |
Xbox Series X/S | フル/120FPS対応 |
VESAがMicrosoft Store上で無料アプリとして公開しているVESA DisplayHDR Compliance Testsから、「Alienware AW2524HF」のディスプレイ輝度の扱いが確認できました。(データの読み方については管理人も怪しいので参考までに)
「Alienware AW2524HF」はHDR表示に対応していますが、VESA DisplayHDR等の輝度認証は取得していません。
最大輝度は360nit程度であり、ローカルディミングはもちろん、グローバルディミング(可変バックライト)にも対応していません。
HDR映像ソースを退色せずに表示できる、という意味ではHDR対応で間違いないのですが、ローカルディミング対応の高級なテレビやゲーミングモニタと比べるべくもないスペックです。HDR映像コンテンツを重視するのであれば、別の製品を検討するのをお勧めします。
HDR表示モードやOSD設定について
「Alienware AW2524HF」でHDR映像ソースを正常に表示するには、ディスプレイ設定の小項目として配置されている”Smart HDR”をオフ以外に切り替える必要があります。初期設定ではオフになっており、この状態ではPCやゲーム機からHDR映像に対応したディスプレイとして認識されません。
HDR設定を有効にした状態でHDR映像ソースが認識されると、自動的にHDR表示モードに切り替わり、OSD詳細設定メニューの右上にHDRアイコンが表示されます。
「Alienware AW2524HF」はHDR表示をコンテンツに最適化するSmart HDRという機能を搭載しており、デスクトップ、ムービーHDR、ゲームHDRの3種類のプリセットから選択できます。
HDRモードではディスプレイ輝度など一部のOSD設定がグレーアウトして調整できなくなります。画質モード(プリセットモード)は切り替えできますが、HDRモード中の表示には影響しません。
PC向けゲーミングモニタのHDR表示は発色・輝度などが完全に自動制御になるか、数種類のプリセットを切り替える程度しか設定がないことが多いのですが、「Alienware AW2524HF」はSmart HDRの中に”カスタムカラーHDR”という設定が用意されており、コントラスト、色相、彩度を任意に調整できます。
有色なら色相で寒色(青色)寄りにシフトさせたり、彩度でSDR表示同様に過飽和気味に高彩度な表示にチューニングすることも可能です。ただし白色の色温度はHDR表示のD65(実機の実測では6000K前後でした)から変更できません。
あとHDMIビデオ入力で接続時に限定されますが、プリセットモードと違ってコンソールモードはHDR表示中にもオン/オフの切り替えが可能であり、HDRモード中にはソーストーンマップという項目が現れます。
これはVRRやALLMのようにHDMI2.1規格で追加された新機能 HDMI Source-Based Tone Mapping (SBTM)を有効にする設定のようです。
SBTMではHDRトーンマップを自分で行うソース機器に対して色域や輝度といったディスプレイ性能を伝えることで、ディスプレイ性能に合わせたトーンマップを実現できます。
PC接続時の解像度やカラーフォーマットについて
「Alienware AW2524HF」はDisplayPort1.4ビデオ入力でPCと接続した場合、フル/500HzのHDR表示において、RGB 10bitのカラーフォーマットに対応します。HDMI接続時はフルHD/255Hzにおいて標準のカラーフォーマットはRGB 8bitとなり、10bitに対応するにはYCbCr422のクローマサンプリングが必要でした。リフレッシュレートを165Hzに下げるとRGB 10bitにも対応します。
CSゲーム機接続時の4KエミュレートやHDCP対応について
「Alienware AW2524HF」に搭載されたHDMIビデオ入力はHDMI2.0相当(HDMI2.1でVRRなど一部の機能をサポートするものの、4K/120FPSのための高速伝送機能 FRL等には非対応)ですが、4Kエミュレートには対応しておらず、PlayStation 5やXbox Series X/Sを組み合わせた場合、フルHD/120Hzの表示が上限です。PlayStation 5やXbox Series X/Sのようにゲーム機が対応していればVRR同期機能も利用できます。
Alienware AW2524HFのレビューまとめ
最後に「Alienware AW2524HF」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 画面サイズ24.5インチでフルHD解像度ゲーミングモニタとしてはちょうどいいサイズ
- 発色や視野角に優れたIPS液晶パネルで、88% DCI-P3の広色域
- 液晶パネルは反射防止のアンチグレア
- IPS液晶としてはトップクラスに高速な応答速度
- IPS液晶では世界最速の500Hzリフレッシュレートに対応
- 240Hzと比較して表示遅延は7msも低減
- ビデオ入力はDisplayPort1.4×2とHDMI2.0×1の計3系統
- 可変リフレッシュレート同期機能に対応(48FPS~500FPS)
- PCゲーミングで一般的なHDR10規格のHDR表示に対応
- モニタ本体重量3.6kgかつVESAマウント対応でモニターアームを使用可能
- ディスプレイパネル表面(アンチグレア処理のフィルム)のザラザラ感が強い
- OD設定の補正に差がなく、最適化が不十分な印象
- 2024年2月現在、税込み8.9万円と高価
「Alienware AW2524HF」はネイティブ480Hz、OC機能で500HzというIPS液晶では世界最速となる超高速リフレッシュレートに対応しています。
最大500Hzの超高速リフレッシュレートに加え、発色(DCI-P3を88%カバー)や視野角にも優れて高画質まで兼ね備えているので、近年流行りのバトルロイヤル系ゲームを高FPSでガチプレイ、ミリ秒差の勝利を掴むための相棒としてオススメできるゲーミングモニタです。
500Hz対応なので360~500FPSのハイフレームレートが出せる環境(GPU&CPU)とゲームなら、240Hzや360Hzのゲーミングモニタよりも低遅延になるところは魅力です。
また400~500FPSが出る場合はモーションブラーの緩和により、240~360Hzのゲーミングモニタよりも高い明瞭さを実現できる可能性が高いです。
一方で360FPS以下の場合は、液晶最速のASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN、TN液晶で対戦ゲーム特化なZOWIE XL2566Kといった競合製品と比べて、液晶パネル自体(OD補正の最適化も含め)の応答速度は遅く、またMBR機能にも対応していないので、クッキリ感は及ばないのでその点は注意が必要です。
最近ではPlayStation 5も対応したことで話題ですが、「Alienware AW2524HF」は可変リフレッシュレート同期機能にも対応しています。
VRR同期対応フレームレートとして48FPS~500FPSの幅広いフレームレートをカバーしており、60FPS前後しか維持できない最新の高画質な重いゲームから、100FPS以上を維持できる競技性の高い軽めなゲームまで、テアリングやスタッターのないクリアで滑らかな表示を実現します。
以上、「Alienware AW2524HF」のレビューでした。
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発色と視野角に優れたIPS液晶パネルながら500Hzの超高速な垂直リフレッシュレートに対応するゲーミングモニタ「Alienware AW2524HF」をレビュー。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) March 7, 2024
低遅延で最速、対戦FPSゲームで勝つためのモニタを徹底検証https://t.co/btEXRzH14N
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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